報ステ出演もむなしい理念も具体論もない前原候補
前原誠司氏が民主党代表選出馬を表明すると、早速テレビ朝日「報道ステーション」が単独出演の機会を与えた。しかし、番組への出演が前原氏にとって大きなマイナスに作用したことは間違いない。
番組を見た人は、前原氏が日本を担う力量をまったく持ち合わせていないことをはっきりと認識したに違いない。それほどに冴えない受け答えだった。そもそも、前原誠司氏が民主党代表候補として取り沙汰されること自体が不自然である。これまでの実績を踏まえれば、民主党代表に再び就任する資格などないことは明らかである。
テレビ番組での前原氏の受け答えは、あまりにも具体的内容に乏しいものであった。話の内容を要約すれば、国難に対処するには衆参ねじれ現象に対処することが必要で、そのためには自民党との大連立を模索するしかない。話の内容はこれしかなかった。
脱原発を20年間で実現するとの前言を守るのかとの質問に対しても、意味不明な説明を繰り返し、明言することもできなかった。日本の政治を担う明確な決意も、独自の信念、信条もまるで伝わらない、空っぽの中身を見事に浮かび上がらせるインタビューであった。
不自然ではあったが、当然とも思われたのは、古館伊知朗氏がまったく批判的な態度を示さなかったことだ。
衆参ねじれが政治停滞の原因だというが、前原氏はこの衆参ねじれをもたらしたのが何であるのかをまったく把握していない。円滑な国会運営を実現するために何が必要であるか。この点を、当初から的確に指摘していたのは小沢一郎民主党元代表である。
2009年8月総選挙で民主党が大勝した瞬間から、小沢一郎元代表は2010年7月参院選こそ、最重要の戦いになることを明確に指摘した。私も獄中からまったく同じ見解を表明した。
衆議院で圧倒的多数を確保しても、参議院での少数与党の状況を打破しなければ安定的な政権運営は実現しない。2010年7月参院選で勝利して初めて政権交代を実現した政権が安定的な政権運営を行えるようになる。このことを的確に認識し、その方向に力を注ぐことを指揮したのは小沢元代表である。
ところが、敵は民主党内部に潜んでいた。鳩山政権の
①対米隷属からの脱却
②官僚利権根絶
③政治と大資本の癒着排除
の基本方針に全面的に反対する対米隷属派が民主党内部に存在し、これらの勢力が普天間基地の辺野古への移設を誘導し、鳩山政権潰しに動いたのである。
その結果として鳩山内閣が総辞職に追い込まれたのだが、対米隷属勢力は、その機に乗じて民主党の実権を強奪して菅政権を樹立したのだ。この対米隷属派の中心に位置するのが、菅-仙谷-岡田-野田-前原-枝野-玄葉-渡部の8名であり、私はこれらの人々を民主党悪徳8人衆と呼んでいる。同時に民主党内対米隷属派を悪徳民主党、民主党の本来の主流派を正統民主党と表現して両者を区分している。
悪徳民主党が主導する菅直人政権は民主党政権マニフェストを廃棄し、突然、大増税の方針を政権公約に掲げた。主権者国民に対する背信行為である。主権者国民が菅内閣に不信任の意思を突き付けたのは当然のことだった。
菅政権は2010年7月参院選に大敗した。この結果、深刻な衆参ねじれが生じたのである。
この経緯を踏まえずに、衆参ねじれだから自民党との大連立だと主張する前原氏には、政党が選挙を通じて主権者国民と契約を結んでいる、つまり民意の負託を受けているという重大な問題に対する認識が欠落していると言わざるを得ない。
衆参ねじれ現象に直面するなら、参議院で野党に対する働きかけを強めて、民主党の方針に賛同する勢力を一人ずつ拡大させる努力を注ぐのが正しい道である。政権運営が困難であるから、主権者国民との契約を破棄して野党の主張にすり寄るというのは、主権者国民に対する背信行為である。
だが、民主党内対米隷属派=悪徳民主党の指向する政治の基本方針は民主党の基本方針に反している。もとより、自民党の政策方針と同一なのだ。したがって、前原氏をはじめとする悪徳8人衆の人々は、民主党を離党して自民党に入党するのが正しい選択である。
マスメディアが正統民主党を徹底的に攻撃し、悪徳民主党を全面支援するのは、マスメディア自身が米官業の利権複合体の手先であるからに他ならない。
2006年の代表在位時の前原氏の党運営は拙劣を極めるものだった。政権交代実現後、鳩山前首相から大臣就任の恩恵を授かったが、前原氏の歩んだ道の上には失策しか残されていない。
八ッ場ダムの中止宣言とその後の撤回、日本航空の破綻回避方針表明とその後の破綻処理、中国人漁船船長の逮捕・勾留とその後の釈放、など政治能力の欠如を示す実績しか残されていない。「政治とカネ」の問題では、適正な検察捜査さえ行われるなら、逮捕・起訴・有罪は間違いない状況が明らかにされている。
しかし、米官業による日本政治支配を打破し、主権者国民が支配する日本政治実現を目指す正統民主党が民主党の実権を奪還しないように、マスメディアは正統民主党を攻撃し続け、悪徳民主党を不自然に絶賛しているのだ。
マスゴミが絶賛する対象が明白な力量不足を露呈する前原誠司氏であるという現実は、悪徳民主党の人材不足を明白に物語っている。
民主党内では、小沢一郎元代表、鳩山由紀夫前首相、輿石東民主党参議院議員会長の三名が、ニュートロイカを形成している。このニュートロイカがニュー民主党の後見役になることが期待される。
この三名が結束して正統民主党の代表選候補者をただ一人に絞り込めば、民主党代表選の大勢は一気に決することになる。正統民主党の各議員は、個人的な利害得失ではなく、公共の利益の視点に立って、正統民主党候補者の一本化に積極的に協力するべきだ。
前原氏は民主党国会議員全員に呼びかけて決起集会を開催したが、参加した議員は37名にしか過ぎなかった。メディアが騒ぎ立てるのとは対照的に、本当の実態は泡沫候補の一人にすぎない。
正統民主党が民主党の主導権を奪還する場合、悪徳民主党が国会での首班指名選挙で造反する可能性がある点には留意が必要である。その場合には悪徳民主党議員は除名されることになる。彼らの行き先は自民党以外にない。
こうなれば、一気に政界大再編が始動することになる。それは政治を主権者国民にとって分かりやすいものにするうえで望ましいことである。
日本政治は米官業による支配を目指す利権複合体勢力と主権者国民による支配を目指す主権者国民勢力とによる二大政党制に移行することになるわけだ。
この場合、中期的に主権者国民派が拡大してゆくことは間違いない。したがって、国会議員への働きかけによって、正統民主党が衆議院過半数を確保することは十分に可能である。
マスゴミは正統民主党のニュートロイカである小沢氏、鳩山氏、輿石氏の言動をねつ造して誹謗中傷する記事を書き続ける。小沢氏などが影響力維持や幹事長ポスト確保のために、利害得失だけで動いているとの誹謗中傷だ。
しかし、真実はまったく異なる。ニュートロイカの各氏の言動には、明確な政治理念と信念に支えられた一本の筋が明確に通されている。利害得失だけで動いているのは、小沢一郎氏にこれまでの非礼を謝罪することもなくすり寄って門前払いされた前原誠司氏などの悪徳民主党議員である。
主権者国民はマスゴミが流布するねつ造情報に惑わされることなく、正統民主党による政権奪還を全面的に支援するべきである。
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