カテゴリー「警察・検察・司法(2)」の17件の記事

2010年8月 8日 (日)

警察は元首相長男森祐喜氏薬物検査を行うか

自民党の森喜朗元首相の長男で石川県議会議員の森祐喜氏が道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で逮捕された。

 

森氏は8月7日午前10時10分頃、小松市大島町にあるコンビニエンスストア「ポプラ」に、運転していたワンボックスカーで突っ込んだ。事故後、コンビニエンスの店員が「店に車が突っ込んできて、運転手の様子がおかしい」と110番通報した。駆けつけた署員が飲酒検知をしたところ、森氏の呼気1リットルから0・15ミリグラム以上のアルコール分が検出された。
 
 この事件には疑問点が多数ある。
 
①呼気1リットルから0.15ミリグラム以上の「酒気帯び」で、停止した車のアクセルを全開で踏みこみ、コンビニエンスストアに突っ込むようなことを起こすのかどうか。
 
②事件が発生したのが午前10時10分という時刻であること。
 
③森氏の逮捕が現行犯逮捕でないとの情報があるが、事件の状況から判断すれば、現行犯逮捕が通常の取り扱いではないのか。
 
④事件直後、森氏のろれつが回っていなかったとの情報がある。上記のアルコール濃度だけで、ろれつが回らぬほどの状況が生じるのかどうか。アルコール以外に他の薬物等の影響がなかったのかどうか。
 
⑤一部情報では、森氏の車には同乗者があったとのことだが、どのような同乗者が存在したのか、しなかったのか。
 
 森祐喜氏の今回の事件がネット上で波紋を呼んでいるのは、森氏がこれまでもネット上でさまざまな話題で取り上げてきたからである。

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その代表事例が、押尾学氏の麻薬事件および保護責任者遺棄致死事件との関わりである。
 
 「カナダde日本語」の美爾依さんが、2009年12月6日付記事に、この問題を取り上げられている。また、8月8日付記事にも、今回の問題を取り上げられた。
 
 森祐喜氏は自身のホームページのプロフィールに、自身の星座を「てんびん型」としているので、美爾依さんは森祐喜氏を「てんびん型の男」と表現している。
 
 美爾依さんのブログ記事から、「新総理の長男・祐喜の愛人の告発テープ」の記述を一部転載させていただく。
 
「この中で、その愛人がてんびん型の男と一緒にホテルの一室でコカインを使ったこと、薬の入手先がてんびん型の男の後援会長の息子の「腱ちゃん」だったことを告白している。
(中略) 
参考記事:
『論壇』新総理の長男・裕喜の愛人の告発テープ
(平成12414日)
 
 ろれつが回らず、車から降りた足取りもふらふらし、車のアクセルをいきなり全開で踏み込んだ状況は、「酒気帯び」ではなく「酒酔い」である。「酒気帯び」と「酒酔い」では、刑事上の取り扱いも大きく異なる。
 
 また、逮捕されたということであれば、当然、尿検査を実施するべきと考えられるが、石川県警は尿検査を実施したのだろうか。
 

押尾学氏の事件で死亡した被害者の田中香織氏と森祐喜氏との面識を指摘する情報も流布されている。
 
 押尾学氏の事件には多くの有名人の関与が指摘されているが、捜査は十分に進んでいるとは言い難い。
 
 今回の事件での焦点は、石川県警が森祐喜氏に対して尿検査などの薬物検査を実施したのかしなかったのか。していないとすれば、実施する方針があるのかどうかである。全国民がこの視点から推移を注視しなければならない。

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2010年3月 6日 (土)

厚労省村木元局長冤罪事件検察大失態の責任

厚生労働省の元局長村木厚子氏が巻き込まれた冤罪事件の第11回公判が3月4日に開かれ、石井一民主党参議院議員が証人として出廷して証言した。

検察は2004年2月25日午後1時に「凛の会」倉沢被告が石井議員に事務所で面会して依頼したとのストーリーを創作して犯罪事実の存在を主張している。ところが、3月4日の法廷での証言および関係証拠資料から、石井議員が上述の2月25日に朝から夕方まで千葉でゴルフをしていたことが明らかになり、検察側主張がこの側面からも全面否定されることになった。

村木氏の冤罪事件では、すべての関係者の証言が検察側主張を根底から覆している。村木氏の無実は完全に明らかになりつつある。

裁判所は客観的事実により、被告の無実が明らかになった場合でも、平気で被告に有罪判決を示す機関であるから、驚くべき不当判決を示す可能性が皆無とは言えないが、メディアを含めて多くの報道、情報公開がなされるなか、真実からかけ離れた事実認定を裁判所が押し通すことはもはや困難になったと言ってよいだろう。

石井一議員は3月5日の証言で村木氏との面識と証人としての出廷について次のように証言したという。「ボヘミアンな京都住まい」様が速報くださったので転載させていただく。

「村木被告とは今日初めて会ったと証言。知り合いでもないのに証人となったのはなぜかときかれ「私自身もマスコミに書かれて相当辛い思いをした。村木という女性局長は高知の大学を出て東大卒の競争の中であそこまで上り詰めたのに被告人の席に立たされて、さぞ辛いだろうな」と。「この事件にはおかしい点がたくさんある。弁護士からの強い要請もあったが、この際出て証言すべきだと思った」

検察の暴走により、無実の人間に罪が着せられ、無実の人間が犯罪人に仕立て上げられてゆく。これに勝る人権侵害が他にあるのか。私もまったく同じ立場に立たされた者として、このような国家犯罪を断じて許すことができない。

無実の人間に不正に罪を着せ、無実の人間を犯罪者に仕立て上げた者を重大犯罪者として処罰する法制を整備する必要がある。

足利事件では無実の菅家利和さんを犯罪者に仕立て上げた検察官が法廷に呼ばれたが、謝罪すらしなかった。この検察官は謝罪して免責されるものでない。菅家さんの自由を奪い人権を抹殺した17年間の10倍の時間の服役が求められて当然である。

昨年の三三事変、本年の一一五事変、ならびに村木元局長の冤罪事件は、すべてがひとつの点と線で結ばれている。政治権力が不正に検察権力を利用して政敵を抹殺しようとしたものである。私の巻き込まれた冤罪事件もこの範疇に入るのだと思う。

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小沢一郎氏の公設第一秘書である大久保隆規氏の事件でも、検察側主張は法廷で根底から覆されている。現職衆議院議員である石川知裕氏が逮捕、起訴された事案についても、事案の内容は犯罪とはかけ離れたものである。

主権者である国民は、検察の不正義、検察の悪徳をしっかりと認識し、その糾弾を実行しなければならない。

鳩山政権は行政府内部におけるこのような不正、不正義を糺すとともに、今後、同様の問題が引き起こされないよう、万全の対応を示す必要がある。

もっとも重要なことは人事の刷新である。責任ある当事者の責任を全面的に追及しなければならない。検察全体の刷新を図るためには、検事総長に民間人を起用するとともに、検事総長人事を国会同意人事案件に変更するべきだ。

また、検察庁職員による重大な国家公務員法違反を厳正に摘発するべきである。政治家をも摘発しうる立場にある検察官であるからと、検察官の重大犯罪を容認、放置すれば、検察の横暴、検察の暴走を食い止めることはできなくなる。

鳩山政権は本年夏の参院選で政権基盤を強固にした上で、検察人事の刷新に踏み切り、これまでの腐敗体質を全摘するべきだ。

検察部門内部では、さらに重大な犯罪が実行されてきたと指摘されている。検察裏金問題だ。元検察官の三井環氏は、検察裏金疑惑を告発したために、言われなき罪を捏造され、懲役刑まで執行された。

国際アムネスティの勧告を待つまでもなく、日本は世界有数の人権侵害国家であり、とりわけ警察・検察の腐敗、不正が際立つ国なのである。

日本の警察・検察・裁判所制度の近代化を必ず実現しなければならない。そのためには、現政権が来る参院選で勝利し、政権基盤を強固にすることが不可欠である。主権者国民は悪徳ペンタゴンとの最終決戦となる本年夏の参院選に必ず勝利し、検察・警察・裁判所制度近代化を実現しうる環境を整備しなければならない。

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2010年2月28日 (日)

腐敗検察の横暴・暴走を断ち切らねばならない

検察の暴走が続いている。

昨年の「三.三事変」、本年の「一.一五事変」により、検察の暴走、政治権力による検察権力の不正利用が誰の目にも明らかになった。

「三.三事変」は政権交代の是非を問う決戦の総選挙を目前にした時期に、野党党首を狙い撃ちにした政治謀略であった。何よりの証左は、結局検察が立件した事案が、通常は収支報告書の修正で済まされるような、重箱の隅をつつくような瑣末な問題だったことだ。

逮捕、起訴された大久保隆規氏は政治資金規正法の条文に忠実に、報告書に献金を受けた二つの政治団体名を記載して報告した。ところが、東京痴犬地検

特捜部は、これを「虚偽記載」だと因縁をつけた。二つの団体が「架空団体」だとして、大久保氏の報告を「虚偽記載」だとの理由で犯罪に仕立て上げた。

ところが、公判で西松建設元総務部長が、大久保氏に二つの政治団体には実体があることを示す説明をしていたことを証言した。二つの政治団体は事務所も保有し、実体的な活動も行っていたのであり、客観的に見て「架空団体」とは言えない存在であった。

したがって、大久保氏の無罪は決定的であり、東京痴犬地検は、無実の人間に罪を着せて逮捕、勾留し、公判請求したことになる可能性が高い。

もっとも日本の場合、裁判所も不正機関の一角を占めており、東京地裁が不正判決を下す可能性が無いとは言えないわけだが、法律を客観的に判断する限り、大久保氏の行動は合法的であることがはっきりしたのである。

日本のような国においては、裁判所の判断についても相対化して評価する必要がある。裁判所自身が歪んでいれば、判決も歪むのである。有罪の判決が、罪が本当に存在したことの絶対的な根拠にはなり得ないのだ。

本年の「一.一五事変」も検察の暴走の上塗りである可能性が高い。検察は犯罪行為である国家公務員の守秘義務違反の犯罪を重ねながら、無実の人間の人権を侵害する犯人視報道を助長した。検察と結託するマスゴミは、土石流のように小沢一郎氏に対する誹謗・中傷を繰り返した。

検察は仰々しく家宅捜索を繰り返したが、結局、小沢一郎氏に対する攻撃で白旗を上げざるを得なくなった。暴走する検察は大敗北のうえに大敗北を重ねたのである。

民主党議員のなかに、検察をはじめとする公権力に対して市民がどのように対応するべきか、市民に対する検察などの公権力の行使に対して、どのように間合いを取るべきかを、完全にはき違えている者が存在する。由々しきことだ。

「日本国憲法が保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利」であるとの日本国憲法の規定を知らない恐るべき無知の人間が民主党に存在することになる。

検察が権力を行使したからといって、それだけで罪が確定するわけでない。刑事捜査に代表される市民に対する公権力の行使こそ、人権擁護の視点からは、市民が「権力に対して」監視の目を光らせなければならない事項である。

検察の権力行使について、権力が適正に行使されたのか、権力行使に際して人権が不当に侵害されていないかに、強い監視の目を光らせることが市民を代表する代議士の責務である。

民主党の前原誠司氏、渡部恒三氏、枝野幸男氏などは、検察を絶対視する発言を繰り返している。このような検察絶対視の姿勢が悲惨な冤罪事案などの重大な人権侵害問題を引き起こす最大の背景である。

石川知裕氏が逮捕、起訴されたが、検察の「虚偽記載」の主張に説得力はない。小沢一郎氏による一時的な資金立て替えとその返済を収支報告書に記載しなかったこと、不動産取得時期を登記のタイミングに合わせて報告書に記載したことなどは収支報告の修正で処理すべきことで、犯罪としての立件に正当性はない。

「一.一五事変」も検察暴走による巨大な政治謀略である疑いが一段と濃厚になっている。

これらの事案の対極にあるのが検察の裏金疑惑である。国民の血税が検察ぐるみで組織的に横領されていた疑惑である。この疑惑封殺のために、検察最高幹部が小泉政権と不正取引したことを三井環氏が「けもの道」と表現している。

検察首脳が後藤田法務大臣を訪問して「けもの道」取引を実行したことを、三井氏は具体的にかつ実名で告発している。「けもの道」以降、検察は自民党政権の狗(いぬ)として行動してきた疑いが濃厚である。

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私は2月8日に、

「腐敗した検察もう一つの重大犯罪と全面可視化」

と題する記事を掲載した。

「三.三事変」、「一.一五事変」に加えて、もうひとつの検察大暴走が白日の下に晒され始めている。

虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた元厚生労働省局長村木厚子氏の事件である。2月に入ってこの事件の公判が集中して開かれているが、検察の暴走、歪んだ犯罪ねつ造の実態が次々と明らかにされている。

村木氏の元上司の塩田元部長は、村木氏の被疑事実について「すべて壮大な虚構」と証言。起訴された上村氏の前任者である村松係長も「村木さんは冤罪と思う」と発言している。

2月24日の第8回公判では上村氏が証言し、村木氏について「当時企画課長でお顔は知っていたが、仕事の話をしたことは無い」と村木氏から指示を受けていないことを明確に述べた。

上村氏は、「取り調べで、誰からも指示されず、自分一人でやったと伝えたが、検事が調書に入れてくれなかった。村木被告とのやり取りはでっちあげで、検事の作文だ」と明言した。

また、偽証明書を村木被告に手渡したとする検察側主張についても「再逮捕をちらつかされ、耐え切れなくなって認めた。村木被告には渡していない」と述べた。

公判では弁護側が、上村氏が取り調べ期間中に記述した被疑者ノートに基づいて証人尋問を行ったが、ノートには「調書の修正はあきらめた」、「冤罪はこうして作られるのかな」などの記述があることが明らかにされた。

私は1月28日に、

「検察官が「勝手に」作成する聴取調書作成実態」

と題する記事を掲載したが、裁判に証拠として提出される「供述調書」というものが、「供述調書」の名称とはかけ離れたものであることを私たちは十分に知らなければならない。

上村氏が法廷で述べた、「調書の修正はあきらめた」の発言を一般の人々は奇異に感じるだろう。自分の供述調書について、なぜ「修正をあきらめる」のかと。

ここには重大なシステム上の問題がある。

「供述調書」と言っても、被疑者が供述したことを記録する調書ではないのである。検察官が「勝手に作成する文章」なのだ。

調書作成の最後に署名、押印がある。ここで納得しなければ署名と押印をしなければ良いのだが、それはあくまでも理論上の話である。

検察官が大声を張り上げ、机をたたきまくるなかで、署名も押印も完全に拒絶することは至難の業である。

検察官は必ず「恐喝」的な手法を採用する。拒絶すれば相手を地獄に突き落とすことを、手を変え品を変えて叫ぶのである。

被疑者が調書に記載された内容に異議を唱えると、被疑者が供述調書の内容の「修正」を求めたとして調書に追加される。つまり、当初の内容を被疑者自身が発言したとの前提のうえで、その供述内容の修正を被疑者が申し出たとして記録が残されるのだ。

弁護士が的確に指導して、調書作成において、一切の妥協をしてはならないとの強力な助言を行えば、意志を貫くことも可能である。しかし、一般的には十分に的確な指導を行う弁護士は多くない。

小沢一郎氏が検察の事情聴取に応じた際、当初「秘書が勝手にやったこと」と供述したが、その後に「もう少し穏やかな表現に改めてほしい」と述べたかのように報道された。

これも、まったく同じトリックによるものと考えられる。小沢氏は「秘書が勝手にやったこと」などとは一切発言していないのだ。検事が勝手に「秘書が勝手にやったこと」と作文したことに対して、小沢氏が「そのようなことを言っていない」と発言しただけだろう。

村木氏の事件でも、検察の犯罪ねつ造の手口が手に取るように伝わってくる。

私は日本の警察・検察には法外な裁量権が付与されていると述べてきた。裁量権とは、

①犯罪事実が存在しても不問に付す裁量権、

②犯罪事実が存在しなくても犯罪を作りだし無実の罪を着せる裁量権

である。

上村氏は、「冤罪はこうして作られるのかな」と被疑者ノートに記載したそうだが、冤罪は誰にも見えない密室の取調室において、警察や検察によって作りだされるものなのだ。

日本のように取り調べの様子が第三者からうかがい知れない「密室」で長期間行われるのは先進国では例外的で、多くの国では、取り調べの全過程録音・録画(可視化)や弁護人の立ち会いが導入されている。

日弁連の調査によると、英国やイタリア、オーストラリア、韓国、台湾と米国の一部州で、可視化と弁護人立ち会いの両方が認められ、フランス、ドイツ、モンゴルでは弁護人が立ち会える。

検察の暴走を止め、市民の基本的人権を擁護するには、取り調べの全面可視化と取り調べに際しての弁護士の立ち会い容認が絶対に不可欠である。鳩山政権は取り調べ過程の全面可視化法案を今次通常国会に提出し、参院選の重要争点のひとつとするべきだ。

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2010年2月16日 (火)

森ビル・清和会・検察の抜き差しならぬ関係

昨年末に「地獄への階段」様が公開くださった衝撃的な事実を「リチャード・コシミズブログ」様「ライジング・サン(甦る日本)」様「父さんの日記」様「南華のブログ」様が、改めて紹介くださっている。

衝撃的な事実とは、渡辺喜美氏の政治団体「喜世会」と森喜朗氏の政治団体「経済政策懇談会」の住所が同一で、しかも収支報告書事務担当者までもが同一である事実だ。

つまり、「みんなの党」とは、「自民党清和政策研究会」別働隊であることが証明されたと言って過言でないのである。

森ビルと自民党清和政策研究会、小泉純一郎氏との関係については、

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』

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に記述した。

第一章「偽装」第7節「摘発される人・されない人」

に以下の記述を示したので転載する。

「森ビルの社運をかけた事業の六本木ヒルズで悲惨な事故が発生した。2004年3月26日、小学校入学直前の6歳の男児が電動回転ドアに挟まれて死亡した。 痛ましい死亡事故が発生したのち、2003年4月から2004年2月までに、同ビルの回転ドアで32件の事故が発生したことが明らかになった。

森ビルの責任が問われた。結局、森ビルの役員ら3名と、回転ドアの販売元「三和タジマ」の役員ら3名の計6名が、業務上過失致死容疑で書類送検された。

六本木ヒルズの「運営本部長」を兼ねていた森ビルの森稔社長(70)については事故を予見できなかったとして立件が見送られた。

書類送検は事件の調書、容疑事実が検察庁に送致されることを意味する。「書類」が送致されるのであって「身柄」が送致されるのではない。「逮捕」されないことを意味する。「逮捕」の先には地獄が待ち受ける。「逮捕」されないことは、被疑者が「在宅」で暮らせることを意味する。通常の日常生活を送れる。「逮捕」と「書類送検」の問に天と地の差がある。

森ビル社長の森稔氏とは、NHK-BSの討論番組で会った。森社長は小泉前首相と密接な関係を築いたようだ。森ビルが社運をかけて取り組んだ事業が「六本木ヒルズ」だ。ライブドア、村上ファンド、楽天などの企業が六本本ヒルズにオフィスを構えた。「ヒルズ族」という新語が生まれた。

2003年4月22日の六本木ヒルズのオープニングーセレモニー。小泉首相は「この東京の新たな街づくりに極めて刺激的、魅力的な六本木ヒルズが誕生したという、この誕生に立ち会うことができたのは幸運だと思います」と祝賀挨拶した。また、「こんなに賑わっていてどこが不況か」と述べたことも伝えられた。

20041023日の新潟県中越地震発生時も小泉首相は六本木ヒルズにいた。第17回東京国際映画祭のオープユングーセレモニーに出席していた。地震は午後5時56分に発生し、六本木の映画祭会場でも体感された。地震発生後すぐに「新潟で震度6強」の第一報が小泉首相に伝えられた。しかし、小泉首相は6時半に近くの映画上映会場に移動して午後7時8分まで会場にとどまった。

私は「日本文化デザインフォーラム(JIDF)」の幹事を務めていた。JIDFは建築家の黒川紀章氏や歴史家の梅原猛氏などが創設した会を引き継いだ文化人のフォーラムだ。毎年、全国の一都市で100人以上の文化人がボランティアで出席し、市民参加のシンポジウム、トーク、講演、ワークショップ、展示などのイベントを3日程度の日程で実施した。

2003年の会議は六本木ヒルズで開催された。セレモニーには森稔氏も出席した。森氏は私に「小泉政権を批判しないように」と語った。森氏が小泉首相を支援していることがよく分かった。このセレモニーの最中、私は六本木ヒルズ内に個人事務所棟があり、小泉政権や米国政府と親密な学者や元官僚などがオフィスを有していることを聞いた。」

テレビ朝日も森ビルのテナントのひとつである。森ビルと清和政策研究会との間には抜き差しならないものがあるのだと考えられる。自民党清和政策研究会は検察を支配し、森ビル関係者は逮捕もされずに事件処理を終えた。

自民党清和政策研究会(旧森派)と検察との関係については、元大阪高検公安部長検事の三井環氏が2006年7月15日に中小企業経営者の相互扶助団体であるKU会で「検察の実像」と題する講演を行い、そのなかで生々しい場面を証言されている。

本ブログではすでに本年1月22日に、

「検察裏金告発で弾圧された三井環氏講演録」

を掲載したが、この講演録から、重要部分を採録する。

「検察庁には「調査活動費」の予算がある。調査活動費というのは、情報提供者に対して謝礼を払うことを本来の目的として設けられた予算。

裏金作りはまず、架空の情報提供者を3、4人でっち上げる。そして、その架空の人間に対して、原則5万円を謝礼として支払う。領収書は、その架空の人物の名義で検察事務官が作成し、5万円の現金を浮かせる。

 中小の地検であれば調査活動費の年間予算は400万円、大阪地検であれば年間2000万円、東京地検では年間3000万円になる。これを事務官が全部作る。だから事務官から「検事正が使う金のために何でこんなことをしなければならないのか」と文句が出る。

 そうやって浮かした裏金を何に使うかと言うと、一つは接待。最高検、高検、法務省などから高官が来た時の接待費。検事正自らのゴルフ代。マージャンをする人はマージャン代がここから全部出る。」

三井氏は2001年3月に当時大阪地検検事正だった加納駿亮氏を刑事告発した。加納氏が高松高検検事長になるということが内定していたことを知り、その阻止に動いた。結局、この人事は流れ、宗像紀夫氏が高松高検検事長に就任した。

 折しもこの時期に首相が森喜朗氏から小泉純一郎氏に交代した。重大な事態はその後に発生した。三井氏は検察が「けもの道」に入りこんだと表現する。検察が福岡高検検事長に加納氏を就任させるために、政府と交渉を持ったことを指摘する。以下に三井氏の発言を示す。

「「けもの道」というのは私が付けた名前だが、当時の原田明夫検事総長、事務次官の松尾邦弘、刑事局長の古田佑紀、古田は後藤田正晴氏が法務大臣だったときの秘書官。その3人がそろって、(2001年)10月26日だったと思うが、東京・麹町の後藤田事務所を尋ねた。そこには後藤田元法務大臣と秘書官がいた。

 彼らは「加納の検事長人事を内閣で承認してくれないと検察が潰れる」と泣きを入れた。潰れるというのは、検察の裏金問題が表ざたになるという意味だと思う。当時、週刊文春とか週刊朝日がすでに裏金問題を報じていた。(後藤田氏は)小泉の秘書官の飯島に電話連絡した。その日の会談はそれで終わり、翌日、小泉に原田検事総長が直談判をした。そこで事実上、加納の検事長人事が承認された。正式な閣議は11月13日。そこで正式に承認された。」

 このいきさつについて三井氏は、「「検察が内閣に借りを作る」という一番やってはならないことをやった」と指摘し、「ここが最近の国策捜査の原点だと思っている。例えば、内閣の誰かを逮捕できるような事件があったとする。そしたら、小泉が「裏金どうするの?」と言う、それだけでいい。事件にできない。できるはずがない」と述べている。

 三井氏は2002年5月に朝日新聞が1面トップで裏金問題を報道する確約を確保し、民主党の菅直人氏が法務委員会で追及し、その後法務委員会で参考人として証言する手はずを整えた。そのさなか、4月22日に鳥越俊太郎氏の「ザ・スクープ」の取材を受ける直前の午前8時半ころに任意同行を求められ、そのまま逮捕、拘留された。

 この裏金問題を契機に、検察は小泉首相の私的秘密警察の色彩を色濃く帯びることになったのである。検察は以後、完全に清和政策研究会色に染め抜かれ、現在に至っているのである。森ビル関係者が逮捕されなかった謎を解く鍵もここに潜んでいると考えられるのだ。

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2010年2月 8日 (月)

腐敗した検察もう一つの重大犯罪と全面可視化

腐臭が立ち込めるこの国の検察組織。

日本の警察・検察の前近代性を象徴するのが警察・検察に付与された巨大な裁量権である。裁量権とは、

①犯罪事実が存在しても不問に付す裁量権、

②犯罪事実が存在しなくても犯罪を作りだし無実の罪を着せる裁量権

である。

①「法の下の平等」、②「基本的人権の尊重」、③「罪刑法定主義」、④「無罪推定原則」が完全に無視されている一方、⑤「国家公務員の守秘義務違反」という重大犯罪が野放しにされている。

警察・検察の暴走をもたらしている大きな要因が、密室における取り調べ、不当に長期にわたる被疑者の拘束である。

違法な情報漏えいでは、取調室での被疑者の発言を、マスメディアがあたかも真実であるかのように報道する。

しかし、供述調書作成の実態を知るならば、これらの違法な情報漏えいによる報道が真実とはかけ離れていることが明白になる。

「供述調書」といっても文章を作成するのは取り調べの警察官や検察官である。警察官や検察官が勝手に文章を作成するのである。被疑者の発言通りに文章は作成されない。取調官が「勝手に」文章を作成するのである。

文章作成後に取調官が作成した文章を読み上げる。被疑者からすれば、自分の発言したこととはかけ離れた内容が記述されている。被疑者は当然、文章の内容に異を唱える。

すると取調官は、「被疑者が供述した内容について、修正を求めた」として被疑者の主張を新たに書き込むのである。こうした調書が作成されると、被疑者が当初の発言を読み聞かせの段階で修正したかのようなイメージが作り上げられる。

また、取調官が作成した文章を取調官が読み上げる際、文章の一字一句、細部について被疑者が異を唱えることに対して、取調官が高圧的に被疑者に対して威圧することも日常茶飯事である。気の弱い被疑者は自己主張を十分にできず、被疑者が発言したこととはかけ離れた「供述調書」が被疑者の発言内容として記録されてしまうのである。

長時間の拷問、脅迫による供述の強要、そのなかで取調官が「勝手に」作成した「供述調書」をもとに犯罪がねつ造されてゆくのである。

このことは、足利事件の事例でも明らかにされつつある。

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小沢一郎民主党幹事長が「秘書が勝手にやったこと」と供述し、その後に「もう少し穏やかな表現にならないか」と供述したなどとの「情報リーク」が報道で伝えられたが、これらの発言も真実とはかけ離れていると考えられる。

石川知裕議員の取調室での発言が種々伝えられているが、これらも真実が確認されたものでない。公判で初めて被疑者側の声が示されることになるが、密室でのやり取りに関する報道がいかにいい加減で偏ったものであるのかが明らかにされることになるだろう。

厚生労働省の文書偽造事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた元同省局長村木厚子氏(54)の第5回公判が2月8日、大阪地裁で開かれた。

「議員案件だ」と村木氏に対応を指示したとされる当時の上司だった塩田幸雄・元障害保健福祉部長(58)(退職)が検察側証人として出廷した。

塩田元部長は、民主党の石井一・参院議員(75)(当時衆院議員)から要請を受け、村木氏に証明書発行を指示したとされるが、公判では「(石井議員の)電話だったのか記憶はなかったが、電話を受けたのならば、村木氏にも指示しているだろうと思い込んだ」、「村木氏への指示も今となっては、幻想ではなかったかと思っている」と証言した。

また、記憶と異なる供述調書に署名した理由について「村木氏に指示をしたという大前提のもとで、調べを受けた」と述べ、検察側の主張を全面的に否定した。

事件を巡っては、捜査段階で村木氏からの指示を認めていた厚労省元係長・上村勉氏(40)も自らの公判前整理手続きで「村木氏の指示はなかった」と供述を覆している。

検察側主張では、塩田元部長は2004年2月、自称障害者団体「凛の会」元会長・倉沢邦夫氏(74)(公判中)から口添えを依頼された石井議員に協力を要請され、企画課長だった村木氏に「先生のご機嫌を損なわないよう発行する方向で対応してくれ」などと指示した、とされる。

当時の上司は元障害保健福祉部長で既に退職。検察側の事情聴取を受け「民主党の石井一参院議員から電話で口添えを受け、障害者団体の証明書を発行するよう村木氏に指示。証明書発行後には、石井議員に結果を報告した」とする調書に署名していた。

証人尋問で元部長は検察側の質問に対し「検察側が言うように石井議員が誰かに相談したのであれば、旧知の自分しかないと思った」と証言。「記憶があいまいで、もしそういうことがあったのなら、信頼していた村木氏に指示しただろうと思って当時は供述したが、それは検察側に作られた記憶だ」と述べた。

村木氏は「元部長の指示はなかった」などと無罪を主張。文書偽造の実行役として起訴された元同省係長(40)も今後、証人として出廷し、村木氏の関与を否定する方針とされる。

この事案も総選挙に向けて民主党を攻撃するためにねつ造されたものである可能性が高い。検察組織の腐敗を示す一事例である。

日本の警察・検察・裁判所制度の近代化は喫緊の課題である。その第一歩が取り調べ過程の全面可視化である。取り調べ過程の全面可視化を実現し、検察による重大な犯罪を抑止する第一歩を踏み出すべきだ。

被害者調書が犯罪摘発の素材になるが、この被害者調書が捜査当局によってねつ造されることも、犯罪ねつ造の重要な手段として用いられている可能性が高い。

被害者を含めて取り調べ過程の全面可視化が不可欠であり、また、取り調べに際しての弁護人の同席も必要不可欠である。諸外国と比べても日本の制度の前近代性は突出している。

鳩山政権はまず、取り調べ過程の全面可視化法整備を急ぎ、その早期実現を図るべきである。

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2010年1月22日 (金)

検察裏金告発で弾圧された三井環氏講演録③

2006年に行われたKU会における三井環氏による講演録-その3-

阿修羅掲示掲示板投稿記事からの転載である。

1月18日に無事に生還された三井環氏への緊急インタビューYou Tube映像はこちら。

 、  、 

ぜひご高覧賜りたい。

以下は講演録収録の阿修羅掲示版投稿記事-その2-である。

-三井環「裏金」講演-国策捜査の原点は検察・法務省・内閣のズブズブの関係を作り出した検察の「けもの道」にある
(投稿者 Takeru 日時 2010 1 17 日)

近年の国策捜査の原点は、裏金という内部犯罪を隠そうとした検察の「けもの道」にあると三井環氏が民間団体主催の講演で暴露した。

以下は先のヒゲ戸田氏による三井環氏に関するの投稿記事内リンクからの講演文である。検察の腐り切った恐るべき実態が克明に描かれた必読の内容である。

この講演の「けもの道」のくだりに実名で出てくる古田佑紀(ふるたゆうき)法務省元刑事局長は裁判官経験を経ずに最高裁判事になった人物である。

古田裁判官は事故検証の専門家によるブレーキ痕検証、走行実験、数十人のバス乗客証言から白バイ隊員のほぼ100%の過失が疑われたスクールバス衝突事故を隠蔽し、警察が一人の同僚警察官の証言ひとつでバスの運転手を加害者にしたと言われる高知白バイ衝突死事件で、被告側最高裁上告を棄却した判事の一人である。また古田裁判官は粉飾決算長銀事件で経営陣責任が問われ出された1,2審の有罪判決を破棄し最高裁が逆転無罪判決を出したときの判事でもある。

三井氏の暴露した衝撃的な「検察の闇」は、度重なる最高裁の国策的不当判決や最高裁人事にも繋がっているものと思わざる得ない。
Takeru

講演録-その2-

中小企業経営者の相互扶助団体 KU会第4回勉強会より

これがもし、私を逮捕していなかったらどうなっていたと思いますか?その予定通り進みますと、朝日新聞東京本社が報道する、管直人氏が法務委員会で追及する、私が証人として出廷し証言してバッチを外す。これは、外務省の機密費どころの話じゃないんです。

まず、当時の現職検事70名が辞めなければいけない。検事総長ももちろん、森山法務大臣も辞めなければならない。それだけではありません。引退したOB連中、何人生きているか知りませんけれども、1000人くらいはいるでしょう。その人たちもみんな勲章を剥奪(はくだつ)されます。使った金を返さなければいけません。当然、国民から刑事告発を受けます。そうなれば、一時検察機能が麻ひします。私を逮捕しなかったらそうなっていたんです。だから相手も必死だったんです。

その辺のことを考えてもらえば分かると思います。検察の置かれた立場、検察の組織的な裏金作り、これは事実です。それを隠蔽(いんぺい)するということです。仮に、私がもう少し早く公表しておればこの逮捕はなかったんです。逮捕できません。5月の連休を挟むと報道が途切れるから公表を連休明けにしたんです。それをもっと前にすれば、私の逮捕はなかった。

裏金というのは、国民の血税なんです。にもかかわらず、こんなことまでするんです、検察は。確かに、検察はちゃんとしたこともやってきました。国会議員を逮捕したりして、ある程度は国民の期待に応えてきました。しかし、自らが犯罪者になるとこんなことまでやるんです。これが許せますか?

最近の国策捜査の原点はその「けもの道」なんです。10月の末に裏金問題で内閣を利用したことです。それから何がありましたか。

鈴木宗男の逮捕がありました。昔は、贈賄者が時効になった事件では逮捕しなかったんです。時効になればいくらでも自由に話ができるじゃないですか。しかし、鈴木宗男の事件では、本来目的としていた事件では逮捕できずに、昔の事件についてのみで逮捕起訴した。捜査の失敗です。

それから、社民党の辻元議員の問題もありました。あれは衆議院総選挙前にやられたんです。その2年くらい前に彼女の議員秘書の問題は発覚していたんです。全部、弁償しました。なのにそれを総選挙前にやられて、社民党はどうなったと思いますか。事実上崩壊したじゃないですか。これが、内閣指導による国策捜査なんです。

最近は、ホリエモン(堀江貴文・前ライブドア社長)とか、経済犯罪の方に特捜部は向かっておりますけれど、そうやっている限りは10月末のその問題、「けもの道」は問題になりません。

私の予測では、小泉が辞めても自民党内閣が続く限りは自民党の大臣クラスは事件にできないでしょう。「けもの道」が平成13年の10月の末でしょう。そこから現在までの5年間で東京地検特捜部がやった事件を見てもらったら分かります。誰もやっていません。できないのです。

先ほどのお話にありました「日歯連事件」、あれは橋本(龍太郎・元首相)と青木(幹夫・自民党参議院議員会長)と野中(広務・元内閣官房長官)、村岡(兼造・元内閣官房長官)の事件ですね。あれを私はどう考えているのかと言いますと、野中は、私が逮捕される前の平成14(2002)年の3月の末頃、京都府知事選挙の応援に来たことがあったんです。そのときに、京都の事務所の秘書から私に連絡がありまして「(野中氏が)会いたいと言っている」と言われました。そして、京都駅前の都ホテルに当時彼の事務所があったんですけれど、そこに行ったらすぐに案内してくれました。彼が事務所に一人でおりました。それで、裏金問題を1時間ぐらい話しました。

私は、彼がそれを利用したんじゃないかと思っています。野中は全部知っています、裏金問題は。日歯連事件で野中もやられなかった、橋本も青木も。それを利用して取引したんじゃないかというのが私の考えなんです。あんなつまらない捜査はないです。村岡は起訴されて無罪になりました。あの捜査は誰が考えてもおかしい。

そして、問題は裁判所なんです。最近の裁判所というのは、逮捕状でも勾留状でも〝自動販売機〟なんです。チェックしないんです。そして、裁判そのものが最近おかしいです。

昔「大津事件」(1891年)というのがありました。ロシアの皇太子(ニコライ)が巡視に来た時に、津田三蔵という巡査がサーベルで切りつけてけがを負わしたという事件があったんです。当時は、日本の皇族に対してけがを負わせたり殺したりすると死刑になったんです。法文上は、ロシアの皇太子は日本の皇族ではないから死刑にできなかったんです。いわゆる罪刑法定主義というものがあるでしょう。

しかし、当時のロシアは日本にとって大国です。日本は開国したばかりの弱小国です。その大国の皇太子にけがを負わせた。そしてその上、その犯人に対する処罰が軽かったらロシアは日本を攻撃(戦争)するかも知れません。それだけでなく他の国からも野蛮な国だと思われてしまう。そう日本政府は考えたのです。ときの政府も、法務大臣も、裁判を担当する裁判官に働きかけました、「津田を死刑にしろ」と。しかし、当時の大審院(現在の最高裁判所)院長の児島惟謙(こじま・いけん:写真左上)がその政府側の要求を突っぱねて、日本の司法の独立・法治国家を守ったと言われる事件なんです。死刑にしていれば、罪刑法定主義の崩壊だったんです。

しかし、この事件にもいろいろ問題があるんです。児島惟謙が他の裁判官に「死刑にしてはだめだ」と働きかけたのです。本来、裁判官というのは独立性を保ち、自分で判断しなければならないのです。

大津事件は日本とロシアの問題だった。私の場合は、検察組織と私個人の問題なんです。この大津事件に対比してもらえれば、ある程度私の事件の構図が分かってもらえるんじゃないかと思うんです。

検察組織というのは非常に重要です。これはなくなったらいけません。検察組織が国民からそっぽを向かれて崩壊してはだめです。検察組織はどうしても守らなければならないと思います。それを裁判所は考えるんです。口封じ逮捕、裏金も認めるべきなんです。裁判官は独立性を守って良心に従ってやってもらいたい。そうすれば私の事件は結論(無罪)が出るんです。しかし、それがなかなかできないんです。彼らも人間だから出世があります。だからできない。そこが大きな問題です。

先ほど、武委員長の事件の中身もお聞きしました。以前、JR東日本労組の組合員が「強要」で7人逮捕された事件がありました。これは非常に古い事件を掘り起こして、組合員を脱退させたという「強要」、JRという会社を無理に辞めさせたという「強要」ということで逮捕したんです。この事件も裏で何らかの政治的な意図があるのではないかという気がします。組合のことは組合に任せればいいじゃないですか。脱退に関しては、組合の方針に反したものを脱退させるのは仕方がないじゃないかと私は思います。

以上で私の話は終わりです。会場のみなさん、何か質問はありませんか?
(参加者1)
 三井さんは裏金問題を告発されたわけですが、他の検事たちは三井さんを「敵だ」「裏切り者だ」と思っているんでしょうか?

(三井)
 本音はそうではないと思います。感謝されていますよ、裏金問題では。今は、裏金はほとんどなくなったんです。

(参加者1)
 裏金がなくなったということは、ある意味で言うと、三井さんのやろうとした裏金問題で検察を追及するという、そのためのネタがなくなったことにはなりませんか?

(三井)
 反対に言いますと、そういう風にも言えます。今は、この問題に関する刑事事件は全部時効になっています。だから、告発しても全部時効なんです。
 しかし、人間やる時には何でもやりますね。自分の組織の犯罪を隠蔽するためなら何でもやります。

(参加者2)
 検事を辞めて弁護士になっている人、いわゆる「ヤメ検」と呼ばれる人たちは現役の検察庁との親密な付き合いはありますか?

(三井)
 それは、端的に言ってあります。もう少し詳しく話しましょう。
 これについて、大阪には2つの派閥があるんです。元検事総長の土肥孝治弁護士と、先ほど話した前大阪高検検事長の逢坂という人間です。その下にヤメ検がずっと連なっています。それらの人を使ってどうするのかと言うと、構図はゼネコンと同じなんです。

例えば、事件を土肥元検事総長に依頼に行きます。そうすると、土肥元検事総長は「ピンハネ」をするんです。何も仕事はしません。事件は検察OBである自分の部下にやらせるんです。

阪南事件というのがありましたね。あれは逢坂元検事長のところに依頼があったんです。いくら取ったと思います?逢坂元検事長は。着手が1億円の依頼です。そのほとんど、8割ぐらいは逢坂が取るんです。そして、後は検事OBが実際にその事件をやりました。この事件は1審が実刑だった。だから、依頼者は弁護士をみんな変えた。2審は、鈴木宗男系統の弁護士に依頼したんです。

結局、検事というのは現職のときもそうです、上がおって下がおる。検事を辞めても上にボスがいてその下で働くんです。そして、ボスが事件を持って来るんです。ボスは検察といろいろと話ができる。元の検事総長、元の検事長ですから現職検事たちはむげにはできません。そういう構図がずっと続いております。

(参加者2)
 ありがとうございました。
 私たちも応援しますので、どうぞ一つ三井さんもこれに屈せずがんばって下さい。

(三井)
 どうも、ありがとうございました。

(転載ここまで)

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検察裏金告発で弾圧された三井環氏講演録②

2006年に行われたKU会における三井環氏による講演録-その2-

阿修羅掲示掲示板投稿記事からの転載である。

1月18日に無事に生還された三井環氏への緊急インタビューYou Tube映像はこちら。

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ぜひご高覧賜りたい。

以下は講演録収録の阿修羅掲示版投稿記事-その2-である。

-三井環「裏金」講演-国策捜査の原点は検察・法務省・内閣のズブズブの関係を作り出した検察の「けもの道」にある
(投稿者 Takeru 日時 2010 1 17 日)

近年の国策捜査の原点は、裏金という内部犯罪を隠そうとした検察の「けもの道」にあると三井環氏が民間団体主催の講演で暴露した。

以下は先のヒゲ戸田氏による三井環氏に関するの投稿記事内リンクからの講演文である。検察の腐り切った恐るべき実態が克明に描かれた必読の内容である。

この講演の「けもの道」のくだりに実名で出てくる古田佑紀(ふるたゆうき)法務省元刑事局長は裁判官経験を経ずに最高裁判事になった人物である。

古田裁判官は事故検証の専門家によるブレーキ痕検証、走行実験、数十人のバス乗客証言から白バイ隊員のほぼ100%の過失が疑われたスクールバス衝突事故を隠蔽し、警察が一人の同僚警察官の証言ひとつでバスの運転手を加害者にしたと言われる高知白バイ衝突死事件で、被告側最高裁上告を棄却した判事の一人である。また古田裁判官は粉飾決算長銀事件で経営陣責任が問われ出された1,2審の有罪判決を破棄し最高裁が逆転無罪判決を出したときの判事でもある。

三井氏の暴露した衝撃的な「検察の闇」は、度重なる最高裁の国策的不当判決や最高裁人事にも繋がっているものと思わざる得ない。
Takeru

講演録-その2-

中小企業経営者の相互扶助団体 KU会第4回勉強会より

次に、いわゆる「検察の裏金作り」のお話です。

私は高知地検次席検事3年、それから高松地検次席検事3年、通算6年間それを実際に経験しました。もうどっぷりと裏金には浸かってきました。

検察庁には「調査活動費」の予算があるんです。調査活動費というのは、情報提供者に対して謝礼を払うことを本来の目的として設けられた予算なんです。公安労働事件に関する情報提供に対する謝礼、それが出発点だったようです。そういうお金が裏金として使われるようになったのがいつ頃からなのか、私には分かりません。誰がこういう仕組みを考えたのかも分かりません。少なくとも、私が任官した昭和47(1972)年当時、裏金作りはなされていました。

どういうかたちでやるのかと言いますと、まず、架空の情報提供者を3、4人でっち上げるんです。例えばAという情報提供者を作ります。架空ですから実名ではありません。住所についても、もちろん実際にはそこにはいません。そして、その架空の人間に対して、原則5万円を謝礼として支払うんです。例えば、ある右翼団体がいつ街宣するという情報をもらったという名目をでっち上げて5万円渡すことにする。そして、本来はその人から領収書をもらわなければいけないわけですが、架空の人物ですからもらえません。領収書は、その架空の人物の名義で検察事務官が作成します。そうやって5万円の現金を浮かせるんです。

中小の地検であれば調査活動費の年間予算は400万円です。大阪地検であれば年間2000万円、東京地検では年間3000万円です。そして、中小の地検で考えてみますと、1件5万円とすると年間80通の領収書を作らなければならないんです。それは事務官が全部作るんです。領収書だけではありません。Aという架空の人物に支出するという「伺(うかが)い書」、「この人に支出してもいいですか」という書類があるんですが、それも作らなければなりません。一生懸命80通作るんです、事務官は。だから事務官から「検事正が使う金のために何でこんなことをしなければならないのか」と文句が出るんです。

そして、そういう風にして金が浮きます。浮いた金はどこに保管するのかと言いますと、それは事務局長の部屋です。これは個室なんですけれど、そこの金庫に保管します。常時30~40万円くらい保管しています。足りなくなったらまた架空の伺い書・領収書を作って金を浮かします。それでまた保管する。

そうやって浮かした裏金を一体何に使うかと言いますと、一つは接待です。最高検、高検、法務省などから高官が来た時の接待費です。そして、検事正自らのゴルフ代。それはここから全部出ます。マージャンをする人はマージャン代がここから全部出ます。ある検事正がマージャンで10万円使ったとします。その時、帳簿(裏帳簿)はどうなるのかと言うと「10万円検事正渡し」となります。検事正に渡すから領収書は取らないんです。

これは、検事正しか使えない一身専属的な(その人のみに属している)金なんです。次席など他の人間は使えません。私は通算6年間次席をやりましたが、次席は使えませんでした。次席は職員が亡くなったり結婚したりする場合は、自費でお金を包みます。検事正はその裏金から包みます。部下を連れて飲みに行く場合でも、次席は自費で出しますが、検事正は裏金から出ます。なので、検事正は給料以外に約30万円くらいの副収入があるんです。昼も晩もそれで払うから自分のお金はいりません。

だから、はっきり言ってしまうと調査活動費というのは、検事正が自由に使えるお金なんです。高検であれば、検事長の一身専属。高検でも次席は使えません。最高検では検事総長の一身専属。法務省であれば事務次官、官房長、刑事局長が使えるんです。これは一身専属です。

そういうかたちで、1円も「表の金」として使われていないんです。平成10(1998)年当時の調査活動費の年間予算は約6億円ありました。全部裏に回っている。そういうウソの領収書を作って金を浮かし、全部裏金として保管し、それが接待費用や自らの遊興(ゆうきょう)費用等に使われている。これが裏金問題なんです。

北海道警察の裏金問題も新聞等で報道されていますけれども、大体似通っています。警察は「捜査費」ですね。

そして、この裏金問題というのは、検察庁内部におれば公然の事実なんです。裏金のウソの領収書を作るのは公安事務官か総務課なんです。そこを経験した人なら全部知っています。そして、検事正・次席検事経験者、事務局長経験者は全て知っております。

これが、検察の裏金問題です。

そして、私が内部告発をしようとした動機と言いますのは、最初は人事上の私憤(しふん:個人的な事柄でのいきどおり)なんです。しかし、ある時期を境にして義憤(ぎふん:道義にはずれたこと、不公正なことに対するいきどおり)に変わります。

まず、その経過をお話します。平成12(2000)年の6月頃でありましたが、高松市で四国タイムズという新聞を発行している川上道太社長という人がいるんです。その人に裏金問題を話したんです。彼は義憤にかられる人間なんです。そしたら、川上氏は「三井さん、あなたは裏で私を指示して下さい。私は表で動きます」と言ってくれました。そこから始まったんです。そして、最初は平成12年の9月頃、朝日新聞の論説委員の村山さんのところに持ち込んだんです。東京のホテルで会いました。

少し話がそれますが、村山さんというのは、いわゆる則定(のりさだ)問題(元東京高検検事長・則定衛氏の愛人疑惑)を報道した人です。この問題は最初、月刊誌「噂の真相」の西岡研介氏が情報収集して、「噂の真相」に載せたんです。「噂の真相」だけであれば、則定衛という当時の東京高検検事長は辞めることはなかった。その後、朝日新聞がトップで報道しました。しかし、則定氏は3日で辞めました。なぜ辞めたかと言いますと、当時、法務委員会に(則定氏が)出て追及されました。そして銀座のバーで飲んでいることが分かった。飲んだ金は裏金から出てるんです。だから辞めたんです。

女性問題だけであれば、検察も助かるんです。法務委員会で追及されて裏金問題にまで発展したら大変です。つまり、則定問題というのは打算の産物なんです。女性問題だけで終わることによって、彼も助かりました。懲戒免職にならなかったんです。一方の検察も助かったんです。裏金問題にまで発展しなかったからです。このとき、内部では「これは行くかも知れない」「裏金がやられるかも知れない」というような雰囲気だったんです。それで3日で辞めた。

このように、裏金問題の最初の危機は則定問題だったんです。3日で辞めることによって、裏金問題まで発展せずに済んだんです。この則定問題のときは、まだ私は別に裏金問題をやろうとは考えていませんでした。

話を戻します。まず、その朝日新聞の村山さんと会いましたけれども、彼は「則定問題をやったばかりだから、同じ検察のことはできません」という返事だった。そして、今度はこの話を週刊新潮に持っていったんです。週刊新潮は編集会議を開いて、「やる」という決断を示した。それを土壇場(どたんば)で社長が反対した。それで週刊新潮もだめになった。

その次に「噂の真相」に行ったんです。今話した西岡研介です。西岡研介が平成13(2001)年の1月号で報道しました。もちろん、匿名の取材というかたちです。この時も、検察当局は大分動揺したんです。しかし、「噂の真相」しか報道しなかった。後追い報道がなかった。特に大手新聞社のそれがなかったんです。

そして、これではいけないということで、平成13年の3月末に四国タイムズの川上氏が、当時の大阪地検検事正である加納駿亮(かのう・しゅんすけ)氏を刑事告発しました。「公文書偽造、同行使、詐欺、私文書偽造」という罪名です。高知地検検事正時代の400万円と、神戸地検検事正時代の1000万円、合計1400万円の犯罪ということで、検事総長宛に告発しました。

すると検察当局は、なぜ四国タイムズはこんな告発をするのか、告発する意図を必死で探しました。昔のものから四国タイムズを全部読んだらしいです。これは公安調査庁の方からの情報です。川上という男は北朝鮮問題に強いんです。公安調査庁の情報提供者なんです。検察にはいませんが、公安調査庁には実際の情報提供者がおるんです。

検察は必死で調べました。そうする内に、私が高松地検次席検事当時、川上氏からいろいろな情報をもらって、独自捜査したということが分かった。私が浮かび上がってきたのです。私が後ろで川上氏を操っているんだということが分かったんです。それがその年の5月頃です。

そして、6月の上旬、北新地の料亭に元大阪高検検事長の逢坂(貞夫)から私は呼び出されました。「三井君、ちょっと飯でも食べよう」と言われました。私は行きました。そしたら彼は、「今日も松尾事務次官から、三井君のことを心配して電話が何回もかかってきた」と言うんです。裏金問題のことは言いません。裏金の「う」の字も言いません。それでも分かります。そして、1時間くらいご飯を食べて、酒を飲んで、彼が「わしのところ(弁護士事務所)に弁護士として来ないか?」と言ったんです。私はそこで断ったんです、「行きません」と。

そしたら、彼は何て言ったと思います?「モリカズのようになるぞ」と言ったんです。

「モリカズ」というのは手形詐欺事件で東京地検特捜部に逮捕されたヤメ検(検事を辞めたあとで弁護士になる人のこと)の田中森一氏のことです。これは脅かしです。

話は戻りますが、3月末にそういうかたちで刑事告発しました。そして、その3月末頃の情報では、当時大阪地検の検事正だった加納駿亮氏が高松高検検事長になるということが事実上内定していたんです。検事長人事というのは内閣の承認がいります。法務当局はどうしたのかと言いますと、当時は高村法務大臣ですが、高村法務大臣にはこの告発の事実を隠していたんです。隠したまま、「加納氏を高松高検検事長に」という上申を高村法務大臣にしたんです。そして、4月23日がその内示予定だったんです。その直前に川上氏が高村法務大臣の秘書官に告発状を全部持って、会いに行ったんです。そこで初めて、この事実が高村法務大臣の知れるところとなった。そのために、加納氏の人事は先送りです。

この時期、4月28日の政変で森総理から小泉総理に代わりました。法務大臣は森山真弓に代わりました。それでもまだこの人事をあきらめきれずに、法務当局は交渉した。しかし、連休明けの5月7日、結論は先送りになったんです。加納氏の1期下の宗像(むなかた)氏が高松高検検事長になった。これが5月の人事です。ここまではいいんです。

次に、その年の11月15日に福岡高検検事長が定年で辞めることになったんです。この時も、やはり森山法務大臣です。今度は、法務省は福岡高検検事長に加納氏を上申したんです。しかし、(大臣は)なかなか難色を示して、どうにもならなかったんです。そこでどうしたのかと言いますと、検察・法務当局は困ったんでしょう。いわゆる「けもの道」を通ったんです。

「けもの道」というのは私が付けた名前ですけれども、当時の原田明夫検事総長、事務次官の松尾邦弘、刑事局長の古田佑紀、古田は後藤田正晴氏が法務大臣だったときの秘書官だった人間です。その3人がそろって、10月26日だったと思いますが、東京・麹町の後藤田事務所を尋ねました。そこには後藤田元法務大臣と秘書官がいました。

それで、彼らは「加納の検事長人事を内閣で承認してくれないと検察が潰れます」と泣きを入れたんです。潰れるというのは、検察の裏金問題が表ざたになるという意味だと思います。当時は、週刊文春とか週刊朝日がすでに裏金問題を報じていました。そして、(後藤田氏は)小泉の秘書官の飯島に電話連絡しました。そして、その日の会談はそれで終わって、翌日、小泉に原田検事総長が直談判をした。そこで事実上、加納の検事長人事が承認されました。正式な閣議は11月13日なんです。そこで正式に承認されました。

こんなことをしたらどうなりますか。「検察が内閣に借りを作る」という一番やってはならないことをやったんです。内閣の助けを求めた。こんなことをしてしまったら、内閣を構成している大臣クラスを事件にはできません。ここまでやるんです。

「国策捜査」は昔からありましたが、私は、ここが最近の国策捜査の原点だと思っています。例えば、内閣の誰かを逮捕できるような事件があったとします。そしたら、小泉が「裏金どうするの?」と言う、それだけでいいんです。事件にできません。できるはずがないんです。後藤田さんはもう亡くなりましたけれども、この事実は彼の秘書から聞いた話なんです。

本来、検察というところは真実を明らかにするところなんです。加納の事件は、この直後に「嫌疑なし」になりました。「真っクロ」なのを「真っシロ」にしてしまったのです。内閣にとってみたら、加納の刑事告発が残ったままでは承認できません。それでは内閣の責任になります。「真っシロ」なんだという判断が下っていれば、内閣の責任ではないんです。

刑事告発事件で「真っクロ」であるものを「真っシロ」にしてしまった、これは検察の原点の崩壊です。これが1点。もう1点は、最もしてはいけないことをしてしまった。内閣を利用してしまった。その2点なんです、私が義憤を感じたのは。それから先は義憤だけです。加納のことは頭にありませんでした。

そして、この問題を追及するために私が協力を求めたところは、やはりマスコミと政治家です。それからは、マスコミにずっと会ってきました。政治家では、民主党の菅直人。彼には大阪の財界人を通して3回ほど会ってもらって「了解」を得ました。「了解」というのは法務委員会でこの問題を追及するということです。

新聞では朝日新聞東京本社の落合博実さん。最終的には4月18日に心斎橋の日航ホテルで会って最終了解を得た。その内容は、5月の連休明けに朝日新聞東京本社が裏金問題を1面トップで報道する。社会面では、私が実名のまま1問1答形式で答える。そういう方法です。そして、NHKとか他の新聞社は、「朝日が書くのなら後追いします」ということを言った。

そして、菅直人氏の方は朝日新聞の記事を持って法務委員会で追及する。そして、その過程で私を参考人招致して、私が証言する。そして、私が国会で記者会見して、検事のバッチを外して辞める。そういう段取りが全部できあがっていたんです。それが4月18日です。

そして、4月22日に何があったのかと言いますと、その日の昼から「ザ・スクープ」の鳥越俊太郎さんが大阪に来て、裏金問題についての取材・収録の予定だったんです。あとは、4月24日に大阪の毎日テレビの取材・収録の予定がありました。

4月22日。昼に「ザ・スクープ」の取材・収録をするその日の朝、私は8時半頃任意同行をされて、何の弁解も聞いてもらえずに逮捕された。これが第1次逮捕なんです。

これがもし、私を逮捕していなかったらどうなっていたと思いますか?その予定通り進みますと、朝日新聞東京本社が報道する、菅直人氏が法務委員会で追及する、私が証人として出廷し証言してバッチを外す。これは、外務省の機密費どころの話じゃないんです。

(その3)に続く。

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検察裏金告発で弾圧された三井環氏講演録①

「わんわんらっぱー」様「春夏秋冬」様「晴耕雨読」様などが、三井環氏の講演録を紹介くださっている。三井氏は検察の調査活動費の不正流用、いわゆる裏金問題について実名での告発を準備するさなか、不当に逮捕され実刑を科せられた元大阪高検公安部長検事である。

この1月18日に無事に生還された。今後、三井氏の正義の逆襲が開始されることになると思われる。

「飄(つむじ風)」様が阿修羅掲示板に掲載された三井環氏への緊急インタビュー You Tube映像を含めて紹介くださっている。

 三井氏のインタビュー動画

 、  、 

をぜひご高覧賜りたい。

ここでは「晴耕雨読」様などが紹介された阿修羅掲示板に掲載された2006年の三井環氏講演録を3回に分けて紹介させていただく。

-三井環「裏金」講演-国策捜査の原点は検察・法務省・内閣のズブズブの関係を作り出した検察の「けもの道」にある
(投稿者 Takeru 日時 2010 1 17 日)

近年の国策捜査の原点は、裏金という内部犯罪を隠そうとした検察の「けもの道」にあると三井環氏が民間団体主催の講演で暴露した。

以下は先のヒゲ戸田氏による三井環氏に関するの投稿記事内リンクからの講演文である。2006年の講演だが検察組織の実態を知るうえで重要なので長文だが全文転載する。検察の腐り切った恐るべき実態が克明に描かれた必読の内容である。

この講演の「けもの道」のくだりに実名で出てくる古田佑紀(ふるたゆうき)法務省元刑事局長は裁判官経験を経ずに最高裁判事になった人物である。

古田裁判官は事故検証の専門家によるブレーキ痕検証、走行実験、数十人のバス乗客証言から白バイ隊員のほぼ100%の過失が疑われたスクールバス衝突事故を隠蔽し、警察が一人の同僚警察官の証言ひとつでバスの運転手を加害者にしたと言われる高知白バイ衝突死事件で、被告側最高裁上告を棄却した判事の一人である。また古田裁判官は粉飾決算長銀事件で経営陣責任が問われ出された1,2審の有罪判決を破棄し最高裁が逆転無罪判決を出したときの判事でもある。

三井氏の暴露した衝撃的な「検察の闇」は、度重なる最高裁の国策的不当判決や最高裁人事にも繋がっているものと思わざる得ない。
Takeru

(転載ここから)

中小企業経営者の相互扶助団体 KU会第4回勉強会より
三井 環(元大阪高等検察庁公安部長検事)

私が「悪徳検事」と呼ばれている、元大阪高等検察庁公安部長検事の三井環です。よろしくお願いをいたします。

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まず、本日はこのような場において、講演する機会を与えていただきましたことに対して深く感謝をいたしております。

現職当時でありますと、みなさん方とは「敵と敵」との間柄です。このような場で話をする機会もなかったでしょう。あるとするならば、それは取調室でしょう。ただ、場が変わりますとこのようなことになるわけで、人間分からないものです。

私は、公安部経験は鹿児島地検三席検事当時、公安労働係に3年間、それから、神戸地検公安部に2年間、そして、大阪高検公安部に3年間あります。その通算8年間、公安労働係の仕事をしてまいりました。みなさま方が将来、何らかのかたちで会う相手というのはやはり、公安、あるいは公安労働係だろうと思いますので、公安労働というのはどういう仕事をしているのかを、まずお話しておきたいと思います。

1つは、右翼、日本共産党、過激派、労働組合、市民運動、今はオウム教団、それらの情報収集を行います。そして、情報収集をしまして、高検の方に結果を報告します。

2点目が、検察・警察が逮捕してきた事件の捜査と公判をやります。公安労働関係の事件で警察が逮捕する場合には、必ず検察と事前協議をしなければならないんです。一般刑事事件というのは、汚職事件とか、選挙違反事件などの特に重大な事件以外では警察独自の判断でやります。公安労働係が担当する事件というのは、この事前協議をしなければならないという点が違います。

ですから、そういう事件は警察の警備課が担当いたしますけれども、警察の考えだけでやるわけではありません。検察と警察が一体となってやるというのが公安労働係の事件の特質であります。ですから、検察の意図というのが必ず入ってきております。

公安事件で、私が神戸の公安部に所属しておった当時にどういうことをやったかと申しますと、当時は公安事件というのはほとんどない時代なんです。公安事件の多発した時代というのは昭和30年代、40年代なんです。50年代以降ほとんどありません。全国でも1年間で数えるほどしかいない、そんな時代です。

その中で何をやったかと言いますと、例えば、天皇がどこかに巡回に行く、あるいは外国の要人がどこかに巡視に来ることがあります。そういう場合に、いわゆる過激派を、例えば架空の不動産売買契約を作ったとして逮捕勾留する。20日間勾留するんです。そして、全て釈放です。それを2年間に10回くらいやってきました。これがいわゆる「一般予防」なんです。要人がいる場合に、一般予防のためにそういった起訴することのない事件を使って、そういうことをやってきました。

それから、これは京都の事件ですけれども、ある中核派の人が三千院等を時限爆弾で放火したという事件がありました。わずかしか焼けなかったのですが、その鴨居(かもい)についた人間の臭気・においと、他で押収された彼の靴の臭気が犬の臭気鑑定で一致するということで、証拠はそれだけしかなかったんです。一審では無罪になりました。私がその記録を読んでみましたら、証拠は犬の臭気鑑定しかないんです。犬の臭気鑑定というのは、科学的な根拠が全然立証されていないんです。そういうものだけで起訴した。そして、私が裁判所に「だらだら公判を続けてもしょうがないから、一度犬を使って検証してみましょう」と言いました。

臭気鑑定というのは、現臭(げんしゅう)と言いまして、現臭(この事件の場合なら、靴のにおい)を布に含ませて犬に嗅がせるんです。そして、15mくらい先に5個の対象臭というものを置くんです。そして、その内の1つ、この場合は鴨井についたにおいが含まれた対象臭を実際にくわえてくるのかどうかを試すのです。これを18回やってみました。現臭と対象臭で一致するものをくわえてきたのは、ゼロなんです。これで裁判は終わりました。もう進行する必要はありません。裁判所も「これで終わりましょう」と言って、結審しました。だから、検事控訴をしていました。が、控訴棄却です。
 そういうことをやっていたんです。なぜかと言いますと、いわゆる労働事件というのは起訴しますと、確定するまでに5、6年かかるんです。保釈されるまでにも時間がかかります、保釈になってからも制限条項があるでしょう。つまり、その人がずっと拘束されたままなんです。その間は活動ができません。それで充分なんです。5、6年活動できない状況が続けば充分なんです。そこに意味があるんです。一般刑事事件ではこういうことはしません。公安労働事件ではそういうことをやっている、昔からやっています。

これがいわゆる一般予防なんです。その中核派の彼も現実に無罪確定まで7年ほど何も活動できませんでした。それが、公安検察の実態なんです。

これは検察側からすると意味のあることかも知れません。どこかに要人が行く、そこで仮に何かあったらたら困ります。その期間中は危険人物をできるだけ捕まえる。そして、20日間だけ捕まえて釈放する。警備の観点に立つと意味のあることかも知りません。しかし、捕まえられる方はたまったもんじゃありません。いくら過激派でも人間です。私も現職の時にはそういうことをやってきました。

(その2)に続く。

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2010年1月13日 (水)

検察勢力の攻撃激化と悪徳ペンタゴンとの闘い

『金利・為替・株価特報』が改定版刊行開始後の第100号を発行した。第100号は各種経済統計発表の日程等を考慮して2010年1月12日の発行とさせていただいた。

多くのご購読者に支えられて第100号の発行に到達したことについて、多くの皆様の温かなご厚誼に深く感謝申し上げます。

半歩先を読む有益な情報のご提供に今後も努めてまいる所存です。今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

なお、1月10日より1月14日の間、FAX送信先を

020-4623-8897

に変更させていただいておりますので、なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。1月15日以降は、通常通り、

050-3444-9587

になりますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 第100号のタイトルは

「メディア総攻撃に耐える鳩山政権新体制」

とした。

 ご参考に目次を紹介させていただく。

1.  【新春展望】バイロン・ウィーン氏の2010年予測

2.  【政策】財政デフレを回避した2010年度予算

3.  【政治】主権者国民と悪徳ペンタゴンの最終決戦

4.  【政策】りそな銀処理と日本航空処理の相違

5.  【為替】菅直人財務相就任と為替レート

6.  【米国】春先の調整に要注意だが景気回復は持続

7.  【日本経済】経済回復優先の政策が鍵

8.  【株価】春先の調整あるも堅調に推移か

9.  【投資】投資戦略

 昨年12月25日に発行した第99号のタイトルは

「株価危機脱出も、拭いきれない景気リスク」

目次は以下の通りである。

1.  【新春展望】算命学から見る2009年

2.  【政策】焦点の2010年度予算

3.  【政治】政権交代と抵抗勢力

4.  【株価】株価反発はいつまで続くか

5.  【為替】ドル反発の持続力

6.  【金利】長期金利は急上昇するか

7.  【日本経済】停滞感続く日本経済

8.  【世界経済】比重増す中国経済

9.  【投資】投資戦略

 

日本航空の経営再建問題については、本ブログならびに『金利・為替・株価特報』で主張してきた方向で処理が実現することになった。「政官業の癒着」を排除し、正当性と透明性のある処理を行うことが求められるが、政権交代の実現によって、ようやく正論が通る状況が生まれたことは望ましい変化である。

日本経済新聞、産経新聞など、経済問題について専門的な見解を表明すべきマスメディアが、日本航空処理に際して透明な法的整理の手法採用に批判的な見解を表明し続けたのは、これらのメディアが癒着構造のなかに置かれていることを意味するからであろうか。

小沢一郎民主党幹事長や秘書を務めてきた石川知裕衆議院議員に対する検察・メディアの攻撃が一段と激化しているが、主権者国民はこの動きを、「主権者国民対悪徳ペンタゴンの最終決戦」の一部であるとの基本認識の下に見つめる必要がある。

「悪徳ペンタゴン」は鳩山政権批判、小沢一郎民主党幹事長批判の世論が形成されるように必死の情報操作活動を展開しているが、これらの情報扇動に惑わされないことが重要である。

検察当局がいかなる行動を示そうとも、検察捜査は絶対のものでない。日本の現状では、裁判所までもが既得権益の利権複合体の一部を形成しており、必ずしも正当で公正な裁判が期待できないところに大きな問題が存在している。

とはいえ、公判請求が生じる場合には、少なくとも公判廷の場で十分な反論を提示することが重要である。メディアは事件報道の鉄則である「犯人視しない報道」、「弁護側主張をも適正なバランスを保って伝える」を、完全に無視した権力迎合の報道に徹している。そのなかで、唯一の突破口が公判廷での主張である。

不当判決、不公正裁判は日常茶飯事であるが、公判を通じて「知られざる真実」が提示される意味は決して小さくない。「真実」は裁判所の判決のなかに存するのではなく、「真実」そのもののなかにしか存在しないからだ。このことは、富山での冤罪事案、足利事件での冤罪などの事例でも明らかである。私が巻き込まれた冤罪事件も同類である。

当面の最重要イベントは沖縄名護市の市長選挙である。名護市民の基地移設に対する判断が示される重要な選挙である。検察・マスメディアの常軌を逸した鳩山政権攻撃は、1月24日の名護市長選を睨んだ活動であるとも考えられる。

名護市の市民は、辺野古の美しい海岸を破壊するV字形滑走路建設に賛同するのかどうかを十分に検討するべきであると考える。名護市長選の意味は極めて大きいと言える。

海岸を破壊して2本もの滑走路を建設する決定が行われた最大の背景は、自民党の建設利権が背景にあると指摘されている。

検察は特定の政治勢力と結託して活動をすべき存在ではない。自民党にこそ解明しなければならない政治資金疑惑が山積しているのではないか。また、「かんぽの宿不正売却未遂疑惑」について、現与党国会議員が刑事告発しているが、この問題の捜査は手つかずで放置されているのであろうか。

検察当局が公正で透明性の高い捜査を実行しないなら、検察当局の刷新が必要になる。また、全面可視化の導入など、日本の警察、検察制度の近代化も喫緊の課題である。こうした問題をめぐる検察と鳩山政権の対立も政権攻撃に血道をあげる検察捜査の背景をなしている点にも監視を怠れない。

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2009年12月10日 (木)

日本の警察・検察・裁判所制度の前近代性

旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の粉飾決算事件で、旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元会長窪田弘被告(78)など旧経営陣3名の上告審判決で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は12月7日、「審理が不十分」として3人を執行猶予付き有罪とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。

予想通りの最高裁決定である。

私は本ブログに2008年7月19日、

「長銀事件逆転無罪判決の闇」

と題する記事を記述した。

以下にその全文を転載する。

「旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で、最高裁判所は7月18日、執行猶予付き有罪とした1、2審判決を破棄、元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。

刑事事件で最高裁が逆転無罪判決を出すのは極めて異例である。

日本の三権分立はおとぎ話である。内閣総理大臣が三権を掌握し得るのが実態である。政治権力は司法、警察、検察に対しても支配力を及ぼすことが可能である。

今回の最高裁判決の真のターゲットはこの事件にはないはずだ。旧長銀と類似した事案で裁判が行われている「日債銀事件」が謎を解く鍵である。

「日債銀事件」では大蔵省OBで国税庁長官を務めた窪田弘氏が起訴され、1審、2審で執行猶予付き有罪判決が出されている。

大蔵省、財務省は、同省最高幹部を経て日債銀に天下りした窪田氏の有罪確定を回避することを最重要視してきた。

長銀事件が最高裁で逆転したことが、日債銀事件に影響する。

日債銀事件で同様の逆転無罪判決が出されるなら、ここに示した仮説が間違いでないことが判明すると考える。

日本の権力構造の闇は限りなく深い。」

私はこの記事に続いて2008年7月20日に

「長銀事件逆転無罪判決の闇(2)

と題する記事を掲載した。

 以下にその全文を再掲する。

「旧長銀粉飾決算事件における異例の最高裁逆転無罪判決の裏側に、財務省主軸「官僚主権構造」の闇が存在することは、確かであるように思われる。

旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で最高裁判所は7月18日、1、2審で執行猶予付き有罪判決を受けた元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。この問題に関連する追記。

  担当裁判官の一人である、津野修最高裁判所判事の経歴は以下の通り。

1961 国家公務員採用上級試験合格

1961 司法試験合格

1962 京都大学法学部卒業

1962 大蔵省入省 

1967 板橋税務署長

1971 日本貿易振興会フランクフルト事務所駐在員

1978 内閣法制局参事官

1983 大蔵省主税局税制第三課長

1985 福岡財務支局長

1986 内閣法制局第三部長

1992 内閣法制局第一部長

1996 内閣法制次長

1999 内閣法制局長官

2003 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)

2004 226- 最高裁判所判事

(出典 Wikipedia

津和野氏は正真正銘の元大蔵官僚である。

財務省(大蔵省)による内閣法制局支配は、「財務省(大蔵省)主軸官僚主権構造」を支える根幹のひとつである。

 今回の判決には財務省の意向が深く関わった可能性が高い。

判決の真の狙いは、「日債銀事件」の被告人の一人である、旧大蔵省最高幹部で国税庁長官を務めた窪田弘氏の無罪獲得にあると考えられる。 

日本は暗黒権力の下に統治されている。」

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このときに指摘した通りの展開になっている。

元財務省職員の高橋洋一氏は数十万円相当の金品を窃盗し、現行犯で捕捉されたにも関わらず、逮捕もされず起訴もされず、無罪放免になった。

防衛医大教授の強制わいせつ事件では、最高裁が事実誤認を理由に異例の逆転無罪判決を示した。

この事件の基本構造は、私が巻き込まれた痴漢冤罪事件とまったく同じものである。この点については、

2009年4月15日付記事

「痴漢冤罪事件に最高裁が逆転無罪判決を示した」

および、2009年4月16日付記事

「痴漢冤罪事件最高裁逆転無罪判決に関する補論」

に記述した。

 

名倉正博氏に無罪判決が示されたのは、同氏が防衛医大教授であることが強く影響したのだと考えられる。

 不審死が相次いだ問題で結婚詐欺容疑により逮捕されている埼玉県の無職女性の実名は木村佳苗氏であるが、マスメディアは木村氏に関しては実名報道を避けている。

 107人が死亡した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、神戸地検は12月4日、神戸第一検察審査会が業務上過失致死傷罪で「起訴相当」と議決したJR西日本の歴代社長3人を再び不起訴処分(嫌疑不十分)とした。

 政治資金規正法違反について、検察内部には1億円という立件に関する内規が存在したが、前民主党代表小沢一郎氏の公設第一秘書のケースでは、被疑事実が1億円をはるかに下回るにもかかわらず逮捕、起訴された。

 政治資金の問題では、賄賂性のある事案、裏献金などが「悪質性」が高いものとして立件の対象とされてきたはずであるが、小沢氏秘書の事案はいずれにも該当しない。

 自民党議員である二階俊博氏の秘書が政治資金規正法違反容疑でようやく略式起訴されたが、政権交代が実現していなければ恐らく立件されなかったであろう。

 つまり、日本の警察、検察、裁判所制度では、政治が絡むと正義も公正も「法の下の平等」も消えてなくなる現実が厳然と存在する。日本の警察・検察・裁判所制度の近代化が急務である。

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