巨悪無罪放免小悪籠池実刑森友事件
つくづくこの国の腐敗は底が知れないと感じる。
森友学園元理事長で補助金不正受領の罪を問われていた籠池泰典氏とその妻諄子氏に対する泰典被告への懲役5年、諄子被告への懲役2年6月とする二審大阪高裁の実刑判決について、最高裁が1月10日付で上告棄却の決定を示した。
近く刑が確定し、両氏は収監されることになる。
公金不正受給の詐欺事件は厳正に処罰されるべきであろう。
しかし、憲法には「法の下の平等」の定めがある。
日本国憲法第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
刑事司法において「法の下の平等」を確保することは基本的人権の視点から極めて重要なこと。
「法の下の平等」が確保されていないことは「差別」が行われていることを意味する。
「差別」は基本的人権の侵害である。
人権について明確な定めを置いた歴史的文書が1789年のフランス人権宣言である。
フランス人権宣言が重要な公理を明示した。
いまから200年以上も前のこと。
日本では江戸時代中期、寛政時代にあたる。
松平定信が実施した「寛政の改革」時代だ。
フランス人権宣言は第1条に次の条文を置いている。
(条文日本語訳は、樋口陽一・吉田善明編『改定版 解説世界憲法集』-三省堂-による)
1条(自由・権利の平等) 人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、生存する。社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ、設けられない。
「法の下の平等」は基本的人権保障の基礎である。
フランス人権宣言には、これに加えて以下の規定が置かれている。
第5条(法律による禁止) 法律は、社会に有害な行為しか禁止する権利をもたない。法律によって禁止されていないすべての行為は妨げられず、また、何人も、法律が命じていないことを行うように強制されない。
第7条(適法手続きと身体の安全) 何人も、法律が定めた場合で、かつ、法律が定めた形式によらなければ、訴追され、逮捕され、または拘禁されない。恣意的(しいてき)な命令を要請し、発令し、執行し、または執行させた者は、処罰されなければならない。ただし、法律によって召喚され、または逮捕されたすべての市民は、直ちに服従しなければならない。その者は、抵抗によって有罪となる。
第8条(罪刑法定主義) 法律は、厳格かつ明白に必要な刑罰でなければ定めてはならない。何人も、犯行に先立って設定され、公布され、かつ、適法に適用された法律によらなければ処罰されない。
第9条(無罪の推定) 何人も、有罪と宣告されるまでは無罪と推定される。ゆえに、逮捕が不可欠と判断された場合でも、その身柄の確保にとって不必要に厳しい強制は、すべて、法律によって厳重に抑止されなければならない。
200年以上も前にフランスはこのような考え方を確立した。
残念なことに日本では現在に至っても刑事司法における人権保障がまったく確立されていない。
法の下の平等、罪刑法定主義、適法手続き、無罪推定の原則がまったく確保されていないのだ。
日本の刑事司法の問題点を三つ列挙する。
第一は、警察・検察に不当に巨大な恣意的裁量権が付与されていること
第二は、刑事司法において基本的人権が守られていないこと
第三は、裁判所が独立しておらず、政治権力、行政権力の支配下に置かれていること
公金不正受給は摘発され、処罰されるべきだ。
しかし、籠池夫妻以外の公金不正受給、詐欺事件が適正に摘発され処罰されているとは言い難い。
GOTO不正でHIS子会社の補助金巨額不正受給が明るみに出たが、いまなお強制捜査すら行われていない。
北陸地方の有名旅館で雇用調整金不正受給の事実が明らかにされたが刑事責任を追及する捜査が行われていない。
森友事件では時価10億円相当の国有地がタダ同然で払い下げられたが背任罪での立件が行われていない。
また、この事件に関して虚偽公文書が作成されたが刑法が定める虚偽公文書作成罪での立件が行われていない。
安倍元首相夫妻は国有地不正払い下げ事件に深く関与したと見られているが刑事責任が問われていない。
籠池夫妻に多くの問題があることは事実だが、これとは別に日本の刑事司法が腐敗していることを際立たせる裁判所決定である。
日本では中国の刑事司法手続きについて批判する主張が多く観察されるが日本の刑事司法制度が中国と比較して優れているとはまったく言えない。
このことを黙認している日本国民の責任も重いと言える。
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