「働かせ方改悪」でなく「働く制度の改善」が必要
病院で診断を受けた結果、インフルエンザa型に罹患したことが判明した。
インフルエンザの症状は厳しいので当面は安静にしておきたい。
全国でインフルエンザが大流行している。
低温、乾燥という感染拡大の条件が整っている。
重症化することもあるから適切な対応が必要である。
問題は高熱が収まってもウイルスを保有している人が人と接触すれば感染が広がってしまうことだ。
人手不足の職場ではインフルエンザで1週間も休みを取ることが容易には許されないだろう。
また、非正規の労働者の場合、実労働時間によって賃金が支払われるから病気といえども休みを取れば、そのまま収入減につながってしまう。
昨年来、「働き方改革」という名の「働かせ方改悪」が論議され、法律が強行制定されてしまったが、これらの制度変更では、資本の側の論理が優先され、労働者の利益が完全に無視されている。
「成長戦略」という言葉の響きは良いが、「誰の」、「何の」成長なのかが重要だ。
「労働者の利益の成長」なら良い話だが、現実は違う。
「資本の利益の成長」を目指すのが「成長戦略」なのである。
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にNO.3「働き方改革」の嘘を記述した。
正規労働者には有給休暇があり、インフルエンザで休みを取っても所得が保障される。
病気療養をすることができる。
しかし、非正規労働で休業補償がなければ、無理をしてでも働かなくてはならないとの事情が優先されてしまう。
同時にこのことが感染拡大の原因にもなる。
企業の側では、インフルエンザに罹患しても、十分な休みを取らせない場合もある。
十分な隔離をせずに職場に復帰させれば、それが感染を拡大させる原因にもなるのである。
アベノミクスでは企業の利益拡大を優先する考え方が採られてきた。
その上で、企業利益が拡大すれば、それが従業員の所得拡大につながると説明してきた。
これを安倍内閣は「トリクルダウン」と説明してきたが、「トリクルダウン」は観察されていない。
労働者の賃金所得は減少の一途を辿っている。
法人企業統計における全産業・全規模合計の、税引前当期純利益の推移を見ると、2012年度の49.0兆円が2017年度に92.8兆円に拡大したことが分かる。
第2次安倍内閣発足後の5年間に企業収益はほぼ倍増したのである。
その一方で、労働者一人当たりの実質賃金は約5%も減少した
厚生労働省が発表している毎月勤労統計のデータ不正が問題になっている。
統計数値が過大に計上されていた疑いがあるから、実質賃金の減少はより大きなものになる可能性もある。
いずれにしても、企業収益が倍増するなかで労働者の実質賃金は5%も減少した。
これがアベノミクスの象徴的な断面なのだ。
安倍首相は雇用が増加し、有効求人倍率が上がったことだけを繰り返しアピールする。
この安倍首相の説明は「広告代理店の説明」と呼ばれている。
都合の良い部分だけを徹底的に繰り返し、都合の悪い部分には絶対に触れない。
雇用が増えたというが、増加した雇用の約7割が非正規雇用なのだ。
雇用の7割が正規雇用で3割が非正規雇用。
しかし、増加する雇用の7割が非正規雇用なら、労働者全体に占める正規雇用の比率はどんどん下がってゆく。
インフルエンザに罹患しても安心してゆっくりと養生することもできない状況が広範に広がっているのだ。
大資本=ハゲタカファーストの政策を庶民ファースト=国民ファーストの政策に転換することが求められている。
これが日本政治の第一の課題である。
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