カテゴリー「麻生太郎氏・麻生政権(4)」の12件の記事

2013年8月 8日 (木)

麻生太郎氏ナチスに学べ発言擁護論の意味不明

安倍晋三政権の副総理を務めている麻生太郎元首相が憲法改定問題に関連してナチス政権に言及した問題に関する論議に、この国の病理がくっきりと浮かび上がる。


麻生氏の発言の最後の部分は次のものだ。


「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。」


ワイマール憲法がだれも気づかないで変えられた。その憲法改正を実行したナチス政権の手口を学んだらどうか、


と発言している。


この発言が問題になるのは当然のことだ。


民主、みんな、共産、生活、社民の野党5党は8月7日、この問題について、


「釈明の余地のない暴言で、国際社会におけるわが国の信頼を大きく傷つけた」


として、安倍首相に麻生氏の罷免を求める声明を発表した。


野党代表者は首相官邸を訪れ、安倍首相に申し入れを行なおうとしたが、安倍首相は面会を拒絶した。


同時に野党は開会中の国会で集中審議を求めたが、安倍政権はこれも拒絶して国会を閉幕した。


日本の民主主義は死を迎えたとしか言いようがない。

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このなかで、さらに驚くべき光景が広がっている。


麻生発言が罷免に値するものであることは明白であるなか、この麻生発言を擁護する支離滅裂な主張が横行している現実である。


テレビでコメンテーターなどを務めている青山繁晴氏などは、麻生発言に問題は皆無であることを絶叫するが、まさにこの人物の正体を鮮明に表す事例である。


独自の視点や主張を持つことを私は否定しないが、客観性のないことを、疑いようのないこととして断言する人物は、まったく信用に値しない。


麻生氏の発言全体を詳細に検証してみると、その段階で改めて、麻生氏の発言は妄言であるとしか判断できない。


これが、日本語についての常識、学識を持つ者の標準的な判断であると、私は思う。


青山氏が個人的な事情で麻生氏を擁護したいとする気持ちは推測がつくが、それを合理性のある説明によって主張しないのでは、青山氏の信用そのものが地に堕ちると言わざるを得ない。


これ以上信用を落とす心配はないと高を括っているのかも知れないが、筋の通らぬ主張でも、大声でがなり立てれば道理も引っ込むと思っているなら大間違いだ。

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麻生氏の発言を以下に改めて示す。


「僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。


そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。ここはよくよく頭に入れておかないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく。」


(中略)

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「しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。


そのときに喧々諤々(けんけんがくがく)、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。


ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。」


(中略)

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「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。


わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。」

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青山氏は、麻生発言の全文を正確に読むと、


「ワイマール憲法を民主主義を使ってナチの憲法に変えたあの手口、そういうことが起きてしまうんだということを反面教師にして、そういうことが起きないように憲法改正もきちんと静かな環境で国民が考えつつやりましょうと発言されている」


と述べて、麻生発言を問題視したメディア報道が、麻生発言の文脈を完全に逆さまにした誤報であると述べる。


あえて私がここで反論する必要もないような低次元の素材であるが、テレビなどに登場する人物が、このような奇怪極まる発言をすると、その発言に付和雷同する人々が登場してくることは、驚きを超えて恐怖である。


国が進路を誤るときには、常にこのような世論の暴走が席巻するようになる。正論が排撃され、暴論がはびこるのだ。


日本が直面している巨大な危機の断面を端的に示す事例である。


麻生氏の発言を精査したときに、青山氏が示す「解釈」が生まれることはあり得ないと私は判断する。


青山氏は自己のユニークな解釈を絶対的な真実であるとして、この解釈に反する論評は認めないとの姿勢を示しているが、この姿勢の異常さに気付かぬ人々が増えることが本当の「恐怖」である。

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2009年8月 1日 (土)

財源だけでなく具体策もない自民マニフェスト

鳥居みゆきさんが次のように語った。

「麻生首相とかけて 盛り上がらない宴会と解く。

その心は 

かんじがわるーい」

鳥居みゆきさんはサンミュージックに所属する。サンミュージックはかの偽装無所属候補だった森田健作千葉県知事が取締役を務めるプロダクションである。鳥居さんに圧力がかからないことを祈る。

自民党がマニフェストを発表した。日テレ「ニュースZEROMCの村尾信尚氏をはじめ、多くのキャスターが「ニフェスト」の「マ」にアクセントを置いて発音するが、数日前の新聞のコラムに記述があったように、正しくは「マニフェスト」の「フェ」にアクセントが置かれる。

英語のmanifestでは、「マ」にアクセントが来るが、形容詞では「明らかな、明白な」、名詞では「積み荷目録」、「乗客名簿」という意味になってしまう。マニフェストはイタリア語のmanifestoから来たもので、「フェ」にアクセントが置かれる。NHKはこの発音を採用している。

問題は内容だ。

自民党は民主党のマニフェストについて、財源が示されていないと騒いでいたので、自民党のマニフェストでどれだけ明確に財源が示されているのかと期待していたが、目が点になるマニフェスト発表になった。

財源どころか、自民党が実行するという政策にどれだけの費用がかかるのかも明記されていないのだ。したがって財源についても記述はない。また、具体的政策内容が示されていない。自民党の度胸の良さには感服する。自らのマニフェストには財源を明示せず、他党のマニフェストには「ザイゲン、ザイゲン」と絶叫していたのだ。

記者会見が終了してもマニフェスト自民党HPにアップされなかった。夜になってようやくアップされたので、内容を確認することができた。

自民党マニフェストの問題点を五つ、以下に列挙する。

①政策の具体的内容が示されていない。

②政策に要する費用が示されておらず、したがって財源も示されていない。

③政策目標だけが示されており政策手段が示されていない。

④2005年のマニフェストに示されていながら実行されなかった政策についての説明がない

⑤国民を直接支援せずに、企業、産業に国費を注ぐ手法が軸に置かれる。

①政策の具体的内容が示されていない

 3歳児から5歳児の教育費用を無償化するというが、待機児童は無償化の対象に含まれない。「待機児童ゼロ」は前回マニフェストにも盛り込まれたが、現在も2万人近い待機児童が存在している。待機児童をゼロにする具体策が示されていない。

 高校・大学進学の費用負担を軽減するために、低所得者の授業料無償化・給付型の奨学金制度の導入が盛り込まれたが、具体的な細目が示されていない。自民党マニフェストは完成品のカタログではなく、未完成の供給予定商品のカタログで、具体的な性能も値段も表示されていないようなものだ。買う契約を交わした途端に製造中止になる危険がありそうだ。

②政策に要する費用が示されておらず、したがって財源も示されていない。

「家計の所得を10年で100万円増やす」、

「今後3年間で40~60兆円の需要を生み出す」、

「概ね200万人の雇用を確保する」

とバラ色の未来を記述するが、このために、どのような政策が実施され、その政策にどれだけの費用が必要になり、財源を何に求めるのかが示されていない。

 製品を購入する顧客は、カタログを見て、具体的な性能や、セールスポイントの機能を吟味するが、自民党マニフェストには具体的な記述がない。

とりわけ、値段が問題なのに、政策費用と財源がほとんど示されていない。

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③政策目標だけが示されており政策手段が示されていない。

 上述した

「家計の所得を10年で100万円増やす」、

「今後3年間で40~60兆円の需要を生み出す」、

「概ね200万人の雇用を確保する」

が、自民党の「成長戦略」というもののようだが、これらの「目標」を実現するために、どのような「政策手段」が用いられるのかが示されていない。

a.エコカー・エコポイント、太陽光発電優遇

b.公的金融機関融資

c.研究費助成

d.マンガ博物館

が記述されているが、これらの施策を「成長戦略」と考えているのだろうか。背筋が寒くなるほどに貧困な内容だ。

 IMFが2010年の日本経済の成長率見通しを1.7%にしたことを自慢しているが、2009年の日本の経済成長率がマイナス6%と、突出して悪いことの反動に過ぎない。0点をとった100点満点のテストの次のテストで10点を取って自慢しているような話だ。

 「政策目標」があっても、「政策手段」がなければ「政策目標」は達成されない。また、「政策手段」が「政策目標」実現につながるプロセスが明確に示されなければ、誰も政策目標の実現を信じることができない。

 ガソリンを使わず「水素」で走る自動車を作ると排気ガスがゼロになるので、水素自動車の製造を目指すと説明しても、具体的にどのような技術で、どの程度の費用をかけて開発するのかなどの詳細が示されなければ、バラ色の投資話に乗るわけにはいかない。

④2005年のマニフェストに示されていながら実行されなかった政策についての説明がない

 2005年郵政選挙の際の自民党マニフェストを見ていただきたい。

2005 「郵政民営化」を実行すると、

a.少子・高齢化の下でも年金・医療など社会保障の充実を可能に

b.雇用と消費を刺激して民間主導の景気回復を

c.こどもたちの世代に負担を残さず安心で安全な社会を維持

d.三位一体の改革で地方経済の立て直し

e.戦略的外交の推進 安全保障の確立

が実現すると書かれている。その後の日本経済を見て、この公約が守られたと考える国民は皆無だ。幼児教育無償化も4年前のマニフェストに盛り込まれたが実施されていない。

 政権与党の場合、前回選挙での公約が守られていない場合、新規にマニフェストを示しても、誰も信用しない。この意味では、実績があまりに劣悪な自民党がいかなるマニフェストを提示しても意味がないと思われる。

⑤国民を直接支援せずに、企業、産業に国費を注ぐ手法が軸に置かれる。

 民主党のマニフェストでは、国民に直接可処分所得を付与する政策が中心に置かれるが、自民党の政策では、国費は国民には直接付与されないものが多い。自民党が大企業から政党交付金を上回る巨額の政治献金を受けているからだろうが、自民党は国費を大資本に付与する政策を中心に据えている。

 7月31日記事

「日本で無血市民革命=政権交代が成功する理由」

に記述したように、現在の日本では、「資本」の利害と「労働」の利害が全面的に対立するようになっている。麻生首相は「大資本」を優遇する政策を維持しようとしているが、この政策が同時に「労働」である一般国民に「弓を引く」政策になっている。

 多くの国民が「資本」ではなく「労働」である一般国民の生活を支える政策を中軸に据える民主党支持を強めているのは当然であると考えられる。

 自民党マニフェストで目を引いたのが

「70歳現役社会-生涯現役社会」の実現へ

の項目だ。

 すぐに7月25日の日本青年会議所講演での麻生首相発言が思い起こされる。

「どう考えても日本は高齢者、いわゆる65歳以上の人たちが元気だ。全人口の約20%が65歳以上、その65歳以上の人たちは元気に働ける。いわゆる介護を必要としない人たちは実に8割を超えている。8割は元気なんだ。

その元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くということに絶対の能力はある。80(歳)過ぎて遊びを覚えても遅い。遊びを覚えるなら「青年会議所の間」くらいだ。そのころから訓練しておかないと、60過ぎて80過ぎて手習いなんて遅い。

だから、働ける才能をもっと使って、その人たちが働けるようになれば納税者になる。税金を受け取る方ではない、納税者になる。日本の社会保障はまったく変わったものになる。どうしてそういう発想にならないのか。暗く貧しい高齢化社会は違う。明るい高齢化社会、活力ある高齢化社会、これが日本の目指す方向だ。もし、高齢化社会の創造に日本が成功したら、世界中、日本を見習う。」

「その元気な高齢者をいかに使うかこの人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くということに絶対の能力はある」

と述べている。麻生首相は高齢者を「いかに使うか」と述べ、高齢者を「働くことしか才能がない」と述べている。

 日本がまともな社会であるなら、麻生首相はこの発言で引責辞任を迫られるだろう。メディアが問題にしないことがおかしい。

 経団連企業富士通子会社が運営する「ココログニュース」では、麻生発言を伝える報道を批判する記事まで掲載した。本ブログはココログでアクセス数も多いが、ココログは有名人ブログにも掲載しないし、本ブログ記事を紹介もしない。また、麻生首相発言のyou tube映像も消去されている。

 「低気温のエクスタシーbyはなゆー」様日テレNews24の映像を紹介下さっているので、消去される前にご高覧賜りたい。また、FNNニュースyou tube動画はこちら

 これが日本の現状である。私の発言も封じられる。選挙まではまだ1ヵ月も時間がある。政権交代を求める主権者=国民は「悪徳ペンタゴン」が露骨に情報操作を展開する下で闘わなければならない。しかし、あらゆる妨害を乗り越えて必ず政権交代を実現しなければならない。

 麻生首相発言は「働くしか能のない老人は働いて税金を納めろ」というものである。これが、「生涯現役社会実現を目指す」政策の意味だ。

 日本の高齢者は麻生首相に対して、反乱の狼煙(のろし)をあげるべきだ。高齢者はただの一人も自民党に投票するべきでないと思う。国民がメディアを監視して、公正な選挙を実施しなければならない。

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2009年7月26日 (日)

高齢者の尊厳と人権を踏みにじる麻生首相発言

麻生首相が7月25日に、横浜で開かれた日本青年会議所の講演で次のように述べた。時事通信が伝える高齢者に関する発言の要旨を以下に転載する。

「どう考えても日本は高齢者、いわゆる65歳以上の人たちが元気だ。全人口の約20%が65歳以上、その65歳以上の人たちは元気に働ける。いわゆる介護を必要としない人たちは実に8割を超えている。8割は元気なんだ。

その元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くということに絶対の能力はある。80(歳)過ぎて遊びを覚えても遅い。遊びを覚えるなら「青年会議所の間」くらいだ。そのころから訓練しておかないと、60過ぎて80過ぎて手習いなんて遅い。

だから、働ける才能をもっと使って、その人たちが働けるようになれば納税者になる。税金を受け取る方ではない、納税者になる。日本の社会保障はまったく変わったものになる。どうしてそういう発想にならないのか。暗く貧しい高齢化社会は違う。明るい高齢化社会、活力ある高齢化社会、これが日本の目指す方向だ。もし、高齢化社会の創造に日本が成功したら、世界中、日本を見習う。」

平均寿命が延びて、元気な高齢者が増えている。働く意欲を持ち、高齢者が生きがいをもって働く場が創設されることは望ましい。平均寿命の変化に合わせて、生産年齢を柔軟に見直すことも必要だろう。

大切なことは、高齢者が生きがいをもって、生き生きと暮らせる社会を構築することだ。この文脈上で、高齢者の労働の在り方についての見直しを考えることは有益である。

麻生首相発言が問題とされる理由は別の点にある。問題は麻生首相にとって国民がどのような存在として位置付けられているかにある。

「その元気な高齢者をいかに使うか。」

「いかに使うか」の言葉が自然に出てくる思考回路が問題なのである。

「この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。」

「働くということに絶対の能力はある。80(歳)過ぎて遊びを覚えても遅い。」

政治の主権者は国民である。国民が国民のために政府を作る。政府は主権者である国民の意向を受けて政治運営を任され、国民の幸福を実現するために仕事をする。これが、国民主権の民主主義国家の基本形だ。

麻生首相の言葉は、麻生首相がこの基本を踏まえていないことを示している。麻生首相の言葉は政府が国民とは離れた高いところに位置しており、国民は政府の事情を満たすために「利用する」存在であることを示している。

麻生首相の発言は、社会保障財政、政府財政が厳しい状況に直面している現状を改善するには、元気でいるのに働いていない高齢者を働かせて、社会保障の受給者ではなく、納税者にしてしまえばよいのだという意味である。

麻生首相の言葉には、高齢者の立場に立って、高齢者が幸福になるために何をどう変えるかという発想がない。政府の財政事情を改善させることが第一の目的であり、この目的を達成するために高齢者をどう扱うのかを考察するとの思考回路が働いているのである。

これは「国民のための政府」ではない。「政府のために国民が存在する」との発想が原点にある。

さらに、「働くことしか能がない」とはどういうことか。

戦後の日本経済復興に汗水たらして働いてきた国民に対する言葉か。

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戦後復興に尽力した人々の多くはたしかに、わき目も振らずに黙々と仕事にいそしんできただろう。その結果、日本は奇跡の復興と呼ばれる経済成長を実現した。勤勉に仕事をしてきたから、遊びを覚える時間はなかったかも知れない。

それを「働くことしか能がない」とは、あまりにも「人間の尊厳」に対する認識が不足している。

長い時間、勤勉に働いてきた高齢者が、高齢者になって、初めて自分のために時間を使うことを知り、それぞれの生活を潤いのあるものにしようとしている。これを、「60過ぎて80過ぎて手習いなんて遅い」と麻生首相は切り捨ててしまう。

麻生首相の発言は「失言」ではない。麻生首相の考え方を率直に示したものである。

これまでの自公政権は、国民のための政治を実行してこなかったのだ。

_72 官僚、大資本、外国資本、御用メディアと政治が癒着し、「政官業外電の利権複合体の利益」を満たす政治を実行してきた。

この利権政治を維持するには、選挙で多数の議席を確保しなければならない。したがって、選挙の時だけ、国民の投票を誘導する施策を打ち出す。選挙を離れれば、国民は、利権政治を維持するための道具に過ぎない。だから、「高齢者をどう使うか」の言葉が出てくる。

頭を働かす首相なら選挙戦に入ってこのような発言を控えるだろう。そこまで考えが及ばないところに麻生首相の真骨頂が示されているが、最大の問題は、麻生首相にとっての国民の位置付けにある。

日本の政治を国民の元に引き寄せなければならない。

考えて見れば、歴史上、日本で国民の幸福実現を中心に据えた政府が樹立されたことはなかった。明治以降、官僚主権の政治が続き、現在に至っている。

1955年以降は、「政官業」の癒着政治が持続した。2001年からは、この利権複合体に「外国資本」と「御用メディア」が加わった。

この利権政治を排除し、国民を主役とする政府を日本の歴史上、初めて創設するのだ。「革命」と表現するのが適正だ。

麻生首相は考えていることをそのまま表現するので分かりやすい。国民がうわべの言葉に騙されて、間違った投票をしてしまうことを防ぐ意味で、麻生首相の行動は高く評価できる。

日本経済の復興に汗水流して努力してきた人々は、麻生首相がこの高齢者に対して、「どう使うか」、「働くことしか能がない」と述べたことの意味をじっくりと考えて、この麻生首相が率いる自公政権に今後も日本の政治を委ね続けるのかどうかを、よく考えるべきである。

高齢者でない人々も、このような考え方を持つ人物が率いる自公政権の存続を今後も認めるのかどうかをよく考えて、投票行動を決定する必要がある。

「政権交代」が総選挙のテーマである。

自民別働隊の「偽装CHANGE新党」の蠢(うごめ)きが予想通りに見え始めているが、「偽装CHANGE新党」に投票を分散してはならない。

投票率を最大に高め、政権交代推進勢力に投票を集中させるべきだ。政権交代を実現し、日本の政治を利権複合体の手から国民の手元に引き寄せなければならない。

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2009年7月19日 (日)

何があっても私が決めさせていただく解散の実施

「政権交代」を実現して日本政治を刷新するか。それとも、これまでの自民党政治を維持するのか。「政権交代」の是非を問う総選挙が実施される。

麻生首相は7月21日に衆議院を解散し、8月30日に総選挙を実施することを決める。

「何があっても私が決めさせていただく解散」

である。

総選挙は権力奪取をめぐる戦いである。戦いに勝利し、大事を成就するには「天の時、地の利、人の和」が整うことが必要である。

自民党は、このすべてを欠いている。

麻生首相は「解散については、しかるべき時期に私が決めさせていただく」と発言し続けてきた。そもそも、麻生首相は昨年10月10日に発売された月刊誌に論文を掲載し、「私は決断した。国会の冒頭、堂々とわたしと自民党の政策を民主党の小沢一郎代表にぶつけ、その賛否をただした上で国民に信を問おうと思う」と臨時国会冒頭の解散を宣言した。

昨年10月の衆議院解散を月刊誌で宣言した。

ところが、自民党内部の調査で、総選挙敗北予想が示されたために、解散を先送りした。雨が降り始めたので、ひとまず雨宿りする選択を示した。

その後、麻生首相の首相としての資質欠如が原因となり、内閣支持率が下落の一途を辿った。このなかで、3月3日に民主党代表小沢一郎氏の秘書が突然逮捕された。政治情勢の転換を狙っての謀略であるとの疑いが濃厚である。

この一件が発生したのちに、風向きが変化したが、小沢一郎氏が政権交代実現を優先して柔軟な対応を示したために、情勢は再び転換し、内閣支持率は再低下した。

このなかで、小泉改革の象徴である郵政民営化の縮図とも言える「かんぽの宿疑惑」が表面化した。麻生内閣の鳩山邦夫総務相は「かんぽの宿疑惑」を摘出し、日本郵政の経営体制を刷新する方向で行動した。麻生首相がこの方向を後押しして、日本郵政の経営体制を刷新し、解散・総選挙に進む道があった。

麻生首相はこの最後のタイミングを自ら手放した。雨宿りをやめて歩き出すタイミングは何度もあった。しかし、麻生首相は決断できなかった。決断できない間に、雨は本降りになった。

4月から総選挙前哨戦の大型地方選6連戦が始まった。名古屋市、さいたま市、千葉市、静岡県、東京都議選、奈良市の首長選および議会選だ。この地方選で自民党は6連敗した。東京都議選では自民党と民主党の得票率が26%対41%となった。自民党にとっては、土砂降りの本降りになった。

麻生首相の雨宿りは、江戸川柳にいう、

「本降りに なって出てゆく 雨宿り」

そのものになった。

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東京都議選後、自民党内で麻生おろしの動きが本格化した。麻生首相は解散を決定しない限り、首相、総裁の座から引きずり降ろされる情勢に直面した。麻生首相は、最終的に「麻生おろし」を回避するために解散の決断を下した。

「しかるべき時期」は、結果的に「土砂降りの時期」になった。

「土砂降りの総選挙」が決まることになって慌てふためいたのは、土砂降り選挙で落選しそうな議員たちだった。

麻生政権は2008年度に三度も補正予算を編成した。三度目の補正予算は14兆円の史上空前の規模になった。国民の生活不安を解消するに十分な予算規模だった。

ところが、麻生内閣はこの巨大な補正予算を官僚のお手盛りと大企業支援に集中させてしまった。わずか200億円の生活保護母子加算を冷酷に排除してマンガ博物館建設に117億円もの予算を配分した。この事例に、麻生政権の基本姿勢が象徴されている。

「かんぽの宿疑惑」では、日本郵政が郵政民営化の大義名分を隠れ蓑(みの)にして、貴重な国民資産を一部の外資系企業に私物化させようとしていたのではないかとの疑惑が一段と強まったが、麻生首相は疑惑を封印する方向に舵を切った。

こうした状況を踏まえて、国民はようやく、政権交代の必要性を痛感することになった。政権交代を求める国民の声が沸騰し始めている。

これまでの自公政権が実現してきたものは、

①大企業

②官僚

③外国資本

のための政治だった。

 これを、

国民のための政治

に変えるのが、「政権交代」の目的だ。多数の有権者が「政権交代」を明確に希求している。「地の利」も自民党ではなく、民主党にある。

 土砂降りの総選挙で落選の危機に直面した自民党議員が、沈みかけた船から海に飛び込むネズミのように、慌てふためいている。

 麻生おろしを画策した中川秀直氏-武部勤氏-塩崎恭久氏らと、これらの人々に連なる小泉チルドレンは、すべて次期総選挙での有権者による洗礼を恐れていると考えられる。

 麻生内閣では与謝野馨氏と石破茂氏までが、首相に直談判して退陣を迫ったという。しかし、自民党は昨年9月にお祭り騒ぎの総裁選を実行して自民党の総意として麻生太郎氏を新総裁に選んだのである。麻生氏が自ら辞任するのならともかく、自民党議員が麻生おろしに奔走する姿はあまりにもさもしい。

 逆に、麻生氏が自ら辞職すれば、3年連続の政権放り出しになる。福田康夫氏が2年連続で政権を放り出したことに対する国民の批判を自民党議員は記憶に留めていないのか。昨年9月に総選挙の顔として麻生太郎氏を総裁に選出した自民党に、麻生氏体制の下で総選挙に進む以外に道がないことは明らかだ。

 中川秀直氏が集めたとされる両院議員総会開催を求める署名。128名以上の署名により、両院総会の開催を求められるとのことであったが、署名した議員の考え方はまちまちだった。中川氏は自民党総裁選の前倒し実施を両院総会で決定することを念頭に置いていたと考えられるが、この前提があるなら署名を撤回する意向を示す議員が続出した。

 国民新党の亀井静香氏が「解散が自由民主党の解散みたいになった」と述べたが、けだし名言だ。沈みゆく船の甲板で激しい内輪もめが繰り広げられ、船長、副船長が非難合戦を始めた。

 政官業外電の利権ペンタゴン=「悪徳ペンタゴン」は既得権益、政治利権喪失の危機に直面して浮足立っている。テレビ各局も政権交代が実現すれば、これまで偏向報道を続けてきたことの責任を問われる。

 テレビ朝日「サンデープロジェクト」で必死に民主党を攻撃する田原総一朗氏も、その表情に焦燥感と悲壮感を隠せない。

 7月13日付記事

「都議選民主党圧勝と総選挙を勝ち抜く三大戦術」

に、共産党の戦術について論評した。自民党とともに民主党を攻撃対象とし、「政権交代」を積極推進しない姿勢が、共産党議席減の背景になった可能性を指摘した。

 こうした声に耳を傾けていただいたのかは分からないが、その後、共産党が総選挙に向けてスタンスを修正したことが報道された。民主党を必ずしも攻撃の対象とせず、個別事案ごとに政策協力を検討するスタンスが示された。

 野党陣営が、ますは自公政権を終焉させることを優先させることで結束するなら、より大きな力を得ることになるだろう。野党陣営は「人の和」を確保しつつある。

 孟子は

「天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず」

と記している。

 大事を成すにあたって「人の和」は何よりも重要である。

 自民党は、権力を維持するために、新勢力を創設して民主党との連携をはかろうと策を弄してくるだろう。民主党は日本政治を刷新するために、自民党と明確に一線を画さねばならない。野党連合での「人の和」を強固に構築することが何よりも大切である。自民党市場原理主義者と連携したい民主党議員は、民主党を離党してそれら勢力と民主党の外で合流するべきだ。

 基本を確認し、基本に沿って進むことが、大事を成すための戦術である。

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2009年7月17日 (金)

署名が128名に届かず両院総会見送り解散へ

「麻生首相おろし」をめぐる自民党の内紛で、麻生おろしに奔走する勢力が両院議員総会の開催を求めて行なった署名が、総会開催に必要な128名を下回ることが確実な情勢になった。この結果、両院議員総会は開催されず、7月21日午前に、「総会」に代わる「集会」が開催され、同日午後に麻生首相が衆議院を解散し、8月30日に総選挙が実施されることが確実な情勢になった。

中川秀直氏、武部勤氏、塩崎恭久氏、世耕弘成氏、山本拓氏、清水鴻一郎氏などの倒閣派が目論んでいた両院議員総裁開催-総裁選前倒し決定のシナリオは、失敗に終わる。

中川秀直氏は7月16日に、両院議員総会開催を求める133人の署名を細田博之幹事長に提出し、両院議員総会の開催を求めたが、この署名のなかに偽造されたものが混入している疑いが表面化し、自民党執行部が、署名の真偽を確かめる作業を開始した。

また、署名を行なった議員の考え方に相違が存在しており、中川秀直氏などが、両院議員総会で総裁選の前倒しを決定する意向を有していることに関連し、そのような方向で総会が開催されるのであれば、署名を撤回するとの意向を表明する議員が多数存在することが表面化した。

署名した議員が約30名存在する津島派会長の津島雄二氏は、総裁選前倒しを決定する前提で両院協議会が開催されるなら、津島派所属議員の署名全体を撤回する考えがあることを表明した。

こうした経緯を踏まえて、自民党執行部は、両院協議会を開催しないことを決定した模様である。麻生首相がすでに表明したように、7月21日解散、8月30日投票の線で、衆議院の解散、総選挙が行なわれることになる。

この問題に関連して、三点問題を提起しておきたい。

第一は、日経新聞の報道が極めて偏向していることだ。

日経新聞は7月17日朝刊1面に「両院総会拒否へ」の見出しで記事を掲載した。さらに「自民執行部 懇談会の開催で調整 総裁選前倒し阻止」の副見出しを付している。

「両院開催 拒否」の表現は、中川氏などの「麻生おろし派議員」の署名が128名以上集まったにもかかわらず、自民執行部が両院議員総会の開催を拒否したとのニュアンスを示す。

しかし、実態は、結局、署名数が128名に届かなかったのだ。「麻生おろし派議員」が自民執行部の切り崩しに直面して、総会開催に必要な署名を集めることができなかった結果、両院総会の開催にこぎつけなかったのが実態である。「署名満たず、両院総会見送りへ」が正しい表現である。

記事のなかには、「執行部が時間切れなどを理由に両院総会の開催要求を握りつぶす場合」などの表現もみられる。自民党の内規では、国会議員の3分の1以上の署名により、両院議員総会の開催を求められた場合、7日以内に両院総会を開催しなければならないことになっているが、7月21日に衆議院を解散してしまうと、この規定が意味を持たなくなる。自民党執行部には、その選択もある。

「麻生おろし派議員」は、麻生政権執行部が、署名問題で切り崩し工作を行なっていることを批判するが、2005年の郵政民営化に際して、自民党執行部が取った強硬な行動を忘れてしまったのか。

「麻生おろし派議員」は「郵政民営化推進強硬派議員」と重なっている。2005年、小泉政権は、非民主的手法により、郵政民営化関連法案を国会に提出した。自民党部会では反対委員が賛成委員に差し替えられて議決が行なわれ、総務会では全会一致原則が突然、多数決方式に変更された。ルール、慣行を無視した手法が採用された。また、両院議員総会開催要求も無視された。

当時の自民党執行部は、総選挙に際して、郵政民営化法案に反対した議員に公認を与えず、刺客を送り込むことまで実行した。複数意見の存在を許容する民主主義政党の基本ルールを逸脱する恐怖政治を実行したのである。当時の自民党幹事長が武部勤氏であり、中川秀直氏も小泉政権の中枢で国対委員長を務めていた。

「麻生おろし派議員」の中心メンバーが、郵政民営化に際して、非民主的な手法を多用した歴史的事実を踏まえれば、これらの人々が、自民党現執行部の行動を批判するのは筋違いも甚だしい。

日経新聞が独自の見解を有し、中川秀直氏や小泉一家を応援するのは自由だが、事実を歪曲して報道することは、新聞の本来の役割から外れていると言わざるを得ない。

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第二は、麻生内閣の農水大臣を務めている石破茂氏の発言に疑問が生じていることだ。石破氏はテレビ番組に出演し、麻生内閣の一員として皆が力を合わせ、麻生首相の下で総選挙を戦うべきだと主張している。昨年9月に自民党の総意として麻生首相を選んだのだから、麻生首相で戦うのが正しいと述べている。

この発言は正論だが、この石破氏が15日に与謝野馨氏とともに麻生首相を訪問し、麻生氏が後継総裁を指名するべきと進言し、麻生首相に退陣を迫ったと日経新聞が伝えている。

もし、この新聞報道が真実であるなら、石破氏は完全な二枚舌人間ということになる。麻生首相には退陣を求める発言をし、テレビでは、麻生首相の下で力を合わせて総選挙を戦うべきだと述べたことになる。

石破氏がテレビで発言したことが真実なら、日経新聞は大誤報をしたことになる。石破氏は日経新聞に対して法的措置を取ることを検討するべきだろう。

第三は、一連の自民党内紛が、自民党政治の末期症状を象徴していることだ。自民党は昨年9月にお祭り騒ぎの総裁選を実行したばかりなのである。2006年秋にも、2007年秋にも、自民党はお祭り騒ぎの総裁選を実行した。

昨年9月の自民党総裁選は、総選挙の顔を決めるものだった。自民党は総裁選を実施して、麻生太郎氏を新総裁に選出したのだ。麻生政権の支持率が低下し、総選挙情勢が厳しくなったから、麻生首相を引きずり降ろそうというのは、あまりにも「さもしい」行動ではないか。

本ブログでは、昨年来、次期総選挙対策として「偽装CHANGE新党」が創設される可能性を指摘し続けてきた。「偽装CHANGE新党」は、「自民党小泉一家-小泉チルドレン-官僚OBグループ-自民別働隊首長グループ-民主党内市場原理主義者」の連携によって創設される可能性が高いと指摘してきた。渡辺喜美氏は官僚OBグループに近い存在だ。

「偽装CHANGE新党」は、「天下り根絶」と「地方分権」を提唱するだろうが信用できない。中川秀直氏や武部勤氏などは、小泉政権中枢にいた時期に、天下り根絶に一切、力を注がなかった実績を有する。

「天下り根絶」も「地方分権」も民主党の政策方針の二番煎じである。「偽装CHANGE新党」の残る二つの特徴は、「市場原理主義」と「軍事拡張路線」である。

民主党のなかには、「偽装CHANGE新党」に移籍する方がフィットする議員が少なからず存在する。これらの議員が民主党を離れて「偽装CHANGE新党」に移籍してくれると、民主党に投票することに伴う不安が減じられる。

民主党はマニフェストの概要を発表した。自民党は内紛にエネルギーを注いでいる場合ではない。マニフェストを直ちに公表し、総選挙に向けて活発な政策論争を展開するべきである。

①企業献金全面禁止の是非

②天下り根絶の是非

③セーフティネットの是非

④消費税大増税の是非

⑤日本郵政経営体制刷新の是非

が、主要な論点になるだろう。

自民党は、民主党の財源論を批判するが、予算を徹底的に見直し、国民生活に直結する部分に財政資金を集中的に配分し、子育てや年金制度を充実させる民主党の基本方針に、私は賛同する。

日本の歴史上初めての、「民衆の力による政治刷新」、「国民の幸福を追求する政府樹立」の大事を成就出来るよう、総選挙まで、気を引き締めて進まねばならない。

繰り返しになるが、次期総選挙に向けての三大戦術

①投票率を最大限高めること

②政権交代推進勢力に投票を集中すること

③「偽装CHANGE新党」が結成されても、決して「偽装CHANGE新党」には投票しないこと

を、確実に浸透させてゆかねばならない。

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2009年7月16日 (木)

総選挙に怖気づく人々の見苦しい悪あがき

7月16日付日経新聞1面記事。「選択09衆院選」3回シリーズの最終回。

見出しは、

「民主、追い風の危うさ」「やまぬバラマキ圧力」

日経新聞は7月13日朝刊1面トップで、キリンとサントリーの経営統合を伝えた。

 本来、1面トップは「都議選自民惨敗・民主圧勝」のはずだったが、日経新聞はこのビッグニュースを脇に追いやった。

 日経新聞は小泉政権を全面的に支援し、その後は、日経新聞出身の中川秀直氏を支援している。

 テレビ朝日は小泉一家を全面支援しているように見える。北野たけし氏は、社命を帯びてその役割を担っているのだろう。北野氏は先日の放送で、自分が二度事故を起こしたがテレビ朝日が自分を使ってくれた。テレビ朝日はプロダクションの社長を怖がったのかも知れないと述べた。

 「TVタックル」と「サンデープロジェクト」の偏向ぶりは突出している。

 産経新聞の小沢一郎民主党代表叩きは激しかった。私への攻撃も激しい。

 日本テレビ系列で辛坊治郎氏が仕切る番組も自民党清和政策研究会に偏向している。かつて私も出演していた読売テレビ番組「ウェークアップ」には、多種多様なコメンテーターが出演し、自由闊達(かったつ)な論議が行なわれたが、小泉政権の時代に番組は全面的に刷新され、自民党御用番組的な色彩を強めた。

 NHK日曜討論では、政治部の影山日出夫氏と島田敏男氏があからさまな自民党贔屓(ひいき)の司会進行を行なってきた。

 NHK出身の池上彰氏は民主党が鳩山由紀夫氏を新代表に選出した際、フジテレビ番組「サキヨミ」で、「民主党は愚かな選択をした」と言い放った。

 全国ネットのテレビ放送局はNHKを含めて6社あるが、その実態が上記の通りである。

時事通信解説委員長の田崎史郎氏も、民主党攻撃の姿勢が鮮明である。

政権交代が実現する際には、偏向報道の総検証と関係者の一掃が急務になる。メディアの民主化、政治からの独立は、民主主義を機能させる上で、極めて重要な要素になる。

自民党の内紛。

昨年9月にお祭り騒ぎの総裁選を実施して、7割の自民党国会議員が麻生太郎氏に投票して、総選挙時点から4人目の自民党総裁、内閣総理大臣を選んだ。それから、1年も経たないうちに、麻生氏を首相から引きずり降ろそうと活動している人々がいる。

安倍晋三氏、福田康夫氏は、政権を放り出して非難の集中砲火を浴びた。

麻生太郎氏は、「決して逃げない。自分の手で解散、総選挙を実行する。」と発言している。政権を無責任に放り出した前任二人とは異なって、「絶対に辞めない」と言っているのに、今度は「絶対に辞めない」と言っている麻生首相を、自民党議員が「絶対に辞めさせる」と躍起になっている。

小泉元首相に対する「偉大なるイエスマン」を自認していた武部勤氏は、次のように発言した。

「麻生首相が一番問われているのは徳がないということだ。人を愛する心、謙虚な心、恥を知る心、それから、正しい判断をする心(が問われている)」

麻生首相も、さすがにこの人にだけは言われたくないと思っているのではないか。2005年9月の郵政民営化選挙。武部氏は堀江貴文氏の応援に入り、「私の息子です」と絶叫した。その後、ライブドアが摘発されても、他人事のように振る舞った。武部氏が「恥を知る」とか「徳」などの言葉を知っていたことがわかり、驚いている人が多いのではないか。

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昨年9月に、自民党議員は麻生太郎氏を神輿(みこし)にかついだ。この神輿は、総選挙で戦うための神輿だ。

みんなでかついでいるうちに、雲行きが怪しくなってきた。すると、一人二人、三人四人と、神輿のかつぎ手が神輿から離れ始めた。

この人たちは、神輿にかつぐ人を変えれば、総選挙に勝てると考えているのだろうか。神輿のかつぎ手が減り続ければ、神輿は落下してしまう。自民党の崩壊だ。

昨日付記事

「江戸幕府末期症状の自民党と古賀氏辞意の背景」

に記述したが、都議選における政党得票率は衝撃的な数値である。もう一度掲載しておく。

1996年10月20日総選挙

自民 得票率33% 議席239

新進 得票率28% 議席156

2005年9月11日総選挙

自民 得票率38% 議席296

民主 得票率31% 議席113

(得票率はいずれも比例区のもの)

に対して、本年7月12日の都議選では、

自民 得票率26% 議席38

民主 得票率41% 議席54

だった。都議選は中選挙区制なので、議席数の開きが小さいが、この得票率を総選挙にあてはめれば、衝撃的な議席数が得られることになる。

 与謝野氏は都議選結果に衝撃を受けたのだと思われる。

 両院議員総会開催を求める署名に与謝野馨氏と石破茂氏の現職閣僚が名前を連ねたことが衝撃を与えていると報道されているが、客観的に見れば、与謝野馨氏が、総選挙での敗北リスクに怖気(おじけ)づいたとしか見えない。

 政治家としての覚悟と潔さに欠けている。状況を見定めて、じたばた騒がずに信念を持って進むのが、「徳のある」行動ではないのか。

 麻生太郎氏を選んだのは自民党国会議員なのだ。その自民党の政治に対して、主権者である国民が厳しい審判を下しつつある。自民党の責任を直視しようとせず、古賀選対委員長のタレント候補起用や、麻生首相の資質を批判するのは筋違いであると思われる。

 民主党を中心とする野党は、主権者である国民の幸福を追求する政治を、責任をもって実現する必要がある。来年夏に参議院選挙がある。参院選までの1年間に、国民が評価できる実績を残せば、参議院選挙に勝利でき、衆議院の任期4年間をフル活用できる。

 リスクは慢心にある。これから総選挙当日までが、もっとも気を引き締めなければならない期間である。

次期総選挙に向けての三大戦術

①投票率を最大限高めること

②政権交代推進勢力に投票を集中すること

「偽装CHANGE新党」が結成されても、決して「偽装CHANGE新党」には投票しないこと

を、しっかり有権者に浸透させ、政権交代を推進する野党連合による勝利を必ず勝ち取らねばならない。

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2009年7月15日 (水)

江戸幕府末期症状の自民党と古賀氏辞意の背景

自民党の内紛が拡大している。江戸末期の様相を示している。自民党に活路があるとすれば、下野を覚悟して挙党一致で総選挙を戦うことである。しかし、無血開城を誘導した勝海舟がいない。

昨年9月に自民党はお祭り騒ぎの総裁選を実施して総選挙の顔を決めた。7割もの国会議員が麻生太郎氏を支持した。開かれた総裁選を実施して、新総裁を選出した以上は新総裁を挙党一致で支えると説明していた。

しかも、自民党は2005年9月の総選挙以降、1年ごとに総裁の首をすげ替えてきた。新たに就任した安倍首相、福田首相が就任1年足らずで、相次いで政権を放り出してきたからだ。

麻生太郎首相は、小泉元首相以降、4人目の首相である。麻生太郎首相の実績を見れば、麻生太郎氏は首相の職責を担うには明らかに力不足だった。その力不足がさまざまな局面で露見し、順当に支持率を低下させてきたのだと考えられる。

総選挙を目前にして、総選挙前哨戦である大型地方選挙5連戦が実施された。民主党を中心とする政権交代推進勢力は破竹の5連勝を果たした。

民主党は3月3日に小沢一郎民主党代表秘書逮捕という、政治謀略によって激しい攻撃を受けた。この影響で内閣支持率などに大きな変化が生じたが、5月11日に小沢一郎民主党代表が政権交代実現を最優先するために代表職を辞する英断を示した。本ブログで予測したように、この英断を境に逆風は順風に変わった。

東京都議選では自民党と民主党の得票率が25.88%対40.79%になった。

1996年10月20日総選挙、2005年9月11日の総選挙結果を見ると、以下の通りだ。

1996年10月20日総選挙

自民 得票率32.76% 議席239

新進 得票率28.04% 議席156

2005年9月11日総選挙

自民 得票率38.18% 議席296

民主 得票率31.02% 議席113

(得票率はいずれも比例区のもの)

自民党が地すべり勝利を収めた2005年9月の総選挙でも、比例区の得票率は

自民38%VS民主31%

だった。それが、今回の都議選では、

自民25%VS民主40%

を記録した。選挙方式が異なるので単純比較はできないが、都議選は議席数以上の民主圧勝であったことが明白である。

このままの情勢で進めば、次期総選挙で、本格的な政権交代が実現する可能性は極めて高い。

7月6日付記事

「静岡で民主・社民・国民連合が価値ある勝利」

に記述したが、「偽装CHANGE新党」などの第三勢力が登場しても、民主の得票が自民を上回っていれば、民主が多数議席を確保することが可能になる。

 「偽装CHANGE新党」が自民別働隊であることが認知され、「偽装CHANGE新党」への投票が、民主党からではなく、自民票から流れれば、民主党と自民党の獲得議席数はさらに拡大し、民主党に有利な状況が生み出される。

 自民党内では麻生首相が解散、総選挙の日程を示したにもかかわらず、内紛状態が続いている。これまで55年にわたって維持してきた政治権力を喪失する現実に直面して、その現実を受け入れられない人々が、右往左往している。

 この期に及んで、麻生首相に斬りかかるのは、いささか見苦しい。伊吹文明氏などは、「麻生首相の下で総選挙を戦うのが当然である」との正論を述べているが、権力に執着しようとする人々の見苦しい姿がテレビ画面に映し出されている。

 中川秀直氏、武部勤氏、塩崎恭久氏、世耕弘成氏、山本拓氏、清水鴻一郎氏などが、麻生おろしを懸命に仕掛けているが、解散日程がすでに示されているなかで、麻生おろしのエネルギーは急激に後退しているように見える。

 小泉純一郎氏-中川秀直氏-武部勤氏らの小泉一家、小泉チルドレン、官僚OB、自民党別働隊知事グループ、民主党内市場原理主義者が、「偽装CHANGE新党」を設立する可能性を示しているが、自民党から「市場原理主義者」が分離独立すれば、政党の性格が分かりやすくなり、望ましい。また、民主党から市場原理主義者が離党して、「偽装CHANGE新党」に合流すれば、民主党の性格も明瞭になる。

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 次期総選挙では、「悪徳ペンタゴン」が支配する利権政治を維持するのか、それとも「国民の幸福を追求する新政権」を樹立するのかが問われることになる。

①大資本のための政治

②官僚のための政治

③外国勢力のための政治

を排除して、

「国民のための政治」

を確立することが政権交代の目的である。

 この目的を確実に実現するために、

企業献金の全面禁止

天下りの根絶

日本郵政経営体制の刷新

が、極めて重要になる。

 また、麻生首相は2011年度にも消費税大増税を実施する方針を示しているが、官僚利権などの巨大な無駄を温存したまま、その負担を一般庶民に押し付ける消費税大増税を許すことはできない。鳩山由紀夫民主党代表は、消費税増税を4年間は完全封印することを明確に公約として掲げている。

消費税大増税封印

も、重要な政権公約になる。

 また、小泉竹中政治の「市場原理主義」、「弱肉強食」政策を排除し、「共生」の思想を政治哲学の中心に据えることが求められる。この意味で、

セーフティネットの確立

の五つが、具体的な政権公約になる。

 自民党の古賀誠選挙対策委員長が辞意を表明したが、直接の引き金を引いたのは、石原伸晃氏の発言であると思う。

 石原伸晃氏は、自民党東京都連会長で都議選の最高責任者である。7月12日の開票速報のなかで、自民党惨敗の理由を聞かれて、東国原宮崎県知事に衆院選出馬を求めたことに伴うゴタゴタが惨敗の理由だと説明した。都議選の最高責任者が古賀誠氏に責任を転嫁した。

 また、石原慎太郎都知事は、麻生首相が示した衆院解散・総選挙方針について、次のように述べた。

「とち狂ってるんじゃないか。」

「世の中、軽蔑(けいべつ)ほど怖いものはない。漢字が読めないとか、(言動が)ジグザグすることは決定的なこと。」

「古賀君も芸人にたぶらかされて、自民党が手玉に取られて大恥かいた。あの騒動もだいぶマイナスになった。」

「この親にしてこの子あり」の感が強い。

古賀誠氏は、石原伸晃氏の発言を受けて、「渡りに船」の気持ちで、選対委員長を辞することにしたのだと思われる。

東国原知事出馬問題を評価する有権者は少ないと思うが、石原伸晃氏が都議選応援演説で、鳩山由紀夫民主党代表攻撃を激しく展開していたことを評価する有権者も少ないはずだ。

東京都自民党は都議選に対してマニフェストも示さなかった。しっかりとした政策論議も示さず、他党のあらさがしだけに走った石原伸晃氏の姿勢も、自民党大敗の大きな要因だったのではないか。

また、都議選での与党大敗は、石原都政に対する東京都民の評価でもある。①巨額累積損失を抱える新銀行東京の延命、②築地市場の豊洲への不自然な移転計画、③本当は都民も支持していないオリンピックの東京招致、などの石原都政に対して、東京都民が「NO」を突き付けたのだ。

それを、他人ごとのように論じ、古賀氏に責任転嫁する息子を叱責しないばかりか、息子と一緒になって古賀氏に責任転嫁する親バカ知事としか言いようがない。

政治権力の走狗であるマスメディアが懸命に政権与党寄りの報道を展開するなかで、主権者である国民の反乱、無血革命が確実に進行している。ネットから真実の情報が発信されていることの影響は、決して小さなものではなくなりつつあると感じる。

次期総選挙に向けての三大戦術

①投票率を最大限高めること

②政権交代推進勢力に投票を集中すること

③「偽装CHANGE新党」が結成されても、決して「偽装CHANGE新党」には投票しないこと

を、しっかり浸透させてゆかねばならない。

 政治の主役は政党ではない。主権者である有権者である。政権交代実現後も、主権者である国民が監視の目を光らせて、「国民を幸福にする政治」を実現してゆかねばならない。

 利権で結合されてきた自民党は、利権喪失を目前に、自己崩壊を始めつつある。ネットから真実の情報を流し続け、日本政治の刷新を必ず実現しなければならない。

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2009年5月30日 (土)

お手盛り・バラマキ補正予算成立と総選挙日程

総額13.9兆円=史上最大の2009年度補正予算が5月29日成立した。民主党などの野党が過半数を握る参議院本会議は政府が提出した補正予算案を否決したが、両院の決定が異なったため、両院協議会が開催されたが結論を得ず、日本国憲法第60条の規定に従い、衆議院が可決した補正予算が成立した。

5月27日に行われた民主党代表鳩山由紀夫氏と麻生太郎首相とによる初めての党首討論で鳩山代表が厳しく追及したように、成立した補正予算は、大資本と官僚利権の「てんこ盛り」予算である。財政事情が厳しく、100年に1度とも言われる大不況により国民生活が疲弊(ひへい)する状況を尻目に、「利権互助会の内輪だけ大盤振る舞い」の補正予算が成立した。

党首討論に向けて民主党は最新「天下り天国」の実態を調べ、鳩山代表が追及した。

4500の天下り機関に25000人が天下りし、12.1兆円もの国費が投入されていることが判明した。天下り機関への巨額の国費投入はまったく是正されていない。鳩山代表は4500の天下り機関の半分が政府と随意契約を結んでいることも明らかにした。

補正予算では、本予算で6490億円しか予算が計上されない公的部門の施設整備費に2.8兆円もの国費が投入されることが明らかにされた。大盤振る舞いの補正予算で、役人が使用する公共施設を豪華に刷新しようというのだ。

マンガ・アニメの殿堂には建設費だけで117億円が用意される。思いつきで決めた支出対象に、無尽蔵の国費を使いたい放題である。

また、「エコカー」、「エコ家電」にかこつけて、役所の公用車が1万5000台=588億円、地デジ対応テレビが7万1000台=71億円、購入される。補正予算を「官僚のこづかい」と捉えているのだろう。

さらに、補正予算では58の基金に4.6兆円の国費が投入される。4.6兆円のうち、どれだけが事務経費に充当されるのかは国会審議でも明らかにされなかった。58基金への4.6兆円が「天下り」利権拡大に利用されることは間違いないだろう。

14兆円もの国費を投入するなら、はるかに優先順位の高い費目が存在する。
①失業者の生活保障、非正規労働者のセーフティネット整備、
②高齢者の介護、医療体制整備、
③子育て・教育費助成、
④障害者自立支援法改正、
⑤後期高齢者医療制度廃止、
⑥消えた年金修復事業の早期完結、
⑦生活保護強化、

などの施策が優先されなければならなかった。

本当に必要とされる対象には国費が投入されず、「大資本」と「官僚」への利益供与だけが実行された。

繰り返し指摘してきたが、「エコカー」、「エコ家電」政策は、「地球温暖化対策」でない。「エコカー」では環境負荷の大きい、高排気量乗用車購入に最大の財政支援が実行される。「地デジ薄型テレビ」も電気使用量の大きい大型テレビ購入に最大の財政支援が実施される。「地球温暖化対策」でなく、「経団連対策」なのだ。

麻生政権の政策方針の極めつけは、このような「バラマキ全開」、「お手盛り全開」の巨大補正予算を編成しておいて、その「ツケ」を2011年度以降の消費税大増税で、一般大衆に押し付けることだ。麻生首相はこれを、「政権担当能力を示す責任ある対応」と自画自賛する。

麻生首相の主張に同意する国民は、総選挙で与党に投票すれば良いだろう。しかし、大半の国民は納得できないのではないか。

昨日5月29日に発表された4月完全失業率は、2003年11月以来、5年5ヵ月ぶりに5%台に上昇した。求職者1人に対する求人数を示す有効求人倍率(季節調整値)は、0.46倍で、過去最低を記録した1999年5月、6月と同水準にまで低下した。正社員の有効求人倍率は0.27倍で過去最低を更新した。

仕事を求めてハローワークに行っても、すべての仕事を合わせても、2人に1人分しか仕事がない、正社員では4人に1人分しか仕事がない。大資本への利益供与、官僚へのお手盛りをする前に、本当に困難な状況に直面する国民が求める施策を優先するべきなのは当然のことだ。

民主党が企業献金全面禁止提案を明確に掲げ、法案を国会に提出することを明言したのは、国民の幸福を考えずに大資本の顔色ばかりをうかがう自民党の政策姿勢を打破するには、その原因を取り除く必要があると考えたことに一因があると思われる。

また、民主党は政治資金の無税での継承(相続)を認める現行制度を修正し、これを禁止するとともに、同一選挙区からの世襲立候補を禁止する制度改正を提案した。自民党の骨抜き世襲制限案に明確な対案を突きつけた。

御用メディアは事実を無視して頓珍漢(とんちんかん)な報道しか行なっていないが、5月27日の党首討論で、総選挙の争点は明確になった。この争点をめぐって総選挙が闘われることになるだろう。

①企業献金全面禁止VS企業献金温存
②天下り全面禁止VS天下り温存、
③消費税大増税阻止VS消費税大増税実施
④世襲立候補制限VS世襲立候補ざる制限
⑤国民生活重視VS大企業重視

の五つが総選挙の争点になるだろう。

 民主党鳩山代表登場で、選挙情勢は一変した。5月11日を境に風向きが転じると私は記述したが、風向きは「野党に順」に変わった。

 このなかで、麻生首相が解散・総選挙日程を定める。

 麻生首相は補正予算関連法案成立後の解散を明言しており、可能性は次の三つに絞られる。
①8月2日、9日
②8月30日、9月6日
③10月18日

のいずれかである。

 『金利為替株価特報2009年5月26日号』に詳述したのでご高覧賜りたいが、麻生政権は8月20日ごろ発表される2009年4-6月期GDP成長率統計を利用しようと考えていると思われる。2四半期続いた二桁のマイナス成長後、小幅プラス数値が予想されているからだ。しかし、このような姑息(こそく)な狙いは通用しないと思われる。

 補正予算関連法の成立が7月後半にまでずれ込む場合、投票日は8月30日ないし、9月6日に設定されるだろう。自民党が低投票率を望んでいるようなので、8月30日の投票日が有力だと考えられる。

 補正予算関連6法案のうち、税制関連法案は5月13日に衆議院を通過しており、遅くても7月12日には成立する。政府が成立を目指す残りの4法案は6月上旬に衆議院を通過する見通しである。

 天皇・皇后のカナダ・ハワイ訪問が7月3日から17日に予定されており、6月中に関連法が成立すれば、この前後に解散が実施され、8月2日、9日の投票日設定が見込まれる。ただし、9日は原爆被災日であり、古賀誠氏が反対の意向を示している。このため、このケースでは8月2日が有力になる。

 第三のケースは任期満了選挙であるが、麻生自民党総裁の任期も満了になるため、解散後に自民党総裁選が実施され、10月18日投票になる可能性も指摘されている。

 麻生首相は8月30日の選挙を狙っていると考えられるが、国会審議が長引く可能性は低く、7月上旬解散、8月2日投票が選択される可能性が高いだろう。10月選挙では明確な「追い込まれ解散」になる。

 いずれにしても、自民党に対する逆風は変わらないと思われる。自民党は6月19日第1回公判が予定されている西松建設事件を政治利用することを考えると思われるが、この種の手法に対する批判も強まりつつあり、大きな成果を上げることは難しいだろう。

 政権交代実現を目指す野党支持者は連携して、政権交代推進運動を活発化させなければならない。

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2009年5月22日 (金)

新型インフルエンザ政府対応の誤りと影響

 新型インフルエンザに対する政府の対応策が変更された。

 CBNewsは次のように伝えている。

政府は5月22日、「新型インフルエンザ対策本部」を開き、鳥インフルエンザを想定したガイドラインに代わる新たな基本的対処方針を発表した。

これまで全国一律だった対応策について、感染状況に応じて2つの地域に分け、状況に応じた対策を取れるように改めた。

急激な患者数の増加が見られる地域では、一般医療機関でも患者の直接診察を行うなど、大きく対応が変わることになる。

(ここまで転載)

本ブログ5月19日付記事
「インフルエンザと急減する鳩山新生民主党報道」
に記述したが、日本政府は今回の問題に対して二つの重大な失敗を犯した。改めて記述する。

 第一は、感染防止対策の中心を「水際対策」に置いたことだ。

政府は「強毒性」のH5N1型インフルエンザを想定した対応を取った。この対応に基づいて、国際空港での「検疫」に重点を置いた。テレビは空港でのものものしい「検疫」体制に関する過剰報道を繰り広げた。しかし、先進国でこのような対応を示した国はない。

 新型インフルエンザは10日間程度の潜伏期間があるため、入国した人のすべてを10日間程度隔離して発症を確認しなければ意味がない。また、感染しても発症しない人が存在する。「水際対策」で国内への感染を遮断することは、もとより不可能であると指摘されていた。空港での過剰な検疫体制は、もとより意味のないものと捉えられていた。

 第二の問題は、新型インフルエンザが「弱毒性」であり、政府が想定した「強毒性」とは、とられるべき対応に大きな落差が存在することである。

舛添厚労相は深夜にものものしく記者会見を行うなど、国民が必要以上の警戒感を持つ行動を煽(あお)る行動を示した。詳細な情報を持たない一般国民は、政府が「強毒性」インフルエンザを前提とした対応を示したことを受けて、「強毒性」インフルエンザに見合う警戒感を持たされてしまった。

「弱毒性」と「強毒性」との間には、巨大な落差が存在する。「弱毒性」ウィルスによるインフルエンザの致死率が1~2%程度、あるいは1%以下とされているのに対し、「強毒性」ウィルスによるインフルエンザは致死率が60%を超すとされる。

また「弱毒性」インフルエンザは毎年経験する「季節性」インフルエンザと大きな違いがない。「ワクチン」がないために、事前に予防措置を取ることができない点などに違いがあるだけだ。

 舛添厚労相は、国会答弁で「このような問題にはやり過ぎくらいでいいんだ」と開き直ったが、この答弁は適正でない。「強毒性」を前提とした政府の対応がもたらす「負の側面」が無視できない程度に重要だからだ。

「新型インフルエンザ」も時間が経過すれば「季節性インフルエンザ」になって定着してゆくものである。現在の「季節性インフルエンザ」も発生当初は「新型インフルエンザ」だったわけだ。

決定的に重要であるのは、「強毒性」であるか「弱毒性」であるかの「見極め」であり、「弱毒性」インフルエンザに対して「強毒性」を前提にした対応をとれば、多くの「負の側面」が表面化することを避けられない。

もちろん、「弱毒性」から「強毒性」への突然変異には警戒が必要だが、対応転換を取る前には「強毒性」への突然変異を示す何らかの手がかりが必要である。

二つの大きな「負の側面」が表面化した。

第一は、「水際対策」に重心を置き、「水際対策」で国内での感染発生を防止できるとの前提に立ったため、国内でのインフルエンザ発生の発見が大幅に遅れ、感染が拡大したことである。

厚労省の指導により、非海外渡航歴保有者が新型インフルエンザであるかどうかの優先検査対象から除外されていたという。このために国内感染者の発見が遅れ、関西地方で感染が拡大してしまったのだ。

第二は、「弱毒性」インフルエンザを「強毒性」インフルエンザ並みに扱ったために、国民の過剰反応が広がり、経済活動に深刻な影響が生まれていることである。外食産業、観光・興行などのレジャー産業には重大な影響が広がるだろう。

問題の一因は舛添厚労相や麻生首相のパファーマンス優先の行動様式にある。国民に冷静な対応を求めるなら、政府が率先して冷静に対応する必要がある。事務官が事務的に公表すればよいことを、大臣が深夜にものものしく発表するのは、国民に過剰反応を求めているようなものだ。

このような批判を「結果論」だとする向きがあるが、そうではない。WHOは早い段階で今回のインフルエンザを「弱毒性」であると発表してきた。「弱毒性」である限り、季節性インフルエンザへの対応に準拠した対応を示すべきだったのだ。

手洗い、うがい、マスク着用の励行、患者へのタミフル等の処方体制整備、診断・診療体制整備などに注力するとともに、過剰な反応を戒める広報が求められたのではないか。「季節性インフルエンザ」は毎年経験していることで、この「季節性インフルエンザ」に準拠すべきとの情報が、最も有効な政府広報であったと思われる。

政府がこれまでの対応の誤りを認めたくないのは分かるが、はっきりと見解を示さなければ、「強毒性」を前提とした国民の過剰な反応を抑制することは困難になる。その場合、経済活動に大きな影響が表れて、苦境に追い込まれる国民が急増することになる。明確な説明が不可欠であると思われる。

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2009年5月19日 (火)

インフルエンザと急減する鳩山新生民主党報道

5月11日に民主党の小沢代表が電撃的に辞意を明らかにした。通常国会開会中との事情を考慮して、16日に代表選を実施することが決定された。鳩山由紀夫氏と岡田克也氏の二名が立候補し、鳩山由紀夫氏が第7代民主党代表に選出された。

小沢氏の辞意表明から代表選実施までの期間は短かったが、テレビ番組への出演、日本記者クラブでの公開討論会、民主党両院議員総会での立候補演説、ディベートなど、代表選出に必要な最低限の討論は実施され、次期総選挙に向けての基本政権構想、基本公約などが明らかにされた。短い期間に効率的で中身の濃い代表選が実施されたと評価できる。

本格的な政権交代を阻止するため、民主党大躍進をけん引した小沢前代表に標的を定め、手段を選ばずに攻撃し続けてきた「悪徳ペンタゴン」を率いる自公政権が、民主党小沢前代表を標的にした卑劣な政治謀略を仕掛けたのだと考えられる。代表選実施に際してマスメディアは、総力をあげて岡田克也氏を全面支援する選挙介入活動を展開した。

御用メディアが紹介した「岡田克也氏が選出されたら手ごわい」との自公政権の声は、典型的な「まんじゅう怖い」発言だった。

岡田氏が民主党代表に就任するなら、
①民主党内内部分裂が加速し、
②「悪徳ペンタゴン」の最優先課題「消費税大増税」実現が容易になり、
③「天下り」根絶と「企業献金全面禁止」が大幅に後退する、
ことが期待できた。

「悪徳ペンタゴン」は小沢氏の類(たぐい)まれな選挙戦術能力と、「悪徳ペンタゴン」の利権構造を破壊する腕力を、何よりも警戒し続けてきた。これが、2006年4月の小沢氏の民主党代表就任以来、「悪徳ペンタゴン」が小沢氏攻撃を展開し続けてきた理由だ。テレビ朝日「サンデープロジェクト」、「TVタックル」、よみうりテレビ「ウェークアッププラス」などの偏向報道は目に余るものだった。

3月3日の小沢代表秘書逮捕後、民主党は挙党一致で卑劣な政治謀略に立ち向かう必要があったが、民主党内反小沢派の一部の議員を中心に、愚かなことに民主党内で小沢代表おろしの動きを演じる失態を演じてしまった。ここに、若い政党のアキレス腱があった。

民主党内で小沢代表おろし発言を示した議員は少数だったが、これが小沢代表失脚工作を進めるマスメディアの格好の材料にされた。御用メディアの情報操作活動が拡大の一途をたどり、次期総選挙に少なからぬ影響が生じることが懸念された。

この現実を踏まえて、小沢代表が5月11日に代表辞任の意向を表明し、5月16日の鳩山代表選出の流れを生み出した。御用メディアは民主党代表選に対して、悪質な選挙妨害を展開したが、民主党はぎりぎりのところで、小沢氏を卑劣な攻撃から守り、鳩山新代表を選出した。民主党の見識が民主党を危機から救った

御用メディアは民意を確認する前に激しい鳩山新代表攻撃を展開したが、この悪質な情報操作を跳ね返し、鳩山新代表は国民から高い評価を獲得した。

①企業献金全面禁止
②「天下り」、「渡り」の全面禁止
③消費税大増税封印
④議員世襲立候補制限
⑤人間尊重の経済政策

を明確に公約として掲げた鳩山新代表が国民から高い評価を得るのは当然である。

 テレビ画面での受け答えからも、鳩山氏の誠実で慈愛(じあい)に溢(あふ)れる人柄は正しく伝わってくる。上から目線で、弱きものへの冷酷な心が透けて見える、どこかの国の宰相(さいしょう)と見比べて、鳩山人気が沸騰(ふっとう)するのは当然だ。

 鳩山氏が自民党新総裁に就任したのなら、テレビは連日、鳩山新代表報道一色になっただろう。麻生氏が自民党総裁に選出されたときの、過剰報道を思い起こしても、御用メディアのスタンスの違いは鮮明である。

 NHK「日曜討論」の鳩山新代表に対するインタビューは、NHKの質的な劣化をあますことなく表示するものだった。影山日出夫氏が政権与党に擦り寄る姿勢を隠さずに司会をこなす姿はあまりにも痛々しい。NHKは民主党支持者が組織的に「受信料不払い運動」を実行することへの覚悟を固めているのだろうか。

 TBSテレビの夕刻ニュース番組「総力報道」は5月18日に、鳩山新代表に対する単独インタビューを放送した。番組MCの後藤謙次氏が鳩山新代表にインタビューを行なった。

 後藤謙次氏は、メインゲストである鳩山氏を下座である下手に着席させ、自分が上座である上手に着席してしまった。番組制作者が「上手」、「下手」を区別しないことはあり得ない。番組が意図して、鳩山氏を「下手」に着席させたのだろう。「御用メディア」の民主党攻撃の一端はこんな細部にも表れる。

 NHKは5月16日の民主党代表選挙報道を途中で打ち切り、「インフルエンザ報道」に切り替えた。日本政府と御用メディアのインフルエンザ報道は「バイオテロ」並みのものである。

 本来、マスメディア報道は民主党新代表報道で染め抜かれる局面である。自民党総裁選では、安倍晋三氏、福田康夫氏の二人の首相が首相就任1年にも満たない局面で、無責任に政権を放り出した。

 メディアは政権政党の責任を厳しく糾弾(きゅうだん)するべき局面だったが、政権批判を瞬(またた)く間に放り出して、自民党総裁選を懸命に盛り上げる大政翼賛報道を演じた。

 すべては、既得権益勢力である「悪徳ペンタゴン」が、明治維新以来140年間、あるいは1955年体制確立以来の55年間、維持し続けてきた「既得権益」を死守するための行動である。この死に物狂いの抵抗を振り切り、本格的な政権交代を実現することは、決して容易ではない。

 政府の過剰な「インフルエンザ報道」により、陰に追い込まれたのは「民主党新代表報道」だけではない。鴻池祥肇(こうのいけよしただ)官房副長官更迭(こうてつ)報道、麻生首相の「子供二人を設けて最低限の義務を果たした」発言などが、陰に隠され、不問(ふもん)に付されたのである。

 問題のインフルエンザだが、今回、感染が問題になっている新型インフルエンザはH1N1型のウィルスで、「弱毒性」であることが報告されてきた。

ところが、政府のインフルエンザ問題への対応は「強毒性」の鳥インフルエンザ、H5N1型ウィルスを想定したものである。

 政府の対応は二つの重大な失敗を犯している。

 第一は、「水際対策」と称して国際空港での「検疫」に重点を置いたことである。テレビ報道は空港でのものものしい「検疫」体制を過剰報道したが、先進国でこのような対応を示した国はない。

 新型インフルエンザは10日間程度の潜伏期間があるため、入国した人のすべてを10日間程度隔離して発症を確認しなければ意味がない。また、感染しても発症しない人が存在するため、この方法を用いても、国内への感染を遮断(しゃだん)できるとは考えられないのだ。

 第二の問題は、政府が想定した「強毒性」と、現実に感染が広がっている「弱毒性」との間には、巨大な落差が存在することである。「弱毒性」ウィルスによるインフルエンザの致死率が1~2%程度であるのに対し、「強毒性」ウィルスによるインフルエンザは致死率が60%を超すとされる。

 政府が強毒性ウィルスを前提とした対応を強行した背景のひとつに、パフォーマンスを好む舛添要一厚労相の強い意向が存在すると指摘されている。国内初の感染が確認された5月9日、豚インフルエンザ対策本部幹事会は、本来、厚労省庁舎で開催される予定だったものを、舛添厚労省の強い意向により、首相官邸で開催されたと伝えられている。

 感染者が発生したことを舛添大臣が記者会見で、「重大報告」として発表することにより、国内での過剰反応が拡大していった。

 急激に感染者が増加している関西地方では、経済活動に重大な影響が出始めている。一般市民は過剰反応して外出を極力控えるようになるだろう。関西地方の消費活動が急落することは明白である。

 国民の健康と安全を確保することは重要だが、致死率60%の感染症への対応と、致死率2%の感染症への対応が同水準であるはずがない。舛添厚労相は、政府対応の切り替え方針を表明し始めたが、政府の責任を免れるものではない。

 弱毒性ウィルスが強毒性ウィルスに突然変異するリスクには十分な警戒が必要だが、この点は、季節性インフルエンザでも懸念がゼロであるわけではない。舛添厚労相は「感染を水際で止める」と豪語していたようだが、この発言を示す間にウィルスは国内に侵入していた。

 他の先進国で、日本政府のようなパニックに陥っ政府は存在しない。政治的な思惑で新型インフルエンザが利用された疑いが濃厚である。政府の対応がなぜこのようなものになったのかについての検証が求められる。

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