カテゴリー「高額療養費制度改悪」の2件の記事

2025年1月31日 (金)

石破内閣の高額療養費予算修正

1月12日に

ブログ記事「地獄の始まり高額療養費改変」
https://x.gd/CbqVw

メルマガ記事「ホラーな日本政府の厚労政策」
https://foomii.com/00050

を掲載した。

成長戦略の美名の下に推進されてきた施策のひとつが「医療の自由化」。

「医療の自由化」によって国民生活の安全弁根幹である保険医療が破壊される。

このことに警鐘を鳴らし続けてきた。

「国民皆保険」そのものが崩壊しつつある。

政府は「国民皆保険」を守ると言うが、労働者の賃金が減少し続け、社会保険料の負担に耐えられない国民が激増している。

いまや健康保険証を保持することは「ステータスシンボル」とも言われている。

同時に、保険に入っている人が病気に罹患したときに必要十分な医療を受けることができるか。

これが国民皆保険の実体的な意味である。

すべての国民が病気に罹患したときに必要十分な医療を受けられる。

これが「国民皆保険」の意味である。

「医療の自由化」は、この意味での「国民皆保険」を崩壊させるものだ。

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2012年に自民党が公表した「TPPについての考え方」には「TPP交渉参加の判断基準」として5項目が明示された。

そのなかに、

3 国民皆保険制度を守る。

が掲げられた。

しかし、言葉に騙されてはならない。

すべての国民が健康保険に加入するという「建前」は維持されても、すべての国民が病気に罹患したときに

「必要十分な医療を受けることができる」

かどうかが問題なのだ。

保険に加入していても、必要十分な医療を受けられないのでは「国民皆保険」の名に値しない。

私は2013年6月に

『アベノリスク』(講談社)
Photo_20250131233401
https://x.gd/DKqdO

を上梓して警鐘を鳴らした。

「アベノミクス」は、1.インフレ誘導=金融緩和、2.財政出動、3.成長戦略、を柱とする政策とされたが、その核心は「成長戦略」にあった。

私は成長戦略の中身が次の五つであることを指摘した。

1.一次産業自由化、2.医療自由化、3.労働規制撤廃=解雇自由化、4.法人税減税、5.特区創設

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「成長戦略」の「成長」という言葉はプラスの響きを持つが、「何の」成長であるかが重要である。

アベノミクスの「成長戦略」は「大企業利益の成長戦略」=「一般国民不利益の成長戦略」だった。

成長戦略の骨格2に挙げた「医療の自由化」は医療を、1.すべての国民に提供される医療、と、2.富裕層だけが享受できる医療、の「二本立ての医療」に移行させるもの。

保健医療の範囲を限定し、一般庶民が受けられる医療をこれに限定する。

高額で先端の医療は富裕層だけが受けられる状況に移行する。

富裕層は米国の保険会社が販売する高額な保険料支払いを伴う民間医療保険を購入し最先端の高額な医療を受けることになる。

これが「医療の自由化」がもたらす帰結。

これまでの日本で、「すべての国民が必要十分な医療を受けられる」ことを支えてきたのが「高額療養費制度」である。

「高額療養費制度」とは、高額な治療を受けた場合に患者の負担が重くならないよう年齢や年収に応じて、ひと月あたりの医療費の自己負担に上限を設けているもの。

この「高額療養費制度」について、政府は昨年末に高額療養費の自己負担上限額の大幅引上げを閣議決定。

1月24日に開会された今国会で審議されている2025年度予算案にこの制度改悪が盛り込まれている。

いよいよ政府は国民の命綱を断つことを始めた。

予算修正の論議が浮上しているが、最優先で修正が求められるのがこの制度改悪。

制度変更をまずは先送りする予算修正を決定する必要がある。

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2025年1月12日 (日)

地獄の始まり高額療養費改変

2012年12月に発足した第2次安倍内閣は三つの経済政策方針を示した。

・インフレ誘導=金融緩和

・財政出動

・成長戦略

金融緩和と財政出動は財政金融政策に関する方針。

目新しいものでない。

しかし、この三つの経済政策を総称して「アベノミクス」としてアピールした。

しかし、インフレ誘導政策は一般国民=労働者=消費者=生活者=主権者にとって「百害あって一利のない政策」。

国民にとっては物価下落の方がはるかに恩恵が大きい。

しかし、政府と大企業にとっては逆。

インフレ進行は実質賃金を減少させ、企業の賃金コストを軽くする。

また、インフレ進行は政府の借金の重みを減らすとともに税収を拡大させるから政府にとってもインフレは大歓迎だ。

財政政策では2013年度に積極財政が実行されたが2014年度には消費税大増税実施が強行された。

積極財政は1年で終わった。

14年は消費税大増税による緊縮財政。

これを「アベコベノミクス」と呼ぶ。

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財政金融政策は経済政策の中核でアベノミクスに目新しさはなかった。

アベノミクスを特徴づけたのは「成長戦略」だった。

「成長」という言葉はプラスの響きを持つが、「何の」成長であるかが重要。

アベノミクスの「成長戦略」は

「大企業利益の成長戦略」

=「一般国民不利益の成長戦略」

だった。

その内容は次の五つに要約できる。

1.一次産業自由化

2.医療自由化

3.労働規制撤廃=解雇自由化

4.法人税減税

5.特区創設

アベノミクスによって日本経済の成長率は上昇しなかった。

成長率平均値は2009年から2012年の民主党時代の方が高かった。

日本経済の成長率は年平均0.6%程度にとどまる。

日本経済の成長は実現しなかった。

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「成長戦略」の1は日本の一次産業を外国資本に支配させるもの。

小規模農家による地産地消の農業、漁業等が破壊されてきた。

「働き方改革」なる施策が実施されたが、内実は「働かせ方改悪」だった。

長時間残業が合法化され、「定額働かせ放題労働プラン」が拡大され、正規非正規労働条件格差も温存されている。

さらに進んで、解雇の自由化が推進されている。

税制では所得の少ない国民から税金をむしり取る「消費税大増税」が推進される一方で巨大な法人税減税が遂行された。

所得税の金持ち優遇は温存されたままだ。

「特区」は特定業界、特定企業に利益を供与する政策。

新たな利権政治の温床と化した。

医療においてはすべての国民に提供される医療と富裕層だけが享受できる「二本立ての医療」への移行が推進されている。

保険適用外の医療が拡大し、十分な医療は富裕層しか受けられない状況が強まっている。

このなかで一般国民の命をぎりぎり繋いできた制度が「高額療養費制度」。

一般国民の命綱である。

社会保障支出を切りたい財務省はここに焦点を当ててくることを予言した。

それがいよいよ本格化する。

一般国民の命綱はいま切り落とされようとしている。

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