カテゴリー「竹中金融行政の闇」の14件の記事

2013年1月18日 (金)

竹中平蔵氏の米国への巨大利益供与疑惑とは何か

昨日付のメルマガ記事第466


「売国者を絶対に日銀総裁にしてはならない(3)」


に、竹中平蔵氏がどのような事案で米国への利益供与に関わってきた可能性があるのかについての具体的事実の概要を記述した。


2001年4月から2003年5月にかけての株価暴落、景気急降下とその終着点であるりそな銀行の「救済」。その当然の帰結としての日本の資産価格の急反発。


一連の事象は、「誰かが巧妙に仕組んだシナリオに沿って実現された変動」であった可能性が高い。


これを仕組んだ本尊が存在するなら、この本尊は、裏で操る指令通りに行動する金融相と経財相を必要とした。


この金融変動で濡れ手に粟の巨大不労利得を得た者がいる。

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米国が次に命じたことが、米国の指令通りに実行する郵政民営化だった。


米国がこの策謀を実現するには、米国の指令に沿って動く郵政民営化相が必要であった。


米国が米国の指令通りの郵政民営化を実現するには、米国の要請をすべて反映するための綿密なディスカッションが必要だった。


日本の制度変更を行うのに、米国の意向だけを反映させるには、それを仕切る郵政民営化相が必要だった。

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そして、この民営化のなかに、全体のなかでは些細ではあるが、巨大な汚職的事案が存在した。


国民資産の「かんぽの宿」を一民間業者に法外な安値で一括払い下げる策略だった。


これを仕切るには、日本郵政内部に、影の指令者の意向のみに従う特命チームを設置することが不可欠であった。


これを実行するには、米国の指令に従う日本郵政所管大臣が関与する必要があった。

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竹中平蔵氏のこれまでの行動については、拙著『日本の独立』(飛鳥新社)に記述したので、まず主権者国民は事実関係をよく確認していただきたい。


そのうえで、竹中平蔵氏に国の命運を委ねるような仕事を任せて良いものかどうかを判断していただきたい。

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日本の経済政策のなかで、国民が知っておかなければならない重大な事実のひとつに、政府保有の外貨準備で計上してきた巨大な為替損失がある。


外貨準備の残高は約1.3兆ドル存在する。


外貨準備とは、政府が外国為替市場で、「ドル買い=円売り介入」と称して、米ドル建て資産を購入した残高が蓄積されたものだ。


政府がどこからお金を調達して何を買っているのかと言うと、政府は日銀からお金を借りて、このお金で米国の国債を買っているのである。

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日本は変動為替相場制を採用している。


変動相場制における基本的な考え方は、為替市場における自由な価格変動によって経済の需給を調整しようというものだ。


「経済の需給を調整する」という表現は抽象的で、具体的意味が明確でないが、基本的には経常収支の不均衡を調整するように為替レートが変動することが念頭に置かれてきた。


ところが、実際の為替レート変動は、経常収支の不均衡を是正する方向に動かず、逆に経常収支不均衡を拡大させる方向に動いてしまうこともあった。


変動相場制は1971年から順次、各国で採用されてきたが、71年から85年までは、為替レート変動は基本的に為替市場における自由なレート変動に委ねられてきた。


ところが、現実の為替レート変動が経常収支不均衡を解消する方向に動かない状況が持続したため、米国は為替市場への「不介入主義」をやめて、変動相場制度の枠組みのなかで、為替レート変動を人為的にコントロールする考え方を強めた。


その重要な契機になったのが、1985年の「プラザ合意」であった。

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1985年以降は、この意味で同じ変動為替相場制ではあるが、「自由な為替レート変動を認める市場」から、「為替レート変動を緩やかに管理する市場」へと変質したのである。


変動相場制度の下では、本来、政府は為替市場には介入しないことが原則である。しかし、1985年以降は、為替市場の自由なレート変動によって経常収支などの「経済の需給の調整」は完全には実現されないことを前提に、政府が市場に一定規模で介入する行動が正当化されてきた。


この点を踏まえると、日本政府の為替介入の姿勢には一定の根拠が付与されるが、介入した資金をそのまま放置することは正当化されない。

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なぜなら、為替介入は、現実の為替レートが想定される「均衡水準」から大きく乖離していることを前提に実施されるのである。


現実の為替レートが「過度に」円高=ドル安に振れているから、これを是正するために介入を行うのだ。


この「過度に円高に振れている」との判断が正しい限り、時間の経過とともに、為替レートは円安=ドル高方向に回帰する。


ドルが値下がりし過ぎているときにドルを買い、その「異常な」ドル安が是正されてドルが上昇した局面で購入したドルを売れば、残高は残らない。


そして、この為替介入によって政府は「為替差益」を手にすることになる。


これが変動相場制度下における政府の為替介入の適正な姿である。

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ところが、日本政府の介入はまったく異なる。


ただひたすら、ドルを買うだけなのだ。


そして、これまで買ったドルは、例外なく値下がりを続けてきた。


例えば一例として、2007年6月末を基準に考えてみる。


013012

外貨準備残高は9136億ドルだった。当時の為替レート換算で113兆円。


日本政府は2011年末までに3822億ドルを買い増しした。2011年の外貨準備残高は1兆2958億ドルに達した。


この間に3822億ドルのドルを買い増しするのに投入した資金は38.2兆円。


元本と追加投資資金合計は151.5兆円だ。


ところが、2011年末時点での外貨準備の円換算金額は98.4兆円。


わずか4年で53兆円もの為替差損を計上したことになる。

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国民に大増税を強要しようというときに、わずか4年で53兆円の損失を計上するということが許されるわけがない。


年金を運用する投資顧問会社が1000億円の運用損を出してメディアはどれほどの報道を展開したのか。


その500倍の損失を日本政府が計上したのだ。

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重大な問題が二つある。


ひとつは、ドルが「過度に安くもない」のにドルを買い続けてきたことだ。


もうひとつは、ドルが値上がりしたときに購入したドルを売らなかったことだ。


この二つの行動によって、わずか4年で50兆円もの超巨大損失を生み出してきたのだ。


この為替介入の闇にも竹中平蔵氏が密接に関与する。

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2010年7月24日 (土)

木村剛氏逮捕「日本振興銀行の黒い霧」③

竹中平蔵氏が金融庁顧問に起用した木村剛氏が銀行法違反容疑で逮捕されてから10日が経過した。金融庁の銀行検査に対して、社内の業務メールを意図的に削除したなどの検査妨害容疑がかけられている。
 
 Photo

木村氏が社内メールの削除を指示したと見られているが、検査妨害の違法行為であるメール削除が実際に指示されたのなら、メールを削除しなければならなかった理由が存在するはずである。詳細は今後の捜査の進展に委ねられるが、木村氏が創設した中小企業ネットワークを利用した不良債権を隠蔽するための迂回融資や、SFCGからの売り戻し条件付き債権買取取引が手数料名目で法定金利を上回る金利を得ていたとの疑いも浮上している。
 
 木村氏は不良債権問題処理に関して、銀行の資産査定の厳格化を強く主張してきた経緯がある。その本人が自身の経営する銀行の資産内容を粉飾するなどの行為に手を染めていたとするなら、その責任は極めて重大である。
 
 メディアは木村氏逮捕をひと通り報じただけで、その後、問題を掘り下げる報道をまったく展開していない。
 
 しかし、木村氏は金融庁顧問として日本の金融行政に深く関与してきたのであり、これまでの事実経過が詳細に再検証されなければならない。
 

今回逮捕された日本振興銀行の5人の経営幹部のうち、木村氏を除く4名は容疑事実を全体として認めていると伝えられている。捜査当局が発表する一方的な情報であるから、現段階で鵜呑みにすることはできないが、報道されている情報によれば、木村氏一人が容疑を否認しているとのことである。
 
 ところが、逮捕された容疑者の一人である関本信洋氏は日本振興銀行内で木村剛氏の側近として、実質的なNO.2として行動してきたとされるが、報道されている情報によると、木村剛氏は昨年5月末に金融庁から検査通知があった直後の対策協議の会議の席上で、不都合なメールの削除を指示したという。木村氏が削除リストを作成し、関本氏が実際の削除を担当したとのことだ。
 
 その木村氏が本年4月の取締役会では、「少なくとも自分はメール削除に一切関与していない」と発言し、経営幹部に対して、「メール削除の責任者は関本氏、自分(木村氏)は指示していない」との了解を強要したとのことである。
 
 真相は公判で明らかにされることになるのではないかと考えられるが、これらの情報が正しいとすれば、木村剛氏は極めて薄汚い行動様式を示す人物ということになる。テレビ番組や政策評価グループなどで木村氏と連携してきた諸氏、ならびにネット上で木村剛氏を賞賛してきた諸氏は、現段階での見解を明示するべきである。
 
 Financial_japan_sep_2010

 

問題は、こうした人物が日本の金融行政に深く関与した事実にある。
 
 2002年9月30日に小泉政権の内閣改造が実施された。この内閣改造で竹中平蔵氏が経済財政相に加えて金融相を兼務することになった。この時点までの政策運営の実績からは、竹中氏の更迭が当然視されていた。市場観測を裏切る形での竹中氏の金融相兼務決定は驚きをもって受け止められた。
 
 この人事は米国が小泉首相に指令したものであったと指摘されている。実際、日本の金融市場は、2002年10月から2004年3月にかけて、歴史的な大変動を演じた。その中心に位置するのが「りそな銀疑惑」である。
 
 日本政府が外為介入を通じて40兆円もの資金を米国に提供したのも、ちょうどこの時期に重なるのである。日本の資産価格を意図的に暴落させて、その暴落価格で米国資本に日本の実物資産を買い占めさせたとの疑惑が濃厚に存在するのである。
 
 2002年10月、竹中金融相は就任直後に金融再生プログラムを策定した。策定のために編成された組織が金融再生PT(プロジェクトチーム)だった。
 
 この中核メンバーに木村剛氏が起用された。PTは銀行の自己資本に算入できる繰延税金資産の圧縮を提案する。木村氏の提案であった。木村氏は米国並みに繰延税金資産算入をゼロないし1年に圧縮することを提案した。
 
 しかし、ゲームの途中にルールが変更されることに銀行界が猛烈に反発した。反発の先頭に立ったのが西川善文三井住友銀行頭取だった。だが、西川氏の姿勢は、同年12月11日の竹中平蔵氏、およびゴールドマンサックスCEOポールソン氏らとの密会を境に、反竹中から親竹中に豹変した。
 
 結局、ルール変更は先送りされることになった。もっとも、木村氏の提案そのものが正当性を欠いていたのも事実である。米国では不良債権の貸し倒れに備えての引当金積み立てが無税扱いであり、その一方で繰延税金資産の自己資本への参入が圧縮されていた。日本では貸し倒れ引当金の積み立てが有税扱いであり、その一方で繰延税金資産の自己資本算入が厚く認められていたのだ。この意味でルール変更先送りは当然の決定だった。
 
 この決着で完全に面目を失ったのが竹中氏と木村氏だった。
 
 この二名が面目回復のためのリベンジを画策した可能性が高い。
 
 標的として選定されたのがりそな銀行である。りそな銀行は大和銀行と埼玉銀行の合併によって誕生した大銀行だが、新銀行のトップに就任した勝田泰久頭取は極めて有能な経営者だった。経営革新を着実に進展させていた。
 
 このりそな銀行が標的に選ばれた最大の理由は、この勝田頭取が小泉竹中経済政策を的確に批判していたことにあると見られる。客観事実に照らして評価すれば、正論を述べていたのは勝田頭取である。
 
 しかし、この的確な指摘が筋の悪い逆恨みを招いた。竹中氏はりそな銀行を自己資本不足に追い込む策謀に着手したのだと推測される。
 
 この事案で中心的な役割を果たしたのが木村剛氏である。木村氏は米国会計法人KPMG関連日本法人を設立し、代表を務めていた。埼玉銀行の監査法人である朝日監査法人、大和銀行の監査法人である新日本監査法人の提携監査法人がKPMGだった。

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本ブログカテゴリー「竹中金融行政の闇」
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などを参照いただきたいが、りそな銀行は「謀略」によって自己資本不足に追い込まれた疑いが極めて濃厚なのである。

 木村剛氏は2003年3月17日に、朝日監査法人副理事長の亀岡義一氏と日本橋で会食した。この会合でりそな銀行を自己資本不足に追い込むことが協議されたと考えられる。
 
 同時にこの会合は、亀岡氏が株式会社オレガ社長の落合伸治を木村氏に紹介する会合でもあったとのことだ。日本振興銀行は落合氏が調達した20億円で設立されたのであり、「りそな疑惑」と「日本振興銀行問題」の二つの汚点が、この段階でひとつの直線を描いたことになる。
 
 木村氏が深く関与した2002年10月発表の金融再生プログラムに中小企業向け銀行の新規参入認可迅速化が盛り込まれ、この条項を利用する形で日本振興銀行が設立された。2003年8月に申請され2004年4月に開業するという、驚異的な銀行設立認可が実行された。
 
 りそな銀行は自己資本不足に追い込まれたが、破たん処理されず、経営陣だけが追放された。新経営陣には小泉政権近親者が送り込まれた。その後、この再生りそな銀行が自民党に対する融資を激増させた。
 
 この驚天動地の事実を暴露したのが2006年12月18日付の朝日新聞1面トップである。この記事をスクープしたのは鈴木啓一記者と伝えらているが、鈴木氏は記事掲載前日に東京湾で水死体となって発見されたと伝えられている。
 
 また、朝日監査法人のりそな銀行担当公認会計士だった平田聡氏は朝日監査法人がりそな銀行の繰延税金資産を否認する方針を協議した2003年4月22日の本部審査会の直後、4月24日に、自宅マンションの12階から不自然な転落死を遂げている。平田氏はりそな銀行の繰延税金資産否認に強く反対していたと見られる。
 
 木村氏が経営権を奪取した日本振興銀行は、木村氏が社長を務める企業に3%の金利で3億9000万円を融資した。さらに2005年には、木村氏の妻が社長を務める「ウッドビレッジ社」(「木村社」?)に3%の金利で1億7875万円融資した。
 
 日本振興銀行はミドルリスク・ミドルリターンの融資を行う銀行であり、金利は5%~15%に設定され、原則1億円を融資の上限にしていたはずである。
 
 上記融資が不正融資にあたるとの疑惑が浮上したが、小泉政権の影響力が強い時代の金融庁は、これらの問題を摘発しなかった。
 
 日本振興銀行の闇に、今後、しっかりとメスを入れることが求められるが、同時に竹中氏が策定した金融再生プログラムと日本振興銀行に対する異例のスピード認可の深層、および、りそな銀行処理に関する竹中氏、木村氏、奥山氏などの関与についても、真実と深層を明らかにする必要がある。

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2010年7月15日 (木)

木村剛氏逮捕『売国者たちの末路』を見定める

「天網恢恢疎にして漏らさず」
(てんもうかいかい、そにしてもらさず)

という。「大辞林」によれば、
「天網は目があらいようだが、悪人を漏らさず捕らえる。天道は厳正で悪事をはたらいた者には必ずその報いがある」との意味になる。
 
 日本振興銀行元会長の木村剛氏が逮捕された。
 
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第一章「偽装」第7節「摘発される人・されない人」に、
木村氏が創設した日本振興銀行が木村氏の親族企業に不正融資を行った疑惑があり、金融庁が検査を行ったが、「これまでのところ摘発されていない」と記述した。
 
 その木村剛氏がようやく摘発対象になった。背後に政権交代があることは間違いない。
 
 木村剛氏を重用してきたのが田原総一朗氏である。かねてより、摘発対象候補者としてMHKなる用語が用いられてきた。
村上世彰氏、堀江貴文氏、木村剛氏である。

Photo

竹中平蔵氏が繰り返した「がんばった人が報われる社会」で、成功例として示されてきたのが、これらの人々である。
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テレビ朝日など、木村剛氏を重用してきたテレビ局は、木村氏を礼賛する報道をいまだに続けているが、真実をまったく伝えていない。
 
 本ブログのカテゴリー「竹中金融行政の闇」に詳論しているので詳細を省くが、木村氏が第一線に登場した2002年秋から不透明な行動は一貫して示され続けてきたのだ。「神様」だの「プロ」など、実態とかけ離れた解説を施すべきでない。
 
 「不透明な」問題を五つ例示する。
 
①2002年10月に発表された「金融再生プログラム」は竹中氏が組織し、 木村氏がメンバーとして参加したプロジェクトチームがまとめたものである。
重大な問題は、このなかの「中小企業貸出に関する担い手の拡充」のタイトルの下に、「銀行免許認可の迅速化」の文言が盛り込まれたことだ。
 
 日本振興銀行は2003年8月に予備申請を行い、2004年4月に開業している。驚天動地のスピードで銀行免許が付与されたのである。
 
 木村剛氏が創刊した金融情報誌「フィナンシャルジャパン」
Financial_japan_sep_2010

創刊号(2004年10月)表紙には竹中平蔵氏と福井俊彦氏のツーショット写真が掲載された。

Financial_japan_oct_2004

典型的な公私混同と評価されて反論できないだろう。

 
②金融再生プログラム策定過程で、木村氏は繰延税金資産計上ルール変更を試みた。詳論を省くが、木村氏の提案に多くの問題があった。結局、ルール変更は見送られたが、この動きは、銀行の自己資本不足誘導→外資による日本の銀行収奪の目的に沿って提案された疑いが濃厚である。
 
③竹中金融行政はりそな銀行を標的に定めたが、その詳細を追跡すると、りそな銀行実質国有化全体が、大きな謀略そのものであったことが明らかになる。この問題で主導的役割を果たしたのが竹中平蔵氏と木村剛氏である。詳細は拙著ならびに、本ブログ、ならびに月刊日本講演録などを参照されたい。この問題では複数の死者が発生しており、巨大なインサイダー取引疑惑も存在する。
 
④日本振興銀行が木村氏の親族企業に対して実行した融資が不正融資に当たるのではないかとの問題が浮上した。しかし、前述したとおり、自民党政権時代には木村氏は摘発されなかった。
 
⑤今回の逮捕は検査妨害を理由とするものである。被疑事実は社内メールの削除を指示したというものだが、なぜ、メールを削除しなければならなかったのかが、今後の問題になる。
 
 大きな問題が噴出することになるはずである。今回の逮捕はまだ入り口に過ぎない。
 
 私は1992年から日本の不良債権問題の早期抜本処理を主張し続けた。不良債権問題の深刻さと抜本処理の重要性を最も早い段階から主張し続けた一人であると自負している。
 
 この側面では、木村氏も早い段階から不良債権問題の早期抜本処理を主張していたから、当初は、私の主張と重なる部分が多かった。
 しかし、2002年の竹中-木村癒着時代が始まると同時に、その行動が正義と公正から大きく逸脱していったと私は観察してきた。木村氏はりそなの繰延税金資産計上ゼロないし1年を強硬に主張し続けたにもかかわらず、政府が3年計上を決定し、りそな銀行を救済すると、政府決定の全面支持者に変質した。
 昨日のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」が放映したVTR映像での「批判はいくらでもできる」との木村氏発言場面は、私との直接対決での木村氏による政府決定擁護発言である。
 
 最大の問題は、行動の動力源である。竹中氏の行動、木村氏の行動を突き動かしてきた動機は、「公」でなく「私」であったと私は判断する。
 
 政権交代が生じて、ようやく過去の暗部にメスが入り始めたのかもしれない。
 
 永田町では対米隷属勢力と主権者国民勢力との死闘がいよいよ佳境を迎えつつある。早期に主権者国民勢力が権力を掌握して、対米隷属者たちの過去の暗部を白日の下に晒してゆかねばならない。


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をしっかりと見定めてゆかねばならない。

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2010年6月14日 (月)

日本振興銀行をめぐる黒い霧

日本振興銀行が検査忌避をはじめとする法令違反により金融庁から刑事告発され、犯罪捜査が始まった。刑事捜査の最大の焦点は日本振興銀行を実質支配してきた木村剛氏の関与である。「木村銀行」と呼ばれてきた日本振興銀行であるから、経営上の重大な方針決定に木村氏が深く関わったと推察するのが順当であろう。

今回俎上に載せられているのは検査忌避や出資法違反などの七つの法令違反であるが、そもそもこの銀行の設立自体が黒い霧に包まれていた。

2002年10月、小泉政権は内閣改造を実施した。小泉政権発足後、日本経済は景気崩壊-株価暴落-金融不安拡大の一途をたどった。経済財政政策担当相として民間人から起用されたのが竹中平蔵氏だった。風評では内閣改造で竹中氏が更迭されると予想されていたが、実際には竹中氏が経財相に加えて金融相を兼務することになった。

この人事は米国の指令によるものだと見られている。この後に日本株価が暴落し、りそな銀行が自己資本不足と認定され、2兆円もの公的資金投入で救済されたのが、いわゆる「りそな疑惑」である。「疑惑」と称する理由は多岐にわたるが、

①自己資本算定における繰延税金資産の取り扱い問題が急浮上したこと、

②りそな銀行だけが繰延税金資産5年計上を認められなかったこと、

③この問題を強く誘導した木村剛氏は2003年5月14日段階で、なおゼロないし1年を強硬に主張したが、結果が3年計上になったこと、

④その木村剛氏がゼロないし1年以外の決定を示す監査法人は破たんさせるべきとの強硬論を訴えていたのに、3年計上が決定されたのち、木村氏が一切の批判を示さなかったこと、

⑤竹中平蔵金融相が2003年2月7日の閣議後懇談会で株価連動投信ETFについて、「絶対もうかる」と発言したこと、

⑥朝日監査法人で自己資本不足認定によるりそな銀行監査委嘱辞退決定に強く反対したと見られるりそな銀行担当会計士平田聡氏が2003年4月24日に、自宅マンションから転落死したこと、

⑦政府がりそな銀行を救済したのち、りそな銀行幹部が一掃され、新たに政府近親者がりそな銀行幹部に送り込まれ、自民党に対する融資を激増させたこと、

⑧2006年12月18日の朝日新聞朝刊にりそなの対自民党融資激増のニュースをスクープで報じたと言われる朝日新聞記者鈴木啓一氏が東京湾で水死体になって発見されたと言われていること、

⑨りそな銀行が標的にされた理由が、りそな銀行最高幹部が小泉竹中経済政策を厳しく批判していたことにあるとの疑惑が存在すること、

⑩りそな銀行処理の基本スキームが米国から竹中氏に伝授された疑いが濃いこと、

など、疑惑の総合商社状態になっている。

2002年10月に発足した小泉改造内閣の下で、竹中平蔵金融相は直ちに金融再生プロジェクトチーム(PT)を編成し、10月末に「金融再生プログラム」をまとめた。

このプロジェクトのなかで、木村剛氏は銀行の自己資本算定時の繰延税金資産計上を米国並みのゼロないし1年に圧縮するとの提案を示した。PTはその制度変更を2003年3月期決算から適用する考えまで示唆した。

猛反発したのが銀行界である。ゲームの最中にルールが変更されたのではゲームを行えないというのが銀行界の主張であった。正当な主張である。

米国の場合には貸し倒れのリスクに備えて引当金を積み立てることが無税で認められていた。その代わり、繰延税金資産の計上が制限されていたのだ。日本の場合、貸倒引当金の無税償却は認められておらず、その見合いで繰延税金資産計上が相対的に多く認められていたのだ。木村氏はこのような基本事項さえ理解していなかったものと考えられる。

銀行界で最も強烈な反発を示したのが三井住友銀行の西川善文頭取だった。しかし、西川氏の姿勢は2002年12月を境に急変した。西川氏は同年12月11日に竹中氏、ゴールドマン・サックス証券のCEOポールソン、同COOセイン氏と密会し、ゴールドマンからの資金調達と竹中氏からの2003年3月決算クリアの保証を確保したのだと見られる。

金融庁は2002年10月30日に「金融再生プログラム」を発表した。

このなかに、ひとつの条文が潜り込まされていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.新しい金融システムの枠組み

(2)中小企業貸出に対する十分な配慮

 主要行の不良債権処理によって、日本企業の大宗を占める中小企業の金融環境が著しく悪化することのないよう、以下のセーフティネットを講じる。 

(ア)中小企業貸出に関する担い手の拡充

 中小企業の資金ニーズに応えられるだけの経営能力と行動力を具備した新しい貸し手の参入については、銀行免許認可の迅速化や中小企業貸出信託会社(Jローン)の設置推進などを積極的に検討する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 注目される部分は、

新しい貸し手の参入については、銀行免許認可の迅速化・・などを積極的に検討する」という表現だ。

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 木村氏は中小企業金融銀行設立の意向を有していたと見られる。金融再生PTのメンバーになった地位を利用して、金融再生プログラムのなかにこの文言を潜り込ませたのだと思われる。

また、木村剛氏はりそな銀行を自己資本不足に追い込むために、りそな銀行の監査法人である朝日監査法人への働きかけを行ったと見られる。そのひとつの表れが、2003年3月17日の木村剛氏と朝日監査法人亀岡義一副理事長とによる会食である。

会食の直接的な理由は、亀岡氏が木村氏に株式会社オレガの代表取締役落合伸治氏を紹介するためだったという(「月刊現代」2009年1月号佐々木実氏論文)。

木村氏は将来利益の計上が困難視される状況の下では、繰延税金資産の計上を認めるべきでないことを、りそな銀行を念頭に置いて説得したと考えられる。

上記論文執筆者の佐々木実氏は、4月16日に朝日監査法人が速報ベースのりそな銀行決算見通しを受け取って以降に朝日監査法人最高幹部が示した見解が、木村氏の主張と瓜二つであることを指摘している。

朝日監査法人は2002年3月にKPMGと提携契約を締結している。木村氏はKPMG関連の日本法人の代表を務めていたのであり、木村氏は竹中平蔵氏との強い関係とKPMG関連法人代表の立場を利用して、朝日監査法人にりそな銀行を自己資本不足に追い込むことを強く要請したのだと考えられる。

日本振興銀行問題に戻すと、同銀行の設立までの経緯は以下の通りである。

2003年 4月    落合伸治が準備企画会社「中小新興企業融資企画株式会社」を設立し社長に就任

2003年 8月20日 銀行免許の予備申請

2003年10月31日 予備申請認可

2004年 3月15日 本免許申請

2004年 4月13日 金融庁より銀行免許交付

2004年 4月21日 開業

2005年 1月 1日 取締役の辞任が相次ぐ中、創業メンバーで、取締   役会議長(社外取締役)の木村剛が自ら社長に就任

 最大の特徴は、金融庁が異例のスピードで新銀行設立の審査、認可を行ったことである。上記の通り、2003年8月に銀行免許の予備申請を行って、翌年4月には銀行を開業している。

 創業者である落合伸治氏は木村氏を含む役員に銀行役員を解任され、木村氏が社長に就任したのだが、結果からみると木村氏は落合氏などに銀行を設立させて、設立させた銀行そのものを乗っ取ってしまった形になる。

 金融再生プログラムに私的な営利活動のための条文を忍び込ませ、銀行設立を申請し、金融庁が異例の迅速さで審査および認可するとの行動は、行政の私物化以外の何者でもない。法令違反の有無を詳細に検証する必要がある。

 政権交代が実現し、金融担当相に亀井静香氏が就任して、初めて日本振興銀行の黒い霧にメスが入れられることになった。さらにりそな銀行疑惑に対しても真相究明の力が波及することになるだろう。

 「天網恢恢疎にして漏らさず」

 真相の徹底解明が求められる。

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2009年11月10日 (火)

「りそな処理疑惑」解明に関心示す亀井金融相

 これまで数多くの優れた論考を発表されてきた高橋清隆氏が、ライブドアパブリックニュースに新しい記事を掲載された。

 11月7日付記事
「りそな銀行破たんでインサイダー疑惑、
 亀井金融相が興味示す
 =PJ出席の「第二記者会見」で」

と題する論考である。

 以下、高橋清隆氏執筆記事を転載させていただく。

「2003年5月17日にりそな銀行が国家救済された際、インサイダー取引があった可能性について10月23日、記者が亀井静香金融・郵政担当相に調査の意志を尋ねた。亀井大臣が興味を示す中、証券取引等監視委員会に参考資料が届き、当局の動向が注目される。」

「りそな銀行救済に伴う株価変動で外資系ファンドが大きな利益を上げたが、政策決定者である当時の竹中金融相らがこの機密情報を私用した可能性を、エコノミストの植草一秀氏が指摘している。「退出すべき企業は大企業も同じ」「大銀行でも破たんがあり得る」との方針を一転させたことで、りそな株は急反発した。」

「金融庁の非クラブ記者を対象にした「第二会見」で、記者がこの問題について調査の意志を尋ねると、亀井大臣は「その関係どうなってるのか、ちょっと聞いておいてください」と答えた。大塚耕平副大臣が証券取引等監視委員会の自主判断を強調するも「事実関係は調べます」と発言し、大臣は監視委員会への情報提供を指示した。」

「この直後、参考資料の提供を申し出ていた記者に大塚副大臣担当の金融庁職員から電話があった。「大臣は関心を示している」としながら、監視委員会にはその旨連絡したが、同委員会の独立性を確保する理由から直接提出してほしいとの内容だった。これを受け、記者は植草氏のネット上の論稿『りそなの会計士はなぜ死んだのか』山口敦雄(毎日新聞社)などの紹介サイトを、概要文とともに同委員会ホームページ上から送信した。」

「2日、同委員会に調査状況を電話で尋ねると、「お答えできない」としながらも、参考資料のメールが届いたことを認めた。さらに6日、追加で郵送した書籍や雑誌記事などが4日付けで受け取られた配達証明書が来た。同委員会は告発・勧告の処分を行った場合ホームページで公開するが、その他の場合は公表しないとしている。」

「会見でのこの質疑応答は金融庁ホームページに掲載されているほか、ニコニコ動画が配信。30人ほどの記者が出席し、日本証券新聞ジャーナリストの岩上安身氏などが記事化した。投稿サイト「阿修羅」や2ちゃんねるでも増殖し、関心が広がっている。」

「りそな疑惑について調べる者に、不可解なことが相次いで起こってきた。これまで旧朝日監査法人の平田聡会計士、朝日新聞の鈴木啓一記者が死亡したほか、竹中氏が総務相に就いてから批判記事を書いてきた読売新聞の石井誠記者が後ろ手に手錠を掛けられた状態で「自殺」し、植草氏と太田光紀国税調査官が痴漢容疑で逮捕されている。」

 私は現在、月刊誌『月刊日本』

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に、12回連載シリーズ記事

「小泉竹中改革の破綻と政治の新潮流」

を執筆している。

 2009年11月号、12月号では、いわゆる「りそな疑惑」について、概要を記述している。「りそな疑惑」については、本ブログにも詳細を記述してきた。

 2003年春の日本の金融危機は人為的に引き起こされたものであった。株価暴落を招いた最大の原因は、竹中金融相(当時)による2002年10月のニューズウィーク誌における

「大銀行が大きすぎるからつぶせないとの政策方針をとらない」

との発言だった。

 竹中氏はプロジェクトチーム(PT)を作り、銀行の自己資本に組み入れることが認められていた「繰延税金資産」計上ルールについて、米国並みにしか計上できないようにルール変更を強行しようとした。竹中氏はいきなり2003年3月期決算からのルール変更を目指した。

 ゲーム中での基本ルール変更とも言える「暴政」に金融界は猛反発した。反発の先頭に立ったのが西川善文三井住友銀行頭取だった。米国では不良資産に対する貸倒れ引当金の無税償却が認められている。日本では無税償却が認められていないため、その代償措置として繰延税金資産の計上ルールが米国よりも緩く設定されていたのである。このような基本すら踏まえていない乱暴なルール変更方針に金融界が反発したのは当然であった。

 結局、竹中金融PTはルール変更を断念した。竹中氏の面子は丸つぶれになった。この面目喪失へのリベンジの標的として選ばれたのがりそな銀行であったと考えられる。

 りそな銀行が標的にされた理由もきわめて低次元のものであったと考えられる。竹中氏-木村剛氏-奥山章雄氏-朝日監査法人などの連携によって、りそな銀行は自己資本不足に追い込まれたものと考えられる。

 りそな銀行処理の最大のポイントは、同銀行が預金保険法102条第1項3号措置でなく第1号措置が適用されたことだ。詳細については拙著

『知られざる真実-勾留地にて-』

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をご高覧賜りたいが、第1号措置は「破たん処理」ではなく「公的資金による救済」で、正反対の性格を持つ政策措置である。

 第1号措置を適用するには、りそな銀行の繰延税金資産計上が「3年」でなければならなかった。りそな銀行の繰延税金資産5年計上方針に対して強烈に反対した木村剛氏は、ゼロないし1年計上しかありえないことを強く主張した。木村氏は2003年5月14日付ネット上コラムでこの主張を繰り返した。

 しかし、着地は3年計上だった。3年計上により、りそな銀行は公的資金で救済されたのである。「大銀行破たんも辞さぬ」が「大銀行は税金で救済する」に豹変したのが、2003年5月17日だった。

 驚かされるのは、繰延税金資産計上はゼロか1年しかありえず、それ以外の選択肢を容認するなら、破綻すべきなのは監査法人(新日本監査法人)であると強硬に主張していた木村剛氏が、5月17日以降、その批判を完全に封印し、木村氏としては説明不能であるはずの3年計上を認めた最終決定を徹底擁護し始めたことである。

 竹中氏は監査法人の自主的判断だと主張するが、さまざまな状況証拠は、竹中氏を中心とする関係者が人為的にりそな銀行救済を誘導したとの仮説を裏付けている。

 竹中氏は2003年2月7日の閣議後懇談会で日本株価連動投信(ETF)について、「絶対儲かる」発言を示して問題を引き起こした。この時点で、公的資金によるりそな銀行救済のシナリオは確定していたのだと考えられる。

 株式市場では大銀行破たんを警戒し、株式の投売りが広がった。このなかで暴落株式を悠然と買い集めた人々が存在した。最終的に銀行破たんではなく銀行救済が実施されるなら、株価が猛反発するのは確実だ。この内部情報に基づいて株式買い入れに動いた勢力が存在したと考えられるのである。

 2003年の金融危機に連動して、日本経済は失業、倒産、自殺の灼熱地獄に包まれた。「銀行破たん方針」が示されなければ地獄に直面しなかったはずの多くの同胞が、地獄に送り込まれたのである。

 政権交代が実現したからには、「小泉竹中政治の闇」を徹底的に暴き出さなければならない。「かんぽの宿疑惑」の全容解明、「りそな銀行処理疑惑」の全容解明を避けて通るわけにはいかない。鳩山政権、亀井金融相がなさねばならぬ責務は極めて大きい。

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2008年12月16日 (火)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(8)

「退出すべき企業を市場から退出させる」
これが、小泉竹中経済政策の基本政策のひとつだった。

もうひとつの基本政策は
国債を絶対に30兆円以上発行しない=いまの痛みに耐える政策
だった。

超緊縮経済政策を実行し、企業の破たん整理を促進する。これが小泉竹中経済政策の基本方針だった。経済は坂を転げ落ちるように悪化した。企業の破たんが急増し、株価が暴落した。連動して不動産価格も暴落した。

私はこの政策が実行されれば、日本経済は最悪の状況に陥ることを確信した。小泉政権の発足時点から、このことを警告した。

現実は懸念した通りのものになった。日経平均株価は2001年5月7日の14,529円から2003年4月28日の7607円に暴落した。日本経済はマイナス成長に陥り、物価も下落し、深刻なデフレが日本を覆った。史上最悪の失業、倒産、経済苦自殺が国民を追い詰めた。

竹中金融相が「大銀行の破たんも辞さない」方針を明示して、銀行の財務計数を人為的に悪化させる方針を示したことが株価暴落を加速させた。竹中金融庁はりそな銀行を俎上(そじょう)に載せて破たん処理を断行する構えを示した。

ところが、最終局面で政策は手の平を返した。りそな銀行を「破たん処理」せず、2兆円の公的資金を投入して「救済」したのだ。「責任ある当事者に適正な責任を負わせる」「自己責任原則」は破棄された。小泉政権が政権発足時点から掲げていた「退出すべき企業を市場から退出させる」基本方針は撤回された。

金融危機に直面したりそな銀行は、責任を問われずに2兆円の公的資金の提供を受けた。りそな銀行株主は国から巨大な利益供与を受けた。

「退出すべき企業を市場から退出させる」政策が破棄され、「大銀行は税金により救済する」方針が示されたために、株価は急騰に転じた。「金融恐慌が発生する」との警戒感から株価は暴落していたが、政府が公的資金で銀行を救済する方針が明示されれば、「金融恐慌リスク」は消滅し、株価は大幅な水準修正を示す。現実に日経平均株価は2003年8月18日に1万円の大台を回復した。

資産価格が上昇に転じたことを背景に経済活動が改善に転じた。経済の改善は新たな株価上昇の要因になる。株価に連動して不動産価格も上昇に転じた。資産価格の上昇に連動して金融機関の不良債権は急激に減少していった。

2003年から2006年にかけての日本経済改善、不良債権問題の縮小は経済政策の成果としてもたらされたものではない。金融恐慌寸前の状況まで悪化した日本経済、金融情勢の反動として生じた現象に過ぎなかった。

38度の高熱は、それ自体が懸念される状況だが、一度42度の瀕死の状況を経過したあとで38度に到達すると、大幅に病状が回復したと認識される。本来なら38度の病状から36度の平熱に戻ることが可能だった患者が、治療の失敗で42度の死線に誘導された。そこで副作用の強い劇薬を使用して死を免れたのである。

2001年から2003年の日本経済悪化誘導は本来、まったく必要のない経路だった。経済悪化で税収が激減し、また景気対策が必要になって財政赤字も激増した。多くの国民が失業、倒産、経済苦自殺の経済苦地獄に送り込まれた。「百害あって一利なし」の経済政策運営だった。

あげくの果てに、最終的に「自己責任原則」が破棄されてしまった。金融行政で最も重要な基本原則が「自己責任原則」であり、税金によるりそな銀行救済は、日本の金融行政に歴史的な汚点を残すものだった。2003年5月17日のりそな銀行救済は、小泉竹中経済政策の破たんを意味するものだった。

小泉竹中経済政策が破たんした背景として二つの仮説を提示することができる。第一の仮説は、「意図せざる政策失敗と窮余の一策としての銀行救済」というものだ。第二の仮説は、「意図的な株価暴落誘導と銀行救済」である。

前者の筋書きは以下の通りだ。竹中経財相は、日本経済を回復させる処方箋として(a)緊縮財政と(b)企業の破たん処理推進、を位置付けた。不良債権の処理を進めることによって金融機関の与信活動が活発化するとの見通しを前提に置いた。

ところが、現実には緊縮財政が経済悪化を加速し、そのなかで企業の破たん処理を加速させたために、不良債権問題は見通しとは逆に拡大してしまった。新たに増加する不良債権が、処理を終えた不良債権をはるかに上回ったからである。

小泉竹中経済政策は当初の目論見とは逆に「金融恐慌」突入の絶体絶命の危機に直面してしまった。窮余の一策として竹中金融庁は預金保険法第102条第1項の「抜け穴規定」を活用して、「自己責任原則」を放棄した。ぎりぎりのところで小泉竹中経済政策は「金融恐慌」を回避した。これが第一の仮説だ。

第二の仮説は、小泉竹中経済政策が意図して日本経済の崩壊を誘導し、また資産価格暴落を誘導し、金融恐慌寸前の状況で預金保険法102-1の「抜け穴規定」を利用することを当初から念頭に入れていたとするものだ。

日本国民の視点に立てば、第二の仮説が生まれる可能性は皆無である。第二の仮説に沿った現実が生じても日本国民はまったく利益を得ないからだ。無数の罪無き善良な日本国民が小泉竹中経済政策を原因とする戦後最悪の不況に巻き込まれ、失業、倒産、経済苦自殺に追い込まれた。

ところが、2001年から2006年にかけての日本経済、日本の資産市場で生じた出来事を鳥瞰(ちょうかん)すると、別の絵が見えてくる。経済の悪化推進、株価・地価の暴落推進、その後のりそな銀行救済によって巨大な利益を獲得した勢力が確実に存在するのだ。

竹中金融相は2003年2月7日の閣議後懇談会で株価指数連動投信(ETF)について、「絶対儲かる」と発言した。証券取引法は株式や投信の販売にあたって「絶対に儲かる」などの断定的な表現を禁止している。証取法を所管する金融相が「絶対儲かる」と発言して物議を醸(かも)した。

りそな銀行をスケープゴートに定め、りそな銀行を自己資本不足に追い込むための工作活動は2002年10月からスタートしている。11月12日には、竹中金融相が公認会計士協会に対して繰延税金資産の厳正な監査を要望した。

2003年2月25日には、公認会計士協会の奥山章雄会長が「主要行の監査に対する監査人の厳正な対応について」と題する会長通牒を提示した。繰延税金資産の合理性の確認を要請している。りそな銀行を自己資本不足に追い込むための工作が進められていたったと考えられる。

ただし、りそな銀行の決算を本当に厳格なルールに基づいて監査したなら、りそな銀行は「破たん処理」されなければならなかった。木村剛氏が5月14日まで強くその主張を提示した。しかし、最終決着は「3年計上」に基づく「救済」だった。竹中金融相、金融問題タスクフォース、奥山公認会計士協会会長、新日本監査法人が密接に連携して、「人為的な救済」決着が決定されたと考えられる。

りそな銀行は「破たん処理」ではなく「救済」でなければならなかったのだ。りそな銀行が救済されたことによって、日本の資産市場の資産価格は方向を転換した。りそな銀行が破たん処理されたなら、日本の金融市場は金融恐慌に突入していたはずだ。

「金融恐慌」のリスクが煽(あお)られて、日本の投資家は泣くに泣けない暴落価格で株式や不動産を投げ売りした。投げ売りによって資産価格は法外な安値を記録した。問題は誰が安値の資産を買い占めたのかである。

最終的に102-1の「抜け穴規定」を利用してりそな銀行が税金によって「救済」されることを知りうる立場の勢力が存在したなら、暴落価格の優良資産を買い占めたはずだ。

「金融恐慌」のリスクを喧伝(けんでん)し、最終的に税金による銀行救済を実行して株価の急騰を実現させ、これらのシナリオを事前に用意して安値で資産を取得して急騰後に売り抜けたなら、これらの行為は「風説の流布」、「株価操縦」、「インサイダー取引」に該当すると言ってよいだろう。

日本政府は2002年10月から2004年3月にかけて47兆円もの巨額のドル買い為替介入を実施した。米国国債を保有する外国資本に47兆円の円資金を提供したと捉えることもできる。暴落価格の日本の優良資産買い付け資金を日本政府が提供したとも考えられるのだ。

金融機関は不良債権の損失処理を会計上で済ませてしまうと、不良資産を二束三文で売却することが可能になる。金融機関が売却する暴落値の不良債権をまとめ買いして債権を回収すると、巨大な利益を確保できる。この種の不良債権ビジネスは外国資本の独壇場(どくだんじょう)だった。

りそな銀行はその後、自民党に対する融資を激増させた。この重大ニュースをスクープしたのが朝日新聞だった。しかし、この重大事実をスクープしたと見られている朝日新聞の敏腕記者はスクープ記事掲載と同時に東京湾で死体で発見されたと伝えられている。

①りそな銀行が標的にされた背景
 ②UFJが東京三菱に吸収された経緯
 ③ミサワホームの再生機構送りの背景
 ④金融行政スクープ記事の情報源
 ⑤郵政民営化への米国政府の関与
については、今後「竹中金融行政の深い闇」の続編シリーズ記事で記述してゆくこととする。

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2008年12月14日 (日)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(7)

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章第16節に「1・3・5の秘密」を記述した。2003年3月決算でりそな銀行の繰延税金資産を最終的にどう取り扱うのかが焦点だった。

1年:りそな銀行は破たん=一時国有化
3年:りそな銀行を救済=実質国有化
5年:りそな銀行は健全銀行として決算をクリア
という図式だった。

 選択されたのは3年計上だった。3年計上すると自己資本比率は2.07%になる。健全銀行として決算をクリアできる自己資本比率は4%だった。自己資本比率がマイナスに転じれば、債務超過となり銀行は「破たん」する。

繰延税金資産計上がゼロないし1年であったなら、りそな銀行は「破たん」処理されていた。木村剛氏は、5月14日の時点でりそな銀行について言及したと読み取れるネット上のコラム記事で、繰延税金資産計上はゼロか1年しかありえないことを強く主張していた。

他の銀行同様にりそな銀行の繰延税金資産の5年計上が認められていれば、りそな銀行は2003年3月決算をクリアしていた。中立・公正の立場に立てば、この選択が最も順当であったはずだ。将来時点の収益見通しが不明確だったのはりそな銀行だけではない。

りそな銀行と同様の財務状況、収益環境にあった複数の大手銀行の2003年3月末決算では、繰延税金資産の5年計上が認められて、決算がクリアされている。りそな銀行は、何らかの理由により標的にされ、人為的に自己資本不足に追い込まれた可能性が高い。

りそな銀行を自己資本不足に追い込んだロジックを提示し続けたのは木村剛氏である。木村氏の主張は「将来の収益回復を前提に一定年数繰延税金資産計上を認める」との1999年11月の公認会計士協会指針第4項但し書きを認めないとするものだった。りそな銀行サイドは欠損金が出るとしても、それは合併や会計監査の厳格化といった特別な理由によるもので、5年を限度とする繰延税金資産計上は認められるべきだと主張した。

結果的に、りそな銀行の繰延税金資産計上は木村氏の主張に沿う形で否認された。木村氏は金融PT、金融問題タスクフォース、金融庁顧問として強い影響力を行使したと考えられる。りそな銀行の繰延税金資産計上を否認した朝日監査法人に対しても、直接的な接触を持ったことが確認されている。また、木村氏が代表を勤めていた企業は朝日監査法人、新日本監査法人の海外提携監査法人関連の日本法人であった。

木村氏の主張するロジックを根拠にりそな銀行の繰延税金資産計上が否認されたのであれば、最終的な着地はゼロないし1年計上しかありえなかった。木村氏は5月14日付のインターネット上のコラム記事で「破たんする監査法人はどこか」と題する主張を示した。りそな銀行の繰延税金資産がゼロないし1年以上計上されることがあれば、決定を下した監査法人が破たんに追い込まれるだろうと読み取れる内容だった。

ところが、決着は3年計上だった。3年計上は預金保険法102条第1項規定という「抜け穴」を活用できる着地だった。102-1は、金融機関への破たん前資本注入を認める規定だった。

りそな銀行は102-1の規定に基づいて約2兆円の資本注入を受けた。自己資本比率は一気に12.2%に上昇した。りそな銀行の所有者はりそな銀行の株主である。りそな銀行の株主は、いささかのペナルティーを払うことなく、国から2兆円の資金提供を受けて救済された。

「破たん」処理されれば株価はゼロになる。株主は出資した資金を失う形で責任を問われる。1998年に破たんした日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の株主は、株価がゼロになる形で出資責任を負わされた。

しかし、りそな銀行の株主は国から2兆円の資金提供を受け、その後の株価が猛烈に反発したことにより、国からの巨大な利益供与を受けた。りそな銀行の株価は2003年5月の47円から10月には185円に暴騰した。株価は3.93倍に暴騰した。りそな銀行の株主はペナルティーではなく巨大な利益供与を受けた。

竹中金融相は2002年10月以降、「大銀行破たんも辞さず」のメッセージを発して株価暴落を誘導した。2001年以降、超緊縮経済政策によって経済悪化を促進し、そのなかで「退出すべき企業を市場から退出させる」方針を示して企業の破たんを促進した。この政策が推進されれば、経済が大混乱に陥るのは当然だった。

大銀行が破たんすれば、企業破たんと金融機関の破たんが連鎖的に拡大する。いわゆる「金融恐慌」が発生する。竹中経済政策は日本経済を「金融恐慌」に誘導するものだった。私が2001年の小泉政権の発足時点から小泉政権の経済政策を強く批判したのはこのためだ。

「退出すべき企業を市場から退出させる」政策を基本に据え、りそな銀行を俎上(そじょう)に載せた以上、りそな銀行の処理は「破たん」処理以外にはなかった。金融行政の二大基本原則は「金融システムの安定確保」と「自己責任原則の貫徹」だ。責任ある当事者に適正な責任を負わせることが「自己責任原則の貫徹」である。

りそな銀行が失敗を犯して破たんするなら、責任ある当事者には責任を負わさなければならない。責任ある当事者の第一は企業の保有者である株主である。株主が出資した資金を失うことが適正な責任処理の第一である。

ところが、りそな銀行の「実質国有化」では、りそな銀行の株主は責任を問われるどころか、国から巨大な利益供与を受けた。責任ある当事者が国から利益供与を受けるのは理に反している。

この措置が認められるなら、各銀行は競って財務内容の悪化に努めるだろう。財務内容が悪化すれば、国からの巨大な利益供与を受けることができるからだ。政策が企業の適切でない行動を促してしまうことを「モラル・ハザード(=倫理の欠如)」と呼ぶ。りそな銀行の救済は典型的な「モラル・ハザード」を生み出す政策だった。

しかし、「金融システムの安定確保」の視点に立つと、2003年5月の段階でりそな銀行を破たんさせる選択はありえなかった。この時点でりそな銀行を破たんさせていたなら、日本経済が金融恐慌に突入したことは間違いない。大銀行破たんが一般企業、金融機関の連鎖的な破たんを一気に生み出すからだ。

竹中金融庁はりそな銀行を標的として定め、りそな銀行の決算数値を精査した上で、りそな銀行の繰延税金資産3年計上を決めたのだと考えられる。しかし、「3年」という不自然な決着にせざるを得なくなったために、人為的操作の印象がクローズアップされてしまった。

仮にりそな銀行の繰延税金資産計上がゼロないし1年で102-1が適用されたなら、人為的操作の印象をある程度、覆い隠すことに成功したかも知れない。木村氏が主張したロジックと「りそな銀行救済」の矛盾を表面化させずに済んだかも知れない。

しかし、「3年計上」では合理的な説明が不可能である。「3年計上」という不自然な決着が、「抜け穴規定」である102-1規定を活用するための人為的操作であるとの印象を際立たせる結果を生んだ。

2003年5月にりそな銀行が破たん処理されていれば、小泉政権はその後の総選挙で大敗して崩壊していただろう。しかし現実には、小泉政権は「退出すべき企業を市場から退出させる」基本方針を放棄して、税金による大銀行救済を選択した。

公的資金で大銀行を救済すれば株価が猛烈に反発するのは当然である。株式市場は「金融恐慌」の可能性を現実のものと判断し暴落していた。国内投資家は暴落価格で株式や不動産を投売りした。明らかに割安な価格であっても金融恐慌が発生すればさらに価格は下がる。この判断に立って貴重な資産を投売りした。

最終的に「自己責任原則」を放棄して税金で銀行を救済するなら、2003年にかけての株価暴落、経済混乱は不要だった。国民は絵空事の金融恐慌恐怖症に踊らされたことになる。

竹中氏はりそな銀行の責任処理が実行されたと言うが、実行されたのはりそな銀行の経営陣の入れ替えだけである。旧経営陣が追放され、小泉政権の近親者がりそな銀行経営陣に送り込まれた。りそな銀行はその後に何をしたか。

りそな銀行処理を取り巻く闇を明らかにしなければならない。闇に光を当てる三つの手がかりがある。
①2003年2月7日の竹中金融相による「絶対儲かる」発言
②2002年10月から2004年3月までの47兆円に達する日本のドル買い外為介入
③「りそな銀行から自民党への融資激増」スクープと朝日新聞編集委員の急死
である。

死亡したのはりそなの会計士だけではなかった。

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2008年12月13日 (土)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(6)

渡邉恒雄氏は『文藝春秋2009年1月号』掲載の御厨貴東大教授によるインタビュー記事「麻生総理の器を問う」のなかで次のように述べている。

「僕は竹中さんから直接聞いたことがあるんだが、彼は「日本の四つのメガバンクを二つにしたい」と明言した。僕が「どこを残すんですか?」と聞くと、「東京三菱と三井住友」だと言う。あの頃はまだ東京三菱とUFJは統合していなかったんだが、「みずほとUFJはいらない」というわけだ。どうして三井住友を残すのかというと、当時の西川善文頭取がゴールドマン・サックスから融資を受けて、外資導入の道を開いたからだと言う。「長銀をリップルウッドが乗っ取ったみたいに、あんなものを片っ端から入れるのか」と聞くと、「大丈夫です。今度はシティを連れてきます」と言った。今つぶれかかっているシティを連れてきて、日本のメガバンクを支配させていたらどうなったか、ゾッとする。」

竹中金融相は金融行政を「事前調整型」から「事後チェック型」に転換すると主張していた。上記記述から読み取れる金融行政の基本スタンスは、金融産業の国家による統制管理である。「事後チェック」はむろんのこと、「事前調整」をはるかに飛び越えた行政当局による強権支配の構図である。民主主義国家の行政とは完全に異質の、国家による金融市場の独裁的支配=「権力の横暴の構図」が鮮明に浮かび上がる。

2002年10月に竹中金融プロジェクトチーム(PT)が「金融再生プログラム」を決定した際、強烈な反発を示したのはメガバンク首脳だった。竹中氏が金融行政の根幹ルールを突然、強権によって変更しようとしたのだから、銀行首脳が猛烈に反発するのは当然だ。強烈な反発を示した筆頭が三井住友銀行頭取の西川善文氏だった。

繰延税金資産の自己資本への組み入れが5年分認められてきた。この上限が1年に変更されれば、ほとんどの大銀行が自己資本比率規制をクリアできず、破たんしてしまう。2002年10月に検討し始めた重要事項の変更を2003年3月期決算から適用するというのは、意図的な銀行潰しとしか言いようがなく、正気の沙汰ではなかった。

竹中金融相は結局、繰延税金資産計上ルール変更を断念したが、その後、スケープゴートを選定し、公認会計士協会と監査法人を活用して、大銀行破たんシナリオを演出していったと考えられる。

りそな銀行がいけにえとなって毒牙にかかったとき、私は西川善文氏がどのように金融庁に対して抗議するのかを注目した。しかし、西川氏の姿勢は2002年10月とは別人のものになっていた。金融行政に対して一切の反発を示さない、恭順の姿勢だけが観察されたのだ。

その裏側に、2002年12月11日の竹中金融相、西川善文氏、ゴールドマン・サックスCEOのヘンリー・ポールソン氏らによる密会があった。竹中氏は日本のメガバンクを二つにし、そのメガバンクを外国資本の手に渡すことをミッション(任務・使命)としていたと推察される。渡邉恒雄氏の証言は、この推論を明確に裏付けている。西川氏はこうしたプログラムに完全に取り込まれたのだと考えられる。

竹中金融行政の深い闇の第1幕が「りそな疑惑」だとすれば、第2幕が「新生銀行上場承認疑惑」であり、第3幕が「意図的なUFJ銀行潰(つぶ)し疑惑」である。

UFJ問題については、菊池英博教授森永卓郎氏が記述し、またElectronic Journal」様がさまざまな指摘をされている。

りそな問題に話を戻す。竹中金融相は表向き、「りそな銀行の自己資本不足はプロフェッショナルの監査法人が独立に判断したもので、金融庁は監査法人の判断に介入しなかった」と説明しているが、2003年5月17日のりそな銀行による公的資金注入申請に至る経緯を詳細に追跡すると、この公式発言を信用することはできない。

そもそも、なぜ「りそな銀行」の繰延税金資産だけが5年計上を否認されたのかについての合理的な説明が存在しない。りそな銀行だけが、「スケープゴート」として選定された可能性が高い。その理由の一部はすでに述べてきた。

りそな銀行の繰延税金資産5年計上の否認には、木村剛氏が密接に関わっていると見られる。木村氏は竹中金融PT、および金融問題タスクフォースのメンバーであり、朝日監査法人と新日本監査法人の海外提携監査法人であるKPMG系列の日本法人代表を務めていた。

『月刊現代2009年1月号』の佐々木実氏の論文によると、2003年3月17日に木村剛氏が朝日監査法人の亀岡義一副理事長と会食した理由は、亀岡氏が木村氏に株式会社オレガの代表取締役落合伸治氏を紹介するためだったという。

落合氏はその後、銀行設立の申請を金融庁に提示し、金融庁は異例のスピードで銀行設立の許可を出した。この銀行こそ、「日本振興銀行」である。日本振興銀行は当初、落合氏が社長で発足したが、その後に木村氏が名目的にも支配者の地位に就任した。しかし、発足時点から「木村銀行」の本質を内包していた。

落合氏は木村氏の協力を仰いだ理由について、木村氏がいつも「金融庁と竹中さんがバックについている」ことを述べていたので心強いと思ったからと述べている。この点も佐々木氏が『月刊現代』で指摘している。

2002年10月30日に発表された「金融再生プログラム」には、中小企業向け銀行の新規参入促進に関する記述が盛り込まれていた。

「中小企業の資金ニーズに応えられるだけの経営能力と行動力を具備した新しい貸し手の参入については、銀行免許認可の迅速化や・・・」との記述が唐突に盛り込まれた。

木村氏は中小企業向け銀行ビジネスに強い関心を有していたと見られる。「金融再生プログラム」に中小企業向け銀行設立促進に関する条項が盛り込まれ、落合氏を社長とする銀行設立の申請が提出された。金融庁は異例のスピードで銀行免許を付与した。設立された銀行=日本振興銀行では、結局木村氏が支配者の地位に就任した。「日本振興銀行」の深い闇についても、解明しなければならない問題が多い。

りそな銀行の自己資本不足を最終的に確定する役割を担ったのは新日本監査法人だったが、12月11日付記事に記述したように、新日本監査法人はりそな問題の着地点について公認会計士協会の奥山章雄会長に相談し、奥山氏は金融問題タスクフォースで金融庁の了解を何度も確認したとのことだ。

りそな銀行処理の着地点は竹中金融相、公認会計士協会、新日本監査法人との間の協議により決定されたと考えられる。実態としては、竹中氏の意向が最終決定に反映されたと考えられる。

りそな銀行の自己資本不足を強制する理論的根拠を提供したのは木村剛氏であると考えられる。木村氏は裸の自己資本が2%以上ある場合に繰延税金資産計上を1年認めるとの原則論に固執して、「将来の収益回復を前提に一定年数繰延税金資産計上を認める」との1999年11月の公認会計士協会指針第4項但し書きを認めないとするものだった。ここでいう「一定年数」とは5年以内の年数を指す。

木村氏の主張を採用するなら、りそな銀行の繰延税金資産計上はゼロないし1年しかありえなかった。木村氏は2003年5月14日の段階で、なお、強硬にこの主張を提示していた。

ところが、最終決着は「3年計上」だった。私は『知られざる真実-勾留地にて-』第一章第16節に「1・3・5の秘密」と題して、この問題を記述した。りそな銀行への公的資金投入の根拠とされた預金保険法第102条には第1項措置から第3項措置まで規定が存在した。このなかの第1号措置が「抜け穴規定」だった。「Electronic Journal」様が、この点についてのわかりやすい解説を示してくださっている。

「退出すべき企業を退出させる」=「自己責任原則」、を根本から否定する、「退出すべき企業を税金で救済する」=「自己責任原則の破壊」を意味する抜け穴規定が預金保険法第102条に盛り込まれていたのだ。

竹中金融庁はこの「抜け穴規定」を利用した。「抜け穴」を利用することを前提とすると、繰延税金資産計上「ゼロないし1年」の選択肢はなかった。「4年ないし5年計上」では、りそな銀行は決算をクリアしてしまう。これも選択肢から除外された。「3年計上」が「抜け穴」を利用する唯一の選択だった。

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2008年12月11日 (木)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(5)

Electronic Journal」様が引き続きりそな問題について、詳細な記事を掲載してくださっている。私は十分に追跡できていなかったが、Electronic Journal主宰者の平野浩氏は2003年の時点から、りそな問題を追跡されてきたようである。貴重な記述を多数発表されてきておられるので、ぜひご高覧賜りたい。

2002年9月30日の内閣改造で竹中平蔵氏が金融相を兼務することになった背景に、米国のブッシュ政権の強い意向が働いていたことは確かな事実のようだ。筆者は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したが、詳細な経緯を佐々木実氏が『月刊現代』で記述された。

米国は日本の資産価格暴落を渇望(かつぼう)した可能性が高い。金融恐慌の可能性が高まり、日本の投資家が株式や不動産を投売りすれば、日本の資産価格は理論値をはるかに超えて下落する。暴落した価格で日本の投資家が投げ売りした資産を買い占めれば、資産価格が反発した時点で莫大な不労所得を獲得できる。

資産価格が暴落すれば、日本企業は相次いで破綻する。金融機関が不良債権に対する損失処理を終えてしまえば、金融機関は不良債権を破格の安値で売却する可能性が高い。破格の安値で売却した不良債権を買い取り、他方で、資産価格の反転上昇が生じれば、やはり莫大な不労所得を手にすることができる。不良債権ビジネスも米国資本の重要な標的だった。

小泉竹中経済政策は2001年から2005年にかけて、①まず日本経済の徹底的な悪化を誘導し、②金融恐慌への突入を辞さない政策スタンスを示すとともに、③金融行政に人為的な操作を行い、④株価、不動産価格の暴落を誘導し、⑤最終局面で公的資金による大銀行救済を実行して、資産価格の反転上昇を誘導した。

2002年から2003年にかけて、暴落した日本の資産を破格の安値で買い占めた中心は外国資本だった。これらのシナリオが意図されたものであったなら、まさしく犯罪的行為である。

2001年から2003年にかけて日本経済は戦後最悪の状況に誘導された。多くの罪無き国民が失業、倒産、経済苦自死に追い込まれた。2000年に日本経済は浮上したのだ。浮上した日本経済を安定的に保つことは困難ではなかった。

しかし、小泉竹中経済政策は日本経済を崩壊させる方向に意図的に経済政策の舵を切った。私は小泉政権の発足時点から、小泉政権が提示した経済政策を実行すれば、日本経済は間違いなく最悪の状況に向かうことを警告し続けた。

小泉政権が誕生した局面では、熱病のような空気が日本を支配し、小泉政権を批判する者はほとんど存在しなかった。私は圧倒的な少数派であったが、現実の経済は私が警告した通りに変化した。日経平均株価は小泉元首相が所信表明演説を行った2001年5月7日の14529円をピークに下落し続けて、2003年4月28日に7607円に暴落した。

小泉政権は「退出すべき企業を市場から退出させる」ことを政策の柱の一つに位置づけた。そのなかで、竹中金融相は2002年10月に、大銀行について、「大きすぎるからつぶせない」との考え方をとらないことを明言した。

同時に「金融再生プログラム」で、金融機関の資産査定を厳格化し、繰延税金資産の計上を1年分までとする、驚天動地(きょうてんどうち)のルール変更を強行しようとした。

米国のルールをそのまま日本に適用しようとしたのだが、米国では不良資産に対する引当金積立が無税扱いであるのに対し、日本は有税扱いだった。有税償却だからこそ繰延税金資産5年計上が容認されていたのであり、繰延税金資産計上を1年分とするなら、無税償却を認めなければ釣り合いが取れない。竹中金融PTは極めて初歩的な誤りを含む、行政の横暴だった。

金融機関首脳が猛烈に反発したのは当然であった。結局、竹中金融PTは繰延税金資産計上ルール変更を断念せざるを得なかった。面目を丸つぶれにされたリベンジがりそな処理の背景であったと考えられる。

りそな処理の経緯の詳細を追跡すると、そこには民間経済活動に中立、公正でなければならないはずの行政が、驚くべき逸脱を犯している姿が浮かび上がる。りそな銀行は人為的に自己資本不足に追い込まれた可能性が高い。そして、りそな銀行が「一時国有化」という「破たん処理」ではなく、「実質国有化」と呼ばれる「救済処理」を適用されたことは、あまりにも不自然である。

銀行の収益環境が急激に悪化していたのは、りそな銀行に限ったことではなかった。収益状況から判断してりそな銀行の繰延税金資産の5年計上が認められないというなら、同様に5年計上を認められなくなる大手銀行は複数存在した。りそな銀行だけが標的にされたことがまず不自然である。

朝日監査法人の岩村会計士(仮名)が、りそな銀行の繰延税金資産の複数年計上を強く主張したとされることは順当である。朝日監査法人は結局、木村剛氏が主張していた決算処理方法をそのまま採用したと判断することができる。木村氏は竹中金融PT、金融問題タスクフォースのメンバーであり、国際監査法人KPMG系列日本法人の代表だった。

そして、りそな銀行の監査を担当していた朝日監査法人と新日本監査法人の提携国際監査法人はKPMGだった。木村剛氏は2003年3月17日に朝日監査法人の亀岡義一副理事長と会食している。朝日監査法人がりそな銀行の速報ベースの2003年3月期決算計数を入手したのが4月16日で、この日以降、朝日監査法人幹部は木村剛氏の主張と完全に重なる主張を展開し、りそな銀行の繰延税金資産計上を否認する方向に大きく舵を切ったのである。

朝日監査法人でりそな銀行担当実質責任者であった岩村会計士は、朝日監査法人上層部の方針と大きく対立したと考えられる。そのなかで、4月24日、自宅の所在するマンションの12階から転落して死亡した。自殺と処理されているが、他殺の可能性を完全に排除することはできない。

竹中平蔵元金融相は、りそな銀行の決算処理、監査法人の対応について、2003年5月17日の記者会見で次のように述べている。
「決算ないしは監査に対して、特に監査人の判断に対して我々は一切口を挟む立場にはありません。独立した監査法人がプロフェッショナルとして独立した立場で判断する」

5月12日の金融問題タスクフォースで、竹中氏は「金融庁は監査法人の判断にはいっさい介入しない」と発言し、5月17日の説明の前提となる発言を示した。しかし、この言葉を言葉通りに受け取る者はいない。

三つの問題点を指摘する。

第一は、『月刊現代』で佐々木実氏が指摘している、金融問題タスクフォースメンバーの証言である。佐々木氏は金融問題タスクフォースのメンバーだった野村修也中央大学教授から、極めて重大な証言を得ている。

それは、タスクフォースでは、メンバーである野村氏と川本裕子氏が竹中氏と竹中氏の補佐官の岸博幸氏と綿密に裏で打ち合わせをしながら、正式な会合では、久しぶりに会ったかのように挨拶して裏会議の存在がばれないようにカムフラージュしていたとの内容だ。5月12日の会合も同様であったという。

第二は、5月12日の会合で、奥山章雄公認会計士協会会長が「本当にいいんですか」と金融庁側に何度か聞いていることだ。そして、新日本監査法人関係者は、繰延税金資産の関係で、銀行が実質的に破たんするような監査をするのに、金融庁の意向を聞かなくてよいのかどうかを奥山氏に相談したことを認めている。この点も、佐々木氏が『月刊現代』のなかで明らかにしている。

第三は、朝日監査法人の方針に甚大な影響を与えたと考えられる木村剛氏が、5月14日のインターネット上コラムで、りそな銀行を念頭に置いたと明確に読み取れる文章の中で、繰延税金資産の計上はゼロないし1年分しかあり得ないと強く主張しながら、3年計上の決定に対して、その後、一切の批判を示していないことだ。

木村氏は5月14日付記事タイトルを「破たんする監査法人はどこか」とした。りそなの監査法人が繰延税金資産計上について、ゼロないし1年以外の決定をするなら、その監査法人こそ、破たんに追い込まれるべきであるとの主張を展開した。

りそな銀行の自己資本不足の道筋を付けたのは木村氏であると見ることができる。その木村氏の主張が最後の段階で修正されることに、木村氏は強く抵抗したのだと考えられる。

ところが、決着は3年計上だった。1年と3年の間には天と地の相違があった。竹中氏は1年の決定を選択できなかった。1年計上はりそな銀行の破たんを意味した。りそな銀行の破たんは金融恐慌への突入を意味した。「大銀行破たんも辞さず」と公言しながら、竹中氏は「破たん」を選択できなかったのである。

『文藝春秋2009年1月号』に「麻生総理の器を問う」と題する記事が掲載された。このなかで、渡邉恒雄読売新聞会長が竹中氏の金融行政に関する、極めて重大な事実を明らかにした。竹中金融行政の深い闇が少しずつ明るみに引き出されつつある。

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2008年12月 7日 (日)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(4)

佐々木実氏は『月刊現代』に寄稿した記事に、政界関係者の「スケープゴートをつくること、監査法人の手でやらせることの二つがポイントだった」との発言を紹介したが、この言葉が問題の本質を端的に示している。

小泉政権の下で竹中経財相が主導した経済政策は、日本経済を破壊し尽くした。2002年9月30日に金融相を兼務した竹中氏は「大銀行の破綻も辞さない」とのメッセージを発した。株価が暴落したのは当然だった。

2000年4月に2万円を突破していた株価は、2003年4月28日に7607円に暴落した。史上空前の株価大暴落が生じた。日本の金融機関は株式を大量に保有しており、株式評価額の変化が金融機関の自己資本比率変動に直結する。株価暴落は金融機関の自己資本比率急落の主因であった。

2000年度に2%台の実質経済成長を実現し、日本経済は金融危機を克服して景気回復軌道に回帰したが、その回復初期の日本経済を小泉竹中政権の経済政策が木っ端微塵(こっぱみじん)に破壊した。偏向メディアは日本経済を破壊し、悲惨な格差社会を生み出した元凶である竹中氏を頻繁(ひんぱん)にテレビメディアに登場させているが、政権交代実現後に、すべての真相が必ず白日の下に晒(さら)されることになるだろう。

2001年から2003年までの経緯を冷静に観察すると、小泉政権は無理やりに大銀行を自己資本不足に誘導したと見られる。自己資本不足について、金融機関の責任が追及されるが、政府が経済を破壊し、株価暴落を誘導するなら、どれだけ優れた経営を実現しても銀行の財務内容の急激な悪化を回避することは出来ない。

経済を破壊し、株価を暴落させつつ、金融機関の自己資本比率算出方法を突然変更するとの政策は、まさに「悪魔の政策」だった。DCF方式による資産査定は、デフレ進行に連動して不良資産認定が拡大するメカニズムを内包している。また、繰延税金資産計上の圧縮が、銀行の自己資本比率を劇的に低下させることは明白である。

小泉竹中経済政策が実行した経済政策は、日本国民の利益を重視しては決して生まれない政策だった。その背後には、日本の株価暴落とそれに伴う巨大な利益機会獲得を狙う米国資本の強い意図が存在していたのだと推察される。

スケープゴートに選ばれたのは「りそな銀行」だった。りそな銀行の繰延税金資産計上が否認された最大の理由は、りそな銀行の将来の収益見通しの不確実性だった。しかし、りそな銀行の収益見通しが不確実だとするなら、同様に将来の利益計上の不確実性が疑問視される銀行は幾つも存在した。

しかし、繰延税金資産5年計上が否認されたのはりそな銀行だけだった。ここに明らかな恣意を読み取らないわけにはいかない。りそな銀行は狙い撃ちされたのである。りそな銀行の監査は最終的に新日本監査法人が担当したが、新日本監査法人は当初、りそな銀行の繰延税金資産の5年計上を容認する姿勢だったと見られる。

ところが、朝日監査法人がりそな銀行の繰延税金資産計上を否認し、監査受嘱を辞退する決定を示したために、結局、繰延税金資産の5年計上方針を変更した。この過程で重要視されるのが、2003年3月17日に木村剛氏が朝日監査法人の亀岡義一副理事長と会食していることである。

木村氏は2003年2月の日本経済新聞ウェブサイト連載記事で大手行に対する特別検査について言及し、外部監査法人の責任を強調するとともに、「翌年度を超える将来時点の利益計上が難しい場合」には、繰延税金資産計上はゼロないし1年にしかできないことを主張していた。木村氏はこの主張を5月14日付記事においても強調している。

佐々木実氏は、4月16日に朝日監査法人が速報ベースのりそな銀行決算見通しを受け取って以降の朝日監査法人の最高幹部が示した見解が、木村氏の主張と瓜二つであることを指摘している。朝日監査法人は木村剛氏の主張と同一の見解を監査法人として提示し、りそなの監査から辞退したのである。

朝日監査法人は2002年3月にKPMGと提携契約を締結している。また、新日本監査法人の海外提携監査法人もKPMGであった。新日本監査法人は朝日監査法人がりそなの監査を辞退して以降、単独でりそなの監査を担当したが、最終的に繰延税金資産計上を3年とする決定を下した。木村氏はKPMG関連の日本法人の代表を務めていた。

5月12日の金融問題タスクフォースは、「金融庁は監査法人の判断にいっさい介入しない」ことを確認して閉会しているが、この会議は「アリバイ作り」の会合であった疑いが濃厚である。繰延税金資産3年計上は、あまりにも不自然な最終決定であるからだ。

りそな銀行は「救済」された。その結果として、りそな処理を転換点に株価は急騰に転じた。日経平均株価は8月18日には1万円を回復した。

①経済悪化誘導政策による経済崩壊の誘導、②退場すべき企業を市場から退出させる政策推進による株価暴落誘導、③突然のルール変更による金融機関の自己資本比率の意図的な引き下げ、④その延長上での銀行の自己資本不足実現、⑤責任処理を伴わない銀行救済の実行、が一連の経過である。このすべてが合理性を伴っていない。

より正確に表現するなら、政府が日本国民の利益を追求する存在である限り、これらの政策のすべてが、見事に合理性を欠いている。ところが、視点を変えて、米国政府、米国資本が求めてきたこと、そしてこれらの経緯を通じて米国資本が実行したことを踏まえて全体を検証すると、政策のすべてが明確に合理性を備えてくる。

細かな点であるが、竹中金融相は金融機関の不良債権処理を加速させることを念頭に置いて、資産査定の厳格化、繰延税金資産計上根拠の合理性重視の方針を打ち出したとされる。米国では繰延税金資産計上が1年までしか認められていないことを踏まえて、同様のルールを日本の金融機関にも適用しようとした。

しかし、引当金の積み立て、すなわち不良資産の償却に関して、日米で重大な制度の相違が存在した。米国では引当金の積み立てが無税で処理されるのに対し、日本では有税扱いだった。繰延税金資産が計上できることから日本の銀行は有税償却を積極化させていたが、繰延税金資産計上が認められないなら、有税償却のインセンティブは著しく低下する。

繰延税金資産計上の圧縮を提示するなら、同時に引当金積み立ての無税処理を認めなければ、金融機関の不良債権処理は促進されない。竹中氏が提示した「金融再生プログラム」には、このような根幹に関わる初歩的な誤りさえ含まれていた。

大きな謎はりそなの繰延税金資産計上がなぜ、木村氏が強硬に主張したゼロないし1年でなく、3年とされたのかである。竹中金融行政の深い闇は、その後の金融庁による執拗なUFJ銀行追及へと進む。深い闇を丹念に、ひとつずつ解き明かさねばならない。

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(追記)12月4日付記事の追記に記述したように「スケープゴート」に関する言葉の発言者を訂正しております。

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