カテゴリー「金融政策」の62件の記事

2025年1月 9日 (木)

害悪だらけの日銀超緩和政策

12月19日の金融政策決定会合で日銀は金利引き上げを見送った。

利上げを見送った直接の要因は、前日の12月18日に米国FRBが利下げを決定したものの、先行きの金利引き下げペースを緩やかにする方針が明示されて米国株価が急落したことにある。

NYダウは12月17日終値43,449ドルから1,123ドル急落して18日は42,326ドルで取引を終了した。

FRBはFFレートの見通しを公表した。

9月FOMCでは2025年末のFFレート水準を3.25~3.50%としていたが、12月FOMCでは3.75~4.00%とした。

12月18日のFOMCでFRBはFFレートの誘導目標を4.25~4.50%に引き下げた。

昨年9月FOMC以来12月までに3回のFOMCが開催されたが、そのすべてで利下げが決定された。

しかし、12月のFOMCでは2025年の利下げをペースダウンする方針が決定された。

9月時点での、2025年に0.25%幅の利下げを4回実施するとの見通しが、2回実施方針に修正された。

パウエルFRB議長は会見で

「今後は利下げでより慎重になる可能性」

「インフレ率が持続的に2%に向かわなければ、利下げペースをより鈍化させることが可能」

と示した。

FRBの利下げペースが鈍化する方針が示されたことに反応してNYダウが前日比1123ドル急落した。

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昨年7月末の金融政策決定会合で日銀は利上げを決定。

利上げ決定は想定の範囲内のもので、日銀の利上げ決定を受けて日本株価は反発した。

ところが、その後の記者会見で植田和男日銀総裁が

「今回の展望レポートで示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。」

と述べて金融市場が激烈な反応を示した。

日銀の利上げ対応は適正なもの。

しかし、利上げ後の会見で「利上げを継続する」と宣言する必要はなかったと言える。

日経平均株価は7月11日の42,426円から8月5日の31,156円へ11,270円、26.6%の暴落を演じた。

歴史的な株価大暴落になった。

しかし、1990年の大暴落とは異なり、今回の株価急落は「バブル崩壊」ではない。

私は株価が反発に転じる可能性が高いとの予測を明示した。

実際、その通りになった。

この経験があるため、12月19日の利上げは見送る以外に道はなくなった。

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しかし、日銀の短期金利引き上げは適正な政策対応である。

日銀の利上げを闇雲に批判する者がいるが正しくない。

日銀の責務は「通貨価値の維持」と「金融システムの安定性確保」。

「通貨価値の維持」とは「物価安定」のことだが、対外的な「通貨価値」が為替レートであり、日本円暴落は「通貨価値の暴落」を意味しており、日銀は日本円暴落を回避するために行動しなければならない。

マクドナルドのビッグマックはさまざまな要素価格が組み込まれたものであるとともに、各国で販売されていることから、為替レートの偏りを判定する上で有用な財である。

ビッグマック1個の価格がA国とB国で等しくなる為替レートを計算することができ、これを「購買力平価」と捉えることができる。

現在のビッグマック価格を基準とするとドル円レートの購買力平価は1ドル=85円程度になる。

1ドル=160円は日本円暴落水準である。

日本円暴落は日本国民保有資産のドル表示金額を激減させる。

グローバルスタンダードでの日本国民保有資産金額の激減を招いている。

国民は海外から輸入した財を消費する。

円が暴落すると輸入財に対して多くの日本円を支払わなければならない。

日本円暴落によって日本国民は巨大な損失を蒙っている。

日本円暴落によって利益を得るのは輸出者のみである。

また、2023年には日本で4%を超えるインフレも発生した。

インフレも消費者、労働者、生活者、主権者、国民に損失を与える。

金利が上がると住宅ローン金利が上昇して困ると言うが、家計の預金と借金を比較すると圧倒的に預金が多い。

金利上昇はプラスマイナスを相殺すると家計にはプラスになる。

1月の金融政策決定会合で日銀が利上げを決定することは適正な措置になる。

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「日銀超金融緩和主張者の共通点」

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2024年12月17日 (火)

日銀の利上げ見送りは本当か

財政政策、金融政策に関する議論が混乱している。

百家争鳴の状況。

妥当性のない主張が展開されている。

経済政策について常に正鵠を射る提言を続けてきた立場から一石を投じる。

財政政策、金融政策の論点を以下に示す。

財政政策では以下の三つの論点を提示する。

1.財政赤字を拡大する景気刺激策を実行する財政余力があるのか。

2.財政運営の最大の課題がどこにあるか。

3.税制の改変について何を優先するべきだ。

金融政策では以下の三点を提示する。

1.日銀の金利引き上げ政策が正当化されるのか。

2.金融政策は為替変動に注意を払うべきか。

3.金融政策決定の制度面に改善すべき問題があるか。

以上の六点に関する考察の回答を先に示す。

財政政策の1

日本政府のバランスシートは巨額の資産超過であり、日本財政には十分な余力があるから財政赤字を拡大させる景気支持策を発動する余地はある。

財政政策の2

日本財政の最大の問題は支出の内容。

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財政支出に無駄な利権支出が多すぎる。

財政支出の内容を全面的に組み替えることが必要。

財政政策の3

税制の改変では過去35年間の税収変動を踏まえて歪みを是正することが最重要。

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敗戦後日本の課税の基本は「能力に応じた課税」である。

この「応能負担」原理が著しく歪められている。

最重要の施策は消費税減税・廃止である。

金融政策の1

2023年に日本で4%インフレが発生した。

日銀が目標に掲げたのは2%インフレであり、これをはるかに上回った。

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したがって、日銀の政策は「インフレ抑止」を基軸にする必要がある。

この視点からの金利引き上げは正当化される。

「金利引き上げ阻止=インフレ推進」の主張は間違っている。

この主張も「ザイム真理教」の教義の一つである点を認識しなければならない。

金融政策の2

日本円暴落は円の価値喪失。

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日銀の責務は「物価安定」だが、これを言い換えれば「通貨価値の維持」である。

日本円暴落を回避する、あるいは是正することは金融政策運営上の重要テーマである。

金融政策の3

金融政策運営上の最大の問題は政治の金融政策運営への介入が制度的に確保されてしまっていること。

日銀の政策決定にかかわる9名のメンバー全員が政治任用である。

このため、内閣が意図すれば金融政策運営を内閣が支配できてしまう。

中央銀行の政策運営は政治の圧力から切り離すべきで、現在の政治任用制度を変える必要がある。

目先の論点について記述する。

12月19日の政策決定会合で日銀が追加利上げを決定するかに市場の関心が集中している。

日銀が利上げを見送り、円安が加速する場合に、政策運営が混乱する。

次回会合は米国のトランプ大統領就任直後になるため、日銀の利上げ環境が整うか不透明である。

現時点では日本の株価水準が高い一方、ドル円が円安傾向を強めており、ドル円が円安方向に急激な変化を引き起こすことを回避するために、12月の決定会合で小幅利上げを決定することが、今後の政治スケジュール等を踏まえたときには得策であるとの見方を示すことができる。

金融市場は日銀の利上げ見送り見通しに傾いているが、日銀が19日に利上げを決定する可能性は十分にあり得ることを踏まえておくことが必要と思われる。

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第3957
「12.19日銀政策決定会合の見方」

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2024年9月21日 (土)

適正に運営される日米金融政策

9月18日のFRB・FOMCで0.5%幅の利下げが決定された。

9月20日の日銀政策決定会合では政策金利が据え置かれた。

一連の政策決定を背景に、米国ではNYダウとS&P500が終値ベースで史上最高値を更新。

他方、ドル円は143.85円/ドルまでドルが値を戻し、日経平均株価は37723円で9月20日の取引を終えた。

東京株式市場が取引を終えた後に日銀の植田和男総裁の記者会見が行われ、会見の発言を受けた先物市場では日経平均先物2024年12月限月が37970円で取引を終えた。

12月限月の日経先物価格は9月末の配当落ち分を275円程度含んでいるため、日経平均株価換算では38245円まで値を戻したことになる。

7月31日に日本銀行が小幅利上げを決定して以降、日本の株式市場を中心に荒れ模様の市場動向が観察されているが、大山は鳴動したが、結果的に見れば市場波乱は小幅にとどまっている。

私が執筆している市場分析レポート『金利・為替・株価特報』
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では、7月31日の政策決定会合での小幅利上げを予測し続けた。

その後に、株価が急落した際も、8月8日執筆の『金利・為替・株価特報』8月13日号で、

「ファンダメンタルズの急変がなければ、緩やかに株価が反発する可能性が高い」

と明記。

実際、日経平均株価は、その後順調に緩やかな上昇を続け、9月2日には39080円の戻り高値を記録した。

7月31日の日銀総裁記者会見前株価水準を回復したのである。

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その後、日経平均先物価格(2024年12月限月)は9月2日の38935円から9月9日の34900円に4035円急落。

7月末以来の株価乱高下が持続する様相を示した。

この状況下で、9月12日執筆の『金利・為替・株価特報』9月17日号で、

「日経平均株価変動基本レンジを35000円-39000円の見通し」とし、

「株価収益率(PER)は15倍を下回り、日本株価に割高感は存在しない。レンジを大幅に超える株価暴落は瞬間的には生じても長期化はしない見通し」

と明記した。

『金利・為替・株価特報』では、7月31日に日銀が小幅利上げを決定するとの見通しを提示するとともに、この利上げ以降は、性急に利上げを継続する必要性が低下するとの見通しを示した。

7月31日の日銀政策決定は想定通りであり、かつ適正なものであると判断できるが、この日の記者会見で植田総裁が

「引き続き政策金利を引き上げていくことになる」

と発言し、これを契機に金融市場の乱高下が始動したことは、本来回避すべきものであったと言える。

この点については、植田総裁の発言が必要なかったとの評価を示してきた。

その後に日本株価が急落したのは8月2日に発表された米国7月雇用統計によっている。

また、9月2日から9日にかけての株価再反落も米国経済統計発表が契機になっている。

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最大の焦点は米国経済軟着陸の可否。

8月2日以降に台頭したのは、米国経済が「軟着陸」ではなく「リセッション=景気後退」という「ハードランディング」に向かうとの思惑だ。

内外の専門家筋が「米国経済ハードランディング」を強調して不安が煽られてきた。

しかし、『金利・為替・株価特報』では、一貫して米国経済軟着陸可能性を指摘し続けてきた。

現時点では、金融市場が再び「米国経済軟着陸」の可能性を想定し始めている。

こうしたなかで、日銀の金融政策運営に対する論評があれこれ提示されている。

9月20日の植田総裁記者会見でも、7月末政策決定を含めた日銀政策運営を批判する主張が一部の記者から示され、日本テレビ系ニュースサイトでも植田総裁の政策運営を批判する論調が強調された。

しかし、これらの批評は大局観を見失ったもの。

大局を概観すれば、植田日銀の政策運営は極めて正当である。

自民党総裁選でもマクロ経済政策運営について論議があるが、金融政策超緩和の継続を求める声が依然として存在することは驚きに近い。

日本のインフレ率は日銀目標の2%を大幅に突破した。

日本で警戒しなければならないことはインフレの加速であり、日銀が金融超緩和を修正することは当然の対応である。

マクロ経済政策で論議しなければならないのは、財政政策と金融政策の望ましい組み合わせ。

この論議が完全に欠落している。

実際、7月31日以降の日本株式市場の乱高下を詳細に観察すると、明確な政策路線のあり方がくっきりと明示されることが分かる。

以下にその点を詳述したい。

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第3889
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2024年8月24日 (土)

日銀政策修正が適正であるわけ

7月31日の日銀政策決定会合に前後して日本の株式市場が大荒れになった。

しかし、行き過ぎた混乱は修復されつつある。

株価が急落した当時、日本の証券会社関係者から恨み節が発せられた。

「日銀が悪い」

インターネットの専門チャンネルに登場したある証券会社調査マンは日銀に対する罵詈雑言を並べ立てた。

しかし、まったく的外れだ。

私が執筆している市場分析レポートでは7月31日に日銀が金融引き締め策を決定すると予測した。

『金利・為替・株価特報』
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7月31日の当日まで、今回は政策変更見送りとの観測が市場では有力だった。

日銀調査局OBまでが金利引き上げ先送りを主張していたほど。

しかし、7月利上げの方向感を日銀が示してきたことを踏まえれば、外部環境が激変していないのに、その方向性を違えることの方が弊害は大きい。

粛々と最小限の利上げを決定することが順当だった。

現実に日銀は利上げを決定した。

『金利・為替・株価特報』およびTRIが主催している『TRI政経塾』では7月後半に日銀政策変更観測によって日本株価が下落する予測も提示していた。

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7月31日までに株価は下落し、日銀政策決定を受けて株価は急反発した。

一種の「アク抜け」が生じた。

しかし、その後にある異変が生じ、影響が広がった。

その異変とは7月31日の記者会見で植田日銀総裁が

「引き続き政策金利を引き上げていくことになる」

と発言したこと。

これは明言するべきでなかったと言える。

発言には条件が付されていたが、マーケットはこの部分だけを切り抜いて過剰反応した。

投機筋がこの発言に飛びついて相場を仕掛けたのである。

8月2日発表の米国雇用統計で米国景気後退観測が浮上したことも株価下落の「仕掛け」を増幅させる効果を発揮した。

日経平均株価は7月後半の急落の直前に急騰していた。

6月17日安値37950円から7月11日高値42426円へと4476円、11.8%もの急騰を演じていた。

それが、7月11日高値42426円から8月5日安値31156円まで11270円、26.6%の急落を演じた。

8月5日の日経平均株価下落幅4451円は1987年10月のブラックマンデー翌日の下落幅3836円を抜いて歴代最大になった。

この下落について、事態を正確に理解できない者が日銀の政策が失敗だったとの不満を発出した。

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8月8日に執筆した『金利・為替・株価特報』8月13日号では、

「ファンダメンタルズの急変がなければ、緩やかに株価が反発する可能性が高い」

と明記した。

実際、日経平均株価は、その後順調に緩やかな上昇を続け、8月24日には38424円の高値を記録した。

株価変動の想定レンジ内に日経平均株価が回帰した。

重要なのはファンダメンタルズ。

株価評価の基礎は指標からの判断だ。

今期予想利益ベースの日経平均採用銘柄企業の株価収益率(PER=株価/一株利益)は16倍で利回り(一株利益/株価)は6%水準にある。

日本の10年国債利回りは1%以下の水準。

株式の利回りが非常に高い。

利回りが高いというのは株価が安いということ。

日本株価にバブルは発生していない。

株式市場の大波乱が生じたのは、実は日本だけだった。

米国株価は雇用統計で一瞬、小幅下落したが、すぐに元の水準に回帰した。

NYダウは7月17日に41,376ドルの史上最高値を記録後、8月5日に38,499ドルの安値を記録したが、8月23日には41,207ドルまで値を戻した。

2877ドル、7.0%の下落を示したが、下落幅の94%をすでに戻してしまったのである。

8月23日にジャクソンホールでFRBパウエル議長が講演して9月利下げの方向性が確定的になった。

経済・金融の安定確保に最重要の役割を果たすのが金融政策。

日本の金融政策が是正され、日米の金融政策が適正に運用されるようになったことは極めて望ましいことだ。

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2024年7月31日 (水)

巧妙かつ適正な日銀政策修正

7月31日の金融政策決定会合で日銀が短期政策金利引き上げと国債買い入れ額の減額方針を決めた。

ブルームバーグ社が7月19-22日に実施したエコノミスト調査では、今会合での利上げ予想は29%だったが日銀は行動した。

私が執筆している会員制の経済金融市場分析レポート
『金利・為替・株価特報』
https://uekusa-tri.co.jp/report-guide/

では、今回会合での利上げ決定を予測してきた。

同時に、日銀は今回会合で短期金利引き上げを決定するべきだと指摘してきた。

日銀は実際に短期金利引き上げを決定した。

日銀は政策金利の無担保コール翌日物金利を、従来の0-0.15%程度から0,25%程度に引き上げた

日銀は同時に、金融市場からの国債買い入れについて、これまでの月間6兆円程度を、原則として四半期ごとに4000億円程度ずつ減額し、26年1-3月に3兆円程度まで圧縮することも決めた。

GDP統計では、直近4四半期連続で実質民間最終消費支出が前期比減少を記録しており、個人消費の弱さから日銀は利上げを見送るべきとの意見も一部エコノミストから示されていた。

たしかに日本経済の基調は弱い。

しかし、景気の弱さへの対応を現在の日本の金融政策に負わせるのは誤りである。

日本の金融政策運営上の最大の課題はインフレ亢進と日本円暴落である。

行き過ぎた金融緩和が激しいインフレと日本円暴落をもたらした。

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「異常な金融緩和政策」を修正=是正することは当然のこと。

日銀総裁が黒田東彦氏から植田和男氏に交代して、金融政策正常化が初めて可能になった。

植田和男総裁は外野の不規則発言に囚われることなく、着実に金融政策正常化を進めている。

基本的に正しい政策対応が示されている。

今回の政策決定会合で利上げ決定に反対したのは

中村豊明、野口旭の両審議委員。

いずれもインフレ推進派の審議委員であると理解できる。

中村豊明氏は日立製作所出身の人物。

2012年8月6日の参議院「税と社会保法制度一体改革特別委員会」中央公聴会に、中村氏は経団連税制委員会企画部会長の肩書で公述人として出席。

私も公述人として出席した。

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=118014402X00120120806&current=1

中村氏は消費税率を10%に引き上げる消費税増税法案に賛成の立場で意見陳述した。

私は当然のことながら、反対の立場で意見を述べた。

この消費税大増税から日本経済は構造的停滞に陥っている。

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公聴会意見陳述で私は日本政府がバランスシート上、資産超過である事実を指摘したが、このことについて中村氏は

「私自身も、先ほど植草さんが言われた国のバランスシートを久しぶりに見たんですけれども、一千兆円あって純資産が三十六兆しかないということですから、自己資本比率三%ですので、その一千兆円の借金の金利からいくとあと数年で破綻するということにもなりますので、ここを早く、負債は減らした方がいいと思います。」(発言178)

と述べた。

民間企業のバランスシートと国家のバランスシートを同列に論じることはできない。

この基礎すら踏まえぬ発言だった。

黒田日銀の野放図な量的金融緩和政策推進に加担したメンバーが政策決定会合メンバーに残存しているが、総裁交代を契機に政策運営の修正が進められている。

日本でもインフレ率はコア(生鮮食品とエネルギーを除く、日本ではコアコアと表現)で2023年に4%を突破した。

激しいインフレを引き起こしてしまった。

インフレが亢進し、賃上げが行われても実質賃金が減少する状態が続いている。

厚労省統計では労働者一人当たりの実質賃金は2022年4月から26ヵ月連続で前年比減少を続けている。

米国のFFレートは5.5~5.75%の水準にある。

インフレ率の日米差は小さく、名目金利差がそのまま実質短期金利差になっている。

この巨大な実質短期金利差が日本円暴落の重要な原因になっている。

これらの状況を踏まえれば、日銀の政策修正は当然のもの。

しかも、日銀は7月会合での利上げ実施を従前より示唆してきた。

正当性のある政策修正が決定されたと言える。

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2024年6月25日 (火)

インフレ円安誘導は亡国政策

ものごとには陰と陽、表と裏、光と影がある。

いま問題になっているのは為替と金融政策。

2013年のアベノミクスは「円安誘導」、「インフレ誘導」を掲げた。

他の問題と同様。

円安もインフレにも「光と影」がある。

ある者にとっての「光」が別の者にとっての「影」になる。

別の言い方をすれば「利得」と「損失」を生む。

インフレはどのような影響を与えるか。

インフレは債務者に利得を、債権者に損失を与える。

借金している人は得をし、預金している人が損を蒙る。

500万円の借金と預金を考えてみよう。

この人の年収が500万円とする。

仮に物価が10倍になったとする。

年収は物価に連動して基本的に5000万円に向かう。

しかし、借金と預金の500万円はそのまま。

500万円の借金と預金は年収1年分だったのが年収の10分の1年分に変わる。

借金も預金も10分の1の重みに減少する。

これが「債務者利得」と「債権者損失」である。

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また、インフレの進行は「賃金を受け取る労働者」と「賃金を払う企業」に真逆の影響を与える。

長期的には名目賃金がインフレに連動するが、短期では名目賃金の連動は遅れる。

インフレが進行しても賃金はすぐには追い付かないから実質賃金は減少する。

「インフレ誘導」の提案がなされた最大の理由は、企業の実質賃金負担を減らすことにあった。

デフレの時代に企業の労働コストが上昇したことが背景だ。

物価下落がデフレ。

デフレになっても名目賃金を引き下げることは難しい。

デフレの局面では実質賃金が上昇しやすい。

世界の大競争が強まり、先進国の企業が国際価格競争に負けるようになった。

この事態に直面するなかで「インフレ誘導」が提案された。

インフレが進行するときに企業が賃上げを控えれば実質賃金を引き下げることができる。

「インフレ誘導」の提案は企業の実質賃金負担を軽くするために提案されたものなのだ。

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したがって、「インフレ誘導政策」は債務を抱え、賃金を支払う企業=資本の側に利得を与え、預金を持ち、賃金を受け取る労働者、一般市民に損失を与える政策である。

アベノミクスのインフレ誘導政策が根本的に間違っていると指摘してきた理由がこの点にある。

インフレ誘導は資本に利得を与えて、労働者=消費者=一般市民に損失を与える施策である。

他方、円安はどうか。

円安で利益を得るのは輸出製造業。

150万円の日本製品は1ドル=75円なら2万ドル。

1ドル=150円になれば1万ドルになる。

150万円の車を300万円での価格にしてドル市場で販売しても売値は2万ドル。

輸出企業の手取りは2倍になる。

増加した手取りのすべてが純利益。

他方で輸入食品を購入する消費者は大損する。

1ドルの商品を購入する代金が75円から150円に値上がりする。

灯油もガソリンも原油もすべて輸入品。

食材の多くを占める小麦や大豆、トウモロコシなども輸入が太宗を占める。

円安は消費者=一般生活者の負担を大幅に増大させる。

これだけでない。

日本国民の所得、資産のグローバルスタンダードでの価値が減少する。

海外での購買力が激減。

一方で、日本の優良資産が外国資本によって買い占められる状況が生まれる。

インフレ誘導、円安誘導は亡国の政策である。

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2024年5月23日 (木)

日銀政策運営の正常化

日本の長期金利=10年国債利回りが1%水準を突破。

11年ぶりのこと

金融政策運営について各種意見が提示されているが、適正な見解は広範に示されていない。

2012年12月の第2次安倍内閣発足以来、

インフレ誘導=超金融緩和政策

が推進されてきた。

これと表裏一体の関係にあるのが黒田日銀の金融政策である。

黒田東彦氏は異例の日銀総裁2期連投を果たした。

その10年間、超金融緩和=インフレ誘導を提示し続けた。

2013年に黒田日銀体制が始動した際、黒田氏、ならびに岩田規久男日銀副総裁は2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引き上げることを公約として掲げた。

岩田規久男氏は公約を実現できない場合、職を辞すことが責任を明らかにするもっとも分かりやすい行動であると国会で明言した。

果たして、インフレ率2%は実現しなかった。

このことは国民にとって不幸中の幸いだったが、公約を実現できなければ職を辞して責任を明らかにすると述べた岩田氏はどう行動したか。

そんな話があったことを口に出すこともなく、副総裁の座に座り続けて任期をまっとうした。

日銀副総裁の椅子の座り心地が良すぎたということだろう。

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私は2013年7月の参院選前に

『アベノリスク』(講談社)
Photo_20240523110801

https://x.gd/iPQAH

を上梓した。

安倍内閣の本性はこれから明らかになる。

七つの災厄が日本国民を襲うことになると警告した。

インフレ誘導、消費税増税、TPP参画、天下り復活、原発推進、壊憲、戦争推進の悪夢が日本を襲うことを詳述した。

この警告は基本的に現実のものになったと言える。

このなかでインフレ誘導について次の見解を示した。

黒田日銀がインフレ誘導政策を遂行するが、成功すると言えない。

インフレ誘導にはマネーストックの拡大が必要だが、マネーストック拡大を誘導できる保証がない。

結果としてインフレ誘導は実現しない可能性が高い。

他方、インフレ誘導政策そのものが適正でないことを詳述した。

物価上昇率が小幅プラスの状況が生まれること自体に問題はない。

本来、財やサービスの価格は、市場の需給で値上がりするものと値下がりするものに分かれるが、「値下がり」が一般的にあまり実施されない慣習下で平均物価が下落すると、本来生じるはずの価格差が顕在化しにくくなるという問題が生じる。

「相対価格の調整が進みにくい」という問題が生じやすくなる。

このことから、物価水準平均では小幅プラスになる状態が望ましいとは言える。

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しかし、インフレそのものが各経済主体に与える影響は異なり、とりわけ、消費者、労働者、生活者、預金者にマイナスの影響を与える点が重要。

逆にインフレは、賃金を支払う企業、債務者に利得を与える。

一言で要約すると、インフレは賃金を支払い債務を抱える企業に利益を与える一方、賃金を受け取り、預金者である一般市民、労働者に不利益を与える。

そもそもインフレ率を引き上げるべきとの主張は、企業の実質労働コスト引き下げを目的に提唱されたものであることに目を向ける必要がある。

このことを詳細に指摘した。

しかし、日銀が提唱したインフレ誘導の方法は短期金融市場に潤沢に資金を供給するというものだった。

短期金融市場に日銀が潤沢に資金を供給しても、その短期資金を元手に金融機関が融資を拡大しないとマネー残高は増大しない。

マネー残高が増大しなければインフレは誘導されず、このことから私は日銀のインフレ誘導が成功しない可能性が高いと指摘した。

実際に大規模金融緩和にも関わらずマネーストックは大幅に増大せず、インフレ誘導は失敗に終わった。

インフレは労働者=消費者=預金者=生活者に不利益を与えるものだから、インフレ誘導が失敗したことは不幸中の幸いだった。

だが、状況は2021年から23年にかけて激変。

日本で4パーセントを超えるインフレが発生してしまった。

当然、日銀はインフレ抑止にかじを切り替える必要があったが黒田氏はこれを拒んだ。

日銀総裁が植田和男氏に代わり、ようやく日銀の政策修正が進展し始めた。

その一環としての1%長期金利出現。

これを非難することは適正でない。

金融政策運営の基本を再確認する必要がある。

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2024年3月27日 (水)

金融政策正常化が正当である理由

日銀の政策修正は正当。

遅きに失したというのが実態だ。

2013年春以降、「インフレ誘導」の旗が振られ、インフレが進行することが良いことであるかの風説が流布されてきたが正しくない。

不幸中の幸いでインフレ誘導は失敗に終わったが、インフレ推進政策は正しいものでない。

インフレ進行は国民生活に打撃を与える。

企業と政府はインフレ進行を歓迎するが、これは企業と政府がインフレから利益を得るから。

逆に消費者・労働者・預金者はインフレで損失を蒙る。

一般国民の立場に立てばインフレ進行は悪事である。

インフレ率がマイナスと小幅プラスのどちらが望ましいかと言えば、小幅プラスの状態で安定するなら小幅上昇が望ましいとは言える。

相対価格の調整が円滑に実現するからだ。

資源配分の効率を高めるには相対価格の調整が進む方が好ましい。

これが、小幅プラスインフレ率が望ましい理由。

これ以上の理由はない。

どうしてもプラスのインフレ率にしなければならないというものではない。

インフレの利害得失でいえば、インフレは政府と企業に利益を与え、デフレは労働者・預金者に利益を与える。

2022年から23年にかけて日本のインフレ率は4%を超えた。

これは完全に許容範囲を超える。

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したがって、日銀はインフレ抑止に基軸を移す必要がある。

2023年、日銀は低いインフレ見通しを発表してインフレ推進政策を実行した。

2023年度の生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価上昇率を日銀は次のように予測してきた。

2023年1月レポート  +1.8%
2023年7月レポート  +3.2%
2023年12月レポート +3.8%

実績としての2023年の生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価上昇率は+4.0%だった。

日銀は甘すぎるインフレ予測を立てて、その甘いインフレ予測に基づいてインフレ推進の政策を実行した。

2023年に日銀総裁が黒田東彦氏から植田和男氏に代わり、ようやく、日銀はインフレ見通しの誤りを認めた。

その上で、政策修正に動いたのである。

日銀法第2条に金融調節の理念が定められている。

日本銀行法
第2条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ことが金融調節の理念である。

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その物価安定が損なわれたのであるから政策を修正するのは当然のこと。

インフレが与える影響を分かりやすい例で考える。

年収500万円・預金500万円の個人と年収500万円・借金500万円の個人を想定する。

物価が10倍になると年収は連動して5000万円になるが預金と借金の500万円は不変。

物価が10倍になると年収1年分だった預金と借金がいずれも年収の0.1年分になる。

預金者は損失を蒙り、債務者は利益を得る。

また、賃金の変動が遅れる間、インフレ進行は実質賃金を減少させ、労働者に損失を、企業に利益を与える。

日本一の借金王は日本政府。

日本政府は激しいインフレの発生を熱望している。

安倍内閣の下で財務省は日銀の実権を握った。

この下でインフレ誘導を展開した。

その政策がようやく修正されつつある。

日銀の政策修正は正当であり、この政策運営の下で日本のインフレが抑止されることが望ましい。

多額の借金を抱える者はインフレを待望する。

日銀のインフレ誘導政策を熱烈支援する者の多くが多額の債務を抱える者であることを知っておく必要がある。

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第3740
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2024年3月19日 (火)

適正な日本銀行の政策修正

日銀が政策修正を決定した。

マイナス金利を解除し、イールドカーブコントロールを撤廃した。

想定通りの政策修正である。

日銀の政策修正は当然のもの。

遅きに失した面が強い。

理由は安倍内閣がインフレ誘導をゴリ押ししてきたことにある。

インフレ誘導は庶民にとってメリットのある施策ではない。

2%程度のインフレ率が安定的に維持されることは悪いことではないが、インフレの亢進そのものは弊害が多い。

物価上昇率が2%程度ある状況は悪いことでない。

財サービスの価格が平均で2%程度上昇する状況下では相対価格の調整が円滑に進むからだ。

モノの値段は上がるものもあれば下がるものもある。

全体のインフレ率がゼロであると相対価格の調整が進みにくい。

理由は価格に下方硬直性があること。

値段が上がることは普通だが、値段が下がることは起こりにくい。

値段が下がることが少ないと、平均インフレ率がゼロの場合、相対的に値下がりするべきものの値段も下がらず、価格のばらつきが生じにくくなってしまう。

平均で2%程度のインフレがあると、相対価格が下がるべきものの値段が下がらず横ばいであっても、他のものが2%値上がりしたり、4%値上がりしたりすることにより、相対価格の調整が円滑に進む。

価格変化のばらつきが広範に広がることが相対価格の調整の進展で資源配分の適正化に資する。

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この意味で2%程度のインフレ率が安定的に維持される状況は悪いものでない。

ただし、インフレがどんどん進行することの弊害は大きい。

インフレとデフレは経済に影響を与える。

ある者にとってはプラスに、別の者にとってはマイナスに作用する。

インフレで利益を得るのは賃金を支払う者と借金をしている者。

逆に賃金を受け取る者と預金している者はインフレで損失を蒙る。

デフレはこの逆。

デフレになると賃金を支払う者と借金をしている者が損を蒙る。

逆に賃金を受け取る者と預金をしている者は利益を得る。

2012年12月に発足した第2次安倍内閣が「インフレ誘導」の旗を振った。

この「インフレ誘導」で利益を得ることを期待したのは企業と政府だった。

企業は支払う実質賃金を抑制できる。

政府にとっては、借金の重みがインフレ進行によって軽くなる。

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2022年から2023年にかけて、日本でも激しいインフレが起きた。

4%を超えるインフレだ。

このようなインフレを日銀が容認するのは誤り。

日銀総裁が代わり、ようやく金融政策正常化が動き始めた。

黒田東彦氏は安倍晋三氏と手を携えてインフレ誘導を目指した。

不幸中の幸いで、その政策目標は実現しなかった。

インフレ誘導政策を強行したがインフレ誘導は実現しなかった。

ところが、2022年から23年には特殊な要因でインフレが生じた。

このインフレを抑止するのが日銀の役割。

黒田東彦氏は自身が提示した路線に執着して、最後の最後まで政策修正を断行できなかったが、日銀総裁が交代して、ようやく異常な金融政策運営に終止符が打たれつつある。

この日銀政策修正を批判する者がいるが間違っている。

インフレ誘導を推進する人々は、当人が大きな借金を背負っている場合が多いと言われてきた。

インフレが生じると借金が目減りするからだ。

しかし、一般的な庶民にとって、インフレは百害あって一利なしである。

このことを正確に認識しておかねばならない。

日銀が政策を修正し、インフレ抑止の姿勢を持つことは正しいことを認識しておかねばならない。

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第3733
「適切な金融政策運営提言の歴史」

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2024年3月18日 (月)

3月19日会合で日銀政策修正へ②

インフレ誘導政策は2012年12月に発足した第2次安倍内閣が「アベノミクス」の一つの柱として提示したもの。

大規模金融緩和政策によってインフレを実現することを目標にした。

このことに私は異を唱えた。

2013年7月、私は

『アベノリスク』(講談社)
Photo_20240317203901

https://x.gd/TO8kA

を上梓した。

第2次安倍内閣がもたらす7つのリスクを列挙して警告を呼び掛けた。

7つのリスクとは

インフレ誘導、消費税増税、TPP参加、原発再稼働、天下り、憲法改悪、戦争推進。

提示した7つのリスクのうち、インフレ誘導を除く6つのリスクが現実化した。

憲法の内容が憲法改正の手続きなしに改変され、日本は戦争をする国に改変された。

消費税の税率は5%から10%へ倍増された。

「TPP断固反対」と大書きしたポスターを貼りめぐらせて選挙を戦ったのに、安倍首相は選挙から3ヵ月も経たずにTPP交渉への参加を決定。

米国が離脱したにも関わらず日本がTPPを延命させ発効させた。

フクシマ原発事故を風化させ原発稼働を全面的に推進した。

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しかし、インフレ誘導だけは不幸中の幸いで実現しなかった。

拙著『アベノリスク』のなかで、インフレについて次の二点を強調した。

第一はインフレ誘導政策が方向として正しくないこと。

第二は日銀が短期金融市場に流動性を大量供給してもインフレが実現しない可能性が高いこと。

実際に黒田日銀のインフレ誘導公約は実現しなかった。

インフレ誘導が実現しない可能性が高い理由を『アベノリスク』のなかに詳述した。

2013年当時、この点は経済学者の間での論争点にもなった。

私は日銀が短期金融市場に大量の資金を供給しても、マネーストック増大が実現する保証がない点を強調した。

実際、黒田日銀は「異次元金融緩和」、「黒田バズーカ」を乱発して短期金融市場に大量の資金供給を行ったが、マネーストックは大幅増加を示さなかったのである。

結局、黒田日銀の掲げたインフレ誘導公約は実現しなかった。

岩田規久男副総裁は2013年の国会同意人事意見聴取において、公約を実現できない場合は職を辞して責任を明らかにするのが分かりやすいと述べたが職を辞することはなかった。

インフレ誘導は可能であると主張した学者は現実の前に敗れたのである。

そのインフレが2022年から23年にかけて日本で猛威を振るった。

インフレ率が4%を突破したのである。

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三つの要因を挙げられる

第一に2020年2月に発生したコロナパンデミックに連動してコロナ融資が激増し、マネーストック伸び率が10%にまで高まったこと。

第二に世界的なインフレが進行したこと。

第三に日銀が円安誘導政策を実行して日本円が暴落したこと。

日銀のインフレ誘導は失敗したが、2022年から23年にかけて別の要因で目標をはるかに超えるインフレが日本で発生した。

この事態に対して、日銀は早期にインフレを抑止するスタンスに政策運営を軌道修正する必要があった。

しかし、黒田東彦氏は任期満了まで政策修正を公式には拒絶した。

実態として日本銀行の政策運営は修正されていた。

しかし、黒田氏はその実態を最後まで認めなかった。

2023年4月に日銀総裁に就任した植田和男氏は、表面的には黒田日銀の路線を引き継ぐとしながら、実態として漸進的な政策修正を進めてきた。

植田氏も国会同意人事の意見聴取の関門をくぐらねばならなかった。

国会の多数勢力を、アベノミクスを推進した自民党が握っている。

正論を述べれば人事に同意されない状況が存在した。

このなかで植田氏はぎりぎりの政策運営を推進しているように見える。

日銀が政策修正を実行すれば株価暴落が生じるとの見解が存在するが、そのリスクは限定的である。

実際、政策修正の見通しが強まるなかで株価は反発している。

同時に、経済政策の最重要目標は株価でない。

「物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資する」ことが金融政策運営の理念である(日本銀行法第2条)を忘れてはならない。

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