カテゴリー「憲法問題」の2件の記事

2017年1月 5日 (木)

「政争の具」にしようとしているのは安倍首相だ

安倍首相が年頭会見で、天皇譲位をめぐる国会での議論について、


「決して政争の具にしてはならない。


政治家はその良識を発揮しなければならない。」


と述べたが、年初からの傍若無人の言動に辟易する。


日本国憲法は第1章を天皇とし、天皇に関する条文を置いている。


第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。


第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。


第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。


第五条 皇室典範 の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。


天皇が退位について発言し、この発言に従って、退位の制度についての論議が行われている。


そもそも、退位についての発言が、


「内閣の助言と承認」


によって行われたものであるのかどうかが問われなければならない。


天皇は内閣の助言と承認なしに国事に関するすべての行為を行えないことが憲法に定められているからである。


また、皇位の継承については、憲法第2条に明記されており、皇室典範の定めによって行われることが明記されている。

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集団的自衛権行使の問題で「立憲主義」が論議された。


日本は立憲主義国家であり、政治権力は憲法に従わなければならない。


政治権力が憲法を無視することは許されないのである。


政府は憲法第9条の解釈を定め、これを公表してきた。


そのなかで、集団的自衛権の行使は憲法解釈上許されないとの見解を明示してきた。


ところが、安倍政権は集団的自衛権行使を容認した。


定着している憲法解釈を勝手に変えた。


憲法破壊行為そのものである。


天皇の譲位を定めるのであれば、


憲法の規定に従い、皇室典範を改正する以外に道はない。


天皇の譲位に関する発言が憲法に違反するのかどうかの議論は横に置くとして、憲法を尊重する以上、これ以外に結論はない。


安倍政権は天皇譲位問題に関する有識者会議を設置し、有識者会議は憲法や皇室問題の専門家からヒアリングを行った。


有識者会議やヒアリングでさまざまな意見が提示されたが、これらの議論とはほぼ関係なく、有識者会議の座長代理である御厨貴氏が中心になって、安倍政権が目指す特例法制定を行うことが提言される可能性が高い。


憲法破壊を厭わぬ安倍政権であれば、憲法を無視した法整備など朝飯前なのかも知れない。

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しかし、国会が安倍政権の傍若無人の振る舞いをそのまま容認するとは考えられない。


日本国憲法に、皇位継承は


「国会の議決した皇室典範の定めるところによる」


との明文の規定がある以上、皇位継承の制度を変更するには、皇室典範の改正が必要になることは当然のことだ。


国会でこのような議論を提示することを安倍首相が、


「政争の具にする」


と言うなら見識が疑われるのは安倍首相である。


憲法を尊重し、擁護するのは公務員の責務である。


日本国憲法第99条にどのような定めがあるのかさえ、安倍首相は恐らく知らないのだと思われる。


第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


天皇の譲位に関する発言は、


「国事に関するすべての行為」


に含まれるものであるから、その発言自体が、


「内閣の助言と承認」


によるものでなければ、憲法違反となる。


そして、その発言の責任は


「内閣が負う」


とされているのであり、すべての議論の前に、この点の確認が必要になる。

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誰も皇位継承問題を「政争の具」にしようととは考えていないだろう。


安倍政権が「政争の具」にしたくないというなら、


憲法の規定に沿う対応を示すべきだ。


また、有識者会議に野党の主張を取り入れる体制を採るべきだろう。


このような筋の通った対応を示しつつ、


「政争の具にしてはならない」


と発言するなら、異論を差し挟む必要もなくなる。


しかし、安倍首相の言動は、


自らが正道、常道を踏み外した傍若無人の振る舞いをしながら、その誤りを指摘する者に対して「政争の具にするな」と唱えるもので、誠に大人げないものと言わざるを得ない。


2012年12月に始動した新政権も5年目を迎えようというのであるから、少しは威風堂々とした姿勢を示すべきである。

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2016年8月16日 (火)

TPPと緊急事態条項成立ならこの国は終わる

8月2日に閣議決定された経済対策は見かけ倒しである。


「総額28兆円」


と伝えられると、大型景気対策のように思われるかも知れないが、上げ底満載で正味量がとても小さい。


経済対策の規模は財政資金の直接投入量で測られる。


この直接投入量のことを「真水」という。


「真水」も国の分と地方の分に分かれるが、地方の「真水」は確定するものではない。


この「真水」が今回の対策では7.5兆円とされているが、そのうち3.5兆円は2017年度分なのだ。


2017年度というのは来年4月に始まる年度のことで、来年度分の景気対策が混入しているというのだから驚きというか、ほとんど詐欺のようなものだ。


今年度分の真水は、地方を含めて4兆円。


極めて小規模な景気対策なのだ。


そして、この景気対策。


具体化されるのは秋の臨時国会に提出される補正予算である。


臨時国会が召集されるのは9月26日が有力で、補正予算が成立するのは10月にずれ込むだろう。


実施されるのは年末以降ということになる。


安倍首相は今年の6月1日の衆院解散を断念した。


衆院任期は2018年12月まであるが、追い込まれ解散を防ぐために、ベストなタイミングで解散を打ってくると思われている。


その時期が今年の年末、あるいは来年初という見立てがあるのだが、景気対策を見るとその可能性は低い。

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景気対策には低所得者に1人15000円の現金給付というのが含まれている。


選挙との関連を考えれば、露骨な買収工作とも言える施策だが、この現金バラマキが来年秋になると見られている。


つまり、衆院解散は来年秋から年末というシナリオが描かれている可能性がある。


前置きが長くなった。


仮に解散が来年末までないとすると、これからの1年間のメインテーマは何になるのかという問題だ。


想定されるメインテーマが三つある。


第一は、自民党総裁任期延長の規約改定。


第二は、TPP批准。


第三は、憲法改定推進だ。


安倍氏は2020年の東京五輪の際に首相でいることを最優先課題に位置付けていると思われる。


「政治私物化」の象徴ともいえることがらだが、十分にあり得る想定だ。


安倍政権を支配しているのはハゲタカ資本であると見られるが、このハゲタカ資本が安倍首相に命令している最優先課題がTPP批准であると見られる。


TPPは日本の国民の利益にはまったくならないが、ハゲタカ資本にとっては垂涎の的だ。


米国でのTPP批准の雲行きが怪しくなっているため、事態を打開するために日本の批准を先行させる。


これがハゲタカ資本の判断で、ハゲタカ資本は安倍首相にTPP批准を必ず実行しろと命令していると判断される。


そして、安倍首相自身が狙っている最重要事項が憲法改定だ。


そして、その標的は「緊急事態条項」の加憲である。

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5月13日付のメルマガ記事に記述したが、これまで憲法改定に慎重姿勢を示してきた公明党がついに本性を表わしたと見える。


次の事実が伝えられている。


「公明党の北側一雄憲法調査会長(副代表)は(8月)13日までに共同通信のインタビューに応じ、憲法改正を巡り、大規模災害が国政選挙と重なった場合などに国会議員の任期延長を認める規定の新設が優先課題になるとの考えを明らかにした。」


何を意味しているのかと言うと、公明党が、憲法改定について、


「緊急事態条項の加憲が最優先であり、これに賛成する」


との意向を示したということだ。


極めて重大な情報である。


7月10日の参院選結果で、改憲勢力が衆参両院で3分の2以上の議席を占有した。


憲法改正発議が可能な状況が生まれた。


しかし、公明党がイエスと言わなければ憲法改定は実現しない。


この公明党が「緊急事態条項の加憲」で憲法改定にゴーサインを出したのだ。


安倍首相の狙いは9条改定ではなく、緊急事態条項加憲である。


極端な言い方をすれば、安倍氏は「緊急事態条項加憲」が実現すれば、それで「満貫」だと判断していると私は判断する。


「緊急事態条項」は「悪魔条項」と言ってよい。


この「悪魔条項」が加憲される危険が急激に高まっている。

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