カテゴリー「アベノリスク」の31件の記事

2022年7月 2日 (土)

企業が耐えられなくなる円安誘導

激しい円安が進行している。

背景は日銀の円安誘導。

2013年春に現在の日銀執行部体制が発足した。

背景にあるのはアベノミクス。

アベノミクス第一の矢はインフレ誘導。

インフレにすることを政策目標に置いた。

インフレを実現するために超金融緩和政策が実行されてきた。

しかし、インフレ誘導は失敗に終わった。

これは不幸中の幸い。

インフレは日本の労働者、消費者にとって害悪でしかない。

日銀がインフレ誘導に失敗したことは労働者、消費者にとっては幸いだった。

日銀の黒田東彦総裁と岩田規久男副総裁は2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引上げることを約束した。

国会同意人事審議で岩田規久男氏は公約を実現できない場合は職を辞して責任を明らかにするのが妥当と述べた。

しかし、公約は実現しなかった。

実現しなかった公約はこれだけでない。

公約を実現できなければ職を辞して責任を明らかにするとした公約も実現しなかった。

まったく責任感がない。

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物価が上昇すると消費者の所得は実質的に目減りする

受け取る給与収入もインフレ分だけ目減りする。

保有しているなけなしの預貯金も目減りする。

百害あって一利なし。

他方、企業の側はインフレを歓迎する。

従業員に支払う給与の実質負担がインフレ分だけ減少する。

また、一般的に企業は債務者で、銀行から借りているお金の実質価値はインフレ分だけ目減りする。

そもそも、インフレ誘導は企業に利益を与えるための政策目標。

世界の競争が激化して大企業の経営が難しくなった。

この大企業に利益供与するためにインフレ誘導が計画された。

消費者や労働者にとって、元々筋の悪い政策目標だった。

したがって、黒田日銀がインフレ誘導に失敗したことは日本の消費者、労働者にとっては不幸中の幸いだった。

しかし、そのインフレがついに日本においても現実のものになり始めている。

円安が進行して日本の物価が目に見えて上昇し始めた。

このことについて黒田東彦氏は6月6日の講演で、

「家計の値上げ許容度も高まってきているのは重要な変化と捉えられる。

日本の家計が値上げを受け入れている」

と述べた。

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日本経済は過去30年間成長していない。

このなかで、資本の取り分が増えて、労働の取り分が減った。

大多数の労働者が下流に押し流されて生活苦にあえいでいる。

生活苦に拍車をかけたのが消費税大増税。

その消費者が値上げを受け入れているわけがない。

御用学者のでっち上げた報告をそのまま鵜呑みにして述べたもの。

インフレ誘導=円安誘導政策の影響で日本円は暴落している。

日本円の実質実効為替レートは50年前の水準に暴落している。

1971年まで1ドル=360円に固定されていた。

海外に出れば日本円の価値の低さに泣かされた時代。

その水準まで円が暴落している。

日本円を防衛する策を打ち出す必要がある。

具体的には超金融緩和政策を中止するしかない。

黒田氏は金利引き上げ政策が住宅ローン金利を押し上げ、家計にマイナスの影響を与えると述べたが、金融政策は住宅ローン金利を低位に抑制するために存在するものではない。

2021年3月末時点で家計は230兆円の住宅貸付残高をかかえているが、同じ時点に、1057兆円の現預金を保有している。

現金は102兆円だから955兆円が預金だ。

金利が上昇すると住宅貸付の利払い負担が増えるが、他方でこの5倍ある預金の金利収入が増える。

日銀総裁が木を見て森を見ない論議を提示しては失格。

黒田東彦氏は早晩必ず政策修正に追い込まれる。

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2018年12月13日 (木)

いざなぎ景気は超えていない

私は2013年7月に『アベノリスク』と題する著書を上梓した。


あれから5年の時間が経過した。


この書で警告したことがらがすべて現実のものになっている。


その『アベノリスク』の電子書籍版が刊行された。

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改めていま、当時の指摘を読み返していただければ幸いである。


安倍政権が内包する7つのリスクを明らかにしたものだ。


7つのリスクとは、


インフレ・消費税大増税・TPP・原発・シロアリ増殖・憲法改変・戦争


である。


新約聖書「ヨハネの黙示録」に次の記述がある。


第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹(ひょう)と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。


第二の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えさかっている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三分の一は血となり、 海の中の造られた生き物の三分の一は死に、舟の三分の一がこわされてしまった。


第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ・・・


と続く。

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『アベノリスク』は、日本にもたらされる7つの大きな災厄を記述したものだ。


2018年の漢字=「災」いだ。


第一のラッパが吹き鳴らされると、日銀の資産を大幅に劣化させてまで誘導される激しいインフレが、政府と企業だけを救い、国民は大いに苦しめられた。


第二のラッパが吹き鳴らされると、大増税が始まり、アベノミクスへの期待効果によって生まれたわずかな株高などは簡単に吹き飛ばされた。


第三のラッパが吹き鳴らされると、TPP加盟によって美しい国土は荒れ地と化し、米国市場原理主義の猛威が日本社会を荒廃させた。


第四のラッパが吹き鳴らされると、活断層の上の原発がいつのまにか続々と再稼働し始め、人々は原発事故の悪夢に怯える日々を過ごした。


第五のラッパが吹き鳴らされると、血税を食い荒らすシロアリ官僚がますます増殖し、再び増額された巨大公共事業・役人利権予算に群がった。


第六のラッパが吹き鳴らされると、権力の横暴を防ぎ止める役割を担っていたはずの憲法が、国家権力によって次々と都合よく改悪され、国民主権や基本的人権がないがしろにされた。


第七のラッパが吹き鳴らされると、憲法改悪によって戦争への道が切り開かれ、集団的自衛権の名のもとに日本が報復攻撃の対象とされ、・・・・・・・


本書では、インフレ誘導は成功しない可能性が高いことを理論的に整理して示した。


実際に、黒田日銀はインフレ誘導に失敗して現在に至っている。


だが、日銀の資産残高はGDP以上に膨れ上がり、日銀の信用が失墜する瀬戸際にある。

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「ねじれの解消」をメディアがはやし立てて2017年7月参院選で安倍自公与党勢力が衆参両院での過半数議席を確保した。


ここから「災厄」が本格化したのである。


メディアは「アベノミクス」を大宣伝したが、本当に伝えなければならなかったことは「アベノリスク」だった。


あれから5年半の時間が過ぎ去り、リスクが現実のものになった。


シロアリ退治は行われず、日本はシロアリ、ハイエナ、コバンザメに食い尽くされようとしている。


民営化や国家戦略特区に、醜悪なコバンザメが群がり、国民資産を食いものにしている。


これらを放逐するべきときが来ている。


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本日、12月13日、内閣府は景気動向指数研究会を開催し、景気回復が2012年12月から2017年9月時点まで続き、高度成長期に57カ月続いた「いざなぎ景気」を超え戦後2番目の長さとなったと判断した。


しかし、これは政府の勝手な判断で事実に反している。


「いざなぎ景気」は実質GDPが70%拡大した本格景気だが、今回の実質GDP増加はわずか7%。


しかも、2014年1月ころから2016年5月ころまで、日本経済は景気後退局面を経過している。


真っ赤な嘘が政府から発表されているだけだ。


今回の景気を命名するなら「いかさま景気」ということになる。


詳しくは、拙著


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2018年8月 1日 (水)

量的緩和政策に固執する日銀の機能不全

日銀は7月30─31日の金融政策決定会合で、長期金利の誘導目標を「ゼロ%程度」とする方針を維持した一方、「金利は経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする」と明記した。


長期金利の誘導目標が引き上げられるとの観測が生じていたため、「セロ%程度」の方針が維持されて、長期金利が反落。


ドル円もドル下落=円上昇を見込んだドル売り持ちの巻き戻しが生じて、逆にドルが値を戻した。


しかし、8月1日の市場では、日本国債が売られ、債券利回りが上昇している。


だが、現時点では、まだドルが下落していない。


日銀の「出口戦略」が意識されている。


「出口戦略」とは「量的金融緩和政策」を終了し、金融政策を「緩和」から「中立」に戻す「出口」に進む戦略のことである。


2007年から09年にかけて、世界の金融市場をサブプライム金融危機が襲った。


米国発で株価が暴落し、金融恐慌の不安が広がった。


この事態に米国のFRBが量的金融緩和政策で対応した。

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これが「量的金融緩和政策」の出発点で、米国は異例の金融緩和政策発動で金融危機を回避した。


米国の量的金融緩和政策で株価が反発し、金融危機が回避された。


連動して米ドルは下落。


対日本円では2011年に1ドル=75円の安値を記録した。


この米国を後追いするかたちで、日本が2013年から量的金融緩和政策を大幅に拡大した。


日本円は対ドルで下落して、1ドル=78円から1ドル=125円へと推移した。


2012年12月に第2次安倍内閣が発足したが、安倍晋三氏は円安誘導、インフレ誘導のための金融緩和政策強化を主張。


2013年の日銀人事では、インフレ誘導を目標に掲げて日銀幹部を刷新した。


黒田総裁、岩田規久男副総裁の日銀新幹部は、2年以内に消費者物価上昇率を前年比2%以上の水準に引き上げることを公約し、量的金融緩和政策を強化していった。

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私は2013年夏に


『アベノリスク
 -日本を融解=メルトダウンさせる7つの大罪-』
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と題する著書を上梓した。


このなかでインフレ誘導政策について論述した。


日銀は量的金融緩和政策実施でインフレを実現すると公約したが、その根拠が希薄であることを指摘した。


詳細は上掲書にあたっていただきたいが、要点をかいつまんで記述すると、日銀が短期金融市場残高を膨張させても、マネーストックが増大する保証はなく、したがって、インフレ率が上昇する保証もないことを強調した。


そして、実際に黒田-岩田日銀はインフレ誘導を実現できずに現在に至っている。


本年4月発表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」ではついに、達成時期そのものの表現が削除された。


量的金融緩和政策の結果、日銀資産が膨張している。


日銀が400兆円以上の日本国債を保有し、日銀財務の健全性が著しく損なわれている。


米国は「有事対応」である量的金融緩和政策から脱出する「出口戦略」を進行させて、すでに「金融引締め」に移行している。


日本よりも後に「量的金融緩和政策」を採用した欧州(ECB)も、すでに「出口戦略」に着手している。


日銀だけが取り残され、現時点でもまだ明確に「出口戦略着手」を宣言できていない。


そのひずみが、さまざまなかたちで広がり始めている。

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2018年2月18日 (日)

金融政策失敗修正できず安倍政権失速へ

日銀の黒田東彦総裁の再任案が国会に提示された。


副総裁候補には現日銀理事の雨宮正佳氏と早稲田大学教授の若田部昌澄氏が提示された。


黒田氏が再任されれば、1964年に退任した山際正道氏以来、半世紀ぶりに在任期間が5年を超える異例の総裁になる。


1969年に日銀総裁に就任した日銀出身の佐々木直氏以来、日銀総裁は日銀出身者と大蔵省(財務省)出身者が5年ごとに交代する人事が長く踏襲された。


これを「たすきがけ人事」と呼んできた。


大蔵省の天下りポストとして日銀総裁は最高位ポストである。


大蔵省の事務次官経験者でも、10年に1人しか日銀総裁には就任できない。


大蔵省にとって最重要ポストが、昔も今も日銀総裁ポストなのである。


主要国による財務相・中央銀行総裁会議の名称が示すように、日銀総裁は財務相と並ぶポストとして位置付けられている。


権力欲にまみれた大蔵省・財務省の職員にとって、日銀総裁ポストは究極の目標でもある。


この日銀・大蔵たすきがけ人事が終焉したのは、1998年に大蔵省出身の松下康雄総裁が大蔵省・日銀接待汚職事件の責任を問われて任期途中で辞任した。


後継の総裁には日銀出身の速水優氏が就任し、これを契機に、福井俊彦氏、白川方明氏と3代続けて日銀出身者が総裁に就任した。


旧大蔵省、財務省にとっては、天下り最高ポストを失った衝撃は大きく、日銀総裁ポストの奪還は最重要課題であり続けた。

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私は官僚支配構造を打破するための方策として三つの具体策を提示し続けてきた。


第一は公務員の職名の変更である。「官」と称するから「官尊民卑」の勘違いをしてしまうのだ。


「官」を廃し、「員」に変更すること。


第二は、天下りを根絶すること。


その出発点として、財務省の天下り氷山の一角から手を付ける。


具体的には、日本銀行、日本取引所、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫、日本たばこ、横浜銀行、西日本シティ銀行への天下りを全廃する。


第三は、第一種国家公務員制度の廃止である。


大卒採用を一本化して、少数幹部の採用を廃止する。


入社の段階で幹部登用を約束して採用する企業は極めて少ない。


少数採用が不適正な「特権意識」を生み出す原因になっている。


公務員は与えられた仕事を着実に、正確にこなすことを求められる職務であって、自分がトップと自認するような採用するべきでないのだ。


勘違い官僚を生み出さないために、公務員制度を抜本的に変革することが必要なのだ。


官僚支配の構造を変えること。


「改革」を叫ぶなら、官僚支配の構造を打破することが優先されるべきなのだ。

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日銀人事に話を戻す。


黒田氏は事務次官経験者ではない。経済学・金融理論の専門家でもないのである。


その黒田氏が日銀総裁に起用された。


財務省にとっては悲願の日銀総裁ポスト奪還になった。


しかし、過去5年間の実績は最低である。


就任2年以内にインフレ率を2%以上に引き上げることを公約として掲げた。


ところが、5年経過して、この公約はいまだに達成されていない。


皮肉なことは、2013年からの5年間で、労働者の実質賃金が1年だけプラスになった。2016年のことだ。


2016年に実質賃金が唯一プラス転換した主因は、2016年の消費者物価上昇率が前年比0.1%下落したことにある。


物価下落、すなわちデフレに回帰したことで、初めて実質賃金がプラス転換したのだ。


ところが、2017年は消費者物価上昇率が0.5%上昇し、実質賃金は再び減少に転じた。


つまり、黒田氏が掲げた「インフレ誘導」という目標自体が間違っていたのである。


間違った目標を掲げ、その目標を実現できなかった。そして、デフレに回帰した2016年だけ、労働者の実質賃金がプラスに転換した。悲喜劇のような最低の実績を有しているのが日銀の黒田・岩田体制なのだ。


その黒田氏が再任されるという異例は、大いなる驚異と日本の近未来の暗雲の広がりしかもたらしていない。

安倍政権は黒田日銀とともに崩壊してゆくことになるだろう。

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2017年7月17日 (月)

アベノミクスで99%主権者の生活はズタズタだ

安倍政治の本質は何か。


これを正確に把握することがとても大事である。


安倍政治の本質を捉えたうえで、安倍政治に対する対応の姿勢を決める。


これが合理的な行動の取り方である。


その際、メディアが流布する情報に耳を傾けないことが大切だ。


メディアは正しい情報を流布しているのではない。


メディアは人心を誘導するために、間違った情報を流布しているのである。


権力とメディアは完全につながっている。


権力の利益のために情報操作が行われている。


だから、その操作された情報に触れぬようにしなければならない。


触れる場合には、常に、操作された「歪んだ情報」であることを認識してこの情報に接しなければならない。


安倍政治の本質は「巨大資本のための政治」である。


「巨大資本」の本尊は「ハゲタカ」である。


米国を支配する巨大資本、これがハゲタカであり、ハゲタカは世界を支配している。


ハゲタカ巨大資本は、自己の利益拡大しか考えない。


ハゲタカがハゲタカの利益を極大化するために展開している運動が


「グローバリズム」


である。


そして、安倍政治とはハゲタカの利益極大化を目指す政治なのである。


安倍政治の本質は「ハゲタカファースト」であり「グローバリズム」推進なのだ。

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安倍政権の経済政策をどう評価するか。


きわめて重要な問題である。


安倍政治の本質について、7月11日に、新宿街頭で共謀罪施行に抗議する「共謀祭」で街頭演説をさせていただいた。


その模様をYoutubeにアップくださっているので、ぜひご高覧賜りたい。


https://www.youtube.com/watch?v=aAA62Hjas2M


https://www.youtube.com/watch?v=-dRw2fPS8mk


安倍政治の本質と、これに対する私たち主権者の、次の総選挙に向けての戦略について話をさせていただいた。


いただいた時間が20分だったので、この時間での説明であったため、やや言葉足らずの部分があるが、全体の要旨をご理解賜れればありがたく思う。


安倍政治の本質について、音楽家のかむろ綴さんが、


戦争・搾取・弾圧


だと指摘されている。


正鵠を射た指摘であると思う。


そして、その戦争と搾取を追及しているが、まさにハゲタカ巨大資本なのである。

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ハゲタカ巨大資本にとっての天敵は誰か。


それは私たち主権者である。


ハゲタカ巨大資本対私たち主権者は、


1%対99%と言い換えることができる。


この1%のハゲタカ巨大資本にとって、最大の敵は99%の主権者、民衆なのだ。


言い方を変えれば、資本主義にとっての天敵が民主主義なのだ。


だから、私たち主権者が、この99%の力を正しく活用すれば、必ず、1%の勢力に打ち克つことができる。


だからこそ、1%勢力は99%勢力を恐れるのである。


99%勢力とは民主主義そのものを指している。


そこで彼らが採る戦略が「弾圧」なのだ。


主権者が主権者として発言し、行動することを妨害する。


これが「弾圧」であり、安倍暴政は、「弾圧」法制を強行制定してきたのである。


特定秘密保護法、刑事訴訟法改悪、共謀罪制定の三位一体強行立法により、弾圧法制が創設されてしまった。


新・治安維持法の制定であると言ってよいだろう。


この安倍政治の本質を踏まえたうえで、安倍政治の経済政策について正しい認識を共有することが極めて重要である。

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安倍政治の経済政策の基本は、


弱肉強食の推進


である。


アベノミクス、成長戦略などの安倍政権経済政策は、すべてが弱肉強食推進の方向を向いている。


安倍首相は○○のひとつ覚えのように、


有効求人倍率が上がった


雇用が増えた


株価が上がった


と自画自賛するが、私たち主権者にとって喜ぶべき事項はほとんどない。


経済全体のパフォーマンスを示すもっとも代表的な指標は経済成長率である。


正確に言えば実質経済成長率だ。


第2次安倍政権が発足した2012年第4四半期以降の実質GDP成長率の単純平均値は+1.3%である。


これは、民主党政権下の実質GDP成長率単純平均値+1.8%よりも大幅に低い。


安倍政権下の日本経済の成長率は、あの、あまりぱっとしなかった民主党政権時代の経済成長率よりもはるかに低い。


これをまずはしっかりと押さえておかねばならない。

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2017年2月 2日 (木)

安倍首相が金融緩和=円安誘導を目指したのは事実

米国のトランプ大統領が1月31日に、日本の為替政策について「円安誘導」だと批判したことについて、毎日新聞が次のように伝えている。


「トランプ米大統領は先月31日、米製薬大手幹部との会合で


「他国は通貨安に依存している。


中国はやっているし、日本が何年もやってきたことだ」


と発言し、日本の為替政策を批判した。


米大統領が主要国の為替政策を名指しで批判するのは異例。


安倍晋三首相は1日の衆院予算委員会で


「円安誘導という批判はあたらない」


としたうえで、


「首脳会談の際には、反論すべき点があれば反論していく」


と話し、日本側の立場を説明する姿勢を強調。


10日に開かれる日米首脳会談で、為替政策が論点となる可能性が浮上した。」


http://mainichi.jp/articles/20170202/k00/00m/030/156000c


2月10日、11日に予定されている日米首脳会談で為替政策が論点になる可能性が浮上しているが、安倍首相は国会答弁で、為替政策はトップ同士で論じるべき話題ではないと発言している。


しかし、時と場合によっては、首脳が為替政策について論議することもあり得るわけで、為替政策が首脳会談の議題となる可能性をあらかじめ排除することは適正でない。

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米国財務省は、半期に一度の外国為替報告書で、2016年4月、初めて


「監視リスト」


を公表し、中国、日本、ドイツ、韓国、台湾の5カ国・地域を指定した。


「為替操作国」


として認定していないが、その前段階となる外国為替報告書では、上記5ヵ国に加えて、スイスが「監視リスト」に掲載された。


10月の報告書では、日本について、約5年にわたって為替介入をしていないが、日本の当局者らは「円高抑制を狙って」何度も公に発言したと指摘している。


米国財務省のチェック項目は、


1.対米貿易黒字が年200億ドル超


2.経常黒字が国内総生産(GDP)の3%超


3.一方的な為替介入による外貨買いがGDPの2%超


であり。


3項目に該当すれば「為替操作国」との認定を受ける。


中国は、経常収支黒字が引き続き基準を下回り、為替介入の目立った動きが見当たらない場合、本年4月に監視対象から除外される可能性がある。

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ブルームバーグニュースは次の事実を伝えている。


https://goo.gl/Xysyty


安倍首相は2月1日午後、衆院予算委員会でトランプ大統領の通貨安誘導発言について、日本は「2%の物価安定目標を到達」するために、適切な金融政策を日本銀行に委ねており、「円安誘導という批判は当たらない」と言明。必要なら米側に日本の姿勢を説明する考えを示した。


これに先立ち、浅川雅嗣財務官は同日午前、記者団に対しトランプ氏の発言について、「日本の金融政策はデフレ脱却という国内政策目的のためにやっている」のであり、「為替を念頭に置いたものでは全くない」と述べた。その上で、「為替相場はマーケットで動いている。操作をしている訳ではない」と反論。日本はしばらく為替介入もしていないとも話し、真意について「もう少し説明がないと分からない」と述べた。



しかし、事実は違う。


安倍首相は、2012年12月に首相に再就任する直前、日銀による量的金融緩和の目的について、


円安誘導とインフレ誘導である


ことを明言している。


http://www.nicovideo.jp/watch/sm19359610


(3分~3分15秒の部分参照)


財政出動のための国債発行金額分を全額、15~20兆円の国債を日銀が市場から買い取る、お金を刷る、


このお金は直ちに建設に向かうわけで、このことによって、間違いなく、円安とインフレが誘導される、


と述べている。


安倍首相がアベノミクスとして提示した日銀の金融緩和政策強化は、


インフレ誘導とともに


円安誘導


を目指すものであった。


ところが、米国から「円安誘導」との批判が生じたために、途上から、


「円安誘導ではなくインフレ誘導である」


と説明を変えたのである。


過去の経緯について、事実と異なる説明をすることはやめるべきだ。

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2016年9月 3日 (土)

直近1年11兆円損失GPIFは安倍政権大失政

世界最大の年金運用資金。


それが、


GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人


である。


2015年6月末は残高が141兆1209億円だった。


これが、本年6月末には129兆7012億円になった。


1年間で11兆4197億円減少した。


8.1%の減少である。


国民の老後の生活を支える年金資金。


それが、1年間で11兆円も減ったのだ。


笑って済ませられる問題でない。


その理由は単純明快だ。


安倍政権は年金運用改革の看板を掲げて、2014年10月末に年金資金運用の基本を大転換した。


これまでは、年金資金は国民の大切な老後資金だから、できるだけ安全に運用することを基本に置いてきた。


安全に運用するとは、リスクの大きい資産にはあまり資金を投入しないということだ。


金融の世界でリスクの大きい資産とは、




外貨資産


だ。


だから、株と外貨資産への資金配分を抑制していた。

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ところが、2014年10月31日に、安倍政権は年金資金運用の基本を大転換した。


株と外貨資産への資金配分比率を一気に引き上げたのだ。


ところが、金融市場の潮流は2015年6月を境に大転換した。


それまでの


円安=株高


の基本構図が


円高=株安


の基本構図に転換した。


ドルが上がるときには外貨資産を多く持てば大きな利益を得られる。


株が上がるときには株式を多く持てば大きな利益を得られる。


しかし、逆に


ドルが下がるときにドル資産を大量に保有していれば大きな損失が生まれ、


株が下がるときに株式を大量に保有していれば大きな損失が生まれる。


当たり前のことだ。

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したがって、年金資金の運用で大事なことは、


金融変動の大局を正確に読んで、その金融変動に合わせて基本運用スタンスを変更することだ。


しかし、金融変動を正確に読み抜くことは容易でない。


私は中期の金融変動を予測することを仕事としている。


他のプロフェッショナルに比べれば、予測精度は格段に高いと自負している。


3ヵ月から1年の単位での経済金融変動を読み抜くことが私の実業としての仕事の中核だが、この分野での予測精度では他に類を見ない高いパフォーマンスを示してきたと言ってよいだろう。


それでも、打率10割というわけにはいかない。


完璧に予測し抜くことは不可能である。


予測を正確にできないなら、運用は保守的にならざるを得ない。


バブル崩壊の時代、株式を持ち続けた人は、平均すれば巨大な損失を蒙った。


他方、一切運用をせず、現金のまま保管し続けた人は、損失ゼロである。


GPIFが金融変動を読み抜く力を持たないなら、リスクを取る運用をやめるべきだ。


運用は資金提供者のために行うもので、見通しを誤り、高いリスクを取って、巨大な損失を計上することは、資金委託者に対する背信行為である。


民間の資金運用事業者が巨額損失を計上すれば、相応の責任を問われるし、場合によっては刑事責任さえ追及される。


GPIFは金融変動にそぐわない間違った運用を行い、巨大な損失を計上している。


その一方で、許されないことは、GPIFが運用を委託している外資系を中心とする資金運用法人に法外な手数料を支払い続けていることだ。


2015年度だけで、GPIFが支払った管理運用手数料は383億円である。


こんな巨額の手数料が支払われながら、1年間で11兆円の損失を計上しているのだ。


要するに、政府と金融機関の癒着なのだ。


収益が出るか、損失が出るかは、相場次第だ。


運用機関が高い運用技術を持っているわけではない。


GPIFが一括して独自に運用すればいいのだ。


結果は変わらない。


要するに、政府と金融機関が癒着して巨大な手数料収入が「利権資金」として支払われているだけなのだ。


安倍政権は失敗の責任を明らかにし、癒着金融機関への法外な手数料支払いを直ちに中止するべきだ。

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2016年5月27日 (金)

破綻アベノミクス強弁する安倍首相の反知性主義

2008年の洞爺湖サミット以来の日本開催サミットとなった伊勢志摩サミットが閉幕した。


通常国会は6月1日に会期末を迎える。


7月10日には参議院通常選挙が実施される見通しである。


安倍首相はアベノミクスの失敗を、サミットを利用してごまかそうとしたと見られるが、薄っぺらな偽装ではすぐに魂胆を見破られてしまう。


その場その場で無責任な発言を繰り返し、つじつまが合わなくなると、前後の見境なく新たな虚構を積み上げてゆく。


メディアが大政翼賛報道を展開するから、多くの市民がペテンにかけられてしまうが、事実を忠実に追跡すれば矛盾は誰の目にも明らかになる。


三つのどうにもならない矛盾がある。


第一の矛盾。


2014年12月総選挙の直前にあたる同年11月18日、安倍首相は消費税再増税の18カ月延期を表明した。


その際に、


「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。


再び延期することはない。


ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。」


「平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。


3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。


私はそう決意しています。」


http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1118kaiken.html


(動画の7分48秒以降の部分)


と述べた。

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重要なことは、


「景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」


と述べていることだ。


「景気判断条項」


を付けないということは、経済状況とは無関係に消費税再増税を実施するということだ。


この宣言とリーマンショック云々という話は矛盾している。


経済がどのような状況であろうと、消費税再増税の再延期はしないと断言したのである。


この「断言」自体が間違っているが、こう断言して、景気状況とは関わりなく消費税再増税に踏み切ることを確約した言葉の責任が存在する。

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第二の矛盾。


今回のサミットで安倍首相は


「リーマンショック時と似た状況」


であると述べ、


「世界経済の危機」


と述べた。


他方、日本の国会では、


「アベノミクスで日本経済が改善した」


「日本経済は緩やかな回復を続けている」


「もはやデフレではないと言える状況になった」


などの言葉を繰り返している。


国内の国会では「景気は良い」


と自画自賛して、


サミットでは


「世界経済の危機」


「リーマンショック時と似た状況」


と述べるのでは、ほとんど錯乱状態としか言いようがない。


要するに、


「消費税再増税の再延期はないと断言した」


消せない事実に直面して、


一転して


「世界経済危機説」


を言い始めただけのことなのだ。


このいい加減さを日本の主権者は見過ごすべきでない。

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第三の矛盾は、


財政・金融・構造政策の三本の矢を総動員してアベノミクスで世界経済を再浮上させると大見得を切ったことだ。


馬鹿も休み休みにした方がよい。


財政・金融・構造政策の総動員と言いながら、財政政策を超緊縮に転換して、日本経済を奈落の底に転落させたのは、一体誰なのか。


その不必要な緊縮財政で経済の長期停滞を招き、再延期はないと断言した消費税再増税の再延期に追い込まれているのはいったいどこのどいつなのか。


アベノミクスで掲げた政策を自分自身で破壊しておいて、よくもまあ、平然とアベノミクスの三本の矢を総動員して世界経済を浮上させるなどと臆面もなく宣言できるものだ。


その厚顔無恥ぶりは賞賛に値するものかも知れないが、あまりの支離滅裂さに、まともな思考回路を有する者は、激しい頭痛に見舞われる状況だ。


野党は不信任決議案を提出し、安倍政権は衆院解散で民意を問うべきだろう。


そして、日本の主権者は、この機会に安倍政権と永遠に決別するべきだと思う。

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2016年3月 8日 (火)

アベノミクスで日本経済転落という不都合な真実

日本経済の低迷が続いている。


2014年度の経済成長率は-1.0%だった。


2015年4月以降の経済成長率はどのように推移しているか
(いずれも実質前期比年率)。


2015年4-6月期   -1.4%


2015年7-9月期   +1.4%


2015年10‐12月期 -1.1%


2014年度の成長率が-1.0%で、今年度に入ってからの成長率が、-1.4%、+1.4%、-1.1%の推移を示している。


誰がどのように見ても、日本経済は超低迷を続けていることは明白だ。


安倍首相は


「アベノミクスで日本経済は良くなった」


と繰り返すが、


現実のデータはその発言を全面的に否定している。


第二次安倍政権がスタートしたのは2012年12月。


当時と比べて改善したと言えるのは、


株価


失業率


有効求人倍率


だけなのだ。

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日経平均株価は2012年11月14日の8664円から2015年6月24日の20868円に上昇した。


ただし、その後は反落して、この2月には15000円を割り込んだ。


失業率は2012年度の4.3%から2016年1月の3.2%に低下した。


有効求人倍率は2012年度の0.82倍から2016年1月の1.28倍にまで上昇した。


安倍政権はこれらのデータを強調して、アベノミクスは成功したと強弁している。


しかし、経済全体の推移を示す実質GDPの数値を見ると、第二次安倍政権下の日本経済が著しく停滞していることが判明する。


民主党政権下の2009年10‐12月期から2012年7-9月期の実質GDP成長率平均値は+2.0%だったが、


第二次安倍政権下の2012年10-12月期から2015年7-9月期の実質GDP成長率は+0.8%にとどまる。


第二次安倍政権下の日本経済は、民主党政権下の日本経済よりもはるかに劣悪なパフォーマンスを示しているのである。


安倍首相が自画自賛する株価、失業率、有効求人倍率の、見かけの良さは、実は日本経済の負の側面を明示するものになっている。

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失業率や有効求人倍率の改善は、日本経済のなかで仕事に就く人数が増えていることを意味する。


しかし、その一人一人の所得の状況はどうなっているのか。


労働者の所得を示す経済統計がある。


毎月勤労統計である。


この統計が、労働者の基本給、時間外手当、ボーナスの推移を数値で示す。


この三つを合わせたものを「現金給与総額」と呼ぶ。


この伸び率からインフレ率(消費者物価上昇率)を差し引いた実質所得の伸び率を見ると、


2012年度 -0.8%
2013年度 -1.0%
2014年度 -0.3%


と推移し、


2015年12月 -0.1%


となっている。


こちらの統計は一人当たりの実質所得の伸びを示している。


所得がまったく増えていない。むしろ減っているのである。


だから消費が拡大しない。景気が超低迷を続けているのだ。


この状況下で、消費税率をさらに引き上げれば何が起こるのかは明白だ。


消費はさらに減退し、日本経済は崩落してしまうだろう。


安倍政権は選挙を控えて、2017年4月の消費税再増税の再延期を計画していると見られるが、とても消費税増税を実施できる状況にはないのである。


安倍政権は増税先送りを自公勢力の選挙に有利なかたちで発表しようとしているが、問題は、アベノミクスそのものが、一般国民の幸福にはまったくつながってこなかったという厳然たる事実にある。

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2016年2月20日 (土)

政治は弱い者を支えるためにあるという原点

経済アナリストの森永卓郎氏が拙著


『日本経済復活の条件 
 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意-』
 ビジネス社/ 1600円+税)


http://goo.gl/tpuazU


の書評を週刊ポストに掲載くださった。


この場を借りて深く謝意を表したい。


本書ではアベノミクスの問題点を指摘し、抜本的な政策転換の必要性を主張している。


政府批判に分類されることからか、積極的な販売姿勢を示してくれる書店が少ないのは事実である。


そのような位置づけにある拙著をわざわざ取り上げてくださったことを大変にありがたく思う。


以下にその内容を転載させていただく。

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【書評】『日本経済復活の条件
 金融大動乱時代を勝ち抜く極意』
 植草一秀/ビジネス社/ 1600円+税


【評者】森永卓郎(経済アナリスト)

 著者は、かつて優秀なエコノミストとして、メディアから引っ張りだこの存在だった。それが、例の事件の後、大学を追われ、メディアからも遠ざかっている。しかし、失職後の著者を支えたのは、投資家たちだった。投資家はドライだから、経済分析の中身が優れていれば、それに対して対価を支払う。著者がリリースしているレポートは、そうした読者に強く支持されてきた。

 そうした経緯から、本書も投資家のための経済分析という体裁を取っている。しかし、その中身は、著者の日本経済論であり、経済政策論だ。それも、きちんとしたデータに基づき、論理的で、説得力のある経済分析に仕上がっている。

 著者の分析の切れ味は、前より上がっていると思う。それは、権力に媚びる必要が一切なくなったからだろう。著者が既得権勢力と呼ぶ、米国、官僚、大資本、利権政治勢力、マスメディアという権力を、著者は本書のなかで徹底批判している。誰にも縛られないから、的確な分析ができるのだ。

 そして、安倍政権の政策の基本を「弱肉強食」だとし、資本優先の成長戦略は、中短期的には株価を上げるが、長期的には消費の低迷で経済が疲弊すると警告する。その打開策として、すべての働ける人材を低賃金の労働力として引きずり出すことで、GDPの拡大を図る。それが一億総活躍社会の本質だというのだ。その通りだと思う。

 そして、本書の指摘で、もう一つわが意を得たのは、来年4月からの消費税増税は、断念すべきだという著者の主張だ。いまでさえ、消費が大きく落ち込んでいる状況で、再増税はできない。

 私は、今年6月、翌月に控えた衆参同時選挙の直前に安倍総理が増税凍結を発表すると考えていたが、著者は参院選後に、凍結発表の可能性もあると言う。8月以降に消費税凍結を打ち出して総選挙を行えば、東京オリンピックの時に、安倍総理が総理でいられる可能性が出てくるからだ。固くなった頭を解きほぐす柔軟剤としても、本書は、役立つのだ。

※週刊ポスト2016226日号


http://www.news-postseven.com/archives/20160217_385337.html

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因みに、森永氏が記述された投資家向けレポートとは、

『金利・為替・株価特報』


http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html


のことである。


安倍政権の経済政策を支持する人もいるだろう。


一方に反対する人もいる。


当然のことだ。


重要なことは、政策の本質を把握したうえで、主権者が自分自身の判断を持つことだ。


自分の目でものを見て、自分の頭で判断する。


これが大事だと思う。


歴史作家の塩野七生女史が


『ルネッサンスとは何だったのか』
(新潮文庫)


http://goo.gl/k7mvS2


のなかで、


「ルネッサンスとは、一言でいえば、すべてを疑うこと」


と記している。


すべてを疑い、自分の目で見て、自分の頭で考える。


この変化が生じたのがルネッサンスであったと指摘している。


いま私たちに求められていることはこれだろう。


メディアの誘導に惑わされずに、自分で考え、自分で判断することだ。

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メディアは安倍政権の経済政策をアベノミクスと称して絶賛する。


しかし、その内容は本当に絶賛に値するものであるのかどうか。


メディアが流布する論説を鵜呑みにせずに、その内容を確認し、自分の頭で考えることが大事だ。


判断するのはそのあとでいいだろう。


政策の是非を判断するときに、一番大切なことは、その政策が誰のために行われるものであるのかを考察することだ。


安倍政権の経済政策の根本には、


「大資本の利益を増大させること」


が置かれている


そして、このことは同時に、


「一般労働者の利益を減少させること」


につながっているのである。


この本質を把握したうえで、その政策の是非を考察することが重要だ。


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