カテゴリー「麻生太郎氏・麻生政権(2)」の10件の記事

2008年11月28日 (金)

党首討論が示した麻生首相「公より私」の政治姿勢

11月28日午後3時、麻生太郎首相と小沢一郎民主党代表による党首討論が、衆議院第一委員室で開催された。

麻生首相は質問に対して正面から答えず、筋の通らぬ主張を最後まで押し通した。客観的に見て、小沢代表の主張が理に適(かな)っていることが明確になった。麻生首相は国民の幸福でなく自分の幸福だけを考えていることが鮮明になった。

国民は麻生首相の政治姿勢を冷静に見つめ、日本の命運を決することになる次期総選挙で誤りのない審判を下さなければならない。麻生首相が解散権を私物化してしまっている以上、衆議院の解散、総選挙が実施される時期は不透明である。

麻生首相は国民生活よりも、自分自身の私的な利益を優先して、政権に最も有利なタイミングを見計らって総選挙を実施するのだと考えられるが、総選挙の時期がいつになろうとも、国民は冷静で的確な判断を示さなければならない。

党首討論での論点は以下の3点だった。
①麻生首相が「世界で一番早く景気対策に手を付けた国である」と述べた問題
②年末までの対応について、麻生首相が「今回の9兆円で年末は一応できるのではないか」と述べた問題。
③小沢代表が「来年に2次補正を送っているわけですから、12月に十分選挙できるじゃないですか」と述べた問題。

第一の「世界で一番早く景気対策に手を付けた国である」との麻生首相の発言は事実に反する。米国のブッシュ政権は本年1月18日にGDP比1%規模の緊急景気対策の骨子を発表し、2月13日に2年間で1680億ドル規模の、戻し減税を中心とする景気対策を成立させた。本年春から実施されている。これが、「世界で一番早く景気対策に手を付けた事例」である。

日本の対応は8ヵ月以上遅れている。補正予算の規模は1.8兆円で米国の10分の1である。麻生首相が自慢して発言する内容でない。

第二の「9兆円の対策で年末の対応ができる」の発言は、信用保証協会を活用した特別保証制度の資金枠を9兆円設定したことを指しているが、この施策で年末に向けての経済困難が解消されると考える者はいない。

小沢代表が指摘したように、中小企業の資金繰りが一段と深刻化しているだけでなく、不況進行によって国民生活の困窮が日を追うごとに深刻化している。

厚生労働省は本年10月から来年3月までの期間に非正規雇用労働者が3万人、雇用を喪失するとの見通しを公表した。調査対象に含まれない雇用喪失者も多数発生すると見込まれる。

2008年の上場企業倒産はすでに30社に達し、戦後最多になった。日本IBMが正規社員の1000人削減方針を打ち出すなど、雇用削減の動きは正規雇用にまで波及し始めている。

年末を控えて、どれほど多くの国民が経済悪化に心を痛めているのかを、麻生首相は少しでも考えたことがあるのか。安心できる生活の基礎は雇用の確保だ。中小零細企業経営者にとっては、企業を倒産させずに存続させることが死活問題だ。

首相は、国民生活を守るために全身全霊を注ぐべき存在だ。自分は安全な場に居座り、バー通いしつつ、国民生活を守るための行動をサボタージュするような首相には、直ちに退場してもらいたいと思うのが、不況に苦しむ一般国民の心情だ。

臨時国会に提出できる補正予算案をたなざらしにして、来年まで先送りする理由は皆無(かいむ)である。小沢代表は麻生首相に補正予算案提出を来年まで先送りする理由を繰り返し尋ねたが、麻生首相から説得力のある説明は一切示されなかった。

第三の、総選挙先送りについて、小沢代表は「初心に帰る」べきだと述べた。おそらく「初心」は「所信」への掛け言葉なのだろう。麻生首相は10月10日に発行された月刊誌に臨時国会冒頭での解散を明確に宣言した。

自民党の首相が二代にわたり政権を放り出し、国民の審判を受けずに3人目の首相が政権を組織した。政権を放り出した2人目の首相である福田前首相は、後継の麻生首相に早期の解散総選挙実施を申し送った。麻生首相自身が「総選挙に勝利して初めて天命を担える」と明言した。

自公政権が二代にわたって政権を放り出し、主権者である国民に大きな迷惑をかけたのは紛れもない事実だ。これらの不祥事を通じて、自民党自身が国民に対して、総選挙で国民の審判を受ける必要があるとの明確なメッセージを示してきたのではないか。

麻生首相は、首相に居座り、総選挙を先送りしていることは、議会制民主主義のルールに則(のっと)る正当な行動で、問題があると言われる筋合いはない、との主張を示した。

麻生首相は指摘された問題に対して正面から回答することを避けた。逃げた。麻生首相が自ら発した言葉で、また、自ら記したのかは分からないが少なくとも自らの氏名を冠して発表した文章で、早期の解散総選挙実施を宣言した。小沢代表が政治家は言葉の重みをかみしめるだと諭(さと)したのは当然のことだ。しかし、麻生首相が小沢代表の言葉の意味を理解できたかは定かでない。

麻生首相は、第1次補正予算で年末までの景気対策が十分であるとの趣旨の発言を繰り返した。小沢代表は、麻生首相がそのように判断するなら、12月に総選挙を実施できるではないかと指摘した。

麻生首相は100年に1度の暴風雨が荒れているから景気対策を優先したという。第1次補正予算で年末までの対応が完了したと判断し、第2次補正予算案の国会提出を2009年に先送りしても問題がないと判断するなら、早期の解散総選挙実施を宣言した麻生首相が12月に総選挙を実施することが、矛盾のない行動である。

麻生首相は年末資金の貸し手の行動に影響を与える「金融機能強化法」の採決を民主党が先送りしたことに対して、この法律成立を求めることを執拗に繰り返した。しかし、麻生政権が言葉に責任を持つ行動を示すなら、問題はたちどころに解消するはずだ。民主党は、審議をいたずらに引き延ばす対応をしないことを確約している。

結局、麻生首相は自民党惨敗の可能性に脅(おび)えて、自分が高らかに宣言した解散総選挙から逃げ回っているだけである。問題は、麻生首相の「私」的利益を追求する行動が、罪なき国民の生活を深刻に脅かし、苦しめていることだ。

不況深刻化に対して、すべての「私」を取り払い、「公」のために、「国民」のために全身全霊を注ぐのが、あるべき為政者(いせいしゃ)の姿だ。麻生首相の政治姿勢は「政局より政策」でなく、「政策より政局」=「公より私」である。

歪んだ現状を是正できる唯一の方法は、次期総選挙に際して、国民が正しい判断を下すことである。国民は今日の党首討論で改めて確認した麻生首相の「公より私」の政治姿勢を忘れてはならない。

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2008年11月26日 (水)

筋が通らぬ2次補正先送り

麻生首相が補正予算案の国会提出を来年に先送りすることを正式に表明した。10月30日に追加景気対策を発表した記者会見

「景気対策のポイントはスピード、迅速」、
「年末にかけて中小企業の資金繰りが苦しくなる。その中小企業の資金繰りを万全なものとする」
と国民に約束したことと矛盾するのでは、と記者から質問されると、麻生首相は、
「あ、それは、全然矛盾しません」
と強弁した。

 「カナダde日本語」様「晴天とら日和」様が麻生首相発言の無責任さについて論評を掲載されているが、筋違いの誤りをゴリ押しで通用させては、日本の将来が暗くなる。

 首相に言葉の責任の重みを認識してもらわなければならない。

 振り返れば、小泉首相が30兆円以上国債を絶対に発行しない公約などを守れず、国会で追及されたとき、「この程度の約束を守れなかったとしてもたいしたことではない」と開き直って以来、為政者の無責任が放置されるようになった。

 自民党の首相は2代続けて、1年足らずで政権を放り出した。その無責任内閣を引き継いだのが麻生政権だ。

 麻生首相は「政局より政策」を主張して国民に宣言した衆議院の解散総選挙を先送りし、景気対策に全力をあげると国民に約束した。にもかかわらず、肝心要(かなめ)の補正予算案を国会に提出しない。「国会に提出しても、会期中に成立するかどうか確証を得られないから提出しない」と言うが、こんな理屈は通用しない。

 補正予算案を国会に提出し、成立に全力をあげることなくして、国民との約束を守る手立てはない。「野党に金融機能強化法の迅速な採決を求める」と言うが、そう主張するなら、まず補正予算案を国会に提出するべきだろう。

 メディアの一部は政治権力に迎合して、この期に及んでも、事態を「麻生首相と小沢一郎代表の駆け引き」と表現して、両者に問題があるとの印象付けに腐心するが、話の筋道をたどれば、この評価がいかにいかがわしいかが分かる。

 11月26日付日本経済新聞3面の編集委員菅野幹雄氏の署名記事は、両者の政治駆け引きを「景気より政局」と述べて、「政治は国民不在の迷走に陥った」と記述するが、偏向報道の典型的な一例である。

 民主党が早期の解散・総選挙の態勢を敷いたのは、麻生首相が早期の解散・総選挙の方針を明確に示したからである。日本国憲法第7条の「天皇の国事行為」に「衆議院の解散」が記載され、天皇の国事行為が内閣の助言と承認によって行われることから、内閣に解散権があるとの解釈が生まれた。内閣に解散権があるとの解釈から、内閣総理大臣が解散権を持つとの解釈が生じた。

 最高裁判例が統治行為論を用いて、解散権についての司法判断を回避し、首相の解散権が認められるようになったが、首相が勝手気ままに解散権を行使することが正当化されたのではない。

 自民党の首相が2代続けて政権を放り出し、自公政権は政権担当能力の欠如を露(あら)わにした。2007年7月の参議院選挙で与党が惨敗し、参議院は野党が支配権を確保している。衆参両院の支配勢力が異なっており、政治運営が極めて困難になっている。

 こうした経緯、状況を踏まえて、麻生政権は福田政権から政権を引き継ぐ段階で、早期の解散総選挙実施を明確に国民に宣言したのだ。この判断は順当なものである。だが、その判断も、元々は、マスコミを動員した自民党総裁選をお祭り騒ぎに仕立て、麻生政権の支持率を浮上させたタイミングで総選挙を実施しようとの姑息(こそく)な考えに立脚(りっきゃく)したものだった。

 このような状況下で、米国発の金融危機が世界的に波及し、日本経済も深刻な局面に直面した。未曾有(みぞう)の経済危機に対応するためにも、国民の負託を受けた本格政権を樹立することが、国民的見地から強く求められる。

 臨時国会が召集され、民主党は早期の衆議院解散・総選挙実施が、国民的見地に立って求められる最優先の課題であるとの認識の下で、臨時国会審議に積極的に対応した。これまで反対姿勢を示してきたテロ特措法審議を短期間で完了することについては、賛否両論が存在した。徹底審議をすべきだとの主張にも一理あることを、私も理解する。

 しかし、与党が数の論理で法案成立を強行する可能性が高いとの見通しが存在した。そのなかで、より緊急性、優先度の高い衆議院の解散・総選挙実現を促進するとの目的のために、法案審議を短期間に完了させるとの方針を民主党が採用した。これは、国会戦術上のひとつの選択肢として、許容されるものだと考える。

 こうした経緯で、民主党は臨時国会の迅速な審議実現に協力した。すべての前提に、麻生政権が早期の解散・総選挙を実施するとの方針を明示した事実が存在する。

 ところが、麻生政権が途中で、解散総選挙を先送りする気配を示し始めた。自民党が実施した調査で自民党惨敗予想が示されたことが原因と考えられる。国民に宣言した方針を、明確な理由もなく変更する麻生首相の行動がそもそも「信用できねー」行動である。

 麻生首相はその理由に「政局より政策」を掲げた。100年に1度の暴風雨が荒れていて、国民は総選挙より景気対策を求めているから、いまは解散・総選挙ではなく景気対策だと言った。

 民主党は国民生活を第一と位置付ける立場から、麻生政権が景気優先を掲げて景気対策を提示することを容認した。麻生首相は10月30日の記者会見で「年末の資金繰りが大切で、景気対策はスピード、迅速さがポイントだ」と述べた。

 この経緯を踏まえれば、麻生政権が補正予算案を臨時国会に提出するべきことは明白である。ところが、麻生首相が補正予算案を臨時国会に提出せずに、臨時国会を閉会する姿勢を示したため、民主党の小沢代表が急きょ、11月17日に麻生首相に対して党首会談を申し入れて、補正予算案の臨時国会提出を要請したのである。

 その際、民主党要請の実効性を高めるため、小沢代表は、麻生政権が補正予算案を臨時国会に提出するまで、テロ特措法と金融機能強化法の採決を行わない方針を表明した。変則的な手法ではあるが、補正予算案の臨時国会提出を促す実効性のある方策はこれ以外に考えられない。窮余の一策であった。

 だが、この小沢代表の行動を評価する際に最も重要なことは、行動の理由を考察することだ。小沢氏が私的な利害を優先して、このような対応を示したのであれば、小沢氏の行動は「政局優先」だと批判されるべきだ。しかし、小沢氏がこのような変則的な行動を取ったのは、国民生活が未曽有(みぞう)の経済混乱に直面し、2008年年末に向けて極めて厳しい情勢に置かれているからだった。

 麻生首相自身が「100年に1度の金融危機」と発言し、「迅速、スピードがポイントだ」と明言した景気対策である。景気対策は補正予算によって具体化され、実行に移されて初めて成果をあげる。国民生活を重視するなら、補正予算案をできるだけ早期に国会に提出し、迅速な審議を行って成立させ、実行に移すことが不可欠だ。

 小沢代表は麻生首相が、補正予算案を国会に提出しても迅速な審議を行ってもらえないとの懸念を表明したことを受けて、党首として責任をもって対応すると約束した。ところが、結局、麻生首相は補正予算案の国会提出を来年まで先送りすることを表明した。

 この経緯を踏まえたとき、これを「麻生首相と小沢代表の駆け引き」と表現するのは、明らかな偏向だ。現に、先述した論評が掲載された11月26日付日本経済新聞社説は「筋が通らぬ2次補正先送り」のタイトルの下で、麻生首相の決定を批判する論評を掲示している。

 麻生首相と小沢代表を同列に扱う論評は、明らかに偏向したものであり、真理と正義を重んじる国民は、麻生首相の不正義、姑息(こそく)な政権運営を徹底的に糾弾(きゅうだん)しなければならない。

 麻生政権が野党に採決を求めている「金融機能強化法改正案」の実態は、「金融機関救済法」でしかない。公的資金が金融機関に投入されれば、金融機関の破たんリスクは低下するが、金融機関が破たんリスクを抱えた一般事業会社に資金を融資することはほとんど期待できない。金融機関を救済する法律でしかないのだ。

 金融システムを守ることは重要だが、責任ある当事者の責任処理を曖昧(あいまい)にしたまま、金融機関だけを救済する施策を実行することは正当化されない。麻生政権が提示した追加景気対策は問題だらけだが、まず、補正予算案を国会に提出し、実りある国会審議を通じて予算案を修正し、成立させることが求められる。

 11月28日の党首討論で、一連の経過が明確に示されることを期待する。

 年末に向けて厳しい経済状況に直面する国民生活を切り捨て、党利党略、政局、「私」だけを優先する麻生首相に対する国民の厳しい審判が早晩下されることになるだろう。

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2008年11月23日 (日)

政策の約束手形不渡りで資金繰り倒産が激増

「政局より政策」

「100年に1度の暴風雨が荒れている」

「こうした状況の中でなにより大事なことは、生活者の暮らしの不安というものを取り除くことだと確信しております。すなわち国民生活の安全保障であります」

「ポイントは、スピード、迅速にという意味です」

「これから年末にかけて中小企業の資金繰りが苦しくなります」

「第1次補正で緊急信用保障枠を6兆円としましたが、その後の国際金融情勢がより厳しいものとなっております。中小企業、小規模企業の資金繰りをより万全なものとするために、私の指示で20兆円までこの枠を拡大します」

これらはすべて麻生首相の公的発言である。

10月30日に麻生政権は追加景気対策を決定して、麻生首相は記者会見を行った。記者会見での言葉は、国民に対する約束である。

100年に1度の未曽有(みぞうゆ)の経済危機が国民を追い詰めている。小泉政権以降の自公政権が多数の一般国民の生活を破壊してきた。非正規雇用や働く貧困層が激増し、障害者、高齢者、母子世帯など、政府がしっかりと手を差し伸べなければならない人々に対する政府支出が冷酷に切り捨てられた。国民生活は破壊され、罪なき多くの国民が深刻化する不況を実感しながら、寒波が身にこたえる年末を迎える。

麻生首相は『文藝春秋2008年11月号』に「強い日本を!私の国家再建計画」と題する手記を寄稿した。標題には、次の言葉が添えられた。

「小沢代表よ、正々堂々と勝負しよう。私は絶対逃げない」

手記のなかで麻生首相は「今こそ国民に信を問う」との見出しを掲げて、以下のように明言した。

「私は決断した。本来なら内政外交の諸課題にある程度目鼻を付け、私の持論である政党間協議の努力も尽くした上で国民の信を問うべきであるかもしれない。だが、最低限必要な経済対策も、国際協調上当然のテロ撲滅の施策にすら、民主党はじめ野党は、聞く耳をもたぬ、ただ政局優先の姿勢なのである。国会の冒頭、堂々と私とわが自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おうと思う。」

「小沢代表よ、堂々の戦いをしようではないか。・・・」

さらに、「小沢代表との一騎打ちを望む」との見出しを掲げて麻生氏の筆は続く。

「何にせよ、今次総選挙が政権を賭けた民主党との乾坤一擲の戦いなのは言うまでもない」

麻生首相が乾坤一擲(けんこんいってき)などの難しい漢字を使うのは不思議だ。文章全体から受ける文体のイメージが麻生首相の話し言葉とかけ離れていると感じるのは私だけではないと思う。自分の言葉で文章を記さないと、読む者の心に響かない。

月刊誌で解散総選挙を高らかに宣言した麻生首相が総選挙を先送りした。自民党が実施した選挙予測調査で自民党惨敗予測が示されたからだと見られている。

「私は逃げない」と言っていたのに明らかに逃げている

ペルーの主都リマで開催されているAPEC首脳会議に出席している麻生首相はリマ市内で同行記者団と懇談して、17日に行われた民主党の小沢一郎代表との党首会談について、次のように発言した。

麻生首相は小沢氏が(民主党が第2次補正予算案の審議に協力しない場合)「辞めると私や鳩山由紀夫民主党幹事長ら合計7人の前で言った」と述べた。

そのうえで、「『言っていない』なんて言われたらこの人の話は危ないと思う。信用出来なくなっちゃった」と繰り返したと伝えられている。

これに対して小沢氏は「あまりにもレベルの低い話」と首相を批判し、(党首会談では)「約束したことを守れなければ党首としての責任を取ると申し上げた。(記者会見で)議員辞職するのかと聞かれたから、そんなことは言っていないと(答えた)」と反論した。

真偽のほどは定かでない。しかし、麻生首相の言葉の捉え方を示す実例から考えると、小沢代表の言葉に大きな誤りはないのではないかと思われる。

麻生首相の「ホテルのバーは安い」発言が話題になった10月22日昼の首相ぶら下がり会見。北海道新聞記者とのやり取りの一部を抜粋する。産経新聞記事から引用する。

--夜の会合に連日行っていて、一晩で何万もするような高級店に行っているが、それは庶民の感覚とはかけ離れていると思う。首相はどのように考えるか

「庶民っていう定義を使うのが北海道新聞よく使われるのですか。僕は少なくともこれまでホテルというものが一番多いと思いますけども。あなたは今、高級料亭、毎晩みたいな話で作り替えてますけど、それは違うだろうが」

 --あの高級

「そういう言い方を引っかけるような言い方やめろって。もうちょっと事実だけ言え。事実だけ。ずーっと、日程だけでも言えるから」

 --あの

「だろ」

 --ホテルが

「馬尻がいつから高級料亭になったんだ。言ってみろ。そういう卑劣な言い方だめ。きちんと整理して、ね、言わなきゃ。いかにも作り替えれるような話はやめたらいい」

(引用ここまで)

私が現場にいたわけではないから、記事がどこまで正確であるのか分からないが、麻生首相が高級料亭のことを問題にしているので、この部分についての詳細は正確ではないかと思われる。記事が正確であるとの前提で考えると、麻生首相は明らかに記者の発言を聞き違えている。

記者は、「一晩で何万もする高級店」としか言っていない。

それを、麻生首相が「高級料亭」と取り違えたのではないか。

記者は、麻生首相が何人か連れ立ってホテルのバーに通っているので、一晩の支払い料金が合計で何万円に達すると計算して質問したのだと考えられる。

それを麻生首相は「一晩で何万もする高級店」の表現を、「一人何万円もかかる高級料亭」のことを指したのだと勘違いしたのではないか。

一般庶民からすれば、お酒を数杯飲んで、何人か合計して何万円かかかるホテルのバーは「高級店」だと受け止める感覚を持つ。新聞記者は一般庶民よりも所得が多いかも知れないが、それでも、ホテルのバーを「高級店」と表現しても不自然ではない。

麻生首相は、北海道新聞の記者が「一晩で何万もする高級店」と表現した言葉を「高級料亭」のことを示したと勝手に思い込み、逆ギレしているのである。麻生首相が、間違えたのはあくまで記者だ、と主張するなら、ぶら下がり会見に同席した多数の記者に確認すれば、真相が明らかになるだろう。本ブログ10月23日付記事では、ぶら下がり会見のやり取りを引用してこの問題を記述しようとしたが、技術的な問題が生じ、記述できなかった

このことから類推すると、小沢民主党代表が「党首として責任を取る」と発言したことを麻生首相が「議員辞職する」と発言したのだと、勝手に取り違えたとしてもおかしくはない。

麻生首相は11月19日の全国知事会議で、地方の医師不足問題に関連して、

「(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観なんか違う。そういう方らをどうするかっていうのは真剣にやらないと。」と述べた。

 これまでの麻生首相の言動を見る限り、社会的常識がかなり欠落しているのがどちらであるかは明らかだと思われる。自民党の鴨下一郎元環境相は医師会執行部から「常識があるというヤツは常識がない」と言われたと語ったが、その通りだと思う。

 この言葉を使うと、「人を信用できないというヤツは信用できない」ということになるだろう。

 11月23日のNHK日曜討論に小沢一郎民主党代表が出演し、民主党の考えを真摯(しんし)に語った。メディアは民主党の行動を「政局絡み」と説明したがる。補正予算案の早期国会提出を求めてテロ特措法、金融機能強化法の参議院採決を先送りしたことを、麻生政権を解散に追い込む「戦略」と言いたがる。

 しかし、民主党が強く主張しているのは、補正予算案の国会への早期提出である。「政局より政策」と発言し、国民に宣言した衆議院解散総選挙を先送りして、景気対策に全力をあげることを国民に約束しておきながら、補正予算案の国会提出を来年まで先送りするというのは、どう考えても筋が通らない。国民的視点に立ち、中立公正に判断して、小沢氏の主張は正論そのものだ。

 自民党内部からも、小沢氏の意向に賛成する意見が噴出している。国民は生活、生命の危険に直面しているのだ。「政策より政局を優先」しているのは麻生首相である。

 麻生首相に補正予算案の提出を来年まで先送りすることを強く主張しているのは大島理森自民党国会対策委員長と細田博之自民党幹事長である。国民生活よりも自分たちの利益、党利党略を優先する、政治家として恥ずべき行動を、臆面もなく強行している。

 麻生首相が10月30日に記者会見で国民に約束した追加経済対策、この「約束手形」が不渡りになる可能性が浮上している。この手形が不渡りになると寒空の年末に向けて連鎖倒産が一斉に発生する。「麻生恐慌」の発生だ。自民党は日本経済を一気に奈落の底に突き落とした主犯として、多くの国民の心に取り返しのつかない傷を与えることになるだろう。

 政治は政治家の党利党略のために存在するものではない。国民の幸福を実現するために存在する。補正予算案の早期国会提出、早期成立、景気支援策実行は政局ではない。根源的な政策である。麻生首相が「私」を捨てて、「公」のために行動することが求められている。

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2008年11月21日 (金)

首相の資質を欠く麻生首相

麻生首相が私立幼稚園PTA全国大会で驚きの挨拶をしたが、「カナダde日本語」の美爾依さんが挨拶を伝えるニュース報道の動画をアップしてくださった。

麻生首相は挨拶のなかで次のように述べた。

「普段からー、お子さん、預かっておられるんだと思いますがー、そのー、お子さんの後ろにくっついている親で苦労してるでしょ。」

会場から笑いがこぼれたため、麻生首相はしたり顔で続けた。

「子供よりは親で苦労しているんだと、私はそう思ってんだけど。」

調子に乗った麻生首相の言葉が勢いをつける。

「やっぱり家庭の力が、たぶんなくなってきているんだと思いますね。」

「じいさん、ばあさん、やかましいおやじさんの存在が薄くなってきたせいもあって、幼稚園で何とかしろと負担が掛かってきている。しつけるべきは母親だ。」

しかし、会場の空気は冷え込んだ。カメラは冷え切った会場の様子をよく捉えている。動画の威力は大きい。渋谷事件での警察のよる不当逮捕も動画が決定的な証拠になるだろう。

PTAの大会だから、幼稚園児の親、母親が全国大会出席者の中心だった。その親に対して、「お子さんの後ろにくっついている親で苦労しているでしょ」と述べるのだから驚く。

幼稚園の先生の会合と勘違いしたのではないかと見られるが、原因は麻生首相の準備不足にある。

本ブログ9月23日記事に「首相の資質を問われる麻生太郎氏」と題する記事を掲載した。私は一国の首相の資質に関わる重要事案として三つの問題を提示した。以下が記事で記述した三つの問題だ。

第一は、政策主張の一貫性である。麻生氏は小泉政権の発足から2003年9月まで、自民党政務調査会長を務めた。政調会長は政策立案についての自民党最高責任者である。麻生氏は小泉政権の経済政策の最高責任者だった。小泉政権は「景気よりも目先の財政収支改善を優先」したが、現在の政策スタンスと明確な違いがある。政策についての主義主張を貫くことよりも、ポストを獲得することが優先されたのだと思われる。

理念や哲学よりも私的な利益を優先する行動様式が示されている。国民に対して解散総選挙を宣言し、総選挙で勝利して初めて天命を担うことができると明言しておきながら、選挙で惨敗する予想が示されると、恥も外聞もなく総選挙を先送りする姑息な行動は、現世利益優先の行動様式から導かれているのだと思われる。

第二は、後期高齢者医療制度や年金記録改ざん問題に対する発言迷走だ。麻生首相は福田政権末期に福田政権の閣僚である舛添厚労相が、福田首相の了解も取らずに麻生政権が実現した場合に後期高齢者医療制度の年齢区分を見直すと表明したことを明らかにした。舛添厚労相の行動は、人間としての信義則(しんぎそく)に反する行動だ。

麻生政権では定額給付金構想についても、首相が「全世帯」と明言した直後に、閣僚が「所得制限を設ける」と発言して混乱を招いた。首相が「道路特定財源から1兆円を使途自由の交付税を地方に配分する」と発言すると、自民党道路調査会幹部から「交付金を交付税と読み間違えたのではないか」と揶揄(やゆ)される。

組織を強固に保つためには、組織のトップがすべてを統率しなければならないし、組織の構成員は組織トップの権威を守らなければならない。組織のトップが言葉の重みを十分に認識して言葉を発し、上意下達(じょういかたつ)が徹底されていれば、無用の混乱を避けることができる。

第三は、麻生氏の説明が正確でないことだ。麻生氏は自民党総裁選で、「目先の財政収支よりも経済悪化を回避することが重要だ」と述べた。この見解は私の持論でもあり正当だと思うが、繰り返し例示した1997年度の事例が事実と大きく異なっていた。

麻生氏は「橋本蔵相の時代に消費税で5兆円、社会保障負担増加で4兆円、合わせて9兆円の増収を図ったが、結果的に税収は4兆円減少した。プラスマイナス13兆円も税収の見積もりを誤った」と繰り返し発言した。

97年の事例をあげたのだと考えられるが、事実は以下の通りだ。

政府が実施したのは「消費税増税5兆円、所得税増税2兆円、社会保障負担増加2兆円の合計9兆円の国民負担増加策」だった。政府税収見積もりは59兆4812億円だったが、実績は53兆9415億円にとどまった。97年度税収は96年度税収よりも1.9兆円増加した。つまり97年度税収は「7兆円の増税を実施したが1.9兆円しか増えなかった」というのが実態である。

「9兆円増税したのに4兆円税収が減少して、13兆円見積もりを誤った」事実は存在しない。また、97年度は橋本政権の時代で、「橋本蔵相の時」との発言も事実と異なる。私は麻生氏も出席した研究会で、「97年度に橋本政権が9兆円の国民負担増加策と4兆円の公共事業削減を実施し、13兆円のデフレ策を実行した」と説明したが、麻生氏はこのことと混同したのかもしれない。

ポイントは、麻生氏の説明が不正確であることだ。郵政株式の売却凍結、道路特定財源の一般財源化、など重要問題に関する麻生首相発言でも、首相発言の詳細(しょうさい)がぐらぐら揺れ動く。その理由は、最初の発言の段階で首相が詳細(しょうさい)を完全に把握していないことにあると思われる。

これらを通して考えてみると、やはり麻生首相の総理大臣としての資質に問題があるのだと思われる。

政治家として第一に求められることは、政治理念、哲学が明確で、ブレないことだ。目先の利害で主義主張がブレる政治家を信用することはできない。目先の財政収支よりも経済の回復が優先されるべきと考えるなら、なぜ、2001年度から2003年度の小泉政権の経済政策に異を唱えなかったのか。ポストを得るために政治信条、政策哲学をくるくる変える政治家を信頼することはできない。国民生活を大切にするとの約束も、麻生首相の個人的利害でいつ反故(ほご)にされるか分からない。

また、組織を一枚岩に保たなければ、政治の激流を乗り越えてゆけない。発言をころころ変える行動が国民の信頼を失わせるし、閣僚が首相と異なる見解を不規則に示すことが常態化すれば、もはや政権の体をなさない。

もっとも大切なことは、国民の生命、財産、生活を守るために、首相が政策運営に全身全霊を注がなければならないことだ。首相を目指し、総裁選に立候補するなら、水も漏らさぬ理論武装することは最低限必要だろう。4度も総裁選に立候補しながら、総裁選で何度も説明した最重要の政策提言の根拠で、事実すら正確に把握していないのは致命的だ。橋本首相の時代(1996-98年)と橋本蔵相の時代(1989-91年)はまったく異なる時代だ。

郵政民営化、道路特定財源、定額給付金など、首相が発言するなら、事前に詳細(しょうさい)を徹底的に詰めて、完全に理論武装して示すべきだ。そのためには、自宅に早めに帰って勉強することが必要ではないか。「新聞を信用しないから新聞を読んだことはないが、マンガは努めて読むようにしている」ことを望ましい習慣だと思う国民はいないだろう。

自分が挨拶する会合の属性を正確に把握すること、挨拶文に事前に目を通すことなど、非常に地味な仕事だが、おろそかにするべきでないと思う。国民の幸福を実現するために、全身全霊を注ぐ姿勢がまったく感じられない。

日本経済は本当にみぞうゆの危機に直面している。10月30日の記者会見では年末にかけての企業の資金繰りが非常に苦しくなると発言し、中小企業の資金繰りをより万全なものとすると発言したのではないか。

「政局より政策」と掲げて、総選挙を先送りしたのに、補正予算案を国会に提出しないなら、小沢一郎民主党代表が指摘するように、「金融危機」を解散総選挙を先送りするための口実に使ったことになる。

補正予算案を臨時国会に提出すべきとの主張が自民党内部からも提示された。「過(あやま)ちては則(すなは)ち改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」だ。APEC総会から帰国したら、補正予算案の臨時国会提出を決定し、補正予算成立後、直ちに解散総選挙を実施して、本格政権樹立を目指すべきだ。国民生活を第一だと考えるなら、本格政権に政策運営を委ねる道を選択するべきである。

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2008年11月20日 (木)

麻生政権の致命傷になる補正予算提出先送り

 11月20日、日経平均株価が8000円を割り込んだ。10月28日以来の7000円台突入である。株価が下落しているだけではない。日本経済が急激に大不況に移行していることが示唆されている。

NHKの定時ニュースで、当然トップニュースで取り扱われるべき事態である。ところが、NHK午後7時の定時ニュースでは、この経済急変がまったく報道されなかった。自動車産業の雇用削減が報道されたが、NHKは日本経済全体に迫る深刻な景気後退に警鐘を鳴らす株式市場動向をまったく伝えない。

理由は、日本経済がみぞうゆの経済危機に直面している現状を報道すると、それではなぜ麻生政権は景気対策を実行に移すために不可欠な補正予算の早期成立に取り組まないのかに焦点が当たってしまうからだ。

日本経済は極めて深刻な状況に直面している。麻生首相は10月30日に追加景気対策を決定して記者会見を行った。日経平均株価が7000円台に突入した直後だ。

麻生首相は「100年に1度の暴風雨が荒れている。100年に1度の危機と存じます」、「こうした状況の中でなにより大事なことは、生活者の暮らしの不安というものを取り除くことだと確信しております。すなわち国民生活の安全保障であります」と述べた。

そのうえで、「今回の経済対策は、国民の生活の安全保障のための、国民の経済対策です。ポイントは、スピード、迅速にという意味です」と明言した。

10月末と比べて現状は、深刻さがより増していると言わざるを得ない。10月末の株価急落後、世界の株式市場ではいったん株価が反発した。主要国の政策対応により、事態の悪化に歯止めがかかるとの期待が一時的には広がった。

しかし、日本の政策対応は完全に停止してしまった。麻生政権は10月30日に景気対策を決定したまま、完全なサボタージュに移行してしまった。11月14、15日にワシントンで20ヵ国首脳による緊急金融危機サミットが開催されたが、まったく成果をあげることができなかった。

麻生首相は「歴史に残る首脳会議だった」と自画自賛したが、金融市場はその後、株価急落の洗礼を麻生首相に浴びせた。麻生首相は金融危機サミットで、10兆円もの国民資金をIMFに拠出することを勝手に表明したが、国会の同意を得ていない。外貨準備は首相のポケットマネーではない。1ドル=95円で24兆円もの為替評価損を生み出している外貨準備から、さらに10兆円もの資金を新興国支援に流用することを表明してしまった。

日本国憲法第83条に「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」との規定がある。国会の決議を経ていない10兆円の外貨準備流用表明は憲法違反であると思われる。

20ヵ国緊急金融危機サミットでは、各国が財政政策を含む景気対策に取り組むこと、金融市場に対する規制を強化することなどを確認したが、新たな効果的な政策を示すことができなかった。

株価は一時反発したのちに、再び急落している。日本経済の悪化も鮮明になっている。11月17日に発表された2008年7-9月期の実質GDP成長率は2四半期連続のマイナスを記録した。日本経済はつるべ落としで深刻な不況に突入しつつある。

麻生首相は「政局より政策」の大義名分を掲げて、国民に宣言した解散総選挙を先送りした。月刊誌で「私は逃げない」と言い切った総選挙だったが、自民党が惨敗するとの選挙予測が示されたために逃げの一手に転じた。それだけでも姑息な首相のレッテルを貼られてしまうが、「政局より政策」と主張した以上、景気対策を具体化する補正予算を臨時国会に提出しないことが通用するはずがない

景気対策の内容があまりにお粗末で、国会に提出すると、お粗末な政策の全貌が明らかにされ、支持率をさらに低下させてしまう恐れが高いことから、自民党は補正予算案提出を来年に先送りしようとしている。政治権力に迎合するマスメディアの一部は、必死に麻生政権を擁護しようとしている。

しかし、麻生政権の無責任極まりない対応で被害を受けるのは一般国民である。日経平均株価が8000円を下回ると、メガバンクでも保有株式が評価損を生み出す。地方銀行の自己資本比率は急落し、金融機関の融資姿勢は急激に慎重化する。

2008年度上半期に倒産した企業の負債総額は第2次大戦後2番目の高水準に達している。年末に向けて企業倒産の急増が予想される。11月20日のNHK定時ニュースは自動車メーカーが派遣労働者の大幅削減に踏み切る方針を報道したが、非正規雇用労働者を中心に、真冬の寒空の下に、雇用を切られる国民が激増する可能性が高い。

厚生省元事務次官を狙った卑劣な凶悪事件が発生する一方、麻生首相は常識を欠く軽はずみな発言を繰り返し、メディア報道が日本経済の悪化を十分に伝えていないが、日本経済は極めて深刻な状況に直面している。

病気への対応と同じで、景気悪化に対しては「早期発見早期治療」が、事態を深刻化させない鉄則である。10月末の株価急落局面で景気対策を決定して株価が反発したにもかかわらず、景気対策を具体化せず、悠長に補正予算案の国会提出を来年まで先送りするのでは、経済崩壊は必然である。

麻生政権が補正予算案の国会提出を見送るなら、麻生政権は今後の日本経済悪化の全責任を負わなければならないだろう。政府、政権が全身全霊を注いで国民生活支援に取り組み、それにもかかわらず経済が悪化するなら、政権に責任を負わせることは酷だろう。しかし、国民の負託を受けた政権として、当然実行しなければならない行動を放棄し、結果として国民に苦しみが押し付けられるなら、その不誠実さは徹底的に糾弾されなければならない。

補正予算案提出の来年への先送りを誘導する大島理森国対委員長の行動は、景気後退に苦しむ国民に対してあまりにも不誠実な行動である。鳩山邦夫総務相もテロ特措法と金融機能強化法の参議院採決に応じない民主党を非難する前に、国民の生活困難にしっかり目を向けるべきだ。

麻生首相が発言したように、今回の金融危機「100年に1度の暴風雨」である可能性が高い。その認識を持ちながら、景気対策をたな晒(ざら)しにして具体化を来年に先送りする神経は尋常(じんじょう)と言い難い。

政策のサボタージュを押し通す結果として、国民生活が破壊したとき、麻生首相の発言権は完全に消滅するだろう。民主党の小沢代表が変則的な手法を用いてまで、補正予算案の臨時国会提出を麻生首相に直談判したのは、今回の不況が国民生活に与える深刻で甚大な影響を真剣に憂慮するからだ。

倒産、失業が急増し、多くの罪なき国民が苦しみに直面している。この苦しみを直視せず、麻生政権が党利党略、政局優先の行動を貫くなら、麻生政権は必ずその報いを受けることになるだろう。

 年内に補正予算を成立させ、年末までに国民生活支援の政策が始動する状況を導くことが、国民に責任を持つ政治がとるべき行動だ。麻生首相は11月25日に補正予算の取り扱いを正式に表明する予定だ。「過(あやま)ちては則(すなは)ち改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」だ。方針を変更して補正予算案を今臨時国会に提出することを決定するべきだ。

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2008年11月19日 (水)

麻生政権を糾弾する正論の増加に注目

 麻生首相は今臨時国会への第2次補正予算案提出に消極的な姿勢を示している。自民党の国会対策関係幹部は、今国会に補正予算案を提出しない方針を固めたとも伝えられている。

 麻生政権の国民無視、党利党略優先、傍若無人の政治行動が許されるはずがない。日本経済はいま、みぞうゆうの経済悪化に直面している。米国発のサブプライム金融危機を麻生首相は100年に1度の暴風雨だと発言した。100年に1度の経済危機だということは、1930年代の世界大恐慌に匹敵する事態が発生する可能性があると発言したことと同義になる。

 現実に、住宅・不動産関連企業の大型倒産が頻発(ひんぱつ)し、企業倒産が戦後最悪の状況に迫りつつある。急激な円安是正により、輸出製造業の収益が急激に悪化している。自動車販売が前年比30%減少の非常事態に直面している。個人の消費心理が急激に冷え込み、GDPの56%を占める個人消費の急減が日本経済の悪化を加速させる可能性が濃厚だ。

 自民党が輩出した首相は2代にわたって政権を放り出した。1年間に2度も首相が職務を放棄する前代未聞の不祥事が起きた。憲政の常道に従えば、政権担当能力の欠落を露呈した自公政権は、いったん野党に政権を引き渡し、野党政権は早期に総選挙を実施して、国民の信託を受けた本格政権を樹立することが正しい対応となる。

 ところが、自公政権は政権をたらい回しにした。それでも、政権を放り出した福田前首相は国民の審判を受ける必要性を認識し、後継の麻生首相に早期の解散総選挙実施を申し送り、首相を辞した。

 麻生首相は首相就任に際して、一般国民に対して、月刊誌への寄稿手記を通して、臨時国会冒頭での解散総選挙実施を高らかに宣言した。ところが、自民党が実施した選挙予測調査が自民党惨敗予測を示したため、総選挙実施を先送りする行動を取り始めた。

 そのタイミングで米国の金融危機が深刻化したため、麻生首相は経済環境の変化を、解散総選挙先送りの口実に利用した。「国民は圧倒的に「政局より政策」と考えているのではないか」と麻生首相は説明した。

 米国発の金融危機は深刻であり、日本経済の悪化も深刻化しつつある。日本の金融機関のサブプライム金融危機からの直接的影響は比較的小さいが、日本の株価下落が進行すれば、日本の金融機関の破たんも十分に考えられる。日本経済もすでに危機的状況に移行したと考えるべきである。

 この意味では、麻生政権がまず経済危機に対して緊急対応を迅速に決定し、早急に経済対策を実行することについては、野党の支持、国民の支持が得られると考えられる。

 麻生首相は追加経済対策を決定した10月30日の記者会見で、「100年に1度の暴風雨が吹いている。ポイントはスピード、迅速にという意味だ」と明言した。景気対策を発表しても、予算を国会で成立させなければ、実効性のある経済対策を実行に移すことはできない。

 本年1月に米国のブッシュ政権が1500億ドルの減税を打ち出した時には、1か月以内の短期間に政策策定、議会審議、法律成立までを終えた。迅速な政策対応だった。

 経済危機に移行した日本経済の現状を踏まえるとき、補正予算の早期国会提出、成立は最優先の政策課題である。すでに多くの国民が経済悪化に苦しんでいる。非正規雇用労働者、働く貧困層が激増し、国民生活の根底が揺らいでいる。高齢者、障害者、生活困窮者、母子世帯、非正規雇用労働者などが、ぎりぎりのところで生活している。

 日本経済がさらに急激な悪化を示す時、そのしわ寄せは、これらの相対的に弱い人々を直撃する。この意味で、追加経済対策の具体化が何よりも優先される政策対応なのだ。

 民主党がテロ特措法と金融機能強化法の参議院採決を人質に取っているとの批判があるが、この手段を取らない限り、麻生政権が補正予算の早期審議に取り組む可能性はゼロである。国民生活を守るための、背に腹は代えられない対応策として、二法の採決拒否を提示したのである。この手法を批判する者は、採決を拒否せずに、麻生政権が早期の経済対策審議に応じる方法を示す必要がある。

 麻生政権が提示した景気対策は内容に大きな問題が多くある。定額給付金などは、理念も哲学もない選挙に向けての買収政策としか言いようのない施策だが、国会が全力をあげて経済危機に対応する政策を決定しなければ、犠牲になるのは一般国民である。補正予算審議を来年まで先送りする麻生政権の行動を擁護することは、一般国民の生活破壊を容認することと同義であることを十分に踏まえるべきだ。

 御用メディアは、国民生活の困窮を容認しているのか、麻生政権を擁護して、民主党の行動を政局優先だとする、筋違いの論評を提示している。例えば、読売新聞は社説で以下のように記述した。

「小沢民主党 安全保障を政局の具にするな」(11月19日読売新聞社説)

「民主党の小沢代表が、突如、麻生首相との党首会談を経て、与党との全面対決路線に転じた。参院で重要法案の採決を徹底的に拒否するという「政局至上主義」の復活だ。これでは、政治の責任は果たせまい。」

 しかし、麻生政権が補正予算案の国会提出を来年まで先送りすることに対する適正な批判が欠如している。

 産経新聞は「御用」の立場から、民主党攻撃に偏向した主張を繰り返しているが、補正予算問題については、さすがに麻生政権の対応を擁護しきれていない。

「党首会談 「政局」に戻してはならぬ」(産経新聞11月19日「主張」)

「特措法改正案は、今週中に衆院再議決を経て成立する運びだった。民主党がこれを補正予算案と結び付け、再び政局の材料にするというのは理解しがたい。」

「党首会談は、民主党が政府・与党に要求して行われた。首相は衆院解散よりも当面の経済対策を優先させると語った。それなら、追加経済対策を裏付ける補正予算案を早急に提出して審議すべきだ。民主党のそうした言い分には、もっともな点もある。」

 朝日新聞は、腰の引けた論説を掲載した。麻生政権批判を民主党の主張を紹介する形で記述し、朝日新聞としての見解を明示していない。民主党を積極的に支援したくないとの思惑が強いのだと考えられる。

「麻生首相―政策も政局も混迷模様」(朝日新聞11月18日社説)

「首相は先月末、米国発の金融危機が世界に波及したことを「100年に1度の経済の暴風雨」と呼び、年内の衆院解散・総選挙を先送りする方針を打ち出した。「政局より政策」とも言い、緊急経済対策を実施することが何よりも政治の優先課題だと語った。

 ならば、この国会を延長し、緊急の景気対策などを盛り込んだ第2次補正予算案を出すのかと思いきや、政府与党では30日の会期切れで国会を閉じ、来年1月の通常国会で補正予算案を審議するという方向が強まっていた。

 これでは筋が通らないではないか。何のための総選挙先送りだったのか。民主党はそう反発を強めていた。」

「首相には、就任直後から解散をずるずると先送りしてきたツケが次々と降りかかっている。どう打開するつもりなのか、首相の本当の考えを知りたい。経済対策が先なのか、解散先送りの方が大事なのか。国会の機能停止が許容される時ではあるまい。」

 しかし、新聞の社説で、麻生政権の筋の通らない行動を明確に批判する主張が登場し始めたことは特筆に値する。社会の木鐸としてのメディアの役割を踏まえるなら、国民生活を無視し、国民に対する約束を無視する麻生政権の政局優先、党利党略優先の行動は厳しく糾弾されなければならない。

 中日新聞、北海道新聞、河北新報、中国新聞などが、社説で麻生政権の不正義の行動を明確に批判している。以下に社説の一部を紹介する。

「麻生・小沢会談 駆け引きしている時か」(中日新聞11月18日社説)

「緊急経済対策を盛り込んだ第二次補正予算案の提出時期も明言しなかった。このため、小沢氏は予算案を今国会に提出するよう強く迫った。首相が景気最優先という以上、麻生政権としては早急に処理するのが当然だろうという考えに基づく。筋は通っている。

 首相は「いつ出せるかは今の段階では明快に答えられない。出せるように努力している」とだけ答えた。ここはみんなが首をひねるところだ。補正予算案を提出すれば、国会会期の延長が避けられなくなる。先送りしたい解散に追い込まれかねないことを恐れてのことであれば、情けない。

 日本の景気後退が鮮明になっている。雇用不安も広がっている。「政局より政策」といい、十分な景気対策を盛り込んだというのであれば、やはり早急に提出し、審議に付すべきである。」

「混沌国会 首相の「決断」が必要だ」(中日新聞11月19日社説)

「二次補正に盛り込む追加経済対策を発表した記者会見で、首相は現在の経済情勢を「百年に一度の金融災害」とたとえ「ポイントはスピード」とまで語っている。

 定額給付金などを柱とする二次補正を急ぎ提出するのが筋なのになぜか明言を避けている。」

「党首会談の意味/焦点は国会延長に移った」(河北新報11月19日社説)

「「政局より政策」と言うなら、首相は景気対策を表看板とする第2次補正を延長国会に提出し、できるだけ早く成立させるのが筋だろう。」

「参院委採決先送り 「景気最優先」はどこへ」(中国新聞11月19日社説)

「追加経済対策の裏付けとなる第二次補正予算案を、麻生太郎首相がなかなか提案しない。これに対し、民主党の小沢一郎代表が「すぐに出すと言って出さないのは公約違反だ」と迫る構図だ。

 背景に、解散の時期をめぐる与野党の党利党略が透けて見える。しかし国民が求めているのは、緊急対策を行ったうえで、実行力のある政権が本格的な経済政策にしっかり取り組むことであろう。与野党とも、その点を忘れてはなるまい。」

「終盤国会 袋小路の中の麻生首相」(北海道新聞11月19日社説)

「確かに小沢氏の行動には唐突感があった。だが、首相が「政局より政策」だと景気対策優先を唱えるからには、二次補正予算案を早急にとりまとめ、国会で審議を始めるべきだという言い分には理がある。」

 中立・公正の立場に立って事態の推移を見れば、「政局より政策」と明言して解散総選挙を先送りした麻生政権が、補正予算案を臨時国会に提出しないことを正当化する根拠はまったく存在しない。国民生活が危機的な状況に直面していることを踏まえれば、麻生政権の対応が糾弾されることは当然だ。麻生首相が行動を是正するよう、世論喚起に努めるとともに、政治権力に迎合する一部大手メディアの偏向報道を監視しなければならない。

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2008年11月18日 (火)

補正予算案提出先送りは麻生首相問責決議に該当

日本の国民にとっていま、最も切実な問題は景気の悪化だ。日本経済はつるべ落としで悪化している。年末を控えて、多くの日本国民が、切実な気持ちで暮らしている。麻生首相が首相の座に居座ることだけを考えて、国民感情を無視した行動を続けるなら、遅かれ早かれ国民の厳しい審判が必ず自身に降りかかることになるだろう。

「カナダde日本語」の美爾依さんが、麻生内閣の支持率急落の理由を9つ列挙されて、分かり易い解説を示されている。

補正予算の先送り、理念も哲学もない選挙向け買収活動でしかない定額給付金、庶民感覚とかけ離れた連夜のホテルバー通い、麻生邸見学ツアー主催者違法逮捕の渋谷事件へのだんまり、非正規雇用労働者への侮辱発言、KYに新しい意味を吹き込んだ漢字読み間違い連発、不況が深刻な状況下で消費税増税を宣言する元祖KYな感覚、など、どれも共感を呼ぶ麻生首相批判である。

経済悪化で先行したのは不動産・建設部門だった。昨年6月に改正建築基準法が施行されたが、政府の準備不足が致命的な影響を与えた。建築確認が下りず、マンション建設が完全にストップしてしまった。

このタイミングで米国のサブプライム金融危機が顕在化した。日本の不動産は外国資本の積極的な投資活動により、2003年から2007年にかけて、ミニバブルの様相を示した。その投資主体の外国資本の逆流が始まった。

連動して首都圏を中心に不動産価格が急激な下落に転じた。官製不況、サブプライム危機、不動産価格急落のトリプルパンチに見舞われて、不動産・建設業から深刻な不況が始まった。中小企業だけでなく、中堅企業、上場企業の破綻が激しい勢いで広がっている。

本年7月以降、経営環境が急変したのが輸出製造業である。2000年から2008年にかけて、日本円と米ドルは主要通貨に対して激しい下落推移をたどった。日米の超金融緩和政策が米ドルと日本円の長期暴落の理由だった。

本年7月以降、欧州経済の悪化、原油価格の急落が表面化し、米ドルと日本円は主要通貨に対して急激な上昇を示した。「円高」と言うよりも「円安是正」と表現すべきだが、日本円はユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルなどの主要通貨に対して急激な上昇を示した。米ドルに対しても、10%程度の上昇を示した。

急激な円高は輸出製造業の企業収益を直撃する。企業収益は軒並み3割、5割、7割減少し、赤字に転落する企業も生まれている。日本経済を牽引してきた輸出製造業の業況が急変した。

日本のGDPの56%を個人消費が占めている。個人消費が景気の基調を決定すると考えて間違いない。その個人消費が急激に萎縮し始めた。日経平均株価は10月27日に7162円まで下落した。2003年4月28日のバブル崩壊後最安値7607円を大幅に超えて、1982年10月7日以来、26年ぶりの安値を記録した。

日経平均株価は2007年7月9日の18261円から、本年10月27日の7162円まで、11099円、60.8%の暴落を演じた。株価暴落に連動して、個人の消費者心理が急激に冷えている。個人消費が減速傾向を強めている。日本の実質GDP成長率は本年4-6月期以降、マイナスに転落した。2009年に向けて、景気悪化が加速する可能性が高い。

日本経済は2002年2月から2007年12月まで景気回復を持続したとされているが、改善したのは企業収益だけだった。大企業労働者の一部は浮上したが、一般労働者に景気回復の恩恵は回ってこなかった。

小泉政権が日本社会に強制した「弱肉強食奨励」=「市場原理主義」=「新自由主義」の経済政策は、一般国民に苦しみしか与えなかった。労働市場の規制緩和が非正規雇用労働者と働く貧困層を激増させた。一生懸命に働いているのに、年収が200万に届かない労働者、雇用の安定を得られずに、いつ「雇い止め」の通知があるかを心配し続けなければならない労働者、「雇い止め」に直面しながら、失業給付を受け取ることができず、病気になっても医療を受けられない無保険労働者が激増した。

障害者、高齢者、生活困窮者、母子世帯など、社会が特段のケアをしなければならない人々に苦しみだけが押し付けられ、多くの人々の生存権が脅かされてきた。景気回復の期間が長かったと言っても、一般国民の生活は向上することがなかった。

米国発の金融危機は、ブッシュ政権、小泉政権が推進した市場原理主義の経済政策の破綻を意味する。市場原理にすべてを委ね、弱肉強食を奨励し、結果における不平等が日米両国で著しく拡大した。しかし、利益のあくなき追求を是認する新自由主義は、利益追求の欲望を制御不能なレベルにまで拡散させ、最終的に経済の破壊的な混乱をもたらしている。

経済政策運営の根幹を抜本的に修正することが迫られている。「市場原理主義」=「弱肉強食奨励」=「新自由主義」から、「セーフティーネット重視」=「生存権重視」=「社会民主主義」への路線転換が求められている。

国民生活に目線を合わせれば、急激な経済悪化に対応することが最優先の政策課題だ。麻生首相は「政局より政策」と発言し、国民に宣言した臨時国会冒頭の衆議院解散と総選挙実施を先送りした。先送りした以上、臨時国会に第2時補正予算案を提出するのは当然のことだ。

鳩山総務相は民主党を政局優先と非難したが、麻生政権の閣僚の一人として、麻生政権が補正予算案を国会に提出しないことをまず謙虚に批判するべきだ。

国民の視点に立てば、補正予算を早期に成立させた上で、早期に衆議院の解散、総選挙を実施すべきだ。麻生内閣の支持率が急落している。11月15、16日に実施されたテレビ朝日系列のANN世論調査では、麻生内閣の支持率が29.6%となり、先月の調査より13.2ポイント急落した。9月の政権発足直後の支持率50.4%から2ヵ月で3割を切った。一方、不支持率は46.8%と、10月の約37%から急増した。

麻生首相は麻生政権の「政局より政策」の方針が国民に支持されていると強弁しているが、麻生政権自身が国民からすでに支持されていないのだ。政治は国民のためのものである。政治家が私的な利害で政治を弄(もてあそ)んではならない。

政策優先を宣言したのだから、まず、補正予算案を今国会に提出すべきだ。麻生政権が補正予算案を国会に提出することが、テロ特措法、金融機能強化法を参議院で採決する前提条件だとする民主党の戦術は、政府に補正予算案の国会提出を迫る、極めて有効な手法である。

法案採決を人質にとる国会戦術を批判する意見は存在するが、①麻生政権が国民を無視した政治運営を押し通そうとしていること、②補正予算案の国会への早期提出が国民の視点から不可欠であること、を踏まえれば、民主党の戦術を非難することはできない。

民主党がお人好しに参議院での法案採決に応じても、麻生政権が補正予算案を国会に提出しない可能性が高いのだから、国民の視点に立った政策運営を実現するには、他に方法がない。

論点は明確だ。政策優先を明言しながら、補正予算案を国会に提出しようとしない麻生政権の不正義が糾弾される対象である。補正予算案提出を来年まで先送りすることを正当化する理由は存在しない。臨時国会への補正予算案提出を求める世論の喚起が求められる。麻生政権が補正予算案を臨時国会に提出しない場合、参議院が麻生首相の問責決議を可決することが正当化される。世論喚起にメディアも力を注ぐべきだ。メディアがその役割を積極的に担わないなら、政治的偏向の批判を免れない。

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2008年11月14日 (金)

麻生首相は「政策より政局」を「政局より政策」と読み間違えたのではないか

麻生首相は「政局より政策」と発言してきたが、「政策より政局」という原稿を読み間違えたのではないかと思われる。年末の中小企業の資金繰りが大変だと力説していた麻生首相が「政局より政策」と考えていたのなら、補正予算の国会提出を来年まで先送りすることは考えられない。元々「政策より政局」を基本に据えていたのだろう。

 

「Easy Resistance」様「私好みのimagination」様「こわれたおもちゃをだきあげて」様、ありがたいお言葉をありがとうございます。心より感謝申し上げます。

月刊誌『文藝春秋』に赤坂太郎とのペンネームによる政治解説連載記事がある。政治評論家が持ち回りで執筆していると言われるものだが、2008年12月号には、「麻生が「解散先送り」を決意した夜」と題する記事が掲載されている。副題に「批判の多いホテルでの会食。そのとき、麻生はある人物を招いた-」とある。因みに赤坂太郎は麻生首相のことを指しているわけではなく、長く続いているペンネームだ。

麻生首相は『文藝春秋2008年11月号』に手記を寄せ、臨時国会冒頭での衆議院解散をかなり明確に宣言した。ところが、選挙での惨敗の可能性が濃厚になり、解散総選挙を先送りしたと見られている。こうした経緯から、同誌は麻生首相擁護の論評を掲載したと考えられる。

『週刊東洋経済』の政治解説連載記事は「FOCUS政治」だが、2008年11月8日号には政治評論家の歳川隆雄氏が「任期満了が浮上 解散めぐりなおバトル」と題する記事を執筆している。

いずれの記事にも10月5日の夜、麻生首相が帝国ホテルのバー「ゴールデンライオン」を「かご抜け」して、階上のスイートルームで、ある人物と極秘裏に会ったことが記されている。東洋経済記事によると、その人物は日本銀行の川合祐子金融市場局キャピタルマーケット担当企画役で、白川方明総裁の最側近の一人だという。

記事の内容から推察すると、『文藝春秋』記事は歳川氏が執筆したとも考えられる。密会には麻生首相の外交演説に手を入れるスタッフライター、新聞記者OBも同席したという。麻生首相は世界の金融危機が深刻化するなかで、その後開催が正式に決まった20ヵ国首脳会議などの場での、日本政府の新興国の金融危機に対応する施策などについて意見が交わされたことが記されている。

11月13日記事「憲法違反の外国為替資金特別会計」に記述したが、政府が国会の了解を取らずに、外貨準備を外国政府支援に流用することを国際会議で表明することは、憲法違反の疑いが濃厚だ。

一般国民は外貨準備の構造についての基礎知識を持たないから、「政府の外貨準備」と聞くと、政府が余裕資金として外貨準備を保有しているのだと勘違いしてしまう。100兆円の外貨準備が存在すると聞くと、日本政府もなかなかの金持ちだと錯覚してしまう。

だが、外貨準備はそのような余裕金ではない。政府が日銀から借金して外貨を購入しているのだ。外貨といってもドル紙幣を保有しているのではなく、大半は米国国債だ。つまり、日本政府が日本銀行から100兆円借金してそのお金を米国政府に貸し付けているのである。

かつて、橋本龍太郎首相が、日本政府が保有する米国国債の売却を示唆して物議を醸(かも)したことがあった。米国政府が睨(にら)みを利かせているために、日本政府が保有米国国債を自由に市場で売却できないと言われることが多い。

しかし、外貨準備を保有する経緯を踏まえれば、こんなおかしな話はない。日本政府が外国為替市場でドルを購入するのは、円高・ドル安が急激に進行する局面で、行き過ぎたドル安、円高を回避するために、ドル買い介入をする場合に限られる。ドル安が行き過ぎた局面でドルを買うのだから、市場が落ち着けば、当然、ドルは反発する。ドルが堅調な局面でドルを売却しても混乱は生じない。日本政府は値上がりしたドルを売ることで為替売買益を獲得できる。

ただ、別の側面から見ると、異なる意味も浮上する。日本政府が購入するのは米国国債だ。ドルが下落する局面では、海外の投資家はドル資産購入を嫌う。米国政府がどうしても資金を調達するには金利を上げなければならない。このような局面で日本政府が米国国債を購入してくれれば、米国政府の利益は極めて大きい。

森田実氏が指摘されたように、小泉元首相がブッシュ大統領に、購入した米国国債は売らないと約束したのなら、それは、日本政府が米国政府に資金を贈与したことと同じになる。こんなことが許されるはずがない。

日本の外貨準備の管理を日本国憲法の規定に沿って、国会決議事項にしなければならない。内閣支持率が低迷して月刊誌で宣言した解散総選挙から逃げ回る麻生首相が、国際会議で点数を稼ぎ、支持率を上昇させるために、国民に10兆円もの資金負担を負わせる施策を、国会の同意を得ることもなく国際会議で表明することが許されてはならない。

麻生首相帰国後の国会での最重要議題の一つに、外国為替資金特別会計法の改正を取り上げなければならない。

米国発の金融危機マグニチュードは恐ろしく大きい。デリバティブ金融商品の想定元本は600兆ドル=6京円程度に拡大していると見られている。米国政府は米国最大の保険会社AIGに対する資金支援の規模を8.5兆円から15兆円に拡大した。

AIGは2008年7-9月期の3ヵ月にサブプライム関連損失を3.1兆円計上した。昨年夏以降の損失は760億ドル(7.6兆円)に達している。AIG社が抱えるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の残高は4000億ドル(40兆円)に達しており、AIGが破綻すれば、金融市場に大激震が走る。

政府系住宅金融公社(GSE)であるファニーメイとフレディマックが発行する債券や住宅ローン担保証券が総額5兆ドル(500兆円)存在し、そのうち1.5兆ドル(150兆円)が海外の中央銀行や金融機関に保有されている。11月10日、ファニーメイは2008年7-9月期の決算が289億ドル(290兆円)の最終赤字になったことを発表した。

両社の発行する債券には政府保証はついていない。2社だけで500兆円のハイリスク金融商品が世界の金融市場に広がっている。米国政策当局はすでに100兆円の公的資金枠を提示しているが、金融市場の不安心理は後退していない。日本の金融機関のなかにもGSE債を大量保有している金融機関がある。

麻生首相は日本の金融機関のダメージは相対的に小さいと主張して、日本の外貨準備資金を新興国の金融危機対応に流用するなどと発言しているが、日本の金融機関の現状は急激に悪化している。

日本の金融機関は株式を大量保有しているため、株価下落が自己資本比率に強い影響を与える。政府は地方銀行の保有有価証券について、時価評価規制を緩和するとの方針を示したが、極めて危険な対応である。時価評価の見送りは、損失の隠蔽(いんぺい)と先送りに他ならない。日経平均株価が8000円を割り込むと、日本の金融機関も破綻リスクを濃厚に抱え込むことになる。海外に資金を回す余裕などあっという間に吹き飛ぶ。

日本経済の急激な悪化、金融機関の自己資本不足から、激しい信用収縮が発生し始めた。企業倒産が急増し始めたが、銀行の貸し渋り、貸し剥(は)がし、はこれから、急激に拡大する。2008年年末に向けて、企業倒産の激増が予想される。

「政局より政策」が発言の本意だとすれば、補正予算案国会提出の2009年への先送りを理解することができない。麻生首相は「政策より政局」の意味で「政局より政策」発言をしていたのだとしか考えられない。

経済の急激な悪化に対する施策の決定、実行を数ヶ月先送りして、その結果、企業倒産激増、株価急落、景気深刻化加速が表面化した場合、麻生首相の責任は厳しく追及されることになる。解散どころではなく、麻生政権は総辞職せざる得なくなるだろう。

日本経済の悪化は急激に加速し始めている。日本経済への対応を数ヶ月も先送りして新興国への10兆円の資金支援を国会の承認をも得ないで発表するような、無責任極まりない政権には、一国も早く退場してもらわなければならない。日本国民が悲惨な地獄に突き落とされてしまう。

補正予算案を臨時国会に提出し、野党の意見を受け入れ、理念も哲学もない定額給付金を撤回して修正した補正予算を早急に成立させる。そのうえで衆議院の解散に踏み切るべきだ。これから到来する大不況に対応するには、国民の信託を受けた強固な本格政権が不可欠だ。

麻生首相は首相として、まず「私利私欲」から離れるべきだ。政治は「公」のものである。政治を「私」にすることは許されない。

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2008年11月11日 (火)

消費税増税法案提出を論じる時代錯誤

麻生首相は11月11日昼、経済情勢が改善すれば2年後に消費税増税法案を提出する意向を表明した。麻生首相は解散総選挙宣言の不実行、給付金所得制限などの問題で発言の信用を著しく低下させている。

10月30日に追加景気対策を発表した記者会見で、麻生首相は3年後に消費税を引き上げる方針を表明した。その後、自民党や内閣閣僚から増税発言に対する抑制発言が広がると、経済状況を見定めて実施するかどうかを判断すると発言を後退させた。

11日の発言も経済情勢が改善することを前提としてのものであるが、2011年度から消費税増税を実施するとの政府方針が鮮明になってきた。曖昧な発言は混乱を招くだけで、2兆円の給付金支出政策も、所得制限を設けるかどうかで大混乱を招いてしまった。

この意味で発言を明確化することは重要だが、より重要なのは内容である。日本経済は急激な景気悪化に移行しつつある。11月11日に内閣府が発表した10月の街角景況感では、街角の景況感を3ヵ月前と比較した現状判断指数が前月比5.4ポイント低下し、22.6ポイントとなり、現在の調査方式が開始された2001年8月以降で最低値を記録した。

この調査は各種経済指標が一般的な景気実態を反映しにくいとの理由から開始されたもので、調査開始の経緯を踏まえると、景気実態をより正確に表示するはずのものである。その調査で調査開始以来の最低値を記録したということは、日本経済の悪化がいかに急激なものになっているかを示している。

日本政府は小泉政権以来、財政政策を全面的に否定し、財政再策に景気支持の役割を求めないことは世界の潮流とまで断言してきた。ところが、米国、欧州は、経済金融不況の深刻化を踏まえて、機動的に財政政策活用に方針を転換している。小泉政権以来の政権中枢が誤った判断を示してきたことが証明されている。

11月15日には米国ワシントンで緊急金融危機サミットが開催される。サミット議長国は日本であり、緊急サミットは日本がリードして開催するべきものだったが、日本のリーダーシップはまったく見えなかった。麻生首相が成田でのサミット開催を働き掛けたようだが、主要国首脳からはまったく相手にされなかった。

10月10日のG7、10月13日の欧州首脳会議で、緊急行動計画が示された。各国政府は金融危機を鎮静化させるために、あらゆる政策を総動員する方針を確認した。金利引き下げ、資本増強、流動性供給、預金保護、などの方針が確認されたが、財政政策の活用についても合意が得られた。

麻生政権は景気対策を決定し、発表したが、そのなかに消費税増税を提示するところに、経済運営のセンスのなさが象徴的に示されている。

追加景気対策の目玉は2兆円の給付金政策だが、各種世論調査が示しているように、国民は高く評価していない。お金の支給を受けて喜ばない人はいないはずだが、政策の理念も哲学もないことが透けて見えてしまっている。総選挙に向けて1人1万2000円の買収資金が配られると受け止めている国民が大半だと思われる。

麻生首相がポケットマネーで給付金を支給するなら、公職選挙法の縛りを除けば国民の人気を得るかも知れない。しかし、給付金と言っても元々国民が支払った税金が財源だ。税金で納めたお金を、「給付金」と「お上」から「下々」に「恵んでやる」と言わんばかりの方式で給付することに釈然としない国民も多いと思う。

10月10日のぶらさがり会見で、朝日の世論調査で6割以上が必要ないとの意見を表明したことについて聞かれると、麻生首相は「貧しいところは必要だと思っている方も多い。目先しんどくなったら、貧しいところはお金は必要」と述べた。

給付金は「貧しい人」に政府が恵みを与える「救貧政策」だと認識しているようだ。国民を「豊か」と「貧しい」に二分して捉える姿勢がそもそも問題ではないだろうか。政治の主権者は国民で、国民は自らの意思を代議士に託し、民意を受けた代議士が国会を舞台に政治を執行している。

内閣は国民の意向を代表する地位にあり、国民の上位に、国民を支配する地位に位置しているわけではない。麻生首相の言葉からは、政府が国民の上位に位置して、国民に対して上から施策を検討していると受け取れる発言が目立つ。

経済状況の急激な悪化で多くの国民が厳しい状況に直面している。国民の経済的困難は景気循環によってもたらされたものではない。小泉政権以降の自公政権が市場原理主義=新自由主義の経済政策を日本に強制した。もっとも重要な変化は労働市場に生じた。非正規雇用労働者の激増、まじめに働いても年収が200万円に届かない勤労者の激増、などの変化が国民生活を激変させた。

母子世帯、高齢者世帯、などに対して、政府はきめ細かい政策を実施する責務を負っている。障害者の生活は障害者自立支援法により、一段と厳しい状況に追い込まれた。老後の生活を支える年金の管理の杜撰さが多くの高齢者の生活を破壊している。後期高齢者医療制度が高齢者の尊厳をどれほど傷つけているか。

弱肉強食奨励、格差拡大推進、セーフティネット破壊の経済政策が国民生活を追い詰めてきた。そこに、急激な景気後退が日本を襲っている。

いま求められる政策は、経済政策路線の抜本転換である。市場原理主義を排除して、すべての国民の生活を守る方向に経済政策の基本を振り向けるべきだ。労働市場の制度変更が急務である。同一労働同一賃金制度の迅速な導入など、抜本策が求められている。

高齢者、障害者、母子世帯、中小企業などに対する、社会のセーフティネットを強化することが求められている。また、すべての国民に教育の機会を保証する、学費に対する助成が求められている。

社会保障関係支出は政府の方針で、毎年度2200億円削減されることが決められている。そのために、必要不可欠な政策が切り込まれてゆく。2兆円の財源があるなら、社会保障費の削減を回避する施策、所得の少ない世帯に対する教育費の助成、国民が必要不可欠な医療を受けることができるための政府支出、などに有効活用する方が望ましい。

同時に、消費税増税をこの時期に打ち出すことは理解できない。増税を実施する前に特権官僚の天下り利権を排除することが不可欠である。麻生政権は特権官僚の天下り利権を排除する考えをまったく持っていないと思われる。財務省の天下り利権は完全に擁護されている。

日本政策金融公庫日本政策投資銀行国際協力銀行、商工中金、農林中金、などへの天下り構造には、まったく手が入れられていない。特権官僚の天下り利権を排除しないまま一般国民に大増税を押し付けようとしても、国民が同意できるはずがない。

麻生政権が経済政策の路線を転換し、官僚利権を根絶する方向に舵を切るなら、経済悪化が加速する状況下で、政策運営を持続することにも同意が得られるかもしれない。

しかし、現実にそのような方針はまったく示されていない。よく吟味もしていない政策を思いつくまま発表し、発表した途端に政権内部から異論が続出する姿は、政権末期のものである。

麻生首相が国民のために政治が存在すると考えるなら、迅速に総選挙を実施することが何よりも求められる。経済悪化が加速するなかで、多くの国民が不況進行の犠牲になってしまう。国民の視点でものを考え、国民の視点で政策が打ち出されないなら、多くの同胞が悲惨な厳冬を迎えなければならなくなると思う。

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2008年11月10日 (月)

言葉への信用を失う麻生首相と細田幹事長

自民党の細田博之幹事長が解散総選挙について、11月9日のフジテレビ番組で「年内は今やない。もうちょっと先に延びた」と述べた。この幹事長はつい最近まで、11月に総選挙があると吹聴していた人物だ。

日本国憲法第7条:天皇の国事行為に衆議院の解散が規定されている。天皇の国事行為は内閣の助言と承認によって行われることから、内閣に解散を決定する権限があると「解釈」されている。

しかし、衆議院解散は内閣総理大臣の私的な権利ではない。衆議院議員の任期は4年であり、原則としては4年の任期が全うされるべきである。衆議院の解散は国政に重大な問題が生じ、主権者である国民の意思を問わねばならない事態が生じたときに、公共的な利益を満たすために実行されるべきものだ。

政権与党が政権維持という党利党略を満たすために解散権を利用するのは権利の濫用と言わざるを得ない。自民党は安倍晋三政権、福田康夫政権が二代続けて政権を無責任に放り出した。政権担当能力がないことを自ら表明したに等しい。

憲政の常道に従えば、自民党が野党に政権を引き渡し、野党が政権を引き継いだうえで国民の審判を仰ぐ総選挙を実施することが正しい対応である。政権与党の政権担当能力の欠落との国政運営上の重大な事態が生じたのであるから、いまこそ、総選挙を行わなければならない局面である。

昨年7月の参議院選挙では安倍晋三首相が「安倍政権と小沢政権のどちらを選ぶかの政権を選択する選挙だ」と明言した。自民党は惨敗し、野党が参議院の過半数を制した。国民は小沢政権を選択した。

衆議院と参議院の多数政党が異なる事態が生じ、国会での意思決定が円滑に進まなくなった。直近の国政選挙で国民が野党を信任して参議院の多数を野党が確保したのであるから、与党が政策運営において野党の意向を尊重すべきことは当然だ。それにもかかわらず福田政権は、野党の意向を無視した政策運営を強行した。

インド洋での自衛隊による給油活動、ガソリン暫定税率の復活強行など、自公政権は独断専行を貫いた。日銀首脳人事が混迷の極みを示したのも、福田首相が野党の提示した財務省からの天下り人事排除という明確な方針を拒絶しつづけたために生じた失態だった。

自民党が政権担当能力を失い、二代にわたって政権を放り出したことは紛れもない事実である。福田首相は新政権樹立後に直ちに解散総選挙を実施することを含んで首相を辞任した。後継首相に就任した麻生首相は、月刊誌に臨時国会冒頭での衆議院解散を明確に宣言した。

米国のサブプライム金融危機に端を発する世界的な金融市場の動揺が広がっている。機動的な政策対応が必要であることは事実だが、本格的な政策対応を実行するには本格的な政治体制が確立されていることが必要だ。米国は金融危機の震源地であるが、大統領選挙を実施し、政治体制大転換の方向を確定した。

日本の政治運営における最重要の政策決定は予算編成と決定である。2009年度予算の国会審議を始める前に政治の新体制を確立することが不可欠だ。衆参ねじれ状態が持続する以上、国会審議が紛糾することは避けられない。迅速な政策決定、強力な政策実行体制が求められる局面で、国政の混迷が持続することは国民に大きな不利益をもたらす。

麻生首相は自分の言葉に責任を持つべきである。小泉元首相が政権公約を守らなかったことについて、「この程度の約束を守れなかったことは大したことではない」と開き直って以来、日本の政治責任者の言葉は重みを完全に失ってしまった。

麻生首相は臨時国会冒頭での衆議院解散を実行しなかったことで、出鼻から「有言不実行」の行動様式を示してしまった。「全世帯に」給付すると断言した給付金に、所得制限を設けるかどうかで紛糾している。3年後に消費税増税を実施すると明言した直後に、曖昧な言い回しをし始めた。

このような言動を繰り返せば、何を発言しても信用されなくなるだろう。政治に求められる最大の資質は信用と信頼だ。参議院の予算委員会で民主党の石井一副代表が麻生首相の言行不一致を糺したが当然の追及である。

細田自民党幹事長が11月の総選挙実施を示唆する発言を繰り返したのは、野党議員が総選挙への準備態勢に急傾斜することをあおるためであったと考えられる。選挙への準備態勢を整えるには経済的負担を伴う。野党議員の資金を枯渇させるための三文芝居が演じられたのだとすると、その姑息さには論評する言葉もなくなる。

その細田幹事長が来年4月以降の総選挙と言い始めたことから、逆に年末解散の可能性が強まりつつあるのかとも感じられる。

言葉に対する責任感を失い、国民の幸福ではなく、政権維持という私的な利益だけを追求する政治姿勢を国民は冷静に見極めなければならない。麻生首相が説明した追加景気対策からは、国民生活の詳細を見つめ、真に必要とされる政策をきめ細かく実行しようとする政府の姿勢はまったく感じられない。

「村野瀬玲奈の秘書課広報室」様が、10月30日の景気対策発表の麻生首相会見の詳細について、的確な論評を示されている。

2兆円もの国費を投入するなら、日本経済の現状のなかで本当の苦しみに直面する人々の生存権をしっかり支える施策に、集中的に政策を対応すべきである。

障害者自立支援法が障害者の生存権を脅かしていることは、最近提訴された訴訟でも明らかにされている。医療を必要とする国民に医療が提供されない非情な状況が日本全体に広がりつつある。生活保護に対する締め付けが強化され、多くの国民が経済苦を原因とする自死に追い込まれている。

麻生首相は10月26日の秋葉原街頭演説で非正規雇用から正規雇用への移行を推進する方針を示したが、抜本的な施策は示されていない。村野瀬玲奈さんも指摘しているが、10月7日の衆議院予算委員会での志位和夫共産党委員長が提起したトヨタ自動車の派遣期間3年規制に関する偽装疑惑に対しても明確な答弁は示されていない。

限られた財源を活用して、労働者の生活向上、生活安定化に向けた施策を最大限工夫することが求められる。1回限りの給付金が支出され、3年後には消費税が大増税されるのでは、生活は安定化するどころか疲弊するばかりだ。

麻生政権はその一方で、法人税減税の方針を提示し始めた。自公政権が「政治」、「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」、「メディア」の「政官業外電の利権互助会」の利権維持、拡大を指向していることが鮮明に示されている。

麻生首相は11月9日に渋谷の居酒屋で若者との会食に出席したパフォーマンスをテレビメディアに放映させたが、会食の話題は相も変らぬマンガ談義だった。世界経済が激動する局面では、寸暇を惜しんで情勢分析する机上での仕事や情報収集が必要と推察されるが、そのような時間を確保しているようには見えない。因みに居酒屋会合の若者は自民党学生部からの動員だった。

 

麻生首相は自公政権が無責任に政権を放り出した不祥事を背負って発足した政権の首相であるとの出発点を肝に銘じるべきである。政権発足時に国民に対して解散総選挙を宣言した事実は厳然と残っている。無責任な言動を繰り返し、解散総選挙実施という最優先の課題を疎(おろそ)かにする行動に対して、国民が厳しい視線を向けていることに気付くべきだ。「公」の国政を「私」にしてはならないと感じる。

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