カテゴリー「鳩山民主党の課題」の73件の記事

2010年5月18日 (火)

国民との約束無視前原国交相更迭を検討すべし

高速道路料金の見直しに関して、前原国交相が6月からの料金改定を断念する方針を示した。

高速道路料金について民主党は昨年8月30日の総選挙に際して、無料化の方針をマニフェストに明記した。もとより、高速道路は建設の時点で、道路建設費を料金収入によって回収した時点で無料化する方針の下に建造された。

ところが、採算の取れない地域への高速道路の延伸に費用がかかるため、すでに建設費の回収を終えてしまった区間についても、有料制が温存されてきた。諸外国の事例を見ても、高速道路通行に高額の料金を徴収している例はなく、民主党が政権公約に掲げた無料化の方針は妥当なものであった。

民主党の政権公約に慌てたのが自民党だった。次期総選挙で政権交代が実現するかも知れない状況に置かれた自民党は、民主党の政権公約に対抗するために、週末、休日上限1000円の高速道路料金割引制度を急遽導入して実施した。

週末の利用に限って料金を上限1000円としたのだから、週末や盆や年末に道路大渋滞が生じるのは当然だ。それでも父親は生活環境が厳しさを増すなか、安い価格で遠い土地にレジャーに出かけられる割引制度の利用をせがむ家族の声に押されて、体に鞭打って週末ドライブに出かけたのだ。

大渋滞はCO2発生量を激増させるから、環境への負荷が大きい政策であったが、それでも、一般国民は高速道路料金引き下げ措置を歓迎したと言ってよいだろう。

麻生政権のバラマキとも言える高速道路料金割引制度を引き継いだ鳩山政権が高速道路料金の新体系をどのように打ち出すのかが注目された。

ところが、前原国交相が提示した新料金制度は、期待を根底から吹き飛ばす代物であった。平日を含めて料金上限を2000円とし、ETC利用者に適用されている割引料金制度を基本的に全廃するというものだった。

上限2000円でこれまでの料金よりも割安になるのは、当然のことながら遠隔地に限られる。無理やり遠く彼方の地方まで運転しなければ割引のメリットを受けられない。週休2日だから、遠く彼方にドライブしても、眠りについた翌日には、その遠い彼方から帰ってこなければならない。

利用者の8割にとっては値上げになる新料金制度が発表されたのだ。

この前原国交相提案に対して、小沢一郎民主党幹事長が、国民に対する公約と逆行するから、修正が求められるとの見解を示した。鳩山総理は直ちに対応して、新料金制度を修正する方針を明示した。

ここで、示されたのが前原誠司国交相の大人げない対応だった。民主党は高速道路建設についても、必要なものは実施するように求めてきた。前原国交相は料金割引財源の一部を道路建設に充当するのだから、値上げは当然だと開き直った。

鳩山総理が新料金制度の見直し方針を示したにもかかわらず、その方針に素直に従おうとせず、記者に対して、「現時点では政府提案を見直さず」との発言を示した。

鳩山総理と前原国交相との会談では、すでに政府提案を国会に提示してしまっているので、修正は法案審議のなかで行うことを確認したのだと思われるが、前原氏は、自分のメンツを守るために、「現時点では見直さず」と発言したのだと考えられる。

国交省が提示する新料金制度は、前原氏の個人的な感情を反映させるべきものでない。鳩山政権は主権者国民に対して、「政権公約」との形で、約束、堅苦しく言えば契約を結んでいるのだ。

国交省が提示する新料金制度がその契約、約束に拘束されるのは当然のことだ。幼稚園のままごとをしているのではない。国民に対する責任を果たせないことを、どこの誰がこう言ったからと言い訳するようでは、閣僚の任を負う資格はない。直ちに閣僚職を辞して、修行を積み直すしかないだろう。

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国交相は「現時点では見直さない」と発言し、今度は6月実施断念を表明した。7月には主権者国民が政治に対する審判を下す最重要の国政選挙が行われる。主権者国民からすれば、直ちに鳩山政権が修正案を提示し、参院選までに明確な姿を示してもらいたいと考えるだろう。

個人的な感情で、本来の職務をサボタージュすることを慎まなければ、国民は厳しい審判を下すことになるだろう。

昨年3月3日に、小沢一郎氏の公設第一秘書である大久保隆規氏が逮捕起訴された三三事変についても、前原誠司氏は「検察の判断を重く受け止めるべき」と発言し、事案の真相を見極める姿勢すら示さなかった。

この大久保隆規氏が起訴された事案の公判では、検察側証人が大久保氏の無罪を決定づける証言を示し、検察側は公判維持ができない情勢に追い込まれている。

進退窮まった検察は、本年1月15日に、これまた政治資金規正法違反として摘発したこともない、これまでは記載しないで許されてきた瑣末な資金繰りの記載漏れを、小沢氏の場合に限って「犯罪」であるとして、摘発したのである(一一五事変)。この摘発は、公判維持ができなくなった検察の単なる暴走であるとしか考えられない。

つまり、これまでに明らかになった事実からは、小沢氏ではなく検察の行動に正当性がないことが明白である。

鳩山政権には、閣僚の重責を担うにふさわしくない人物が複数名、閣僚として起用された。民主党内の反小沢一郎氏勢力の不満を抑制するために、已むなく起用されたのだと考えられる。

しかし、こうした人物が、反党的行動を繰り返し、そのために、政権交代によって実現しなければならない国民的課題の達成が遠のいてしまうとの弊害が顕著に表れ始めている。

普天間問題でも前原誠司氏は沖縄担当相として問題解決に心血を注ぐべき立場にありながら、海外旅行など、自分の個人的な希望ばかりを優先する行動を示してきた。

鳩山総理は、普天間問題を国民の視点から解決するためにも、内閣改造を断行するべきである。鳩山総理の決断力と実行力が強く求められている。

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2010年5月11日 (火)

鳩山総理は米代理人更迭内閣改造を実施すべし

民主党の川内博史衆院議員を団長とする視察団が北マリアナ諸島、グアム、サイパンを訪問し、北マリアナ諸島議会議長から鳩山総理に宛てた信書を携えて帰国した。

北マリアナ諸島はグアム・テニアンでの代替施設受け入れ方針を表明しているが、難航する普天間基地返還問題を打開する極めて有力な提案である。

私に対してグアム・サイパンに関する情報を提供くださった方の資料によれば、米軍は2006年以降、自国領グアムを、海兵隊を含む太平洋軍の一大軍事拠点とする計画を進めており、すでにそのための環境アセスメント案を現地で公表している。

グアムには現在、普天間基地の13倍、嘉手納基地の4倍もあるアンダーセン空軍基地があるが、アセスは「沖縄海兵航空隊を受け入れて余りある」と「評価」しているとのことだ。

鳩山由紀夫首相は日米間で辺野古海岸にV字形滑走路を建設する合意があることを踏まえたうえで、昨年8月の総選挙に際して、「最低でも県外」との方針を示した。

民主党のマニフェストでは、日米合意が存在していることを踏まえ、「移設案の見直し」との一歩引いた表現が用いられた。民主党内に、合意を覆すことは困難との慎重論があるなかで、鳩山総理はあえて「最低でも県外」との主張を展開して総選挙を闘ったわけである。

総選挙後、今日にかけて鳩山政権内部で普天間基地返還問題が検討されてきたが、国外移設案が真剣に検討された形跡はない。

その理由は単純である。米国が麻生政権との間で成立させた合意をすべての出発点に置いており、この水準から大幅に後退するいかなる提案にも応じない姿勢を示したからである。

米国の立場に立てば、日本政府が政府として米国政府と成立させた合意であるから、正当な事由なく合意を変更されては困るということだろう。仮に合意を変更したいと云うのなら、米国の利益水準が低下しない程度の代替案に留めるべきであると主張するだろう。この主張を米国が示すこと自体は当然のことであると思う。

しかし、鳩山総理は、こうした事情が存在する現実を知らずに選挙演説をしたわけではない。合意が存在している事実を認識し、したがって、その合意内容を変更することが外交問題として極めて困難な作業であることを認識し、そのうえで、あえて「最低でも県外」との方針を示したのである。

鳩山総理が方針を撤回するのであれば、その機会は存在した。政権が発足した時点で、政権公約を再精査し、実現不能な公約については修正をする必要があった。政権発足時点で公約について見直しを実行し、実現不可能な公約を撤回していたなら、それはひとつの問題処理方法であったと思う。

しかし、鳩山総理は政権発足後も普天間飛行場閉鎖に関連する公約を維持し、2010年5月までに結論を示すことを明示し続けた。

最終的に5月末の段階で、すべての関係者の合意が成立していなくとも、鳩山総理の責任問題は必ずしも浮上しないだろう。普天間基地問題の本質は日本の国内問題であり、国内関係者の合意を5月末までに得られるのであれば、残る米国との交渉については、時間を延長しても差し支えはないだろう。

5月末と云うのは、日本国民に対する約束であるからだ。

鳩山総理が解決困難な課題に果敢に取り組んできた最大の理由は、沖縄の過大な負担、重過ぎる現在の負担と危険を是が非でも軽減したいと考えたからであると思われる。鳩山総理のこの考え方は正論そのものである。

しかし、米国との間に合意が存在するなかで合意を新たに代替案に変更することは容易なことではない。精力的な対応を実行しなければ、実現は困難だ。

しかしながら、日本全国各地における米軍基地に対する姿勢は極めて厳しいと言わざるを得ない。問題は日本の主権者国民が日本の安全保障問題を念頭に置いて、米軍にどのように対応しているかということだ。

米軍基地の存在にさまざまな問題があるにせよ、日本の安全保障確保の観点から米軍が必要不可欠であるとするなら、場所はさておき、米軍が必要であるとして、必ず候補地を選定しなければならないとの対応が示されるべきだ。

ところが、マスメディアの対応を含めて日本の対応はまったく異なるものだった。米軍基地そのものに対する拒絶反応をマスメディアが率先垂範したのである。マスメディアの示した行動は、「ヤンキーゴ―ホーム」そのものであった。

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また、沖縄県名護市では、本年1月に市長選が実施された。鳩山総理も名護市の民意を尊重するとの方針を示し続けた。その名護市では、海岸滑走路建設だけでなく、陸上基地も、もちろん沖合基地も、すべての基地移設に反対を表明する市長が誕生したのである。

他方、他の沖縄県内候補地、国内代替施設候補地についても、一斉に基地断固拒絶の運動が燎原の火の如くに広がった。

鳩山政権は主権者日本国民の民意を代表する政権である。普天間基地移設問題は外交の側面を持つとしても、本質は国内問題である。

これだけの情勢が揃い、しかも総理大臣自身が困難な日米交渉であることを認識したうえで「最低でも県外」との方針を示した以上、その方針に沿って、最大限の努力を注ぐことは当然の責務である。

だとすれば、グアム・サイパンへの移設案を真剣に検討する必要が絶対にあるのだ。

ところが、鳩山政権内部でこの国外移設案が真剣に論議された形跡がない。鳩山政権内部で普天間問題を所管する閣僚は、岡田克也外務相、北澤俊美防衛相、前原誠司沖縄担当相の三名である。この三名が県外移設案を真剣に検討しようとしなかった疑いが濃厚である。

国外移設案を検討しない理由があるとすれば、その候補はひとつしかない。米国が麻生政権の合意から大幅に後退するとして拒絶することだ。米国がそのような主張を示すことは十分に理解できる。しかし、米国の主張をそのまま鵜呑みにするのなら、そもそも外交など必要ない。すべてを米国の指令に従うとだけ定めればよいことになる。

前原氏、岡田氏、北澤氏の三名は、米国に対して「言うべきことを言う」姿勢を示してこなかったのではないか。

麻生政権がいかなる合意を成立したにせよ、鳩山新政権は政権発足前の総選挙で、普天間問題を公約に掲げて選挙を闘い、主権者国民の同意を得て多数議席を獲得して正規の手続きに従って政権を発足させたのである。

その鳩山政権が政権公約に基づき、日米合意の見直しを提案する以上、米国も協議に応じる必要がある。

すべての状況を含めて検討すれば、グアム・サイパンへの移設案は、極めて妥当な合理的な代替案になり得るのだ。日米協議はこの案を軸に検討されるべきものであったと言って過言でない。

「抑止力」の問題は、あってなきような問題である。そもそも沖縄に残留する予定の海兵隊の兵力だけ「抑止力」と表現すること自体が笑止千万なのである。「海兵隊」の第一の任務は米人保護であって日本の領土保全ではない。

いまからで遅くない。鳩山政権は海外移設案を真剣に検討するべきだ。鳩山総理の本当の「腹案」が、そもそも海外移設であるとの可能性も否定できない。これは本人でなければ分からないことだから詮索に意味はないが、海外移設案を軸に早急な検討を示すべきである。

鳩山政権内に日本国民の利益よりも米国の利益を優先する米国代理人が存在するなら、鳩山総理はそのような人物を更迭し、日本国民の利益を最優先する体制を整えるべきである。この点を重点とする内閣改造を検討する必要があると思う。

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2010年5月 7日 (金)

官房機密費に群がる御用言論人実名が明らかに

米国、官僚、大資本が支配する日本。その手先として跋扈(ばっこ)する利権政治屋とマスゴミ。この五者を政官業外電悪徳ペンタゴンという。

_72 竹下登元首相が、小沢一郎氏攻撃を主目的として「三宝会」という偏向報道結社を主宰したことが明らかにされている。

TBSがニュース番組のアンカーとして起用した後藤謙次氏は「三宝会」の世話人を務めていた人物である。

小泉政権以降、メディアの偏向が急激に激しさを増した。

テレビ番組が改編され、政権を批判する論客が画面から排除された。

情報統制時代に台頭した人物が多数存在する。情報偏向番組が著しく増加した。

政権交代が実現したいま、メディア浄化を実現しなければならない。事業仕分けが実施されているが、抜け落ちている機関が存在する。NHKである。NHK受信料はNHK設立根拠法に基づく規定によって定められている。

視聴者の資金によってNHKが成り立っているのなら、NHKの運営に視聴者の声が反映されなければならないはずだ。

第二次大戦後、GHQの方針により、放送委員会が組織された。放送委員会はNHK会長の人事権を保持するなど、強い権限を付与された組織だった。

放送委員会は1947年に、政府から独立した機関としての放送委員会を特殊法人として設立する提案を放送委員会法案要綱として策定した。しかし、GHQの対日占領政策が大転換したために、雲散霧消してしまった。

本来は、全国の放送聴取者から選挙で選ばれた30ないし35名の委員が放送委員会を組織して、政治から独立したNHKを実現するはずであった。

ところが、日本の民主化措置は腰砕けとなり、吉田茂首相が主導して電波三法が制定され、NHKは政治権力の支配下に置かれることになった。

NHKの料金体系も予算も、政治の管理下に置かれることになった。その結果、NHKは視聴者の視点に立つのではなく、永田町・霞が関に顔を向けて運営されるようになった。

視聴者からの料金収入で経営を賄う以上、事業仕分けの対象にNHKを組み込み、視聴者の意向を反映する意思決定形態導入を検討するべきである。

政権交代によって実現しなければならない重要課題に、マスメディア浄化=マスゴミ撲滅を掲げねばならない。

民間放送の偏向問題について、野中広務元官房長官が極めて重要な事実を摘示された。この問題を山崎行太郎氏ブログで取り上げられ、さらに副島隆彦氏が、改めて『学問道場』で取り上げられた。

偏向報道問題を斬るうえで、この斬り口がもっとも分かりやすい。情報工作を行う上での鉄則は、痕跡を残さないことだが、この斬り口で点検するなら、工作活動の痕跡が鮮明に確認できる。官房機密費の非公開が永遠に持続すると考えたのだろう。

言い逃れはできない。事実を消滅させることもできない。

事実の開示は時間の問題になってくる。

事実を開示することによって、マスゴミ浄化が一気に加速する可能性が生まれる。

偏向色の強い番組、人物を列挙する。

日本テレビ 太田光の私が総理になったら

テレビ朝日 TVタックル

テレビ朝日 サンデープロジェクト

TBS   朝ズバッ

読売テレビ ウェークアッププラス

テレビ東京 週刊ニュース新書

読売テレビ やしきたかじんのそこまで言って委員会

テレビ朝日 報道ステーション

フジテレビ 新報道2001

TBS   ニュースキャスター

偏向の激しい人物を列挙する。

爆笑問題、北野たけし、テリー伊藤、三宅久之、

みのもんた、辛坊次郎、田勢康弘、古舘伊知郎、

宮崎哲弥、財部誠一、田原総一朗、浜田幸一、

岩見隆夫、岸井成格、大谷昭宏、星浩、

などをあげることができる。

 私が巻き込まれた冤罪事件に関して、私に対する不当で不正な激しい攻撃を展開したのが、北野たけし、テリー伊藤、太田光、宮崎哲弥、大谷昭宏、みのもんた、の諸氏である。

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 副島隆彦氏が「今日のぼやき」で紹介された新聞報道の一部を転載させていただく。

「機密費、評論家にも 野中元長官、講演で証言」

琉球新報 2010年4月23日 

 野中広務元官房長官は、23日に那覇市内で開かれたフォーラムの基調講演の中で、自身が長官在任中(1998年7月~99年10月)、先例に従い、複数の評論家に内閣官房報償費(機密費)から数百万円を届けていたことを明らかにした。

 野中氏は講演で「言論活動で立派な評論をしている人たちのところに盆暮れ500万円ずつ届けることのむなしさ。秘書に持って行かせるが『ああ、ご苦労』と言って受け取られる」と述べ、機密費からの提供が定期的にあったことを明かした。

 野中氏は自民党政権時代に、歴代の官房長官に慣例として引き継がれる帳簿があったことにも触れ「引き継いでいただいた帳簿によって配った」と明言。その上で「テレビで立派なことをおっしゃりながら盆と暮れに官邸からのあいさつを受けている評論家には亡くなった方もいる」と指摘した。一方で機密費の提供を拒否した評論家として田原総一朗氏を挙げた。

 官房長官の政治的判断で国庫から支出される機密費は、鳩山内閣が昨年11月に内閣として初めて2004年4月以降の小泉内閣から現在までの月別支出額を公表したが、使途については明かしていない。

<用語>内閣官房報償費(機密費)
「国の事業を円滑に遂行するために状況に応じて機動的に使う経費」とされる。国庫からの支出は年間約12億円で、使途の不透明さが問題視されており、民主党は2001年に一定期間後の使途公表を義務付ける法案を国会に提出した。

「野中広務氏が講演で暴露」

朝日新聞 2010年5月1日

「言論活動で立派な評論をしている人たちのところに盆暮れ500万円ずつ届けることのむなしさ」

 野中広務元官房長官は、23日に那覇市内で開かれたフォーラムの基調講演の中で、自身が長官在任中(1998年7月~99年10月)、先例に従い、複数の評論家に内閣官房報償費(機密費)から数百万円を届けていたことを明らかにした。野中氏は講演で

「言論活動で立派な評論をしている人たちのところに盆暮れ500万円ずつ届けることのむなしさ。秘書に持って行かせるが『ああ、ご苦労』と言って受け取られる」

と述べ、機密費からの提供が定期的にあったことを明かした。

 野中氏は自民党政権時代に、歴代の官房長官に慣例として引き継がれる帳簿があったことにも触れ、「引き継いでいただいた帳簿によって配った」と明言。

その上で「テレビで立派なことをおっしゃりながら盆と暮れに官邸からのあいさつを受けている評論家には亡くなった方もいる」と指摘した。

野中「(政治)評論をしておられる方々に、盆暮れにお届けするというのは額までみんな書いてありました。まあ、あいさつ程度のことですけども、盆暮れやってるのを見て、ああ、こんなことをせなならんのかなと。あんだけテレビで正義の先頭を切るようなことを言っている人が、こんな金を平気で受け取るのかなと思いましたね。」

一方で機密費の提供を拒否した評論家として田原総一朗氏を挙げた。

(ここまで『副島隆彦の学問道場』様からの転載)

官房機密費から言論人への資金提供については、過去にも報道されたことがあったが、明確に責任は問われなかった。

政権交代が実現し、官房機密費の使途公開が進展し始めている。

田原氏は官房機密費を受け取らずに偏向報道を展開していたのであり、官房機密費がすべてではないが、少なくとも官房機密費を受け取って発言を行っていた人々は、その道義的責任を追及されるとともに、発言内容を根本から再検証しなければならないことになる。

鳩山政権は言論人に対するこれまでの資金提供のすべてを全面公開するべきである。この全面公開が腐敗しきった日本の言論空間浄化の第一歩になることは間違いない。

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2010年4月27日 (火)

公約違反料金案責任を小沢氏に転嫁する前原氏

高速道路料金の新制度について、小沢一郎民主党幹事長が政府・民主党首脳会談で公約違反とならないことを求めたことについて、各種報道が示されている。

鳩山総理は小沢幹事長の要請を受けて、新料金制度を見直す方針を表明したが、所管大臣である前原誠司氏が現時点では見直しを行わないと発言し、メディアが小沢一郎幹事長と前原誠司氏の対立として、見当違いの報道を展開している。

昨日4月26日の定例記者会見でこの問題を質問された小沢一郎幹事長は、「前原君がどういうことを言ったか、どのような行動をしたか、私は別にまったく関心ない。興味もない」と発言した。

4月23日の閣議後記者会見で前原氏は「道路整備をしろと言っておきながら、値段が上がってもいけないという。二律背反なことをおっしゃっている」と述べた。

また、小沢一郎氏が「役所を説得できないところに、こういう結果が出てきた」と前原氏を批判したことについても、「まったくの事実誤認。政務三役で決めて、国交省に指示した。調べてからお話された方がいい」と色をなして小沢幹事長を批判した。

4月26日の小沢幹事長会見は前原氏の低次元発言に取り合わない姿勢を示したもので、スケールの違いを見せつけたが、前原氏は自己正当化に終始するのでなく、主権者である国民をしっかりと見据えた対応を示すべきである。

前原氏は昨年12月に党から道路建設の必要を要請され、料金割引財源の一部を道路財源に回したことを「料金値上げ」の理由に掲げ、「道路整備を要請しながら料金値上げを批判するのはおかしい」と主張する。

小沢一郎幹事長攻撃を目標として行動するマスメディアは、この主張に全面的に乗る形で小沢一郎幹事長を批判する。

小沢幹事長は、「何かがあればすべて小沢一郎が悪いの一色になる」とメディアを批判したが、正鵠を射た指摘だ。

党が民意を受けて道路整備の必要性を政府に伝えたことが事実だとしても、そのことと引き換えに、党が政権公約違反の高速道路料金引き上げを国交相に要請した事実はない。

鳩山政権は国民に対して「高速道路無料化」の約束をしている。その政策の所管大臣は前原氏である。与党が政府に対して一部の道路建設を要請するのは当然である。この要請に際して党が、道路建設を認める代わりに高速道路料金無料化の政権公約を撤回することを併せて要請したのなら前原氏やマスメディアの主張も筋が通る。

しかし、そのような事実は存在しない。前原氏には、鳩山政権の閣僚として政権が主権者国民との約束=政権公約に対して責任を負っていることを忘れてもらっては困る。

与党との協議で何があったにせよ、そのことを主権者国民に対する約束違反の言い訳に使うようでは大臣失格である。小学校の学級委員会とは違うのだ。

党から道路建設についての要請は、あって当然である。そのような要請を踏まえつつ、しかし、主権者である国民との約束を、責任をもって守り抜く覚悟と行動力がなければ閣僚など務まるはずがない。

国民との約束を破って平然として、なおかつ、その言い訳として「党が道路建設を求めたから」などと言うのは幼稚園生以下の対応だ。

鳩山政権は国民に対して「高速道路料金無料化」の約束をしている。現料金体系では麻生政権が週末料金の引き下げを行ったから、週末高速道路料金は上限1000円になっている。

日本経済のゼロ成長が20年続き、格差は拡大する一方の日本。大多数の一般庶民は不況と所得減少のなかで、非常に厳しい生活を強いられている。

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麻生政権の1000円上限割引政策を良い政策だとは思わないが、非常に多くの国民がこの制度を活用しようと汗水流したのは事実である。

週末だけ1000円になる割引料金を獲得しようと行楽に出かければ大混雑は必至だ。平日に仕事で疲れきっている親が週末ドライブに出かけるのは本当につらいことだ。

それでも厳しい生活のなかでささやかなレジャーを楽しむために、わが身に鞭打って週末の家族サービスに出かけたのである。現在の厳しい生活環境の下では、ETCを装備するのにも大きな覚悟が必要な人も多くいただろう。

それでも、ETCを搭載しなければ割引料金を獲得できないからと、無理をしてETCを搭載した人も多くいるはずだ。

前原氏には、こうした一般庶民の視線でものを考える姿勢が欠けている。

新料金制では、通常の高速道路利用者の8割が値上げになるのだ。また、ETC搭載車に適用されてきた時間帯別・距離別割引制度も全廃になる。せっかくETCを搭載したのに、割引制度が全廃されれば、多くの人が大きな失望感を味わうことに思いが及ばないのであろうか。

前原氏の発言は、図らずも前原氏の意思決定が小沢一郎幹事長に全面的に依拠していることを告白してしまうものになっている。

前原氏の発言は、「小沢幹事長の言う通りに行動しているのに、小沢幹事長に批判されるのはおかしい」と言うものである。しかし、前原氏の立場は、小沢幹事長に対してではなく、国民に対して責任を負う立場であり、その意思決定は、自身の判断と責任においてなされなければならないのである。この基本を前原氏が理解できないとしか考えられない。

繰り返しになるが、前原氏は鳩山政権が主権者国民に約束している「高速道路料金無料化」という政権公約に対して責任を負う立場にある。それにもかかわらず、前原氏が決めた新料金制度は、8割の利用者にとって値上げになる制度なのである。

この新提案について公約違反だと判断しているのは主権者国民である。誰の目から見ても約束違反であることは明白だ。

一般庶民のささやかな喜びをも奪い去る、まったく血の通わぬ政策である。小沢幹事長の発言は、この当然の国民の声を代弁したものであり、小沢幹事長個人の感想ではない。

問題の本質は、前原国交省が高速道路料金引上げの新料金制度案を提示したことにある。党から道路建設の要請があったにせよ、なかったにせよ、そのようなことは言い訳にならない。所管大臣は、すべての状況のなかでの政策決定に責任を負う存在なのだ。前原氏が公約違反の批判を受けるのは当然である。

鳩山総理は小沢幹事長の要請を聞いて、正当な要請であると判断したのであろう。見直しを明言した。

窮地に追い込まれたのは前原氏である。自らの間違いを認めたくない前原氏は鳩山総理と掛け合い、法案審議のなかでの見直しを求めたのだろう。鳩山総理としても政府提案をしてしまった以上、法案審議のなかでの修正でなければ手続き上は失点が大きくなる。そこで、鳩山総理は法案審議のなかでの見直しの方針を固めたのだと考えられる。

この方針決定を悪用したのが前原氏だと考えられる。前原氏は「現時点での見直しをしない」と発言して、自分の立場を守った。「現時点での」の限定条項は、「法案審議を通じての見直し」を前提としたものであると思われる。

本来は、「法案審議のなかで必要があれば見直す」と発言するべきものだった。

前原氏が閣僚に起用された理由は、前原氏のような反党分子を政権内に封印しようとした点にあると考えられるが、閣僚に登用されたにもかかわらずに勝手気ままな行動をとり続けるなら、鳩山総理としては前原氏の更迭を検討せざるを得なくなる。

鳩山総理大臣は主権者国民のための政治、政権・与党の安定的な運営を考え、前原氏などを更迭する内閣改造を早期に実行することを検討するべきである。

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2010年4月22日 (木)

総理は前原国交相ごり押しを容認すべきでない

前原誠司国交相が新料金制度の見直しを行わないと発言したとの報道に関連して、「総理方針に反逆前原国交相を直ちに罷免すべし」

と題する記事を掲載したが、事実関係を調べると、前原国交相の発言は鳩山総理および平野博文官房長官との会談後のものであったことが判明した。

 鳩山総理大臣が前原国交相とどのような内容で合意したのかは明らかでないが、鳩山総理が新料金制度を見直さないとのことで同意したのであれば、前原氏更迭ということにはならない。

 しかし、前原国交相発言には、「現時点では」との限定条件が付されており、時期を見て修正することが念頭に置かれたものである可能性が強い。

 国交省が提示した新料金制度は、麻生政権が実施した週末上限1000円制度と比較して、週末に高速道路を利用する一般市民の大半の利用で「値上げ」になるもので、「高速道路料金無料化」をマニフェストに盛り込んだ民主党の方針に完全に逆行するものになっている。

 民主党が道路建設を求めたからこのような案になったと国交省は説明するが、この制度が実施されれば、大きな不満が鳩山政権に向けられることは火を見るよりも明らかである。最大の問題は、国交省がマニフェストに完全に逆行する新料金制度案を決定したことにある。

 この点を踏まえて民主党の小沢一郎幹事長が新料金制度の見直しを求めたのであり、その見直しの方針を鳩山総理が決定したのであるから、鳩山総理が前原国交相に明確な指示を示すべきであった。

 決定の修正を迫られたことに腹を立てて前原国交相が辞任すると言うなら、辞任させれば良いだけのことである。前原国交相は総理と直接折衝する前から見直しに応じない方針を示していたのであり、この前原国交相の行動を鳩山総理が容認するなら、鳩山総理のリーダーシップ、求心力にひびが入ることは避けがたい。総理大臣が一国務大臣の横暴に屈服してはならないのである。

 鳩山総理は民主党の挙党態勢を維持することを優先して、政策の大義と正義を失ってはならない。国交省が提案した新料金制度に問題があるのは明らかで、この点を指摘した党側の意見を尊重せずに、前原国交相のごり押しを容認するべきでない。

鳩山内閣は新料金制度を見直して、政府・与党が一致して了解する案を国会に提出して審議に向うべきである。いまからで遅くない。鳩山総理の断固たる行動が強く求められている。

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総理方針に反逆前原国交相を直ちに罷免すべし

本ブログ4月19日付記事

前原国交相は高速料金新制度提案を修正すべき」

に、国土交通省が提示した高道路料金新制度を見直すべきであるとの提言を示した。

4月21日に開かれた政府と与党民主党との首脳会議で、民主党側から民主党のマニフェストで示した方針と国交省の新料金制度との矛盾について指摘があり、新料金制度を見直す方針が決定された。

この問題について、鳩山由紀夫総理大臣は4月22日午前、

「無料化の方向と矛盾しない形で、双方が理解できる決着をしていきたい」

と述べた。

この方針に対して前原国交相は4月22日午後、新たな上限料金制について「現段階では見直しは行わない」と述べたと報道されている。

前原誠司国交相は鳩山由紀夫内閣の閣僚であるとの自覚を持つ必要がある。内閣総理大臣が上限料金制度の見直しの方針を明示した。総理大臣の発言を否定する内容をメディアに表明するなら、その前に国交相を辞任するのが当然である。

前原氏は組織人としての最低のルールさえ認識していないようだ。

4月19日付記事に記述したように、国交省の提示した新料金制度は主権者国民を愚弄するものである。民主党は昨年8月の総選挙で高速道路料金無料化をマニフェストに明記した。この公約に異論があるなら、マニフェスト確定の前に異論を唱えるべきである。

党としてマニフェストを確定し、このマニフェストを踏まえて民主、社民、国民の連立政権が発足した。その閣僚に前原氏は抜擢されたのである。前原氏は鳩山政権の一員として行動する責務を負っている。

閣僚の一員であることを自覚もせずに、自分勝手な行動を示すことは許されない。前原氏は小沢一郎前代表に対する批判発言を繰り返してきたが、誰が民主党を破滅寸前まで追いやり、誰が民主党を大躍進させたのかをよく考えてから発言するべきだ。

2005年9月の総選挙で岡田克也氏率いる民主党が大敗した後、民主党代表に就任したのが前原氏である。その後、輸入牛肉危険部位混入、ホリエモン逮捕、防衛施設庁汚職、耐震構造偽装問題で小泉政権が窮地に追い込まれたなかで、前原民主党は偽メール事件の処理を誤り、民主党を解党の危機に直面させた。

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この危機に火中の栗を拾ったのが小沢一郎前代表である。小沢民主党の的確な戦術、戦略によって民主党は大躍進を遂げ、遂に昨年8月30日の総選挙を経て政権交代の大業を成就したのである。

前原氏が小沢前代表の輝く実績に耐えがたい嫉妬を感じるのは無理もないが、そのことは、前原氏の反党行為の大義名分にはならない。

八ツ場ダム建設中止についても、地元との交渉を一切行う前に方針を示したために地元との交渉が座礁した。その後に工事中止を撤回したまま、工事中止確定が宙に浮いたままである。

鳩山由紀夫総理は、総理方針に明確に反する発言をメディアに行った前原氏を呼び出し、発言の撤回を求めるべきである。発言を撤回しないなら前原氏を更迭するべきである。

民主党内部には、①官僚主権、②大資本との癒着、③対米隷属、を基礎に置く反党分子が少なからず存在する。前原氏はその反党分子の代表的存在であると考えられる。

今回の問題で、前原氏のスタンドプレーが改めて確認されたわけで、鳩山総理は前原氏の更迭に踏み切るべきである。

国交省が一度示した提案を修正することをマスメディアが批判し始めているが、郵政改革案についてメディアがどう論評したのかを忘れてしまったのか。

郵政改革案では総務省が提示した案について内閣閣僚から異論が出た際に、メディアは閣僚の異論を支援した。

今回、国交省の提案に対して閣僚や与党から異論が噴出したのであり、なぜ今回は異論を提示した側が悪者扱いされるのか。

要するに、マスゴミは小沢-鳩山-菅のトロイカ体制を攻撃したいだけなのだ。今回の問題でも、小沢一郎幹事長の意向が強い影響力を持つことを攻撃するに違いない。

重要なことは、どの見解が正しいのかであって、どの見解が間違いなのかである。政策を決定する際には、形式的な手続き論で判断するのではなく、「過ちて改むるに憚ることなかれ」を基準とするべきである。

高速道路料金案では、国交省の提示した新制度が間違いであることは明白である。この間違いを正すことをためらうべきでない。

鳩山総理が政府・民主党首脳会談を通じて見直しを決定して方針を明言したのである。この方針に従うのがいやなら、前原氏は自発的に国交相を辞任するべきだ。

鳩山政権の足を引っ張っている大きな要因のひとつに、党内反党分子の行動がある。今回の問題を、党内反党分子を正当な事由で除去する良い機会を与えられたものと理解するべきだ。鳩山総理の強いリーダーシップが強く期待される。

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2010年4月19日 (月)

前原国交相は高速料金新制度提案を修正すべき

6月からの導入を予定している高速道路新料金システムの概要が発表された。休日上限1000円の割引制度が廃止されたうえ、ETC車に適用されていた時間帯による割引制度も廃止される。

代わって導入されるのは平日を含めた上限2000円の割引料金制度である。

しかし、2000円の上限料金が割引料金として利用されるには、これまでの料金制度と比較すると、深夜なら150キロ、通勤割引時間帯なら130キロ、それ以外の時間帯でも100キロ以上の距離の利用でなければ、割引料金にはならない。

個人の利用では8割の利用で割引とはならず、多くの利用者の利用料金が値上げとなってしまう。

麻生政権が導入した週末に限って上限を1000円とする料金割引制度は、週末の自家用車利用を激増させ、大都市圏では大渋滞を発生させる原因になった。

また、ETC搭載車に限って割引料金を適用することも不公平であるとの批判を生んできた。

これらの問題点を改善することは必要であろう。しかし、新制度では料金割引に充当する財政負担金が減少し、節約した資金を道路建設に振り向けることまでが盛り込まれている。

また、ETC搭載車に適用されていた割引料金制度がほとんど廃止されるため、割引料金制度の適用を目的に新規にETCを搭載した利用者から苦情が出るのは間違いない。

大渋滞が発生する地域を適用除外としてうえで、料金上限を1000円等に引き下げなければ、「高速道路料金無料化」の政権公約違反だとの批判をかわすことをできないだろう。

国土交通省の所管大臣は前原誠司氏である。鳩山内閣に対する批判が強まれば、自分が首相の座を獲得するのが早まるとでも考えたのであろうか。

各所管大臣が決定するすべての事項に事前に関与しなければ大声で騒ぐはずの仙谷由人国家戦略相は政権公約違反のそしりを免れない国土交通省提案を容認したのだろうか。国交省提案にクレームをつける場面が報道されないのはなぜだろうか。

大都市圏を除けば高速道路では渋滞があまり発生しない。高速で停止することなく自動車が走行すれば燃費は飛躍的に向上し、CO2発生量は大幅に減少する。高速道路料金無料化は環境重視の時代に逆行するとの批判があるが、現実は必ずしもそうであるとは言えない。

低速度走行で信号での停止が多い一般道を利用する自動車が高速道路を利用すれば、自動車利用の環境負荷は低下することも期待できる。

また、業務に高速道路を利用する物流関係の事業者にとっては、高速道路料金無料化は大きな経済的支援効果が付与される。

しかし、サブプライム経済危機に伴う税収の激減と麻生与謝野政権による巨大なバラマキ財政政策により、日本の一般会計での国債発行金額が2008年度当初予算での25兆円から2009年度補正後には53兆円に爆発してしまった。

2009年8月の総選挙時点と比べても、日本の国家財政事情は激しく悪化してしまった。この点を踏まえて、マニフェストに掲げた政策の実現について、優先順位を定めることは適正である。

また、高速道路料金の全面無料化方針を撤回して、部分的な無料化と大幅料金引き下げに修正することも許容されるだろう。主権者である国民も、こうした公約修正を受け入れると考えられる。

しかし、今回国土交通省が提示した案には、重大な問題がいくつかある。

①上限2000円とした新料金割引制度では、週末に高速道路を利用する者の圧倒的多数にとって料金引き上げになってしまう。

②ETC搭載車に適用されてきた各種割引料金の全面的な廃止は、ETCを新規に搭載した国民に詐欺被害者的な感情を植え付けることになる。

③社会的実験段階とはいえ、高速道路料金を無料化する区間が18%にとどまるのは公約からの乖離が大きすぎる。自動車利用のない区間だけをかき集めた印象が強い。

前原国交相は鳩山政権の支持率を低下させるための提案を示した可能性が高い。川内博史衆議院国交委員長が政府提案を修正すべきとの提言を示しているが、川内氏の主張に圧倒的な理がある。

政権が発足してまだ半年を過ぎた時点である。主権者国民に対する約束=マニフェストを尊重しない姿勢は主権者の鳩山政権に対する不信感を招く原因になる。

①政府支出の無駄排除に総力をあげるために、消費税増税を封印すること

②企業献金全面禁止を実現すること

③官僚天下りを根絶すること

④米国の言いなりにはならずに普天間基地移設問題を解決すること

⑤高速道路料金を無料化すること

は、すべての主権者国民がはっきりと記憶している公約である。

前原誠司国交相は主権者国民の鳩山政権に対する不信感が増幅せぬよう、高速道路料金新制度を見直し、修正した案を再度提示するべきである。

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2010年4月 6日 (火)

鳩山総理は日米対立を恐れずに交渉に臨むべき

テレビ朝日、日本テレビ、読売テレビ、フジテレビ、テレビ東京、TBS、そしてNHKの偏向報道が目に余る。

御用言論人の卑しい姿。

さらに品性下劣なのが、魂を売った芸人たちである。

タレントの多数は政治的中立を厳格に守っている。

タレントが政治発言するのは自由だ。確固たる信念をもって持論を展開するのなら大いに結構なことだと思う。

しかし、タレント、芸人の一部に、権力に魂を売っている人物が存在する。その品性の下劣さに辟易する。

国の政治のレベルは国民の水準によって規定される。

テレビが「小沢一郎民主党幹事長は悪い悪い」と繰り返す。「悪い」とするのも明確な根拠があってのことでない。イメージを刷り込む報道が繰り返されているだけなのだ。

毎日これらの偏向報道に接し、報道を鵜呑みにし、報道にそのまま感化される人々は、小沢氏についての見解を求められると、「民主的でない」、「幹事長を辞任するべきだ」との発言を示す。

これらの発言は、各個人が自らの判断で提示したものでない。普段聞いている話をそのまま繰り返しているだけなのだ。

国民の多数がこのレベルにとどまるなら、メディアの情報操作によって政治が誘導されても、国民は不満を述べるべきでないだろう。国民の行動が政治の結果を生み出す源泉なのだ。

政権交代によって実現すべきことは、国民の国民による国民のための政府樹立である。

これまでの政府は国民のための存在ではなかった。官僚と大資本と米国、そして政治家自身に利益をもたらすものだった。

政権交代によって実現すべきは、政治から「利権」を取り除くことなのだ。

官僚の利権、大資本の利権、米国の利権、そして政治家自身の利権を取り除くことが政権交代を実現する最大の目的なのだ。

天下りを全面禁止する

企業献金を全面禁止する

外交で米国に隷属しない

この三つを確実に実行することだ。

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日本は核の脅威に晒されていることになっている。日本は核兵器を持たない国だから、核兵器を持つ米国に日本の安全保障を委ねている。したがって、日本は米国に盾突くことが出来ない、とされている。

しかし、核兵器を持たない国で中立国を宣言している国は存在する。

核を持たずに、日本の防衛力で日本の安全保障を確保することも選択肢に入れるべきである。日米同盟は日本の選択肢のひとつにすぎないことを明確に認識するべきである。国内に外国軍が常時駐留することは普通の国の姿ではない。

基地移設問題で米国が主権者であるかのごとき行動を示すなら、日米は決別すれば良いのだ。米国は日本を属国と位置付けるから高飛車な態度を示すのである。

米国にひれ伏す外交からの訣別が鳩山政権に求められている。

普天間基地移設問題を、鳩山政権を攻撃する「政争の具」として取り扱う、反鳩山政権陣営の行動は、主権者である国民に対する背信行為である。

すべての主権者が一丸となって、米国にも言うべきを言い、これまでの対米隷属を改めることが大切なのだ。多数の自民党議員、メディアは主権者国民の側に立っていない。日本を属国とみなす米国の手先となって行動している。

普天間基地問題で鳩山政権が正しい着地点を見出すためには、米国との対立を恐れてはならない。日本には日本の事情があり、日本国内のことについて決定する権限が日本政府にあることを忘れてならない。米国がこの基本事項を認めぬなら、そのような国と友好的な関係を築くことはできない。日米決裂をも辞さない強い姿勢が必要なのだ。

悪徳ペンタゴンによる日本政治支配を堅持したい米国は、普天間問題を鳩山政権攻撃のカードとして利用しようとしている気配さえ窺える。これは、許されざる内政干渉である。

普天間問題を打開する最大の決め手は、鳩山政権が日米対立をも辞さない強い姿勢で交渉に臨むことである。鳩山政権が言うべきことを言い、その結果として日米対立が生まれるなら、日本の主権者国民は一丸となって鳩山政権を支援しなくてはならない。それが日本の自主独立を重視する日本の主権者が示すべき行動である。

主権者である国民が、米国、大資本、メディアの誘導に乗り、深く考えもせずに主権者国民のための政治体制確立を追求しないのなら、悪徳ペンタゴンによる日本政治支配の構造は永遠に存続し続けるだろう。主権者国民の行動がこの結果を生み出すなら、それは自業自得である。

主権者国民のための政治を実現するには、主権者国民自身が自覚し、偏向メディア情報に対する疑念を常に忘れぬようにしなければならない。

主権者国民のための政治を実現するための具体的な方法は、鳩山政権を支援し、そのうえで、鳩山政権に

天下り全面禁止

企業献金全面禁止

対米隷属外交からの脱却

を必ず実行させることだ。

主権者国民が賢明さを備え、ぶれないことが不可欠だ。

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2010年3月28日 (日)

鳩山総理は直ちに郵政改革案の統一を図るべき

鳩山政権の郵政改革案について、閣内での意見の乱れが表面化している。

ゆうちょ、かんぽ限度額を引き上げるとした亀井静香郵政担当相の方針発表について、閣内から反対意見が示されている。亀井静香郵政改革担当相は日本郵政に対する消費税免除について言及し、菅直人財務相が否定的見解を国会質疑で示した。この問題については亀井担当相が、税調で決定することであり消費税免除は個人的な見解を述べたものであると説明して問題は解消している。

ゆうちょ、かんぽ限度額引き上げについて、亀井静香担当相や大塚耕平金融担当副大臣は、郵便事業等のユニバーサルサービスを維持するための財源を確保するための方策との説明を示しており、一定の合理性を備えていると評価することができる。

民主党は2005年の総選挙に際して、郵政を民営化するのであれば、その前にゆうちょ、かんぽの規模を縮小するべきであるとの見解を示し、その文脈のなかでゆうちょ限度額の引き下げを提案していた。

しかし、2005年9月の総選挙では自民党が勝利し、ゆうちょ、かんぽの規模を維持したままでの郵政民営化に進んだ。そのなかで、地域の特定郵便局ネットワーク維持などについては、基金を設けるだけで、ネットワーク維持の責任を日本郵政に課さなかった。

この結果、郵政サービスは低下し、将来的なネットワーク維持についても黄信号が灯る状態が生まれていた。

鳩山政権の郵政改革は時計の針を2005年9月に戻して実行されるものではない。2005年9月の総選挙では、良い悪いを別にして郵政民営化に対するゴーサインが国民から示され、そのうえで郵政民営化が進められた。

鳩山政権はその延長上で新たに郵政改革を実行するのであって、2005年時点での論議にそのまま制約される必要はない。

2009年8月の総選挙は、郵政改革についても重要な公約が鳩山政権与党によって掲げられた。総選挙後、民主党だけではなく社民党、国民新党が政権協議を重ねたうえで鳩山政権が発足した。現在の郵政改革はこの政権協議を踏まえたものであって、2005年9月の総選挙における民主党政権公約に制約されるものではない。

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小泉政権が強硬実施した郵政民営化の延長上に現状があることを踏まえる必要がある。この現状を前提に置いて、特定郵便局ネットワークを維持することなどのユニバーサルサービスを追加的な財政負担を生まないように実現するための方策としてゆうちょやかんぽの限度額引き上げが提案されたのであれば、一定の合理性を有するということだ。

今回の問題の核心は、政権内部で完了すべき意見調整、見解統一化が政権外部との討論の場に持ち込まれている点にある。

国会質疑で政権内部の意見の乱れはすでに表面化している。鳩山総理ならびに菅直人副総理は、直ちに鳩山政権内部で意見調整を実行するべきであった。

日曜日午前の政治関連番組に政権閣僚が多数出演して、他党との討論の場で政権内部の意見対立を演じたのでは、野党との政治対決に勝利することなど覚束ない。

菅直人財務相は財務相と経済政策担当相を兼務するだけでなく、副総理を兼務しているのである。亀井郵政担当相との意見の相違がこれまでも何度か表面化しているが、政党討論会の場にまで個人的感情を持ちこんだのでは副総理の重責を担うことはできない。

鳩山総理は久しぶりの休養に出かけたと伝えられているが、休養に出る前に、重要問題についての閣内での意見統一を図るべきであった。

政権内部での足並みの乱れは野党に格好の攻撃材料を提供するだけでなく、鳩山政権打倒の使命を帯びるマスゴミにも格好の攻撃材料を与えるものであることを銘記する必要がある。

鳩山総理は直ちに郵政問題についての閣内意思統一を図り、問題の収拾を図るべきである。

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2010年3月26日 (金)

合理性と正当性を備える鳩山政権の郵政改革案

3月24日、鳩山政権で郵政改革を担当する亀井静香金融相などが中心となって取りまとめた郵政事業見直し策が公表された。

小泉政治礼賛報道を展開してきた小泉新報とも呼ぶべき日本経済新聞は早速、「選挙にらみ ゆがむ郵政」の見出しをつけて政府案に対する誹謗中傷を開始した。

社会の木鐸であるべき新聞が政治的偏向をあまりに強めれば一般市民が購読から遠ざかることは当然である。政権交代とともに下野したと公言する産経新聞ともども、新聞各社の経営状況は極端に悪化している。

小泉政権が提示した郵政民営化法案は2005年8月に参議院で否決された。小泉元首相は両院協議会を開くこともせずに、法案を可決した衆議院を解散して郵政民営化を強行した。

メディアが翼賛報道に徹した2005年総選挙では、民主党が的確な政策対案を示すことができなかったことも影響して自民党が圧勝した。

小泉元首相は郵政民営化に反対の自民党議員を自民党から追放し、その全員に刺客を放って国会から抹殺しようとした。

副幹事長を更迭するどころの話ではなかった。党執行部の統率を維持するために党運営に反旗を翻す副幹事長を更迭するのは、組織の論理として正常なものである。

偏向日本経済新聞記者出身の田勢康弘氏は、「解任は最悪の選択」と民主党の細野豪志氏に噛みつくが、田勢氏が小泉独裁政治に噛みついた話を寡聞にして聞いたことがない。

党執行部に反旗を翻す副幹事長を更迭することに目くじらを立てるほど、百家争鳴を尊重するはずの日本経済新聞は、小泉純一郎氏と昵懇(じっこん)の杉田亮毅氏が社長に就任すると、前任社長の鶴田卓彦元社長を追放し、イエスマンばかりの体制を敷いたまま、現在に至るのではないか。

百家争鳴の執行部を尊重するはずの日本経済新聞が、小泉純一郎氏の史上空前の独裁政治を批判しないのでは、中立公正を尊ぶ市民は日本経済新聞の読者をやめることになるだろう。

小泉元首相が郵政民営化に執着した理由は三つだと言われている。第一に個人的な怨恨。小泉氏が衆議院議員に初めて立候補したとき、小泉氏は郵政の応援を得ることができず落選した。この個人的怨恨=ルサンチマンが郵政民営化の原点であると指摘されている。

第二は、小泉氏が純然たる大蔵族議員であっとことと深く関わっている。郵政民営化は銀行業界の悲願であった。大蔵族議員は銀行業界の利益拡大のために行動する。小泉改革のひとつの住宅金融公庫廃止も、住宅ローンビジネスを拡大したいとの銀行業界の利益拡大のために実施された施策である。

第三は、米国が郵政民営化を強く要請したことだ。米国の狙いは二つあった。ひとつは郵政資金350兆円の支配権を確保すること。簡保資金が米国保険商品に流出することも目的のひとつにされた。

いま一つの狙いは日本郵政が保有する巨大不動産を収奪することだった。かんぽの宿疑惑は、そのミニチュア版である。時価1000億円の不動産資産が危うく100億円で払い下げられるところだった。

小泉政権は25万の郵政職員が公務員でいる必要はない。政府部門内に滞留する郵政マネーを民間に放出し、日本経済を活性化させるために民営化が必要だと説いた。民営化してもサービスの低下はないと断言していた。

ところが、2007年10月に民営化が実現したのち、これらの公約は守られたのか。

25万人の職員はこれまでも税金で賃金が支払われていたわけではなかった。労働者の名称が変わっただけである。むしろ深刻な問題は、郵政事業に従事する労働者が正規労働者から非正規労働者に転落させられ、過酷な労働条件を押し付けられていったことである。

小泉政権の市場原理主義が問題とされる最大の理由は、労働者に対するセーフティネットを用意せずに労働市場の規制緩和を急激に進行させたことである。

世界の大競争が激化するなか、企業は人件費負担を1円でも少なくしたいと考えている。労働市場の規制を撤廃すれば、賃金は下がり、労働者の身分は不安定化する。資本への利益供与に突進し、生活者=消費者=労働者の生活の安定を切り捨てたのが小泉郵政改革であった。

郵政民営化で郵政資金は民間に還流すると喧伝(けんでん)されたが、現実にはそのような変化は皆無だった。民間に資金需要がないのだから、郵政を民営化したところで資金が民間に向うはずもないのだ。

財政赤字が巨大化している現状では、安定的な国債購入者として郵政資金を活用することが国民的な要請に適っていると考えるべきだ。

日本の地域生活にとって、全国に張り巡らされた特定郵便局ネットワークはかけがえのない公共財だった。一人で出歩くことのできない中山間地に居住する高齢者にとって、郵政事業が提供する各種サービスは、一種のライフラインを形成していたと言ってよい。

小泉郵政改革は、地方の郵便局ネットワークを維持するための基金を用意したが、地域の特定郵便局ネットワークを維持する義務を日本郵政に課さなかった。収益性の悪い地方局が切り捨てられることは時間の問題だった。

郵政事業を効率化すべきことに反対する者はいない。重要なことは、郵政事業の効率化を実現すると同時に、郵政事業が提供してきたかけがえのないサービスを存続させること、日本郵政の雇用形態を今後の日本企業のモデルケースになるように誘導することである。

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小泉竹中郵政改革は正義の面を被った背徳の政策だった。日本国民の利益ではなく、米国資本、一部インサイダーの利益が追求されたものだった。

最重要の問題は、以下に示す4分社化における人員と資産配分にある。

      人員(万人)   不動産(億円)
日本郵政   0.36     2250
郵便事業  10.01    14030
郵便局   12.07    10020
ゆうちょ   1.16     1200
かんぽ生命  0.54      900

問題点を以下に三点に分けて整理する。

第一は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命には人員をほとんど配分せず、350兆円の資金を丸裸にして全株式の売却を計画したことだ。

 日本郵政資金350兆円をそっくり外資に提供することが目論まれていたのだと考えられる。

 第二は、郵政を3分社化とせずに4分社化としたことだ。郵便事業会社と郵便局会社への人員と資産の配分に着目する必要がある。

郵便事業会社には郵便事業遂行に必要不可欠な不動産と人員が配分されたのだと思われる。郵便事業は中長期的に赤字化が見込まれる分野である。

ゆうちょ銀行とかんぽ生命の全株式を売却したあと、持ち株会社である日本郵政株式のうち3分の2が売却されることになっていた。

この株式を売却した後で、不採算部門である郵政事業会社を国営に戻すことが目論まれていたのではないかと思われる。郵政事業会社を取り除いた日本郵政は純然たる不動産会社になる。日本有数の不動産企業になる。

12万人の郵便局会社職員を正規社員から非正規社員に切り替えてゆく。人員を最小にし、賃金を大きく切り込めば、日本郵政の収益力は飛躍的に高まる。

安い価格で株式を取得した投資家は、企業収益急増を受けての株価急騰で巨大な暴利を得ることになる。こうしたプロセスによる外国資本への巨大な利益供与が計画されていたのだと思われる。

第三は、こうした過程で日本郵政の経営が特定の資本によって支配される状況が強化されたことだ。

日本郵政は三井住友グループの影響力を著しく強めた。三井住友の裏側には米国政権と直結するゴールドマン・サックスが存在した。2002年12月11日に竹中平蔵氏、西川善文氏、ゴールドマン・サックス証券CEOヘンリー・ポールソン、同COOジョン・セイン氏による密会があった。

この密会を契機に、三井住友のゴールドマン系列入りと竹中氏と西川氏の蜜月が始まった。郵政民営化はすぐれて私的な利害と密着した営利行動だったのだ。

この三つの重大な問題を是正することが、郵政改革に求められる第一の要請である。鳩山政権の郵政改革が歪んでいるのではない。小泉竹中郵政民営化が著しく歪んでいたのである。

鳩山政権が提示した郵政改革案は、

①日本郵政の公共的役割=ユニバーサル・サービスの重要性を重んじる

②国民共有の資産である日本郵政の外国資本や特定資本による収奪を回避する。

③日本郵政に労働力を提供する国民の労働者としての権利を尊重する。

ことに力点が置かれたものになっている。

ゆうちょ銀行およびかんぽ生命の預け入れ限度額引き上げと消費税免除はユニバーサル・サービスを維持するためのコストを捻出する方策であり、一定の合理性を備えていると言えるだろう。

最終的に鳩山政権がどのような案を決定するのかに関して、政権内部で建設的な論議があっても不自然ではない。政権としての提案を決定するにあたっては、上記の諸点を十分に踏まえた論議が求められる。

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