内部告発生かさぬなら内部告発者が潰される
日々、さまざまな出来事があり、メディアを賑わす。
大事なことは、ひとつひとつのものごとをどのように処理するのかだ。
大きな論議を呼ぶには、それなりの理由や背景がある。
多くの問題点が浮かび上がる。
しかし、浮かび上がっただけでは意味が無い。
ものごとに、どう決着をつけるのかが重要なのだ。
吉本興業のブラックな体質が浮かび上がった。
発端は、一部のタレントの問題だったが、当該タレントの記者会見によって焦点が吉本興業の経営問題に移った。
この問題が主権者にとって見過ごせないのは、この企業に巨額の公金が注がれる事実が存在するとともに、この企業が政治との癒着を深めている事実が明確だからだ。
吉本興業のブラックな体質として、
1.経営トップによるパワハラ、強要罪等の犯罪疑惑
2.下請法違反の容疑
3.反社会的勢力との関わり
という問題が浮かび上がった。
さらに、政治権力との深い癒着関係も明らかになった。
吉本興業の支配者と見られている大崎洋氏の公の場での説明が必要不可欠だ。
6月20日に第1回会合が開かれた沖縄の米軍施設・区域の跡地利用に関する政府の有識者懇談会「基地跡地の未来に関する懇談会」の委員に大崎洋氏が選任されている。
「李下に冠を正さず」の言葉に従い、大崎市を委員から外すことが、まずは必要である。
池袋で車を暴走させて母子を殺害した重大事件で警察当局は加害者の飯塚幸三氏を逮捕していない。
被害者の遺族の男性は、加害者に対する厳罰を求めて署名活動を行っている。
日本の腐敗した刑事司法の現実に対して被害者遺族が異議を申し立てているものだ。
メディアは問題を報じるが、重要なのは、問題を騒ぎ立てることではなく、最終的に問題がどう処理されるのかを丁寧に追跡することだ。
森友学園に国有財産が不正に低い価格で払い下げられた。
国家に損害を与えた事案であり、背任の罪で立件される必要があった。
財務省は組織ぐるみで公文書の改ざんや虚偽公文書の作成を行った。
これも重大な刑法犯罪である。
国会に虚偽の報告をして国会審議を滞らせたことは偽計業務妨害罪に該当する。
しかし、日本の腐敗した刑事司法はこれらの重大刑法犯罪事案を無罪放免にした。
安倍内閣が家計学園に獣医学部の新設を認めた事案も、政府による個別事業体への利益供与事案であると判断できる。
しかし、日本の腐敗した刑事司法は、この問題も無罪放免とした。
メディアは問題を騒ぎ立てるだけで、問題処理に対して異議を唱えることも、執拗に問題を追及し続けることもしない。
その一方で、かつての西松事件や陸山会事件の対応はどうであったのか。
何ら違法性のない収支報告書の記載を重大犯罪であるかのごとくに報道し、刑事司法当局は何ら違法性のない事案を重大犯罪として立件した。
陸山会事件は収支報告書への記載の年度区分の問題という、これまたおよそ刑事責任を追及するような事案でなかったにもかかわらず、これを重大犯罪であるかのように装って立件した。
メディアは問題の核心をまったく報道せずに、重大犯罪であるとの「印象操作」に明け暮れた。
結局のところ、政治権力が不正に刑事司法とマスメディアを支配して、重大な不正があるのに、これを正すことをしない一方で、政治的な敵対者が存在すると、刑事司法とマスメディアを支配して不正にこの敵対勢力を殲滅する行動が取られてきたのだ。
日本の惨状は、政治権力による刑事司法とマスメディアの不当支配によってもたらされていると言える。
もうひとつ見落とせない問題がある。
それは、主権者の緩さだ。
この国の主権者は私たち国民だ。
私たちがものごとの最終決定を下す権限を有している。
その主権者が「印象操作」や「情報誘導」に流されてしまうと、正義は実現しない。
吉本興業の株主はマスメディアそのものと言ってよい。
マスメディアが総力を挙げて問題の封印に動いている。
このまま問題を幕引きにすれば、結局は何も変わらない。
変わらないどころが、声を上げたものが損失を蒙り、今後は正当な声を上げる者が消滅するという事態さえ生じることになる。
これを「日本的幕引き」と呼ぶなら、「日本的なるもの」には醜悪なものとの意味しか残らないことになる。
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