カテゴリー「外国為替資金特別会計」の6件の記事

2008年11月13日 (木)

憲法違反の外国為替資金特別会計

麻生政権が外貨準備から10兆円の資金をIMFに拠出する方針を決めたことが報道された。外貨準備は麻生首相のポケットマネーではない。理念も哲学もない定額給付金支給も外貨準備の流用も、国民の貴重な財政資金を私有物と勘違いしているとしか思えない。

日本国憲法第7条の天皇の国事行為に列挙されている衆議院の解散を根拠に、内閣総理大臣に衆議院の解散権があるとの解釈は存在するが、与党の党利党略を満たすために解散権が行使されることが容認されているわけではない。衆議院の解散は国民の利益を満たすために実施されるもので、「私が決めさせていただきます」と私的な権利として取り扱うことは権力の濫用である。

外貨準備は為替レートの安定を確保するために活用されるものだ。ドルが急上昇する場合には、外貨準備で保有するドルを為替市場で売却し、急激なドル上昇を回避する。ドルが急落し、円が急上昇する局面では、外為市場でドルを買い入れ、ドル安進行を回避する。その蓄積が外貨準備である。

均衡の取れた為替レートを想定し、現実の為替レート変動において、ドルが下落しすぎる局面でドルを購入し、ドルが上昇しすぎる局面でドルを売却する。適正な外貨準備の保有量を念頭に入れて、安く購入したドルをドル上昇局面で売却するのが本来の姿だ。このように対応すれば、外為会計で利益を計上することはあっても、損失を生むことは限定的になる。

したがって、外貨準備を膨大な規模で蓄積する理由は存在しない。膨大な外貨準備を保有することは、巨大な為替リスクを野晒(ざら)しにすることを意味するから、外貨準備の規模は極力圧縮すべきである。とりわけ、中期的にドル下落が予想されるなら、なおさらドル保有量を極力圧縮すべきだ。

日本政府は約100兆円もの外貨準備を保有している。竹中平蔵氏が金融相を兼務することになった2002年10月から2004年3月までの1年半に外貨準備残高は一気に47兆円も増加した。理解不能な巨額の資金が米国に提供されたことになる。

財務省が10月29日に明らかにしたところによると、円高進行により、外国為替特別会計の評価損が23.9兆円に達したとのことである。外為特会の剰余金の積立金が19.6兆円存在することも明らかにされたが、両者を差し引いても14.3兆円の損失が発生している。

国家財政が疲弊し、国民に対するセーフティネットが次から次へと切り込まれ、国民負担増加策が激しい勢いで実施されるなかで、外為特会での巨額損失が容認されるわけがない。これだけの損失を計上しながら、10兆円もの資金を海外の金融危機への対応に流用することを政府が独断で決定することも無論容認されない。

外国為替資金特別会計の運用そのものに重大な問題が存在する。国民資金を扱い、巨大な損失を発生させる可能性がある以上、その取り扱いには国会による厳重な監視が不可欠である。しかし、現状の法制では、このことが十分に担保されていない。

日本国憲法には次の規定がある。

83条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

85条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

これに対して、外国為替資金特別会計法に以下の規定がある。

(設置)

第一条 政府の行う外国為替等及びこれに伴う取引を円滑にするために外国為替資金を置き、その運営に関する経理を一般会計と区分して特別に行うため、特別会計を設置する。

(外国為替資金の運営)
第五条 外国為替資金は、外国為替等の売買に運用するものとする。

外国為替資金を管理する主務大臣は財務大臣で、財務大臣が「政府の行う外国為替資金及びこれに伴う取引を円滑にする」ことを目的に、外国為替資金を保有して運営しているのである。

この規定に従い、財務省は、全額日銀からの借金で、100兆円の外貨準備を保有し、財務大臣、内閣の一存で、10兆円の資金のIMFへの拠出などの流用を決定している。

外国為替資金特別会計の運用の実態は、日本国憲法第83条、および第85条に反していると言わざるを得ない。これだけの巨額の財政資金の取り扱いが、国会議決事項でなく、財務大臣、内閣の一存で決定されてしまうのでは、財政資金に対する国会の監視が届かない。

10月27日付記事「森田実氏が入手した「米国国債を売らない約束」」に記述したように、小泉元首相はブッシュ大統領に「米国国債を売らない約束」をした可能性がある。小泉政権下の2002年10月から2004年3月にかけての47兆円におよぶドル買い介入は、日本政府から米国への47兆円もの資金提供であった可能性が高い。

「返済のない融資」は「贈与」と同一である。日本国民に100兆円の資金を米国に贈与する意思はまったく存在しない。国会のチェックが入らない制度の抜け穴を利用して、日本政府が100兆円の資金を米国に供与したのであれば、日本国民に対するとてつもない背任行為になる。

財務省が外貨準備で23.9兆円の評価損を計上したことを発表した直後に、10兆円の外貨準備を国際金融危機対策に流用することを発表するのは、麻生政権が日本国民をなめきっている証左としか言いようがない。

10月10日のワシントンG7、11日のIMFCで、中川財務相兼金融相が日本の外貨準備を活用した金融危機対策発動の意向を表明したが、先述した通り、日本国憲法の規定に反する行動と言うべきものだ。国会の議決を経ずに、外国政府と条約を締結するような行為は認められるべきでない。

外国為替資金特別会計は独自に事務経費を計上し、官僚が経費を使用している。巨額の海外渡航費用が計上され、財務省官僚が海外渡航に利用している。外為特会の規模拡大、予算拡大は、財務官僚の利権拡大を意味している。

日本国民に対する社会保障政策が、国民の生存権を脅かす程度にまで切り込まれ、国民が耐乏生活を強いられているときに、ざるに水を注ぐような杜撰な資金管理が許されるはずがない。野党は、外為資金特会の巨額損失の責任を徹底追及しなければならない。

非正規雇用労働者、働く貧困層、障害者自立支援法に苦しめられる障害者、高齢者、母子世帯、中小企業、生活保護圧縮、など、国内で必要不可欠な施策が冷酷に切り込まれている。麻生首相が国際会議で得点を稼ぐために、国会の了承も得ずに国民に犠牲を強いることは許されない。

今回の20ヵ国首脳会議に向けて、欧米首脳は日本政府に外貨準備資金を拠出させる相談を公然と進めてきた。いじめ問題で取り上げられる「いじめる者によるいじめられる者に対するかつあげ」の構造が透けて見える。日本の金融機関も株価下落が進行すれば、深刻な自己資本不足に直面する。海外諸国に資金贈与する余裕は存在しない。

直ちに求められることは、外国為替資金特別会計法の改正である。100兆円規模のリスク資金を扱う外為資金が国会の議決を経ずに運用される現状は、明らかに日本国憲法に反している。外為資金の取り扱いの全体を国会監視下に移さなければならない。また、麻生首相は国際社会で10兆円の外貨準備流用を表明する前に、国会での了解を取ることが不可欠だ。

野党は国会で、この問題を最優先事項として審議するべきだ。また、100兆円の外貨準備残高を、損失を生じさせずに、20兆円程度の規模に圧縮すべきである。日本国民が100兆円の資金を米国に供与するいわれはまったく存在しない。

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2008年10月27日 (月)

森田実氏が入手した「米国国債を売らない約束」

急激な円高は日本国民に巨大な損失を与えている。日本は1兆ドル(100兆円)の外貨準備を保有している。10円の円高が進行すると10兆円の損失が発生する。

100兆円の外貨準備を蓄積した期間の円ドルレートは1ドル=100円から1ドル=135円のレンジを中心に変動してきたから、ドル買いの平均コストは1ドル=110円程度だろう。円ドルレートが1ドル=90円になれば、20兆円程度の評価損が生まれてしまう。

外貨準備を100兆円に膨張させ、ドル上昇時にも外貨準備を減少させてこなかった責任を追及しなければならない。外貨準備を100兆円も蓄積する理由はまったく存在しない。

2002年10月から2004年3月にかけての1年半に外貨準備は47兆円も増加した。この期間に日本が米国に47兆円の資金を提供してドルを買い支えなかったなら、米国は超低金利政策を維持できなかった。金利引き上げに追い込まれていたはずだ。

日本政府が47兆円ものドル買いを実行したから、米国は超低金利政策を長期間維持した。この超低金利政策が米国の不動産バブルを生み出す原動力になった。米国の不動産バブル発生の遠因は日本政府の過剰なドル買い介入にあったと言うこともできる。

今回の金融危機に際して、日本の外貨準備を活用するとの話が浮上しているが、国民の同意を取ることもなく、政府の一存で外国に資金を提供することは間違っている。自公政権内部に、米国への資金提供を推進する勢力が存在するが、国会は「売国政策」の実態を明らかにして、「売国勢力」を早急に排除しなければならない。

この問題に関連して、政治評論家の森田実氏が2007年2月25日に、極めて重大な記事を掲載されていた。ある法曹家がメールでこの重要な事実を知らせてくれた。

記事は森田実氏のHP内の連載「森田実の時代を斬る」の2007年2月25日付記事だ。以下に引用する。

 
森田実の言わねばならぬ[82]

アメリカ国債を売らない約束

 05年5月に発売された週刊新潮で、櫻井よしこさんは「必ず中国は、台湾を軍事的に攻める。それを跳ね返すのは、日本の軍事力だ」という趣旨のことを書きました。この主張は、アメリカは戦争ができないという見方を前提にしているように見えます。
 アメリカは、日本に国債を買わせてアメリカの財政をつないできたのですが、もう日本だけでは足りないのです。日本も2015年くらいになると、アメリカにすべて吸い取られてしまうという分析もありますが、アメリカは、中国とインドに国債をもたせて「アメリカ帝国」を維持する方針のようです。中国にたくさんのドルを持たせて、その一部を国債にさせているのです。
 2002年2月18日の日米首脳会談で、アメリカに対し「日本がもっている国債は売りません」と、小泉が約束してしまっています。日本では明らかにされていませんが、事実です。ブッシュは帰国後、興奮して「アメリカ外交の勝利だ」と言ったそうです。
 そのことを教えてくれたチェイニー副大統領のスタッフに、「小泉は『あるとき払いの催促なしでいいよ』と言ったのか」と聞いたのですが、「アメリカには、そんな曖昧な表現はありません」と言うのです。「ブッシュの報告は、どのように理解されたのか」と聞くと、「いただいたとアメリカ側は理解している」と言いました。
 「アメリカはただただ奪うだけではないか、ひどすぎる」と私が言うと、彼は「ブッシュは小泉に、小泉が一番ほしいものを与えています」という返事が返ってきました。それは「小泉さんには、ブッシュは日本の政治史上最も偉大なるリーダーだという誉め言葉を与えています。ブッシュが歯の浮くようなお世辞を小泉に言い続けてきたのは、400兆の金をくれたことに対するお礼なのです」と彼は言いました。日本人にとっては冗談ごとではないと思います。
 中国は、相当のアメリカ国債をもっています。アメリカが中国に対して変な行動をしたら、アメリカ国債を売り払うことができます。そうするとアメリカ国債は暴落し、アメリカはパニックに陥ります。ですからアメリカは、中国に戦争を仕掛けたりオリンピックを潰すとかはできないでしょう。中国は安全保障の目的で、アメリカ国債をもっているのです。中国が、アメリカ国債を手放せば、アメリカの経済は潰れてしまいます。「どうぞ」といって金をあげてしまった日本は、まったく愚かです。
 4月の都知事選と7月の参院選で、共和党の手先になってしまった石原と安倍を信任したなら、日本は世界の笑い者になると思います。アメリカでは、昨年11月の中間選挙で「もうブッシュはたくさんだ」という結果がでました。下院においては大差で民主党が勝利し、ブッシュは完全に潰れたのです。ブッシュ政権は、自分たちの考える政治システム、アメリカの言葉どおりいえば「アメリカの民主主義」を、力をもってでも押しつけるという力の政策です。もう1つの側面は、アメリカ共和党が推進する経済政策を、世界の基準・グローバル・スタンダードにするのだという姿勢です。
 この両方が、11月の中間選挙で否定されたのです。 

(ここまで引用)

「400兆円の金をくれたこと」とは、郵貯、簡保、外貨準備を指している。

郵政民営化は米国政府の要請に沿って細目が定められた。郵政民営化は、小泉元首相の個人的怨恨(ルサンチマン)、銀行界の要請、米国の要望の3者の意向が融合して推進されたと見られる。小泉元首相は落選した最初の総選挙の際、特定郵便局が選挙支援してくれなかったことに強い恨みを抱いたと伝えられている。

米国は1994年以降、日本政府に突き付けてきている内政干渉文書=「年次規制改革要望書」で、郵政民営化を最重要要請事項に位置付けてきた。郵貯・簡保の350兆円の資金に狙いをつけている。

要望書では郵便貯金、簡易保険の商品特性を低下させるための具体的提案が満載されている。一方で、日本で米国保険会社が得意とする医療保険商品の販売戦略を急激に拡大させた。

また、郵貯資金を米国金融危機対応に流用するための工作活動も活発化させている。日本郵政は一等地不動産を大量保有しているが、民営化会社は不動産開発を積極化させている。将来、郵政会社株式が売却された段階で、米国資本が株式を取得することも念頭に入れていると考えられる。

外貨準備の100兆円、郵貯・簡保の350兆円の資金を、米国は丸取りしようと考えているのだ。問題は、日本の政治中枢に売国勢力が入り込んでしまったことだ。その中心が小泉竹中政権であったと考えられる。現在の自公政権は、その延長上に位置する。自民党では、清和政策研究会(町村派)が実権を握っている。清和研政治が対米隷属政治の基礎を支えていると判断される。

日本は経常収支で黒字計上を続けているが、経常収支の黒字は国民が働いて稼いだお金を国内で使い切らずに余らせて、その余剰資金を海外に提供していることを意味している。

汗水たらして働いたお金を稼いでも、倹約でお金を使い残し、そのお金を海外に提供している。しかし、海外に提供したお金は、円高で目減りしたり、債務免除で棒引きされてきた。

米国にとってこれほど便利な国はない。ブッシュ政権が小泉政権を絶賛したのは、小泉政権が米国の言いなりになって、侵略戦争に率先して協力し、米国への巨大な利益供与に応じてくれたからだと考えられる。

この危険な構造を維持してはならない。外貨準備問題を追及することで、小泉政権以来の政権の「売国体質」の実態を人々に知らせることができる。外貨準備を早急に圧縮すると同時に、日本政府の外国政府への資金融通を全面的に円建てに切り替える制度変更を決定するべきだ。

日本国民を犠牲にして、外国勢力に利益供与する政権を、直ちに排除しなければならない。

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2008年10月19日 (日)

外貨準備を監視する法律を整備せよ

日本の外貨準備、郵貯資金を米国金融危機対策に流用すべきとの主張を提示しているのは、竹中平蔵氏、渡辺喜美氏、小池百合子氏、石破茂氏、高橋洋一氏である。中川昭一氏も10月11日のIMF(国際通貨基金)のIMFC(国際通貨金融委員会)で、外貨準備を活用した新興国への資金支援を提言した。

「チラシの裏」主宰者がこの問題を早期に、的確に指摘されてきた。下記の関係者発言等も、「チラシの裏」主宰者が摘示されてきたものである。上記の面々が「対米隷属派」に属することは一目瞭然である。中川昭一氏はこの人脈からは外れる。しかし、麻生太郎首相が対米隷属派に分類され、麻生氏が外貨準備の新興国支援へのゴーサインを出したのだと考えられる。

繰り返し主張するが、100兆円の外貨準備を早急に売却すべきである。同時に、国会の監視の働かないところで、米国経済支援のために巨大な日本国民の負担が発生することを防ぐための法律改正が求められる。外貨準備の取り扱いを国会決議事項にしなければならない。

竹中平蔵氏は、本年4月20日のBS朝日・朝日ニュースター『竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方』第3回放送で、「「民営化された日本郵政はアメリカに出資せよ」とぜひ申し上げたい。日本にはかつてとんでもなく巨大なSWFがありました。それが今の日本郵政なんです。資金量でいうと300兆円。他のSWFとは比べ物にならないほどのSWFがあったんです。民営化したので、今はSWFではない。だからアメリカから見ると安心して受け入れられる、民間の資金なんです。アメリカに対しても貢献できるし、同時に 日本郵政から見ても、アメリカの金融機関に出資することで、いろいろなノウハウを 蓄積し、新たなビジネスへの基礎もできる」と述べた。

渡辺喜美元金融相は、本年7月16日、米国政府元高官に対して、「米政府が必要とすれば日本の外貨準備の一部を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」と述べたことが報道されている。

また、渡辺氏は英国の通信社ロイターのインタビューでも、「資本増強で国際的な枠組みを作るのであれば、外貨準備を使うことも、私が金融担当相のときの私的懇談会(金融市場戦略チーム)でブレーンストーミングをした。これもあり得ないことではない。運用している米国債を(金融機関の株式と交換する)デット・エクイティ・スワップ(DES)する話で、ドル危機後の新しい通貨秩序の形成にもつながる戦略になる」と発言している。

また、9月20日付ファイナンシャルタイムズ紙は、自民党総裁選に立候補した小池百合子氏、石破茂氏が、日本の外貨準備を米国金融危機対策に流用する提案を示したことを伝えている。

渡辺氏が言及した金融市場戦略チームのブレーンストーミングでの検討内容については、高橋洋一氏が9月24日付『フォーサイト』誌で説明している。

高橋氏は寄稿で、「いずれにしても当面、日本は巨額な外為資金を持たざるをえないだろう。であれば、その結果のリスクとリターンを考慮してポートフォリオを入れかえ、たとえば、ドル建て債券の代わりにアメリカのファニーメイ、フレディーマックなどの株式に投資するという政策は、十分に検討に値する」と記述している。

渡辺氏が主宰した勉強会での高橋氏の主張を、竹中氏、渡辺氏、小池氏、石破氏がオウムのように発言している図式がよく分かる。ところが、その出発点の高橋氏の主張に説得力がまったくない。

高橋氏は寄稿のなかで、まず、「一般論として、筆者は政府資産は今より少ないほうがいいと考えているので、まず、外為資金の圧縮を考えるべきである」と述べている。そのうえで、「本来ならば、そこでまず、為替変動を起こしにくくするというマクロ経済環境を整え、外為資金の残高自体を圧縮することを考えたほうがいい」と指摘し、「日本がいまだに外貨準備をもって為替政策を行なおうとすることが、おかしいのである」と記述している。

ところが、「とはいえ、マクロ環境を整えるためには日銀の協力が必要であるが、先進国では当然採用されているインフレ管理目標さえ拒否し、PDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)もなく、目標がないので成果達成の責任もあいまいな日銀を、どのようにマクロ経済政策に協力させるのかという根本的な問題がある」ことを根拠に、突然、「よって、いずれにしても当面、日本は巨額な外為資金を持たざるをえないだろう。であれば、その結果のリスクとリターンを考慮してポートフォリオを入れかえ、たとえば、ドル建て債券の代わりにアメリカのファニーメイ、フレディーマックなどの株式に投資するという政策は、十分に検討に値する」との結論を導いている。

いわゆる「上げ潮派」と呼ばれるグループに分類される人々は、高橋氏の主張をそのまま援用している。高橋氏は、①霞が関埋蔵金を活用した積極財政、②小さな政府、③日銀による徹底的な金融緩和、を主張している。

竹中平蔵氏はどの講演会でも、①規制が強化されたことに伴うコンプライアンス不況、②改革逆行に伴う期待成長率の低下、③日銀の短期金利引き上げ、の三つが景気悪化の原因だとし、①法人税減税、②外資への市場開放を軸とする規制緩和、③日銀の金融緩和強化、を主張する。

これらが、「市場原理主義者」=「新自由主義者」=「対米隷属派」の主張である。「市場原理主義」は「資本優遇=労働搾取」を奨励し、「弱肉強食」と「セーフティーネット破壊」を推進してきた。外国資本の日本進出を奨励し、円安誘導で外国資本による日本資産の安値取得を側面支援する。

これらの人々が、日本の外貨準備や郵貯資金による米国金融危機への資金流用の流れを作り出している。財務省は、外貨準備を巨大化し、新興国支援に流用することが、財務省の利権拡大につながることから、これらの施策を肯定的に捉えていると考えられる。高橋氏は、高橋氏の主張が財務省の意向と対立しているかのような説明をするが、これは事実に反していると考えられる。裏側ではつながっていると考えられる。

高橋氏は、「外為資金の圧縮を考えるべきである」としながら、外貨準備をリスクの高い米国金融危機対策に流用することを主張しており、主張に一貫性がない。日本政府が外貨準備を活用して、米国の金融危機対策を実施する正当な根拠はまったく存在しない。国会論議、国会決議を経ずに、外貨準備を活用した金融対策について、日本政府が海外で意思表示することは、絶対に許されることでない。 

竹中氏の金融危機対策に郵貯資金を充てるべきとの提言は、郵政民営化そのものが、米国が350兆円の郵貯、簡保資金を米国のために利用するために画策した政策であったことを、明確に裏付けるものである。

日本の政治は日本国民の幸福実現を目的に運営されなければならない。小泉政権以降、米国による日本の属国化が日本政府の中枢から進行した。「市場原理主義」によって、日本社会も相互不信と相互敵対の「格差社会」に変質させられてしまった。

日本の政治から「対米隷属派」を排除しなければならない。日銀に超金融緩和政策を強制し、日銀を政府管理下に置くとの主張も、国民の利益に反する。円安誘導は外国資本による日本買い占めを促進する側面を持っており、日本国民の利益に反する政策である。

日銀の超金融緩和政策の延長には、日本でのインフレ誘発が期待されており、政府はインフレによる政府債務帳消しを密かに目論んでいると考えられる。財務省から日銀への天下りは、この意味でも遮断しておかなければならない。

「市場原理主義者」の罪を明らかにし、「市場原理主義者」の退場を確実に実行しなければならない。まずは、外貨準備の流用政策を国会論議で取り上げ、対米隷属派による国益喪失の政策にブレーキをかけなければならない。外貨準備管理を国会の厳しい管理下に置く法改正が早急に求められる。

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2008年10月15日 (水)

100兆円外貨準備野放しの怪

10月14日の参議院予算員会質疑で、外為特会などの「埋蔵金」についての実態が明らかにされた。財務相は外為特会の積立金が円高で目減りし、1ドル=99円以上になるとゼロになると答弁した。

日本の外貨準備高は2008年9月末時点で、9958.9億ドル存在する。7月末時点では1兆0046.58億ドルで1兆ドルを超えていた。日本円に換算して100兆円という膨大な外貨建て資産を保有している。

最近、この外貨準備についてのさまざまな意見が提示されている。中川昭一財務相は10月11日にワシントンで開催された国際通貨金融委員会(IMFC)で、金融危機に対応するため日本の外貨準備を活用して資金面で支援する考えを表明したことが報道されている。

また、渡辺喜美元金融相は、英国の通信社ロイターのインタビューで、「資本増強で国際的な枠組みを作るのであれば、外貨準備を使うことも、私が金融担当相のときの私的懇談会(金融市場戦略チーム)でブレーンストーミングをした。これもあり得ないことではない。運用している米国債を(金融機関の株式と交換する)デット・エクイティ・スワップ(DES)する話で、ドル危機後の新しい通貨秩序の形成にもつながる戦略になる」と発言している。

いずれの発言においては、外貨準備があたかも自分の財布であるかのような感覚で提案がなされている。このような発言が野放しにされていることは不適切極まりない。外貨準備は政府が外貨を買い取った残高である。為替市場の状況によって、政府が外為介入することがある。その残高が外貨準備高である。

外為介入は政府が日銀から短期の借り入れを起こして行われる。日本銀行に対する円建て債務に見合う外貨資産が保有される。2008年9月末時点の外貨準備の構成は、外貨建て証券が9692億ドル、外貨預金が1050億ドルで、外貨建て証券の大部分は米国財務省証券、つまり米国国債である。

日本政府は日本銀行から100兆円の借金をして米国政府に100兆円貸し付けをしていることになる。

問題は外貨準備であるから、為替リスクを伴っていることだ。100兆円のドル資産を保有していると、円ドルレートが1円変化すると、1兆円の評価損益が生じる。1ドル=105円が1ドル=95円になると、10兆円の損失が発生する。

自公政権は高齢化進展に伴う社会保障費の増額に対して、毎年2200億円、社会保障支出を圧縮する方針を示している。社会保障支出削減は財務省が主導する「財政再建原理主義」の中核に位置付けられている。

「障害者自立支援法」は名称のイメージと裏腹に、障害者を施設から排除し、生存権を脅かす冷酷な施策である。生活保護も支出削減の対象とされ、老齢加算、母子世帯加算などが非情に切り込まれている。

「後期高齢者医療制度」も医療費抑制を目的に創設されたものである。財務省が提示する「経済規模に見合った社会保障」との大方針の下に制度が設計されている。本来、日本経済が低迷することと高齢者の比率が上昇して国民医療費が増大することの間には何の因果関係もない。

それにもかかわらず、「経済が停滞するから医療を受けるな」の暴論が大手を振っている。罹(り)患率の上昇する高齢者だけを対象にした制度が保険として機能するはずがない。窓口負担以外の高齢者の負担比率を1割に定めたとされるが、高齢者の医療費は急増するから、1割負担の金額は急増していく。制度発足当初だけ保険料が減少するのなら、詐欺的手法と言わざるを得ない。

10兆円もの資金があれば、社会保障をどれだけ充実できることか。外貨準備で損失が拡大すれば、一般国民にはさらに厳しいしわ寄せが押し付けられる。「母屋でおかゆを食べているのに、離れですき焼き」との言葉があったが、「家族がおかゆをすすっているときに、父親がばくちで散財」の図式である。

円高が急激に進行し、日本国民の生活の安定を確保するために、為替市場でドル買い介入しなければならない局面はあるだろう。外為介入が一概に否定されるものではない。しかし、下落する傾向を強く持つドルを購入するのだから、ドル建て資産の残高を保有している時には、常にドル下落リスクに最大の注意を払わなければならない。

ドル買い介入はドルが急落する局面で実施される。平均すれば安いドルを購入できることになる。ドル買い介入を実施して、為替市場が安定すれば、必ずドルが反発する局面がある。本来、政府はドル買い介入して蓄積したドルをドルが反発した局面で売却するべきである。ドルが反発する局面でドル売りを実行しても、為替市場に影響を与えない。日本政府が為替リスクを温存する理由は、後述する利権獲得に関連する理由を除けば、何一つ存在しない。

為替レートが横ばいであれば、金利差を得ることができる。円短期金利はゼロに近く、ドル長期金利は4%ある。為替レートが横ばいであれば、金利差を利益として確保できる。この金利差に狙いをつけた投機資金の行動が「キャリートレード」と呼ばれる行動である。円短期金利で資金調達し、ドル金利で運用する。この「キャリートレード」は「円売り・ドル買い」のオペレーションになるため、ドル高が進行する要因になってきた。

しかし、中長期では円高・ドル安が進行する。為替市場で円高傾向が強まると、「キャリートレード」を実行していた投資家は、一斉にポジション解消に動く。この行動は、急激な円高進行の原因になる。

いずれにしても、米ドル建て資産をそのまま保有することが、極めて大きなリスクそのものであることは紛れもない事実だ。

日本政府が100兆円のリスク資産を保有する正当な理由はまったく存在しない。外貨準備は外国為替資金特別会計が保有する。外為特会は財務省の所管である。上述した金利差は積立金として蓄積され、通常は外為特会が潤沢な資金環境に置かれることになる。各省庁は特会の資金を通常経費に充当する。猛毒米の杜撰な検査をしていた福岡の農政事務所の検査費用も、その大半が特会から支出されていたことが明らかにされている。

100兆円の米国国債保有者は国債ディーラーにとっては、最上位の重要顧客になる。100兆円もの資産保有が、さまざまな利権を生み出す源泉になることは間違いない。外貨準備の異常な膨張の背景には、財務省の利権拡大動機が潜んでいたと考えられる。外貨準備を新興国支援に活用するとなれば、資金管理者は新興国に対する強い立場を得ることにもなる。

9月1日付記事「「日本売国=疑惑の外為介入」政策の深層」、9月6日付記事「自民党の分裂と「上げ潮派」の詭弁」に記述したように、2002年10月から2004年3月にかけての47兆円の外貨準備増加は、暴落した日本資産購入資金を外国資本に提供したものである疑いも強い。

2002年年初から2008年7月15日までの為替レート変動を見ると、

1ドル=130円 から 1ドル=106円

1ユーロ=117円 から 1ユーロ=169円

に変動している。

 ドル運用とユーロ運用との時価評価の差額は、

100兆円の運用資金であれば63兆円、

50兆円の運用資金であれば31.5兆円

に達する。

 この期間、日本円が主要通貨に対して暴落したために、米ドル運用での損失が、たまたま表面化していないが、日本円が暴落していなかったなら、ドル運用の外貨準備は巨大損失を表面化させていたのである。

 野放しの外貨準備を国会の監視対象にするための法改正が絶対に必要である。外貨準備は本来、ゼロを基準に設定するべきものだ。外為介入で購入した外貨は、市況を見極めて、極力損失を発生させないで、市場で売却するべきだ。

 外貨準備を自分の財布のような感覚で、米国の金融危機対策に流用することなど、言語道断の対応である。仮に日本が国民の総意で外貨準備を米国金融危機対策に流用するなら、少なくとも、その意思を国際社会で表明する前に、国会での十分な論議と承認が不可欠である。

 

 最大の問題は、外貨準備の仕組み、諸制度、現状、法制などについての知識、認識が多くの国会議員、政党、そして一般国民に行き渡っていないことである。100兆円の巨大リスク資産についてのすべての情報がすべての国会議員と国民に共有されなければならない。

 国民負担に直結する100兆円のリスク資金が野放しになっている現状を是正する法改正が、直ちに求められる。

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2008年9月 1日 (月)

「日本売国=疑惑の外為介入」政策の深層

日本を「売国者」から守らなければならない。「売国者」は日本の中枢にまで入り込んでいる。日本国民の貴重な資産の所有権がいま法外な暴落価格で外国資本の手に引き渡されている。

日本の資産価格を暴落させる。日本円を暴落させる。この局面で日本資産を買い集める。暴落価格は理論価格を大幅に下回る価格だから、いずれ理論価格に回帰する。日本円も暴落したのちには反発する。

巨大な「売国政策」が実行された。いや、いまも実行途上である。

日本政府は日本国民の幸福を追求する存在でなければならない。しかし、現実は外国資本の幸福を追求する存在になっている。自公政権(政)、特権官僚(官)、大資本(業)、電波=「マスゴミ」(電)が外国資本(外)と結託して日本国民を地獄に突き落として利権をむさぼっている。

政府を国民の手に取り戻さなくてはならない。その最後のチャンスが次の総選挙だ。「政官業外電=悪徳のペンタゴン」は小沢一郎民主党代表を最も警戒すべき人物と認識してきた。2006年4月に小沢氏が民主党代表に就任した瞬間から、小沢氏の影響力を排除するための工作活動が展開されてきた。

小沢氏の政治資金管理団体が所有する不動産問題、大連立、日銀総裁人事、民主党代表選などの問題は、すべて小沢氏の影響力低下を目的に画策されてきたと考えられる。

日本政府による「売国政策」を一貫して警告し続けてきた点で、私も警戒人物に位置付けられてきたと思う。外国資本中枢と接触のある人物が、そのことを10年近く前に伝えてくれたことがあった。

日銀人事での小沢氏の影響力排除を画策した方法は手が込んでいた。武藤敏郎元大蔵省事務次官の日銀総裁就任案を民主党が不同意した。田波耕治元大蔵省事務次官の総裁就任案も民主党は不同意した。最後に渡辺博史財務省元財務官の副総裁就任案が浮上した。

工作勢力は民主党内で渡辺氏人事容認論の根回しを進める一方で、小沢氏が渡辺氏不同意の考えを持っていることを確認したうえで小沢氏をテレビ番組に出演させ、小沢氏に不同意の意見を表明させた。こののちに渡辺氏同意人事が成立すれば小沢氏の権威を失墜させることができた。

小沢氏が代表の職を辞した可能性さえある。工作勢力はあと一歩のところで工作に失敗した。問題は工作勢力が民主党内部にまで手を伸ばしていることだ。複数候補による民主党代表選挙実施誘導工作もぎりぎりのところで失敗した。小沢氏が求心力を高めて次期総選挙が実施される可能性が高まった。

しかし、政権交代による巨大利権喪失阻止を至上命題とする「悪徳ペンタゴン勢力」は今後も攻撃の手を緩めないと考えられる。電波・活字を活用した「マスゴミ」による情報操作活動は今後、一段と本格化すると考えられる。

日銀への天下り利権死守を目指す財務省は、まだ望みを捨てていない。武藤敏郎氏が民間シンクタンク代表に就任したのは、その布石である。政権交代を阻止し、小沢氏の影響力を排除すれば日銀への天下り利権を死守できると考えている。

財務省は日銀を「天下り利権」の側面から最重要視しているが、日銀重視の理由はそれだけでない。財務省には中央銀行を支配下に置きたい強い事情が存在する。政治屋も中央銀行を支配しようとする強烈なインセンティブを有している。

「政策業外電=悪徳のペンタゴン」にとって中央銀行支配は極めて重要な意味を持つ。中央銀行の政策が「日本収奪」を側面支配する最重要の施策になるのことも重要な事情のひとつだ。

日本の外貨準備は

2008年7月末で1兆0047億ドル

に達する。1ドル=108円で換算して、108.5兆円だ。外貨準備は中央銀行の外国為替市場での介入によって蓄積される。過去のドル買い介入の累計が外貨準備になる。外貨準備の大半は米国国債で、その金利収入も外貨準備に蓄積されてゆく。

日本の外貨準備は小泉政権が発足した

2001年4月末時点で3626億ドル

だった。

2002年9月末時点で4009億ドル

だった。政権発足時点から2002年9月末までの期間にはあまり増加していない。

2002年9月末の内閣改造で竹中平蔵氏がそれまでの経財相に加えて金融相を兼務することになった。ここから株価暴落誘導とその後の「りそな銀行」救済が実行される。日本の資産価格を暴落させて日本人資産所有者による優良資産投げ売りを誘導したことになるが、投げ売りされた優良資産を買い占めたのは外国資本だ。

「大銀行が大きすぎるから破たんさせない政策をとらない」と明言していた政策が全面転換された。小泉政権は「りそな銀行」を2兆円の公的資金投入により救済した。これを契機に株価は急転上昇に転じた。外国資本は労せずに莫大な利得を得た。外国資本は2003年から2005年にかけて日本の優良実物資産を強烈な勢いで買い漁った。

日本の外貨準備は

2004年3月末に8266億ドル

に急増した。

2002年9月末の4009億ドル

から1年半で4257億ドルも激増した。1ドル=110円で換算して46.8兆円の資金が米国国債取得に投入された。

為替レートは小泉政権が発足した

2001年4月末が1ドル=123円

2002年9月末も1ドル=123円

2003年3月末は1ドル=105円

だった。

米国国債を大量保有する外国投資家=外国資本が米国国債を大量売却して獲得した資金で日本資産を買い占めたとの図式が成り立つ。

このことは「生き抜く力」様「第23回 時の政権と経済の関係はどうなっているのか④」に鮮明に示してくださっている。2003年度には外国人投資家が日本の株式市場で、なんと11.6兆円も買い越しているのだ。

BLOG版ヘンリーオーツの独り言」のヘンリーオーツさんが指摘されるように、「生き抜く力」様が非常に分かりやすく図解して整理してくださっている。私は拙著『知られざる真実-勾留地にて』および『現代日本経済政策論』に詳細を記述したが、小泉政権の経済政策が何をもたらしたのかを知るために「生き抜く力」様ブログをぜひご高覧賜りたい。

日本政府はわずか1年半の期間に米ドル資産を46.8兆円も購入した。すでに世界最大級の規模だった外貨準備がこの期間に倍増しているのだ。「狂気のドル買い介入」としか言いようがない。

2002年9月末の為替レートを見ると、

1ドル=123円

1ユーロ=120円

だった。

本年7月中旬の為替レートは

1ドル=107円

1ユーロ=170円

だ。

 46.8兆円の国費を米ドルに投入したが、本年7月の時価評価額(元本部分のみ)は40.7兆円である。仮にこの資金でユーロを購入していたら、時価評価額は66.2兆円になる。その差額は25.5兆円にも達する。

 ドルはこの期間に13.0%下落した。ユーロは41.7%上昇した。

 仮定計算だが、7月末時点の外貨準備高1兆0047億ドルのすべてをユーロで運用したとすると、円に換算して73兆円もの差が発生する。

外貨準備の運用におけるドルとユーロの違いが73兆円もの時価評価の相違を発生させる。日本政府は73兆円もの機会損失を発生させたことになる。

日本政府による「狂気に満ちたドル買い支え介入」の実行が、円上昇を阻止したことになる。日本円は不当に低い水準に誘導された。2002年から2004年にかけてドル下落が進行していれば、米国はドル防衛から金利引き上げを迫られただろう。米国が早期に金利引き上げに着手していれば、米国のサブプライム問題を回避できたかもしれない。

人為的な円下落誘導政策によって外国投資家は日本資産を低いコストで購入することができた。外国資本による「日本収奪」支援が、狂気に満ちた「ドル買い=円売り」介入の真の狙いであったと考えられる。それ以外にこの規模での為替介入を説明する根拠を見出すことはできない。

46.8兆円の介入資金は米国国債の売買を通じて、日本収奪の原資とされたと考えられる。「生き抜く力」様の掲載記事に対するコメントで、この点を指摘されたブログがあったが、当記事執筆時点で確認できなかったため、指摘されたブログ名については、改めて記載したい。

「小泉一家」を母体とする「上げ潮派」は日銀の超金融緩和政策を強く主張する。日銀の超金融緩和政策は円安誘導政策と表裏一体をなす。すでに記述してきたように、2000年から2008年にかけて日本円は米ドルを除く主要通貨に対して暴落した。ドル暴落に直面する米国が金利引き上げを実施せずに済むよう、日本政府が巨額資金を米国に提供したため、米国は利上げを回避できた。その代償として、日本は円暴落の被害を蒙ったと表現することができる。

日本の一人あたりGDPが世界1位から世界17位に急落した最大の要因は円の暴落だ。「円高は日本の国益」である。「日本収奪」を全面支援した小泉政権の経済政策は「売国政策」そのものだった。この「売国政策」をそのまま引き継いでいるのが「上げ潮派」の経済政策である。

「私のしごと館」などの政府資産が民間に売却される方向にある。「払い下げ」される公的資産を暴落価格で取得しようと外国資本が虎視眈々と狙う。年金・簡保関連保養施設などの公的施設、「ダイエー関連リゾート」、「グッドウィル」や「不二家」などさまざまな形で攻撃された企業の旨味のある実物資産を誰が取得しているかの詳細を調査して、「日本収奪」の構造を明らかにしなければならない。

「日本収奪」から日本国民を守らなければならない。

  

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2008年7月21日 (月)

「売国政策」を排除しなければならない

日本を「売国者」から守らなければならない。最も大切なことは誰が売国主義者で誰が国を守る人であるのかを正しく見定めることだ。「売国政策」、「国を守る」の表現を「右翼的」と感じる人がいるかもしれない。

しかし、「国を守る」の意味は「国民を守る」=「国民の幸福実現を目標とする」ことで、右とか左の問題ではない。「売国」は「国民の幸福を犠牲にして外国勢力の利益増大を図る」ことだ。

   

「カナダde日本語」の美爾依さんがブログで記事を詳しく紹介してくださった。既得権益を維持することだけに執着し、権力を欲しいままに濫用する現在の政治権力を打破するための最重要の一歩として、次期総選挙での政権交代実現に向けて、人々が力を結集することを何よりも望みます。今後とも貴重な情報を発信くださることを願っております。

  

2001年から2003年の大不況、資産価格暴落は、典型的な「売国政策」だった。この期間に日本経済を崩壊させる理由は何一つなかった。小渕政権の正しい政策で景気回復、金融危機脱出が半ば成功しかけていた。

「売国政策者」は小渕政権を「ばらまき」や「抵抗勢力」の言葉で非難した。しかし、これらの非難は政治的プロパガンダにすぎなかった。客観的データは小渕政権の時代に公共事業(公的総資本形成)が減少し続けたことを証明している。

2001年から2003年の大不況により、多数の罪なき日本国民が犠牲になった。他方で外国資本は日本の優良資産を根こそぎ獲得した。明治政府の「官業払下げ」に類似する、小泉政権による「民業払下げ」が外国の政商に対して実行されたと評価できる。

「民業払下げ」は「官業払下げ」にまで拡張された。経済は破壊され、株価・地価は暴落した。暴落した優良資産の所有権を独占したのは外国資本だった。外国資本の最後の大きな標的は350兆円の郵政資金だった。

350兆円の郵貯・簡保資金だけでなく、郵政が保有する巨大一等地不動産、道路公団が保有する巨大道路資産もターゲットにされている。国際評論家小野寺光一氏がこの問題を的確に指摘されている。

次期総選挙で日本の政治を国民の手に取り戻さなければならない。日本の政治は国民の幸福実現を目標に運営されなければならない。

問題は政治権力がマスメディアを支配し、マスメディアが国民を洗脳しようとしていることだ。真実を洞察する人々が力を結集して、草の根から情報を発信しなければ、危機を乗り越えることはできない。

  

「こづかい帳」さんが重要な情報を紹介された。

渡辺喜美金融相兼行革相の発言を取り上げた7月17日付産経ニュース記事だ。

(引用開始)

7月16日、渡辺喜美金融担当相は訪ねてきた米政府元高官に語りかけた。

「米住宅抵当金融公社の経営不安を憂慮しています。まず、日本は政府の保有分はもとより、民間に対しても住宅公社関連の債券を売らないように言います」

うなずく米要人に対し、渡辺氏は続けた。「米政府が必要とすれば日本の外貨準備の一部を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」

昨年8月の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライム・ローン)危機勃発(ぼっぱつ)後の金融不安は、最近表面化した連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2公社の経営危機でさらに深刻化している。米政府や連邦準備制度理事会(FRB)は公的資金注入など公社救済策を検討中だ。しかし、公的資金必要額は住宅価格下落に比例して膨張する。両公社の住宅ローン関連債権は米住宅ローン総額の半分近い5兆2000億ドル(約550兆円)で、日本の国内総生産(GDP)に相当する。

両公社が発行している住宅関連証券が投げ売りされるようだと、米国のみならず欧州、日本、中国など国際的な信用不安になる。そればかりではない。米国債への信用は損なわれ、ドルは暴落しかねない。

株式の低迷に加え、米国債とドルが暴落すれば、ドルを中心とする国際金融体制は崩壊の危機に瀕し、世界経済全体が根底から揺らぐ。

渡辺案は、米国の自力による住宅公社再建には限界があるとみて、この6月末で1兆ドルを超えた日本の外貨準備を米国の公的資金注入の資金源として提供する思い切った対米協調である。

筆者はこの考え方について、在京米金融筋で米国務省のアドバイザーに感想を聞いた。彼は言う。「同盟国日本が率先して支援の手を差し伸べてくれると、われわれは日本にかつてなく感謝するだろう。日本は救済パッケージで主導性を発揮し、中国にも働きかけてくれればより効果的だ」

中国の外貨準備は6月末で1兆8000億ドルに達し、米国債や米住宅公社関連債券の保有額でも日本をしのぐ世界最大の水準とみられている。中国は貿易や投機を含む投資で流入してくるドルを当局が買い上げ、主として米債券に投資している。ドルが暴落すれば中国も巨額の損失を直接被ることを中国政府は自覚しており、日本が国際協調を呼びかけると同調する可能性は高い。

思い起こすのは、1997年のアジア通貨危機である。日本の財務省は通貨危機打開のために「アジア通貨基金」設立構想を推進した。ところが米クリントン政権が強く日本案に反対し、日本主導を嫌う中国と語り合って、アジア通貨基金構想をつぶした。今回の危機は米国を震源地とする巨大地震であり、中国も米市場の安定は自国経済の死活問題である。

渡辺金融担当相は「まだ私案の段階だが、中国にも協力を呼びかけるつもり」と言う。米金融危機が今後さらに悪化すれば、有力案として浮上しよう。

(編集委員 田村秀男)

(引用終了)

    

中川秀直氏を主軸とする「上げ潮派」は「増税・利上げ・規制強化」に反対している。問題は「利上げ反対・金融緩和維持」の主張だ。

中川氏の近著「官僚国家の崩壊」について、「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が貴重な評論をブログに掲載し、警鐘を鳴らされている。

「インフレ誘導政策」は財政当局の熱望である。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」6「福井日銀総裁追及の深層」にも記述した。

インフレは債務者に利得を、債権者に損失を与える。所得100万円、借金100万円の個人を考える。物価が10倍になるとこの人の所得は1000万円になる。借金100万円は変わらない。借金の重みは10分の1になる。つまり、借金をしている人は救われ、お金を貸す人、預金者が損をする。

日本一の借金王は日本政府だ。激しいインフレ発生を心から喜ぶのは日本政府だ。このとき、預金者=一般国民、国債保有者は激しい損失に直面する。

   

日本の超低金利政策を強く求めてきたのは誰か。財務省と米国だ。中川氏の主張もこの文脈に属する。財務省は利払い費を節約でき、また、心の底で激しいインフレを待望している。

米国は日本の低金利のおかげで、赤字をファイナンスできた。米国は巨額の経常収支赤字を続けている。赤字部分を外国資本の流入で賄っている。米国の赤字を埋めてきたのが日本からの資本流入だ。日本の金利が上昇すれば、日本から米国への資本流入が途絶える。

    

2000年から2008年にかけてドルは暴落した。円から見るとドルは暴落していない。なぜなら、円自身が暴落したからだ。

2000年10月には、

1ユーロ=0.82ドル

1ユーロ=88.8円

だった。これが2008年7月に

 1ユーロ=1.60ドル

 1ユーロ=196.6円

になった。ユーロは円やドルに対して2倍に上昇した。ドルと円はユーロに対して半値に暴落したのだ。

   

 日本の外貨準備は1兆ドル。円に換算して約100兆円として、単純な時価評価をすれば、ドル運用とユーロ運用で、100兆円の差が生じた。

 日本政府は米国に隷属して、ドル資産に100兆円もの資金を注ぎ込んだ。この資金をユーロに投入した場合との時価評価差が100兆円だ。

 100兆円あればすべての日本国民に1人100万円配分できる。国民福祉をどれだけ充実できるだろうか。高齢者が安心して暮らすことのできる政策を実行して十分なおつりがくる。

     

 ドル暴落の印象が薄れているのは、日本円が暴落したからだ。米ドルの対日本円レートはこの期間、横ばいで推移した。暴落した通貨同士を比較すると、通貨暴落の事実を隠ぺいすることができる。

 日本の一人当たりGDPの世界順位が急落したが、最大の要因は日本円の下落にある。円金額が同水準でも、欧州諸国と比較すると日本の所得金額は半分になるからだ。

    

 「上げ潮派」は日本銀行の利上げに反対する。日本の超低金利が円安の最大の背景になってきた。

円安は日本の時価評価を下落させ、購買力を低下させる。外国資本にとっては、日本の実物資産取得が極めて容易になる。日本占領が容易になるのだ。

円安誘導を喜ぶのは日本の輸出製造業だけだ。日本の経済国力は円安に連動して著しく下落した。

 上記ニュース報道は、渡辺金融相がこの期に及んで日本の外貨準備を米国住宅金融公社救済資金として活用する可能性について言及したこと伝えている。

 渡辺氏は外貨準備を自分のこづかいと考えているのだろうか。渡辺氏が自分のポケットマネーで住宅金融公社の救済をするのなら自由に決めればよい。

 外貨準備は渡辺氏のポケットマネーではない。貴重な国民資産なのだ。渡辺氏は日本の政府系ファンド(SWF)創設積極論者と伝えられているが、この感覚でSWFを創設されたのでは、国民はたまらない。

仮に渡辺氏に外国勢力から返礼があるとしても、国民は損失を蒙るだけだ。

     

 米国への安易な資本供給が米国の節度を低下させる弊害も考慮しなければならない。バブル期の過剰融資に類似する問題だ。

バブル企業に金融機関が安易に資金を貸し込んだことが問題を拡大させた。旧長銀も旧日債銀もその責任を問われる。

 ドル下落をもたらすファンダメンタルズを放置したままの米国に日本政府がドル買い支えで資本を供給することが、米国政府のファンダメンタルズ改善への必要性を減じさせてしまう。日本の安易な資本供給姿勢が「モラル・ハザード」を生み出す原因になるのだ。

    

 1997年6月、橋本元首相がニューヨークでの講演で米国国債売却を示唆して、米国政府の激しい攻撃を受けた。日本政府のドル資産への安易な資金供給は日本政府の米国隷属の象徴でもある。

 「りそな」疑惑以外にも、「日興コーディアル」問題、西武鉄道保有不動産処分問題など、詳細を明らかにしなければならない問題が山積している。

 次期総選挙までに、これらの問題を明らかにしなければならない。

「国民の国民による国民ための政府」をどうしても樹立しなければならない。

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