ハゲタカの手先に成り下がっている安倍政治
TPPの論議で明らかになったことは、TPPに代表される多国籍企業の利益優先=ハゲタカファーストの政策が、日本に対する外からの圧力=外圧による政策ではなく、安倍政権自身が推進している、日本の国策であるという事実だ。
2012年12月の総選挙に際して、安倍自民党は
「ウソつかない TPP断固反対 ブレない
日本を耕す! 自民党」
と大書きしたポスターを貼り巡らせて選挙を戦った。
そして、TPPに盛り込まれる可能性があるISD条項について、
「国の主権を損なうようなISD条項に合意しない」
ことを公約として明示した。
有権者は、安倍自民党がTPPに反対であると理解して投票行動を決めたと思われる。
しかし、安倍首相は総選挙から3ヵ月も経過しない2013年3月15日に、TPP交渉に参加する方針を表明した。
「詐欺」そのものの政治である。
このTPPから米国が離脱した。
安倍政権は米国抜きのTPPはあり得ないとしてきた。
TPPの最終合意文書を修正する考えはないことも明言した。
TPP最終合意文書を見直ししないために、米国の態度が明らかになる前に日本が批准、承認することを急いだのである。
ところが、米国がTPPから離脱して最終合意文書を見直さない限り、TPPが発足する可能性はなくなった。
すると、安倍政権はTPP最終合意文書の見直しを表明した。
言葉に対する責任というものが存在しない。
安倍自民党はISD条項が、国の主権を損なうものだから合意しないとしてきたはずだが、いまでは、TPP交渉参加国のなかで、ISD条項を盛り込むことをもっとも熱心に主張しているのが日本である。
日欧EPA交渉では、欧州がISD条項は主権を損なうものであるとして、これに反対しているのに、日本がISD条項を盛り込むことを主張し、交渉が暗礁に乗り上げている。
安倍政権は選挙の際の公約を一方的に破棄して、国の主権を損なうISD条項を盛り込むことを強引に主張しているのである。
ここから明らかになることは、安倍政権が主権者国民の利益ではなく、多国籍企業、世界市場支配を目論む巨大資本の利益を最優先して政策運営を行っていることだ。
そして、TPPが発効していないにもかかわらず、主権者国民の利益を損ない、ただひたすらハゲタカ巨大資本の利益を極大化するために、国内のさまざまな制度を激しいスピードで改変し始めている。
種子法を廃止し、
水道法を改定している。
食品の添加物規制、残留農薬規制を、ハゲタカ巨大資本の言いなりになって、激しい勢いで改変しているのである。
安倍政権は「国民ファースト」ではなく「ハゲタカファースト」の姿勢で政策を運営している。
TPPも日欧EPAも、そして、種子法廃止や水道法改定、食品添加物規制緩和、残留農薬規制緩和、遺伝子組み換え規制緩和などの施策も、外からの圧力によって、安倍政権が望まないのに推進されてしまっているのではなく、安倍政権が外圧もないなかで、国内政策として推進しているものなのである。
外圧が敵なのではない。
敵は内側に存在する。
安倍政権そのものが、主権者国民にとって敵対的な政策を推進する本尊なのである。
主要農作物種子法廃止で、米、麦、大豆の公共品種の保全が行われなくなる。
これまでは、主要農作物の種子は公的関与の下で安価に供給されてきた。
国民の主食の確保のために、主要農作物の種子が公的関与の下に置かれてきたのである。
しかし、この施策は種子を独占し、これを利益の源泉にしようとするハゲタカ資本にとっては目障りな存在である。
そこで種子法を廃止し、ハゲタカ資本が日本国民の主食の種子を独占管理下に置くための行動が推進されているのである。
ハゲタカ資本による種子の独占支配を、安倍政権が全面支援する構図。
「国民ファースト」ではなく「ハガタカファースト」の安倍政権の基本姿勢が如実に表れている。
1989年に米国のエコノミストであるジョン・ウィリアムソンが用いた「ワシントン・コンセンサス」という言葉がある。
ワシントンを本拠とするIMF、世銀、米国政府が主導する、経済危機に見舞われた国に適用する政策パッケージに関する合意のことである。
その中心に置かれるのは、規制撤廃、小さな政府、民営化、市場原理主義である。
これらの施策が推進されるなかで、グローバルに活動を展開する多国籍企業が実質的な収奪を進める。
つまり、ワシントン・コンセンサスそのものが、ハゲタカ巨大資本の利益拡大の戦術そのものになっているのである。
ハゲタカ巨大資本は、世界経済を支配下に収めて、利益を極大化させることを狙っている。
そのための戦術が、
規制撤廃、小さな政府、民営化であり、すべての経済行動を市場原理によって統制しようとする。
安倍政権が推進している政策は、まさにこれである。
この政策の是非を、私たちが問わなければならないのだ。
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