カテゴリー「金融政策」の48件の記事

2023年9月30日 (土)

国民経済破壊する日銀インフレ誘導

日本の消費者物価指数上昇率=インフレ率は本年8月時点で前年同月比3.2%。

日銀の目標は前年同月比2%上昇。

これをはっきりと上回っている。

とりわけ重要な数値は生鮮食品とエネルギーを除く総合指数の上昇率。

こちらは本年8月に前年同月比4.3%上昇を示している。

日銀のインフレ誘導目標をはるかに超えている。

            消費者物価上昇率推移(日本、%)

Cpi093023
しかし、日銀は現在、インフレ誘導政策を遂行している。

理由は

「2%インフレが持続的かつ安定的に実現する見通しが得られていない」

というものだという。

7月の政策決定会合で日銀が公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で日銀は2023年度の消費者物価上昇率を3.2%(生鮮食品とエネルギーを除く総合)とした。

本年4月時点での見通しは2.5%上昇だった。

大幅上方修正だ。

この見通し修正を背景に日銀は7月政策決定会合で政策修正を行った。

長期金利上限をこれまでの0.5%から1.0%に引き上げた。

当然の対応と言える。

しかし、9月政策決定会合で政策を現状維持し、インフレ目標が実現するまでは「ねばり強く金融緩和を続ける」とした。

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日銀が「2%インフレが持続的かつ安定的に実現する見通しが得られていない」とする根拠として日銀インフレ率見通しが提示されている。

7月展望レポ-トでの日銀インフレ率見通しは以下のもの。

コアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合)
2024年度 +1.7%
2025年度 +1.8%

2024年度、25年度のいずれも2%を下回っている。

これを根拠に日銀は

「2%のインフレ率が持続的・安定的に達成される見通しは得られていない」

としている。

しかし、日銀のインフレ見通しは甘い。

本年1月18日に公表した「展望レポート」で日銀が示した2023年度インフレ率見通しは次のもの。

コア指数(生鮮食品を除く総合) +1.6%
コアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合) +1.8%

これが本年7月の「展望レポート」で次のように改定された。

コア指数   +2.5%
コアコア指数 +3.2%

本年8月のコアコア指数上昇率は4.3%に達している。

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2024年度、25年度のインフレ率が2%を大幅に超えることは間違いないだろう。

つまり、日本においてもインフレは完全に警戒水準を超えている。

日銀は「インフレ誘導」でなく「インフレ抑止」に政策路線を転換する必要がある。

ところが、日銀はインフレ誘導政策を改めようとしない。

この結果、被害を蒙るのは一般労働者だ。

労働者の実質賃金指数は本年7月に前年比2.5%減少。

物価が下落していた2021年5月には実質賃金が前年比3.1%増加を示したのに、つるべ落としに転落した

労働者1人あたり実質賃金指数増減率推移(現金給与総額、前年同月比、%)

092323
本年春には岸田内閣が高水準の賃上げが実現したと騒いでいたが、結果を見れば実質賃金の減少継続なのだ。

インフレが進行するときにインフレを上回る賃上げは実現しない。

日銀は来年の春闘での賃上げが重要と主張するが、賃金は日銀の政策対象でない。

名目の賃金が増えるときに、その賃金が実質で減少することがないよう、物価上昇を抑止するのが日銀の役割=責務である。

インフレを推進すれば実質賃金は減少する。

日銀によるインフレ推進は国民に対する背信行為。

そもそもインフレ誘導は企業の賃金コストを減らすため、すなわち、実質賃金を減らすことを目的に提唱された政策である。

インフレが勢いを増しているときに、そのインフレがさらに加速するように政策を運営するのは国民に対する暴虐行為である。

日銀は直ちに基本方針をインフレ抑止に転換する必要がある。

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2023年9月28日 (木)

インフレを予測できない日本銀行

日銀の政策運営に疑義が生じている。

9月22日の政策決定会合で日銀は金融緩和政策の現状維持を決めた。

インフレ抑止の方針を明示するべき局面で日銀はインフレ率の引き上げを目指す方針を改めて明示した。

インフレが庶民生活を直撃しているが日銀はその苦しみを増幅する方向に政策を運営している。

日本の消費者物価指数上昇率は本年8月時点で前年同月比3.2%。

日銀の目標は前年同月比2%上昇である。

7月の政策決定会合で公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で日銀は2023年度の消費者物価上昇率を3.2%(生鮮食品とエネルギーを除く総合)、2.5%(生鮮食品を除く総合)とした。

中央銀行が重視する物価指数は変動の激しい生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(以下コアコア指数と表現)。

日銀は消費者物価上昇率を2%に引き上げることを目標にしている。

しかし、現状で日本の物価上昇率は目標を上回っている。

今年度全体の物価上昇率が「生鮮食品とエネルギーを除くコアコア指数」ベースで3.2%と展望されている。

本年4月時点の見通しは2.5%上昇だった。

わずか3ヵ月で0.7%ポイントも上方修正された。

インフレ亢進が誰の目にもはっきりしている。

このことを受けて日銀は7月28日の政策決定会合で長期金利の上限を従来の0.5%から1.0%に引き上げた。

当然の政策修正である。

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しかしながら、日銀は日本のインフレ率を引き上げるための政策誘導を現在も維持している。

すでに足元のインフレ率が2%を大幅に超えているにもかかわらず、インフレ亢進を推進する政策方針を示している。

日銀の説明は

「2%の消費者物価上昇率が持続的かつ安定的に達成される見通しを確保できるまで金融緩和をねばり強く維持する」

というもの。

本年7月発表の日銀「展望レポート」では、2024年度、2025年度の物価上昇率見通しが次のように示された。

コア指数(生鮮食品を除く総合)
2024年度 +1.9%
2025年度 +1.6%

コアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合)
2024年度 +1.7%
2025年度 +1.8%

これらの数値はいずれも2%を下回っている。

これを根拠に日銀は

「2%のインフレ率が持続的・安定的に達成される見通しは得られていない」

としている。

しかし、日銀の先行き見通しは、失礼ながらまったく信用に値しない。

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日銀が本年1月18日に公表した「展望レポート」で2023年度のインフレ率をどのように展望していたのか。

コア指数   +1.6%
コアコア指数 +1.8%

だった。

これが本年7月の「展望レポート」で既述の通り、次のように改定された。

コア指数   +2.5%
コアコア指数 +3.2%

今年度のインフレ率見通しが、わずか半年の間にこのように激変した。

中央銀行にとって最重要のコアコア指数の今年度見通しが年初の+1.8%から+3.2%へと大幅上方改定された。

遠い将来の見通しが修正されたのではない。

目の前の今年度の見通しすら完全な見当違いの数値しか示せないのが、現在の日銀の実力である。

日銀はインフレ率2%を目指すとしているが、2%に届かないとの今年度のインフレ率見通しが、一転して2%を大幅に超える見通しに改定された。

日銀は、現時点で2024年度、2025年度のインフレ率が2%に届かないとの見通しを示し、これを根拠にインフレ率を引き上げる政策を推進すると主張している。

しかし、足元のインフレ率はすでに2%を大幅に超えており、2024年度、2025年度の実績が2%を大幅に超えることは確実な情勢である。

問題はこのインフレ亢進が国民を苦しみの淵に追い込んでいること。

インフレ亢進がもたらす最大の災厄は実質賃金の減少。

日本の労働者は実質賃金減少に苦しめられ続けている。

この苦しみを増幅しているのが日銀のインフレ推進政策である。

日銀の金融政策運営の誤りを正す必要がある。

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「日銀インフレ推進で実質賃金激減」

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2023年6月30日 (金)

日銀インフレ推進政策の誤り

世界でインフレが進行している。

これに対して世界の金融政策がインフレ抑止に力を注いでいる。

米国は2022年に金融引締め政策に着手。

ゼロ金利水準にあったFFレートを5%超の水準にまで引き上げた。

歴史的に見ても異例のスピードで短期金利引き上げを実行してきた。

米国インフレ率は消費者物価指数で昨年6月に前年同月比9.1%上昇を記録した。

二桁インフレに迫る情勢だった。

FRBの強力な金融引締め政策によりインフレ率はその後に低下。

2023年5月の消費者物価上昇率は前年同月比4.0%にまで低下した。

パウエル議長が率いるFRB。

FRBの迅速かつ大胆な政策運営により事態悪化が回避されている。

長期的なインフレ予想を反映して変動する長期金利は、すでに昨年10月に低下に転じた。

インフレ心理悪化を適正な政策運営で遮断することに成功している。

欧州でもインフレ抑止のための金融引締め政策が実施されている。

金利引き上げは経済活動に下方圧力を与える施策だがインフレを加速させてしまえば、その弊害が大きくなる。

インフレが燃えさかってしまうと、その収束のための金融引締めはより強力なものにならざるを得ない。

このためインフレに対しては「早期発見、早期対処」が求められる。

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このなかで日本銀行だけが「大規模金融緩和政策の維持」を続けている。

日銀は2%インフレを目指しているとする。

「消費者物価上昇率2%の目標が持続的かつ安定的な達成される見通しが得られるまで金融緩和を維持する」

としているが、何をもって「持続的かつ安定的に達成される」とするのかが不明確。

日本のインフレ率現状は深刻だ。

消費者物価上昇率は本年1月に前年同月比4.3%上昇を記録。

2023年5月の上昇率は前年比3.2%。

中央銀行は内外ともに「コア」のインフレ率を重視する。

「コア」のインフレ率とは特殊な要因で大きく変動する食料品とエネルギー価格を除くインフレ率。

日本の消費者物価指数に「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という区分がある。

この指数上昇率を見ると本年5月が前年同月比4.3%。

日銀が目標とする2%をはるかに超えている。

日本銀行がインフレ促進のスタンスを示せば事業者は価格の上方改定を加速させるだろう。

インフレが勢いづくことが考えられる。

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インフレ加速は国民生活にプラスかマイナスか。

答えは明白だ。

インフレが進行すれば労働者の所得は実質的に目減りする。

実質賃金を変動させる最大の要因がインフレ率である。

日銀はインフレ率が上昇し、これに連動して賃金が上昇する好循環の形成を目指すとしているが、インフレ率が上昇するときに「実質賃金」が上昇するためにはインフレ率以上の賃金上昇が必要になる。

そのような状況の出現を想定できるのか。

答えは否。

インフレが進行するときに労働者全体の賃金上昇率がインフレ率を上回ることは想定できない。

日本の労働者一人当たりの実質賃金は1996年から2022年までの26年間に14.4%も減少した。

世界最悪の実質賃金減少国。

残念ながら日本の真実だ。

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この26年間に5回だけ実質賃金が小幅増加した年がある。

その要因が何であったか。

消費者物価上昇率がマイナスに転じた局面でだけ実質賃金が増加した。

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つまり、インフレは実質賃金を減らし、デフレが実質賃金を増やすという因果関係が存在する。

日銀はインフレ誘導をインフレ抑止に政策転換する必要がある。

日本円の暴落放置も国益に反する。

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2023年6月25日 (日)

日銀政策修正が必須である理由

2%のインフレが持続的かつ安定的に実現するまで金融緩和を維持する。

これが日銀の主張。

日銀の植田和男総裁は5月9日の衆院財務金融委員会で

「持続的・安定的に物価2%が達成されるという見通しに至った場合、現在の長短金利操作をやめ、その後、バランスシートの縮小という作業に取りかかっていきたい」

との考えを示した。

「インフレ率2%が持続的・安定期に達成されるという見通し」が生じれば金融緩和政策を修正するとの意味になる。

ここでいうインフレ率とは消費者物価上昇率のこと。

物価上昇率には細かくいうと三つある。

総合指数、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合、の三つだ。

生鮮食品を除く総合を「コア物価指数」、生鮮食品及びエネルギーを除く総合を「コア・コア物価指数」と呼ぶ。

生鮮食品とエネルギー価格は金融政策以外の要因で変動することが多く、政策運営としては金融政策からの影響を受ける「コア・コア指数」の変動を重視するということ。

日本の物価上昇率の現状はどのようなものか。

総合指数は本年1月に前年同月比4.3%上昇を記録した。

2%インフレ目標をはるかに超えている。

2023年5月は前年同月比3.2%上昇。

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コア指数は本年1月に前年同月比4.2%上昇を記録し、5月は3.2%上昇。

もっとも重要な指標と言える「コア・コア指数」は本年1月が前年同月比3.2%上昇、本年4月が4.3%上昇。

日銀は、

「2%インフレが持続的・安定的に達成される見通しが生じていない」

として、大規模金融緩和を維持しているが、現在の数値推移はこの判断と異なる。

2%を超えるインフレが持続し、これが長期的に持続するリスクが増大している。

植田総裁は

「今後、賃金が物価の上昇に跳ね、さらにまた物価・賃金の上昇につながっていくという循環を、確認できる状況になるのを待ちたい」

と述べたが、インフレが進行する際に賃金が上昇して、最重要の指標である「実質賃金」の上昇を見込めるのかどうか。

この点が最重要。

実は、この点に関しては、インフレ誘導が実は正しくないという実証的なデータが存在する。

日本の労働者の実質賃金は過去26年間、減少し続けた。

日本は世界最悪の実質賃金減少国に転落している。

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この日本で、過去26年間に5回だけ実質賃金が増加した局面がある。

その5回の実質賃金上昇局面には共通する背景が存在する。

それは、インフレ率がマイナスに転じていたということ。

Cpi052423

インフレ率がマイナスに転じる状況を「デフレ」と呼ぶ。

労働者の実質賃金はインフレの局面で減少し、デフレの局面で増大する。

名目賃金が大きく変動しないなかで実質賃金の増減を左右しているのは物価動向なのだ。

インフレが進行すると実質賃金は目減りし、デフレになると実質賃金が増大する。

つまり、労働者にとって望ましい物価動向はインフレでなくデフレなのだ。

日本の労働者実質賃金指数は2021年5月に前年同月比3.1%増加した。

ようやく実質賃金が水面上に浮上した。

ところが、その実質賃金が本年1月に前年同月比4.1%減少。

本年5月でも前年同月比3.0%減少だ。

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企業が賃上げに動いたが、賃上げを実施できる企業は体力の強い大企業に限られる。

インフレを超える賃金上昇が全体に広がることはない。

日銀の最大の責務は「物価安定」。

ここでいう「物価安定」とはインフレを抑止すること。

米FRBもECB(欧州中央銀行)も英BOE(英蘭銀行)もインフレ抑止を最重要目標に据えて金融引締め政策を実行している。

日銀だけが大規模金融緩和政策を維持してインフレ誘導を実行している。

その悪影響が広がっている。

日銀は必ず政策修正に追い込まれる。

日銀は市場に強制されるかたちで政策修正に追い込まれる前に、自発的に軌道修正を実行するべきだ。

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2023年4月27日 (木)

植田和男日銀総裁の特性

日銀の新体制が始動し、初めての政策決定会合が開かれている。

日銀の新総裁には植田和男氏、副総裁には氷見野良三氏、内田真一氏が起用された。

氷見野氏は元金融庁長官、内田氏は日銀理事を務めていた。

氷見野氏は私と同年次。

大蔵省当時の親交があるが、極めて温厚で学識が深い。

日銀総裁を含めて中央銀行トップに求められる資質は以下の三点。

第一は、高度の専門能力。

金融政策、マクロ経済学の専門家であることが必要な資質である。

第二は、現実の経済・金融情勢を的確に把握する現実分析能力。

優れた学者が高い現実分析能力を備えているとは限らない。

中央銀行トップは現実の経済と対峙する。

現実の経済金融変動について洞察する実学としての洞察能力が求められる。

中央銀行出身の理論的エキスパートであっても、現実の情勢判断を誤り、時期尚早の金融引き締め策を強行して失敗した中央銀行トップも少なからず存在する。

第三は、市場との対話、政治過程との対応における高度な対応能力。

金融政策運営には政治からの強い風圧がかかる。

政治からの風圧で政策対応を誤った中央銀行トップは枚挙に暇がない。

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中央銀行トップは金融市場と適切な対話能力を持つことを求められる。

金融市場に的確なメッセージを提供し、政策変化を円滑に金融市場に吸収させることが重要。

「サプライズ」が必要な局面がないとは言えないが、いたずらに金融市場を混乱に陥れることは回避されるべきだ。

とりわけ、金融市場が警戒する政策運営については、比較的早い段階で方向を金融市場に示唆して、現実の政策実行の段階での市場大波乱を回避することが望ましい。

あらかじめ金融市場に金融政策運営の見通しに関する必要な情報を提供することを「フォワード・ガイダンス」と表現されるが、この提供を円滑に実行することが重要になる。

この基準に照らして考えるとき、三つの要件を完全に満たしているのが米国FRBのイエレン前議長やパウエル現議長。

適切なFRB議長人事が米国経済運営を支えてきた点での両者の貢献度は極めて大きい。

日本においてこの三つの要件を満たしていた中央銀行トップの筆頭は福井俊彦氏。

白川方明氏は高度な専門能力を有し、優れた現実分析能力を有していたが、政治からの風圧をかわす点で万全とは言えない面があった。

過去の経過を見るならば、日銀出身の総裁が成功し、大蔵省出身の総裁が失敗したとは言い切れない。

日銀出身の佐々木直氏がインフレへの対応に失敗し、後任の大蔵省出身の森永貞一郎氏がインフレへの対応に成功を収めたことは特記に値する。

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中央銀行トップの役割は一段と大きくなっている。

この局面で岸田内閣は冒頭の日銀人事を遂行したが、適正な人事であると評価できる。

上記の三要件を満たす人材は多くない。

このなかで希有な人材のなかから植田氏起用を決めたことは評価できる。

元副総裁の雨宮佳孝氏も要件を備える人材であると言えるが、雨宮氏は黒田日銀の大規模金融緩和一本槍の政策運営のサポート役を任じていたことから、とりわけ日銀OBの反発が強かったと伝えられている。

総裁への就任を雨宮氏自身が固辞したとも伝えられている。

植田和男氏は日銀人事を定める国会議決に伴う国会質疑において政治的能力を発揮した。

現行法制では国会の同意がなければ日銀執行部に就任できない。

現在の国会は自公の与党が国会における圧倒的多数議席を占有している。

自民党のなかにはアベノミクス信奉者が多数存在する。

かれらは黒田日銀の政策運営に対する批判を許さない。

このことから、植田氏は黒田日銀の政策運営を否定するわけにはいかなかった。

今後の政策運営における自由度を確保しつつ、これまでの政策運営に対する肯定的評価を示し、政治的な軋轢発生を回避した。

植田氏は金融政策運営の軌道修正の必要性を認識していると考えられるが、その実施においては慎重な漸進的変化を指向することになると考えられる。

まずは無難に出港を果たすことが重要であると認識されていると思われる。

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2023年2月24日 (金)

日銀総裁候補者所信聴取と質疑

日銀の次期総裁、副総裁候補者に対する所信聴取と質疑が衆院議員運営委員会で実施された。

3名の候補者の所信陳述ならびに質疑への答弁は安全運転に徹したものだった。

通常の国会審議では事前に質問が通告され、事務方が答弁を用意する。

これに対して所信聴取ならびに質疑では、質問を受けてその場で答弁しなければならず、回答者の力量が直接反映される。

この意味で候補者にとって気の抜けない場面である。

日銀総裁に求められる資質が三つあると考える。

これはFRB議長も同じ。

第一は適正な専門知識。

経済学、金融政策理論についての高度の専門性が要求される。

第二は現実の経済金融変動を的確に捕捉し、適切な政策対応を示すことができる洞察力と現実適応力。

第三は望ましい政策運営を円滑に執行するための折衝能力と対話能力。

とりわけ、日銀の業務運営は政治からの風圧に晒される。

政治過程のなかで最適な政策運営を貫徹しなければならない。

政治からの風圧に左右されない突破力と市場の混乱を回避する対話能力が求められる。

第一の要件を満たす上では経済学の専門家であることが望ましい。

あらゆる質問に対して即時に適正な見解を示すためには高度の専門能力が必要不可欠になる。

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この意味で経済学者を総裁に起用することは妙案である。

米国のパウエル議長のように弁護士出身者でも高度な専門能力を体得できる例もあるから必須ではないが、高度で正確な専門能力を保持する者が担うべき職責である。

しかしながら、学術的な業績を保持していても、現実の経済金融変動に対する鋭い洞察力がなければ現業である日銀幹部の職責を担うことは適切でない。

さらに重要であるのが折衝能力と市場との対話能力である。

米国の場合、パウエル議長もイエレン議長も三つの要件を兼ね備えていた。

米国人材の層の厚さが際立っている。

この基準に照らしたときに、植田和男氏は三つの要件を満たす希有な人材であると判断できる。

24日の所信聴取と質疑応答では安全運転に徹するとともに、回答が難しい質問に対しては相手を煙に巻く芸当も示した。

金融政策運営は今後、軌道修正されることになると考えられるが、政策運営において重要なことは政策運営の連続性である。

現行の日銀法にはこの点で根本的な欠陥があると言わざるを得ない。

日銀政策委員会メンバーの人事権が内閣に付与されていることだ。

真逆の考え方を持つ内閣が政権を引き継ぎ、日銀人事が行われると、日銀の政策運営が激変してしまう。

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内閣が金融政策運営の独立性を尊重し、政策運営の連続性を考慮して人事を行えば問題が顕在化しないが、内閣が極端な人事を断行すれば政策運営に大きな混乱が生じる。

安倍内閣発足後の人事において、この問題が顕著に表れたと言える。

この点で岸田内閣は良識の範囲内で人事を遂行しつつあると言える。

市場が強い関心を有しているのは

1.現在の金融緩和政策が維持されるか

2.YCC(イールドカーブコントロール)が修正されるか。

3.2%インフレ率目標が維持されるか。

4.国債売却があるか。

5.日銀保有株式の市場売却があるか。

6.賃金上昇に日銀がどう関与するか。

などである。

植田和男氏は原則として、これまでの政策運営を継承する方針を示した。

このことによって、まずは金融市場が過剰反応する事態は回避された。

国民経済的視点から最重要問題であると考えられる実質賃金上昇と金融政策との関わりについては植田氏が明確な回答を示さなかった。

「煙に巻いた」と表現したのはこの部分である。

実は金融政策のあり方を論じる上で最重要になるのがこの点だ。

国会質疑ではこの点が掘り下げられなかった。

今後の最重要の考察対象になる。

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2023年2月11日 (土)

日銀サプライズ人事の評価

日銀の次期総裁、副総裁人事に関する情報が報道された。

総裁に東京大学名誉教授の植田和男氏、副総裁に前金融庁長官の氷見野良三氏、日銀理事の内田真一氏が起用される方向にあると報じられた。

日経新聞は日銀の雨宮正佳副総裁に総裁就任が打診されたと報じていたが、雨宮総裁が流れて植田総裁が誕生する見込み。

新聞辞令が排除されて人事案が差し替えになった感も強い。

日経新聞に雨宮総裁案を潰す狙いがあったのかどうか。

重要人事に関する情報の取り扱いには特別の対応が必要になる。

結論から示せば、今回の幹部人事は適正である。

植田和男氏の起用はサプライズ。

事前に気配はなかった。

植田和男氏は金融政策運営の詳細にも通じるエキスパートである。

植田氏は1998年から2005年にかけて日銀審議委員を務めている。

日銀法改定以後の日銀政策決定に深く関与してきた。

植田氏は総裁就任内定が報じられた後にメディアインタビューを受けて黒田日銀の金融緩和政策を維持する方針を示唆した。

この対応は市場への影響を十分に踏まえたもの。

植田氏起用報道を受けて為替市場では日本円が上昇する反応が見られていた。

しかし、植田氏の発言を受けて円は反落した。

日銀トップの発言が金融市場にどのような影響を与えるのかを知悉(ちしつ)している。

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私は1985年から1987年にかけて丸2年間、大蔵省財政金融研究所で植田和男氏と同室で仕事をさせていただいた。

85年から86年にかけての私の任務は売上税導入に向けて、大型間接税を導入した場合の経済効果算出だった。

中曽根内閣が大型間接税導入を計画していた。

そのための理論武装と経済効果試算を財政金融研究所が担当した。

このときに大型間接税導入に向けての世論操作プロジェクトもスタートした。

TPRと呼ばれるプロジェクト。

TPRはTaxのPRという意味。

政界、財界、学界3000名リストが制作され、この全員を説得するプロジェクトが実施された。

詳細については機会を改めて記述する。

結局、中曽根内閣は大型間接税導入を断念した。

このことにより大型間接税導入の経済効果算出プロジェクトは終焉した。

1986~87年に私の任務となったのが短期金融市場における日銀政策の分析である。

もとより、私の担当専門分野は財政金融政策だった。

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この時期に集中して取り組んだのが日銀の金融政策オペレーションに関する研究である。

このプロジェクトにおいて指導をいただき、共同で論文を執筆した上官が植田和男氏だった。

植田和男氏は1985年から87年まで大蔵省財政金融研究所主任研究官を務めた。

私は財政金融研究所研究官だった。

このときの研究成果の一部が「短期金融市場における金融政策」と題する論文にまとめられ、東京大学出版会から刊行された

『現代経済学研究』(鬼塚雄丞、岩井克人編著、1988年)
https://www.utp.or.jp/book/b300606.html

に所収された。

短期金融市場における日銀の金融調節の詳細について分析した論文である。

丸2年間、同室で職務に携わり、植田和男氏の研究を間近で拝見させていただいた。

日銀審議委員を8年も務められており金融政策運営の表も裏も精通されている。

2月9日付掲載記事

『インフレ誘導がそもそもの誤り』
https://bit.ly/3XmDMZB

『次期日銀総裁の責務』
https://foomii.com/00050

に1999年から2000年にかけての日銀金融政策運営について記述した。

2000年4月に速水優総裁がゼロ金利政策解除に言及し、8月に解除を強行した。

私は日銀のゼロ金利政策解除が時期尚早であるとして強く反対した。

このときの日銀政策決定会合でゼロ金利政策解除に反対票を投じたのが植田和男氏である。

植田和男氏の日銀総裁への起用は適正人事であると評価できる。

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2023年2月 9日 (木)

インフレ誘導がそもそもの誤り

日銀の黒田東彦総裁は4月8日に任期満了を迎える。

早期更迭が求められたが任期満了まで在任する見込みが高まっている。

後任総裁に雨宮正佳副総裁、中曽宏元副総裁、山口広秀元副総裁の名前が挙がっている。

順当なのは雨宮氏の総裁昇格。

日経新聞が「政府が打診」と報道した。

本人と政府は否定した。

新聞人事でリークされることが人事差し替えの理由とされる場合がある。

日経新聞が雨宮総裁潰しのために画策した可能性はある。

金融市場は雨宮氏への打診報道を受けて円安、株高の反応を示した。

雨宮氏は黒田日銀の大規模金融緩和路線をサポートしてきた。

このことから雨宮氏が後任総裁に就任すれば大規模金融緩和路線が引き継がれるとの思惑が広がったと説明されている。

しかし、この説明は表層的に過ぎる。

中曽宏氏は今月2日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)のビジネス諮問委員会で金融問題を取り扱うタスクフォースの議長を務めることになったことを明らかにした。

このことから日銀総裁就任の可能性が低下したと見られている。

山口広秀氏は白川方明日銀総裁任期中の副総裁。

山口氏の総裁就任は日銀の政策転換を鮮明に示すものと受け止められる。

日銀正常化のためにあり得る選択だが、金融市場反応が激烈になる恐れが高い。

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判断を下すのは岸田文雄氏。

私は雨宮正佳氏を次期総裁に起用する可能性が高いと判断している。

しかし、そのことは日銀が金融政策運営を正常化しないことを意味しない。

雨宮氏は総裁に就任すれば独自色を発揮することになると考える。

これまでは、黒田流の政策運営に協力してきたが、本心は隠してきたのだと思われる。

量的金融緩和政策の効果については、当初から懐疑論が存在した。

私は1990年代末に日銀企画局の雨宮氏から意見を求められたことがある。

日銀に出向いて私の見解を説明した。

量的金融緩和政策の効果についての見解だ。

短期金融市場に日銀が潤沢に資金を供給しても有効な効果を発揮する保証はない。

ベースマネーを増大させてもマネーストック増大につながる保証がないからだ。

筆者はこの見解を提示した。

日銀は1999年9月21日に対外発表文書を公表した。

「当面の金融政策運営に関する考え方」

と題する文書である。

https://bit.ly/3YdWWCi

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このなかで日銀は次のように指摘した。

「日本銀行がゼロ金利を維持するために必要な量を上回って資金供給を増やしても、資金がまさに「余剰」のままで短資会社等に積み上がるだけです。

金利はもちろん、金融機関や企業行動、あるいは為替相場などの資産価格に目に見える効果を与えるとは考えられません。」

これが「伝統的な」金融政策理論に基づく判断である。

私の説明を踏襲したものでもあった。

ゼロ金利政策で短期金利をゼロ水準にまで誘導した後、短期金融市場に流動性を大量に供給しても有効な効果を発揮できない。

日銀の公式見解としてこの考え方が明示された。

ところが、その後、日銀は量的金融緩和政策の実施に追い込まれていった。

2000年4月に速水優総裁が時期尚早のゼロ金利解除方針を示し、日本経済改善傾向を腰折れさせてしまったことが強く影響したと見られる。

速水日銀はゼロ金利政策への復帰を迫られ、同時に量的金融緩和政策実行に追い込まれた。

後任の福井俊彦総裁は量的金融緩和政策を推進した後にゼロ金利政策解除に進んだ。

ところが、その後にリーマンショックなどの海外発波乱に見舞われ、日銀政策は再び金融緩和政策強化の方向に差し戻された。

これらの日銀政策変遷の最大背景になっているのが「政治の圧力」だ。

日銀は政治圧力に晒され続けてきた。

日銀の職責を全うするには政治の圧力をくぐり抜ける高度な芸当が必要になる。

新たな日銀総裁には日銀の本分を逸脱しない政策運営を貫徹するための高度な政治力を保持する人物を起用することが求められる。

岸田首相は「無難選択」として雨宮正佳氏を選択する可能性が高いのではないか。

誰が起用されるにせよ、次期総裁の最大責務は日銀政策運営の正常化になる。

黒田日銀の政策運営を刷新することが最重要の課題だ。

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2023年2月 4日 (土)

日銀失政を詳しく解説

金融政策運営について記述した記事

「黒田日銀政策失敗を確認」
https://bit.ly/3X4xfTr

「金融政策論俗説を一掃」
https://foomii.com/00050

について幾つかの質問を受けたので改めて考察を記述する。

論点は次の三つ。

第一は、インフレは是か非か。

第二は、インフレを超える賃上げを目指すべきなのか。

第三は、日銀は金融政策運営を変更するべきか。

結論を示す。

インフレの是非についてはインフレの程度による部分がある。

1~2%のインフレが安定的に実現するなら望ましい面はあると言える。

この前提で金融政策が運営されてきたことは事実。

ただし、インフレは企業に利益を与え、家計に損失を与える点を踏まえておくことが絶対に必要だ。

問題が二つある。

一つは現在の4%インフレをどう評価するのかという問題。

いま一つは日銀がインフレをコントロールし得るのかという問題。

これも結論を示す。

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現在の4%インフレはインフレ抑止策を講じるのが適正である。

1970年代までのインフレに苦しんだ時代の教訓はインフレに対する早期対応。

本格的なインフレを引き起こした場合のコストが大きい。

インフレを加速させてしまうと強力な金融引き締め政策が必要になる。

その引き締め政策が景気の著しい悪化を招く。

この事態を招かぬよう「インフレ未然防止」の政策対応が重要になる。

4%インフレが現実化しているなかでインフレを加速させる大規模金融緩和政策を維持することは適正でない。

インフレが顕在化している国ではインフレ抑止策が取られている。

インフレが顕在化するなかでインフレ推進策を実行することは異常であり誤りだ。

次に、日銀がインフレをコントロールできるかという問題。

インフレを抑止することは可能だが、インフレを誘導することは困難である。

インフレ率はマネーストックの伸び率と連動する。

金融引き締め策でマネーの伸びを抑制すればインフレを抑止することができる。

しかし、金融緩和政策を実行してもマネーの伸びを強制的に伸ばすことはできない。

黒田日銀は大規模金融緩和政策を実行したがマネーの伸びを実現できなかった。

結果として、インフレ率を引き上げることに失敗した。

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2012年の金融政策決定会合で白川方明総裁が懸念したのはこの点。

2%インフレを目標に掲げても実現できるかが不透明。

実現可能性が不確かな目標を掲げることが日銀の政策運営に対する信認を引き下げてしまうことが懸念された。

白川氏の指摘が正しかったことがその後の事実によって証明された。

日銀は2%インフレを公約にしたが実現できず、政策運営に対する信認は消滅した。

私も2013年に上梓した『アベノリスク』(講談社)に、インフレ誘導が成功しない可能性が高いことを詳述した。

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労働者にとって賃金が上昇することは望ましい。

インフレが進行するときにインフレを上回る賃上げを労働者が求めるのは当然のこと。

問題は労働者にとって重要なのが実質賃金である点。

残念ながら、インフレが進行するときにインフレを上回る賃上げは実現しない。

労働者にとって好ましい環境はインフレでなくデフレである。

インフレが進行すると実質賃金が減少する。

インフレ誘導は労働者にとって好ましいものでない。

もう一つの重要な問題はインフレと賃上げのスパイラルが激しいインフレを引き起こす原因になること。

これも1970年代までの事実に基づく教訓だが、インフレと賃上げのスパイラルを引き起こしてはならない。

いま求められることはインフレの抑制。

インフレ抑制を実現しなければ労働者実質賃金の引き上げは実現しない。

日銀は超金融緩和政策を修正すべきであり、岸田内閣は歪んだ日銀人事を是正する責務を負う。

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2023年2月 1日 (水)

黒田日銀政策失敗を確認

金融政策に関する事実に基づく適正な論議が必要。

日銀が2012年7月から12月の政策決定会合議事録を公表した。

第2次安倍内閣が発足したのが2012年12月。

第2次安倍内閣発足を契機に「アベノミクス」なる政策が提唱された。

その第一に掲げられたのが金融緩和だった。

第二は財政出動、第三は成長戦略。

安倍内閣は金融緩和政策を推進することによってインフレ率を2%にまで引き上げることを公約に掲げた。

この政策の是非を適正に検証する必要がある。

私は2013年6月に『アベノリスク』(講談社)を上梓した。

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副題は「日本を融解させる7つの大罪」。

アマゾン紹介に次のように記した。

第一のラッパが吹き鳴らされると、日銀の資産を大幅に劣化させてまで誘導される激しいインフレが、政府と企業だけを救い、国民は大いに苦しめられた。

第二のラッパが吹き鳴らされると、大増税が始まり、アベノミクスへの期待効果によって生まれたわずかな株高などは簡単に吹き飛ばされた。

第三のラッパが吹き鳴らされると、TPP加盟によって美しい国土は荒れ地と化し、米国市場原理主義の猛威が日本社会を荒廃させた。

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第四のラッパが吹き鳴らされると、活断層の上の原発がいつのまにか続々と再稼働し始め、人々は原発事故の悪夢に怯える日々を過ごした。

第五のラッパが吹き鳴らされると、血税を食い荒らすシロアリ官僚がますます増殖し、再び増額された巨大公共事業・役人利権予算に群がった。

第六のラッパが吹き鳴らされると、権力の横暴を防ぎ止める役割を担っていたはずの憲法が、国家権力によって次々と都合よく改悪され、国民主権や基本的人権がないがしろにされた。

第七のラッパが吹き鳴らされると、憲法改悪によって戦争への道が切り開かれ、集団的自衛権の名のもとに日本が報復攻撃の対象とされ・・・・・・・

これは黙示録ではありません。近未来の日本の姿です。
アベノミクスの次にやってくるのは、アベノリスクの時代なのです。

『アベノリスク』が現実化してきたことはその後の歴史が証明している。

私は同書でインフレ誘導政策について論じている。

要点は二つ。

第一はインフレ誘導政策が間違った政策であること。

第二はインフレ誘導政策が失敗する可能性が高いこと。

歴史を客観的に検証し、当時の論争、現在の政策評価を整理する必要がある。

第一にインフレ誘導政策が成功しなかったという事実を確認する必要がある。

日銀が量的金融緩和政策を拡大すればインフレ誘導は可能であると主張した者が多かった。

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黒田日銀はこの主張に乗って大規模金融緩和政策を実行した。

しかし、インフレ誘導は実現しなかった。

上掲書に詳述したが、日銀が短期金融市場に流動性を大規模供給しても市中銀行が与信を拡大しなければマネーストックは増大しない。

マネーストックが増大しなければインフレは実現しない。

私はこのロジックによってインフレ誘導が成功しないとの見通しを示した。

現実にこの見通しは的中した。

黒田東彦氏が「異次元バズーカ」などと称して短期金融市場に過剰な短期資金を供給したが、マネーストックは増大しなかった。

結果としてインフレ誘導は実現しなかった。

2022年に激しいインフレが発生したのは二つの要因による。

第一はウクライナ戦乱等の影響で資源価格が高騰するとともに欧米で激しいインフレが進行したこと。

第二はコロナ資金繰り対応で無担保無利子融資が激増し、マネーストックがバブル期以来の高い伸びを示すとともに、日銀政策を背景に日本円が暴落したこと。

アベノミクスが成功してインフレが実現したのではない。

アベノミクスが失敗に終わった後に、世界的インフレと国内の過剰流動性供給、円暴落によってインフレが発生してしまったということ。

日銀の政策失敗が連続している。

10年前の論議において間違っていたのは黒田氏と安倍首相だった。

このことを明確にすることが重要だ。

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