もりかけ疑惑払拭に背を向けている安倍首相
問われているのは、日本の主権者の矜持である。
矜持=きょうじとは、自信、プライドのことだ。
安倍政治の暴走は目に余る。
政策の決定、遂行が横暴に過ぎる。
議会の多数勢力を確保しているからといって、何をやっても良いわけではない。
行政権力といえども、憲法の前には従順でなければならぬ。
安倍政権は憲法をないがしろにしており、立憲主義の根幹を歪めている。
憲法違反の疑いのある行動を積み重ねており、このことに対する主権者の怒りが沸騰している。
特定秘密保護法強行制定、刑事訴訟法改悪、共謀罪創設に加えて、
TPP推進、原発推進などの政策を強行している。
立憲主義の破壊は言語道断だが、政策運営については賛否両論があるだろう。
政策路線に対する異論は、いかなる政権でも直面するものである。
しかし、いま安倍政治に問われているのは、政策以前の問題である。
森友疑惑にしろ、加計疑惑にしろ、浮上しているのは、典型的な政治腐敗の問題である。
権力者が権力を「私している」のである。
そもそも、民主主義は、権力者の暴走、権力者の政治私物化を阻止するために発達してきたものだ。
日本国憲法第15条は為政者を含む公務員のあり方を定めている。
「すべて公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない。」
これが憲法の規定である。
ところが、安倍政権は安倍政権近親者であった森友学園に対して、時価10億円は下らないと見られる国有地を実質200万円で払い下げた。
明治時代に問題になった北海道開拓使官有物払い下げ事件と同類の政治腐敗事案であると考えられる。
加計疑惑では、安倍首相が「腹心(ばくしん)の友」と表現する加計孝太郎氏が経営する加計学園による獣医学部新設を安倍政権が政治権力を動員して、行政プロセスを歪めるかたちで実現させたものであると見られている。
獣医学部新設を認めた国家戦略特区諮問会議は、
「広域的に獣医師系養成大学等が存在しない地域に限り」
「1校に限り」
「2018年4月開学」
を条件に獣医学部の新設を認める決定を行ったが、この条件が、
加計学園による獣医学部新設を実現するための条件であった
ことは客観的に見て明らかである。
政治権力がこうした形で私的な利害動機で行使された疑いが濃厚に存在することが問題になっている。
重要なことは、問題発覚後の対応である。
安倍内閣に対する主権者の支持が急落したのは、こうした政治腐敗事案の表面化に対して、安倍首相が主権者に対して真摯に真相を解明しようとする姿勢を示していないことに主因がある。
森友学園事案では、安倍昭恵氏の国会招致が必要不可欠である。
加計学園事案では、加計孝太郎氏の国会招致が必要不可欠である。
ところが、安倍首相はこの核心の二点を拒絶し続けている。
会見で頭を下げても何の意味もない。
会見で「お詫び」を述べても何の意味もない。
問題を明らかにする「核心」に踏み込んで、初めて真相解明に向けての姿勢が理解されるのである。
安倍首相の、こうした見せかけだけの対応で、重大疑惑を水に流すとすれば、それは水に流す側の対応が問題であると言わざるを得ない。
この意味で、主権者国民の矜持が問われているのである。
安倍首相はテレビ番組に出演した際に、番組のインタビュアーから、加計孝太郎氏の国会招致を、首相のリーダーシップで実現するべきではないかと再三問われたが、その問いに対して、真正面から答えることすらしなかった。
質問に答えず、まったく関係のないことがらを延々と述べ続け、質問をはぐらかす行動を取り続けた。
国会審議における、こうした不誠実な態度に対して主権者が怒り心頭に発しているのである。
そのことをまったく認識しない、旧態依然の対応である。
主権者国民は早期の臨時国会召集を求め、国会の場で重大な政治腐敗事案に対する徹底的な真相解明を求めなければならない。
安倍首相が真摯な姿勢を示さぬなら、主権者国民はこの内閣を徹底不指示して、内閣の早期崩壊に追い込まねばならない。
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