カテゴリー「小泉竹中「改革」政策」の16件の記事

2013年4月11日 (木)

産業利権対民営化利権の争い激化する競争力会議

産業競争力会議が利権争いの巣窟と化している。


米国と連携して米国資本による日本収奪に加担していると見られる日本経済新聞は、産業競争力会議を通じて、米国資本が巨大利得を得る方向に議論の誘導を試みている。


その一端が4月9日付紙面に登場した。


編集委員の清水真人氏によるコラム記事


「「竹中ペーパー」が首相に迫る規制改革の踏み絵」


である。


清水氏は産業競争力会議が二つの派閥に分裂していると指摘する。


第2回会合で、


「科学技術振興費の拡充」を主張した東レ会長の榊原定征、コマツ会長の坂根正弘、みずほフィナンシャルグループ社長の佐藤康博、東大教授の橋本和仁のグループと、


これに反対する竹中平蔵、楽天社長の三木谷浩史、ローソン社長の新浪剛史、サキコーポレーション社長の秋山咲恵らのグループに、


内部が二つの派閥に分裂していることを指摘する。


もちろん、日本経済新聞の清水氏は、竹中支援勢力である。

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日経新聞の清水真人は竹中らの主張を、「予算増額の検討に際しては、政府を肥大化させないよう各省から相応のスクラップを提供すべき」として、官僚の焼け太りを阻止する正論として紹介する。


同時に清水は、「アベノミクス戦略特区」と公営事業の運営権を民間に売却する提案を示す竹中グループに与する。


清水は、政府出資の官民ファンドなどを通じて特定産業を支援するような官主導の成長戦略は「国家資本主義」だと批判する竹中の主張を紹介する。


そして、企業に自由を与え、体質を筋肉質にしていく規制改革などの自由化路線が成長戦略の一丁目一番地だとする意見を紹介する。


コラム記事の場を使って、竹中グループの代弁を行い、竹中御用記事にまとめあげている。


政府主催の会議を使って産業界が補助金行政を引き出そうとするのは言語道断だが、竹中グループが主張する「経済特区」と「政治事業運営権の民営化」もピュアな政策提言ではない。


「民営化という名の利権」が渦巻いていることを見落とせない。


「補助金行政の主張」が悪で、「特区と民営化規制の主張」が善であるとの見立てはあまりにも表層的に過ぎる。


清水記者がすべてを承知の上で竹中グループに与しているのか、裏側を知らずに単に乗せられているだけなのかは分からないが、この種の論議を行う場合に、「民営化利権」の問題を見落とすことは許されない。

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「民営化利権ビジネス」のビジネスモデルの原型は旧社会主義国にある。


中国やロシアにおいては、「民営化利権ビジネス」が巨大な富を生み出す「打ち出の小槌」として機能してきた。


日本においても、明治時代の官業払下げが巨大財閥を生み出す原動力となったことがよく知られている。


「北海道開拓使官有物払下げ事件」なども、政府による官業払下げが巨大利権であることを物語る事例のひとつである。

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ここで留意が必要なことは、小泉竹中政治時代の民営化も、またこの例外ではなかったことだ。


小泉竹中政治時代の民営化は三つしかない。


住宅金融公庫の廃止、道路公団の民営化、郵政民営化である。


この三つがいかなる目的で、誰の利益のために実行されたものであったかを検証する必要がある。


住宅金融公庫はバブル崩壊で収益源が減少した銀行界が住宅ローンビジネスを奪い取るために実施された施策である。


政府系金融機関のなかで、唯一といってよい存続が必要であった住宅金融公庫が廃止された。


国民のための廃止ではない。銀行業界のための廃止だった。


住宅金融公庫がなくなったために、多数の庶民が住宅ローンを組むことができなくなった。


銀行は中小零細企業の従業員や経営者が申し込む住宅ローンを無情に拒絶している。


他方で、存在意義がなくなった日本政策投資銀行や国際協力銀行などの公的金融機関は肥大化して存続された。財務省などの最重要天下り先であるからだ。


東京大手町の大手町ファイナンシャルシティに行って、日本政策投資銀行などの政府系金融機関のオフィスを見て来てもらいたい。


官僚は自分たちの福利厚生の引き上げには余念がないのだ。

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高速道路は政府の管理下に置いて、無駄な経費を完全に排除するべきだが、高い道路料金を認めたままで民営化すれば、巨大利権が私物化されるだけである。


本来、高速道路は順次無料化して、その管理は明確に政府の監視下に置いて、国会のチェックを受けられる形にするべきものなのだ。


「民営化」の名の下に巨大な利権が官僚や政治家の懐に転がり込んでいる。


そして、その典型例が郵政民営化であった。


竹中氏が主導した郵政民営化は、日本郵政グループが保持する、郵便貯金、簡易保険、巨大不動産の利権を外国資本が収奪するためのものであった。


国民のための施策ではない。外国資本が巨大利得を得るためのプログラムであった。


「かんぽの宿不正売却未遂事案疑惑」は、その断片として、かんぽの宿が不正に特定の資本に払い下げられようとした事案である。

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産業競争力会議に提示される、「経済特区」と「官営事業運営権の売却」の提案は、まったく同じ図式のなかで示されるものである。


国民に利益をもたらすものではなく、外国資本が日本の富を収奪するための方策であることを明確に認識する必要がある。

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2012年9月 4日 (火)

大阪維新は小泉竹中政治の二番煎じに過ぎない

メディアが大阪維新を過剰報道している。


同時に、国民的論議が必要である消費増税の是非を考察する報道は皆無に近い。


8月10日に消費増税法案が参院で可決されて以来、テレビ、新聞の情報空間は、オリンピック、尖閣、竹島に占拠されてきたと言ってよい。


そして今度は自民党と民主党の代表選報道だ。


選挙は衆院の定数是正問題を言い訳に2013年に先送りされるのだろう。それでも、野田佳彦氏に対する問責決議が可決されているから、ずるずると先送りすることは不可能だ。


通常国会冒頭の解散、2月の選挙となるのだろう。


選挙を先送りする最大の理由は、消費増税を次の総選挙の争点としないことにある。この問題を風化させ、別の争点を人為的に浮上させて選挙を行うことが画策されている。


また、脱原発を争点とすれば、脱原発が圧倒的多数に支持されることも明白だ。この問題も、曖昧化して決定的な争点とはならないようにする策略が練られている。


こうした、既成権力の悪計を粉砕しなければならない。


民自公の三党は、消費増税推進、原発推進の方針を維持するわけで、次の総選挙では、これに対抗する、消費増税阻止、脱原発方針確定の方針を示す政治勢力と正面からの戦いを演じなければならない。


既成権力、つまり、米官業利権複合体は、この反消費増税、脱原発の政治勢力に国会議席過半数を占有されないことを最優先課題に位置付けている。


「第三極」騒ぎは、そのための姑息な演出にすぎない。


大阪維新を過剰宣伝して、反消費増税・脱原発国民連合が衆議院過半数を確保するのを阻止しようとしているのである。

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その大阪維新が「維新八策」なるものを提示した。


大阪維新サイトがあるのだから、このサイトに掲示するべきところ、不可思議なことに、この「維新八策」が日本経済新聞だけに掲載された。両者は癒着関係にあると見られる。


「維新八策」の詳細な検討はメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第335号に記述したので、そちらをご高覧賜りたいが、一言で結論を示すなら、「大阪維新」は小泉竹中政治の二番煎じに過ぎないということになる。

大阪維新の基本方針を要約するなら、


対米隷属
弱肉強食奨励
強欲資本主義


ということになる。


基本において「みんなの党」、「自民党上げ潮派」、「大阪維新」は同種同根である。


2009年8月総選挙においては、「米官業が支配する日本政治」の「主権者国民が支配する日本政治」への刷新を目指した当時の民主党に投票が集中しないように、偽装CHANGE政党の「みんなの党」が創設された。


それでも、政治刷新を求める主権者国民の意思は強く、当時の正統民主党が総選挙に圧勝して政権交代を実現することに成功した。


今回は、民自公とメディアが創出する「第三極」の大阪維新を合わせて衆議院過半数を確保することが彼らの狙いである。

これを阻止しなければならない。そのためには、反消費増税・脱原発の旗を明確に掲げるとともに、この旗の下に集結できる勢力が「統一戦線」を構築しなければならない。


「大阪維新」が明確に対米隷属の方針を示すなら、統一戦線は明確に反TPPの方針を示すべきだ。


脱原発・反消費増税・反TPPの方針は「主権者国民連合」の基本方針であり、この旗の下に集結する政治勢力を「主権者国民連合」が全面的に支援することになる。

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「大阪維新」が提示した「維新八策」の問題点を列挙する。


1.統治機構の作り直し


首相公選制は単なる人気投票で首相が決められてしまうリスクが非常に大きい。そのリスクを排除するための具体的な対策が示されていない。


財政力の地域格差が極めて大きいが、これを調整する仕組みが明確でない。


道州制は基礎自治体と国の間に中二階を創設するもので、行政の効率化に反するものである。


2.財政・行政改革


天下り全面禁止が明記されていない。


企業・団体献金の全面禁止が明確に示されていない。


3.公務員制度改革


公務員の天下り全面禁止の文字がどこにも見当たらない。


4.教育改革


「エリート養成」ばかりが強調され、すべての国民の「教育を受ける権利」が軽視されている。


5.社会保障制度


「真の弱者を徹底的に支援」との表現は、支援の対象を切り込むことを示している。


混合診療の全面解禁が実行されれば、日本の公的医療保険制度の根幹が破壊される。


6.経済政策・雇用政策・税制


TPP参加に賛成し、脱原発は脱原発依存に後退した。百万歩の後退だ。


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7.外交・防衛


「日米同盟を基軸」、すなわち、対米隷属の基本姿勢が鮮明である。


8.憲法改正


首相公選導入、第九条改正の方向が明確に示される。


小泉竹中政治を否定するなら、大阪維新を否定するべきだ。



「大阪維新」の本性を明らかにした


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2010年3月19日 (金)

衆院予算委小泉俊明議員の小泉竹中改革総括

2010年2月9日の衆議院予算員会で民主党の小泉俊明議員が質問に立った。

小泉竹中改革の総括をテーマに、極めて説得力のある主張を展開された。

問題の重要性をすでに多くの方が示されている。

「父さんの日記」様は3月17日付記事

一気に広めよう、小泉・竹中構造改革(売国政治)の総括」

に、各種情報を総括して示して下さった。

 「とくらBlog」様は小泉議員が国会質疑で用いられた資料を公開くださっている。

 また、「杉並からの情報発信です」様も問題を大きく取り上げられている。

 まずは、国会TVで、小泉俊明議員の質疑を自分の目でご確認いただきたい。2009年2月9日衆議院予算委員会から小泉俊明議員質疑を選択していただければ、誰でも閲覧可能である。

 すでに上記ブログ記事でも触れられているが、質問の最後で小泉俊明議員は「政権交代によって売国政治が終わりを告げた」とはっきりと発言されているが、議事録では「売国」が削除されたのかどうか。この点を確認する必要があると思われる。

小泉議員は2005年9月の郵政民営化選挙によって国会議員の職を4年間も離れられた。優れた人材が国会から引き離されたことは、国民にとっての大きな損失であったと言える。昨年8月の総選挙で見事に復活されたことを私も心から祝福申し上げている。2006年には牛久での講演会にお招きを賜り、講演をさせていただいた。

小泉俊明議員は2月9日の衆議院予算委員会質疑で、いまもっとも重要な問題が経済、景気の問題であると指摘され、

「国民の期待にこたえ、効果的な対策を打つためには、経済の現状を正しく認識するとともに、原因を正しく分析することが不可欠である。」

「私は、この観点から、一貫して、この予算委員会そして財務金融委員会におきまして、小泉元総理そして竹中大臣に徹底的に闘いを挑んできた。」

「政権交代を果たした今こそ、あの小泉構造改革とは一体何だったのかということを検証していかなければならないと思う。」

と述べたうえで、2001年から2004年にかけての日本経済の推移についての迫力ある説明を示された。

2001年4月に小泉政権が発足したとき、日経平均株価は14,000円だった。この株価が2年後の2003年4月に7600円に暴落した。

株価暴落の主因は、

①財政再建原理主義による超緊縮財政を強行したこと、

②「退出すべき企業は市場から退出させる」方針が取られたこと、

にあった。

小泉議員はさらに減損会計の強硬実施などの事項を付け加えられていた。

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私は本ブログで、外国為替資金特別会計による野放図なドル買い介入の闇について繰り返し言及してきた。最大の闇は2002年10月から2004年3月にかけての1年半に実行されたドル買い介入である。小泉議員はこの期間のドル買い介入が35兆円存在したことを明示した。

為替市場の動向から判断する限り、この規模でのドル買い介入を正当化する市場変動は存在しなかった。闇のなかでこの巨大な資金供与が実行されたのである。

日本政府が35兆円の米国国債を購入した。米国の米国国債保有者は35兆円の資金を手にした。この資金が原資となりNY株価が急騰し、また、35兆円のうち、半分が日本株式取得資金に充当された。

日本では、日経平均株価が14000円から7600円に暴落する過程である。日本の投資家は金融恐慌を警戒して保有株式を泣く泣く投げ売りした。

竹中平蔵金融相が2002年10月、大銀行が大きすぎるからつぶさないとの政策を取らないと明言したことが、株価暴落の主因だった。

ところが、結局、竹中氏は2003年5月、俎上に載せたりそな銀行に2兆円の公的資金を投入して、救済したのである。

これが、「りそな銀行疑惑」の核心である。

詳細は、

カテゴリー「竹中金融行政の闇」

各記事を熟読賜りたい。

竹中平蔵氏は2003年2月7日の閣議後懇談会で、株価連動投信ETFについて、「絶対儲かる」発言を示し、物議を醸した。

預金保険法102条第1項第1号規定という「法の抜け穴」を用いてりそな銀行を救済するシナリオが米国によって用意されていたと考えられる。

巨大な「風説の流布」、「相場操縦」、「インサイダー取引」が実行された疑いが濃厚なのである。「インサイダー情報」を手にした外国資本が20兆円弱の資金を日本株取得に投入したのだと考えられる。

2003年にかけての日本経済の崩壊、株価暴落は人為的に創出されたものである。この経済崩壊により、多くの罪なき市民が失業、倒産、経済苦自殺の灼熱地獄に追い込まれたのである。

この2003年にかけての日本経済崩壊はまったく必要のないものだった。適切な経済政策が実行されていたなら、日本経済の悪化も株価暴落も、その延長上の失業、倒産、自殺は生まれなかったのである。

この経済破壊は、外国資本に巨大な利益を供与するために仕組まれた可能性が濃厚なのである。

政権交代が実現したいま、歴史が厳密に検証されなければならない。国会の場で、予算委員会の場で、このような論議が提起された意味は極めて大きい。

小泉俊明議員は、日本経済崩壊、株価暴落と外為介入での米国への資金提供と、外国資本による日本株式取得のところまでしか今回は説明をしなかった。

恐らく、今後、さらに深い闇にメスを入れてゆくものと思われる。

村木厚子元厚労省局長の冤罪事件公判では、ついに飯島勲元秘書の名前が登場した。

「天網恢恢疎にして漏らさず」

りそな疑惑、かんぽの宿疑惑、厚労省局長冤罪事件など、全貌を白日の下に晒さなければならない事案が山積している。もちろん、私が巻き込まれた冤罪事件の全貌も明らかにしなければならない。

鳩山政権が本年夏の参院選に勝利して、2013年までの時間をまずは確保することが不可欠である。

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2009年9月28日 (月)

『国民生活重視の経済成長戦略を描け』

9月27日付本ブログ記事再掲載

内外市場の株価は本年3月の危機的状況を脱しているが、世界的に景気低迷は深刻だ。9月4日発表の米国の8月の失業率は9・7%に上昇して83年6月の10・1%以来、約26年ぶりの高水準を記録した。非農業部門の雇用者数は20ヶ月連続で減少しその合計は約690万人に達した。

一方、日本の7月失業率は5・7%に上昇した。完全失業者数は前年比で103万人増加し、359万に達した。有効求人倍率は0・42倍に低下した。深刻な景気不振が国民生活を苦しめている。

麻生政権は昨年10月以来、3度の補正予算を編成して27兆円も財源赤字を拡大させた。民主党の子ども手当などの財源が問題とされてきたが、民主党の提案した諸施策は2010年度、2011年度合計でも20兆円に満たない。

麻生政権が成立させた2009年度補正予算では天下り費用にもつながる基金に4・3兆円、官庁等の営繕費に2・8兆円等「役人お手盛り予算」が満載だ。鳩山新政権は補正予算執行を凍結する方針を示しているが、そうはさせまいと予算執行が加速されているようだ。

鳩山新政権には、これまで「官」と「業」に偏って配分されていた国家予算配分に大ナタを振るい、国民生活安定を最優先する政策運営を望みたい。

経済情勢の現状を踏まえれば、性急な財政収支改善至上政策は有害だ。一部に一段の金融緩和政策を求める主張があるがこれは正しくない。詳しくは元衆議院議員鈴木淑夫博士の近著『日本の経済針路―新政権は何をなすべきか 』をご高覧賜りたい。

内需主導の正しい経済成長戦略が明示されている。

2009年9月5日執筆

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『企業献金全面禁止の法制化を急げ』

1993年の細川政権樹立から16年の時を経て本格政権交代が実現した。1853年のペリー来航から戊辰戦争が終結し、明治維新が名実ともに実現した1869年までに要した時間と同等だ。

政権交代が繰り返し生じる新しい政治状況が生まれたのかどうか。今後の動向を注意深く見極めなければならない。

日本の政治状況に新時代が到来したのかを見極める最大の試金石は「企業献金の全面禁止」にあると考える。政党交付金を上回る巨大な規模の企業献金が政治に巨大な影響を及ぼしてきたことは紛れもない事実だ。

グローバリゼーションの進展、所得階層の二極化のなかで、企業・団体の利益と一般国民の利益は明確に対立するようになった。少数の富裕層と大多数の少所得者層の二極化を加速したのが、小泉・竹中政治だった。

この意味で大企業、富裕層のみに優しい政策を推進した自民党が壊滅的に敗北を喫したのは歴史的必然であった。

民主党前代表の小沢一郎氏が新たに幹事長に就任することで、民主党が新しい自民党になるのではないかとの頓珍漢な批評をする論者がいる。民主党が仮に新たな自民党に変身するのなら日本政治は確実に死を迎えるだろう。

新しい政治を生み出す原動力が企業献金の全面禁止である。主権者である国民に正面を向けて切磋琢磨する二大政党とその他の小政党が誕生し、政権交代を繰り返すなら、日本政治は着実に主権者である国民の手元に引き寄せられることになるだろう。

新しい国会では鳩山新総理や小沢一郎前代表の献金問題も論じられることになると思われるが、これを契機に企業献金全面禁止を実現させれば画期的である。

大企業は企業を社会貢献としての献金だと説明するが、そうであるなら政党交付金全体に寄付するなり、社会貢献税を新設すればよいのではないか。民主党が早期に企業献金全面禁止の政権公約実現させることを強く要望する。

2009年9月5日執筆

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2009年7月30日 (木)

小泉元首相に続き津島雄二氏も世襲候補擁立

自民党津島派会長の津島雄二氏が次期総選挙に立候補しないことを表明した。自民党青森県連は空白になる青森1区の衆議院選候補者に津島雄二氏の長男である津島淳氏を擁立する方針を決めた。

形式的には公募の形をとったが、実体は世襲議員候補の擁立である。自民党本部は世襲批判を考慮して津島淳氏を公認しないことを検討しているが、仮に公認しなくても、選挙で当選すれば追加公認するのだろう。

自民党は世襲議員のたまり場と化している。世襲議員でも能力があり、国民のために心血を注いで仕事をする人物であれば、国会議員になることを妨げる理由はない。本人の意思と能力は尊重されるべきであろう。

しかし、選挙で当選するには「地盤、看板、かばん」の三つが必要と言われるように後援会組織、知名度、政治資金が求められる。世襲議員は、この三つを引き継ぐため、他の候補者と競争条件が同一でない。

このため世襲議員は当選しやすく、自民党には世襲議員がごろごろしている。

世襲しやすいと言っても、子が親の仕事を引き継ぎたいと思わなければ世襲は成立しない。地方都市のシャッター街商店では子が店を引き継がないために閉店を余儀なく迫られるケースが多数を占める。農業などでも若い後継者が激減している。

自民党で世襲議員が多いのは、世襲したいとのインセンティブが働くからだろう。その要因のひとつに「企業献金」があると考えられる。

企業は企業にメリットがあるから献金をする。見返りがないのに献金をすれば、株主から背任であると突き上げられる。したがって、企業献金には献金と、献金を受けた政治家や政党の仕事との因果関係が必ず生まれることになる。

実際、2007年の政治献金実績を見ると

自民:総額224億円、うち企業献金168億円
民主:総額 40億円、うち企業献金18億円

もの献金が行なわれている。

 他方、2007年の政党交付金は以下の通りだ。

自民党 165億9583万7000円 
民主党 110億6382万4000円 

だ。政党助成金は、企業団体献金を制限する代償として、国費で政党活動を助成するために1994年の立法で導入された制度である。

 だが、自民党は政党交付金を上回る金額を政治献金で獲得している。

 この政治献金が日本の政治を歪めていると言わざるを得ない。政治献金の不当性についての専門的考察は、本ブログに寄稿下さった鬼頭栄美子弁護士の論考(その1)(その2)(その3)を参照いただきたいが、巨大な政治献金が自民党政治を国民の側にではなく、大企業の側に向かせる原動力になってきたことは否めない。

 自民党政治家は大企業のために行動し、大企業はその対価として自民党議員ないし自民党に政治献金を支払う。

 政治家個人に対する政治献金は禁止されているが、企業から政党支部への献金は認められており、政党支部から政治家個人の資金管理団体への資金移転が認められているから、実体的には政治家個人への政治献金は存続している。

 こうしたことから、自民党議員が政治献金を得ることを政治活動の目的としてしまうことも考えられる。自民党議員で世襲が際立って多いのは、自民党議員という職業が政治献金の存在を前提としたときに、営利的視点から極めて魅力のある職業になっていることが一因であると考えられるのだ。

 この見地に立って考えてみても、企業献金を全面禁止する意義は極めて大きいと考えられる。国民は「お金が儲かるから政治家になる」と考える人に政治家になってほしいと思わない。

 ほとんどの国民は純粋に国民のために心血を注ごうと思う人に政治家になってほしいと考えている。企業献金の存在は営利目的で政治家を目指す人物を生み出す原因になっていると考えられるのだ。

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 国政を担う国会議員を選出するにあたっては、国民にとって優れた人物を選出することが大切である。世襲を無制限に認めると、「地盤、看板、かばん」で優位に立つ世襲候補が有利な状況で選挙が行なわれてしまう。国会議員候補者における「機会の平等」が損なわれる。

 そこで、「機会の平等」を確保するための制限措置が求められることになる。

 具体的には、

①同一選挙区からの立候補を認めない

②政治資金の承継を認めない

の二つの対応が有効であると考えられる。

 先代が国会議員をやめて20年も時間が経過したのなら、同一選挙区から立候補しても構わないだろう。しかし、10年なり、15年なり、一定期間以内の立候補は禁止するべきだ。

 政治資金には税制上の優遇措置が取られている。この資金力の差が、最も大きな競争条件の格差を生む。政治資金の承継を禁止するべきである。

世襲候補が選挙区を変えても、一般的には「知名度」は残る。したがって、上記の二つの制限を課せられても、世襲候補はなお有利な条件を保持するのである。

民主党は政権公約に企業献金禁止と世襲制限を盛り込んだ。

民主党のマニフェストから、企業献金全面禁止、議員世襲制限にかかる記述を以下に転載する。

【企業献金】

○政治資金規正法を改正し、その3年後

 から企業団体の献金及びパーティー券

 購入を禁止する。

○当面の措置として、国や自治体と1件

 1億円以上の契約関係にある企業等の

 政治献金・パーティー券購入を禁止する。

【世襲制限】

○現職の国会議員の配偶者及び三親等以

 内の親族が、同一選挙区から連続して

 立候補することは、民主党のルールと

 して認めない。

○政治資金を取り扱う団体を親族に引き

 継ぐことは、法律で禁止する。

自民党の対応は、まったく逆である。

小泉純一郎氏は二男の小泉進次郎氏を世襲候補として擁立した。「小泉改革」の真価をいかんなく発揮する対応だ。

自民党青森県連は津島氏の擁立方針を変えないだろう。自民党に「変革」の意欲はない。また、1970年最高裁判例を金科玉条に政治献金の存続を図ろうとするのだろう。

自民党は31日にマニフェストを発表する予定だが、企業献金、世襲制限について、どのような判断を示すのかが注目される。

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2009年5月24日 (日)

失政主犯竹中平蔵氏延命に懸命の田原総一朗氏

 ものごとがよく見える人は田原総一朗氏のいかがわしさを正確に見抜く。しかし、田原氏のテレビ出演機会が多いために、ものごとがよく見えない人は、その発言に籠絡(ろうらく)されてしまう。

田原氏は小沢一郎民主党代表を代表の座から引きずり下ろすことに懸命に取り組んできた。本ブログで指摘してきたように、1955年体制確立以来、55年間も維持し続けてきた既得権益を死守しようとする「政治屋・官僚・大資本」に「米国・御用メディア」を加えた「政官業外電の悪徳ペンタゴン」は、小沢一郎氏を最も大きな脅威と見定めて、攻撃し続けてきた。

田原総一朗氏がテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」などで展開し続けてきた小沢一郎氏批判は、「悪徳ペンタゴン」の意志を背景にしたものだと思われる。

5月11日に小沢一郎氏は民主党代表を辞任する意向を電撃的に発表した。民主党は直ちに後継代表選出の日程を決定し、5月16日に鳩山由紀夫氏を民主党新代表に選出した。民主党代表選後の各社世論調査では、
次期首相にふさわしい人物 鳩山氏 > 麻生氏
次期総選挙での投票対象  民主党 > 自民党
政党支持率        民主党 > 自民党

の結果が示された。

小沢氏は、卑劣な政治謀略による攻撃を見極め、ギリギリのところで民主党を危機から脱出させることに成功を収めた。小沢氏の力量がいかんなく発揮された。油断は許されないが、民主党が次期総選挙で勝利し、政権交代を実現する可能性は確実に高まっている。

5月17日放送の「サンデープロジェクト」で、田原総一朗氏の態度が豹変し、民主党びいきの発言が繰り返された。風向きの変化を知って保身に動き始めたのだろう。しかし、これまで同番組が民主党内反小沢陣営議員ばかりを出演させてきたことは客観的に明らかであるし、田原氏が一貫して小沢代表攻撃を続けてきたことはたしかである。

田原総一朗氏は4月25日放送の「朝まで生テレビ」で、北朝鮮による拉致被害者である横田めぐみさんと有本恵子さんについて、「横田めぐみさんと有本恵子さんは生きていない」と断言した。さらに田原氏は、「外務省も生きていないことは分かっている」と発言した。

この発言に対して拉致被害者家族会と支援組織「救う会」は5月11日、田原氏とテレビ朝日に抗議文を送付した。これに対して田原氏は「家族会の方が抗議される気持ちはよく分かる。しかし、私は事実を言ったまで。情報源は言えないが情報を得ている」と反論したことが報道された。

この問題について中曽根外相は5月19日の閣議後記者会見で、「田原氏の発言はまったくの誤りだ」と指摘した。

田原氏は5月14日付日経BPnet寄稿記事に次のように記述している。

「私の言葉が足りなかったのかもしれない。
「被害者が生きていない」と私が発言したということだけが大きく取り上げられているが、私の主張は、北朝鮮と本格的な、本気の交渉することが政府の責任であり、それが被害者家族の方々に対しても責任を果たすことになる、ということだ。
 しかし、私の言葉が足らなかったために、被害者家族の方を傷つけ、あるいは怒らせてしまったことは申しわけなく、それについてはお詫びしたい。」

「言葉が足りる、足りない」が問題なのではない。事実が問題なのだ。

田原氏が確実な情報に基づいて発言したなら、その根拠を明示すべきだ。「外務省もわかっている」との田原氏の発言について、外相が完全否定しているのだ。明確な根拠を示せないのだろう。

田原氏が明確な反論を示せないなら、田原氏の発言全体の信憑性(しんぴょうせい)が低下する。もともと信憑性が低いと洞察してきた人々に変化は生じないが、信憑性が低いことの根拠が明らかになったことには意味がある。

田原氏がいい加減な発言をしていることが明らかになったと言えるだろう。今後は、すべての視聴者が、その前提で田原氏の発言を受け止める必要がある。

本日5月24日放送の「サンデープロジェクト」も偏向報道の特徴をいかんなく発揮した。

各党討論会では、不自然な4党討論形式が採られる。

NHKでも政治討論会は6党討論である。共産党は反民主党の行動を示しているから、4党討論では、自・公VS民主VS共産の図式になる。共産党は対民主党では自民党に足並みを合わせることが多い。民主党は1対3の図式で討論に応じなければならない。4党討論が民主党攻撃の目的を持つことは明白だ。

田原総一朗氏は竹中平蔵氏の政治生命を維持させる「使命」を帯びているのだろう。日経新聞、よみうりテレビ、産経新聞、テレビ朝日が懸命に竹中平蔵氏の政治生命延命を図っている。

日本郵政の西川善文社長を強引に続投させようとする勢力が存在する。

竹中平蔵氏を延命させようとする勢力と重なると考えられる。

「市場原理主義者」、「売国主義者」が重なる。

日本経済の崩壊、社会の荒廃をもたらしたのが、小泉竹中政治の「市場原理主義」だった。日本全体が外国資本に収奪され、その最後の仕上げとして、巨大な日本郵政グループがいま「私物化」されつつある。

「市場原理主義者」、「売国主義者」をせん滅しなければならないが、これらの勢力が「ゾンビ」のように蠢(うごめ)いている。「ゾンビ」と「ゾンビの延命に手を貸す勢力」を見極めて、そのせん滅を図らなければならない。

竹中平蔵氏の失敗はもはや誰の目にも明らかになっている。

竹中氏は、支援者のいる「やらせ」の場にしか登場しない。国会への出頭から逃げ回っている。この日の番組では渡部某氏とかいう支援者が予定通りに意味不明の援護射撃を演じた。

番組は竹中氏と加藤紘一氏の対論を放送した。小泉竹中経済政策の失敗は明らかである。竹中氏は言葉の多さでごまかそうとするが、真実を知る者をごまかすことはできない。

下のグラフを改めて見ていただきたい。

Nikkei04220914  

日本は1990年以降のバブル崩壊過程で、3回の政策失敗を演じた。

1回目は1992-93年である。バブルが崩壊し、金融問題が表面化した。住宅金融専門会社の経営危機が表面化した。この時点で不良債権の抜本処理を断行すべきだった。私は92年10月の日経新聞「経済教室」に「公的資金投入を含む問題処理策」を提言したが、当時、抜本処理を主張した者はほとんどいなかった。結局、大蔵省は問題の隠ぺいと先送りを実施した。

2回目の失敗は1996-98年だった。日本経済が浮上した1996年、橋本政権は大蔵省の路線に乗せられて大型増税方針を決定した。当時の政調会長が加藤紘一氏だった。大型増税で日本経済を悪化させ、株価を暴落させ、金融問題を噴出させてしまった。

3回目の失敗2000-03年の日本経済破壊である。森政権、小泉政権が橋本政権を上回る緊縮財政を実行した。その結果、日本経済崩壊、株価暴落に連動して金融問題が火を噴いた。

96-98年とまったく同じ失敗を犯した。今日の放送で竹中氏が指摘したように、96-98年に加藤紘一氏を含む当時の政権が政策失敗したのは事実だが、その失敗を竹中氏が2001-03年に繰り返したのだ。加藤氏はこの点を指摘しなければならなかった。

しかも、2001年の自民党総裁選で、96-98年の失敗の総責任者である橋本元首相が「同じ轍(てつ)を踏まぬ」よう強い警告を発した。この警告を無視して同じ失敗を繰り返したのが小泉竹中政権である。こちらの方が、はるかに罪が深い。

2008年から2009年にかけて、米国が反面教師として活用したのが、96-98年の橋本政権の失敗、01-03年の小泉竹中政権の失敗だった。

金融危機が深刻なときに緊縮策を強行するのは自殺行為である。96-98年の失敗、01-03年の失敗の本質がこの点にある。

米国は、金融危機を深刻化させないために、大胆な財政政策発動、超金融緩和政策、大胆な資本注入政策を総動員した。日本の実例で言えば、この政策を採用して日本経済を危機から救出したのは小渕政権である。竹中氏は小渕政権の財政政策活用を批判し続けた。しかし、いま米国が採用している政策体系は、まさに小渕政権が採用した政策体系と同一のものである。

竹中さん、嘘を言ってはいけない。2001-03年の日本経済崩壊は、小泉竹中経済政策によるもので、03-06年の改善は焼け野原からの軽微な改善に過ぎない。

本来、日本経済と日本社会を破壊した主犯として糾弾(きゅうだん)されなければならない人物を、人為的操作で延命させてはならない。

日本経済を破壊し、日本を収奪し尽くそうとする勢力が存在する。この勢力の日本支配力が依然として根強い。

「ゾンビ」を延命させ、「ゾンビ」の復活を許せば、日本再生の希望は挫(くじ)かれる。メディアには多くの工作員が配置され、国民の洗脳が企(くわだ)てられている。ネットから真実の情報を発信して、日本国民洗脳の悪行に立ち向かわねばならない。

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2009年4月12日 (日)

「サンプロ」竹中平蔵氏「存在の耐えられない」誤謬

 4月12日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」に、度重なる国会での参考人招致にもかかわらず、国会への出頭を拒否し続けている竹中平蔵氏が出演した。竹中氏と仲良しグループを形成している御用電波芸者とも呼ばれる田原総一朗氏も、竹中氏に対して国会に出頭すべきと苦言を呈する必要があるのではないか。

竹中氏がこの番組に出演するのは、番組コメンテーターの財部誠一氏が決まって援護射撃をするからだ。やらせのような出来レースの場以外に竹中氏は出て来ない。

しかし、郵政民営化は竹中氏が法案策定に深く係わって実行された政策である。竹中氏と法案策定の係わりは、竹中氏が自著で「大臣が法案作成にこれだけ直接かつ詳細に係わったのは前代未聞のことだった」と記述するほどのものだった。

2004年4月から2005年4月までの1年間に郵政民営化準備室は米国関係者と17回も会合を重ねて郵政民営化関連法案を策定した。このことを衆議院郵政民営化特別委員会の質疑で明らかにした城内実氏は、竹中氏サイドからこの質問を竹中氏に直接糺(ただ)すこと勘弁して欲しいと懇願されたことを明らかにされている。

かんぽの宿売却規定は法案確定の直前に、竹中氏の指示で日本郵政株式会社法の附則に盛り込まれたことも国会審議で明らかにされた。

貴重な国民資産が破格の安値でオリックス不動産に売却されようとしていた。ギリギリのところで、この不正売却は回避されたが、問題の全容はまだ明らかにされていない。竹中氏は、出来レースや「やらせの場」でのみ、稚拙な反論を繰り返しているが、単なる「犬の遠吠え」にしかなっていない。

国会で国民が十分に納得できる説明をする責任を負っている。竹中氏がどうしても参考人での出頭を拒否するのなら、国会は竹中氏を証人として喚問することを検討するべきだ。

今日の番組では、リチャード・クー氏との討論が行われ、経済の底入れが実現しつつあるのかどうかがテーマとされたが、そもそも竹中氏は内外経済の深刻な悪化を完全に見誤ってきたのであり、このような人物に先行き見通しを聞いても意味はない。

市場原理主義経済政策の破たん、セーフティネット破壊の経済政策の失敗が明らかになったいま、小泉竹中経済政策の破たんは誰の目にも明らかになっている。竹中氏と同じ主張を示した中谷巌氏もすでに、自らの過ちを認め、懺悔(ざんげ)している。竹中氏を出演させ、自己批判と懺悔を迫るのなら理解できるが、その竹中氏にさらに経済展望を聞こうとするのだから、笑止千万としか言いようがない。

実際に竹中氏の発言は「改革が不十分だから景気が悪くなった」の一点張りで、示唆に富む発言は皆無だった。

番組のなかで竹中氏が「日本の不良債権処理に失敗と成功があったことをはっきりさせなければならない」と述べて、小泉政権の下で竹中氏が実行した不良債権問題処理が、あたかも成功であったと主張しているかのような発言があった。

これは、客観的に見て完全な誤りである。小泉竹中経済政策は不良債権問題処理失敗の典型的事例である。米国は今回のサブプライム危機に際して、小泉竹中経済政策の失敗を「反面教師」として役立てた。公共放送で間違った情報を流布するのは大きな罪である。

19942006 グラフは1994年から2006年にかけての日経平均株価を示している。竹中氏は不良債権の金額を明らかにすることが必要で、竹中氏がそれを実行した趣旨の発言を示したが、これも正しくない。

日本は不良債権問題処理を三回間違えた。

一度目は1992-93年である。住専問題が最初に表面化したのは1992年である。この段階で不良債権の実態を明らかにして抜本処理を実行していれば問題の深刻化を回避することが可能だった。私は1992年秋に公的資金投入を含む抜本処理を主張し、多くの媒体に主張を提示した。日経新聞経済教室にもその主張を示した。しかし、大蔵省は不良債権問題に対して「場当たり、隠ぺい、先送り」の対応を示して、最初の抜本処理のチャンスを潰した。

二度目の失敗が1996年から1998年の対応だった。95年の本格経済政策対応の効果も表れて、1996年に日本経済はバブル崩壊不況から脱出した。私は経済の安定成長持続を最優先課題に位置付けるべきだとしたうえで、1997年の増税規模圧縮を強く主張し続けた。

不良債権問題の規模が巨大であり、行き過ぎた緊縮策が、経済悪化-株価下落-不良債権問題爆発、の悪循環を発生させることを強く警告した。

しかし、橋本政権は1996年6月に消費税増税方針を閣議決定した。株価は96年6月の22,666円から98年10月の12,879円まで暴落し、私が警告した通り、金融問題が爆発した。拓銀、山一証券、長銀、日債銀などが相次いで破たんした。

私は97年1月のNHK日曜討論で不良債権は100兆円存在すると発言した。経済企画庁の吉冨勝氏は「ふざけたことを言うな」との対応を示した。大蔵省は不良債権が20兆円台であると主張していたが、98年後半になってようやく約100兆円の不良債権の存在を認めた。

橋本首相はのちに、96年の政策が誤りであったことを正式に認め、2001年の自民党総裁選では、私の主張に沿う政策提言を示された。

1998年から2000年にかけて、小渕政権が経済改善の経済政策を実行し、同時に60兆円の金融危機対策を示し、また、日銀がゼロ金利政策を実行して、日本経済は浮上した。金融問題も確実に解決に向かい始めた。

三度目の失敗が2000年から2003年の経済政策対応だった。日銀は2000年8月にゼロ金利解除に踏み切る間違いを犯した。このとき、もっとも熱心にゼロ金利解除を主張したのが竹中平蔵氏である。

2000年から2003年にかけての最大の失敗は、不良債権問題が極めて深刻ななかで、史上最強の緊縮財政を実行したことである。私はこの路線を進めば橋本政権が犯した過ちを繰り返すことになることを主張した。2001年に小泉政権が発足したとき、日本経済は間違いなく戦後最悪の状況に転落するとの見通しを示し、一貫して小泉政権を批判した。

実際、日本経済は戦後最悪の状況に陥った。日経平均株価は2000年4月の20,833円から2003年4月の7607円に暴落した。この結果、金融問題が再び火を噴いた。

2003年、俎上(そじょう)に載せられたのは「りそな銀行」だったが、「りそな銀行」の処理がいかに不正と欺瞞に満ちたものであったかは、本ブログや拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述してきた通りである。

竹中氏は「経営者の責任を追及した」と言うが、第一に責任を負うべき「株主責任」をまったく追及しなかった。株主に巨大な利益を供与したのが現実である。小泉竹中政治を明確に批判した有能な経営者を追放し、小泉竹中政権の近親者を新経営陣に送り込み、「りそな銀行」を実質的に乗っ取ったのが実態である。

「りそな銀行」はその後、自民党に対する融資金額を激増させたが、この事実をスクープしたと言われる朝日新聞記者がスクープ記事発表と同時に東京湾で水死体で発見されたと伝えられている。

不良債権問題が深刻な場合には、まず、マクロ経済政策で経済の改善を促進しなければならない。経済の改善を誘導しつつ、金融機関の資本不足に対応し、不良債権問題を解決する。

これが、金融危機への対応策としての「鉄則」である。マクロ経済政策とは金融緩和政策と緊縮でない財政政策である。私は96年も、2000-2002年も、この政策を主張し続けた。

竹中氏は何を主張したのか。

2000年に金融引き締め政策を最も強く主張したのが竹中氏であった。2000年8月にゼロ金利政策を解除した日銀は、結局2001年3月にはゼロ金利政策に復帰した。金利引き上げ政策が誤りだったことが判明した。

竹中氏は2001年から2003年にかけて激しい緊縮財政を主張して実行した。このために、日本経済は本来直面する必要のなかった「金融危機」に突入し、多くの国民が苦しみの地獄に追い込まれたのだ。

挙句の果てに、「自己責任原則」を踏みにじる「りそな銀行救済」が実行された。破たんする銀行を税金で救済すれば恐慌は発生しない。株価は反発する。2003年の事態改善は「猿でもできる金融問題処理」だった。

この過程で巨大な利得を獲得したのは、「不正な銀行救済」の情報を事前に入手し、資産価格が暴落するなかで喜んで資産取得を進めた外国資本と一部の事前情報入手者であったと考えられる。拙著『知られざる真実』で私が明らかにしたのは、この国家犯罪的ディールの全貌である。

竹中氏はマクロ経済政策における財政政策発動の主張は、世界の経済学の主流から完全に消滅したことを強調してきた。その竹中氏が、米国の財政政策発動を見るやいなや、「いまの局面では財政政策発動が必要だ」と発言するのだから驚愕(きょうがく)である。

竹中氏の驚異的な「厚顔無恥」ぶりには、学ばねばならぬ点もあるかと自省する必要を感じるが、このような曲学阿世の人物をテレビに登場させることに対する慎重な対応が、公共放送には求められる。

文藝春秋2009年1月号で渡邉恒雄氏が指摘したように、竹中氏はシティグループによるメガバンク実質買収を目論んでいたようである。また、昨年春の段階で郵貯資金での米国サブプライム危機への資金供給を提唱していた。この言葉に乗っていたら、日本国民は巨大な損失を蒙っている。

米国は小泉竹中経済政策の大失敗の教訓を「反面教師」として活用し、経済支援政策を発動したうえでの金融問題処理に取り組んでいるのだ。ブッシュ政権は昨年1680億ドルの景気対策を発動し、オバマ政権は本年2月に7800億ドルの追加景気対策を決定した。

竹中氏を出演させ、事実とまったく異なる弁明を流布することを、これ以上、容認するべきでない。事実に反する間違った情報の流布は国民の利益を損なうものである。竹中氏は出来レース番組で低質な情報を流布する前に、一国民としての責務を国会で果たすべきである。

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2009年1月28日 (水)

思慮を欠く小泉元首相一院制提言

衆参両院の統合による一院制移行を目指す自民党有志の議員連盟(会長・衛藤征士郎元防衛庁長官)の総会で、1月16日、同連盟顧問の小泉元首相が「この議連を一院制への原動力にしたい」とあいさつした。同連盟は次期衆院選での自民党の政権公約(マニフェスト)に盛り込むため、4月をめどに提言をまとめる方針を決定した。
 総会では、同連盟会長の衛藤氏が提示した、
(1)議員定数を現在の両院合計722から500に削減
(2)選挙制度を都道府県単位の大選挙区制度に変更
(3)2019年に移行
の案をたたき台に議論を進めることを決めた。

民主党元参議院議員である平野貞夫氏がメルマガ記事「小泉元首相らの気狂い騒ぎに直言する」で指摘するように、国会議員を3割削減する提言は、「不況に苦しむ国民にとって、役に立たない国会議員や政党を懲らしめる格好の主張」である。

提言は、現在の「ねじれ国会」に不満をつのらせている国民に結構支持を受けているが、平野氏はこの点について、「これがきわめて危険な政治の兆候であることが、マスコミ・有識者にわかっていないことが、日本の悲劇である」と指摘している。

「カナダde日本語」の美爾依さんも、1月17日付記事「1月の麻生内閣支持率と一院制」で、
「本来は、国民の僕である政治家の数を減らすことは、ますます官僚のやりたい放題になるわけで、全く賛成できない。これまでも、小泉の言うことに従ってきて、恐ろしい目にあっている国民が小泉の言うことに耳を傾けるとは思わない」、
「衆院選では一院制を主張する小泉チルドレンはみな落選させるべきだ」、
「議員数が722から500に削減されるということは、地方の議員数が減り、いまでさえ、地方の声が届きにくいのに、この上議員数を減らしたら、ますます届きにくくなる。逆に東京、大阪、神奈川などの大都市に議員が集中し、ますます都心と地方の格差が広がることになる」
と述べて、小泉元首相提案を批判している。

米国の「大統領制」に対して日本の政治制度は「議院内閣制」と呼ばれる。11月28日の党首討論で麻生首相は「議院内閣制」を「議会制民主主義」と間違えたが、日本では議会が内閣総理大臣を指名して内閣が組織される。この内閣が行政権を担う。

一般に「大統領制」における大統領は強大な権力を有すると理解される。大統領は国民から直接選出されており、強いリーダーシップを発揮しうる。大統領は議会決定に対する拒否権なども保持している。

しかし、「政治権力」に対する抑制力の面から捉えると、米国の大統領制が「権力を抑止する」側面を強く持つのに対して、「議院内閣制」は「権力を創出する」側面を強く持つと理解されている。

それはなぜか。

「大統領制」では大統領選出と議会議員選出が独立している。大統領が所属する政党が議会で多数を確保するとは限らない。オバマ政権の発足時点では民主党が上下両院で過半数を確保しているが、比較的珍しいケースである。

「大統領制」は強い権限を持つ大統領に対して、議会に大統領の権力を牽制(けんせい)する役割を担わせているのである。大統領制は「権力を抑制する」側面に配慮した制度である。

これに対して、「議院内閣制」では、通常、議会多数派から内閣総理大臣が選出される。議会の多数派と内閣総理大臣の所属会派は一致することが通常である。内閣の提案は議会で承認され、政治の運営が円滑に進む。「議院内閣制」は「権力を創出する」側面を強く持つ。

内閣総理大臣は裁判所の人事権を有している。したがって、内閣総理大臣が保持する権限を最大に活用すると、三権を掌握することも不可能ではなくなる。小泉元首相は自分の意見に反対する自民党議員を党から追放し、刺客を放つ行動を取った。民主主義政党の党首としての行動を逸脱していたと言える。

議院内閣制の下で「権力濫用者」が首相に就任することが、「民主主義の危機」とも呼べる極めて危険な事態を引き起こすことが判明した。

「権力を創出する」側面を強く持つ「議院内閣制」を採用する国では、何らかの形で「権力を牽制する」仕組みを備えることが重要である。

2005年9月の総選挙で国民は自民党に多数の議席を付与した。国民全体が集団催眠にかかったような、異常な状況下で自民党は多数の議席を確保した。マスメディアが集団催眠に大きく貢献したことも見逃せない。「権力を濫用する」首相は、電波をも支配し、政治権力に有利な情報操作を実行した。

一院制下の議院内閣制が採用されると、このような局面で、政治権力が暴走することを防ぐことができなくなる。国民が常に冷静に、最適な投票行動を示す保証はない。集団催眠、集団ヒステリーに陥れば、2005年9月のような選挙結果がもたらされることも生じ得る。

2007年7月の参議院選挙で、国民は参議院の過半数を野党に付与した。国民は2005年7月の投票行動が誤りであったとの意思を表示したのである。たった一度の選挙結果に国の運命をすべて委ねることには極めて大きなリスクが付きまとう。

こうしたことを踏まえると、議院内閣制を採用している日本が、二院制を採用していることは賢明である。特定の政治勢力に強い政治権力を付与するに際して、一定の時間的猶予が国民に与えられるからだ。

現在、衆議院では自公が、参議院では民主、共産、社民、国民の野党が過半数を確保している。次期総選挙で国民が野党に強い政治権力を付与しようとすれば、国民は野党に衆議院の過半数を付与するだろう。野党に強い政治権力を付与する選択をしなければ、野党に過半数の議席を付与しないだろう。

たしかに、現在のような「衆参ねじれ現象」の下では、政治の意思決定が遅れやすくなる。しかし、それは「政治権力の暴走を防ぐコスト」である。政治権力は議会で圧倒的多数を確保すれば、憲法改正を実現できる強大な力を保有することになる。憲法改正などの問題で誤りは許されない。

権力が暴走し、国民が不幸の地獄に引き込まれることを防ぐために、一定の安全装置を備えることは賢明な選択である。

一院制が実施されれば、政治が極端から極端に振れることが誘発されやすくなる。選挙がごく短期間の熱病的な空気の変化に大きく左右される現実を踏まえても、一度きりの選挙に国の運命をすべて委ねてしまうことは危険である。

衆参ねじれ現象を、時の政治権力に対して、野党の意向を十分に汲み取って政治を運営することを、国民が要請している局面と理解するべきである。福田首相も麻生首相も主権者である国民の意思を踏みにじる行動を示して窮地に追い込まれている。国民の6-8割が反対する政策を強行実施すれば、その咎(とが)は必ず自分に帰ってくる。

「衆参ねじれ」から次にどう進むか。それを選択するのは国民だ。次期総選挙で国民が野党に衆議院の過半数を付与するなら、それは覚悟の選択である。一時的な熱病による選択ではない。野党は国民の選択を受けて、本格政権を樹立する正当性を確保する。

「カナダde日本語」の美爾依さんが指摘するように、国会議員の数を減らすことの弊害を考慮するべきだ。膨大な無駄を生んでいる「天下り」は根絶するべきだが、国民にとって最も重要な機関である国会の機能強化を考えるべきだ。無駄を排し、重要な事項に資源を集中して配分する、メリハリが重要である。定額給付金政策を検討する際にもこの視点が問題になる。

参議院を有効に活用する知恵が求められている。

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2009年1月18日 (日)

テレ朝「サンプロ」の偏向「市場原理主義者」擁護

1月18日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」では、渡辺喜美氏が発足させた政策グループを、渡辺氏と江田憲司氏をスタジオに招いて紹介するとともに、竹中平蔵氏と金子勝氏の討論を放映した。

竹中平蔵氏は2001年から2006年にかけて小泉政権の下で閣僚を務め、小泉竹政治を推進する中核的な役割を担った。竹中氏と金子氏の討論のあとに登場した伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長は、「いまどき市場原理主義を唱える人など1割も存在しない」と市場原理主義者を切り捨てたが、番組での討論では、市場原理主義者の総括がまったく実行されなかった。

田原総一郎氏は小泉竹中政治の市場原理主義政策を全面支援してきた経緯がある。小泉竹中政治=市場原理主義が糾弾(きゅうだん)されることは、田原氏自身が糾弾されることを意味する。番組の進行では、市場原理主義が批判一色にさらされることを防止しようとする姿勢が色濃く示された。

米国のサブプライム金融危機は、新自由主義=市場原理主義の破綻を象徴的に示している。小泉竹中政治は金融産業を、21世紀を代表する中核産業と位置付け、金融産業の技術的進化を肯定的に捉え、金融産業のグローバルな活動を絶賛してきた。

サブプライム金融危機は、新自由主義を標榜(ひょうぼう)する政策当局が提供したリスク感覚を欠いた自由放任の市場環境の下で、21世紀の中核産業と位置付けられた金融産業が、野放図に業務を膨張させた結果として発生したものである。デリバティブ金融商品の想定元本残高は600兆ドル規模に膨張したと見られている。

制御不能なレベルにまで膨張させた金融取引のバブルが、全人類の経済活動を麻痺(まひ)させるリスクをはらみながら破裂した。金融機関は政府の税金投入無くして存立しえない状況に追い込まれている。また、「市場原理主義」は市場原理に過度の信頼を置いて各種規制を撤廃するとともに、結果における格差拡大を放置して、経済的弱者を支えるセーフティネットを冷酷に切り込んでいった。

自分自身の労働力以外に資産を持たぬ労働者は労働を提供することによってしか生活を支えてゆくことができない。市場原理に委ねれば、「労働」が「資本の論理」に振り回され、労働者が不安定な雇用条件と低賃金に追い込まれることは、歴史が明白に証明してきたことだ。小泉竹中政治は労働行政にも「市場原理」を強制した。その結果として、深刻な格差拡大、非正規雇用労働者の激増、働く貧困層の激増などがもたらされてきた。

昨年末に日比谷公園に設置された「年越し派遣村」が象徴的に明示した「市場原理主義経済政策」が労働市場にもたらした災厄は、小泉竹中政治が促進した派遣労働の製造業への拡張がもたらした当然の帰結であった。

1月18日の放送では、「市場原理主義=小泉竹中政治」が糾弾(きゅうだん)されるどころか、市場原理主義者に空虚な弁明の機会が提供されただけであった。その原因は、事前に争点を明確にしたうえで、批判者に適正な批判を示すための十分な準備機会が提供されなかったことにあると思われる。「市場原理主義者」を擁護したい番組制作サイドが、「市場原理主義」の問題点を明示すること、批判者に十分な準備機会を提供することを、意図的におろそかにしたのだろう。。

竹中氏の弁明について、三つの問題点を指摘する。

第一に、竹中氏は現在の日本の政策対応について、「財政政策の発動が必要」と述べた。2001年から2003年にかけて、小泉竹中政権は超緊縮の財政政策を実行した。竹中氏は「財政政策を経済政策のなかに積極的に位置づけるとの考え方は時代遅れである。そのような考え方を取る先進国は存在しない」とまで言い切っていた。

ところが、小泉竹中政権は2001年度も2002年度もそれぞれ5兆円規模の財源調達を含む大型補正予算編成に追い込まれた。財政赤字を減少させると主張しながら、28兆円の財政赤字を36兆円にまで激増させた。

竹中氏は「埋蔵金があるから財政出動できる」と述べたが、2001年から2003年こそ、中立の経済政策を維持して、日本経済の破壊を回避するべきだった。小泉竹中政権は意図的に経済を破壊させる経済政策を実行して、第2次大戦後最悪の不況を招き、罪なき多くの日本国民を失業、倒産、経済苦自殺の灼熱(しゃくねつ)地獄に追い込んだ。

金融危機を回避するために財政政策を発動することが正当であり、財源として巨額の「埋蔵金」が存在するなら、2001年から2003年こそ、当初から超緊縮財政政策ではなく、中立の財政政策運営を実施すべきだった。小泉政権が景気破壊政策を実行しなかったなら、2001年から2003年の日本経済の地獄を回避できた。

第二の問題は竹中氏が2002年から2003年にかけての金融行政を正当化する発言を繰り返していることだ。残念ながら金子勝氏はこの問題の本質を的確に把握していない。番組制作者は、金子氏がこの問題を的確に把握して批判していないことを確認したうえで、番組に登場させているのだと考えられる。金子氏が「資産査定の厳格化と資本注入を主張していた」と発言すると、竹中氏の政策が正当化される印象が視聴者に与えられてしまう。

竹中金融行政の問題は、2003年にかけて日本経済の破壊を誘導し、「大銀行破綻容認発言」などにより株価暴落を誘導しつつ、預金保険法102条の抜け穴規定を活用して、犯罪的とも言える「欺瞞(ぎまん)」と不正に満ちたりそな銀行処理を強行した点にある。番組ではこの問題について、一言も触れられなかった。

日経平均株価は2001年5月の21,500円から2003年4月には7600円に暴落した。小泉政権の日本経済破壊政策によって、本来健全経営を維持できた金融機関が自己資本不足に追い込まれた。

竹中氏は2003年の金融危機で、金融機関の責任を追及して公的資金を注入して金融危機を克服したと説明するが、詐欺師の弁明とでも言うべきものである。詳細は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』ならびに、本ブログのシリーズ記事「りそなの会計士はなぜ死亡したか」を参照いただきたいが、三つの問題がある。

①そもそも、2003年にかけて日本経済を意図的に破壊する必要はなかった。
②2002年9月から2003年5月にかけての金融行政は、正当性と透明性を備えたものでなかった。金融機関の資産査定を厳格化し、自己資本充実を目指すべきことは当然で、私はその主張を1992年から一貫して示し続けた。竹中金融行政の問題は、金融行政のルール変更に求められる正当なプロセス、時間的猶予の提供を欠き、極めて不透明な密室処理によって恣意的な行政運営が強行された点にある。

③2003年のりそな処理においては、適正な責任処理がまったく行われていない。小泉政権はりそな銀行株主を全面的に救済する一方で、りそな銀行を実質的に乗っ取る行政運営を実行した。その後、りそな銀行は自民党の機関銀行と化し、この重大情報を朝日新聞1面トップでスクープしたと見られる記者が東京湾で死体となって発見されたとの後日譚が付いている。

 第三の問題は、格差拡大、深刻な雇用不安、労働者の生存権危機発生の原因が、小泉竹中政治の「市場原理主義」政策にあったことが明白であるにもかかわらず、竹中氏が一切の非を認めずに、詭弁を弄し続けていることだ。丹羽宇一郎氏は「非を非として認めない論議は不毛だ」と述べたが、竹中氏は最低限求められる潔ささえ保持していないように見える。

 小泉政権の下で製造業にまで派遣労働を解禁した最大の理由は、企業にとって「安価で切り捨てやすい、極めて便利な労働力」である派遣労働が好都合だったからだ。竹中氏は「同一労働・同一賃金制度」の重要性を申し送りしたと強弁していたが、それらのセーフティネット整備、あるいは制度変更は派遣労働解禁とセットで実行しなければまったく意味はない。

 好況があれば不況がある。竹中氏は「ITの進化によって景気変動が消滅する」と唱えていたから、不況が到来することをまったく想定していなかったのかも知れないが、そうだとすれば経済政策担当者としてあまりにもお粗末な能力しか備えていなかったことになる。

 日本経済が未曽有の不況に突入して、労働市場のセーフティネット不備の深刻な問題点が明らかになった。不況下で顕在化する問題に対する対応を、不況が到来してから慌てふためいて論議する失態は、小泉竹中政権時代の思考能力の欠如が原因である。

 テレビ朝日は、「市場原理主義者」と連携する渡辺喜美氏を軸とする「偽装CHANGE新党」を全面支援する一方で、糾弾されなければならない「市場原理主義者」の不適切な弁明の機会提供に尽力している。中立、公正の正当な論議によって、「市場原理主義者」を適正に糾弾しておかなければ、国民が再び悪質な「リフォーム詐欺」の被害者になることを防げない。公正で透明性の高い公開論議が求められる。

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