カテゴリー「対米隷属派による乗っ取り」の13件の記事

2015年1月19日 (月)

政権交代実現民主党を破壊し尽した岡田克也氏

日本の政治が歪んでいる最大の象徴は、安倍政権の基盤が脆弱であること。


なにしろ、総選挙の比例代表選挙での得票率(全有権者に対する得票の比率=絶対得票率)が25%にも満たない自公の連立与党が衆議院議席全体の68%を占有した。


議会が民意を正しく反映していないのだ。


理由の一つは、小選挙区制の特性で、政党の側が小選挙区制の特性を踏まえた選挙戦術を採らないと、有権者の投票の多くが死票になる。


もともと、小選挙区制は選挙区での当選者を一人とする制度であるから、多くの死票を生み出す宿命を背負っている。


だが、その一方で、政権交代を引き起こしやすいという特性も備える。


当選者が一人しか出ないのだから、多党が候補者を乱立させれば、当選は覚束ない。


選挙をやる前から、死票になることを前提に選挙活動を展開する政党さえ登場しかねない。


死票を減らし、かつ、政権交代を目指すなら、ときの政権与党に対峙する政治勢力が徹底的に候補者を絞り込むことが必要になる


この点への対応が極めて遅れている。


もう一つの理由は、多数の主権者の意思をくみ取る政党が不在になっていることだ。


投票率が著しく低下してしまっているのは、このためである。


政治に関心がなくて選挙に行かないのではない。


自分の考えをしっかりと受け止める、信頼を置ける政党が不在になってしまっていることが、低投票率の最大の原因である。

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私たちは2009年の政権交代実現の原点に回帰する必要がある。


2009年の政権交代とは、敗戦から65年の時間が経過するなかで、日本政治の基本構造を根本から変革しようとするものだった。


米官業の既得権勢力が支配する日本政治を


主権者が支配する日本政治に変革する。


これが政権交代に託された意味であった。


この政権交代の偉業を成就させた二人のリーダーが小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏だった


米官業による日本政治支配の構造を転換するための具体策も明示された。


1.官僚天下りを根絶すること


2.普天間移設先を県外、国外とすること


3.企業団体献金を全面禁止すること


まさに画期的な方針が示された。


この基本方針が確実に実行されていたなら、日本の歴史はまったく新しい次元に移行していたはずである。


2006年に小沢一郎氏が民主党代表に就任した瞬間から民主党の大躍進が始まった。


小沢代表の下で民主党は2007年参院選に大勝した。この参院選の結果、参院では民主党が第一党の地位に躍り出たのである。


そして、2009年の総選挙で民主党が大勝し、政権交代の偉業を成就した。


この選挙での民主党の比例代表選挙絶対得票率は29.1%だった。


今回総選挙での自民党得票率17.4%の2倍近い得票だったのである。


そして、2010年の参院選で民主党が勝利を重ねていれば、この時点で衆参ねじれは解消し、民主党を軸とする政権による日本政治刷新が本格的に進展したと考えられる。


ところが、民主党は、あと一歩のところで状況を転覆された。


日本の既得権勢力が、目的のためには手段を問わない猛攻撃を展開したからである。


その既得権益勢力の手先は、民主党内にも潜んでいた。


その中心人物の一人が岡田克也氏である。


民主党を破壊した張本人が、民主党代表に返り咲いたのであるから、これは悲喜劇である。

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岡田克也氏は、鳩山首相が推進しようとした普天間の県外・国外移設の方針を徹底的に妨害した。


外相に起用された岡田氏は鳩山首相のために仕事をしたのではなく、米国と密通して、普天間の国外・県外移設を阻止するために力を注いだのである。


そして、「シロアリ退治なく消費税増税を認めない」とした鳩山元首相の方針を全面的に攻撃したのが岡田克也氏である。


岡田氏は、官僚が所管業界企業幹部に天下りすることを、憲法が保障した職業選択の自由だとうそぶいて、官僚天下り利権を徹底擁護し続けている。


そして、企業団体献金の全面禁止に背を向け続けているのも、岡田克也氏である。


この岡田克也氏が民主党代表に就任した以上、民主党は確実に臨終に向かう。


2015年1月18日は、民主党の実質的な終末の始動日として、後世に記憶されることになるのだろう。

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2014年7月14日 (月)

民主党代表戦前倒し要求者が民主党を離党すべき

民主党の悪徳10人衆は恥を知った方がよい。


民主党を破壊したのが誰であったのか。


民主党が主権者の支持を失い、凋落した原因が何であったのか。


2009年の政権交代の偉業を木端微塵に破壊して、日本政治を崩落させた原因がどこにあったのか。


このすべての主犯が民主党の悪徳10人衆である。


この10人衆に属する者たちが、いま民主党の代表選前倒しを要求している。


自分たちが選挙で選出した代表さえ、任期中支える姿勢を示さずに、党の再生などあり得るわけがない。


党を破壊し、日本の民主主義を破壊しておいて、自分たちの思い通りにものごとが進まないと、こんどは代表選前倒しを要求する。


この身勝手さが日本政治を破壊してきた現実を直視するべきである。


民主党代表選前倒しを要求する面々は、直ちに民主党を離脱して、新党を作るなり、自民党に入党させてもらうなり、それぞれの進退を明らかにするべきだ。


2009年の政権交代を樹立させた主権者国民が、もっとも怒り心頭に発しているのは、この民主党悪徳10人衆である。


渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎、の面々である。

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2009年の選挙で政権交代の偉業を成就させたのは、民主党内の小沢-鳩山ラインである。


2009年3月3日に、西松事件という、戦後日本政治で最大にして最悪の政治謀略事案が発生した。


小沢一郎氏が2006年4月に民主党代表に就任し、奇跡の民主党大躍進を実現した。


前原誠司氏が民主党を解党の危機にまで凋落させた局面で火中の栗を拾い、民主党を再生させたのである。


その小沢民主党が民主党を大躍進させ、いよいよ、政権交代実現に手が届くところにまで政治状況を転換させた。


西松事件は、小沢-鳩山民主党による政権交代実現を阻止するために、人為的に捏造された政治謀略事案である。


この政治謀略事案はその後にさらに拡大し、陸山会事件とこれに連動する小沢一郎氏裁判事件にまで発展する。


すべては、小沢-鳩山民主党による政権を破壊するために捏造された、史上空前の政治謀略事案であった。


この政治謀略事案が丸4年にわたって猛威を振るい、日本政治が転覆された。


その結果としての惨状がいま広がっているのである。

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この日本政治大転覆の直接の原因は史上空前の政治謀略事案であるが、この政治謀略事案によって日本政治が転覆される上で、これを陰で支えたのが、民主党の悪徳10人衆なのである。


民主党悪徳10人衆は、民主党が主権者国民と交わした政権公約の根幹を踏みにじった。


この背徳の行為により、主権者国民は民主党に失望し、民主党を凋落させたのである。


その主犯が民主党悪徳10人衆である。


許されざる罪状が三つある。


第一は、「シロアリ退治なき消費税増税は絶対にやらない」という、主権者国民との契約=政権公約を踏みにじったことである。


これが民主党凋落の最大の原因である。


主導したのは菅直人、野田佳彦、岡田克也の三名である。


財務省OBの藤井裕久が財務省と通じて党内を誘導していったことも見落とせない。


第二は、鳩山友紀夫首相が心血を注いで注力した、普天間基地の県外・国外移設方針を民主党内で破壊したことである。


沖縄基地問題に責任を持つ、岡田克也外相、前原誠司沖縄担当相、北澤俊美防衛相は、三人が三人とも面従腹背の裏切り行為を演じた。


これらの三名の担当者は、内閣総理大臣の指示には従わず、ただひたすら、米国にひれ伏し、裏切りの行動を取り続けたのである。


鳩山首相は党内の謀略工作を排除して、普天間の県外・国外移設方針を堅持するべきではあったが、米国は日本国内に潜伏させている対米隷属の細胞を活用して、民主党内で謀略工作を展開したのである。

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そして、第三は、この悪徳10人衆が、政権交代の大業を主導した民主党の小沢-鳩山体制を徹底攻撃し続けたことである。


西松事件・陸山会事件・小沢一郎氏裁判事件は、史上最大・最悪の政治謀略事案であった。


小沢一郎氏自身は、これらの総攻撃を排除して、最終的に完全無罪を勝ち取った。


一連の事案が政治謀略事案であったことは、多くが明らかにされたいま振り返っても鮮明である。


この政治謀略に加担し、政権交代の偉業をゼロ、あるいは、マイナスにまで貶めた主犯がこの民主党悪徳10人衆である。


民主党の主導権を小沢一郎氏と鳩山友紀夫氏が握ったことを逆恨みして、悪徳10人衆は小沢氏と鳩山氏を追い落とした。


その悪徳10人衆の残骸が、こんどは、海江田万里氏が代表職にあることを攻撃して、代表選の前倒しを要求している。


これ以上の厚顔無恥はない。


民主党代表選を要求する者は、直ちに民主党を離脱するべきである。


恥知らずな言動をこれ以上提示するべきでない。

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2014年6月 9日 (月)

民主悪徳10人衆は民主党を自主離党すべきだ

政界の流動化が進み、政界再編論議が活発化している。


日本政治流動化、日本政治劣化の根本的な主因は民主党の無責任な対応にある。


主権者に対する公約に責任を持たない民主党の対応が2009年に実現した政権交代実現の偉業の意味をないがしろにしてしまった。


「シロアリ退治なき消費税増税を行わない」


これが、民主党が主権者に示した約束であった。


この根本公約を民主党が踏みにじった。


だからこそ、民主党は、2010年7月参院選、2012年12月総選挙、2013年7月参院選の国政選挙に3連敗したのである。


このために、安倍政権の衆参両院過半数確保を許し、現在の安倍政権暴走を招いたのである。


この民主党で、民主党の凋落の責任を負うべき人々が厚顔無恥な発言を強めている。


渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、野田佳彦、岡田克也、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎


の10名が民主党悪徳10人衆である。

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政権交代は小沢-鳩山ラインの功績で実現した。


ところが、悪徳10人衆は小沢-鳩山ラインを政権中枢から追い落として、政治権力を強奪した。


その上で、主権者に明示した契約である政権公約を一方的に破棄し、民主党転落を招いたのである。


この有責の面々が、いま、再び、民主党の強奪を画策している。


こうした人々は、民主党を離党して、自民党なり、自民党もどき政党に合流すればよい。


党首を引きずりおろして、党が保持する巨大な政党交付金を強奪して、自民党もどき政党と合流するのは邪道である。


民主党による政権交代を実現させた主権者に対する背信行為である。

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目下の最重大テーマは集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更問題である。


憲法が存在し、歴代政権が憲法解釈についての正式見解を明示してきた。


これが憲法の内容を規定する。


その憲法解釈を変更するというのは、改憲行為であり、内容を変更するのであれば、憲法改定手続を取るべきことは当然である。


立憲政治は権力の行動を憲法によって制約するというものである。


人権を守る、国民主権を守る、という政治運営の基本を憲法で定め、いかなる政治権力もこの憲法の前には謙虚でなければならない。


これが立憲政治の基本である。


だから、憲法の内容を変えるためには、必ず正規の憲法改定の手続きを踏むことが必要になる。


誰が考えても当然だと言える、この基本を守れない政治家や政党が存在するなら、それらの政治家や政党は日本国憲法第99条違反で排除すべきである。


憲法第99条には、


天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


という条文が置かれている。


国務大臣、国会議員には、憲法尊重擁護義務が課せられているのだ。

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政党の分解、混沌が広がっている。


この混乱を日本政治再生の活路にしなければならないが、事態をさらに悪化させる懸念が生じている。


維新が分裂して石原極右政党と橋下新党に分裂する。


橋下新党は結い、民主との連携を目論む。


だが、石原氏と橋下氏のいずれもが、集団的自衛権行使を容認する憲法なし崩し改定に賛成の意向を示している。


日本の政界が、こうした暴走グループに支配されれば、日本全体の暴走につながることになるだろう。


1933年のドイツで全権委任法が決議され、議会政治が終焉し、独裁政治が始動したのと似た状況が生まれるのである。

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いまの日本に求められている何よりも重要なことは、立憲政治、主権在民政治を守り抜く、矜持ある政治勢力を再興させることである。


前原氏などの悪徳10人衆の残党は、一刻も早く民主党を離党して他党に合流するなり、新政党を創設して独自の道を進むべきだ。


民主党を解体し、主権者勢力を糾合して、新しい国民政党を構築することが急務である。


まず何よりも、憲法をないがしろにする政治の暴走を断固阻止する意思を明示する必要がある。


私たちの目の前にはいま、


原発・憲法・TPP・消費税・沖縄


の五つの重大課題が存在する。


この五つの問題について、主権者の意思を代表する国民勢力の結集を実現することが求められている。


メディアの誘導で、こうした主権者勢力が劣勢に追い込まれているが、潜在的な賛同者は決して少なくない。


同じ考えを有する勢力が分立し、競合してしまっていることが、勢力衰退の一因になっている。


リベラル勢力の結集がどうしても必要である。

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2010年6月30日 (水)

小沢氏を大衆迎合と非難する枝野氏の大衆蔑視

民主党の枝野幸男幹事長が、小沢一郎前幹事長に対して「大衆迎合だ」との批判を浴びせた。

枝野氏は民主主義の基本を理解していない。

民主党は昨年8月30日の総選挙で、主権者国民に政権公約を示して選挙を戦った。主権者国民は政党が示す政権公約を、虚偽でないとの前提で捉えて投票に臨む。

この結果として民主党を軸とする政権が樹立された。民主党は主権者国民に対して政権公約=主権者国民との契約を守る責任を負っている。

2009年度一般会計の税収は46兆円と見込まれていたものが37兆円に減少するとの見通しに修正された。9兆円の歳入見積もりの下方修正が、予算編成に大きな影響を与えたことは事実である。

ただし、37兆円に下方修正された2009年度税収見積もりが、今度は、38.5兆円に上方修正される見通しだ。財務省の能力低下が進行している。

予算編成では必要な政府支出の財源を調達しなければならないから、税収見積もりの変動は、当然、予算編成に影響を与える。国民に約束した政府支出が、財源調達の困難から見直しされることも生じてくることはある。

しかし、大原則としては、政党は主権者国民との約束を守り通すことに最大限の努力を払うべきである。主権者国民と契約を結んでおきながら、正当な事由もなく一方的にその契約を破棄することは「詐欺的行為」であり、政党の信頼を大きく損ねることになる。

税収の急減は100年に1度と言われる「サブプライム金融危機」に伴う世界景気後退によって生じたものである。財政赤字には、景気変動によって生じる「循環的赤字」と、景気変動とは関係なく生じる「構造赤字」の二つがある。

サブプライム金融危機に伴う税収減少は、当然、循環的な赤字である。「循環的赤字」ということは、いずれ、景気が通常の完全雇用状態に回帰すれば、消失する赤字である。

したがって、中長期の歳出政策は基本的に、循環的な赤字の変動に連動して変更されるべきものでない。枝野幹事長は幹事長として政策について発言するのなら、財政収支の経済学について、基本を押さえてから発言するべきだ。

6.2クーデター後に編成された菅直人内閣は、その出自において、主権者国民の意思を踏みにじるころから出発している。この点を菅政権の最高幹部が認識していないことが第一の問題である。

2006年春に民主党は解党の危機に直面した。2005年11月の総選挙に、岡田克也氏が率いる民主党は、明確な方針を示すことができずに惨敗した。岡田氏の後継代表に就任した前原誠司氏は偽メール問題の処理を誤り、民主党を解党の危機に追い込んだ。

この危機に火中の栗を拾ったのが小沢一郎元代表である。小沢氏は主権者国民を最重視する政策方針を示し、2006年4月千葉7区衆院補選、2007年7月参院選で民主党大勝を導き、政権交代実現の寸前まで民主党を躍進させた。

小沢氏が力量を発揮し、米官業が支配する日本政治構造が刷新される可能性が高まり、マスメディア・検察を含む既得権益勢力は、不正で不当な小沢一郎氏攻撃を展開し、昨年の三三事変を皮切りに、本年の一一五事変四二七事変などの政治謀略が相次いで実行された。

鳩山由紀夫前首相は、普天間基地移設問題で処理を誤り、内閣総辞職に追い込まれたが、辞任表明のなかで矛先を小沢一郎氏に向けたため、6.2クーデターを発生させる素地を作ってしまった。

6.2クーデター後に創設された菅直人政権は、主権者国民の意思を代表する政権ではない。菅直人政権は、昨年8月30日の総選挙に際して民主党が提示した政権公約を次々に破棄しており、主権者国民に対する「詐欺的行動」に突進している。

枝野氏は「大衆迎合」と表現したが、小沢氏の主張は「大衆迎合」ではない。総選挙の際に主権者国民と交わした約束、契約を誠実に実行すべきだとの「正論」を述べているにすぎない。

総選挙の際に主権者と交わした約束=契約=政権公約を、政党が十分な説明もなく、一方的に破棄することを押し通すなら、それは「大衆無視」であり、「大衆蔑視」である。

沖縄普天間問題でも、鳩山前首相は「最低でも県外」と主権者国民と約束した。「できるだけ県外」と約束したわけではない。

鳩山前首相は5月14日には、最終的な政府案を決定する前に、米国ではなく地元住民の同意を取り付けることも明言した。

しかし、結果として鳩山政権は、主権者国民の意思を無視して、辺野古の海岸に巨大滑走路を建設する、かつて自民党が決定した、米国の言いなりになる案を政府案として一方的に決定してしまった。

主権者国民の意思はこの問題でも踏みにじられているのである。

枝野氏は、この問題でも、主権者国民の意思を尊重して政府案を決定しようとする姿勢を「大衆迎合」だと批判するのだろうか。

つまり、枝野氏の言葉からにじみ出る姿勢は、主権者国民よりも優れた検討を行い、優れた結論を導くのだから、主権者国民は余計な口を出すな、黙って権力者である自分たち政治家にすべてを任せろ、というものである。

思い上がりもいい加減にしたほうがよい。

国民が主役の政治、主権者が国民である政治を作り上げると謳ってきたのは一体誰だったのか。

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菅直人首相はマニフェスト発表記者会見で、消費税率を10%に引き上げる方針を示唆した。玄葉光一郎政調会長は、「マニフェスト発表会見での発言だから、当然、公約だ」と明言した。

日本の主要国税税目の税収推移のグラフを掲載する。この税収推移グラフ財務省が公開している資料であるので、是非、日本全国の津々浦々にまで流布していただきたい。

 

Photo

1990年度から2009年度にかけて、経済規模を示すGDPは451.7兆円から476.0兆円へ小幅増加したが、税収は60.1兆円から36.9兆円に減少した。そのなかでの法人税と消費税推移は、

法人税 18.4兆円 →  5.2兆円

消費税  4.6兆円 →  9.4兆円

となった。

法人税が1990年度と比較して約4分の1に激減したのに対して、消費税は2倍強に増加した。

このなかで、菅首相は4分の1に減少した法人税を減税する一方で、低所得者ほど負担感が重くなる消費税について、10兆円もの大増税を実施する方針を示しているのだ。

数年来、法人税減税を主張する勢力が存在するが、法人税減税の主張に説得力はない。

政府税制調査会が2007年11月に発表した、

『抜本的な税制改革に向けた基本的考え方』には、

「課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担、さらに社会保険料を含む企業の負担の国際比較を行った試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た」

との表現が明記されている(17-18ページ)。

つまり、「日本の法人税負担は国際比較でみて高くない」というのが、日本政府の公式見解である

昨年8月30日の総選挙で民主党は、衆議院任期中は消費税増税を封印し、無駄な政府支出排除に全力をあげることを主権者国民と約束した。

菅首相の発言は、この主権者国民との約束を反故にするものである。

その後、内閣支持率が低下したために、発言内容がまたしても変化しているが、無駄な政府支出根絶なき大衆大増税を菅首相が意図している疑いが濃厚だ。最近の日本株価下落は、菅政権の財政再建原理主義に基づく緊縮財政への警戒感を反映するものでもある。

民主党国会議員422名のうち、120~150名の議員が小沢一郎氏に近いグループに属している。菅政権は反小沢勢力で主要ポストを固めたが、中間勢力が現在の執行部不支持に回れば、菅政権は立ち行かなくなる。

両者は同じ政党に属しているが、実は、水と油の同居と言ってよい、

対米隷属 VS 自主独立

官僚主権 VS 国民主権

大資本との癒着 VS 大資本との癒着排除

を軸に、できるだけ早期に袂を分かった方が良い。

日本政治に必要なことは、

①対米隷属排除

②官僚主権根絶

③大資本と政治権力の癒着排除

を軸とする政治構造を確立することである。

これまでの政策方針を聞く限り、菅政権に日本の新しい未来を託すわけにはいかない。民主党内自主独立派、国民新党、社民党を支援して、日本政治刷新を実現する新しい政権樹立を目指さなければならない。

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2010年6月29日 (火)

前原一派と○○○の党連携による対米隷属政権

政権交代には日本政治刷新という大きな課題が託されてきた。

これまでの日本政治は、

①米国による支配

②官僚による支配

③政治権力と大資本の癒着

に特徴づけられてきた。

つまり、「米・官・業」が日本政治の支配者として君臨し続けてきたのだ。

米国による支配は日本の敗戦を背景にしている。すでに65年の期間にわたる構造である。

官による支配は、明治時代に確立された。明治の官僚は「天皇の官僚」であり、官僚は支配者の一翼を担った。

第2次大戦後、GHQは官僚制度を日本占領の実働部隊として活用したため、戦前の官僚制度が温存された。高文試験は上級公務員試験に名称を変えたが、少数エリートに特権的権力を付与する構造は残された。

明治の官僚制度は太政官制を復活させたものだが、太政官制は律令政治時代の統治制度である。この意味で、日本の官僚制度は1300年の歴史を引きずるものである。

1955年の保守合同以来、自民党が日本政治の中核に居座り続けた。自民党は大資本の利益を代弁し、大資本は企業献金の名目で自民党に利益を供与し続けた。最高裁が1970年企業献金を合法化する判決を示したが、この判決は多数の政治家が企業献金を受け取ってしまっている現実を踏まえ、違憲立法審査権行使を抑制した「政治を助けた」判決であったとされる。

法理論的には、参政権を歪める企業献金を正当化する理屈は通らないと元最高裁長官の岡原昌男氏は衆議院の政治改革調査特別委員会で明言した。

55年体制成立以来、55年の年月が流れたが、大資本が政治献金を通じて日本政治を支配する図式は維持されたままである。

長期にわたる米国・官僚・大資本による日本政治支配に終止符を打つための最重要の第一歩が昨年実現した政権交代であった。

米官業はその利益を政治で実現するために、利権政治屋=利権政党と、御用メディアを活用している。この五者が「米官業政電の悪徳ペンタゴン」である。

「米官業による政治支配」に対峙するのが「主権者国民による政治支配」である。

小沢一郎元民主党代表が示した「国民の生活が第一」のスローガンにこの精神が象徴的に込められている。

悪徳ペンタゴンは、主権者国民による政治支配確立を阻止するために死に物狂いの工作活動を展開してきた。

最重要注意人物は小沢一郎氏であった。私も同じ視点から注意人物とマークされ続けてきたのだと考える。

小沢一郎氏が民主党代表に就任した2006年4月以降、マスメディアは徹底して小沢一郎氏攻撃を続けた。

2009年3月、総選挙が目前に迫り、政権交代が秒読み態勢に入ると、悪徳ペンタゴンは遂に検察権力の不正行使に動いた。この検察行動が不正と欺瞞に満ちたものであったことは、後の公判過程ですでに明らかにされているが、この検察の暴走により、小沢一郎総理大臣誕生という歴史の1ページは異なるものに書き換えられてしまった。

私は、悪徳ペンタゴンが日本政治刷新を阻止するために、「偽装CHANGE新党」が立ち上げられることを警告した。「偽装CHANGE新党」は反自民の投票の一部を吸収し、民主党の圧倒的多数議席獲得を阻止するために創設されるものであり、選挙後は自民党と連携する可能性が高いと指摘してきた。

しかし、現実には、民主党が総選挙で地すべり大勝を果たしたため、政権交代実現阻止は失敗に終わった。

しかし、政権交代勢力が盤石の基礎を確保するための最後のハードルが残されていた。これが今夏の参院選である。鳩山-小沢体制の民主党は総選挙終了後、直ちに参院選での勝利に向けての活動を開始した。

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窮地に立たされたのが悪徳ペンタゴンである。悪徳ペンタゴンは手先の走狗である検察勢力と御用メディアを総動員して、鳩山-小沢執行部に対する総攻撃を開始した。

同時に、日本政治構造刷新を阻止するための基本戦術に大きな修正が加えられたと考えられる。

鳩山-小沢執行部を集中攻撃するとともに、鳩山-小沢の分断工作も実行された。検察審査会が鳩山氏に対しては不起訴相当決議を示し、小沢氏に対しては起訴相当の決議が示されるように誘導工作が実行されたと考えられる。

検察審査会の決定に圧倒的な影響を与えるのは、審査補助員に選任される弁護士である。つまり、弁護士選任に際して恣意を働かせるなら、検察審査会議決をコントロールすることは極めて容易であると考えられるのだ。

検察勢力とマスゴミを総動員して鳩山-小沢執行部を総攻撃する。同時に小沢氏と鳩山氏の分断工作も成果をあげ、鳩山前首相は首相辞任に際して、小沢氏に極めて威力の大きい矢を放つことになった。この矢がもたらした影響が現段階では限りなく重いものになっている。

悪徳ペンタゴンの基本戦術は用意周到であった。民主党内の対米隷属勢力=市場原理主義者を結束させ、民主党内の権力奪取=クーデターの準備を進展させ、鳩山政権総辞職と同時にこの策謀を実行した。。

他方、参院選に向けては、「偽装CHANGE勢力」の伸長を引き続き誘導する。

「悪党ペンタゴン」としては、民主党が政権を担っても、民主党自身が対米隷属勢力に支配されていれば、それで問題はないのである。

他方、「偽装CHANGE勢力」はまぎれもなく、対米隷属勢力である。

参院選後に、対米隷属勢力が乗っ取った民主党と、対米隷属勢力である「偽装CHANGE新党」=「○○○の党」が連立政権を樹立させれば、日本政治構造刷新の大事業は見事に阻止されることになる。

私は、民主党内に対米隷属勢力=市場原理主義勢力が存在することを警告し続けてきた。この勢力は民主党内多数を確保していない。現状の民主党は少数勢力による民主党支配の構造に陥っている。

対米隷属勢力の民主党と「偽装CHANGE新党」による連立政権は、霞が関利権の根絶を提唱しているが、口先だけのまやかしであると考えられる。

「偽装CHANGE新党」の最高幹部の一人は、かつて行政改革を指揮できる立場にあったが、骨抜きの天下り規制しか決定できなかった人物である。

「天下り根絶」と言いながら、「天下りあっせんの禁止」を決めるのが関の山であると考えられる。

「企業団体献金の全面禁止」もメニューに掲げられているが、実行する考えはないと思われる。「カネのために政治家になった」典型的人物が極めて多いのが対米隷属勢力政権の大きな特徴であると見られる。

主権者国民がもっとも警戒しなければならない勢力が、民主党内対米隷属勢力=市場原理主義勢力と「偽装CHANGE新党」であるが、現状は、主権者国民政権が「民主党内対米隷属勢力」と「偽装CHANGE新党」にまさに乗っ取られた局面である。

この二つの勢力は「対米隷属」で共通するから、郵政米営化、郵政私物化を阻止するための「郵政改革法案」握りつぶしの暴挙に進むに違いない。

この悪夢の図式を打破するには、9月の民主党代表選で、主権者国民の意思を尊重し、米国に対して言うべきことをきちんと言い通す民主党新代表をどうしても選出しなければならない。

民主党議員の多数は、主権者国民代表勢力で、対米隷属勢力は少数に過ぎない。6.2クーデターは民主党内対米隷属勢力による民主党乗っ取りであって、主権者国民の意思を無視する暴挙を容認するわけにはいかない。

民主党代表に主権者国民の意思を尊重する人物を選出し、主権者国民の意思を代表する勢力を結集して主権者国民政権を再樹立しなければならない。国民新党、社民党は新政権に与党として参加するべきであろう。

参院選では、対米隷属勢力の増大を絶対に阻止しなければならない。民主党は分裂選挙になるが、党自体が国民派と対米隷属派に分裂しているのだからやむを得ない。

マスゴミは対米隷属勢力を全面支援する。マスゴミ情報はこの事情に汚染され尽くされているから、信用してはならない。

主権者国民代表勢力を支援し、対米隷属政権を打倒しなければならない。

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2010年6月19日 (土)

菅政権=悪徳ペンタゴン派の疑いを検証すべき

政党は選挙に際して国民に公約を提示し、国民は各政党の主義主張、哲学、理念、そして政策公約を吟味したうえで投票を行う。

政党は主権者国民との約束である政権公約、政策公約、守らねばならない。政党が選挙の際に主権者国民と交わした約束を選挙後に破棄することは、一種の詐欺行為である。主権者国民との信頼関係を重んじない政党に国政を委ねることはできない。

昨年8月30日の総選挙は、日本史上初めて民衆の力によって新しい政権が樹立されることを実現する、歴史的偉業であった。

第2次政界大戦での敗戦後、日本政治は米国に支配され続けてきた。また、官僚による統治は明治以降、140年の歴史を負っている。1955年以降は大資本・米国・官僚機構と結託する自由民主党が政権中枢の地位にあり続けた。

米官業が支配し、その代理人として自民党とマスメディアが活動する日本政治の構造を米官業政電=悪徳ペンタゴンによる政治支配構造と称してきた。

この基本構造を打破しようとする主権者国民の総意が、昨年9月の政権交代実現に結実した。政権交代実現により達成しなければならない三大課題が、

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③大資本と政治権力の癒着排除

であり、経済政策運営においては、市場原理主義を排して

④共生重視主義

を基礎に置くことが求められた。

さらに、日本の最大の構造的欠陥を根本的に変革する課題として、

⑤警察・検察・裁判所制度の近代化

も最重要課題のひとつであった。

 民主党はマニフェスト選挙を提唱し、昨年の総選挙に際しても、詳細な政権公約をマニフェストとして国民の前に提示した。

 このなかに、

①在日米軍基地のあり方の見直し

が明記された。対等な日米関係を実現することが目指され、普天間基地の県外ないし海外移設が提唱された。

 また、民主党は天下りを行政の無駄の象徴と位置付け、

②天下りの全面禁止

を公約として掲げた。

 民主党は特別会計を含めた212兆円の政府支出全体を見直し、歳入の見直しで8.2兆円、歳出削減で9.1兆円、埋蔵金活用や政府資産売却で3.2兆円を捻出し、総額20.5兆円の新規施策への財政資金配分を提示した。

 天下り根絶は、無駄な政府支出排除の象徴として、特に重視されてきた。

 さらに、「政治とカネ」問題に対する国民の関心が強まったことを受けて、民主党は2009年の通常国会に、パーティー券購入を含めて企業団体献金を3年後に全面禁止する法案を提出した。民主党は、

③企業団体献金全面禁止の法制化を公約として掲げたのである。

 市場原理主義から共生重視主義への転換は、財政の所得再分配機能を重視することを意味する。社会保障制度を拡充し、すべての国民に適用されるナショナルミニマムの水準を引き上げることが目指されることになった。消費税は所得の少ない国民にも同水準の税率が適用される税であり、強い逆進性を持つ。

 また、昨年の総選挙に際して民主党の鳩山由紀夫代表は、増税を検討する前に政府支出の無駄排除を優先しなければならないことを明示し、衆議院任期4年間は消費税増税を封印する方針を明示した。

 さらに、警察・検察・裁判所制度の近代化に関連して民主党は、取り調べの全過程についての録画や録音などによる可視化を義務付けることが公約に掲げられた。

 これらの明確な政権公約を踏まえて主権者国民は、民主党に多数の議席を付与し、民主党を軸とする新政権を樹立させた。民主党は主権者国民の意思を踏まえ、政権公約を誠実に実行する責務を負っている。

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 ところが、6月2日に鳩山由紀夫前総理が辞任の意向を表明して以来、政権の基本性格が変化してしまった可能性が高い。

 主権者は国民である。総理が辞任し、新しい総理が就任したとしても、主権者国民と政党との間の約束、契約関係は残存する。民主党は主権者国民と約束した事項について、誠実にその約束を実現してゆかねばならないのだ。

 ところが、菅直人新首相は総理の座を手にして以降、主権者国民との約束=政権公約を片端から破棄し始めている。

 2012年度の消費税率10%への引き上げなど、まったく正統性を持たない政策提言である。消費税詐欺と呼んでもよいだろう。

 天下り根絶もどこかへ消えてしまったようだ。天下りを根絶するには、役所による「あっせん」を禁止しただけではまったく意味がない。公務員退職直前10年間に関与した企業・団体・業界に属する企業・団体に、退職後10年間の就職を禁じると言った程度の客観的な規制を法制化する以外に、有効な天下り根絶の方策はない。しかし、このような具体策の提示が見えてこない。

 普天間基地問題では、鳩山前総理が主権者国民との約束を反故にして、名護市辺野古海岸に1800メートル滑走路を建設することを日米合意決めてしまった。主権者国民の意思を踏みにじる決定を鳩山前総理が強行したことが、鳩山政権崩壊の主因になった。

 ところが、後継の菅直人政権は鳩山政権が強行決定した日米合意を踏襲することを明言している。主権者国民との約束を無視して、米国の言いなりになることを宣言していると表現することができる。

 また、サブプライム金融危機の余波で世界経済、日本経済が崩壊寸前に追い込まれ、その後のケインズ政策で小康状態を回復した矢先であるのに、菅新政権は緊縮財政の方針を提示し、2012年度にも消費税を10%に引き上げることを示唆し始めた。

 これでは、国民主権政権が消滅し、小泉政権が蘇ったようなものである。政権交代実現の最大の原動力は小泉政治を否定する主権者国民の強い意思にあった。

それが、民主党内の権力争奪戦を経ただけにすぎないのに、政策の基本方針が全面的に別のものに差し替えられることは正当化されない。2009年総選挙に際してのマニフェストは依然として有効であり、新政権が勝手に政策方針を変更することは許されない。

取り調べの可視化について、法務省が勉強会を設置したが、予想通り、取り調べ過程の全面可視化に反対の検討結果を提示した。法務省当局の主張をそのまま容認するなら、政治主導も、脱霞が関も、嘘八百ということになる。

新政権発足からまだ10日しか経っていないが、新政権の基本スタンスが、米国、官僚、大資本の利害を代表するものにしか見えないことは極めて重大な問題である。

霞が関権力の中枢は財務省と法務省にある。菅新政権は財務省と法務省の利害との調和を求める方向に向かい始めているようにしか見えない。

菅新政権が米官業政電=悪徳ペンタゴンによる政治支配路線に回帰するなら、この政権を擁護することは断じてできない。この政権を打倒することが強く求められることになる。

その主戦場は、恐らく9月の民主党代表選ということになると考えられるが、早ければ参院選直後にも大きな地殻変動が生じる可能性も見え始めてきた。

主権者国民は、参院選で悪徳ペンタゴン勢力に加担することのなきよう、最大の注意を払う必要がある。

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2010年6月11日 (金)

対米隷属・財務省主導の菅首相所信表明演説

菅直人新首相が衆議院本会議で所信表明演説を行った。

個人の孤立を防ぐための「パーソナルサポーター」制度の支援についての思いが示された以外は、官僚の作文をつなぎ合わせた印象の強い総花的な演説であった。また、言い古された感の強い「第三の道」論と自らの履歴の紹介以外には故事などを踏まえたオリジナリティのある思想の開示がなく、聴衆を魅了する部分の乏しい演説だった。

特徴点を五点、以下に列挙する。

第一は、税制の抜本改革に向けての超党派の検討を呼びかけたことで、いよいよ大増税プロジェクトが始動することが宣言されたことである。

鳩山政権では、政府支出の無駄を排除するまでは増税の具体的検討を封印する姿勢が示された。膨大な政府支出の無駄を排除するには、増税という逃げ道を塞いでおかねばならない。この当然のスタンスが堅持されてきた。

ところが、菅政権では大増税論議が大手を振って展開されることになった。

菅首相は昨年来実施されている事業仕分けを今後も継続することを述べたが、事業仕分けによってどれだけの財源を捻出するかについての言及がなかった。事業仕分けを担当した枝野幸男新幹事長は、事業仕分けでは支出削減目標を設定しないことを正当化する主張を展開したが、これでは、事業仕分けが単なるパフォーマンスに終わる危険が圧倒的に高い。

これまでの事業仕分けでも、廃止とされた一部事業を別にすれば、抜本的な「事業内容の見直し」や「削減」などの抽象的な言葉が並ぶだけで、実質的に支出削減が骨抜きにされる恐れが極めて高い。

民主党は無駄な政府支出を年額12兆円削減することをマニフェストに明示しているが、この政権公約を維持するのかどうか、明確な言及が不可欠である。

所信表明演説からの印象では、菅首相が財務省主導の大増税路線に完全に引き込まれたとの疑いが、ますます濃厚になった。国民が求めることは、増税論議に本格的に入る前提条件としての政府支出切り込みの断行である。この点が大幅に後退した印象が極めて強い。

第二は、鳩山内閣が総辞職に追い込まれた主因である沖縄普天間基地移設問題について、引き続き、沖縄県民と主権者国民の意思を踏みにじることを維持する見解を明示したことである。

鳩山前首相は5月14日に、米国の合意を得る前に、主権者である沖縄県民の同意を得ることを確約した。しかし、現実には地元住民・主権者国民だけでなく連立与党である社民党の同意も得ずに、米国の要求通りの合意を決定して発表してしまった。

主権者国民の意思を踏みにじるこの意思決定が鳩山内閣崩壊の主因になったにもかかわらず、その修正を一切示さない対応が続いている。6月23日に沖縄を訪問することを示したが、沖縄を訪問することよりも、主権者の声を尊重することが先決である。新政権の対米隷属姿勢が改めて確認された。

第三は、官僚主権構造を打破するうえでそのカギを握る天下り根絶について、「本格的に取り組む」と述べただけで具体策をまったく示さなかったことだ。

天下りの「あっせん」を禁止しても、天下りが「あっせん」によるものではないと言い逃れられれば、天下り禁止の実効性はまったくあがらない。民主党は野党時代に自民党の天下り禁止規定を「ザル規定」だと非難してきたのではないのか。

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天下り禁止を実効性のあるものにするためには、例えば、

「退職後10年間は退職直前10年間に関与した企業、業界、団体への就職を禁止する」

といった程度の客観的な規制を設けなければ天下り根絶は有名無実になる。

 菅首相が「本格的に取り組む」と発言した具体的意味が明らかにされねばならない。

 第四は、「政治とカネ」の問題についての言及がなかったことだ。菅首相は政治活動を始めた市民運動時代を振り返り、故市川房江氏が経団連を訪問して経団連による政治献金あっせん中止を求めたエピソードを紹介したが、それ以上の言及がなかった。

 問題の根源を断ち切るには、「企業団体献金の全面禁止」を法制化するしかない。菅首相の演説は経団連による政治献金あっせん中止で十分だとのメッセージを示したものとも受け止められかねない。「企業団体献金全面禁止」の次期国会での成立を約束する必要があるだろう。

 第五は、昨年の小沢一郎元幹事長秘書逮捕以来、検察・警察捜査のあり方に対するさまざまな問題が浮上してきた。小沢氏周辺への捜査と同様に、民主党国会議員の石井一氏を狙い撃ちしたと見られる厚生労働省元局長の村木厚子氏の裁判では、検察当局の不正な捜査が鮮明に示されている。

 また、足利事件での菅家利和さんの無罪確定でも検察捜査の巨大な欠陥が明らかにされた。

 取り調べ過程の全面可視化、検察人事のあり方の全面的な見直しなど、日本の警察・検察・裁判所制度を近代化するための対応が手つかずのまま残されている。この問題にも一切言及がなかった。

 折しも、新政権発足直後に検察人事が発表された。

 霞が関支配、官僚支配を考察するとき、霞が関権力の中枢は財務省と法務省である。菅新総理はこれまでの「脱官僚」の看板を捨てて、財務官僚・法務官僚と提携したかの印象を否めない。

 検察審査会による小沢一郎氏に対する起訴相当議決は、審査補助員の強引な誘導がなければ考えられない決定であった。検察審査会が二度にわたって異常な議決を示さぬよう、全プロセスについての情報開示を求められると同時に、主権者国民は検察審査の行方を厳重に監視しなければならない。

 検察機能が政治利用されることがまかり通れば、日本は名実ともに暗黒秘密警察国家に転じることになる。

 対米隷属・財務省主導緊縮財政路線・検察権力との結託は小泉政権の基本路線であったが、新政権の基本路線と酷似することになるのではないか。

 日本経済の再悪化が懸念されると同時に、新政権に対する最初の重要な再評価が9月の民主党代表選で実行されることが予感される所信表明演説であった。

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2010年6月10日 (木)

郵政改革法成立阻止を目論む対米隷属政権勢力

鳩山政権が国会に提出した郵政改革法案の今国会での取り扱いが焦点になっている。菅直人政権が発足するに際して、民主党と国民新党との間で合意が締結され、「郵政改革法案の今国会での成立を期す」ことが確認された。

しかし、国会会期を延長しなければ郵政改革法の今国会成立が困難な状況になった。菅政権内部では郵政改革法を成立させずに国会を終了させようとの主張が強まっている。

この問題は単なる法律案の問題ではない。菅新政権の基本性格に関わる重要問題である。

2001年に小泉政権が発足した。日本政治構造の刷新とは、小泉政権が確立・強化した日本政治の基本構造を刷新することである。

小泉政権は

①対米隷属

②官僚利権温存

③大資本と政治権力との癒着

を基礎に据えて、

④市場原理主義

の経済政策を実行した。

この結果、日本社会は荒廃した。市場原理主義は自己中心主義と表裏一体をなす。日本全体に自分さえよければとの発想が蔓延した。同時に目的のためには手段を選ばない、経済的利得のためには何をしても構わない風潮が広がった。

企業部門においては、利益を出すために従業員を犠牲にする行動様式が広がった。小泉政権は製造業への派遣労働解禁などの施策を実行したが、その結果、年越し派遣村の問題が表面化した。

経済的格差が著しく拡大するとともに、貧困層が激増した。

市場原理主義の蔓延は手段を選ばずに自己の利益のみを追求する経済行動を助長し、各種の経済犯罪が多発した。竹中平蔵氏は「頑張った人が報われる社会」と喧伝したが、竹中氏が成功者として絶賛したのは堀江貴文元ライブドア社長などの人物であった。

2008年後半に顕在化したサブプライム金融危機は、市場原理主義に対する見直しの契機になった。相互の信頼、互助の精神が尊ばれる「共生の思想」への回帰が日本全体に広がったのである。これが、昨年の政権交代を実現させた基本背景である。

小泉政権時代の経済政策の素性も次第に明らかにされるようになった。

2003年にかけて日本経済は戦後最悪の不況に追い込まれ、株価が暴落し、金融恐慌の危機が目前に迫った。危機をもたらしたのは、小泉政権の財政再建原理主義に基づく緊縮財政と銀行破たんをも辞さないとする企業破たん推進政策だった。

日経平均株価が7607円に暴落する過程で、日本経済に失業、倒産、経済苦自殺の灼熱地獄が広がった。この地獄絵図は人為的にもたらされたものだった。

退出すべき企業を市場から退出させることを軸に置いた小泉政権の経済政策が株価暴落と日本経済破壊をもたらしたが、2003年5月、小泉政権は突如、政策を大転換した。りそな銀行に2兆円の公的資金を投入してりそな銀行を救済したのである。

公的資金による銀行救済で株価は急反発し、日経平均株価は8月に1万円を回復した。株価暴落誘導とその後の株価急反発誘導は計画的に実行された可能性が高く、政府による巨大インサイダー取引疑惑が濃厚に存在している。

小泉政権は米国の指導を受けて、株価暴落と株価急反発を人為的に誘導した可能性が高く、この過程で政府関係者が巨大利得を得た疑いが濃厚である。

りそな銀行の自己資本不足および預金保険法102条第1項第1号規定適用に関して、竹中平蔵氏、木村剛氏、奥山章雄氏などの人為的な関与が疑われている。りそな問題に関しては複数の関係者の不自然な死亡が生じた。

また、2009年には「かんぽの宿」不正売却未遂問題が表面化した。時価1000億円を超すと見られる「かんぽの宿」関連79施設が、109億円の安値でオリックス不動産に払い下げられようとした。不自然な売却を感知した鳩山邦夫総務大臣(当時)が、国会で問題を取り上げた結果、この不正売却は白紙に戻され、日本郵政の西川善文社長は引責辞任に追い込まれた。

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小泉政権は政権の看板政策として郵政民営化を掲げたが、小泉首相がこの政策を掲げた理由は以下の三点にあると見られる。

第一は、個人的な郵政に対する怨恨。小泉氏は総選挙に初めて出馬した際に郵政の応援を獲得できずに落選した。爾来、郵政に対する怨恨の感情を持ち続けてきたと見られる。

第二は、郵政民営化が銀行業界の永年の念願であったことだ。小泉氏はれっきとした大蔵族議員である。大蔵族議員が擁護する業界とは金融業である。金融業への利益供与として郵政民営化が提案されたと考えられる。

第三は、米国が郵政民営化を強く要請したことだ。米国が狙いをつけたのは、郵貯の220兆円の資金、かんぽの100兆円の資金、そして、日本郵政保有の巨大不動産資産だった。

小泉政権は政府部門内に滞留する郵政マネーを民間経済に還元し、日本経済の発展を支援すると説明した。しかし、日本郵政株式会社が発足した2007年10月以降にこの公約が実現した事実は存在しない。郵政マネーの民間経済への還流の前宣伝は真っ赤な嘘だった。

竹中氏は日本郵政が発足してから企業利益が増大したと主張するが、日本郵政は日本郵政発足直前に巨大な特別損失を計上しており、この会計操作によって、日本郵政発足後の利益が増えたように見えただけにすぎない。

日本郵政は株式会社移行後に、過酷な労働強化を実行するとともに、雇用形態を不安定な非正規従業員にシフトさせた。

そのなかで、従業員数が著しく少なく設定された郵貯銀行とかんぽ生命の全株式が市場で売却されようとしていた。外資が株式を集めれば、300兆円の資金を手中にできる算段だった。

他方、残る日本郵政株式会社に帰属する部分も、株式の3分の2が売却される予定とされていた。

株式売却後に過剰人員を整理すれば企業価値が急上昇し、株価が急騰する。外国資本が日本郵政株式を買い集めれば、小額の資本で巨大な日本国民財産を収奪できるはずだったのだ。

郵政民営化の法制化においては、郵政民営化準備室と米国の関係者が17回もの会合を重ねて細目が決定された。米国関係者が法律を作成したと言って過言でない。

昨年9月に発足した鳩山政権は政権発足直後に郵政株式売却を凍結する法律を国会で成立させ、また、かんぽの宿の不正売却を回避するための法的措置も実行した。外資による日本国民資産収奪がぎりぎりのことろで食い止められた。

その延長上で今回、郵政改革法案が国会に提出された。マスメディアは郵貯預け入れ限度額引き上げを批判するが、この措置は、郵便事業、金融窓口のユニバーサルサービスを実現するための財源確保を目的に取られる措置だ。

郵政民営化により、地方の郵政サービスが大幅に切り込まれ、主権者国民からの不満の声が強まった。日本郵政がスタートしてから、日本郵政に対する信頼が一気に失われ、郵貯残高は220兆円から一気に175兆円まで激減した。

この状況を放置すれば、郵貯とかんぽの破たんは時間の問題だった。

ユニバーサルサービスを維持するための新たな税金投入は許されない。この事情を踏まえて、預入限度額の引き上げが示されたのであり、郵政改革法案は正当性を備えている。法律成立を国民新党が強く求めるのは当然である。

6.2クーデターにより、小沢一郎民主党前幹事長の影響力排除が画策された。小沢-鳩山-菅のトロイカ体制に反旗を翻して、菅新首相は仙谷-前原-枝野の民主党内市場原理主義派と手を結んだ可能性が高い。

民主党内市場原理主義派は小泉竹中路線と連携する一派である。

このグループの基礎が、

①対米隷属

②官僚利権温存

③大資本と政治権力との癒着

④市場原理主義

の4点なのである。

 裏で支配しているのは米国である。米国は小泉政権に指令して実行させた郵政民営化プロジェクトが昨年の政権交代により挫折したことに強い憤りを感じてきたはずだ。

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 6.2クーデターの実行により郵政改革方針の修正までが狙われ始めたと見て間違いない。

 菅政権が郵政改革法案成立に後ろ向きの姿勢を示すなら、国民新党は連立政権から離脱するだろう。その場合、参院選の後になる可能性は高いが、民主党が分裂する可能性が高まる。

これを契機に、

①対米隷属

②官僚利権温存

③大資本と政治権力の癒着

④市場原理主義

の是非という対立軸により、政界が大再編される可能性が生まれる。

この軸による政界大再編が実現するなら、それは望ましいことだ。しかし、自主独立派は必ず対米隷属派に勝利しなければならない。

問題は、自主独立派の旗頭が現段階で明確でないことだ。

また、対米隷属派が、官僚利権根絶、大資本と政治の癒着排除などの、うその主張を展開する可能性が高いことにも注意が必要だ。マスメディアは米国に支配されるから当然、対米隷属派を全面支援する。

このなかで、自主独立派が勝利するための方策を考えねばならない。

菅新首相は普天間問題で、沖縄の人々よりも米国を重視する選択を示した。日本国民がこの姿勢を容認するのかどうかが問われる。

菅新首相は「菅新政権は対米隷属政権」との規定を否定するなら、早期にその姿勢を行動で示すべきだ。

菅新首相が対米隷属をすべての基本に据えるなら、自主独立を重んじる主権者国民は対米隷属総理を排除するために力を注がねばならないことになる。

普天間問題で鳩山政権が退陣し参院選が実施される。参院選の最大の争点を「対米隷属の是非」としなければならない。

「対米隷属」を打破するために政権交代を実現したのに、菅新政権が対米隷属路線に走ることは、主権者国民からの政権の略奪である。対米隷属派に政権獲得の正当性はない。

政権交代勢力の正統が自主独立派であることを示さねばならない。

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2010年6月 9日 (水)

鳩山菅密約による小沢氏失脚工作真相が表面化

6月2日の鳩山由紀夫前総理の辞意表明から1週間が経過した。

菅新政権が誕生した政治力学について、二つのシナリオがあり、本ブログでもその両者について言及してきた。しかし、各関係者から断片的な情報が提供されるなかで、どうやら真相がはっきりしてきた。

それは、小沢-鳩山-菅トロイカ体制のなかでの鳩山-菅両氏による反小沢対米隷属クーデターが実行されたというものだ。

懸念された低劣なシナリオが進行したとの悲しい現実を認めることは極めて残念であるが、各種状況証拠が揃ってくれば、現実から目をそむけるわけにはいかない。

私は政権交代を実現する目的が、

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③政治権力と大資本との癒着排除

の三点にあると考える。

同時に経済政策を運営する軸を市場原理主義から福祉社会追求に転換すべきことも主張してきた。

菅直人氏のこれまでの主張は、政権交代実現の三大課題、共生重視の経済政策運営を実現させることと整合的なものであった。

「ゆきひろ・社会科日記」様が6月8日に、

菅直人の公式ブログ。消されないうち知っとこ。」

と題する記事を掲載された。

菅直人氏が2001年8月19日のブログに次の記述をしていることが紹介された。

「民主党の基本的考えは「沖縄の米軍基地の整理縮小のため、国内外への移転を含め積極的に推進していく」と、基本政策に述べている。

そして沖縄の米軍基地の人員でも面積でも半分以上を占める海兵隊基地が「国内外の移転を含め」整理縮小の検討対象にになることは当然のこと。

民主党の沖縄政策の中では「アメリカの東アジア戦略構想を再考し、米海兵隊の他地域への移駐を積極的に議論する」と明記されている。

実際に民主党の中で海兵隊の米国内への移転は有力な意見として何度も議論されてきた。私の参院選挙中の沖縄での発言はそうした背景のもと行われたもので、その場の思いつきでもリップサービスでもなく、民主党の基本政策と矛盾してはいない。

本政策より多少踏み込んだ表現があるとしても、それは政治家としての私の責任で述べたものである。

私自身3年程前民主党の代表として訪米した折にも、アメリカの当時の国防次官にこの主張をぶつけたことがある。

国防次官は厳しい顔でメモを見ながら「北朝鮮に対する誤ったシグナルになるから沖縄から海兵隊は撤退はするべきでない」と反論してきた。

その理屈も一部理解はできるが絶対ではない。実際には海兵隊基地を米国に戻すより日本に置いていたほうが米側の財政負担が小さくてすむという背景もある。

北朝鮮の状況や日米の財政状況が変わってきている中で、沖縄にとって重い負担になっている沖縄海兵隊の日本国外移転について真剣な検討が必要。」

(ここまで転載。太字は「ゆきひろ・社会科日記」による)

菅直人氏は海兵隊の国内駐留が日本にとって必要不可欠なものでないことを基本的判断として保持することを明言してきた。その基本判断を変えたのなら、説明する責任がある。

鳩山前総理が普天間問題を最重要課題として取り上げた以上、日本が対米隷属国家から脱却する意味においても、この問題の決着は日本にとっての最重要問題のひとつになった。

鳩山前総理が米国と共同発表をしてしまったから、その事実は踏まえなければならないが、菅新総理は、

「この問題が主因で鳩山内閣が総辞職に追い込まれたことを踏まえ、日米合意の内容が現状のままで良いのかどうかを含めて、日本の主権者である国民の意思を尊重して対応策を検討してゆきたい」

と述べなければならなかった。

ところが、菅新首相は、「日米の合意はできたのだから、合意に基づき進めてゆかなければならない」と発言した。

菅新首相は日本の主権者国民の意志よりも米国の意思を上位に位置付けることを明言したのだ。記者会見でこの点を明確に糺す質問者が登場しなければならない。

米国ワシントンでのG20会合に出席した菅直人前財務相は本年4月22日、アーリントン墓地を訪問して献花した。日米同盟を重視する姿勢を示したと見られているが、総理大臣に上り詰めるため、ワシントンで魂を売った可能性が浮上している。

昨年8月30日の総選挙を通じて実現した政権交代の大業。その最大の功労者は小沢一郎元民主党代表であった。民主党は2005年9月の総選挙で岡田克也氏が陣頭指揮を執って惨敗した。後継の前原誠司氏は偽メール問題で処理を誤り、民主党を解党の危機に陥らせた。

この危機のさなか、2006年4月に火中の栗を拾ったのが小沢一郎氏である。爾来、3年間の政党運営により、民主党を軸とする政権交代の大業を成し遂げた。

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小沢一郎氏が不正で不当な激しい攻撃を受け続けてきた理由は、小沢氏が日本の対米隷属構造を打破する可能性を保持してきたからだと考えられる。

本来、昨年8月の総選挙を通じて小沢一郎政権が誕生していた。ところが、史上最大の政治謀略となった昨年の三三事変により、小沢氏は筋を曲げて民主党代表辞任の道を選んだ。

それでも、小沢氏の影響力は突出し、政局は小沢一郎氏を軸に転回し続けてきた。普天間問題で「米国に言うべきを言う」姿勢を撤回し、「米国に隷属する」道を選択した鳩山前総理が総辞職に追い込まれたのは、鳩山前総理の自己責任である。

鳩山前総理は、誰がどう抵抗しようと、誰が何を言おうと、最後まで主張を貫き、米国にモノを言う姿勢を貫くべきであった。

しかし、鳩山前総理は米国の強硬な姿勢に屈服した。その結果として総辞職に追い込まれたのである。鳩山前総理は潔くこの現実を認めるべきであった。

ところが、鳩山前総理は総辞職の責任を小沢一郎氏に転嫁した。

驚くべきことは、このシナリオ作者に菅直人氏が名を連ねた可能性が高いことが明らかにされた。

この重大事実を暴露されたのは平野貞夫元参議院議員である。平野氏は小沢氏の懐刀として議員活動を務められたが、議員辞職後も小沢氏と緊密な関係を維持し続けている。

時期は確定していないが、6月1日夜と見られている。鳩山氏と菅氏が相談し、菅氏への禅譲と小沢氏排除の密約が交わされたというのである。

詳細については平野貞夫氏の『永田町漂流記』をご高覧賜りたい。

このことから、菅新総理が小沢一郎氏との仁義を重んじつつ、参院選対策に進んだとの希望的観測を撤回せざるを得ない。

菅直人氏は米軍海兵隊の沖縄駐留が必要不可欠な存在でないことを明言してきた。したがって、鳩山内閣総辞職の主因が普天間問題決着の失敗にある現実を踏まえれば、鳩山政権が事務レベルで成立させた日米合意を見直すことが、新政権の最初の任務にならなければおかしい。

ところが、菅新総理は日米合意に基づいて進むことを明言し、普天間問題を誘導した岡田克也外相、北澤俊美防衛相、前原誠司沖縄担当相の3名をそのまま留任させた。これらの事実を並べれば、菅直人氏の対米隷属基本姿勢を否定することは不可能である。

菅新総理はこれまで官僚主権構造を否定する方針を明示し続けてきたが、昨日の記者会見では「官僚の力を使って政策を進めてゆく」と発言した。財務相に就任以来、菅氏は緊縮財政と消費税増税に前のめりの姿勢を強めてきた。総理大臣に就任し、総理の椅子に長く座り続けるには官僚と癒着した方が良いと考えを改めたのであろうか。

「政治とカネ」問題の根幹に大資本と政治権力の癒着構造がある。どの政治家が悪い、良いの話ではない。政治とカネの癒着構造を生み出す装置が企業団体献金である。「政治とカネ」の問題を根絶するには、「企業団体献金全面禁止の法制化」に踏み込むことが最適であることは明らかだ。

しかし、菅氏の会見に企業団体献金全面禁止はまったく出てこなかった。

昨年来の三三事変一一五事変四二七事変は、検察権力を利用した政治工作である。政治を歪める検察権力の暴走を放置するのでは民主主義を守ることはできない。

昨年来の検察権力の暴走の背後にあるものを究明し、糾弾することが不可欠である。その意味で小沢氏が巻き込まれている巨大な政治謀略に対して、政権は検察権力に対して毅然とした対応を示さねばならないはずだ。

検察人事の刷新、人事決定方式の抜本的な改革、そして取り調べ過程の全面可視化など、直ちに変革しなければならない問題が山積している。

また、罪刑法定主義、法の下の平等、基本的人権の尊重、無罪推定の原則、国家公務員の守秘義務など、検証が求められる根本問題も放置されたままになっている。

ところが、民主党内部には、検察の暴走を党内政治力学に利用しようとしてきた人物が相当数存在する。菅新総理の現在の姿勢は検察の横暴を放置、容認するものでしかない。正義よりも自分の損得を優先するものである。

菅直人氏が草の根から政治活動を初めて、今日、総理大臣の地位に上り詰めたことは事実だ。しかし、後世からの評価は、その志の有り様によって天地の開きを生じる。

総理になることが目的で、そのためには魂を売ることもいとわないのなら、その志は薄汚れたものであり、後世に残るものは何もない。

大きな志、確固たる信念を持ち、その志と信念を貫き通すなら、歴史に名を刻む大業を残すことになるだろう。

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③大資本と政治権力との癒着排除

また、

④国民生活安定の最優先

の課題のすべてについて、菅新総理がすでに魂を売ってしまっているなら、新政権は主権者国民のための存在ではない。政権を担う首相および閣僚の利益を増大させるものでしかない。断定するには時期尚早であるが、疑いは極めて濃厚になっている。

国民のための政治を装った自分たちのための政治になる。民主党内「偽装CHANGE勢力」による政権争奪である。これが真実であれば、鳩山氏・菅氏の行動は万死に値する。

市場原理主義者と自己中心主義者はほぼ同義である。

この疑いが確認されるなら民主党は分裂に向うだろう。否、分裂すべきだ。

共生主義   VS 市場原理主義

自主独立   VS   対米隷属

官僚利権排除 VS 官僚利権温存

金権政治排除 VS 金権政治温存

の対立軸で、政界再編を進展させねばならない。

共生主義・自主独立政治を牽引する強力なリーダーが必要である。市場原理主義者=対米隷属派の裏側には米国が存在し、マスメディアを支配している。

マスメディアによる情報操作を打破して、この闘いに勝利するには、カリスマ性のあるリーダーが不可欠である。小沢一郎氏が表面に出ることを望まないなら、表の顔が必要だ。

すべての原点は、米国が支配するこの国の現状を打破しようと、日本国民が真剣に考えるのかどうかである。

魂を売って欲望を満たすのか、いばらの道であっても尊厳を守り抜く道を選ぶのか。リーダーに対しても、市民に対しても、人間としての矜持が問われている。

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普天間問題対米隷属継続を宣言した菅直人首相

菅直人政権が発足した。

オープンにし、透明性を高めることは望ましいことだ。

公約違反にならないようにしっかりと取り組んでもらいたい。

政権発足に際して、菅直人総理大臣が記者会見を行った。

三つの重要な問題が存在する。

第一は、沖縄普天間問題への対応が、菅政権の主権者国民無視=対米隷属を明示すること。

第二は、国民生活を守る視点からの経済政策論議が欠如していること。

第三は、官房機密費問題に対する姿勢が「不透明」であること。

第一の点について、菅総理は「日米同盟が基軸」であり、日米合意に基づいて進めてゆかねばならないと説明した。鳩山内閣が総辞職に追い込まれた原因を枝野幸男幹事長同様、菅総理もまったく正しく認識していない。主権者国民を土足で踏みつける対応である。

昨年9月に発足した新政権は、日米合意が存在することを知った上で、普天間飛行場の移設先を変更することを公約に掲げて政治を運営した。その根拠は、日本の主権者である国民、沖縄県民が県外あるいは海外への移設を強く求めたことにある。

鳩山内閣は本年1月に実施された沖縄県名護市長選を民意の表明として注視したが、結果は基地移設拒絶を訴えた稲嶺進氏の当選であった。沖縄県民の県外あるいは海外への移設を求める声は日増しに強まり、本年4月25日には知事も参加して県内移設拒絶の県民大会も開かれた。

鳩山前総理が掲げた目標は極めて困難なものであったが、二つの意味で、極めて重大な意味を帯びるものだった。

ひとつは沖縄の過酷な負担を軽減する画期的な施策であること、いまひとつは、米国の言いなりになり続けてきた戦後日本外交を質的に転換させる最大の契機になることだった。

米国に対して言うべきことを言えなければ、真の独立国とは言えない。日本の国のあり方を変える画期的な試みであった。しかし、この歴史的な取り組みを成功させるには、周到な研究、強固な理論武装、不屈の精神力が不可欠であった。この三点が備わっているのかどうか、私は当初、強く懸念した。

しかし、鳩山総理は政権発足に際して、改めてこの目標を実現することを明確に掲げた。掲げた以上、体を張って、最後までやり抜かねばならなかった。

小沢一郎前幹事長は、普天間の海外移設をやり抜く腹を固めたと思われる。米国は小沢氏と接触して小沢氏を懐柔しようと試みたが、小沢氏の判断が強固であることを察知して小沢氏に対する米国招聘を取り下げたのだと考えられる。

鳩山内閣が普天間基地の海外移設をやり通せば、日本の歴史は大きな1ページを開くことに成功したはずである。

しかし、鳩山総理は外務省、防衛省の包囲網を突破できず、辺野古海岸破壊案に舞い戻ってしまった。その結果が社民党の政権離脱であり、内閣支持率の致命的な低下だった。鳩山内閣が総辞職に追い込まれた最大の原因は普天間問題の決着を誤ったことにある。

ところが、総理続投の意思を有していた鳩山総理は退陣を迫られ、小沢一郎氏を道連れにしてしまったのである。と同時に、鳩山内閣総辞職の原因を普天間問題から「政治とカネ」問題にすり替えてしまった。

メディア報道は、すべてこの路線を採用した。鳩山政権崩壊の主因である普天間問題を取り上げずに、「政治とカネ」問題だけを取り上げる。そして「政治とカネ」問題はイコール小沢氏問題としたのである。

この図式に従って、新政権の課題がいつの間にか普天間日米合意の再検討ではなく、「政治とカネ」問題への対応になり、脱小沢が新政権の課題であるとのストーリーが仕立て上げられた。誰がこの筋書きを用意したか。

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真実はまったく違う。鳩山内閣崩壊の原因は、鳩山総理が日本の主権者を無視する対米隷属の決定を示したことにある。

鳩山前総理は政府案を決定するには、連立与党、主権者国民、米国の同意が必要だと繰り返してきた。ところが5月28日に鳩山総理が示した政府案は、連立与党の同意を得られない、主権者国民の同意を得られない、米国がゴリ押しした元の日米同意だったのだ。

日本の主権者国民がこの政府決定を呑めるわけがない。政府決定を呑めないのは社民党だけでない。日本の主権者国民が呑めない案なのだ。だから鳩山内閣が崩壊した。当然の帰結である。

小沢一郎前幹事長は、海外移設の覚悟をもって対応し続けた。鳩山前総理が米国に屈服するのでは総理退陣を免れないとの判断を固めたと思われる。

ところが、鳩山総理が辞任表明発言で、すべての真実が巨大な虚構によってすり替えられてしまった。

メディアは普天間問題についての世論調査を一切実施しない。大きな力が働いている。大きな力によって、この問題に対する世論調査が禁止されているとしか考えられない。

小沢一郎氏が火祭りにあげられた。人間として最低の部類に属するとしか見えない渡部恒三氏をヒーローに仕立て上げるメディア報道には反吐を吐くしかないが、背後に大きな力が働いていることは明白である。

「対米隷属」の呪縛から日本はまだ離れられないのだ。

鳩山内閣が普天間問題の処理を誤って総辞職に追い込まれたとの原点を、じっくりと再検証することが、新政権の最初の課題であるはずだが、菅政権の向う方向が異なる。

菅新総理は記者会見で、

「日米の間の合意はでき、それに基づいて進めなければならないと思っております」

と述べた。

日米の間の合意ができたのは事実だが、主権者国民と連立与党での合意を得られなかったのであり、そのことが政権崩壊の主因になった。

社民党が政権離脱したから菅政権内部の問題ではなくなったが、主権者国民の同意はいらないと言うのか。

「それに基づいて進めなければならない」というのは、主権者国民よりも米国を優先することに他ならない。

このスタンスを変えないなら、菅氏が就任したのは、アメリカ合衆国日本州知事か、アメリカ合衆国領日本総督府総統でしかない。

長くなるので、第二、第三の問題については稿を改める。

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