カテゴリー「自主独立外交」の7件の記事

2012年7月27日 (金)

『戦後史の正体』を知り日本の独立を実現する

元外務省国際情報局長、防衛大学校教授などを歴任され、現在は精力的に執筆および情報発信活動を展開されている孫崎亨氏の新著『戦後史の正体』(創元社)が刊行された。


戦後日本はGHQの占領下に置かれた。


GHQは当初、日本の徹底的な民主化を推進した。


このなかで、財閥解体、農地解放、労働組合育成などの措置が取られた。


さらに戦争放棄の規定を持つ憲法が定められ、NHKの抜本的な改革も俎上に載せられた。


ところが、米国の外交戦略が転換され、対日占領政策は劇的な変質を遂げた。これが「逆コース」と呼ばれる占領政策の転換であった。


皮肉なことは、戦争放棄の条文を持つ日本国憲法が施行された1947年5月の直前に、米国の外交戦略の転換を象徴するトルーマン・ドクトリンが発表されたことだ。


日本の民主化措置は中断され、日本における思想統制が再開された。


また、米国は日本の再軍備の方向に占領政策を大転換させた。

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戦後日本の政治は、対米隷属派と自主独立派とのせめぎ合いのなかで織りなされてきた。


1946年4月の敗戦後、初めての総選挙を受けて鳩山一郎政権が発足するはずだった。


ところが、この直前に、鳩山一郎氏は公職追放処分を受けた。棚ぼたで総理の椅子を手にしたのが吉田茂氏だった。


吉田茂氏は外相として、公職追放リストをGHQと折衝する窓口役を務めていた。実は吉田茂氏自身も、1927年の東方会議などに関与したことなどから、公職追補リストに掲載されていた。吉田茂氏は、マッカーサー夫人にリンゴ、桃、メロン、トマト、花などの付け届けを頻繁に行うなど、公職追放逃れともいえる工作活動を展開し、見事に公職追放リストから除外されることに成功した。


他方で、鳩山一郎氏の公職追放の動きに対しては、一切の回避活動などを行わなかったと見られる。鳩山一郎氏を公職追放に誘導し、自らの公職追放を回避して、首相就任を我がものにしたのだと推察される。

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1947年の憲法施行に合わせて実施された総選挙の結果、社会党党首片山哲氏を総理大臣とする政権が誕生した。しかし、米国の外交政策方針の転換により、この政権は、誕生の時点から、米国に望まれない存在に転じていたのである。


片山政権は短命に終焉したが、同じ流れを汲む芦田均政権が誕生した。しかし、この政権は昭電疑獄事件の余波を受けて短命に終焉してしまった。この昭電疑獄事件は、芦田政権を攻撃するために、GHQが仕組んだ、一種の謀略事件であると見られている。


芦田政権が倒されたのちに樹立されたのが、米国と通じる吉田茂氏を首班とする第二次吉田内閣だったのである。


戦後日本の体制は、吉田政権の下で確立された。その基本は、米国による日本の実効支配である。NHKは政治権力の支配下に置かれることになった。当初のGHQが描いたNHK民主化の構想は雲散霧消したのである。

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「逆コース」後のGHQによる戦後日本支配は、一言でいえば、米国による日本の実効支配である。


米国は、この目的を達成するために、三つのものを活用した。


釈放した戦犯容疑者、東京地検特捜部、そして、マスメディアである。


米国は戦犯容疑者のなかから、戦後日本の支配に活用できる人物を選別し、釈放と引き換えに、米国への忠誠を誓わせた。この釈放した戦犯容疑者を米国はフルに活用したのである。


東京地検特捜部は、1947年の隠退蔵物資事件を契機に、東京地検に設置された「隠匿退蔵物資事件捜査部」がその前身である。その出自から、米国との深いかかわりを持つ組織なのである。


また、吉田茂氏が、日本の思想警察組織として、内閣調査室と公安調査庁を設置して、CIAとの連携を図ったことも明らかにされている。


日本で最初の民間テレビ放送会社である日本テレビ放送網は、やはり戦犯容疑釈放者として知られる正力松太郎氏が創設したものだが、この正力氏にはPODAMという、CIAのコードネームが付されていた。

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米国は対米隷属の日本政治家を通じて、日本を間接支配し続けてきた。


その日本支配に欠かせぬツールとして、戦犯釈放者、地検特捜部、マスメディアが位置付けられてきた。


米国が実効支配する日本において、政治家が、自分の利益と社会的地位の向上を求めるなら、米国と手を握ることが明らかに近道である。多くの日本政治家が、この理由で、自ら率先して米国の僕になる道を選択した。


そのなかで、少数の政治家だけが、米国との適切な距離、間合いを維持しようとした。


鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、そして、小沢一郎、鳩山由紀夫の各氏である。


彼らに共通することは、このすべての人物が、米国から激しい攻撃を受け続けたことである。


その理由は単純明快である。


米国による日本支配の構造に異を唱えた、異を唱える行動を示したことである。

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戦後日本の政治構造とは、日本を実効支配し続けてきている米国を中軸とし、この周りに、官僚機構、大資本、利権政治家、そしてマスメディアが米国と結託して強固な利権複合体を構築するというものであった。


この五者を私は「悪徳ペンタゴン」と表現しているが、この五者が日本政治を支配し続けてきたのが、偽らざる戦後日本史の実態であると思われる。


2009年の政権交代の意義は、この日本政治構造を打破する点にあった。


米国による支配、官僚による支配、大資本による支配を打破し、主権者である国民が支配する政治構造を打ち立てること。これが、政権交代に託された、大きな課題であった。


鳩山由紀夫政権は、この大きな目標をもって発足したものであったが、その目標が、日本の既得権益、米官業政電の利権構造を根底から否定するものであっただけに、既得権益勢力の抵抗、反抗はすさまじいものであった。


鳩山由紀夫氏、小沢一郎氏はメディアの集中砲火を浴びて、メインストリームの地位から強引に引きずりおろされたのである。


この図式のなかで、現在の政治状況を理解しなければならない。


その具体的テーマが、消費税、原発、TPP、そして沖縄問題なのである。

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2012年2月11日 (土)

貸した金を返せと言えない日本の土下座外交

2月8日に収録された岩上安身氏によるインタビュー動画の一般公開期限が満了に近づいているので、まだご覧になっていただいていない方には、ご高覧賜れればありがたく思う。
 
 インタビュー収録動画はこちら
 

 動画については、「カナダde日本語」の美爾依さんや、「こわれたおもちゃをだきあげて」の高田伸一さまをはじめ、多くの方が好意的に紹介くださっている。この場をお借りして深く感謝申し上げたい。
 
 また、岩上安身氏はIWJという名のインターネット報道メディアを主宰され、会員も募集されているので、ご関心をお持ちの方はIWJサイトをご覧いただきたい。

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 さて、昨日のメルマガに記述した内容については、日本の全国民が知っておかなければならない重要な内容なので、本日のブログに掲載させていただく。
 
 以前にも記述したことのあるテーマで、日本の外貨準備をめぐる話題である。外貨準備というのは、為替介入が蓄積したものである。
 
 円高が進むと、「大変だー」という声が聞こえてくる。
 
 この声に対応するように、政府が米ドルを買うのだ。これを「ドル買い介入」と呼ぶ。
 
 何を買うのかというと、具体的に買っているのは、米国国債だ。
 
 誰のどのようなお金で買うのかというと、介入のたびに、政府は日本銀行から借金をしている。全額、日銀からお金を借りて、米国国債を買っているのだ。
 
 昨年末時点で、これまでに蓄積された外貨準備は1兆2958億ドルだ。
 
 びっくりするような規模のお金だ。
 
 この外貨準備に、恐るべき秘密が隠されている。
 

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 財政再建が叫ばれる今日この頃、この外貨準備での巨大損失が表面化しているのだ。
 
 この問題について、昨日、2月10日の衆議院予算委員会で、自民党の西村康稔議員が質問した。
 
 西村氏は経産省出身で、同じ経産省出身で「村上ファンド」で一世を風靡した村上世彰氏とも親交があった。事実、村上ファンド関連会社役員から政治献金も受けていた。また、村上ファンド投資家リストに名前を連ねていいたとも言われている。
 
 この西村氏が衆院予算委員会で円高対策が必要だと主張し、財務省のドル買い円売り介入にエールを送ると発言したのだ。
 
 西村氏は、日本政府によるドル買い為替介入賛成論者ということになる。

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本ブログ読者は、この問題について私が繰り返し指摘してきた問題をご存じのことと思う。
 
 拙著『日本の再生』(青志社)にもこの問題を詳しく記述した。
 
 国会では、私の主張を参考にしたと思われる江田憲司氏が、初めてこの問題を取り上げた。ドル買い介入による巨大損失問題だ。

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どの規模の損害が生まれているのだろうか。
 
 以下に説明する。
 
 昨年末時点で日本政府が保有する外貨準備残高は、1兆2958億ドル。
 
 1ドル=76円で円換算すると、98.5兆円だ。
  
 2007年6月末の外貨準備残高は9136億ドルだった。
 
 2007年6月末と2011年末の残高差は3822億ドル。この4年半の間に外貨準備残高は3822億増えた。政府がドル資産を買い増したわけだ。
 
 この期間の平均為替レートは
(124+76)/2=100
1ドル=100円になる。
 
 3822億ドルを積み増すのに要した円金額は38.2兆円と考えることができる。
 
 他方、2007年6月末の外貨準備の円換算金額を、
当時の為替レート1ドル=124円
で計算すると、113.3兆円になる。
 
 つまり、
113.3+38.2=151.5兆円
の元手で、昨年末の1兆2958億ドルの外貨準備を保有していることになる。
 
 ところが、1兆2958億ドルの外貨準備の時価総額は、
98.5兆円。
 
 つまり、
151.5-98.5=53.0兆円

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の為替損失が生まれていることになる。

財政再建を叫んでいる財務省が、為替投機で、なんと4年半の短期間に、

53兆円の損失
 
を計上したのだ。

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2007年6月に保有外貨準備をすべて金地金に変え、
その後の介入資金もすべて金地金に投資していたら、
現在の時価総額は
 
228.3兆円
 
になる。76.8兆円の利益が生んでいた。
 
 76.8兆円の利益と、53.0兆円の損失の落差は129.8兆円。
 
130兆円の差が生まれたのだ。

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さらに重大な問題がある。
 
 日本政府が巨大な外貨準備資産を回収する姿勢をまったく示していないことだ。日本政府が購入し続けているのは米国国債だが、日本政府がこの資金を回収しようとしていない。
 
 米国政府にお金を貸して返してもらわないなら、あげたのと同じことになる。
 
 かつて橋本龍太郎首相が米国大統領に、
「米国国債を売りたい衝動にかられることがある」
と述べたところ、大騒ぎになった。
 
「なんじゃこれは!」
 
と思った人が多い。

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この点に関して、注意が必要なことがある。
 
 震災後、米軍が日本で復旧活動に協力してくれた。このこと自体はありがたいが、それと引き換えに借金を踏み倒すのではないかということ。
 
 米国はどこかで、
「トモダチに貸した金は返ってこない」
の言い伝えを聞いて、米軍の日本派遣プログラムを
「トモダチ作戦」
と命名したのではないか。
 
 財政再建で巨大増税だと騒いでいるときに、財務省が為替投機で50兆円の損を出している。
 
 母屋でおかゆをすするときに、放蕩息子がマカオの博打で巨大損失かと思いきや、放蕩息子は、ヤクザの親分にゆすられて、上納金を積み上げていたということになる。
 

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 日本の外貨準備が急増したのは小泉竹中時代だ。小泉竹中政権は日本の資産価格を暴落させた時期に外貨準備を激増させた。米国はこの時期に、日本の株や土地を暴落価格で買い占めた。
 
 小泉竹中政権は大銀行をつぶすと言いながら、最終的に大銀行を2兆円の公的資金で救済した。これを契機に日本の株価と地価が暴騰した。濡れ手に粟の巨大利益を得たのは米国資本だ。
 
「平成の黒い霧」事件の一端である。
 
 貸した金を返して欲しいとも言わず、ただ、ひれ伏すのみ。これを「土下座外交」と呼ばずして何と呼べるのか。

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2009年10月 3日 (土)

『日米基軸外交を基礎に置く鳩山新政権』

9月24日付本ブログ記事再掲載

鳩山由紀夫次期内閣総理大臣の米誌への寄稿が話題を寄んでいるという。「対等な日米関係」と「アジア重視」は正論である。鳩山次期総理が目指している方向は「対米隷属外交」から「日米基軸外交」への転換であって過激なものではない。

それでも今なお日本を敗戦国と見なす米国の一部の支配者層は鳩山氏の唱える「対等な日米関係」指向を快く思わないのだと考えられる。第二次大戦以降の日本政治史を振り返ると、米国の対日支配姿勢が明瞭に読み取れるからだ。

1946年4月10日に実施された戦後初の総選挙の結果、本来首相の地位に就くはずだったのは鳩山一郎氏だった。ところがGHQの公職追放により、吉田茂外相に組閣の大命が下り、吉田茂氏が首相に就任した。

しかし、春名幹男氏によれば、吉田茂氏に対しても公職追放の主張がGHQ内部に存在した。当時GHQと公職追放の交渉にあたったのは吉田外相自身であった。吉田氏はGHQ・G2(参謀第2部)との交渉の末、追放を免れたと見られている。G2は戦後民主化から冷戦開始下での「逆コース」=「レッドパージ」を主導した中心勢力である。

1947年5月発足の片山哲内閣、1948年2月発足の芦田内閣は昭電疑獄拡大によって内閣総辞職へ追い込まれた。この昭電疑獄にもG2が深く関わっていると考えられている。

その後に吉田茂氏が首相に返り咲き、日本が米軍に基地を提供することを基礎に置いて1951年9月にサンフランシスコ講和条約が締結された。

悲劇の政治家と呼ばれた鳩山一郎氏は追放から解除され、1954年12月に首相に就任し、1956年10月、日ソ国交回復共同宣言を成立させた。鳩山氏は日ソ国交回復を花道に引退し、後継首相には石橋湛山氏が就任した。

石橋首相は「自主外交の確立」を掲げたが2ヵ月後に病気で辞任し、後任に米国に「支援」された岸信介氏が首相に就任し、1960年に新日米安保条約に調印した。米国が鳩山政権、石橋政権に強い警戒感を有していたことは多くの米国外交文書が明らかにしている。

田中角栄元首相がロッキード事件で失脚した背後にも米国支配層の意図が存在するとの指摘もある。

2005年9月の総選挙で大勝した小泉政権を主要メディアが絶讃した状況と比較して、今回の総選挙で大勝した民主党に対する主要メディアの「アラ探し」の基本姿勢は明らかに異なっている。

国民は鳩山政権を支えて日本の真の独立を確固たるものにしなければならない。

2009年9月5日執筆

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2009年9月30日 (水)

『鳩山新総理誕生と連立新政権発足を祝福』

9月29日付本ブログ記事再掲載

9月16日に召集された特別国会で民主党代表の鳩山由紀夫氏が第93代内閣総理大臣に指名され、民主党、社民党、国民新党による連立政権が発足した。政権交代の偉業が実現したことを心から祝福したい。日本の国民が主権者としての権力を行使して、国民本位の政府樹立を目指して、この偉業を成し遂げた。

第二次大戦後、GHQによって日本の民主化が推進されたが、①日本政府を通じての間接統治の手法が採用されたこと、②1974年以降、米ソ冷戦が本格化して「民主化の逆コース」が急展開したことにより、官僚主導政治、政治と産業界の相互依存、米国による日本支配が残存してしまった。この基本構造を定着させたのが「55年体制」である。

爾来、50年以上の長期にわたって自民党が政治の中心に居座り、政治が官僚、大資本、米国、マスメディアが利権複合体とともに形成してきた。これが「政官業外電の悪徳ペンタゴン」である。大資本は自民党に年間200億円を超える献金を献上し、利権配分にあずかってきた。

旧長銀のリップルウッド社への10億円での売却と再上場認可、りそな銀行救済に伴う株価操縦疑惑、「かんぽの宿」不正売却未遂疑惑など、日本の政治が他国の利益を基準に運営されているのではないかとの疑念が多くの国民に知られるようになった。

強欲な金融資本の活動が放任され、法外な利益を手にする者を「がんばって成功した人」と賞讃するなかで金融バブルが破裂して世界経済に未曽有の不況を引き起こした。このなかで善良で勤勉な中間層(ミドルクラス)が社会の下層に突き落とされてしまった。こうした事態に直面するなかで、主権者である国民が権力を行使することによって、政権交代の偉業を成し遂げたのだ。日本の歴史上、初めて「民衆の力による無血革命」が成就したのである。

鳩山新政権はこの重みを厳粛に受け止めねばならない。政権公約に示した①企業献金全面禁止、②天下り根絶、③セーフティネット強化を確実に実行しなければならない。時計の針を逆回しすることは許されない。

2009年9月16日執筆

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2009年9月29日 (火)

『日米基軸外交を基礎に置く鳩山新政権』

9月24日付本ブログ記事再掲載

鳩山由紀夫次期内閣総理大臣の米誌への寄稿が話題を寄んでいるという。「対等な日米関係」と「アジア重視」は正論である。鳩山次期総理が目指している方向は「対米隷属外交」から「日米基軸外交」への転換であって過激なものではない。

それでも今なお日本を敗戦国と見なす米国の一部の支配者層は鳩山氏の唱える「対等な日米関係」指向を快く思わないのだと考えられる。第二次大戦以降の日本政治史を振り返ると、米国の対日支配姿勢が明瞭に読み取れるからだ。

1946年4月10日に実施された戦後初の総選挙の結果、本来首相の地位に就くはずだったのは鳩山一郎氏だった。ところがGHQの公職追放により、吉田茂外相に組閣の大命が下り、吉田茂氏が首相に就任した。

しかし、春名幹男氏によれば、吉田茂氏に対しても公職追放の主張がGHQ内部に存在した。当時GHQと公職追放の交渉にあたったのは吉田外相自身であった。吉田氏はGHQ・G2(参謀第2部)との交渉の末、追放を免れたと見られている。G2は戦後民主化から冷戦開始下での「逆コース」=「レッドパージ」を主導した中心勢力である。

1947年5月発足の片山哲内閣、1948年2月発足の芦田内閣は昭電疑獄拡大によって内閣総辞職へ追い込まれた。この昭電疑獄にもG2が深く関わっていると考えられている。

その後に吉田茂氏が首相に返り咲き、日本が米軍に基地を提供することを基礎に置いて1951年9月にサンフランシスコ講和条約が締結された。

悲劇の政治家と呼ばれた鳩山一郎氏は追放から解除され、1954年12月に首相に就任し、1956年10月、日ソ国交回復共同宣言を成立させた。鳩山氏は日ソ国交回復を花道に引退し、後継首相には石橋湛山氏が就任した。

石橋首相は「自主外交の確立」を掲げたが2ヵ月後に病気で辞任し、後任に米国に「支援」された岸信介氏が首相に就任し、1960年に新日米安保条約に調印した。米国が鳩山政権、石橋政権に強い警戒感を有していたことは多くの米国外交文書が明らかにしている。

田中角栄元首相がロッキード事件で失脚した背後にも米国支配層の意図が存在するとの指摘もある。

2005年9月の総選挙で大勝した小泉政権を主要メディアが絶讃した状況と比較して、今回の総選挙で大勝した民主党に対する主要メディアの「アラ探し」の基本姿勢は明らかに異なっている。

国民は鳩山政権を支えて日本の真の独立を確固たるものにしなければならない。

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2009年9月24日 (木)

『日米基軸外交を基礎に置く鳩山新政権』

鳩山由紀夫次期内閣総理大臣の米誌への寄稿が話題を寄んでいるという。「対等な日米関係」と「アジア重視」は正論である。鳩山次期総理が目指している方向は「対米隷属外交」から「日米基軸外交」への転換であって過激なものではない。

それでも今なお日本を敗戦国と見なす米国の一部の支配者層は鳩山氏の唱える「対等な日米関係」指向を快く思わないのだと考えられる。第二次大戦以降の日本政治史を振り返ると、米国の対日支配姿勢が明瞭に読み取れるからだ。

1946年4月10日に実施された戦後初の総選挙の結果、本来首相の地位に就くはずだったのは鳩山一郎氏だった。ところがGHQの公職追放により、吉田茂外相に組閣の大命が下り、吉田茂氏が首相に就任した。

しかし、春名幹男氏によれば、吉田茂氏に対しても公職追放の主張がGHQ内部に存在した。当時GHQと公職追放の交渉にあたったのは吉田外相自身であった。吉田氏はGHQ・G2(参謀第2部)との交渉の末、追放を免れたと見られている。G2は戦後民主化から冷戦開始下での「逆コース」=「レッドパージ」を主導した中心勢力である。

1947年5月発足の片山哲内閣、1948年2月発足の芦田内閣は昭電疑獄拡大によって内閣総辞職へ追い込まれた。この昭電疑獄にもG2が深く関わっていると考えられている。

その後に吉田茂氏が首相に返り咲き、日本が米軍に基地を提供することを基礎に置いて1951年9月にサンフランシスコ講和条約が締結された。

悲劇の政治家と呼ばれた鳩山一郎氏は追放から解除され、1954年12月に首相に就任し、1956年10月、日ソ国交回復共同宣言を成立させた。鳩山氏は日ソ国交回復を花道に引退し、後継首相には石橋湛山氏が就任した。

石橋首相は「自主外交の確立」を掲げたが2ヵ月後に病気で辞任し、後任に米国に「支援」された岸信介氏が首相に就任し、1960年に新日米安保条約に調印した。米国が鳩山政権、石橋政権に強い警戒感を有していたことは多くの米国外交文書が明らかにしている。

田中角栄元首相がロッキード事件で失脚した背後にも米国支配層の意図が存在するとの指摘もある。

2005年9月の総選挙で大勝した小泉政権を主要メディアが絶讃した状況と比較して、今回の総選挙で大勝した民主党に対する主要メディアの「アラ探し」の基本姿勢は明らかに異なっている。

国民は鳩山政権を支えて日本の真の独立を確固たるものにしなければならない。

2009年9月5日執筆

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2008年6月26日 (木)

「独立自尊外交」について

外交政策についての私の立ち位置についての疑問を「気まぐれな日々」kojitaken氏が提示されているので、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第三章「不撓不屈」に「望ましい政治のあり方について7つの提案」を記述し、その第4として「外交政策の見直し」を、同章第6節「平和国家の追求」に記述したので、以下に引用する。

 

私は元来、経済金融市場に関する研究を本職としてきた。現実の金融市場の分析を通じて、金利・為替・株価の変動メカニズムに関する研究を重ねて、ひとつの分析体系を構築した。1990年代以降、研究の重心を経済政策に移行したが、そのなかでの重要な着眼点のひとつが「政治経済学的」分析視点だった。

  

経済政策を政治経済学的な視点から分析することを重ねるなかで、当然の帰結として、政治のあり方に関する考察を重ねるようになった。私なりの思想、哲学を基に政治と政策について意見を表明するようにもなった。

  

  

政治経済学的分析を記述した最初の論考は『中央公論』1991年11月号所収の「バブル崩壊後日本経済の行方」である。私がつけた当初のタイトルは「漂流する日本経済に明日はあるか」だった。この論文で私は、バブル生成・崩壊のメカニズムを明らかにするとともに、日本のバブル生成・崩壊が米国の経済政策と不可分に結びついており、「戦略的経済外交」の視点を明確に保持しなければ、一国経済、国民生活を守ることはできないとの提言を示した。

  

  

経済政策に関連して、「対米隷属外交」からの脱却、「独立自尊外交」の重要性を唱えてきたが、過去の戦争に関する歴史認識、アジア外交の基本スタンスなどに関しては、私の専門領域の外の問題として言及せずにきた。

  

  

しかし、上記『知られざる真実-勾留地にて-』では、私なりの政治論を提示する側面を持って執筆したこともあり、この問題についてのスタンスを明確に示す必要があると考え、記述した。私の外交問題に対する基本スタンスは、私の著作のなかでは、基本的にこの著作にしか記述していない。

  

  

私は私の主張に対する批判を封じ込める考えを一切持っていない。あらゆる問題について、多数の見解、意見があることは当然であり、自由主義社会の美点のひとつは、自由な言論活動が容認されることにあると思う。建設的な論議は非常に大切だと考えている。

  

ただ、それぞれの人がそれぞれの思想、哲学を持っており、それらが異なることは十分にありうる。建設的な論議を深めて、それぞれの相違をしっかりと確認することも大切だと考えている。

  

私の言説に対する批判を私は一切排除しないが、批判する際には、私のこれまでの著作を踏まえてほしいと感じる。歴史認識、外交政策、経済政策などについて、マスメディアなどが勝手に創り出してきた事実と異なる私に対するイメージに基づいて批判されても、私としてはいわれなき事実誤認だとしか反論できない。

  

  

歴史認識、外交政策についての私の主張は、私を支援してきてくださっている方々の主張とは異なる部分も多いと思う。ブログにリンクを張っていくつかのサイトを紹介させていただいているが、各サイト主宰者の思想、哲学と私の思想・哲学が同一であることを意味していない。私が参考にさせていただいている言説を掲載されているサイト、私を支援してくださっているサイトを紹介させていただいている。

  

  

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』では、プロローグに「想像力」のタイトルを付して、映画監督の山田洋次氏の言葉、

   

「一言で言えば想像力。想像することは、つ  まり思いやること。

いまの時代、注意深く相手を観察する能力がとても欠けていると思いま

す。」

  

を紹介し、執筆の基本理念を記述した。安倍政権に対する論評も記している。機会があれば紹介させていただきたいが、私の言説について論評してくださるのであれば、ぜひその前に拙著に目を通していただきたいと思う。

  

  

以下は拙著第三章第2節「人類の歴史」からの抜粋(175-176ページ)、および第6節「平和国家の追求」からの抜粋(186-189ページ)である。

  

  

「人類の歴史を振り返ると美しい世界は広がっていない。人類は支配と被支配、戦争と殺戮(さつりく)を繰り返す歴史を負ってきた。動物の世界の弱肉強食は自然の摂理に従って起こる。しかし、人間の支配、被支配、戦争や殺戮は自然の摂理によって生じるものでない。

  

現代の民主主義国家では人権尊重が重視され、理不尽、不条理の程度は低められていている。米国のネオコン(新保守主義派)と呼ばれる人々は、民主的な国家体制こそ人類が到達した最も優れた価値観と制度で、この価値観と制度を世界中に広げてゆくことが「正義」だと唱える。

  

だが歴史を振り返ると、米国自身が大西洋を渡った欧州人による侵略によって建国された事実を忘れられない。欧州人は全世界に進出し、原住民を支配して抑圧した歴史を負っている。アフリカの人々は奴隷として人身売買の対象にされ、米国に強制連行され、苛酷な労働と生活を強いられた。米国で奴隷解放宣言が出されたのは南北戦争下の1863年、いまからわずか150年前のことだ。

  

米国がイラクやイランに過剰な関心を注いでいる裏側に、米国のエネルギー戦略が存在している。大規模な戦争が繰り返される背後に、巨大な軍事産業の利害が関わっている。

  

米国はイラクが大量破壊兵器を保持しているとして、イラクへの武力行使に踏み切った。米軍の犠牲者が3000人を突破したがイラク保健省は2003年3月の開戦から2006年11月までに15万人のイラク人が死亡したと公表している

  

米国には歴然とした人種差別や人種偏見が残っている。WASPとよばれるプロテスタントのアングロサクソン人が米国を支配しており、少数だがユダヤ人が金融を中心とする重要産業に強い影響力を有している。自由で開かれた国だが、「格差」は限りなく大きく社会の支配階層は固定化されている。

  

2005年には所得上位2割の国民が所得全体の50.4%を占めて、1967年以降での最高値を記録した。所得上位4000人が年間所得10億ドル(約1200億円)超のビリオネアになった(フォーブス誌調べ)。米国は決して理想の楽園でない。小泉政権は米国流のシステムをそのまま日本に持ち込もうとしたと言ってもよい。」

  

(第三章第2節「人類の歴史」から175-176ページ抜粋)

  

  

「第四は外交の見直しだ。西部邁(にしべすすむ)氏は米国に追従する日本の外交姿勢をこう表現する。「9.11以後、世界はユニ・ポーラル(一極集中)に行く。アメリカのユニラテラリズム(単独主義)はもう不可避だ。アメリカのヘゲモニー(覇権)が世界を覆うのだから、好むと好まざるとにかかわらず、この下に入らなければ安全と共存は保たれないと言うイメージ」。(「表現者」前出)

  

しかしことはそう単純に運ばない。西部氏は、ロシア、中国が「そうは問屋が卸してくれるわけがないじゃないか」と対応していると指摘する。米国内でさえ、ブッシュ政権の「ネオコン」路線は中間選挙で拒絶された。イラク攻撃を積極支持した日本政府の判断の正当性も問い質(ただ)される。

  

米国外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長はフォーリン・アフェアーズ誌2006年11・12月号に『新しい中東』と題する論文を寄稿し、「中東近代史における「米国の時代」は終わった」と記している。英国フィナンシャル・タイムズ紙も06年11月23日にジェイコブ・ワイズバーグ氏による「米国政治の保守時代は中間選挙で終わった」との署名記事を掲載した。「アメリカは強い国だから、ひたすらに隷属すれば良い」とする「植民地メンタリティー」から脱却すべきだ。朝日川柳に「メンフィスで国家の品格また落とし」と風刺されていたが、日本の国家としての尊厳を大切にするべきだ。

  

オランダのジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンは「アメリカという巨大な鷲(わし)の翼の下に日本が入って、今やほとんど消滅寸前だ、中にいる日本人にはそれがなかなかわからないけれど」と指摘した。米国と友好関係を維持しつつも、国家としての尊厳を大切に守り、日本の考えを世界に発信すべきだ。

  

日本の核武装論が論議されている。私は反対だ。日本は世界で唯一の被爆国として核廃絶を訴え続ける責務を負っていると思う。核の使用は人類の自殺行為だ。

  

核兵器では「第二撃能力」が問題とされた。核攻撃を受けた時に反撃する核攻撃能力を持つことによって、核攻撃を抑止できるとの考え方である。これを踏まえると、そもそも核拡散防止条約(NPT)は根本的な不平等性を持っている。米国、ロシア、中国、フランスの核保有を容認し、これ以外の国に核兵器の保有を認めないとする条約である。

  

ところが、インド、パキスタンの核保有によりこの条約は事実上崩壊した。米国はインドと原子力協力の条約を批准した。米国はイスラエルの核保有も容認している。NPTは多くの矛盾を抱えている。日本は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を米国に求め、核兵器廃絶へ努力を注ぐべきだと思う。

  

核兵器の生みの親とも言えるアインシュタイン博士は原子爆弾が日本に落とされたことに悔悟の念を持ち、1955年4月に、核兵器廃絶と戦争廃止を訴える「ラッセル・アインシュタイン宣言」に署名した。この署名に湯川秀樹氏など9名の学者が加わり、「バグウォッシュ会議」という原爆反対の物理学者の運動が生まれた。日本はこの遺志を引き継ぐべきだ。

  

国内経済が低迷し、国民の不満が蓄積されるとき、安価な国家統合の手段として歴史やナショナリズムが動員され易い。いまの日本にもこの傾向が強く感じられる。

  

しかし、戦争ほど理不尽なものは存在しない。朝日新聞の連載「歴史と向き合う」のなかで、元特攻要員の江名武彦氏(83)が述べた。1945年4月に鹿児島県串良(くしら)基地から特攻出撃した。出撃は晴れの日に決行され、曇れば延期される。「眠れない布団のなかで晴れるなと祈り、明け方空を仰いだ」。江名氏の飛行機はエンジン不調で黒島沖に着氷して、江名氏は敗戦後に帰還した。

  

以前『ビルマの竪琴(たてごと)』という映画を観た。1956年公開の市川崑(こん)監督作品だ。主人公の日本兵は友を戦争で亡くし、遺骨を抱え日本への帰還を頑なに拒絶した。「埴生(はにゅう)の宿」の美しい音楽を聞きながら、涙が溢(あふ)れるのを止められなかった。悲惨な戦争を回避することにあらゆる努力を尽くすのが日本の進むべき道だと思う。小菅信子(こすげのぶこ)氏の著書『戦後和解日本は〈過去〉から解き放たれるのか』(中公新書)が第27回石橋湛山(たんざん)賞を受賞した。

  

著書は歴史を忘却せずに和解を実現することの重要性を説いた。小菅氏は第二次世界大戦後のドイツと日本の戦後平和構築の方法をこう述べる。「敗戦国の国民を、戦争指導者や加害者と、彼らに騙(だま)されて戦争協力した一般国民とに分けて、その一般国民と、戦勝国の国民や被害者・戦争犠牲者との間の関係を修復して、最終的に和解へと導いていこうとする方法」であった。

  

東京裁判は、戦勝国が「事後法」を用いて一方的に裁いたものだったから、多くの問題点が存在する。しかし私たちは歴史を見つめるとともに歴史を超克して和解の上に立つ世界平和を目指して進んでゆかねばならない。

  

小菅氏は受賞講演で石橋湛山元首相の言葉を紹介した。「ナショナリズムをどういうふうにしてプラスの方向に向けるかが重要ですね。これは結局人間自身の問題です。つまり体制とか組織とかいうけれど、つきつめていえば人間の問題だ。人間が人間自身と取り組む、これが一番重要ではないですか」(『湛山座談』)。五百旗頭真(いおきべまこと)防衛大校長が指摘するように、中国と隣接する日本は、日米中連携のなかでアジア太平洋地域の真の平和と友好を育む努力を注ぐべきだ。

  

安倍首相は2006年9月29日の所信表明で「日本人が本来持っていた、個人に必要な謙虚さと質素さ、日本人の純粋で静かな心、それらのすべてを、純粋に保って、忘れずにいてほしい」というアインシュタイン博士の言葉を引用した。

  

博士は1922年に来日した。日本は第一次大戦に勝利したばかりで博士を友好的に歓迎した(補注:追記参照)。来日した博士は次の言葉も残している。「日本にきて特に気になるのは、いたるところに軍人を見かけ、平和を愛し平和を祈る神社にも武器や鎧が飾られていることで、それは、全人類が生きていくのに不必要なことと思います」と語り、大阪での歓迎会場が日独の国旗に埋め尽くされているのを見て、「日独親善の気持ちには感謝しますが、軍国主義のドイツに住みたくないと思っている私には、余りいい気持ちはしませんでした」と述べたという(中本静暁著『関門・福岡のアインシュタイン』新日本教育図書)。私たちは可燃性の高いナショナリズムが高揚することを常に警戒しなければならない。

  

(第三章第6節「平和国家の追求」から186-189ページ抜粋)

  

(追記)本文中に「日本とドイツは第1次大戦で勝利したばかりで」との誤りがありましたので、本文を訂正するとともにお詫びいたします。「のんきな日本人」様、ご指摘ありがとうございました。

  

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