カテゴリー「金融行政」の3件の記事

2015年7月 6日 (月)

ギリシャ問題における借り手責任と貸し手責任

7月6日の日本時間午前8時から、FIFAワールドカップ女子サッカーの決勝戦がカナダのバンクーバーで行われ、日本は米国に5対2で敗れ、準優勝となった。


他方、ギリシャ国民投票で緊縮策受入れNOの結果が判明した。


週明けの日本は二つの大きなニュースに揺れ動いた。


ギリシャのチプラス政権は、IMF、EU、ECBの債権団(トロイカ)がギリシャに求めている財政緊縮策に対する賛否を国民投票にかけた。


当初は、緊縮策への賛成が反対を上回るとの世論調査が優勢であったが、国民投票が近づくにつれて差が縮小し、実際の国民投票では反対が賛成を大幅に上回った。


ギリシャに対する金融支援再開交渉が6月末で期限切れを迎えた。


金融支援再開は決定されず、ギリシャのIMFへの返済は不履行の状況に留め置かれている。


ギリシャ政府は交渉の大詰め段階で、7月5日の国民投票実施を決めた。


債権団トロイカは金融支援継続を決めずに、国民投票期日を迎えた。


ギリシャのチプラス政権は、債権団の提示する緊縮策に合意できないと主張しており、ギリシャ国民に国民投票での反対を呼びかけた。


賛成多数の結果が示された場合には、チプラス首相は辞任し、新しい政権が樹立されて、緊縮策を受け容れる可能性が高かったと考えられる。


債権団はこちらのシナリオ実現を期待したと考えらえるが、結果はそうならなかった。

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6月30日付ブログ記事


「ギリシャデフォルトリスク上昇責任は債権団にもある」


http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-6a79.html


にも記述したが、債権団とギリシャ政府との間には、経済政策運営に対する根本的な路線対立がある。


その対立を一言で表現すれば、


「弱肉強食 対 共生」


ということになるだろう。


チプラス首相は急進左派勢力SYRIZAの党首を務める40歳の人物である。


チプラス政権は財政再建を実現するための手法として、


法人課税の強化


を提示しているが、これに対して債権団は、


付加価値税の大幅引上げ


年金給付の削減


低所得者層への給付引下げ


を求めている。


経済政策の基本方向がまったく逆なのである。


チプラス政権の目指す方向が「共生」


であるのに対し、


債権団の目指す方向は「弱肉強食」


なのである。

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また、債権団の提示する提案には、基本的に


債務軽減


が含まれていない。


債務問題の解決のためには、常に、債権減免措置が必要である。


資金の融通に際しては、第一に、


「借り手責任」


が問われなければならないが、これだけで問題は解決しない。


「貸し手責任」


の重要性も重視されるようになっている。


「借りた方が悪い」


だけではなく、


「貸した方にも一定の責任がある」


と考えるのが、債務問題解決のひとつの「鉄則」になっているのである。

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実際、3年前のギリシャ危機に際して、債権団は厳格な緊縮策をギリシャに求めた。


ギリシャはこの緊縮策を忠実に履行したが、債権団が主張していたような経済成長は実現しなかった。


緊縮策は経済の悪化を招き、財政状況の一段の悪化を招く。


日本では、1997年度の経済政策、2000-2002年度の経済政策で、超緊縮財政政策を基軸とする、「改革」政策が強行実施されたが、この「改革」政策によって、財政赤字は激増した。


1996年度に21.7兆円だった財政赤字は1999年度に37.5兆円に激増した。


2001年度当初予算で28.3兆円に削減したはずの財政赤字が2002年度に35.0兆円に増加した。


経済成長を重視しない超緊縮財政は経済を悪化させ、税収を減少させて、財政赤字を逆に拡大させてしまうのである。


ギリシャの経済状況を踏まえれば、財政健全化を誘導する政策パッケージのなかに、一定の債務軽減策を盛り込むことが有効である。


1989年のメキシコ債務危機に際して採用されたブレイディ(米国財務長官)プラン以来、債務減免措置の積極活用が債務問題解決の基本に置かれてきた。


債権団がユーロの安定を守ることを最重視するのであれば、こうした対応策を念頭に入れる必要があると考えられる。

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2014年9月16日 (火)

日本経済を支える中小企業を支える方策

10月3日(金)および10月4日に講演を行う。


10月3日の講演会については、すでに9月8日付ブログ記事で紹介させていただいているが、これとは別に、10月4日の午後1時半から東京メトロ・表参道駅近くの南青山会館で講演をさせていただく。


合わせてご案内させていただく。


10月3日講演会は、『月刊日本』主催講演会。

 

場所は東京・永田町の衆議院第二議員会館1階・多目的会議室


開場:午後4時半、開演:午後5時。


参加費は無料。


演題は


「強欲資本の手先になり下がる安倍政権」


参加ご希望の方は、


『月刊日本』03-5211-0096


までお申し込みを賜りたい。先着順、定員に達し次第、受付を終了させていただく。


10月4日(土)の講演会は


「銀行の貸し手責任を問う会」


主催。


講演会タイトルは、


「銀行の過剰債務を身の丈にあった借金へ軽減し


日本の中小企業・個人を元気に!」

開場:午後1時、開演:午後1時半。


参加費は500円。


参加希望者は、当日会場にお越しください。


第1部 中小企業現場からの報告


第2部 講演


「日本経済を支える中小企業を支えるための方策」


「銀行の貸し手責任を問う会」事務局は


椎名麻紗枝法律事務所内にあり、椎名麻紗枝弁護士が代表を務められている。


電話番号は03-3581-3912


私は第2部の講演の部でお話しさせていただく。


終了は午後4時半。


1004141

1004142

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『月刊日本』主催講演会の案内文は以下の通り。


「戦後一貫して日本の支配者であり続けたのは、米国・官僚・大資本です。


この米・官・業による日本支配を側面支援してきたのが利権政治家であり、権力迎合の御用報道機関であるマスメディアです。


私たちは、目の前にある現象の背後にある本質を掴まなければなりません。


いま目の前には、株価上昇によるアベノミクスの甘い幻想が広がっています。


「大企業の賃上げ交渉で久しぶりにベースアップが実現した」との情報に踊らされ、人々の暮らしが良くなるような錯覚に取りつかれています。


「TPP参加によって日本が繁栄する」と美辞麗句を並べられると、ついその言葉に乗せられてしまいます。


しかし、これらは全てトリックであり、幻想なのです。


植草さんは、これらトリックと幻想を剥ぎ取り、真実を白日の下に晒します。


●日 時/103日(金)・午後5時開演(430分開場)


●会 場/衆議院第二議員会館一階・多目的会議室
※第二議員会館一階の玄関ホールにおいで下されば、係の者がご案内します。


●会 費/無 料


※出席ご希望の方は、下記までお電話ください。
 
03-5211-0096

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拙著


『日本の真実-安倍政権に危うさを感じる人のための十一章-』


(飛鳥新社)


http://goo.gl/8hNVAo


に、日本政治の問題点を整理して記述した。


「戦争と弱肉強食」を基軸とする安倍政権の基本路線が日本の主権者が望むものであるのか。


主権者は日本の進むべき道を見直す必要があるだろう。


「銀行の貸し手責任を問う会」の講演会では、日本の行政が金融機関に甘く、中小企業に厳しい現実を指摘する。


1990年以降のバブル崩壊により、日本経済は壊滅的な打撃を受けた。


経済活動は自己責任を基軸に行われるものだが、バブル崩壊の問題処理においては、すべての関係者に自己責任が問われたわけではない。


日本政治は米官業の支配体制の下に置かれているが、バブル崩壊の処理に際しても、この利権複合体の利益だけが追求されたのである。


中小企業と個人だけが救済の対象から外されてきたことは不公正のそしりを免れない。

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2013年10月29日 (火)

阪急ホテル社長が辞任でみずほ頭取が居座る矛盾

二つの不祥事が表面化し、その責任処理の相違に注目が集まる。


ひとつは、株式会社阪急阪神ホテルズの食材偽装問題である。


高級食材を使用していることをメニューに明記しておきながら、実際には、その食材を使用していなかった事実が発覚した。


同社の「偽装」は2006年3月~2013年9月まで行われていたと公表された。


この期間には、日本全体を騒動に陥れた、さまざまな食品偽装問題が発覚した期間が含まれている。


湯木佐知子氏のささやき腹話術会見が話題になった、船場吉兆のさまざまな偽装が大きな話題となった。


北海道のミートホープ社食肉偽装事件。


飛騨牛で有名な岐阜県での丸明による食肉偽装事件など枚挙に暇がない。


ミートホープ社事件では、社長に対して実刑判決が確定した。


類似した事案でも、逮捕されない事案がある一方、実刑判決まで示される事案がある。


内容の相違もあるが、天下りを軸にした警察・検察との癒着が、問題処理に著しい格差が生じる主因である。


日本の警察・検察行政は、いまだに前近代に取り残されているのである。

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もうひとつの企業不祥事は、みずほ銀行による反社勢力への融資問題である。


みずほ銀行が反社会的勢力へ提携ローンを通じて融資を行っていた問題の所在を確認しながら、経営トップが長期間この問題を放置してきたことが発覚した。


しかも、金融庁に対して、虚偽の報告をしていた事実が判明したのである。


歴代の頭取が報告を受け問題を認識していたこと、そして、現頭取の佐藤康博氏も問題が報告された取締役会に出席していたことが明らかにされた。


組織ぐるみの反社取引の温存と事実の隠蔽という深刻な現実が明らかにされた。

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阪急阪神ホテルズの出崎弘社長は10月28日に緊急記者会見を開き、社長職および阪急電鉄取締役を辞任することを発表した。


これに対して、みずほ銀行の佐藤康博頭取は、銀行会長の塚本隆史氏の辞任と自身の半年間の報酬カットを表明した。


塚本隆史氏はみずほ銀行会長を辞任するが、みずほファイナンシャルグループ会長職には留まる見通しである。


みずほ銀行の危機意識の欠如は驚くばかりのものである。


そもそも暴対法自身が、違憲立法の疑いの濃いものであり、反社勢力との取引問題については、根本からの再検討が必要である。


しかし、現実の法体制としてルールが確立されているのであるから、社会的責任の大きい銀行が、適正なコンプライアンス体制を執るべきことは言うまでもない。


みずほ銀行は反社への融資であることを把握した後も、問題を2年間にわたって放置してきた。


みずほ銀行は反社への融資を金融庁の調査で指摘された時点で直ちに適正な対応を取る必要があったが、金融庁が業務改善命令を出した後も記者会見も開かず、問題を放置し続けた。


これが社会で問題にされたのを受けて初めて記者会見を開いたが、当初の会見には頭取も出席せず、しかも、虚偽の内容を公表した。


その後、発表内容が虚偽であったことが公表され、今回の内部処分案公表につながったのである。

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佐藤康博頭取の年収は1億円を超えており、この年収について、半年間報酬ゼロの措置が取られても、基本的には痛くも痒くもないだろう。


みずほ銀行では問題の存在が把握されてからの2年間に、繰り返し取締役会等で問題の報告がなされてきた。


佐藤康博頭取も会議に出席して資料を閲覧し、説明を聞く立場にあった。


その佐藤氏が、「当時は重要性を認識できなかった」、「気づかなかった」と弁明しても、これは子供の言い訳にしかならない。


佐藤頭取は問題の拡大に対応して、第三者委員会を設置して、この第三者委員会が大甘処理を容認する見解を示したが、第三者委員会とは名ばかりのもので、お手盛り裁定と言わざるを得ない。

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弁護士で企業のコンプライアンス問題に詳しい郷原信郎氏はみずほの第三者委員会について、次のように指摘する。


http://goo.gl/9Xbw2C


「第三者委員会が、本来の役割を果たすためには、組織から独立した客観的な立場で活動が行う地位が保障され、十分な権限が与えられなければならない。


しかし、今回の第三者委員会の設置についてのみずほ銀行の対応を見ると、果たして、独立した客観的な立場で十分な調査・検討が行えるのか疑問である。


設置についての公表文では、「今般、当行は、再発防止・信頼回復のため、本件に関する事実確認、原因の究明、改善対応策の妥当性評価ならびに提言を得るべく、当行と利害関係を有しない外部の識者・専門家から構成される第三者委員会・・・を本日付けで設置した」とされているが、ここには、最も重要な「調査」という言葉が入っていない。事実「確認」という言葉からは、第三者委員会が独自に調査を行うのではなく、みずほ銀行が行う行内調査について外部専門家が検討し、その調査の手法、経過、結果が「妥当である」との「お墨付き」を与えることを目的とする委員会であるようにも思える。


今回の問題に関して調査すべき事項には、歴代の頭取が、暴力団関係者への融資の事実の報告を受けたのに、なぜ放置したのか、また、取締役会への報告を受けたのにそれを記憶していないと述べている現頭取の供述の信用性など、みずほ銀行のトップを含む経営陣の責任問題につながる事項が多く含まれている。通常、このような問題について行内調査で真相解明することは到底困難であるし、第三者委員も、独自に調査することなく、そのような行内調査の結果について、適正であるか否かを判断することは困難であろう。


日本を代表するメガバンクの経営の根幹に関わる問題なのであるから、第三者委員会の独自の調査体制を構築し、必要に応じて内部者を調査に活用することはあってもよいが、外部者中心の調査を行うべきであろう。


そして、もう一つ不可解なことは、設置後、第三者委員会側の記者会見は行われず、何のコメントも出されていないことだ。社会的にもこれだけ大きな注目を集める組織不祥事について、重大な使命を担う第三者委員会が設置された場合には、第三者委員会の側で記者会見を行い、調査の方針、調査体制、調査期間等について説明するのが通例だ。


組織自体の信頼が失われている時に、組織の内部者に代わって、第三者委員会が事実解明・原因究明の役割を担うのであれば、その第三者委員会の側から、社会に対して、それらの使命を果たすことについてしっかり責任を負う旨のメッセ―ジを発するべきだ。それが行われれば、マスコミも、世の中も、第三者委員会による事実解明に期待することになり、当該組織に対する批判・非難も、ひとまず一応沈静化する。第三者委員会が、単に、公表文という紙の上だけの存在にとどまったのでは、その設置の効果は限られたものにしかならない。」

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みずほの膿はまだ出し尽くされていない。


恐らく、これから、内部告発によって、さらに別の問題が明らかにされていくことになるだろう。


佐藤康博氏のお手盛り大甘処分がこのまま通用するほど、世の中は甘いものではないと思われる。


問題が発覚した場合、可能な限り早期に、可能な限り厳しい処理を断行することが、不祥事のダメージを最小化する方策だが、みずほの対応は、すべてが逆に進んでいるとの印象が強い。

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