カテゴリー「かんぽの宿(1)」の10件の記事

2009年2月 4日 (水)

「かんぽの宿」売却先決定の不透明なカラクリ

マスメディアは「かんぽの宿疑惑」を掘り下げることを忌避(きひ)し、報道する場合は日本郵政の弁明だけを説明する対応を繰り返している。「かんぽの宿疑惑」の解明が進行する場合、「「郵政民営化」の実態が「郵政利権化」である」と広く国民が認識するようになる可能性が高い。

「かんぽの宿疑惑」解明が進む場合、2010年度ないし2011年度に郵政株式を上場し、「郵政民営化=郵政利権化」の収穫期を迎えるとの利権互助会のタイムスケジュールに大きな狂いが生じる可能性が高まる。論議の推移、ならびに総選挙結果によっては「郵政民営化=郵政利権化」の巨大プロジェクトそのものが瓦解(がかい)するリスクさえ浮上する。

「政官業外電の悪徳ペンタゴン」は、いま、「郵政民営化=郵政利権化」全体の根本的な見直しにまで事態が発展することを阻止することに全力を注いでいると考えられる。外国資本とも直結する「電波=テレビメディア」が「かんぽの宿疑惑」を徹底して忌避するのは、この推論と整合的である。

2月3日放映の読売テレビ「ミヤネ屋」は、「かんぽの宿疑惑」を取り上げたが、読売テレビ所属のコメンテーターである春川氏が、日本郵政サイドに立った弁明を繰り広げ、司会の宮根氏が「これまでのコメントで最高のコメントだ」と絶賛した。事前の打ち合わせどおりのやり取りが実行されたのだと考えられる。春川氏は通常は、中立の立場からコメントする傾向を持つが、この問題についての対応は極めて奇異なものだった。

小泉政権時代に「メディアコントロール」が激しい勢いで強化された。竹中氏が関与した「郵政民営化広報」では、IQの低い国民を「B層」と命名して、「B層」を「郵政民営化広報」のターゲットにするとの戦略に則って実際に広報活動が実行されたことが、国会で明らかにされている。

小泉政権のメディアコントロールに深く関わったと見られる飯島勲元秘書は、「スポーツ紙」、「ワイドショー」、「婦人週刊誌」が情報伝達媒体としてとりわけ重要であるとの考え方を示していたと伝えられている。小泉竹中政権は「B層にターゲットを絞った情報操作」を基本に据えていたと一般に指摘されている。

「ワイドショー」では、「かんぽの宿疑惑」がほとんど取り上げられていない。貴重な国民資産である「かんぽの宿」が1万円で売却され、わずか半年後に6000万円で転売された事実、2400億円投入された施設と時価47億円の首都圏社宅不動産が合計で109億円で売却された事実、価格競争入札と言いながら、極めて不透明な落札の経過、などが長時間、各地の売却物件の映像を交えて報道されれば、主婦層は「郵政民営化」に対する認識を根本から修正する可能性が高い。

「ラフレさいたま」は300億円程度の資金が投入された施設であり、現段階でも150億円程度の時価評価を受ける物件である。「ラフレさいたま」は「かんぽの宿」ではないが、一括売却リストに潜り込まされた。「ラフレさいたま」からの中継も分かりやすい映像を生み出すだろう。

年金関連の宿泊施設「グリーンピア」、雇用能力開発機構の宿泊施設「スパウザ小田原」の問題が表面化したときに、メディアはこれらの施設をどれほど報道したことか。国民は「情報操作」の驚くべき実態についての知識を持たねばならない。

この問題について、「晴天とら日和」様が引き続き、丁寧に情報をまとめて提供してくださっている。いつも参考にさせていただいている。

また、社会民主党議員の保坂展人氏「かんぽの宿疑惑」について、重要な情報を次々にブログに公開してくださっている。2月3日付記事に「第1回社民党・かんぽの宿・郵政民営化調査PT」での日本郵政担当者に対するヒアリング結果が示された。

極めて重要な事実が明らかになっている。

日本郵政が文書で回答した今回の入札形態についての説明は以下のとおりだ。
保坂展人氏のブログ記事から転載させていただく。

・本件は単なる不動産の売却ではなく、従業員も含む事業全体を譲渡するものであり、雇用の確保や事業の発展・継続性についての提案も評価する必要があるため、譲渡価格のみを入札して候補先を決定する、単純な「競争入札」は馴染まない判断し、今回の手続を選択したものです。

・具体的な手続としては、平成2041日から平成20415日までホームページにおいて競争入札による譲渡を実施する旨の公告を行った後、各応募者から提出された、従事する社員の取扱い、取得後の事業戦略、ホテルの運営実績(投資実績)、応募先の信用力、取得価格等の企画提案内容を総合的に審査した上で、最終的に最も有利な条件を提示した応募先と契約を締結しており、手続の内容としては「競争入札」の範疇に入るものと認識しております。
(ここまで引用)

二つの問題点を指摘する。

第一は、
「平成2041日から平成20415日までホームページにおいて競争入札による譲渡を実施する旨の公告を行った」
とする部分だ。ホームページ上のどのページにどのような掲載を行ったのかという点だ。HP表紙に重要事項として掲載したのかどうか。これだけの資産規模であるから、公告の期間はあまりにも短く、また応募締め切りの期限も非常に早い。広く情報を周知させれば、より多くの優良な入札参加者を募ることができたはずだ。

第二は、
「各応募者から提出された、従事する社員の取扱い、取得後の事業戦略、ホテルの運営実績(投資実績)、応募先の信用力、取得価格等の企画提案内容を総合的に審査した上で、最終的に最も有利な条件を提示した応募先と契約を締結」
との部分である。「総合的に審査」すれば、どのような結果を出すことも出来る。

2月2日の参議院本会議で自見庄三郎議員は次のような質問を示した。
「オリックスの109億円が最も高かったのか、総務大臣にお尋ねを致します。」

これに対して鳩山総務相は、
「最終競争入札は、なぜか二社のみでございまして、オリックス不動産の方が高かったという風に聞いております。」
と答弁した。

入札情報はできるだけ、広く国民に知られることのないように、形式的に告知されたのだと思われる。それでも当初、27社の応募があったとされる。

ところが、最終的には入札に参加したのは2社で、オリックス不動産の提示した価格は他の1社よりは高かったとのことだ。

自見議員の質問は、当初の27社の提示した価格のなかで、オリックスが最も高い価格を提示したのかどうかを質したものだが、日本郵政が詳細な情報を提示していないため、現段階では詳細な事実が不明である。

今回の一括譲渡を適正だと主張する立場の意見は、「入札が公明正大に行われた」ことをすべての大前提に置いている。ところが、この「価格競争入札」とされているものが、「価格競争入札」とは程遠い、不透明極まりない代物であったことが判明しつつある。

「雇用維持」などが、「低価格売却」を強行実施する「隠れ蓑(みの)」として利用されたとの推論は正しかったと考えられる。「出来レース」疑惑は拡大するばかりである。

2月1日付「しんぶん赤旗」は、109億円の譲渡価格が2007年10月の郵政民営化時に、日本郵政自身が明らかにした価格の3分の1であることを明らかにしている。

「狐と狸とカラスどもに怒りを」様「おいしすぎるおまけつき・かんぽの宿とオリックス」と題する記事で、オリックスの昨年12月26日付プレスリリースを紹介された。

プレスリリースには、
「オリックスグループは、本事業譲渡を受け国内最大規模の温泉旅館ネットワーク(総室数4,200超、年間宿泊者数250万人超 ※オリックス不動産調べ)リテール・運営事業の新たな柱と位置づけ、」
と記載されている。

一括譲渡を希望したのは「オリックス」サイドだったのではないかとの疑惑が浮上する。

また、同プレスリリースには、
団塊の世代を中心に現在110 万人を超える「かんぽの宿メンバーズ会員」の皆さまに、新たなリテール商品・サービスの提供も可能です」
と記述されている。「かんぽの宿メンバーズ会員」名簿は、オリックス傘下の生命保険会社が注力している医療保険商品、生命保険商品販売の格好のターゲットにかかる個人情報であり、「巨大な宝の山」である。

また、同プレスリリースに、
「オリックス不動産㈱は、・・・温泉旅館・・・の再生事業に取り組んでいるほか、研修施設、水族館、ビジネスホテル、高齢者向け介護施設、京セラドームなどの施設運営を手掛けており」
と記載されている。「かんぽの宿」は老人福祉施設に転用することも有効な利用法である。オリックスにとっては、まさに「のどから手が出る」物件であると考えられる。

こうしたニーズを持つ事業者は多数存在すると考えられる。入札情報が広く告知されるなら、間違いなく多数の入札参加者が登場し、109億円よりははるかに高い価格で売却が出来たものと考えられる。

日本では、老人福祉施設の不足が極めて深刻になっている。定額給付金の2兆円を100億円で除すと、「「かんぽの宿」70施設(「ラフレさいたま」を含む)プラス首都圏9箇所の社宅」の施設を200セット購入することが出来ることがわかる。

入札経緯が明らかになるにつれて、オリックスへの109億円での一括譲渡が、公明正大なディールでないことが白日の下に明らかにされる可能性が高い。

「かんぽの宿」は簡易保険加入者に帰属させるべき物件であり、これが「かんぽ生命」から分離されていることも極めて重大な問題である。疑惑は深まるばかりだ。問題の完全な解明が絶対に必要である。

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2009年2月 3日 (火)

日本テレビ「NEWS ZERO」の「かんぽの宿」偏向報道

2月2日の参議院本会議での代表質問では国民新党の自見庄三郎議員に続いて社民党の福島瑞穂議員も「かんぽの宿疑惑」について質問した。「日本郵政」は株式上場を2009年度以降のできるだけ早い時期に実現したいとしている。株式が民間に売却されてしまえば、制度変更は極めて難しくなる。

「郵政民営化」の装いをまとった「郵政利権化」を推進してきた勢力は、「利権の実現」まで、あと一息のところにたどり着いている。ここで、ストップをかけられては元も子もないのだ。

麻生首相に対するマスメディアの攻撃が急激に強まったのは11月中旬からである。11月12日に麻生首相の母校である学習院大学で日中交流行事の挨拶で「頻繁」を「はんざつ」、「未曾有」を「みぞうゆう」と読み間違えたことが大きく伝えられた。

11月28日には国会で民主党の小沢一郎代表との初めての党首討論が実施された。麻生首相は補正予算案の国会提出を2009年に先送りする方針を示した。小沢代表は総選挙を実施せず、景気対策が優先されると言うなら、補正予算を臨時国会に提出すべきだと迫った。

この党首討論後の世論調査から麻生内閣の支持率が暴落していった。このなかで、ひとつの重要な発言があった。11月19日に麻生首相が郵政株式の上場を凍結する考えを表明したのだ。麻生首相はその後、「必ずしも凍結ではない」と発言を修正したが、この発言を契機にマスメディアの麻生首相批判が一気に強まったと判断できる。

昨日付記事「「かんぽの宿疑惑」報道を封殺する巨大な闇の力」に記述したが、「郵政民営化」を具体的に法制化する過程で、米国は細かに制度設計に介入してきた。その背景には、米国資本が「郵政民営化」によって巨大な利権を獲得しようとする、「綿密に計算されたシナリオ」が存在すると考えられる。

このシナリオにおいて、「日本郵政」の上場、子会社の「ゆうちょ銀行」、「かんぽ生命」の上場実現は、最重要イベントとして位置付けられていると考えられる。

「かんぽの宿疑惑」は今後の論議の行方によっては、「郵政株式上場」に重大な影響を与えかねず、ひいては「郵政民営化」そのものの見直しにつながりかねない起爆力を有する事項である。「かんぽの宿疑惑」を鎮圧することが、当面の最重要事項と捉えられている可能性が高い。

日本国憲法第41条が定めるように「国会は国権の最高機関」である。報道においては、各種ニュースを伝えることも大事だが、国会論戦を伝えることは最重要事項である。

昨日の代表質問で国民新党の自見庄三郎議員は「かんぽの宿」疑惑に絞って質問した。社民党の福島瑞穂議員も「かんぽの宿」疑惑を報道した。国民固有の貴重な資産が「郵政民営化」のプロセスのなかで、極めて不透明に売却され、国民に巨大な損失を与えている可能性が浮上しているのである。最重要のニュースのひとつと言って間違いない。

ところが、昨日のテレビ朝日「報道ステーション」は「かんぽの宿疑惑」を完全に封殺した。国会報道そのものが完全に消えていた。2月3日の各種報道番組は「大相撲大麻事件」、「浅間山噴火」、「L&G円天」報道一色である。これに「警官発砲」、「主婦による株式投資詐欺疑惑」が一部加わっていた。

しかし、「かんぽの宿」疑惑は報道されていない。

唯一報道があったのが日本テレビ『News ZERO』だった。しかし、その内容は日本郵政サイドの説明を繰り返すだけのものだった。

鳩山総務相が問題にしたのが、「なぜこの時期なのか」、「なぜこの値段なのか」、「なぜオリックスなのか」であるとして、この三つの問題について、
①「かんぽの宿」が毎年40億円も赤字を計上しており、早期売却が必要であること、
②3200人の雇用確保義務を伴っており、また、政府の財産評価委員会の評価額93億円を上回っており、妥当な価格と判断したこと、
③公正な入札を実施した結果、オリックスが最も高い値段を提示したのでオリックスが選定されたのであり、プロセスに問題は無いこと、
の三点が司会者から説明された。

司会者は、日本郵政は外部の人間を含む検討委員会で問題を検討して対応するとしており、適切な対応を望みたいと話して締めくくった。

これでは、日本郵政の弁明の記者会見である。番組のスタンスは日本郵政サイドの説明だけを紹介して、問題を封印しようとするものである。2月1日のフジテレビ「サキヨミ」においても田崎史郎氏と藤井清孝氏が、日本郵政サイドの弁明コメントを代読するかのようなコメントを述べただけで問題を締めくくろうとした。

本ブログでこの問題を論じてきているので、読者はすでに問題の本質を理解されていると思うが、
①「かんぽの宿」の赤字は固定的なものではなく、人為的な低料金設定、高い減価償却費、非効率な運営によってもたらされているもので、経営の見直しにより黒字化も十分に可能なものであり、
②「雇用確保の条件」が「グレーの象徴」であり、「低価格設定を生み出す奇策」として用いられている可能性が高い。「雇用確保」といっても「正社員の当初の雇用継続」だけを義務付けただけのものなのではないか、
③入札のプロセスそのものが極めて不透明であり、この点が問題の出発点である。入札情報が広く日本全体に周知徹底され、透明な価格競争入札が実施されたのであれば問題はない。そのプロセスに不透明な部分があるからこそ、問題が表面化しているのだ。

 

保坂展人氏によると、日本郵政の入札は純粋な価格競争入札ではなかったことが新たに判明し始めている。

それを日本郵政サイドの説明だけを示して話を締めくくったのでは、報道の体をなしていない。犯罪の報道をする際に、容疑をかけられている側の言い分だけを報道したことが過去にあったのか。容疑をかけられている側の言い分をまったく伝えることなしに、容疑をかけている警察サイドの情報を、真偽を確かめることもせずに右から左へに垂れ流してきたのがテレビメディアではないのか。この問題に限って、疑いをかけられている側の弁明だけを説明して話題を締めくくるのでは筋が通らない。

鳥取県岩美町の「かんぽの宿」が1万円で売却され6000万円で転売されたことが問題になっているが、この事態を引き起こした関係者には「背任」の嫌疑がかかる。国民に不利益を与えたことは明白である。

鹿児島県指宿市の「かんぽの宿」も1万円で売却されたことが伝えられているが、この施設は現在『錦江楼』という名の旅館に衣替えされて運営されている。『錦江楼』のHPから料金表を見ると、一般の旅館と同等の料金設定になっている。週末料金、年末年始、ゴールデンウィークには別の料金体系が設定されている。

これが通常の料金設定である。公共の宿泊施設は、夏休み、ゴールデンウィークなども低料金で利用できるように、市場メカニズムから離れて低料金を設定し、ひろく国民に利益を提供しているのである。

「かんぽの宿」が料金体系を改め、各種経営努力を注げば赤字が大幅に圧縮されることは当然だ。そのような効率経営を追求することが「民営化」の大義名分のひとつだったのではないか。これらの経営努力をまったく施さないままの収支を前提に資産価値を評価すれば評価価格が低くなるのは火を見るより明らかだ、それで問題なしとするのでは、「民営化」の意味は無いに等しい。意図的に売却基準価格を低く設定していると疑われて仕方が無い。

米国のゼーリック通商代表が竹中平蔵氏に送った信書は2005年8月2日の参議院郵政民営化に関する特別委員会において民主党の櫻井充議員が明らかにしたものである。同日の討議では、竹中平蔵氏から驚くべき発言も示された。2月2日付記事でのリンクが有効でないので、このやり取りについては、回を改めて記述する。

「郵政民営化」を現在の方針通りに進行させることは、「郵政利権化」を実現させることを意味する。「かんぽの宿疑惑」を突破口にして、「郵政利権化」の全貌を明らかにし、国民に不利益を与え、外国資本に不当に利益供与する結果を生み出す「郵政民営化」を根本から見直す必要がある。非効率を温存するのではない。真に国民の利益を尊重する制度「改革」を追求しなければならない。

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2009年2月 2日 (月)

「かんぽの宿疑惑」報道を封殺する巨大な闇の力

本日の参議院本会議での代表質問で国民新党の自見庄三郎議員が「かんぽの宿」問題について麻生首相を追及した。昨日の本ブログで指摘した「日本トラスティー・サービス信託銀行」に関する問題を取り上げた。

ファンドが株式を取得する場合、取得する窓口は信託銀行になる。オリックスの筆頭株主に日本トラスティー・サービス信託銀行が躍り出たのは、特定のファンドがオリックス株式を買い集めていることを意味すると考えられる。この点について、自見議員が疑義を質した。

麻生首相はスイスのダボスにおけるフォーラムに出席したが、現地で竹中平蔵氏、宮内義彦氏と同じ会食の席についている。現地で直接会話を交わした可能性についての疑いが浮上している。麻生首相は代表質問の答弁で、「個別に会談した事実はない」と述べたが、直接言葉を交わすことがまったくなかったのかを検証する必要がある。直接言葉を交わした事実が判明すれば、麻生首相は虚偽の答弁をしたことになる。

「株式日記と経済展望」様「「かんぽの宿」の疑惑が民営化見直しの大問題なのに、全く報道しないのは小泉疑惑に発展するからだ」と題する記事を掲載されている。鳥取県岩美町の「かんぽの宿」が1万円で売却され、6ヵ月後に6000万円で転売されたことが明らかになった。

ワイドショーが飛びつく格好の材料が噴出した。現地の取材、東京の不動産開発会社の追跡取材など、各番組が時間を割いて報道する格好のテーマである。

ところが、2月1日の放送では『報道2001』、『サンデーモーニング』、『サンデープロジェクト』、『サンデージャポン』が、この問題についてそろって報道しなかった。

2月2日放送では、ワイドショーは大相撲大麻疑惑一色で、「かんぽの宿」疑惑が忌避(きひ)されている。「猿の騒動」など、どう見ても時間つぶしとしか思えない素材が長々と放送された。

若麒麟関が六本木において大麻所持で逮捕されたが、なぜ神奈川県警が登場するのか。素朴な疑問が浮上する。

「かんぽの宿疑惑」は「郵政民営化」の実態が「郵政利権化」であったことを明らかにする突破口としての意味を有していると考えられる。日本国民の優良資産、簡易保険加入者の貴重な有償資金が「かんぽの宿」取得に投入されている。

日本郵政公社が4分社化され、日本郵政株式会社が持株会社として4社株式を保有する形態に移行した。今後、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の全株式、日本郵政株式の3分の2が売却されることになっている。「民営化」の方針が定められたが、この「民営化」の目的が何であるのか。「かんぽの宿疑惑」はさらに「大いなる疑惑」を浮上させている。

2月1日付記事「外資の標的である日本郵政保有巨大不動産」に記述した、日本郵政株式会社CRE部門担当部長斎藤隆司氏が作成したと見られる「JP日本郵政グループにおけるCRE戦略」と題する資料を改めて検証してみる。

同資料の5ページ、6ページに日本郵政グループ各社の主な不動産が示されている。5ページには施設別不動産、6ページには金額別数値が記述されている。以下に一部を転載する。

日本郵政グループ各社の主な不動産(施設別)

日本郵政   本社ビル、病院、郵政資料館、
       メルパルク、かんぽの宿等

郵便事業会社 物流センター、郵便物の集配事務
を取り扱う郵便局、拠点となる郵便局等

郵便局会社  支社、東京中央郵便局、大阪中央郵便局、
名古屋中央郵便局駅前分室、
郵便物の集配事務を取り扱わない郵便局、
社宅、職員訓練所等

ゆうちょ銀行 貯金事務センター等

かんぽ生命  簡易保険事務センター等

日本郵政グループ各社の主な不動産(金額別:単位億円)

日本郵政     2250

郵便事業会社 1兆4030

郵便局会社  1兆0020

ゆうちょ銀行   1200

かんぽ生命     900

合計     2兆8400

 この資料を見ての素朴な疑問は、「ゆうちょ銀行」および「かんぽ生命」の不動産資産が極端に少ないことだ。「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の2社の保有不動産は「ゆうちょ事務センター」および「簡易保険事務センター」などだけとなっている。

 「かんぽの宿」の所有権がなぜ「日本郵政」に帰属しているのか疑問に感じられる。

 拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章第26節「露見した郵政米営化」に詳述したが、「郵政民営化」は
①小泉元首相の私的怨念
②銀行業界の熱望
③米国の対日収奪戦略
の「三位一体」の意志によって推進されたものだ。

 銀行業界は経団連を通じて郵貯排除活動を展開し続けてきた。銀行協会会長を務めた西川善文氏が日本郵政社長に起用されたことは、「郵政民営化」が銀行業界の意向を反映していることの証左でもある。

 日本が金融危機に誘導された2002年から2003年の危機のさなかの2002年12月11日に、竹中平蔵金融相(当時)は三井住友銀行の西川善文頭取、ゴールドマン・サックスのヘンリー・ポールソンCEOと密会している。三井住友銀行はゴールドマン・サックスと関係を深め、三井住友ファイナンシャルグループの発行済株式の39.8%を外国人投資家が保有している。

 小泉元首相は落選した最初の総選挙立候補の際に郵便局が支援しなかったことに個人的な怨恨を抱いていると伝えられている。

 米国が対日規制改革要望書で「郵政民営化」を強く要請し、郵政民営化を法制化する過程で「郵政民営化準備室」が米国関係者と18回にわたって会合を重ねたことも明らかにされている。米国通商代表のゼーリック氏から竹中平蔵氏への信書(櫻井充氏の発言[200])も国会で内容が暴露された。

 「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」への不動産配分が著しく少ないこと、

郵便事業会社への配分も郵便事業固有の業務にかかる不動産に限定されていること、

その他の主要不動産が郵便局各社および日本郵政株式会社に集中的に配分されていること、

の裏側には、郵政利権に直結する銀行業界と外国資本の思惑が隠されていると判断する。

 米国および銀行業界は「ゆうちょ銀行」、「かんぽ生命」の弱体化を期待していると考えられる。これらの機関が弱体化すれば350兆円の資金が流出してくる。銀行業界も外国資本も350兆円の資金に狙いを定めており、ゆうちょ銀行、かんぽ生命そのものについては、強くならないことを期待していると考えられる。

 米国が制度設計において「ゆうちょ銀行」および「かんぽ生命」にいかなる特権も与えぬよう執拗に要求したことも、米国資本が「ゆうちょ」および「かんぽ」からの資金流出を期待していることを示唆している。

オリックス傘下の保険会社が販売しているいわゆる「第三分野の保険商品」は米国保険会社が得意分野とする保険商品であり、「かんぽ」からの資金流出によって販売残高を増加することが狙われていると考えられる。

これらの事業のなかで、もっとも採算性が低いと考えられるのが「郵便事業会社」である。全国津々浦々まで郵便を配達しなければならない「ユニバーサル・サービス」も義務付けられている。

日本郵政株式会社の株価は市場に放出される際、郵便事業を傘下に持つために低い価格で売り出されることになるだろう。政府が3分の2の株式を売却すれば、株式の2分の1以上を買い集めることも可能になる。

日本郵政の株式を買い集めた上で、郵政事業会社を切り離せばどのようなことになるか。「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」を売却し、郵政事業を切り離した日本郵政株式会社は不動産会社になる。

「三菱地所」、「三井不動産」に次ぐ、日本第三位の不動産会社「日本地所」に変身する。「ゆうちょ」、「かんぽ」の350兆円の資金に加えて、「日本地所」を獲得することが外国資本の大きな狙いであるのではないか。

日本郵政は「不動産開発事業」を重点事業分野に定めているように見える。日本郵政が保有する巨大な不動産資産を再開発すれば、巨大な不動産事業を展開しうる。

5-7年で利益を獲得するビジネスモデルを考慮すると、
①「日本郵政」の上場を急ぐため、
②株式上場に必要な利益を「不動産売却」によって確保し、
③大型不動産開発事業を今後5-7年を目安に加速して実現し、
④採算性の悪い郵便事業会社を日本郵政から切り離し、
⑤不動産開発事業が評価され、日本の資産市場の環境が好転した時点で株式を売り抜ける、
「出口戦略」が描かれているのではないか。

こうした「売国政策」を阻止しなければならない。まず重要なことは、株価が暴落している現在の状況下で、日本郵政の上場を絶対に認めてはならないことだ。株式市場の環境が好転し、日本郵政の持つ不動産事業の潜在力が明確になるまでは株式を売却するべきでない。

郵便事業会社を切り離す可能性が、万が一にでもあるなら、日本郵政株式の売却は郵政事業会社を切り離した後に延期すべきである。

だが、そもそも巨大な不動産資産を保有し、国がその不動産を保有する必要が無いのなら、日本郵政の株式ではなく、不動産そのものの売却を検討するべきだ。雇用確保の条件の付いた不動産だから価格が低くなるというのなら、不動産は不動産として売却し、雇用対策は別途検討するほうが透明な処理が可能になる。

「かんぽの宿」の雇用確保条件も売却価格を低くするための「隠れ蓑(みの)」であって、長期の正社員雇用を保証するものではなかったのではないか。

「かんぽの宿疑惑」の徹底解明が必要だが、「かんぽの宿」がなぜ「かんぽ生命」ではなく「日本郵政」の帰属とされて、日本郵政から真っ先に売却されるのかも極めて不透明である。「簡易保険」加入者の利益が外部流出している可能性がある。

「郵政民営化」に実態が「郵政利権化」であったことが白日の下に明らかにされる日が近づいている。利権に群がり利権をむさぼった者は断罪されなければならない。

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2009年2月 1日 (日)

フジ「サキヨミ」-「かんぽの宿」疑惑のコメンテーター

フジテレビ番組『サキヨミ』が「かんぽの宿疑惑」を報道した。「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が指摘されたように「サキヨミ」は先般、米国による対日内政干渉文書である「年次規制改革要望書」を特集で取り上げた。マスメディアの行動に微妙な変化の兆しが見えている。

今晩の「サキヨミ」では、300億円近い費用が投入された「ラフレさいたま」の事例、鳥取県の1万円で譲渡され6000万円で転売された「かんぽの宿」の事例が紹介され、さらに1000円で譲渡された社宅が映像を織り交ぜて報道された。

スタジオに戻り、コメンテーターがコメントをしたが、エッセイストの岸本裕紀子氏と長嶋一茂氏が正論を述べたのに対して、元ルイ・ヴィトン・ジャパン社長の藤井清孝氏と時事通信社の田崎史郎氏のコメントは聞くに堪えなかった。

岸本裕紀子氏は、「細かなことはいろいろとあるのだろうけれども、多くの人が大変な思いをしているときに、ごく一部の人だけが不正な利益を手にしているのではないかとの思いを抱かせる「渡り」の問題などと重なって感じられる」といった趣旨の発言を示した。

また、長嶋一茂氏は、「そもそも郵政民営化や規制改革について、小泉元首相-竹中平蔵氏-宮内氏が関わり、その延長上で三井住友銀行から西川氏がこれらの人々によって日本郵政社長に起用された経緯を踏まえると、このような事態は問題が多いと思う。入札の情報が広く一般に知らされていなかったことがそもそも大きな問題なのではないか。雪のなかを一生懸命、郵便物を配る職員がいることを考えても、経営トップにある者は、株式会社形態に転じて間もない時期の行動であることを踏まえて、もっと透明な方法を取らなければならなかったのではないか」といった趣旨の発言を示した。

岸本氏と長嶋氏の発言は見識ある考えを示すものだった。問題の本質をお突いており、一般的に国民が感じる率直な感想も踏まえて的確に語られたと感じる。

これに対して、藤井氏と田崎氏の発言は奇怪極まるものだった。

番組司会者が、「そもそも今回の問題は、オリックスへの一括売却決定の経緯に不透明な部分が存在するところから発生した問題で、入札の方法にまったく問題が無ければ、鳩山総務相が問題提起することも無かった問題だと思います」と説明した上でコメントを求めたのにも関わらず、藤井氏は「入札が公明正大に実施されたことを前提として考えると」と前置きして意見を述べた。

その内容は、「「かんぽの宿」は年間50億円の赤字を計上している。これを100億円で売却する話が流れるのだから、1年後に150億円以上の価格で売却されなければならないし、その価格以上で売却できなければ、背任容疑も生じる」というものだった。

そもそも「入札の経緯に不透明な部分がある」ことが問題にされているのに、「入札が正当に行われたことを前提に」話をするのでは、話にならない。

本ブログで何度も記述し、番組の中で鳩山総務相もコメントしていたが、「かんぽの宿」の赤字を放置することが問題なのだ。「かんぽの宿」は利用者の福祉向上を目的に低料金が設定されていた。また、減価償却費が高いことも収支赤字の一因であると考えられる。黒字化する方策はいくらでも存在する。50億の赤字継続を前提にする計算が「トリックの核心」であるのに、それをそのまま援用するのは、日本郵政の弁解を代弁しているに過ぎない。

「背任」というが、「誰の誰に対する背任」なのか。鳩山総務相が貴重な国民資産の売却に不透明な部分が存在することを問題視し、不透明な部分を明らかにしようとすることは「背任」ではない。「正義」の行動だ。藤井氏の見識が疑われる。というより、藤井氏の背景が透けて見えた。

田崎氏は、「100億円にしか評価されない「かんぽの宿」に2400億円もの資金が投入されたことが問題である。また、発注先に郵政ファミリー企業が多数含まれている。今回の問題は自民党にとってマイナスに作用する」といった趣旨の発言を示した。まったく支離滅裂である。

今回の問題は「100億円が実態に比べて低すぎると判断できること」が出発点に位置する。それを「100億円にしか評価されないことが問題」というのは、100億円の評価が正しいということを前提にした発言だ。

「簡易保険が「かんぽの宿」事業を行う必要があったのかどうか」はまったく別の問題だ。これまでに議論され尽くされてきた問題でもある。年金資金も簡保資金も宿泊施設事業を行ってきたが、その問題点はこれまで指摘され尽くされてきた。問題の存在を否定しないが、今回の問題とはまったく別のテーマである。

田崎氏の発言は、今回の問題の追及を受ける側が、判で押したように示す「論理のすり替え」である。不効率な官僚機構の業務、「天下り」、利権の拡大行動は、別途いくらでも論じればよい。だが、いま問題になっているのは、「郵政民営化」の美名の下に、不透明な利権行動が展開されているとの疑惑が新たに浮上しているという問題なのだ。「他にも問題があること」を指摘するなら理解できるが、109億円での売却にはまったく問題が無く、2400億円を投入したことだけが問題だとする田崎氏の発言には、無理がありすぎる。

実際に、番組では「ラフレさいたま」の時価評価、社宅9施設の実態、1万円で売却された「かんぽの宿」、1000円で売却された社宅の事例について検証が実施されている。「ラフレさいたま」だけで100億円以上の価値があると見なされている。1000円の社宅は420万円の実勢価格があるとされた。 

田崎氏は3000人の雇用確保の条件が付されていると発言したが、「かんぽの宿」の転売制限は2年間に限られていると伝えられている。3000人の終身雇用が条件に付されているのか。詳細が判明していないので断定は出来ないが、終身雇用の保証までは求められていないのではないか。

田崎氏の「自民党にとってマイナスではないか」の発言に、田崎氏の立ち位置が明確に示されていた。

視聴者は「かんぽの宿疑惑」報道を、「自民党にとって有利か不利か」の視点で視聴していない。コメンテーターには、中立公正、正義・正当性の視点からのコメントを求めているのではないか。番組コメンテーターが国民の視点から問題を捉えるのではなく、自民党にとっての得失の視点で思考していることが露(あら)わになり、視聴者は唖然(あぜん)としたと思う。

田崎氏は、鳩山氏が問題究明を進めることについて、「自民党の改革が後退するとの印象を与える可能性が高い」と、鳩山氏の行動を批判すると受け取れる発言を示した。馬鹿なことを言ってもらっては困る。

貴重な国民資産が不透明に、不正に売却されることを防ぐために、所管大臣が問題の徹底解明を求めることが「改革に逆行する」と述べるのなら、そのような「改革」などドブに捨てたほうがましだ。田崎氏はこの発言ひとつで、完全に馬脚を現してしまった。

三宅久之氏と田崎史郎氏のテレビ登場頻度が過去5年間に激増したが、その背後で政治が蠢(うごめ)いた。三宅氏も田崎氏も「小泉一家」に連なる人脈、「小泉一家」によるメディア・コントロールの一環として、テレビメディアに登場したと考えられる。この日のキャスティングでは、藤井氏と田崎氏が「特命」を帯びた出演者だったと考えられる。

田崎氏は硬直した表情で発言していたが、無理筋の発言は見ているだけで痛々しかった。政権交代が実現する場合には、テレビ・新聞のマス・メディア言論空間偏向の深層を徹底的に検証し、総括しなければならない。

「サキヨミ」で「かんぽの宿」問題が大きく取り上げられたことは有益だった。「特命」を帯びたコメンテーターが「火消し」することが番組の狙いだったのかも知れないが、この目的は完全に失敗した。

「Tokyonotes 東京義塾」様がすでに記述されているが、オリックスの筆頭株主に名前を連ねる日本トラスティー信託銀行が日本郵政公社が外部委託する郵貯・簡保機構が保有する債券管理業務をマイナス9.8億円で落札した問題にも、新たに関心が注がれ始めた。

いずれにせよ、「かんぽの宿疑惑」の全容解明が不可欠である。重大な問題が明らかになった以上、日本郵政株式売却については、まずは凍結することが求められる情勢になった。

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2009年1月31日 (土)

「かんぽの宿疑惑」に見る「郵政利権化」の深層

「かんぽの宿疑惑」は小泉竹中政治の基本問題の一端を示す事例であり、この際、徹底的な真相究明が求められる。

小泉竹中政治は、
①「企業の利益=効率」を最優先して、勤労者の生活の安定性を無視する制度変更を強行し、
②「特権官僚の天下り利権」を温存し、
③「民営化」を強行し、国民生活に直結する各種公的サービスを政府や国民の監視外に移設した。

  

「かんぽの宿疑惑」は上記した小泉竹中政治の第三の実績にかかる問題の氷山の一角である。

「かんぽの宿」全国70施設プラス首都圏9箇所の社宅施設が109億円でオリックス不動産に売却されることについて所管大臣である鳩山総務相が疑義を表明したことを契機に、「郵政民営化」に関連する国民資産売却の不透明な実態が明らかになりつつある。

鳩山総務相が不透明な日本郵政資産売却について疑問を提示したことについて、日本経済新聞、朝日新聞は総務相を批判する社説を掲載し、産経新聞は竹中平蔵元総務相の鳩山総務相批判を掲載した。また、日本テレビ系列の幸坊治郎氏なども同様のコメントをテレビ番組で示した。

しかし、本ブログでも記述してきたように、中立公平の視点から見て、鳩山総務相の問題提起は明らかに正当性を有している。

「かんぽの宿」の取得費用は約2400億円に達する。70施設のひとつである「ラフレさいたま」だけでも取得費用は300億円近くに達する。また、首都圏9箇所の社宅施設は土地の時価評価だけで47億円にも達することが明らかにされた。

日本郵政や竹中平蔵氏は、
①オリックスへの一括譲渡が2度にわたる入札結果として決定されたこと、
②政府の「財産評価委員会」による資産評価において「かんぽの宿」70施設の評価が142億円とされ、負債金額49億円を差し引いた純資産金額が93億円とされており、109億円の売却価格は適正である、

と反論している。

しかし、日本郵政の説明によると、入札情報は昨年4月1日に日本郵政HPに掲載され、5月15日に参加表明応募を締め切ったとのことだ。問題は、この告知がどのような形態で、どれだけの期間なされたのかだ。

日本郵政株式100%が政府に保有されており、現段階で日本郵政は完全な国有会社である。したがって日本郵政が売却しようとしている「かんぽの宿」は純然たる国有財産=国民資産である。

その売却にあたっては、国民に不利益を与えぬよう、最大限、高価格で販売されるように最善を尽くす必要がある。HPページに告知して、入札を実施したとしても、情報が広く行き渡り、多数の企業が入札に参加しなければ、適正な価格で売却することはできない。

銀行が保有する担保不動産を売却する場合でも、「競売」の形態を取りながら、実態としては「出来レース」で特定の買い手に資産が売却される事例は多数存在する。このような場合では、特定の顧客に利益を提供する目的で、「出来レース」の資産売却が実行されることが多い。

総務相が「入札の経緯」を精査したいとするのは当然のことだ。貴重な国民資産を売却するのであるから、少なくとも入札情報を広く告知することは不可欠である。日本郵政は巨額の費用を投入してテレビなどでの広告活動を展開している。テレビCMでの入札情報の告知は効果的であると考えられるが、そのような企業努力を注いだのかも検証されなければならない。

一方、日本郵政は政府の財産評価委員会による資産評価金額を売却価格算定の根拠とする説明を示しているが、財産評価委員会は事業の収益性を基準にした資産評価を示しただけではないのか。

売却条件に、利用料金や賃金条件などを含めて現状の事業形態を永遠に維持することを義務付けているのであれば、売却価格の基準に財産評価委員会の資産評価額を利用することも一案であると考えられる。

しかし、売却条件には再譲渡制限の期間が2年しか付されていないとのことだ。2年後には資産が売却される可能性すら存在する。

旧日本郵政公社が2007年3月に売却した鳥取県岩美町の「かんぽの宿」が土地代を含めて東京の不動産開発会社に1万円で売却され、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で売却されたことが明らかにされた。

 1万円で「かんぽの宿」を取得した東京の不動産開発会社はまさに「濡れ手に粟」の暴利を得たことになる。事業運営収支が赤字であることを根拠に、資産評価が「ゼロ」と査定されていたのではないか。査定が「ゼロ」だから、1万円で売却することが正当であると曲解したのではないか。

事業評価をベースにした資産価値評価が1万円だからと言って、売却する際の基準価格が1万円にはならないのである。

6000万円で売却できる資産を1万円で売却したなら、商法会社であれば「特別背任」の疑いさえ発生する。

竹中平蔵氏は産経新聞およびネット上で繰り返し稚拙な反論を提示しているが、その主張の中心は、
①「かんぽの宿」は年間40億円の赤字を生み出す「不良債権」である、
②日本郵政の事業における経営判断は民間に委ねるべきで、政治が介入するのは根本的に誤っている、
というものだ。

しかし、本ブログ記述し、鳩山総務相も発言したように、事業の赤字は料金設定などに大きな原因がある。減価償却費が過大に計上されている可能性もある。

事業収支だけを基準に売却価格が計算されるなら、事業に供されていない社宅の価値は「ゼロ」近辺となってしまう。「経済学」等の基礎知識を保持しているのかが極めて疑わしくなってしまう。

また、「政治が介入することは根本的に誤っている」との竹中氏の主張そのものが「根本的に誤っている」。

「かんぽの宿」は純然たる国有財産であり、その売却が適正に行われるように監視することは所管官庁、所管大臣、国会の責務である。竹中氏は「郵政民営化」関連法が成立したら、国民資産を好き勝手に、不透明で処理して良いとでも考えているのだろうか。

「かんぽの宿」1施設を1万円で売却することが適正であるとするなら、麻生内閣が実施しようとしている「定額給付金」を一人12,000円ではなく、すべての国民に、「かんぽの宿」1施設を提供してはどうか。「かんぽの宿」1施設は常識で考えて1万円以上の価値を有する。

全国紙では中日新聞(東京新聞)が社説で「かんぽの宿譲渡の不透明さ晴らせ」の論評を掲載した。日本郵政の「かんぽの宿」一括譲渡決定過程が不透明であるとの正論を示している。

産経新聞は1月31日「主張」で、「かんぽの宿日本郵政は情報開示せよ」と題する論評を掲載したが、偏向報道姿勢は是正されていない。

産経新聞は以下のように主張する。
「2400億円は長年にわたる取得額の累計である。建物の老朽化や土地の値下がり、年間50億円近くもの赤字を生み出す事業であることを織り込んだ現時点での評価額93億円と比較する議論は乱暴といえる。むしろ2400億円の責任は、採算を度外視して建設費用を投資してきた歴代の郵政公社幹部や、それを許してきた政治家に求められるべきだろう。」

この記事の表現は誤解を招くものである。1月28日に社民党と国民新党が実施した日本郵政に対するヒアリングにおける2400億円に含まれる建設費について、保坂展人氏次のように記述している。

「ヒアリングでは、譲渡対象施設のかんぽの宿+社宅+ラフレさいたまの取得原価が明らかになった。土地が2948千万円、建物が21074千万円、合計で24022千万円だという。ただし、建物は老朽化した施設を建て直した場合には、新たな建物だけの価格だとした。」

つまり、2400億円には老朽化して立て直された古い建物の建設費は含まれていないのである。現存する施設の建設費用だけが計上されているのが2400億円の意味であり、産経新聞の記述は誤りに近い。また、上記産経新聞記事の後半は問題のすり替えである。

産経新聞は、「鳩山氏側も、独自の鑑定結果を早急に提示すべきだろう」と記述して、鳩山氏側の責任を強調するが、現段階では、まず日本郵政が完全な情報開示することが求められるのであり、鳩山氏の責任を追及するのは筋違いだ。

こうしたなかで、適切な論評を掲示したのが北海道新聞である。北海道新聞は1月31日社説で、「かんぽの宿白紙に戻し見直しては」と題する論評を掲載した。同紙は記事のなかで次のように指摘する。

「問いたいのは、国民の目の届くところで事業譲渡が行われているかだ。日本郵政は施設ごとの資産評価額や入札参加企業などを公表していない。これでは譲渡が適正だったか、判断しようがない。

 検討委では譲渡のあり方を論議するが、入札過程の検証までは踏み込まないという。 」

  
「一時凍結ということではなく、売却をいったん白紙に戻してはどうか。経緯や資産価値を洗い直し、国民の理解を得る必要がある。」

 これが正論である。日本郵政は検討委員会を設置して譲渡のあり方を論議すると言うが、入札過程の検証を行わないとしている。

 問題は入札過程の不透明性にある。この不透明性を明らかにすることで、問題の本質が初めて見えてくる。鳥取県および鹿児島県の1万円落札を含むこれまでの資産売却についても、徹底的な検証が求められる。

 日本郵政はマンション用地の販売も進めているが、「利益を生んでいない社宅用地」が不当廉売されていないかも検証の対象になる。

 「郵政民営化」の真相は「郵政利権化」であったとの疑いが日増しに増大している。国会は「かんぽの宿疑惑」を徹底検証しなければならない。また、日経新聞、朝日新聞、産経新聞は「過ちて改むるに憚ること勿れ」である。

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2009年1月30日 (金)

「かんぽの宿疑惑」を報道しないワイドショーの偏向

「かんぽの宿疑惑」はますます拡大し、ついに日本郵政の西川善文社長がオリックスへの一括譲渡方針を凍結することを表明した。オリックスへの「かんぽの宿」売却が公明正大に正当で最適な方法で決定されたのであれば、日本郵政は関係情報を全面開示して、所管の総務省の了解を取り付けるために全力をあげて行動するはずである。

所管大臣である総務相に十分な資料開示も行わないままに、一括譲渡方針の凍結を発表したことが、売却先決定の後ろ暗さを示唆している。

日本郵政は売却価格が「政府の財産評価委員会の評価額に近く問題ない」としているが、そもそも財産評価委員会の評価額が適正であるのかについての吟味が欠けている。

「かんぽの宿」についての政府の評価額算定では、試算評価額142億円に対して負債が49億円あることから純資産額を93億円としている。オリックスへの売却価格は109億円で、この純資産額93億円を上回っているから問題がないとするのだが、109億円と93億円が極めて近接した金額であることも見落とせない。

政府の資産評価額は収益還元法から算出されたものであると考えられるが、売却条件における再譲渡制限は2年間でしかないとのことだ。2年経過すれば売却されることは排除されていないのではないか。雇用確保が条件とされているとのことだが、雇用についても2年以上の雇用継続が確約されているのだろうか。

売却対象は不動産であり、売却価格算出の最大の根拠が物件そのものの時価評価であるべきことは当然だ。2400億円の費用を投入した物件の売却価格が109億円であることについて、「不当に安い」との判断が生まれるのは極めて常識的である。

この「直感」から出発し、入札にかかる経緯を詳細に精査しようとする総務相の行動は、貴重な国民資産の売却という、国民の利益に直結する問題であるだけに、賞賛されても批判される理由は存在しない。入札にかかる経緯を詳細に精査したうえで、一点の曇りも存在しないことが明らかになれば、その時点で売却にゴーサインを出せば良いだけだ。

日本郵政は現状では株式を100%政府が保有する完全な国有会社である。ということは、日本郵政が売却しようとしている「かんぽの宿」資産は紛れもない国民資産である。国民資産の売却が不透明に実行されることが許されるはずがない。詳細を再調査したいとする総務相に対して向きになって竹中氏がなぜ稚拙な反論繰り返すのか。竹中氏の不自然な行動に焦点が当たることになるだろう。

日本郵政は「入札を実施した」との形式ばかりを強調するが、問題は形式ではない。入札情報が広く一般に告知されていなければ、「実質的には」ごく一部の関係者だけで情報が共有され、広く一般に情報が行き渡る前に売却にかかるプロセスが進行した可能性がある。

オリックスの購入金額109億円が、日本郵政内部の純資産算定金額93億円をわずかに上回る水準に設定されていることが、まず注目される。公共事業における「談合」が摘発される際、その重要な状況証拠として、落札価格が最低落札価格を小幅上回っていることが指摘される。この金額は、オリックスが事前に日本郵政内部の純資産算定金額を知っていた可能性を示唆するものである。仮にその疑惑が表面化すれば、問題は「道義」の問題から「刑事」の問題に発展する。

また、日本の銀行が不良債権処理を進展させた際に、外資系の不良債権処理業者が「濡れ手に粟」の巨大利益を獲得した経緯と、今回の売却と通じる部分がある。

銀行が不良債権について、銀行内部で貸し倒れ引当金を積み立てて、不良債権の償却を終えてしまうと、銀行は償却後の不良債権評価額以下で不良債権を売却しても追加損失を計上せずに済む。例えば2400億円の債権があったとしよう。ところがこの債権が不良債権化して、銀行が評価額を90億円に修正してしまう。2310億円の損失処理を済ませてしまうのだ。

こうなると、銀行はこの2400億円の簿価の不良債権を90億円以上の価格で売却すれば利益を計上できる。銀行が不良債権を束にして内部で償却し、不良債権処理業者にこの不良債権を90億円+αで売却したとしよう。

外資系の不良債権処理業者はこの束になった不良債権を例えば109億円で買い取り、それぞれ形を整えて、市場で売却する。109億円で買い取った不良債権=担保不動産を例えば500億円で売却できれば差し引き約400億円の利益を懐にすることが出来る。

私は日本で外資系の不良債権処理業者を立ち上げた人物から直接事例を聞いているので、この事業が極めて収益性の高い事業であることを知っている。

企業が財務会計あるいは税務会計上の要請から資産の時価評価を行うことと、資産を売却する際に売却価格を算定する根拠となる基準価格を算定することは、まったく別の事項である。

日本郵政が財務会計上の要請から「かんぽの宿」の時価評価を93億円と算定し、それをそのまま資産売却の基準価格に設定したのなら、その行動は適正でない。日本郵政がこの程度の知識で経営を行っているとしたら、これは国民に対する背信行為になる。経営者を直ちに交代させる必要がある。

日本郵政は株式会社形態に事業運営の形態が変更されたが、現段階では日本政府が株式を100%保有する純然たる国有企業である。貴重な国民資産の売却にかかる事項は、当然、所管大臣、所管官庁、ならびに国会が厳しく監視しなければならない。

日本経済新聞、朝日新聞が総務相批判の社説を掲載し、また産経新聞は竹中平蔵氏の稚拙な反論を掲載した。

①2400億円を投入した国民資産が109億円で売却されようとしていること
②「ラフレさいたま」1施設だけで300億円近い資金が投入されていること
③首都圏9箇所の社宅施設も売却物件に潜り込ませられており、その時価評価だけで47億円にも達すること
などを踏まえれば、オリックスへの109億円での売却方針決定が極めて不透明であることは、誰の目にも明らかである。

 こうしたなかで、さらに驚くべき事実が明らかになった。2007年3月に旧日本郵政公社が売却した鳥取県岩美町の「かんぽの宿」が土地代を含めて東京の不動産開発会社に1万円で売却され、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で売却されたことが明らかにされた。

 これが日本郵政の「かんぽの宿」売却の実態である。

 この問題は、テレビの報道番組が飛びつくべき話題である。日本郵政は100%政府出資の国有企業である。「かんぽの宿」は紛れもない日本国民の貴重な資産である。その貴重な国民資産が、小泉竹中政治と密接な関わりを持ってきた人物が率いる企業に破格の安値で売却される。

 2400億円の資金が投入された全国の70施設に47億円の時価の社宅が付け加えられた物件が、たったの109億円で売却される。「ラフレさいたま」は単独で300億円もの資金が投入されている。その映像など、テレビ番組のために用意されたものと言っても良いほどだ。

 そこに鳥取と鹿児島で1万円売却のニュースが浮上し、鳥取の施設は売却の半年後に6000万円で転売されていたことが明らかになった。

 まさに格好の「ワイドショーねた」である。「わたしのしごと館」を繰り返し報道したように「ラフレさいたま」が実況放送されるのが自然の成り行きだろう。

 ところが、テレビ朝日もテレビ東京も、日本テレビなどは、問題を大きく取り上げない。

 マスメディアは昨年なかばから、「偽装CHANGE集団」に報道の焦点を合わせている。現在は渡辺喜美氏がその中心に位置する。日本経済崩壊の第一級戦犯の竹中平蔵氏に対して、異常なまでの反論機会提供の偏向報道も展開されている。

小泉元首相-中川秀直氏-渡辺喜美氏-竹中平蔵氏-高橋洋一氏-江田憲司氏-田原総一郎氏-屋山太郎氏-三宅久之氏-北野武氏-テリー伊藤氏などが連携して、「偽装CHANGE集団」を形成している。

「偽装CHANGE集団」への偏向報道と「かんぽの宿疑惑報道」とでは、報道の方向が逆行してしまう。これが、「かんぽの宿疑惑報道」が著しく抑圧されている理由だろう。朝日、日経などの報道姿勢も著しく偏向している。

中日新聞(東京新聞)が全国紙で初めて妥当な論説記事を掲載した。「偽装CHANGE報道」と「かんぽの宿疑惑報道」の偏向した対照に注目する必要がある。

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2009年1月29日 (木)

「かんぽの宿疑惑」竹中平蔵氏の稚拙な反論Ⅱ

Photo_3 「かんぽの宿疑惑」について、1月19日付産経新聞が掲載した竹中平蔵氏による稚拙な反論に対して、鳩山総務相が1月20日の閣議後記者会見で反論した。竹中平蔵氏は鳩山総務相の反論に対して1月27日に再反論した。しかし、その内容は1月19日の主張の繰り返しで、反論としての体をなしていない。

竹中氏は
①「かんぽの宿」は日本郵政の「不良債権」であり、資産処分等の経営判断については、民間の経営者に任せるべきだ、
②宮内氏は「2003年以降の」郵政民営化論議には関わっておらず、正式な売却の手順に従ってオリックスが「かんぽの宿」一括譲渡の決定を受けたのであり、「出来レース」の批判は妥当でない、
と主張する。

まず、竹中氏は「かんぽの宿」を「不良債権」と表現するが、「かんぽの宿」は「不良債権」ではない。全国70箇所の「かんぽの宿」は、全国の風光明媚な優良な観光地に立地する豪華な宿泊施設である。「かんぽ」はこの70箇所の施設を2400億円の資金を投入して入手した。

70施設に含まれる埼玉県の「ラフレさいたま」だけでも、用地費と建設費用は合計で278億円に達する。用度品を加えれば300億円の巨費が投入されている。

社民党の保坂展人議員がブログに「ラフレさいたま」の写真を掲載くださったが、豪華絢爛(けんらん)な施設は、いまも十分、利用に堪え得るものである。

週刊誌報道によれば、一括売却には70箇所の「かんぽの宿」に加えて、首都圏の9箇所の社宅施設が含まれているとのことだ。この9箇所の社宅施設だけでも、土地代のみの時価評価が47億円にも達するとのことだ。

これらの全施設がわずか109億円の安値で売却されることに対して、疑問を抱かぬことの方が、はるかに不自然である。竹中氏は「かんぽの宿」が年間50億円の赤字を計上していることをもって「不良債権」と表現しているが、赤字の大きな原因は、減価償却費が大きいことにもあると考えられる。

取得費用が2400億円にも達することが巨大な減価償却負担を生んでいるのではないか。減価償却費用を差し引いた収支でどの程度の赤字が生まれているのかを見なければ、適正な判断は不可能である。竹中氏は企業経営のこのような初歩的な知識さえ保持していないのではないかと推察される。

減価償却費を差し引いてもなお赤字であるのは、利用料金が低く設定されているか、業務にかかる経常費用が過大になっていることが原因と考えられる。もともと「かんぽの宿」は福祉向上を通じる利用者への利益還元を目的に創設されたものである。その目的を満たすことから利用料金が低く設定されている。収支を改善するための利用料金の見直しや経常費用見直しを実行すれば、「かんぽの宿」の赤字を日本郵政が保有している期間に圧縮することも可能であるはずだ。

「かんぽの宿」は断じて「不良債権」でない。きわめて貴重な、巨額の国民資金が投入された創設された資産である。したがってその売却に際しては、当該資産が適正な価格で売却され、国民に不利益を与えないように、最大の努力を注ぐことが強く求められる。

NTTやJRの民営化に際して株式を民間に売却する際、国民に対して十分な時間を確保し、情報を十分に提供して株式売却が実施されたはずだ。また、売却時期についても、市場環境を勘案して、株価が不当に低く設定される局面では株式売却が延期されたこともあった。

貴重な国民資産を売却するのであるから、国民の不利益が発生しないように、万全の対応が取られることは当然である。その当然の対応を日本郵政が取っていない可能性が存在することが問題とされているのだ。

巨大な資産価値を持つ「かんぽの宿」および「9箇所の社宅施設」が合計109億円で売却されるのは、常識的な判断基準に照らして、あまりにも不自然である。ここに問題が顕在化した原点がある。

竹中氏は「資産処分等の経営判断については民間の経営に委ねるべきだ」と主張するが、日本郵政は民間企業ではない。100%の株式を日本政府が保有する歴然たる国有企業なのである。この国有企業の資産売却について、所管大臣が疑義を差しはさむことは当然であるし、国会が問題として取り上げることも当然だ。

巨大な資産価値を保有する貴重な国民資産が不当に低い価格で、規制改革に関与した人物が代表を務める企業に払い下げられようとしているから、問題が顕在化している。

①問題となっている「オリックス」が株式の過半を外国人が保有する外国企業であること、
②「かんぽの宿」売却についてメリルリンチ日本証券がアドバイザーとして選定されていること、
③オリックス会長の宮内義彦氏が総合規制改革会議議長を務めた経歴を有し、「規制改革は最大のビジネスチャンス」を持論としていると伝えられ、『小泉改革を利権にした男』と題する著書が出版されてもいる。宮内氏が会長を務めるオリックスが一括譲渡の売却先に選定されたこと、
を踏まえて、所管大臣が譲渡方法の選択や入札の詳細を精査しようとすることは、順当である。

 1月22日付記事にも記述したが、形式上は「競争入札」の形態が取られたとしても、入札情報が十分に広く告知されず、実質的に「出来レース」であったとの疑惑を払拭できないのだ。

 メリルリンチ証券とオリックスとの関係、オリックスに対する支配権を有しているとされる米国の投資ファンド・サーベラスとメリルリンチ日本証券の関係など、チェックしなければならない事項は多い。

 重要なことは、国民の貴重な資産を売却するのであるから、情報が広く公開され、透明性の高い方法で売却が実施されることなのである。竹中氏は形式論だけを主張し、国民の利益を極大化するために不可欠な論点を素通りしている。

 向きになって稚拙な反論を繰り返すことが疑惑をさらに強めていることに竹中氏は気付いていないのだろうか。日本郵政の資産売却には、不自然で不透明な部分があまりにも多い。マンション用地の売却についても再調査が必要になった。竹中氏は自らパンドラの箱を開けて墓穴を掘りつつあるのではないかと推察される。

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「かんぽの宿疑惑」渦(うず)中の日本郵政の実態

「かんぽの宿疑惑」が拡大している。本ブログでは
1月10日「「オリックスーかんぽの宿」疑惑の徹底検証が不可欠」
1月19日「「かんぽの宿」疑惑-竹中平蔵氏の稚拙な反論」
1月22日「「かんぽの宿疑惑」と「小泉竹中政治研究-その金脈と人脈」」
でこの問題を取り上げた。

社会民主党衆議院議員の保坂展人氏がブログでこの問題を取り上げ、国会でも疑惑を追及している。

1月26日記事で保坂氏が明らかにした、「かんぽの宿」入札経過は以下の通りである。(以下の部分は保坂氏のブログからの引用)

  

200841日~15日 譲渡候補先の応募についてホームページで告知(募集要項を配付)

  

2008
515日 入札参加表明応募を締め切り。27社が応募。
(
)27社の内訳大手不動産会社5社 国内投資ファンド3社 ホテル運営会社5社 その他 レストラン運営等4社 海外投資ファンド10

  

2008
5月中旬~620日 応募者(27)について、その信用力、ホテル運営実績等の予備審査を行い、第1次提案参加者を決定(22)22社にはかんぽの宿等事業に関する資料を配付。

  

2008
815日 第1次提案を締め切り、7社が応募(15社は辞退)

  

2008
8月中旬~827 7社の提案について、取得後の事業戦略、取得価格、従事する社員の取扱い等の審査を行い、3社によるデューディリジェンス実施。

  

2008
1031日 第2次提案を締め切り。2社が応募(1社は辞退)

  

2008
11月上旬~129 2社の提案について、事業の継続・発展性、譲渡対価、社員の雇用確保等の内容を慎重に審査し、オリックス不動産株式会社を最終審査通過者に決定。

  

2008
12月中旬~12月下旬 その後、同社と契約の詳細について交渉。

  

2008
1226日 権利義務の包括承継等円滑な譲渡遂行の観点から会社分割(新設分割スキーム)を採用したため、総務大臣認可を条件として1226日の取締役会決議を経て、オリックス不動産株式会社と株式譲渡契約を締結。

 

(ここまで引用)

三つの問題を改めて提示しておく。

第一は、ホームページ上の入札公告が、広く国内に入札情報を伝達するのに十分であったのかどうかだ。

第二は、日本郵政がメリルリンチ日本証券とアドバイザリー契約を締結し、メリルリンチ日本証券が「一括譲渡」を「絶対条件」としたというが、この判断が適正であったのかどうかだ。また、メリルリンチとアドバイザリー契約を締結する必要があったのか。

第三は、売却予定の「かんぽの宿」70施設および付帯する9箇所の社宅施設の売却価格として109億円が適正であったのかどうかだ。入札に際して最低落札価格を設定しておく必要があったのではないかという点だ。

日本郵政は第一次入札の応募企業27社に対して予備審査を実施して入札参加資格のある企業を22社に絞り込んだが、実際に入札に参加したのは7社だった。27社が7社に減少した経緯が明らかにされなければならない。

第一次入札企業に対して日本郵政が審査を行い、第2次入札企業を3社に絞込み、最終的に2次入札に参加したのは2社だったとのことだが、この間の経緯も明らかにされなければならない。

民主党が日本郵政に対して求めた資料から、「かんぽの宿」70施設の取得費用は用地代が295億円、建設費が2107億円であることが明らかになった。用地費と建設費だけで2400億円の費用が投入されている。備品代を含めると投入金額はさらに拡大する。また、70施設以外に9箇所の社宅施設が払い下げられる予定だが、こちらは土地の時価評価だけで47億円に達すると見られている。

日本郵政の前身である日本郵政公社が、すでに2006から07年にかけて、建設費約311億円をかけた「かんぽの宿」15箇所を計約13億円で売却したことも明らかにされた。このうち鹿児島県指宿市と鳥取県岩美町の「かんぽの宿」はそれぞれ1万円で売られていた。

1万円売却は明らかに「利権付き売却」である。「郵政民営化」の実態の一端を垣間見せる事例である。

「郵政民営化」の方針に沿って、郵政事業が株式会社形態での運営に移行した。この株式会社の株式が民間に売却され、郵政事業の権限が民間に移行することが「民営化」であるが、現段階では日本郵政の株式は100%政府保有であり、郵政事業は完全な国営事業である。

「民営化」とは何を意味するのか。「民営化」されてしまえば、今回の「かんぽの宿」売却のような「不透明極まりない取引」が、「民間会社の経営権に属すること」として、国民の監視が届かなくなる。現に竹中平蔵氏などは、100%国営の現状においてさえ、保有資産売却は「経営判断」に属することであり、「経営判断に政治が介入することは根本的に誤っている」と嘯(うそぶ)いている。

ここに、「民営化」の真の狙いが露見(ろけん)している。「民営化」は日本国民の貴重な優良資産が、特定の個人や資本の「私的な利益」追求の目的のために蹂躙(じゅうりん)されることを意味する。

幸いなことに、政府が100%の株式を保有している間に、悪事が露見した。2400億円の資金を投入した優良な国民資産が109億円で特定の資本に払い下げられることを、まずは白紙に戻す必要がある。

オリックスの発行済み株式の57.6%は外国人投資家が保有している。オリックスは「外国資本企業」なのである。

日本長期信用銀行が米国の投資ファンドである「リップウッド・ホールディングス」に、たったの10億円で払い下げられたとき、政府はゴールドマン・サックス証券とアドバイザリー契約を結び、ゴールドマンのアドバイスによって長銀をリップルに売却した。

しかし、契約には「瑕疵(かし)担保特約」の毒薬が仕込まれており、日本政府は一番札でないリップルの入れた札を落とした。この問題についての責任処理もなされていない。

そもそも、日本国民の貴重な資産を売却するのに際して、十分な広報活動が行われていないことが問題である。「かんぽの宿」は全国の優良な観光地に立地しており、地元資本に適切な価格で払い下げられれば、それぞれの地域振興に役立てることが可能になる。

「かんぽの宿」事業が赤字というが、原価償却費が高く設定されている面も影響していると考えられ、利用料金の見直しや、業務の効率化を実施すれば、黒字化することは十分に可能であると考えられる。

企業の保養施設を利用して低料金で宿泊サービスを提供する民間事業者も存在する。不動産事業に対する事業資金融資環境が激烈に悪化している環境を踏まえれば、拙速に売却することは合理的でないし、売却物件をいくつかの地域に分割することも検討されるべきである。少なくとも、物件売却情報を広く告知すれば、より多数の優良事業者が入札に名乗りを上げるはずだ。入札情報の告知から応募締め切りまでの期間が短すぎるのが「出来レース」疑惑を裏付けている。

日本郵政が保有する資産は、紛れもない日本国民の共有財産であるとの基本が改めて確認されなければならない。日本郵政が入札経過の詳細な情報を国会や政府に提出しないのは言語道断である。

国会は国政調査権を活用して、詳細情報の全面的な開示を日本郵政に求める必要がある。また、関係者を国会に参考人として招致して、疑わしい点を糾(ただ)す必要がある。

「郵政民営化」全体が外国資本と結託した売国勢力による「利権政策」であったとの重大な疑惑が存在する。「かんぽの宿疑惑」を突破口にして、「郵政民営化利権」の全容を解明し、国民の利益を外国資本に流出させる「郵政民営化」に「待った」をかける必要がある。

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2009年1月19日 (月)

「かんぽの宿」疑惑-竹中平蔵氏の稚拙な反論

Photo 日本郵政によるオリックスに対する「かんぽの宿」一括譲渡問題は「郵政民営化」の本質に関わる重大性を帯びている。私は1月10日付記事「「オリックスーかんぽの宿」疑惑の徹底検証が不可欠」でこの問題を取り上げた。

この問題に、「郵政民営化」の本尊の一人である竹中平蔵元総務相参戦した。竹中氏は1月18日放送のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」にも出演し、「市場原理主義」のもたらした経済の荒廃について必死の弁明を展開したが、まったく説得力のある説明を示すことができなかった。

竹中氏は
①「かんぽの宿」は毎年50億円の赤字を生み出す「不良債権」であり、早期売却は適正である。「民営化は民間の判断に任せることであり、経営判断の問題に政治が口出しすること、しかも機会費用の概念を理解しない政治家が介入することは、根本的に誤っている」。
②宮内氏は郵政民営化の論議には直接関わっておらず、「民間人が政策過程にかかわったからその資産売却などにかかわれない、という論理そのものに重大な問題がある」。
と主張する。

竹中氏の主張を読む限り、竹中氏が企業経営や経済学の基礎知識を持っているのかが極めて疑わしくなる。

「かんぽの宿」が毎年50億円の赤字を計上していると言うが、その理由は単純である。「かんぽの宿」の年間収入が年間支出を上回っているからだ。年間収入は「かんぽの宿」の利用者が支払う料金である。年間支出に減価償却費が過大に計上されている可能性もある。

保坂展人氏がブログ記事「「かんぽの宿」叩き売りを見逃せない」で指摘されているように、「かんぽの宿」は旧簡易保険法101条の規定に基づいて、「加入者の福祉を増進するために」創設されたものである。最終的に巨大な損失を生むことになった宿泊施設事業を簡易保険が手がけたことは間違いであったと考えるが、こうした経緯で生まれた「かんぽの宿」は赤字を生み出す低料金で「宿泊サービス」を提供してきたわけだ。

つまり「かんぽの宿」は「赤字出血サービス価格」の料金設定をしているから赤字を計上しているのである。竹中氏は、この施設を民間業者が買い取り、まったく同条件で事業を営めるとでも考えるのだろうか。民間事業者が施設を買い取った後は、事業が赤字を生み出さないように事業内容を見直すはずである。まさか施設を一括譲渡する条件に、「毎年50億円の赤字を今後も計上し続ける」との規定が設けられているとは考えられない。

現行の事業運営体制と料金体系を維持する場合に50億円の赤字が生まれるのであって、民間事業者が施設を購入すれば、料金体系などを見直して、事業の黒字化を図ることは間違いない。かんぽ会社がそのような事業見直しを実施すれば、赤字を解消することは不可能ではない。

施設売却の条件に雇用の確保義務が盛り込まれていると言うが、具体的内容が明らかでない。労働条件が完全に継続されるのか。また、雇用確保義務を負う期間は何年なのか。

竹中氏は「民営化は民間の判断にまかせること」だとするが、かんぽ会社は現状ではまだ民営化されていない。経営形態が株式会社形態に移行しただけである。政府保有株式が民間に完全に売却された段階で「民営化」が成立する。「民営化」されてしまえば、国民の貴重な資産が完全に「私的に」好きなように処分されてしまう。

「民営化」される前に、貴重な国民資産が「私的に」不透明に処分されることは許されないのである。この意味で、このようないかがわしい取引が実行に移される前に、国会の場で問題として取り上げられたことは、極めて意義深いことである。

現段階では「かんぽ会社」は民営化されていない。株式は100%政府が保有している、「正真正銘の」国有資産である。国有資産であるかんぽ会社の資産売却について、政府、国会、国民が、正当で透明な処理を求めるのは当然のことである。国会や内閣の閣僚が、国民資産の売却について、疑惑を解明しようとするのは当然の行動であり、こうした行動を批判するのは、売却決定のプロセスに重大な問題が存在したことを推察するようなものである。

オリックスの宮内義彦会長は小泉内閣の総合規制改革会議議長を務めた人物で、郵政民営化推進論者の一人でもあった。

総合規制改革会議は労働市場、医療など重点6分野の規制緩和を提言した。現在問題になっている派遣労働の自由化を推進した主力機関でもあった。

総合規制改革会議には宮内氏が会長を務めるオリックスと関わりの深い企業幹部が委員に名を連ねた。政府が推進した派遣労働拡大と密接な利害関係を有する企業経営者が会議のメンバーに数多く名前を連ねること自体、小泉構造改革の「利権体質」を雄弁に物語っている。

データ・マックス社が提供するサイト情報
「かんぽの宿」譲渡問題でオリックスにブーイングの嵐(上)(下)」が
、宮内氏のオリックスと小泉竹中政権が推進した規制緩和政策との関わりの一端を紹介している。1月10日付記事ではオリックスの保険事業と規制緩和政策および郵政民営化事業との関わりについて触れたが、上記サイト記事は

「宮内氏が享受する改革利権は、3つに分かれる。1つは、本業である金融部門の規制緩和による改革利権。2つは、行政に保護された統制経済の規制緩和による改革利権。ターゲットは農業・医療・教育の分野。3つは官業開放による改革利権である」と記述する。

竹中氏の反論と比較すると、はるかに大きな説得力を持つ説明である。村上ファンドもオリックスが出資母体であった。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に執筆したように村上ファンドへの出資者リストは検察が情報を隠蔽(いんぺい)したが、出資者リストを改めてチェックする必要もあると考えられる。

「かんぽの宿」70施設の一括譲渡価格が108億円というのは、いかにも安すぎる。現状では「かんぽの宿」は紛れもない国民資産である。「かんぽ資金」はかんぽ加入者の有償資金であり、利害関係者の利益を損なうような、不透明な資産売却は排除されなければならない。旧長銀がリップルウッド社に払い下げられたときも、形式的には入札が行われた。しかし、瑕疵(かし)担保特約まで含めると、リップルウッド社は日本政府にとって、最も有利な払い下げ先ではなかったはずだ。

一連の資産売却は明治の「官業払下げ」に通じるものがある。「官業払下げ」を取り仕切ったのは「悪徳政治屋」と「政商」である。いずれも、「公」の利益ではなく、「私」の利益を優先した。

「郵政民営化」全体が「現代版官業払下げ」の性格を強く有していると評価できる。竹中氏は「不動産事業」そのものを全面否定しているが、「日本郵政」は「不動産事業」に本格進出する行動を示しているのではないか。

「かんぽの宿」一括譲渡で見落とせない点は、雇用維持などの条件を付けることによって、破格の安値での政府資産売却が強行されようとしていることだ。「郵政」や「かんぽ」の株式売却などにおいても、株式売却当初のみ、さまざまな「付帯条件」が付けられる可能性が高い。「雇用維持」や「特定郵便局維持」などの条件の詳細が決定的に重要である。「期間についての規定」も重大な意味を持つ。瑕疵担保特約と同様に、付帯条件が付くことによって、入札が極めて不透明になっている可能性がある。

また、「付帯条件」が付せられているために、日本郵政株式が売却される際も、株式が安値で放出される可能性がある。株式を買い集めた外国資本などが経営権を取得した時点で、さまざまな制約を解き放して、巨大な利益を収奪する恐れが高い。「民営化」がこうした「利益動機」によって推進されている可能性が濃厚である。オリックスの発行済み株式の57.6%は外国人投資家が保有している。オリックスが外国企業であることも念頭に入れなければならない。

まずは、国会で「かんぽの宿-オリックス一括譲渡疑惑」の全容を解明する必要がある。入札および落札の最終責任者が誰だったのか。また、入札条件の詳細などについて、国会の国政調査権を活用して事実関係を明らかにする必要がある。その上で問題があれば、関係者を参考人として招致して適正な処理方法を再考しなければならない。

 

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2009年1月10日 (土)

「オリックス-かんぽの宿」疑惑の徹底検証が不可欠

鳩山邦夫総務相が日本郵政によるオリックスに対する「かんぽの宿」一括譲渡に待ったをかけた。

問題は「かんぽの宿」だけの問題ではない。「郵政民営化」の本質に関わる重大さを帯びている。すでに「晴天とら日和」様も詳しく紹介してくだっさっている。

オリックスの宮内義彦会長は小泉内閣の総合規制改革会議議長を務めた人物で、郵政民営化推進論者の一人でもあった。

総合規制改革会議では労働市場、医療など重点6分野の規制緩和提言が示された。現在問題になっている派遣労働の自由化を推進した主力機関でもあった。

オリックスの宮内氏が会議議長を務めたほか、株式会社ザ・アール代表取締役社長の奥谷禮子氏、八代尚宏氏、株式会社リクルート代表取締役兼CEOの河野栄子氏も委員に名を連ねた。

「わんわんらっぱー」様によると、オリックスは株式会社ザ・アールの第2位の株主であり、株式会社リクルートはザ・アールの取引先であることが、衆議院厚生労働委員会で問題にされたこともあったとのことである。

医療における混合診療の解禁は、公的医療保険でカバーできない医療行為を解禁する規制緩和である。病気になったときに十分な医療を受けるためには巨額の費用がかかる。国民は疾病への備えとして、民間の医療保険商品を購入せざるを得なくなる。

米国が日本に対して突きつける内政干渉の公文書である悪名高い「規制改革年次要望書」の存在を世に知らしめた関岡英之氏は、米国資本が郵政民営化の次の大きなターゲットにしているのが民間の医療保険商品であるとの警告を発している。オリックスは系列企業でいわゆる第三分野の保険商品を販売しており、混合診療の解禁を含む医療分野の規制緩和を論議する総合規制改革会議の議長をオリックスの代表が務めることに対する懸念が、これまでも関係者から表明されてきた。

派遣労働の自由化については、「資本の論理」だけが優先されて、労働者の処遇および雇用の安定性が著しく損なわれたことが問題であるが、規制緩和を論議する内閣府の政令に基づいて設置された会議のメンバーに、多くの利害関係を持つ営利企業経営者が組み込まれたことがそもそも重大な問題である。

派遣労働においては、派遣元である人材あっせん業者が、不当に大きな利益を獲得し、労働者の権利が侵害されることが、大きな懸念要因である。派遣労働を急激に拡大させた背景に人材あっせん企業業界の利権拡大動機が潜んでいたことも確かであると思われる。

日本郵政が「かんぽの宿」をオリックスに一括譲渡することのどこに問題があるのか。この問題にも「郵政民営化」の本質が投影されている。日本国民の貴重な資産、財産が、十分な正当性に支えられた手続きを経ずに、私的な利益に転換されることが問題なのだ。

そもそも「郵政民営化」が、特定の資本、なかんずく外国資本が、不当に日本国民固有の財産を収奪することを目的に仕組まれた可能性が高いことが問題なのである。

小泉竹中政治は「郵政民営化」を「正義の政策」として国民にアピールした。「民間にできることは民間に」、「公務員を20万人以上削減する真の改革を実現しなければならない」と小泉首相は絶叫した。

2005年8月には、「郵政民営化の是非を問う」ことを目的に衆議院を解散までした。総選挙の投開票日が、同時多発テロが発生した9月11日に設定されたのも偶然ではないと考えられる。

日本郵政は、雇用の確保を重視してオリックスに一括譲渡することを決めたと説明しているが、雇用の確保について、具体的にどのような契約を交わすことになっているのかを公開する必要がある。

特定郵便局ネットワークの維持についても同様だが、「いつまで」、「何箇所の特定郵便局」を「どのような形態で」維持するのかが「契約」で確約されているのかが問題なのだ。とりわけ、「契約が守られない場合のペナルティー」が明記されていなければ有効性を持たない。

「かんぽの宿」の現在の雇用が維持され、「かんぽの宿」利用者の利用条件が維持されると伝えられているが、現在の雇用者の終身雇用が確約されているのか、「かんぽの宿」の利用形態が例えば今後50年は現状維持とすることが確約されているのか、などの契約内容の詳細が問題である。

一括譲渡された直後だけ、雇用と利用形態が維持されて、短期間に状況が転換されるのと、その契約が長期間有効であるのとでは、天と地の開きがある。

一括譲渡先を決定するために一般競争入札を実施したとされるが、入札は告知の方式により、実質的に「公開入札」の意味を持たない場合がある。形式のみ「一般競争入札」の体裁を整えて、実体上は「出来レース」で、特定の業者に「破格の条件」で譲渡されることなど、民間では日常茶飯事だからだ。

日本政府は破綻した長銀を入札方式で「リップルウッド」に10億円で譲渡した。譲渡後に発生する損失を日本政府が補填する「瑕疵(かし)担保特約」までついていた。日本政府はゴールドマンサックスとアドバイザリー契約を結び、多額のアドバイザー・フィーまで支払った。「旧長銀不正譲渡疑惑」も「りそな銀疑惑」とともに、全貌(ぜんぼう)がまだ明らかにされていない。

郵政事業が国営であれば、例えば「かんぽの宿」を払い下げるにしても、より厳格で透明性の高い方式が選択されなければならない。譲渡の時期にしても、日本政府にとって最も有利な時期が選択されなければならないことになる。

ところが、株式の売却はされていないものの、日本郵政という株式会社形態になっただけで、その意思決定は決定的に不透明になるのだ。日本郵政の事業決定は、基本的に民間の商取引と分類されて、さまざまなことがらが、「守秘義務」のベールに覆われてしまうのだ。

間違いのないようにはっきりさせておかねばならないことがある。それは、郵貯資金、簡保資金、日本郵政保有資産、なかんずく不動産の資産は、まぎれもない国民資産であることだ。

郵政三事業が株式会社形態に移行して以降、さまざまな利権獲得行動が広がっている。文字通り「政商活動」だ。「政商ブローカー」が私的利益を積み上げている可能性を排除できない。

「郵政民営化」については、郵政三事業を抜本的に縮小して、そののちに「民営化」すべきだとの「正論」が厳然と存在していた。私も大筋ではこの立場で意見を主張した。

しかし、小泉竹中政権は、巨大資産を抱えたままでの郵政民営化即時実行を強硬に主張した。その理由の一端が、「かんぽの宿」一括譲渡方針決定から透けて見えてくる。小泉竹中政権は、「巨大な資産を保有する郵政」を「民営化」しなければならなかったのだ。事業を縮小した「郵政」には「巨大利権」はもはや付属しないからだ。

2008年9月末時点でオリックスの発行済み株式のうち、57.6%が外国人投資家の所有である。つまりオリックスは「日本企業」でないのだ。宮内義彦氏、八代尚宏氏、奥谷禮子氏などは小泉竹中政治時代を代表する「市場原理主義者」の代表でもある。

2009年という時代の転換点にあたって、「市場原理主義者」と「市場原理主義」、そして「小泉竹中政治」を総括することが絶対に必要である。

「かんぽの宿」の譲渡先選定に際しての、応札状況および落札決定の実情を、国会でまず明らかにしなければならない。株式会社形態に移行した日本郵政における、重要な意思決定過程の実情を明らかにしなければならない。

日本郵政は「かんぽの宿」だけでなく、保有不動産の譲渡および再開発も進展させている。これらの資産売却にかかる商取引が、国民資産の取り扱いの見地から、十分に公正さと透明性を確保して進められているのかについて、徹底的な検証が求められる。国会は国政調査権を全面的に活用しなければならない。

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