ロケットと学校給食
2月17日に打ち上げを「中止」したJAXAの次世代主力ロケット「H3」の試験1号機の打ち上げが3月7日午前10時37分に実施されたが「失敗」に終わった。
第2段エンジンの着火が確認できず、ミッション達成の見込みがなくなったとして、午前10時52分ごろに機体を破壊する指令破壊信号が送信された。
JAXAのロケット打ち上げ失敗は、昨年10月の固体燃料ロケット「イプシロン」6号機に続くもの。
H3は現行のH2Aの後継となるJAXAと三菱重工業が開発した新基幹ロケット。
試験機1号機の打ち上げは当初2020年度に予定されていたが、第1段に使われている新開発のエンジン「LE-9」の問題を解決するために2度延期されてきた。
2月17日には打ち上げを開始したが、開始後にロケット下部(エンジン上部)に設置された1段制御用機器が異常を検知。
SRB-3への着火信号を送らなかったことから打ち上げが「中止」されていた。
打ち上げ作業が開始されてから機器の不具合で「中止」に追い込まれたもので、2月27日の打ち上げは「失敗」に終わったと言える。
JAXAは「失敗」を否定し、あくまで「中止」だと主張。
客観的に見て「失敗」であると指摘した共同通信社記者が批判される事態が生じたが、結局、3月7日に正式な「失敗」に終わった。
2月17日の打ち上げが「中止」に追い込まれたことを謙虚に「失敗」と認めぬ姿勢が「失敗」の背景になっている。
JAXAの失敗に対する主権者の目は厳しい。
理由はロケット事業が民間事業ではないこと。
巨大な「血税」が投下されている。
財政における最重要のテーマは「資源配分」である。
限られた財政資金を、何に、どのように使うのかが最重要問題である。
全国の公立小中学校の給食費を無償にするために要する金額は約5400億円。
この実現を求める声は強い。
しかし、政府は財源不足を理由にその実現を拒んでいる。
その一方で、これまで5年間で27.5兆円とされた軍事費(防衛費)がいきなり43兆円に増額される。
岸田内閣は2023~27年度の5ヵ年の次期計画において防衛費を43兆円に増額する方針を示したが、実態はさらに大きなものであることが判明している。
同期間にローンで新規契約する装備品購入費で28年度以降に支払う額が16.5兆円あるためだ。
軍事費=防衛費の総額は約60兆円に達する。
60兆円という金額は法外だ。
1年間の国家財政における社会保障を除くすべての政策支出の規模は約30兆円である。
公共事業から文教、中小企業対策、防衛、食料安定供給、エネルギー対策などのすべての施策のための国費支出金額の合計が約30兆円なのだ。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、宇宙飛行士が所属する部門が実施した実験でデータの捏造が行われたことも明らかにされている。
2022年11月25日に行われたJAXAの記者会見で古川聡宇宙飛行士が責任者を務める研究で、データのねつ造や改ざんがあったことが明らかにされた。
実験を主導した2人の研究者が中心となり、存在しないデータを作成したり、結果を書き換えたりしていたことが明らかにされた。
問題があったのはJAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)にある閉鎖環境施設で2016~17年に5回行った実験。
将来の火星探査など数年に及ぶ有人飛行を念頭に実施された実験でのデータ書き換えやねつ造である。
研究実施責任者は古川聡飛行士。
当該研究の研究費は文科省科学研究費補助金(科研費)とJAXA予算を合わせて約1億9000万円。
JAXAは国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在を計画している。
JAXAの正式名称は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構。
予算規模は2000億円を超える。
その財源は基本的に血税である。
国家予算における宇宙関連予算規模は5000億円に達する。
重要なことは限られた財源=血税を何にどのように配分するのかという点にある。
ロケット技術はミサイル技術に直結するもの。
日本の技術力低下が深刻であることも問題だが、これとは別に限られた財源を何にどのように使うのかが問われる。
日本は戦争を放棄した国として軍事費、宇宙開発費に過大な支出を充当するべきでない。
『千載一遇の金融大波乱
2023年 金利・為替・株価を透視する』
(ビジネス社、1760円(消費税込み))
https://amzn.to/3YDarfx
『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
https://amzn.to/3tI34WK
をぜひご高覧ください。
Amazonでの評価もぜひお願いいたします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
https://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第3443号
「血税を何にどう使うのかが重要」
でご購読下さい。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.comまでお願い申し上げます。
価格:1,870円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する
価格:994円 通常配送無料
出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する
価格:907円 通常配送無料
出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料
価格:994円 通常配送無料
出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,512円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する