カテゴリー「市場原理主義VS人間尊重主義」の12件の記事

2009年10月 3日 (土)

『予算配分と所得配分見直しが優先課題』

9月17日付本ブログ記事再掲載

アメリカ東インド連合艦隊司令官ペリーが黒船で来航したのは1853年6月3日だった。幕府軍との新政府軍との戊辰戦争が箱館で終結し、名実ともに維新が実現したのは1869年5月18日だ。

1993年6月18日に宮沢首相が内閣不信任案可決を受けて衆議院を解散した結果、細川政権が誕生し、55年体制に風穴が開いた。明治維新と同様に、爾来16年の時間を要して、本格的政権交代が実現することになった。

米国では本年、オバマ政権が誕生した。ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者ポール・クルーグマン氏は1980年以降の「保守派ムーブメント」政治の結果として米国の中間所得層が崩壊し、激しい格差社会が形成された事実を強調する。

「保守派ムーブメント」は「市場原理主義」、「新自由主義」、「新保守主義(ネオコン)」と解すればよい。その帰着点が「サブプライム金融危機」であり、米国でも政治思潮は大きな揺り戻しの局面を迎えている。

新しい日本政権の第一の課題は、これまで「業」と「官」に著しく偏っていた「予算配分」を「国民」中心に切り替えることだ。その前提となる具体策が「天下り」と「企業献金」の廃止だ。

第二の課題は「公正な所得配分」の実現だ。「最低賃金」など「配分ルール」を見直す必要があると同時に、「セーフティネット」を強化する「再配分」政策の見直しも不可欠だ。

第三の課題は「対米隷属政策」の検証だ。「かんぽの宿疑惑」の全容解明、「りそな処理疑惑」にもメスをいれなければならない。

同時に時代環境が大きく変化するなかで、「成長」、「官と民」、「ライフスタイル」等を含めて私たちの価値観をいま一度見つめ直す必要もあるだろう。

2009年8月30日執筆

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2009年9月26日 (土)

官・業で無く国民を潤す政府を樹立しよう

9月9日付本ブログ記事再掲載

8月14日朝日新聞「声」の欄に八王子市の中村氏による「財政問うより配分を議論して」の投稿があった。正鵠を射た指摘だ。自民党は民主党マニフェストの財源ばかりを攻撃するが、財源を全く示していないのは自民党である。民主党の財源論を自民党は不可能と言うが民主党は財源を全額明示している。

だが財源のより本格的な問題は貴重な国費を何にどう使うかとの「配分」にある。民主党は天下りと業界団体にばら撒いてきた国費を絞り込み、「子育て」、「社会保障」、「雇用」、「教育」、「農業」などに振り替えることを提案している。私は大賛成だ。フランスでは3~12歳の子育てへの親の負担を無くし、日本の人口に換算すれば年31兆円の国費を注ぎ、出生率引き上げに成功した。

財政のもうひとつの本質が「再配分」だ。グローバリゼーションの進行で企業が労働コストを切り込むなか、小泉・竹中政治は「市場原理主義」を持ち込み、セーフティーネットをずたずたに切り裂いてしまった。その結果「一億総中流」とも呼ばれた日本の「共生社会」はすさんだ「格差社会」に変質してしまった。

政権交代の大きな意義のひとつは「セーフティーネットの再構築」にある。「政・官・業・外・電」の利益を満たすためにばら撒いてきた予算を一掃し、「セーフティーネットの整備」に振り向けようというのだ。私はこの方針にも賛成だ。

問題の財源だが、民主党のマニフェストをすべて実行すると最初の2年間20兆円の費用を要する。民主党はすべてを無駄の排除などで賄おうとしているがそこまで無理をしなくとも良い。麻生政権は三度の補正予算で、僅か8ケ月で27兆円も財源に穴を開けた。民主党は補正を見直し、5兆円を2010年度に回すから、2011年度までの無駄排除による財源調達は5~10兆円程度で十分だ。これ以上財源を捻出すると景気回復を妨げる。民主党の財源論には不安は存在しない。

2009年8月15日執筆

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2009年9月23日 (水)

『予算配分と所得配分見直しが優先課題』

9月17日付本ブログ記事再掲載

アメリカ東インド連合艦隊司令官ペリーが黒船で来航したのは1853年6月3日だった。幕府軍との新政府軍との戊辰戦争が箱館で終結し、名実ともに維新が実現したのは1869年5月18日だ。

1993年6月18日に宮沢首相が内閣不信任案可決を受けて衆議院を解散した結果、細川政権が誕生し、55年体制に風穴が開いた。明治維新と同様に、爾来16年の時間を要して、本格的政権交代が実現することになった。

米国では本年、オバマ政権が誕生した。ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者ポール・クルーグマン氏は1980年以降の「保守派ムーブメント」政治の結果として米国の中間所得層が崩壊し、激しい格差社会が形成された事実を強調する。

「保守派ムーブメント」は「市場原理主義」、「新自由主義」、「新保守主義(ネオコン)」と解すればよい。その帰着点が「サブプライム金融危機」であり、米国でも政治思潮は大きな揺り戻しの局面を迎えている。

新しい日本政権の第一の課題は、これまで「業」と「官」に著しく偏っていた「予算配分」を「国民」中心に切り替えることだ。その前提となる具体策が「天下り」と「企業献金」の廃止だ。

第二の課題は「公正な所得配分」の実現だ。「最低賃金」など「配分ルール」を見直す必要があると同時に、「セーフティネット」を強化する「再配分」政策の見直しも不可欠だ。

第三の課題は「対米隷属政策」の検証だ。「かんぽの宿疑惑」の全容解明、「りそな処理疑惑」にもメスをいれなければならない。

同時に時代環境が大きく変化するなかで、「成長」、「官と民」、「ライフスタイル」等を含めて私たちの価値観をいま一度見つめ直す必要もあるだろう。

2009年8月30日執筆

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2009年9月17日 (木)

『予算配分と所得配分見直しが優先課題』

アメリカ東インド連合艦隊司令官ペリーが黒船で来航したのは1853年6月3日だった。幕府軍との新政府軍との戊辰戦争が箱館で終結し、名実ともに維新が実現したのは1869年5月18日だ。

1993年6月18日に宮沢首相が内閣不信任案可決を受けて衆議院を解散した結果、細川政権が誕生し、55年体制に風穴が開いた。明治維新と同様に、爾来16年の時間を要して、本格的政権交代が実現することになった。

米国では本年、オバマ政権が誕生した。ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者ポール・クルーグマン氏は1980年以降の「保守派ムーブメント」政治の結果として米国の中間所得層が崩壊し、激しい格差社会が形成された事実を強調する。

「保守派ムーブメント」は「市場原理主義」、「新自由主義」、「新保守主義(ネオコン)」と解すればよい。その帰着点が「サブプライム金融危機」であり、米国でも政治思潮は大きな揺り戻しの局面を迎えている。

新しい日本政権の第一の課題は、これまで「業」と「官」に著しく偏っていた「予算配分」を「国民」中心に切り替えることだ。その前提となる具体策が「天下り」と「企業献金」の廃止だ。

第二の課題は「公正な所得配分」の実現だ。「最低賃金」など「配分ルール」を見直す必要があると同時に、「セーフティネット」を強化する「再配分」政策の見直しも不可欠だ。

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2009年9月 9日 (水)

官・業で無く国民を潤す政府を樹立しよう

8月14日朝日新聞「声」の欄に八王子市の中村氏による「財政問うより配分を議論して」の投稿があった。正鵠を射た指摘だ。自民党は民主党マニフェストの財源ばかりを攻撃するが、財源を全く示していないのは自民党である。民主党の財源論を自民党は不可能と言うが民主党は財源を全額明示している。

だが財源のより本格的な問題は貴重な国費を何にどう使うかとの「配分」にある。民主党は天下りと業界団体にばら撒いてきた国費を絞り込み、「子育て」、「社会保障」、「雇用」、「教育」、「農業」などに振り替えることを提案している。私は大賛成だ。フランスでは3~12歳の子育てへの親の負担を無くし、日本の人口に換算すれば年31兆円の国費を注ぎ、出生率引き上げに成功した。

財政のもうひとつの本質が「再配分」だ。グローバリゼーションの進行で企業が労働コストを切り込むなか、小泉・竹中政治は「市場原理主義」を持ち込み、セーフティーネットをずたずたに切り裂いてしまった。その結果「一億総中流」とも呼ばれた日本の「共生社会」はすさんだ「格差社会」に変質してしまった。

政権交代の大きな意義のひとつは「セーフティーネットの再構築」にある。「政・官・業・外・電」の利益を満たすためにばら撒いてきた予算を一掃し、「セーフティーネットの整備」に振り向けようというのだ。私はこの方針にも賛成だ。

問題の財源だが、民主党のマニフェストをすべて実行すると最初の2年間20兆円の費用を要する。民主党はすべてを無駄の排除などで賄おうとしているがそこまで無理をしなくとも良い。麻生政権は三度の補正予算で、僅か8ケ月で27兆円も財源に穴を開けた。民主党は補正を見直し、5兆円を2010年度に回すから、2011年度までの無駄排除による財源調達は5~10兆円程度で十分だ。これ以上財源を捻出すると景気回復を妨げる。民主党の財源論には不安は存在しない。

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2009年1月 5日 (月)

2009年を「セーフティネット元年」にしよう

湯浅誠氏が村長を務める日比谷の「年越し派遣村」での、派遣切り被害者への支援活動が大きな成果を生んだ。厚労省の講堂の利用期限である5日から12日まで、都内4箇所の公共施設に500人分の宿泊場所と食事が確保されることになった。12日以降の政府の対応に課題が残るが、湯浅氏をはじめ支援活動に尽力された方々に心より敬意を表したい。

湯浅氏などのボランティア活動が、非正規雇用労働者のセーフティネットを提供したわけだが、これらの人々がこのような活動を実行していなかったなら、多数の国民が生命の危機に直面していたはずだ。国家が整えるべきセーフティネットを民間のボランティア活動に依存する姿は異常である。

全国各地で派遣切りの猛威が非正規雇用労働者を襲っている。東京日比谷の派遣村に到達するには多くの時間と費用がかかる。年越し派遣村の存在を知りながら、東京に向かうことを断念した人々が多数存在するはずである。

政府は全国規模で、派遣切り被害に遭遇した国民を支援する活動を開始すべきである。日本国憲法は第25条に、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めている。住居と仕事を失い野外生活を強いられている国民は、憲法で保障された最低限度の生活を営むことができない状況に置かれている。現状を放置するのは憲法違反と言ってよいだろう。

人は仕事をして所得を得て生活を維持する。政府の経済政策の第一の課題は完全雇用の実現だ。供給はそれ自体の需要を生み出すから、経済活動の均衡が取れていれば、完全雇用が実現する。しかし、さまざまな要因で需要と供給がずれることがある。サブプライム金融危機が世界的に広がり、日本の製造業は戦後最悪の生産減退の局面に直面している。企業が生産活動に必要とする労働力が急減してしまった。

企業は小泉政権以降の政権による労働行政の規制緩和政策に依拠して、派遣労働者の一斉解雇に動いている。企業の行動は企業の社会的責任の視点から批判されるべきだが、本質的な原因は政府が企業の一方的解雇を認める制度変更を行ったことにある。

小泉竹中政治が基本に置いた「市場原理主義」は、「資本」の利益極大化のために、企業が「労働」を機械部品のように「使い捨て」にすることを容認する制度変更を実施した。「労働者」がどうなろうと、企業の「効率」と「利益」が向上し、経済成長が促進されればそれで良しとしたのだ。

竹中平蔵氏や八代尚宏氏などが「市場原理主義者」の代表で、このような制度改正を推進したが、現在の社会問題を目にして、「同一労働・同一賃金」などの制度改革が遅れた、だの、セーフティネットが必要など、と恥知らずな発言を示しているが、彼らは、「資本の論理」に基づく制度改正を推進する過程で、セーフティネットの重要性を強く主張しなかった。

飛行機の航行持続のために、乗員を減らすことが必要であるとの意見が浮上したとしよう。乗員が飛行機から飛び降りて総重量を軽くすることを決めるなら、飛行機から飛び降りる乗員にパラシュートを用意するのは当然だ。ところが、竹中氏や八代氏は、パラシュートを用意せずに、乗員を飛び降りさせることを決定してしまったのだ。

景気が急激に悪化して、決定したとおり、各飛行機は一斉に乗員の飛び降ろしを実行した。しかし、飛び降りさせられた乗員はパラシュートをつけていないから、生命の危機に直面した。日本中で問題が一斉に顕在化して大騒ぎになっている。

当の竹中氏、八代氏は「パラシュートは大切だが、そこまで議論がたどり着かなかった」と弁解し、パラシュートなしで飛び降りている乗員の身の上を考えようともせず、飛行機に残った乗員が甘えすぎていると、残った乗員をも飛行機から突き落とすかのような発言を示している。

競争激化に対応して、企業の雇用人員調整を一定の条件の下で認めるなら、職を失う労働者の生活を確実に支える制度をあらかじめ整備することが不可欠だった。国はすべての国民に住居と食事を確実に提供しなければならない。最低限のセーフティネットを確保する責任を国が負わないのなら、企業に一方的な雇用人員調整の自由を付与することは許されなかったのだ。しかし、市場原理主義者は「セーフティネットなき解雇の自由」を企業に付与した。

政府の経済政策においては、「効率」よりも「生存権」が優先されなければならない。定額給付金のために確保する2兆円の資金があれば、セーフティネットを格段に強化することができる。毎年度2200億円削減しようとしている社会保障費の削減を5年分取りやめても1.1兆円だ。

財務省は日本の財政事情の悪さを強調する。財政収支を改善するために財務省が実行したことは、社会保障費、教育費、地方への支出の削減だった。年金保険料、医療保険料は大幅に引き上げられた。同時に、医療費の自己負担が増大し、年金給付開始年齢が引き上げられた。高齢者だけ医療保険を別枠にして、将来的に高齢者の医療を切り捨てる、悪名高い「後期高齢者医療制度」まで導入された。

障害者の生存権を脅かす「障害者自立支援法」が強行採決で成立され、障害者が極めて深刻な生活難に直面している。母子世帯や老齢世帯に対する生活保護給付も切り下げられた。

また、日本の公的教育支出のGDP比はOECD加盟国で最低水準である。私たちの生活に関連する費目にターゲットを定めて、容赦ない歳出削減が実行されてきたのだ。

一方で、特権官僚の「天下り利権」は温存されたままである。年間12.6兆円もの国費が「天下り機関」に投入されている。各種公共施設は全国どこに行っても豪華絢爛(ごうかけんらん)である。税金から給料をもらっている公的部門の人々の施設だけが豪華に整備され、仕事を失った労働者が野外生活を強制されるのは、どう考えてもおかしい。

中長期の課題として、財政バランスを改善することは重要だが、収支バランスよりも先に、歳出の中味をゼロから総点検することが不可欠である。

「市場による競争」のメリットを生かすというのなら、「競争条件」を整えることが不可欠だ。すべての国民に、「健康で文化的な最低限度の生活を保障すること」と、「すべての国民に十分な教育を受ける機会を提供すること」が第一に重要である。

所得環境に関わりなく高等教育を受ける機会を政府が保証するべきである。

セーフティネットは、「雇用」、「医療・年金・介護の社会保障」、「最低限度の生活を支える生活保護ならびに障害者支援、母子世帯支援」の三つが不可欠である。

初期の競争条件の格差を縮小させるには、「相続税」を強化することも求められる。「富の偏在」を是正することなくして、「競争条件の平準化」は実現しない。

一方で、「天下り」に象徴される「特権官僚の特権」を根絶するべきだ。その代わりに公務員には定年までの雇用を保証する。特権官僚を生み出さないためには、大卒公務員の採用を一元化するべきである。大卒の公務員のなかから、公務員になった後の勤務評定によって幹部を登用するべきである。大卒時に将来の幹部職員を約束する第一種国家公務員制度が「特権官僚」を生み出す原因になっている。

「天下り」の全面廃止と第一種国家公務員制度の廃止により、「官僚主権構造」を確実に根絶できるはずである。公務員に対する定年までの雇用保証があれば、天下りは必要なくなる。定年退職後の再就職については、公務員時代の所管業種への就職を禁止して、それ以外については自助努力での就職を民間同様に認めればよい。

渡辺喜美元行革相は「霞ヶ関」の利権打破と叫ぶが、「天下り根絶」、「第一種国会公務員制度の廃止」などの、根本的な施策をまったく提示してこなかった。官僚利権を切るように見せかけて、官僚利権を死守する姿勢が明白だった。

湯浅氏の「年越し派遣村」を、日本のセーフティネット構築の出発点として活用することが大切だ。湯浅氏らが提起している問題は、単なる一過性の緊急避難的意味だけではなく、日本における政府の役割を根本から見直すうえでの重大な意味を併(あわ)せ持っている。世間には「セーフティネット不要論を唱える市場原理主義者」も多数存在するのかも知れないが、日本の基幹制度として「強固なセーフティネット整備」を求めるのか、それとも不要と考えるのか、これが次期総選挙での最重要の争点になる。

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2009年1月 1日 (木)

「朝まで生テレビ」に見る社会民主主義思考の再評価

元日の未明にかけて「朝まで生テレビ」が雇用問題をテーマに討論を行った。

「市場原理主義」=「新自由主義」がすっかり色あせて、所得再分配を重視する「社会民主主義」的な主張が支配的になり、隔世の感があった。

司会の田原総一郎氏の横暴さと見識のなさ、偏向振りが際立った討論でもあった。

討論の出発点は「年越し派遣村」だった。企業の一方的な派遣切りに直面して仕事も住居も奪われた非正規労働者が年末の寒空の下に放り出された。湯浅誠氏を中心にする支援活動が活発化して、日比谷で派遣切りに直面した労働者を支援する「年越し派遣村」が創設された。

労働者が生命の危険に直面する状況が生まれている現状。その責任は誰にあるのか。企業か政府か労働者自身か。

司会の田原氏の発言は二転三転した。田原氏は当初、「企業の倫理」が問題であるとの認識を示した。かつてパイオニアやTDKが人員整理を実行しようとした際、企業が批判の対象になった。メディアが企業を攻撃した。しかし、現在はメディアが企業を批判せず、企業が激しい人員削減を実行している。田原氏は「企業倫理」が問題だと指摘した。

ところが、労働者に対するセーフティネットを強化すべきだとの主張が番組内で広がると、
「生活保護や社会保障が厚くすると人間は甘えて働かなくなる」
「昔の日本人は今の日本人よりも倫理観があった。今の若者は恥知らず」
だと述べた。労働者自身の甘えが問題であるとの認識を示した。

ところが、討論をリードしたキーパーソンの湯浅誠氏が
「セーフティネットの重要性を論じてきて、セーフティネットで若者が甘えて働かなくなると発言するのは、これまでの論議をひっくり返すものだ」と反論すると、態度を一変させた。

田原氏は突然、「社会保障が大切だ。政府は社会保障、福祉に政策を集中させるべきだ」と主張し始めた。要するに確たる思想、信念など皆無なのだ。

スタジオに呼ばれた派遣切りに直面した非正規雇用労働者に対して、「派遣元の派遣会社では正社員だったのか」との意味不明の質問を繰り返した。

討論のなかで巧妙に民主党攻撃を織り交ぜる姿勢も継続した。連合が賃上げを要求することを高圧的に批判しようとした。民主党の支持団体である連合を攻撃する姿勢が明瞭に読み取れた。

湯浅氏が「正社員の賃金がかさ上げされて、非正規社員の処遇が改善するのだから、連合の賃上げ要求は正当だ」と発言すると、田原氏は黙り込んでしまった。連合攻撃の目論見が壊された瞬間だった。

民主党の枝野幸男氏に対しては、民主党の内部が一枚岩でないことについての追及が執拗に繰り返された。民主党の小沢代表と枝野氏の発言の食い違いを明らかにして、民主党の分裂を誘導したい田原氏の姿勢が明確だった。

さんざん出演者の発言を大声で遮(さえぎ)っておきながら、自分の発言中に他の出演者が発言すると「うるさい」と逆切レする姿も痛々しかった。

そもそも、小泉竹中政治を全面支援してきたのが田原総一郎氏である。論議の前に田原氏の総括が必要だ。政権交代が実現すれば、御用言論人の総括が行われなければならない。田原氏のこれまでの言動が総括される日は遠くないだろう。

「企業の社会的責任」を求めることは重要だ。日本を代表する企業が、契約期間が満了する前に一方的に派遣労働契約を打ち切ることは非難されなければならない。

しかし、政治が「性善説」に立つことは許されない。企業が一斉に労働者の生存権を脅(おびや)かす派遣切りに動いているのは、その行動を正当化する制度が確立されているからである。労働者の生存権を脅かす制度を確立した政治の責任がまず問われなければならない。

世界の競争が激化し、企業は労働コスト削減にターゲットを定めた。製造業にも派遣労働を解禁した労働者派遣法の改正は、企業の意向に沿う制度改正だった。「労働」ではなく、「資本」の論理を優先する制度改正を実施したことが、今日の問題を生み出す原因であることは明らかだ。

「資本」の論理を優先したのが「新自由主義」=「市場原理主義」だった。企業の労働コスト削減を支援する制度改正を実行した結果、労働者の生存権が脅かされる今日の問題が生まれた。

これまでも主張してきたが、二つの制度変更が求められている。
第一は、派遣切りなどに直面する労働者の生存権を確実に保証するセーフティネットの確立だ。欧州の諸制度にならってセーフティネットを張ることが急務だ。
第二は、同一労働・同一賃金の制度を確立することだ。同じ人間、同じ労働者でありながら、非正規雇用労働者だけが機械部品のような取り扱いを受ける理由は、正規労働者と非正規雇用労働者の処遇の天地の格差を容認している現行制度に原因がある。

財源については、まず、政府の無駄を排除し、そのうえで所得再分配を強化することが適正である。国民負担の増大が将来は必要になると考えられるが、その前に実行すべきことが大きい。

相続税、証券税制などで高所得者を優遇する税制改革が提示されているが、変化の方向が逆行している。

政策対応としては、内需産業を拡大する施策が求められる。医療、介護、教育、職業訓練、生活者支援などに政府資金を集中して投入すべきである。短期的に財政赤字は拡大するが、経済の均衡を回復し、完全雇用状態を回復することが先決事項である。

番組では「渋谷事件」が取り扱われた。出演者が公安警察の不当職員の顔写真を提示したが、不当逮捕を主導した国家公務員である公安警察職員を糾弾することは当然の行動だ。CMで討論が打ち切られたが、テレビメディアで事実関係の一部が報じられた意味は大きい。

しかし、「渋谷事件」で真相が明らかにされ、逮捕された無実の市民が不起訴となったのは、動かしがたい証拠映像が保全され、ネットで公開されたことが決め手だった。証拠映像が保全されなかったなら、事態はこのように展開しなかったと思われる。私が巻き込まれた事件では私の無実を証明する防犯カメラの完全な証拠映像が警察によって破棄された。日本の警察制度の暗部にもメスが入れられなければない。

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2008年12月17日 (水)

「市場原理主義」VS「人間尊重主義」

12月16日、米国の11月住宅着工件数が発表された。新聞報道は18.9%の減少と伝えたが、間違えてはいけない。18.9%減は前月比変化率である。年率換算62.5万戸で前年同月比では47.0%の減少である。消費者物価指数は前月比1.7%下落した。

米国の住宅着工件数は2006年1月には、年率換算227.3万戸を記録した。わずか3年前の水準から約4分の1の水準に激減している。米国消費者の消費行動は住宅建設と密接に連動している。

FRBは16日のFOMCでFFレートを1.0%から0-0.25%に引き下げることを決定した。FRBはゼロ金利政策への突入を決定した。NYダウは大幅金利引き下げを好感して前日比359ドル上昇して8924ドルに達した。

自動車の販売がグローバルな規模で前年比3割も減少している。生産活動は所得を生み出す源泉である。所得が減少すれば支出も減少する。生産-所得-支出は連動する関係にあるから、現在観測されている生産活動の急激な落ち込みは、本格的な景気後退の入り口を示すものであることを警戒しなければならない。

日本でも輸出製造業を中心に景気の景色が一変した。海外経済の停滞と日本円の急激な上昇が重なった。日銀短観2008年12月調査でも製造業の景況感の悪化が鮮明になっている。

製造業は生産水準を大幅に切り下げ始めている。操業率が低下し、生産に必要なマンパワーが大幅に減少している。これが、非正規労働者を中心とする労働者の雇い止め急増の背景である。

その結果、年末を控えて仕事も住まいも失う国民が急増している。年の瀬の寒空の下に住まいと仕事を奪う所業が何のためらいもなく実行される現実に対する政治の鈍感さに驚きを禁じえない。

「市場原理主義」が跋扈(ばっこ)して、人々の生活の根幹である「労働」に関するルールが作り変えられてしまった。労働者の生存権を守るセーフティーネットが破壊されてしまった。

「市場原理主義」=「新自由主義」の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)がもたらしたのは、際限のない「格差拡大」だけでなく、国民の「生存権」そのものの危機である。経済運営の基本を「市場原理主義」から「人間尊重主義」に転換するべきである。

麻生内閣の支持率が暴落し、自民党内の反麻生勢力が新党創設への動きを示している。そのなかで観察される奇異な現象は、「市場原理主義」を日本社会に強制し、生存権を脅かす格差社会を生み出した元凶である小泉竹中一派を、メディアが批判勢力として登場させていることだ。

日経新聞、テレビ朝日がその最たるものだが、日本社会が直面している問題を国民の目線で捉える姿勢が欠落している。「小泉竹中「改革」政策」を絶賛し、日本社会の崩壊を側面支援したメディアが、「小泉竹中「改革」政策」を真摯(しんし)な姿勢で総括することは、メディア自身の自己批判に直結する。

しかし、主権者である国民の麻生内閣に対する厳しい視線は、「小泉竹中「改革」政策」に対する根本的な見直しに起因している。2005年9月の郵政民営化選挙で国民は一種の「集団ヒステリー」の状況に陥った。「郵政民営化」を「正義の政策」と錯覚してしまった。「偽装された改革」方針に目をくらまされて、間違った判断を下してしまったのだ。

小泉元首相は「痛みのある改革」と言った。「いまの痛みに耐え、より良い明日を目指す改革」と述べた。小泉政権は超緊縮経済政策を実行し、日本経済は激烈な悪化を示した。失業、倒産、経済苦自殺が戦後最悪の状況を示した。

多くの人々が「改革」政策に賛同する姿勢を示したが、「痛みのある改革」には大きな特徴があった。それは「改革」を叫ぶ人と「痛み」を受ける人が重ならないことだった。

「痛みのある改革」を正確に表現すると、「他人に痛みのある改革」だった。年間3万人を突破する自殺者数は、絶対数としてとてつもない大きな数である。しかし、1億2000万人の人口に対する比率は0.025%に過ぎない。失業、倒産、経済苦自殺が戦後最悪を記録したといえ、直接、このような苦しみに直面した国民の比率は、せいぜい1割だった。

1割の人々は「格差拡大」の潮流のなかで大きく浮上した。竹中平蔵氏が「改革の旗手」として絶賛した堀江貴文氏なども、浮上した「成功者」の中に入る。9割の国民は浮上せずに没落し、4割の国民が大きく沈んだ。しかし、「悲惨な痛み」に直面したのは、全体の1割に過ぎなかった。

「痛みに耐える」と言うものの、「改革を訴える本人の痛み」ではなかった。「ひと(他人)の痛み」なら10年でも20年でも耐えられるだろう。「いまの痛みに耐えより良い明日を目指す改革」といっても、この政策を提唱した人物自身が「痛み」とまったく無縁の存在だった。

麻生首相の連日のレストラン&バー通いが話題になったが、小泉元首相も負けていなかった。2003年4月22日の「六本木ヒルズ」のオープニング・セレモニー。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したが、小泉元首相が祝賀挨拶した。

りそな銀行の2003年3月期決算について、朝日監査法人が本部審査会で繰延税金資産5年計上を否認した日である。朝日監査法人の担当会計士は4月24日にマンション12階から落下して死亡している。

日本経済が戦後最悪の大不況にあえいでいた局面だ。小泉元首相は六本木ヒルズの賑わいを見て、「こんなに賑わっていてどこが不況か」と発言した。クリント・イーストウッド監督作品『父親たちの星条旗』について、評論家の沢木耕太郎氏は、クリント・イースドウッド監督が伝えたかったメッセージは「戦争を美しく語る者を信用するな。彼らは決まって戦場にはいなかった者なのだから」ではなかったかと記述した。

経済は循環変動する。竹中氏などはIT革命により景気循環が消滅するとまで言い放っていたが、竹中氏が推進した「新自由主義」=「市場原理主義」が景気循環を空前の規模に拡大したとも言える。「市場原理主義」に基づく「自由放任」が金融産業の暴走を生み出すとともに、労働者のセーフティーネットが破壊された。

不況のしわ寄せは、経済の鎖のなかの最も弱い部分に押し付けられる。鎖は破壊され、国民の生存権さえ脅かされる状況に追い込まれている。「痛みに無縁の人」にはいささかの「痛み」も生じないが、「痛み」の直撃を受けた国民は「痛み」の激烈さに震撼(しんかん)する。

「小泉竹中「改革」政策」にうっかり賛同してしまった国民の多くは、自分は「痛み」と無縁の存在だと錯覚してしまっていた。しかし、世の中で何が起こるかは分からない。自分は無縁と思っていた「痛み」にいつ直面するか分からないのだ。「市場原理主義」は大多数の国民を下層に没落させるメカニズムを内包している。

私は「人の痛みの分かる改革」でなければならないと訴えてきた。「1割」は比率で言えば小さな比率だが、「絶対数」ではとてつもない「多数」である。4割もの国民がかつてない苦しみを背負わされるようになった。

政治は強い者のために存在するべきでないと思う。セーフティーネットを強固に構築し、すべての国民の生存権、生活を守ることが政治の最大の役割だと思う。

麻生政権は多数の国民が生存権を脅かされる状況に直面しているというのに、国民生活支援のために、全身全霊の努力を注いでいない。物見遊山(ものみゆさん)気分での社会科見学ばかりが目に付く。与党が政策運営をサボタージュしているから野党が臨時国会に法案を提出して会期末までの法律成立に最大限の努力を傾注している。

メディアは法律制定を全面支援して当然だ。ところがテレビ朝日番組でコメントを提供した政治評論家の有馬晴海氏は「与党と野党のアドバルーン合戦」と評した。麻生政権は法案提出を2009年に先送りし、野党は年内成立を目指している。中立公正の論評をせずに御用評論に徹する人物をコメンテーターとして採用する堕落し切ったメディアが、国民の苦しみ増大に加担している。

麻生政権は国民の生存権危機を直視せずに、この期に及んで、法人税減税、株式等の資産課税軽減、高額住宅建設優遇などの「新自由主義」経済政策を提示している。財政資金を集中投入すべき対象は、セーフティーネット構築である。「障害者自立支援法」見直しでも冷酷な姿勢は維持されたままだ。

「市場原理主義」を否定し、「人間尊重主義」を基本に据える政府の一刻も早い樹立が求められている。

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2008年12月12日 (金)

市場原理主義に代わるもの

12月11日のテレビ東京番組「E morning」で、コメンテーターとして出演した日本経済研究センター主任研究員の竹内淳一郎氏が雇用情勢の悪化について「非正規雇用労働者の雇い止めは企業経営の安全弁」、「雇用調整が企業の生き残りにとって有効である側面を見落とせない」と発言した。

多くの勤労者が年の瀬を控えて、仕事も住まいも失う非常事態に直面するなかで、企業の冷酷な論理を肯定するコメントを臆せずに述べる姿勢に驚きを禁じ得なかった。

小泉政権が強引に日本社会に浸透させた「効率至上主義」=「市場原理主義」=「新自由主義」=「弱肉強食奨励」=「格差拡大容認」=「弱者切り捨て」の政策路線に対する根本的な見直しが求められている。

麻生内閣の支持率が暴落して、麻生政権は政権末期の様相を強めている。自民党内部では、渡辺喜美議員のメディアへの露出が急増するなど反麻生の方針を掲げるグループの蠢(うごめ)きが活発化している。

しかし、わずか2ヵ月余り前に、自民党は日本の不況が深刻化するなかで、3週間もの時間を空費してお祭り騒ぎの総裁選を実施したのではないか。首相は行政の最高責任者で、自民党総裁が首相の仕事を放り出せば国政の空白が生じる。たび重なる無責任な政権放り出しとその後の自民党内の目を覆うばかりの混乱は、自民党が政権担当能力を完全に失っていることの証左である。

小泉政権以降の経済政策が日本国民の生活を破壊している。「生き抜く力」様が指摘するように「労働は命そのもの」である。不安定な雇用形態に安心を感じることのできない非正規雇用労働者に対して、企業は操業率の低下を理由に、恐ろしい勢いで一方的に雇い止めの通知を発している。

派遣労働者は失業するまでの期間、職探しをする時間も与えられない。雇い止めと同時に寮からの退出を迫られる。年の瀬を控えて、住まいも所得も奪われる国民が多数発生する状況を傍観しているのが自公政権の悲しい現状である。

ところが、自民党内で反麻生の旗を掲げる「小泉一家」を軸とする「偽装CHANGE集団」の基本政策は、①市場原理主義、②対米隷属外交、③官僚利権擁護、である。そもそも、弱肉強食を奨励し、弱者を冷酷に切り捨てる政策を強行に推進した勢力の中心が「小泉一家」だった。

反麻生の政治行動は国民生活を救済するためのものではなく、麻生政権が「小泉一家」を政権中枢から排除したことに対する反攻を軸にした、単なる権力争奪をめぐる諍(いさか)いでしかない。「小泉一家」の政治行動からは、国民の幸福を追求する、国民を雇用不安の窮状から救出することへの熱意はまったく感じられない。

すべての問題は「分配」の問題に帰着できる。

経済活動の結果得られる果実を誰にどのように「分配」するか。分配された所得の一部を税や社会保険料負担として政府が徴収する。これらを財源として政府支出が実行されるが、それを誰にどのように「再分配」するか。これが政治の課題である。

「市場原理主義」は分配の方法決定を市場メカニズムに委ねる。「市場に委ねる」と言うと聞こえが良いが、市場では意思決定の権限を持つ者が優位に立つ。企業では経営者が強い立場に立つし、銀行融資ではお金を貸す側がお金を借りる側より強い立場に立つ。

「市場原理主義」の下では、企業を支配する側=「資本」が「資本」に有利なルールを設定し、働く人々=「労働」に不利な状況、ルールが設定される。小泉政権は「資本の論理」だけを尊重して、「資本」の「労働」に対する横暴を全面的に後押ししてきた。これが「分配」における「市場原理主義」である。

小泉政権の「市場原理主義」が吹き荒れたのは「所得分配」の側面だけではなかった。小泉政権は財政活動という「所得再分配」の側面においても「市場原理主義」を推進した。

「資本」に対する課税である「法人税」を軽減して、「労働」=「一般国民」の税および社会保障負担を大幅に増大させた。また、政府支出においては、「労働」=「一般国民」に対する政府支出である「社会保障支出」や「教育支出」を歳出削減の標的に定めた。

つまり、「市場原理主義」は「資本」を優遇して「労働」を虐(しいた)げる政策路線なのである。「市場原理主義」の暴走により、日本国憲法第25条が保障している生存権が根本から脅かされる状況が生まれた。

若者が将来に夢を持つどころか、生活の基盤さえ奪われる状況を放置する政府を私たちは求めていない。政策の基本路線の転換が求められている。「市場原理主義」=「新自由主義」から「セーフティーネット重視」=「社会民主主義」への転換が求められている。

麻生政権は多くの国民が生存権を脅かされている時代に、「法人税減税」、「相続税減税」、「証券課税軽減」、「高価格住宅取得減税」の方針を打ち出している。麻生政権は「市場原理主義」=「格差拡大奨励」の方針を変更する発想を有していない。

「一般国民」=「労働者」の生活を重視する方向に政策の基本方向を転換するべきである。労働市場の政策においては、どのような労働法制を敷くのかが決定的に重要である。すべての労働者の安定した雇用を保証する制度の構築が求められている。

正規雇用-非正規雇用の区分を撤廃することが求められる。米国の企業経営者の高額報酬が話題になるが、企業経営者の法外に高い報酬に合理的な根拠は存在しない。

雇用、教育、医療の保証が政府の最大の役割である。高齢者、障害者、母子世帯、生活困窮世帯に対する、生存権を確実に保障する制度を確立すべきだ。

100年に1度の経済危機を、日本社会を再生させる、日本の経済政策の基本路線を根本から転換する契機として活用すべきだ。抜本的な不況対策が求められているが、経済政策の基本路線を転換する大胆な政策を打ち出すことが求められている。

政策路線を根本的に転換するためには本格的な政権交代が不可欠である。本格的な政権交代を実現し、一般国民の幸福を追求する政府を樹立しなければならない。所得分配についての諸制度の改革、所得再分配に関する財政政策方針を根本から転換することが急務である。

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2008年11月 5日 (水)

“CHANGE”を求めた米国民によるオバマ大統領選出

11月4日に実施された米国大統領選挙で、民主党候補のバラク・オバマ上院議員が圧勝した。オバマ氏は2009年1月20日に第44代米国大統領に就任する。副大統領にはジョゼフ・バイデン上院議員が就任する。米国史上初めての黒人大統領が誕生することになった。

大統領選挙と同時に実施された議会選挙でも民主党は共和党に圧勝し、上下両院で民主党が過半数を確保する状況が維持されることになった。民主党は2001年以来、8年ぶりに政権を奪還する。

世界情勢、世界経済は時代の転換点を迎えている。サブプライム金融危機は市場原理主義=新自由主義の終焉を象徴する事態である。弱肉強食奨励=弱者切り捨ての経済政策運営に対して、米国でも明確に“NO”の意思が国民から表明された。

弱肉強食の政策姿勢は米国の外交をも規定した。米国は突出する軍事力を背景に、正当性の乏しいイラクへの軍事侵攻を強行した。イラクへの軍事侵攻が米国の軍事産業、石油産業、政権の癒着から推進されたことは明白だった。

市場原理主義=弱肉強食奨励から、セーフティネット重視=所得再分配重視に、米国の政治思潮が大きく旋回していることが明らかになった。議会と政権の「ねじれ現象」が米国で解消された。時代の転換と100年に1度の金融危機に直面する米国は、大統領選挙と議会選挙を実施して、本格政権を構築した。

国民の意思を反映した本格政権樹立により、新たに発足するオバマ政権は、抜本的で大胆な政策を実行することができる。日本では、総選挙を恐れる麻生首相が、金融危機に直面するなかでの国政選挙は政治の空白を作るとの詭弁を弄して、総選挙を先送りしているが、国政選挙で本格政権を樹立することが、はるかに優れた選択であることは明白だ。

政治のキーワードは“CHANGE”である。米国大統領選挙は時代が根本的な転換を求めていることを証明した。

日本の政治状況が米国に連動する可能性は極めて高い。

日本ではブッシュ政権が発足した2001年に小泉政権が発足した。小泉政権は市場原理主義=新自由主義を基軸に定め、弱肉強食奨励=セーフティネット破壊の経済政策を推進した。

米国がイラクに対する軍事侵攻を決定した際、小泉政権は直ちに米国の対応を支持する見解を表明した。強いアメリカに隷属する、対米隷属が小泉政権の基本方針だった。

小泉政権以来の市場原理主義=新自由主義の経済政策が日本社会を根底から変質させた。非正規雇用労働者が労働者の3分の1を占めるようになり、年収が200万円に届かない働く貧困層がやはり労働者の3分の1に達している。

また、高齢者、障害者、母子世帯に対する冷酷な政策が強行実施されてきた。その一方で、官僚利権だけは完全擁護する姿勢が貫かれ、特権官僚の「天下り利権」は完全に温存されている。

市場原理主義からセーフティネット重視への基本方針の転換、官僚利権の根絶、対米隷属外交から自主独立外交への転換、これらの根本的な“CHANGE”が求められている。

日本の次期総選挙で野党が過半数を確保し、政権交代を実現すれば、日本でも衆参両院の「ねじれ現象」は解消される。政権を生み出す政党と議会多数党は一致して、政策運営における混乱は回避されることになる。

新しい時代に直面し、政局が混乱しているなら、総選挙を実施して、政治の体制を刷新することが賢明である。日本の国民も“CHANGE”の必要性を痛感している。米国大統領選挙は、日本国民の潜在的な意識をはっきりと表出させる効果を発揮することになるだろう。

巨額の財源を使用して中途半端なバラマキ経済政策を決定する前に、新しい時代に対応する政治体制を選択する機会を国民に提供することこそ、麻生政権に課せられた最優先の役割だ。

「総選挙を経て初めて天命を担うことになる」と言い切った麻生首相は、いつまでも総選挙から逃げ回るべきでない。総選挙で自民党が敗北することがあろうとも、それが国民の選択であるなら、麻生首相が私的な利害で流れに抗うことは正当ではない。

世界経済、日本経済が根源的な分岐点に立っているからこそ、総選挙が求められている。米国大統領選挙、議会選挙の意味を再確認し、日本も早急に本格政権を樹立して新しい時代に対応するべきだ。

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