カテゴリー「橋下徹大阪府知事」の5件の記事

2008年10月20日 (月)

正鵠を射た橋下大阪府知事批判

日本社会はいま、大きな曲がり角にさしかかっている。日本だけでなく、米国も同様に見える。新自由主義、市場原理主義が行き着くところまで行き着き、自己崩壊を始めた。弱肉強食奨励、格差拡大推進、セーフティーネット破壊の政策が、多くの国民を不幸にした。

一握りの人々に所得や富が集中し、多数の国民に苦しみが押し付けられた。「改革」の言葉は魅力的に響くが、「分配」における格差拡大が放置され、「再分配」による生活保障が軽視され、「改革」への人々の期待は消滅し、「改革」がもたらした「負の遺産」への正しい認識が広がり始めた。

「天夜叉日記」様、身に余るご紹介をありがとうございました。また、「さかえ古書店」様、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』についての貴重なお言葉をありがとうございました。心よりお礼申し上げます。

サブプライム金融危機は、市場原理主義、新自由主義の終焉を象徴し、日本では小泉元首相が退場し、小泉竹中経済政策の罪が確認されるようになった。小泉竹中経済政策は国民に対する背信でもあった。日本国民の犠牲の上に、外国資本への利益供与が実行された。政権交代が実現した段階で、すべての巨悪を明るみに晒さなければならない。

弱肉強食を奨励し、セーフティーネットを破壊して、社会の二極分化を推進し、多くの人々の生存権を脅かす政治から決別し、分配の公正を重視して、すべての国民が幸福な生活を営める社会構築を目指す政治を、新たに構築することが求められている。日本はいま、時代の分岐点に位置しているのだと思う。

「カナダde日本語」の美爾依さんが、橋下徹大阪府知事が朝日新聞社説に激怒する橋下知事の知的レベルについて、的確な記事を掲載された。橋下知事は時代のあだ花であるのだと思う。小泉元首相流のパフォーマンスで有権者を惑わす劇場型政治が席巻した余熱が、大阪府民の判断を歪めてしまったのだろう。橋下知事は、新自由主義、市場原理主義の余韻のなかで誕生した知事であるが、時代の転換とともに姿を消してゆくことになるのだろう。

民主主義のなかでの知事は独裁者ではない。知事の権能に基づいて、すべての府民の人権を尊重し、ルールに基づいて行政を執行する役割を担っているだけにすぎない。小泉元首相も首相が独裁者であると錯覚していたきらいがある。自民党という「民主主義」を掲げた政党であるにもかかわらず、「郵政民営化」に賛成しない議員を追放し、刺客を放つ手法は、反対意見の存在すら認めない、独裁者がとる行動だった。

メディアへの監視を強め、言論空間から反対意見を抹殺する「ファッショ」的な体質が、日本社会を息苦しいものに変質させた。橋下知事は小泉元首相をモデルとしているのか、その言動は権力を笠に着る高圧的なもので、他者に対する心配りを欠いている。

橋下知事の言動がこれまでメディアを賑わしてきた。メディアが社会の木鐸として、中立公正の立場から、橋下知事を批評すれば、誤りが是正されることも期待できる。しかし、政治権力に迎合するメディアは、橋下知事に対する当然の批判を抑制してきた。メディアの偏向が橋下知事の不適切な行動を助長してきた面も否めない。そのメディアの姿勢にようやく変化の兆しが見られ始めている。

大阪府民は府民自身の選択とはいえ、時代のあだ花と言える、人権意識の欠落した、傍若無人知事に、残り3年以上も府政を委ねるのだから、大変気の毒だと思う。

橋下知事の言動を列挙してみよう。

①大阪府の財政収支を改善するために、府職員の給与を強引に切り下げた。府職員が財政赤字拡大の原因であるかのような言動を示した。しかし、客観的に見て、府職員が財政赤字の原因ではない。

府職員が勤勉に働くべきことは当然だが、大型プロジェクトの見直し、天下りや天下り機関の廃止など、優先すべき歳出削減策が講じられずに府職員を諸悪の根源のように扱った。メディアと府民を味方につけて、罪なき府職員をスケープゴートにする手法は卑劣極まりない。

②大阪府職員に対しては、「「たばこを吸うための休息なんてあり得ない」と言い切り、条例で認められている1日2回の15分「有給休息」をなくし、執務時間中は禁煙にする方針を示しながら、本人は、公務時間中に公用車でホテル内のスポーツジムに通っていたことも明らかにされた。

③山口県光市の母子殺害事件をめぐり、橋下氏は昨春、民放のテレビ番組で、少年だった被告の弁護団を批判し、「弁護団を許せないと思うんだったら懲戒請求をかけてもらいたい」と視聴者に呼びかけた。知事就任前の発言だが、刑事被告人の人権、刑事被告人の利益を守る弁護士の役割を無視した、弁護士とは思えぬ発言を示した。

④第2京阪道路の用地買収に応じなかった門真市の北巣本保育園の畑が行政代執行で強制収用されたことが報道された。保育園では、月末の芋掘り交流会に向け、園児たちが育ててきたサツマイモや落花生が引き抜かれ、整地された。登園前の保育園園児が現場に立ち寄り、刈り取られた野菜を前に涙ぐむ場面もニュースで伝えられた。

⑤学力テストの結果公表をめぐり、橋下知事は「くそ教育委員会、教育委員会のくそやろう」と発言した。また、「2009年度から(テスト結果の)開示・非開示によって、予算をつけるかどうか決めさせてもらう」と、市町村への予算配分にも反映させる考えを示した。

③に関連して、光市母子殺害事件の被告弁護団への懲戒請求呼びかけを巡る民事訴訟に関する10月3日付朝日新聞社説に対して、橋下知事は10月19日に開かれた陸上自衛隊記念行事の祝辞の中で、「人の悪口ばっかり言ってるような朝日新聞のような大人が増えると日本はダメになります」と発言した。

橋下氏は祝辞のなかでさらに、「一線を越えた批判や、からかい半分の批判には徹底して対抗しないといけない」と述べた。「カナダde日本語」の美爾依さんが、朝日新聞社説を掲載してくださったので、本記事末尾に転載するが、社説の内容は「一線を越えた批判」でも「からかい半分の批判」でもない。また、朝日一紙だけが橋下知事を批判しているわけでもない。

橋下氏は民事訴訟敗訴に際しての記者会見で「心からお詫び申し上げる」と発言していたのに、控訴した。説明のできない行動だ。選挙で選出された知事であるから、罷免することは容易ではない。

④の保育園強制代執行実施に関する報道に対して橋下知事は、「政治的な主張や反対の理由はあると思うが、園の所有者は園児たちの涙を利用して阻止しようとした。一番卑劣な行為だ」と批判した。

保育園は行政代執行実施の通知に対して、土地の強制収用の執行停止を大阪地裁に申し立てたが却下され、大阪高裁に即時抗告していた。大阪高裁は10月30日に決定を出すとしていたが、大阪府は高裁決定を待たずに代執行を実施した。

保育園の保護者ら64人は、10月15日に「月末の芋掘りまで待って下さい」「子どもたちは世話をしてきた落花生の収穫ができないと悲しんでいます」などとつづった要請書を国交相や府知事らに提出していた。

大阪高裁決定を10月30日に控えていたのだから、10月末日まで執行を延期する程度の譲歩はあって当然ではなかったか。保育園側も法の規定に沿った対応を示しているなかで、園児の心を踏みにじる形で公権力を行使したことを正当と評価することはできない。

⑤の学力テストの狙いは、学校や学校設置者の市町村教委が子どもの学力状況を把握し、学力向上に向けた指導改善につなげることである。結果を公表するためのテストではない。学力テストの参加主体は市町村教委であり、結果を公表するか否かは、学校運営に直接責任を持つ市町村教委の判断を尊重するのが筋である。そもそも府が強制力を働かせることが正しくない。

市町村別の結果を公表すれば、ランキングのみが独り歩きすることを止めることができない。所得水準や家庭環境、住環境などがテスト結果には強く影響するだろう。こうした属性との因果関係が強いと予想されるテスト結果を公表し、市町村間の序列が不当に取り扱われることについて、警戒感をもって対応を検討するのが、正しい姿勢である。

橋下氏の言動に対しては賛否両論が存在するだろう。メディアが問題を取り上げるなら、必ず両論を示すべきである。政治的理由で偏向した報道を繰り返すことが、誤った言動を野放しにする原因になる。

「市場原理主義」、「新自由主義」、「言論ファッショ」に対する見直しの機運が、草の根から広がり始めている。国民は正しい情報が適正に提供されれば、これまでの判断の誤りにも気付くはずである。橋本知事は気づいていないのかも知れないが、時代は大きく変化しつつある。昨日まで通用したことが明日は通用しないかも知れないのだ。

日本社会はすっかり住みにくい、生きにくい社会に変質してしまったが、政治を刷新して、すべての国民を幸福にする社会に作り変えなければならない。総選挙が近付いている。この総選挙で選択を誤ることは許されない。国民が正しい選択を示すことができるよう、草の根からの情報発信を拡大しなければならないと思う。

橋下TV発言―弁護士資格を返上しては(朝日新聞社説 10月3日)

歯切れのよさで人気のある橋下徹・大阪府知事のタレント弁護士時代の発言に、「弁護士失格」といわんばかりの厳しい判決が言い渡された。

山口県光市の母子殺害事件をめぐり、橋下氏は昨春、民放のテレビ番組で、少年だった被告の弁護団を批判し、「弁護団を許せないと思うんだったら懲戒請求をかけてもらいたい」と視聴者に呼びかけた。

その発言をきっかけに大量の懲戒請求を受けた弁護団が損害賠償を求めた裁判で、広島地裁は橋下氏に総額800万円の支払いを命じた。判決で「少数派の基本的人権を保護する弁護士の使命や職責を正しく理解していない」とまで言われたのだから、橋下氏は深く恥じなければならない。

この事件では、少年は一、二審で起訴事実を認め、無期懲役の判決を受けた。だが、差し戻しの控訴審で殺意や強姦(ごうかん)目的を否認した。

少年の新たな主張について、橋下氏は大阪の読売テレビ制作の番組で、弁護団が組み立てたとしか考えられないと批判した。弁護団の懲戒を弁護士会に請求するよう呼びかけ、「一斉にかけてくださったら弁護士会も処分出さないわけにはいかない」と続けた。

こうした橋下氏の発言について、広島地裁は次のように判断した。刑事事件で被告が主張を変えることはしばしばある。その主張を弁護団が創作したかどうかは、橋下氏が弁護士であれば速断を避けるべきだった。発言は根拠がなく、名誉棄損にあたる――。きわめて常識的な判断だ。

そもそも橋下氏は、みずから携わってきた弁護士の責任をわかっていないのではないか。弁護士は被告の利益や権利を守るのが仕事である。弁護団の方針が世間の常識にそぐわず、気に入らないからといって、懲戒請求をしようとあおるのは、弁護士のやることではない。

光市の事件では、殺意の否認に転じた被告・弁護団を一方的に非難するテレビ報道などが相次いだ。そうした番組作りについて、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は公正性の原則からはずれるとして、厳しく批判した。

偏った番組作りをした放送局が許されないのは当然だが、法律の専門家として出演した橋下氏の責任はさらに重い。問題の発言をきっかけに、ネット上で弁護団への懲戒請求の動きが広がり、懲戒請求は全国で計8千件を超える異常な事態になった。

橋下氏は判決後、弁護団に謝罪する一方で、控訴する意向を示した。判決を真剣に受け止めるならば、控訴をしないだけでなく、弁護士の資格を返上してはどうか。謝罪が形ばかりのものとみられれば、知事としての資質にも疑問が投げかけられるだろう。

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2008年7月16日 (水)

橋下徹大阪府知事と上杉鷹山

橋下徹大阪府知事の行動を無条件で賛美するマスメディアの裏側には、大きな政治圧力が働いている。

「_~山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう~」様「カナダde日本語」様「こわれたおもちゃをだきあげて」様「生き抜く力」様「ロハスな八ヶ岳生活」様「晴天とら日和」様「パタヤの風に吹かれて」様「とくらBlog「わかる新世界世界秩序」様、「Blog版ヘンリーオーツの独り言」様、記事のご紹介ありがとうございました。とくらたかこ様、次期選挙での必勝をお祈り申し上げております。

   

「居酒屋タクシー」、厚生労働省職員のネットカフェ労働、大阪府の職員給与引き下げ、など、役人を攻撃する素材が次々と取り上げられている。

「偽装CHANGE勢力」は8月にも「脱藩官僚の会」なるものを立ち上げようとしている。「官僚利権根絶」の旗を掲げる中川秀直氏率いる「上げ潮派」、小池百合子氏率いるTPL、小泉チルドレン、橋下知事らの知事グループ、前原誠司氏率いる民主党分断工作グループ、などが連携する気配が漂っている。

小泉元首相、中川秀直氏、武部勤氏、小池百合子氏、石原伸晃氏、渡辺喜美氏、飯島勲氏、竹中平蔵氏、橋下徹氏、東国原英夫氏、江田けんじ氏、高橋洋一氏、岸博幸氏、前原誠司氏などが連携し、田原総一郎氏、みのもんた氏、北野たけし氏、テリー伊藤氏などが広報活動を展開する。

石原東京都知事、橋本元高知県知事などがこの政治新勢力に加わる可能性もある。

  

「偽装CHANGE」勢力は、「官僚利権根絶」の旗を掲げるが、実態は自民党別働隊であり、官僚利権を根絶する意思など持ち合わせていないと考えられる。

総選挙後は自民党と連携する。自民党の権力維持を目的に仕組まれた、世論誘導の三文芝居である疑いが濃厚だ。

  

小泉氏や中川氏は小泉政権以降の政権中枢に位置し、官僚利権を根絶し得る立場にありながら、過去7年以上も官僚利権を死守してきた。いまさら官僚利権根絶を唱えても誰も信用しない。

渡辺行革相は天下り抑制の素振りを示しながら、確実に天下りを温存する着地点を用意してきた。「格付け会社」に対する金融庁の監督強化も、金融庁の利権拡大行動そのものを示している。

  

「偽装CHANGE勢力」を立ち上げるに際して、二つの世論拡大が目論まれている。

第一は、官僚部門に大きな無駄が潜んでいることを示すこと。

第二は、官僚部門の悪の根源が一般公務員にあるとすること。

  

一般公務員に悪の根源が存在することをアピールするのは、公務員によって構成される労働組合を民主党が支持基盤のひとつとしているからだ。

注意深くテレビを見ると、巧みに一般公務員を攻撃する内容に報道が構成されていることが分かる。

橋下知事の財政赤字削減交渉では、知事と労働組合との交渉だけがクローズアップされた。社会保険庁問題では、組合との協約におけるパソコンキーボード操作回数の取り決めだけが繰り返し報道された。

ネットカフェ公務員報道でも、一般公務員の悪事としてニュースが構成されている。

橋下知事が公務時間中に公用車でホテル内のスポーツジムに通っていたことが明らかにされた。7月14日午後2時ころ、府庁から公用車を使い、大阪市北区のフィットネスクラブに行き、午後5時ごろにタクシーで府庁に戻ったという。

知事日程ではこの日の午後7時まで「庁内執務」とされていた。また、14日は人件費や私学助成の削減を盛り込んだ2008年度予算案の審議が府議会委員会で始まったばかりで、「委員会での質疑内容によっては、知事の判断を仰ぐケースもある」(大阪府幹部)状況だった。

   

橋下知事は、条例で「勤務時間4時間につき15分の有給休息が取れる」と定められていた大阪府庁職員の休息時間について、「たばこを吸うための休息なんてあり得ない」と言い切り、条例で認められている1日2回の15分「有給休息」をなくし、執務時間中は禁煙にする方針を明らかにした。

橋下知事は「税金をもらっている職員が、1日に何度もタバコを吸っては府民の理解は得られない」と述べた。

その知事が、予算審議が行われている執務時間中に公用車でホテルのスポーツジムに通っていて、府職員の理解を得られるとは思えない。

  

財政運営においては、支出を厳格に査定し、必要な支出を確保する一方で、不要な支出を根絶することが出発点だ。歳出規模を確定したら、その財源を確保する。国からの交付金や支出金、地方の税収で賄うことが基本だ。職員に対する給与は給与水準が適正に決められている限り、必要支出である。

「財政赤字が存在するから府職員の給与を切る」のは間違いだ。ヒトラーが「ユダヤ人が諸悪の根源だ」との世論を形成して、ユダヤ人を迫害し、一般市民の不満のはけ口としたことと共通する手法が用いられているように思える。

府職員をスケープゴートにし、府職員を虐待することによって一般府民の人気を得ようとする手法はあまりにも安直である。府職員の生活権、労働基本権が踏みにじられている。人権尊重を重視すべき弁護士の行動とは思えない。

  

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したが、江戸時代中期に米沢上杉藩の再建に尽力した上杉鷹山(ようざん)の藩政改革の姿勢を知るべきだ。

受けつぎて 国のつかさの身となれば 忘るまじきは民の父母

上杉鷹山は財政再建に取り組むために、上格の武士を含めて一汁一菜の食事、木綿の衣服での暮らしを命じる大倹執行の命令を発して率先垂範した。これが真の為政者、改革者の姿だ。

心中には藩の行く末を憂い、民の幸福を願う「経世済民の思想」が脈々と流れていた。

  

熊本県知事に就任した蒲島郁夫氏は124万円の知事報酬月額を100万円カットして24万円とした。しかし、マスメディアは橋下知事だけを報道し、蒲島知事については一切報道しない。

知事報酬をここまでカットする必要はないが、橋下知事が府職員に給与大幅引き下げを要求するなら、せめて、知事在任期間中は職務に専念し、公務以外の雑所得の受け取りを拒否すべきである。スポーツジム通いは夜間か休日を利用する配慮を示すべきだ。

トップの率先垂範があって職員の意識が高まる。職員の生活給を切り込み、自分は公務外所得を得て、執務時間中に公用車でホテルのスポーツジムでは、職員のモラル低下を知事が促していると言われて反論できない。

  

府職員にも生活がある。府職員が労働者としての権利を主張するのは当然のことだ。やみくもに給与カットを主張する前に、府職員サービスの質向上に取り組むべきだ。また、一般公務員の給与カットよりも、天下り廃止、天下り機関整理、巨大プロジェクト見直しを優先するべきである。

   

「偽装CHANGE勢力」は、官僚利権根絶を謳いながら、その実、公務員労働組合攻撃を演出しているのだ。巨悪の高級官僚特権、天下り、天下り機関攻撃は映し出されない。

   

攻撃しなければならない真のターゲットは、既得権益を維持しようとする既成政治権力そのものである。

既成権力は「偽装CHANGE」勢力を活用して、一般国民の怒りが巨悪にではなく、一般公務員に向かうように誘導している。

次期総選挙では一般公務員を攻撃する「偽装CHANGE勢力」と既成権力がテーブルの下で手を結び、「真正CHANGE勢力」を撃破しようとするだろう。

    

高級官僚の天下り利権、天下り機関、巨大プロジェクトなどの巨大官僚利権を打破することが「真正の改革」である。

巨悪を温存し、罪少なき一般公務員を虐待することが改革ではない。

「真正CHANGE勢力」は国民にこの違いを明示し、「真正の改革」に直進し、国民が「偽装CHANGE勢力」に欺かれることを阻止しなければならない。

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2008年7月 4日 (金)

諸悪の根源は本当に府職員か-政治の対立軸(3)-

  

「ただいま勉強中(仮題)」様「こわれたおもちゃをだきあげて」様「いちばん星ぶるーす」様「こづかい帳」様「ダイエットへの挑戦」様、記事のご紹介ありがとうございました。

 

「副島隆彦の学問道場」「今日のぼやき「953」」の副島隆彦氏より身に余る過分なお言葉を賜り、感涙を押しとどめることができませんでした。もったいないお心に深く感謝申し上げます。誠に浅学非才の身でありますが、一歩ずつ前に進んで参りたく存じます。「神州の泉」の高橋博彦氏からも身に余るお言葉を賜りました。心より感謝申し上げます。誠に微力ではありますが、自らの良心と信念に従い、歩んで参りたく存じます。なにとぞ今後ともご指導賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

  

次期衆議院選挙は日本の命運を分ける重大な分岐点になる。自公政権は権力を維持するために総力を注いでいる。6月14日付記事「日本の命運を分ける決戦のとき」にも記述したが、米国の大統領制が「権力を抑制する」性格を強く有しているのに対して、議院内閣制は「権力を創出する」性格を強く持つ。

  

大統領制では大統領の強大な権限を牽制する役割が議会に期待されているが、議院内閣制では議会多数派が政権を担うから、原則として議会と政権は一体の関係を形成する。

「原則として」と記述したのは、現在のように参議院で与野党勢力が逆転すると与党の意向が簡単には通らなくなるからだ。それでも与党が衆議院で3分の2以上の多数を確保する場合、与党が数の力に頼めば、参議院の牽制力は機能しない。現在の日本がこの状況にあてはまる。

  

権力の頂点に立つのは内閣総理大臣だ。学校教育では「三権分立」の建前を教えるが、内閣総理大臣がその気になれば、権力を独占することは不可能でない。司法権を担う裁判所の人事を決定する権限は日本国憲法により内閣に与えられている(日本国憲法第6条、第79条)。

日本の内閣総理大臣は、三権を掌握し得る強い権能を付与されているのである。しかし、歴代首相はその権力の行使に慎重な姿勢を崩さなかった。「権力の濫用」を抑制する自制心があった。首相は自民党総裁を兼ねてきたが、歴代首相は自民党の意向を尊重した。自民党内には派閥が存在して常に非主流派派閥が存在したが、首相は少数意見を尊重した。

  

活用できる権能をすべて活用し、三権を掌握し、初めて独裁者としての権力を行使したのは小泉元首相だった。マスメディアはがんじがらめの政府規制に縛られて政治権力の支配下に位置する。政治権力はその意思を持てば、マスメディアを完全にコントロールできる。世論によって政治を動かす「ポピュリズム時代」を誘導し、マスメディアへの支配を著しく強めたのも小泉元首相だった。

  

小泉政権以降の政権はその行動様式を広範に継承してきた。自公政権は三権を掌握し、マスメディアを完全に支配下に置き、次期総選挙による政権交代阻止に向けて総力を結集している。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」は孫子の言葉だが、自公政権の権力への執着を軽く見れば、野党に勝機はない。

  

小泉政権以降の政権がもたらした日本社会の荒廃と、外国資本に対する巨大な利益供与の現実を直視して、本当の意味での「変革」=「CHANGE」が求められている。小泉政権以来の政権の基本政策は、①人間性破壊を推進する市場原理至上主義、②官僚利権温存、③対米隷属外交、だった。

  

市場原理至上主義は「弱者切り捨て」、「弱肉強食容認」、「拝金主義礼賛」と表裏一体をなし、国民の幸福追求と生存権保障という政治の最重要の役割が無視されてきた。

格差は著しく拡大し、高齢者、障害者、若年労働者、母子世帯、一般勤労者いじめが放置され、日本社会に荒涼とした風景が広がった。

小泉首相は政権公約を守らなかったことを「大したことではない」と述べ、この6月11日には、福田首相に対する問責決議案が憲政史上初めて参議院で可決されたことについて、「初めてというが、大した意味はない」と発言した。倫理崩壊が加速している。

  

野党は次期総選挙に向けて、政策綱領を国民に明示しなければならない。自公政権の基本政策が上記三点にあることを示したうえで、対極に位置する政策を明示すべきだ。

  

「市場原理至上主義VS適正な弱者保護」「人間尊重の政策VS人間性破壊の政策」と言い換えて、第一の対立軸についての考えを示した。第二の対立軸として「官僚利権根絶VS官僚利権温存」を示す。

  

7月2日付記事「民主党に忍び寄る危機」に記述したように、自公政権は8月にも旗揚げが予想される政治新勢力=新党を、次期総選挙に向けての最大の武器として活用する可能性が高い。フジテレビ月9ドラマ「CHANGE」は放送の政治利用=プロパガンダ番組で「放送法」違反の疑いが濃厚だ。

  

政治権力を掌握した自民党清和政策研究会に所属する中川秀直元自民党幹事長は「官僚国家の崩壊」を著し、「官僚利権」に切り込む素振りを示している。同時に動き始めた「脱藩官僚の会」も官僚利権根絶を唱えている。同時にマスメディアの全面的支援によって注目度を高めている橋下徹大阪府知事は、財政再建に向けて府職員との激闘を演じている。

これらが一本化され、次期総選挙での非自民票を吸収する受け皿にされる可能性が高い。新勢力はテレビドラマおよび米国大統領選挙のキーワードである「CHANGE」をイメージコピーとして利用しようとしている。しかし、実態は「えせCHANGE」である。

  

橋下知事は「府職員が諸悪の根源」で、「高級官僚の天下り」をまったく問題にしない。府職員数の削減を唱えながら、警察から圧力がかかると警察人員の削減を直ちに取り下げた。「弱い者いじめ」の典型的行動様式が示されている。

  

知事が府職員をいじめても知事を糾弾する者はいない。高級官僚の天下り、警察職員の削減を唱えれば、力の強い者から知事への攻撃が直ちに発生する。橋下知事の行動は「強きを挫き弱きを護る」でなく、「弱きを挫き強きを護る」以外の何者でもない。

  

本当に府職員が諸悪の根源なのか。私は橋下知事の行動を見ながら、言葉に言い表せぬ違和感を感じ続けてきた。「何かが違っている」と私は感じ続けた。「いわれのない虐待」、「理不尽な差別」と通じる構造を私はそこに感じる。

府職員が橋下知事から糾弾される姿を見ても、誰も手を差し伸べようとしない。一般の府民は拍手喝さいを送る。府職員はいわれなき誹謗中傷を浴びながら、やるせない気持ちを募らせていると思う。橋下知事は府職員との対立図式がテレビで繰り返し放映される結果が、自らに有利に働くことを計算によって熟知している。多数の世論の支持が得られれば「勝ち」であるとの感性しか有していないと思う。

  

府職員を悪者に仕立て上げ、自分が正義のヒーローになることの論理的正当性を、橋下知事が熟慮していると考えられないのだ。大衆人気に便乗して、善良な府職員の尊厳をどれほど深く傷つけているのかに思いを巡らす「想像力」を欠いているように思う。

  

私は府職員に非がないとは思っていない。多くの公務員が保障された身分にあぐらをかいて、非効率的な業務態度を示していることを知っている。公務員の労働の質を引き上げるための努力は必要だと思う。公務員の意識を改革し、最少の費用で最大のサービスが提供されるように、公務員が提供するサービスの品質向上が強く求められる。橋下知事はまず、この点に注力すべきだ。

だが、一方で、最大の努力を傾注している職員も多数存在すると考える。私の知人の一般公務員では、献身的に職務に尽力している人がほとんどだ。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』にも記述したが、東京拘置所職員の多くも極めて勤勉で善良な公務員だった。

   

府職員を諸悪の根源として糾弾するのではなく、高級官僚、およびその天下りを糾弾するべきと考える。糾弾すべき対象は「一般公務員」なのか、それとも「高級官僚および天下り」なのかが問題である。橋下知事の問題提起を、「諸悪の根源は一般公務員であって、高級官僚および天下りではない」と解読し、その是非を冷静に考察することが求められている。

深く考えもせずに、メディアが提供する「府職員=悪VS橋下知事=白馬の騎士」の図式に乗って府職員糾弾に加担すること、これが「いじめ」の基本構図である。「いじめ」加担者の大多数に「いじめ」の意識は乏しい。しかし、いわれなく「いじめられる」者は「数の暴力」に苦悶するのだ。

  

2006年5月5日にエキスポランドはジェットコースターの整備不良で痛ましい死亡事故を起こした。その運営主体である独立行政法人には大阪府からも警察からも天下りが受け入れられている。高級官僚と天下り問題が府職員糾弾よりも優先されるべきだと私は考える。また、橋下知事は巨大利権の温床となる巨大プロジェクト見直しにも慎重である。

  

中川秀直氏は官僚利権根絶を唱えているが、その実現は極めて疑わしい。通常国会で成立した国家公務員制度改革基本法を見る限り、現在の政権与党に官僚利権を根絶する考えがあるとは考えられないからだ。

  

新制度ではキャリア制度廃止が謳われているが、総合職、専門職、一般職と名称が変わるだけで、キャリア制度は完全に合法化される。しかも、キャリア官僚の天下り特権は完全に温存される。さらに、これまで民間企業への天下り承認を報告してきた人事院の「天下り白書」も作成されなくなる。個人情報を盾に情報が公開されなくなる懸念も強い。

  

自民党の支配権を掌握した清和政策研究会の幹部の地位にある中川氏が本当に官僚利権を根絶する考えを持つなら、このような天下り温存の制度改正が政府から提案されるはずがない。

  

官僚は国民の幸福追求を行動原理の基本に据えていない。官僚は勤務評定の基準に従って行動する。役所はそれぞれの官庁の利益拡大にどれだけ貢献したかを勤務評定の基準としている。必然的に官僚は官庁の利益拡大を目指すことになる。

役所の権益とは法律によって業界を支配すること、予算配分権を拡大すること、天下り利権を拡大することに尽きる。財務省の場合には、税金を1円でも多く徴収することがこれに加わる。天下り先は、特殊法人、公益法人、および民間企業だ。公的天下り機関の維持拡大に努めるとともに、官庁の権限を活用して民間企業への天下り利権の維持拡大を図る。

   

高級官僚の天下り利権の巨悪と比較すれば、一般公務員の悪ははるかに小さい。そして小悪である一般公務員の労働の質を努力によって高めることは十分に実現可能だ。実際、職員のサービス水準が非常に高い自治体が多数存在する。橋下知事は府職員を糾弾するより、大阪府職員のサービス水準の飛躍的向上を目指すべきだ。

  

私は公務員制度改革についての提言を拙著『知られざる真実』の89-98ページに記述した。その骨子は、①第1種国家公務員を第2種国家公務員と統合して廃止する、②天下り制度を全廃する、③公務員の定年までの雇用を保証する、の三つだ。天下りを廃止すれば、公益法人等に注入している財政支出の大半が削除される。

多くの人は警察からの巨大な天下りの現実を知らない。警察には犯罪捜査や立件に関する巨大な裁量権がある。立件するかしないか、逮捕するかしないか、だけでも意味は重大だが、決定は警察および検察に委ねられている。この裁量権と天下りが不可分に連結している。

  

一般公務員の小悪よりも、高級官僚の天下り制度の巨悪が問題である。自公政権と新たに創設される政治新勢力が「一般公務員を諸悪の根源」とするのに対し、野党は「高級官僚の天下りを廃絶の対象」とすべきだ。

小泉元首相は27万人の郵政職員を悪の根源とした。橋下知事は府職員を悪の根源としている。図式は同一だ。しかし、郵政職員と府職員が本当に悪の根源なのかを冷静に考えるべきだ。

  

罪なき者にいわれのない罪を着せ、諸悪の根源とのイメージを植え付け、一般大衆の不満を昇華させる。他方で、情報操作と世論誘導によって、外国資本への巨大利益供与と日本社会の破壊を「正義の政策」に偽装する「権力の濫用者」こそ諸悪の根源であり、国賊だ。この「真実」を人々に知らしめなければならない。それが政権交代を勝ち取る救国野党の責務である。

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2008年6月13日 (金)

「大阪維新プログラム」への疑問

 「神州の泉」主宰者の高橋博彦様、貴重な見解を公開くださいましてありがとうございました。また「植草一秀氏を応援するブログ」へのメッセージならびに同ブログ主宰者様の対応、誠にありがとうございました。また、「カナダde日本語」の美爾依様、貴重なご意見をありがとうございます。心よりお礼申し上げます。

  

本ブログではさまざまなテーマについて記述していますが、より良い日本社会を実現するために、現実を直視して、現実のなかに潜む巨大な悪の存在をしっかりと認識することが必要だと考えています。

  

私たちは社会的な存在であり、社会と無縁に生きてゆくことはできません。人の社会的関係に影響を与えるのが「情報」であり、「情報」に圧倒的影響力を持つのが「メディア」です。

  

望ましい社会を構築するための具体的提言はもちろん重要ですが、健全な論議を行う土壌となる言論空間のあり方を考えることは、前提条件を整える意味で重要性を持っています。

  

情報がどのように操作されるのか、情報操作がいかなる問題を生み出すのか。政治権力と情報操作の問題は、現代社会を考察する際に、避けることのできない重大な問題であると考えます。

  

本ブログで「メディア・コントロール」の問題を重視している理由はこの点にあります。個別ブログの問題について、私が意見を述べることを煩わしいと感じられる読者も多くおられると思います。しかし、それは単なる衝突、いさかいではなく、もっと根の深い問題であると考えて、私は情報を発信しています。

  

その記事のなかに、諸問題に対する私のメッセージを盛り込んでいます。単なる反論文章としてではなく、諸問題に対する私の考え、メッセージとしてお読みくださるようお願いいたします。

  

なお、6月12日付記事として「「福田首相問責決議可決報道」について」もアップしておりますのでご高覧ください。

 

  

大阪府知事に就任した橋下徹氏の財政再建への取り組みが大きく報道されている。新聞各社は世論調査を実施して、橋下知事の政策運営を支援しているように見受けられる。

  

素朴な日常感覚として、財政赤字の縮小を望ましいと考えるのが通常の判断である。しかし、橋下氏の財政健全化政策の支柱の一つとされる人件費抑制の手法には強い疑問を感じる。

  

財政赤字は言うまでもなく政府支出と政府収入の差額から生じる。財政赤字が大きくなると、予算編成の自由度が低下する。柔軟な財政運営を可能にするために、財政赤字を低水準にとどめることが望ましいと考えられている。とりわけ、地方財政の場合、財政赤字が拡大して、財政再建団体に指定されると、財政運営の自主決定権が失われる。したがって、地方政府は財政再建団体への移行を回避しようと努める。

 

収支を改善するためには、支出を減らすか、収入を増やすかのどちらかが必要になる。経常的に収入を拡大させる主要な方策は増税だが、増税を実現することは容易でなく、結局、一時的方策として資産売却を進める以外では、支出削減が財政収支改善の主たる方法になる。

 

橋本知事が6月5日に発表した「大阪維新プログラム案」では、今年度に財政再建効果1100億円を見込んだ。内訳は、一般施策245億円、建設事業75億円、人件費345億円、歳入確保435億円になっている。歳入確保策のなかには185億円の府債発行も含まれている。

 

財政の無駄は徹底的に削減するべきである。政府の無駄を切る意味での「小さな政府」に反対する府民はいないだろう。問題は、何が無駄で何が無駄ではないかの判断だ。橋本知事案の大きな特徴は、大型開発事業を継続しつつ、人件費を大幅に切り込んでいることだ。

  

府職員の人件費カットに反対する府民は少ないはずだ。行政サービスの質が変わらずに赤字だけが減ると思われるのだから、反対する理由がない。世論調査をすれば「支持する」が圧倒することは明白だ。だが、この手法には強い疑問を感じざるを得ない。

  

人員が余剰であるなら、人員削減を図るべきである。最小の人員で最大の行政サービスが提供されるのは理想的な姿だ。しかし、給与水準の引き下げが人件費削減の中心であるなら、単純に是認することはできない。給与水準は「価格」であって、「価格」は基本的に市場が決定するべきものだからだ。

  

府職員の賃金は労働市場のさまざまな要因によって決定されている。府職員に財政赤字拡大の原因があることが明白なら、懲罰的な賃金削減が正当化されるかも知れないが、大阪府の場合にその立証はなされていない。

  

破産企業の従業員だから、賃金カットは当たり前だとする橋下氏の主張はあまりに乱暴である。府民の支持を受けて知事に就任しているのだから、知事の言うことを聞けない職員は辞めてもらって結構と言うのも、筋が通っていない。府民は橋下氏を行政を司る職位に就けたのであって、橋下氏に独裁者としての地位を付与したのではない。

  

労働者の権利は相応に守られる必要がある。大阪府職員の賃金水準はこれまでの長い経緯のなかで定められてきたものであり、府知事といえども自分の裁量だけで自由に変動できる性格のものではない。労働者の賃金カットを望む財界関係者は、この手法が世論に支持される状況を大歓迎するだろう。しかし、その政策の延長上に「格差問題」の深刻化が広がることを忘れてはならない。

  

中期的に適正な人員を実現することを目指すのは当然で、先に述べた意味での「小さな政府」を目指すことは正しい。また、さまざまな冗費の排除を進めることも正しい。しかし、一般職員の賃金カットが優先されることは順位付けの誤りだと思う。職員の賃金カットより、天下りの禁止、天下り機関への補助金投入廃止を優先するべきである。

  

一般支出削減や施設売却の対象選定にあたっては、政府の役割を根本から見つめなおすことが不可欠である。35人学級廃止や警察官削減を掲げながら、強い反論が生じるとすぐに撤回するなどの行動を見ると、支出削減対象の選定が十分に吟味されたうえで示されたものでなかったことが分かる。

  

府職員の賃金引き下げを振りかざすより、府職員の労働の質を向上させることが急務であるとも思われる。同じ賃金の職員が提供する行政サービスの質が大幅に向上すれば、支払われる賃金のサービス当たり単価は低下するのだ。

  

巨大な投資プロジェクトに関しては見直しが十分に進んでいないとの指摘が多く聞かれる。財政健全化に向けての取り組みは重要であると思うが、その手法が正しい原理原則に則しておらず、安易な人気取りに依存しすぎていると感じられる。

  

府職員の賃金を大幅にカットする財政赤字削減策を一般府民が歓迎するのは当然で、その大衆人気をメディアが煽りたて、橋下知事を意図して支援する姿は極めて不自然だ。次期総選挙では大阪府も与野党激突の主戦場になる。政権与党の思惑が橋下氏報道の裏側にあることは疑いようがない。財政健全化に関する論議が正当に十分展開されることが強く望まれる。

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2008年5月26日 (月)

「正義派」ジャーナリスト

私が民事提訴した名誉毀損損害賠償請求訴訟の対象は小学館(「女性セブン」)、徳間書店(「アサヒ芸能」)、講談社(「フライデー」)、毎日新聞社(「サンデー毎日」)、朝日放送(「ムーブ!」)の5社である。これらは事実無根の情報を記事として報道した雑誌出版社、あるいはそれらを事実と断定した情報番組を放送したテレビ放送会社である。

小学館に対する訴訟では、すでに本年4月4日に、100万円の支払いと「お詫び」、および「お詫び」文の「女性セブン」誌への掲載との内容で和解が成立し、週刊誌「アサヒ芸能」を発行する徳間書店との間での裁判(平成19年(ワ)第9898号 損害賠償請求事件)においては、5月21日に、被告に対し、原告に190万円の支払いを命じる判決が下された。このことはすでに5月22日付記事『「アサヒ芸能」名誉棄損損害賠償請求訴訟で勝訴』で記述した通りだ。

 小学館との和解では、以下の文面の謝罪広告を「女性セブン」誌に掲載することが和解条項に盛り込まれた。謝罪広告の文面は以下の通りである。

「本誌2006年(平成18年)10月5日号に掲載した植草一秀氏についての「『痴漢で示談7回』の過去」との見出し記事について、同氏から「事実無根である」とのご指摘を受けました。記事内容の確認が不十分であったことによって同氏にご迷惑をおかけしたことを、お詫びします」

 当方が小学館との和解に応じたのは、和解内容に謝罪広告の掲載が盛り込まれ、和解成立によって、通常の名誉毀損損害賠償請求訴訟での勝訴判決と同等、あるいはそれ以上の成果を獲得できることになったことと、対朝日放送訴訟での争点が小学館訴訟の結果と密接に関わることを重視したためである。

 対朝日放送訴訟では、同社が2006年9月21日に放送した「ムーブ!」と題する番組の「ムーブ!マガジンスタンド」というコーナーにおいて、朝日放送が「植草一秀容疑者痴漢で示談7回の過去」とのテロップを表示しながら、同日発売された小学館発行の女性週刊誌「女性セブン」の私に関する記事を紹介し、「私が痴漢を行った過去7件の被害者について、示談が成立したために、これらの事件が明るみに出なかった」との事実無根の情報を伝える放送を行ったことについて、私の人格権を著しく侵害する不法行為であるとして名誉毀損損害賠償を求めて、現在、東京地方裁判所を舞台にして闘っている。

 この争点については、現在公判係争中であるので、ここで深入りしないが、この番組「ムーブ!」においては、番組出演のコメンテーターが無責任な人格侵害の発言を繰り返した。

 小学館との和解で明らかにされたように、「女性セブン」の当該記事は事実無根であった。「ムーブ!」では「女性セブン」の記事内容が事実であるとの断定的な表現を用いて同記事が紹介されたうえで、コメンテーターによるトークが行われた。同日に発売された週刊誌であるから、週刊誌記載の記事内容が事実であるかどうかを確認することは実質的に不可能である。したがって、番組出演のコメンテーターの発言においては、週刊誌の報道内容が真実であるかどうかについての慎重な判断がベースに置かれなければならなかったはずだ。

この日のコメンテーターは大谷昭宏氏、宮崎哲弥氏、橋下徹氏の3名だった。すでに5月22日付記事で記述したように、宮崎氏はこの番組のなかで、「ほとんど報じられなかった1回目の逮捕のときには、当時所属していた野村総合研究所がもみ消したわけですよ」と発言したが、逮捕の事実も野村総合研究所がもみ消した事実も存在しない。事実でないことを断定的な表現を用いて発言することは許されない。

 この「ムーブ!」という番組のなかで宮崎氏は、「これは性癖、嗜壁で、このちゃんと治療して、こういう、この累犯を行わないようにすることの方が彼としてはよかったのだろう」、「治療させるべきなんですよ」、「まあ、実刑はやむをえないのかもしれないけれど、とにかく治療させると」などの発言を繰り返した。

 現大阪府知事の橋下氏は、「病気だと思います」、「病気じゃなければそれはねえ、更生の可能性ってあるんでしょうけれども、これはもう、宮崎さんとも話しましたけれども、これはもう、その、何かりく、理屈で治すってことじゃなくて」、「カウンセリングは無理ですねえ、もう、ほんとに薬物等でホルモン抑制とかそういうことをやらないと無理ですよ」と応じた。

 さらに、大谷氏は「彼はねえ、もうなんかあってもまたその性癖が出てしまうと」、「こういうことやってちゃだめ、(冤罪とか)馬鹿なこと言っちゃいけません」、「その中でやっぱりねえ」、「カウンセリングはだめだなあ」、「もう、やく、薬物ですねえ」などと発言した。

 これらの発言の是非は読者にご判断願いたいが、大谷氏は現在、テレビ朝日番組「サンデープロジェクト」で「シリーズ 言論は大丈夫か」を担当している。このシリーズ特集では、直近の5月25日放送では「救済されない冤罪」を特集した。過去には、「本当に“推定無罪”か」(4月13日、4月6日)などを特集している。

 私は、自分が巻き込まれた事件について、私の知りうるすべての事実を正確に述べ続けてきた。その概要は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』にも記述した。2006年9月13日夜に事件に巻き込まれたのち、私は一貫して無実の真相を訴え続けてきた。蒲田駅で私が犯行を認めるような発言をしたとの話は、事件発生後、かなりの時間がたってから初めて伝えられたことだが、公判で警察官がそのような証言をすると、マスメディアはその発言を事実そのものとして報道し、私が当初犯行を認めていたとの事実に反するイメージが社会に植え付けられた。

しかし、私はそのような発言をまったくしていない。事件当初の報道にもそのようなものはなかった。事件当日の取り調べに際しても、「駅で犯行を認めていたのではないか」との追及はまったく存在しない。事件当日の取り調べで否認しているときに、もし駅での警察官との問答で私が犯行を認める発言をしていたのなら、そのことを徹底的に追及するはずだ。しかし、そのような話は一切なかった。

私の勾留時の取り扱いが「接見禁止」にならなかったことに対して、検察が準抗告したが、その文書のなかで初めて、当初は犯行を認めていたとの内容が記載されていたのである。私は、私が犯行を認めるような発言をしたとの記載のある「取扱状況報告書」は時間が経ってからねつ造されたものだと考えている。

また、控訴審での控訴趣意書で詳細に論証したように、繊維鑑定の結果も私の無実を裏付けるものになっている。私の無実をはっきりと目撃していた信用のおける目撃者が公判廷で説得力のある証言もしてくれた。しかし、マスメディアはこの決定的な公判証言をまったく報道しなかった。報道しないどころか、事実をねじ曲げて、信用できない証言であると報道したのだ。このことも、いずれ記述したい。

 問題の詳細を記述するのは別の機会に譲ることにするが、私は、ありのままに無実の真実を訴え続けてきた。「電車の中で民間人が私を拘束した現行犯逮捕だから、犯罪が行われたことに間違いはない」との観測が世間では根強いが、この民間人は犯行を目撃していないことを公判で明確に証言した。被害者とされる女性が声をあげて振り返った時に、この女性は犯人の手を掴んでいないだけでなく、犯人の手も確認していないことを公判で証言した。

被害者とされる女性は、犯人が真後ろにいて犯人は真後ろの方向に2、3歩ないし1、2歩移動したと証言したが、被害者とされる女性が振り返った時に私が立っていたのは、女性の右斜め後ろだった。このことは、私を拘束した民間人が法廷で「被告人は女性のすぐ右後ろに立って」おり、被告人と被害者とされる女性の間に、もう1人、だれか入ることは可能な広さかどうかについて、「いいえ、押しのけない限りは、あり得ないと思います」と明確に証言したことによって裏付けられた。弁護側は、被害者とされる女性が、声を出して振り返った時に、右斜め後ろに立っていた私を犯人と誤認したのではないかと公判で主張した。

 冤罪問題や冤罪を生み出すさまざまな制度的欠陥、推定無罪の原則が踏みにじられている現状を、テレビ番組が問題として取り上げる特集シリーズを担当するジャーナリストと呼ばれる人物が、上記のような発言を平然と繰り返す現状に私は慄然とする。人権擁護、人権尊重を重視する立場からの発言とは到底考えられない。

 5月23日付記事で紹介した『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』の著者である日隅一雄弁護士が同氏のブログ「情報流通促進計画」で、私の記事を紹介してくれた。記して感謝の気持ちを表したい。同氏のブログは、メディアや司法に関連した広範囲の問題について、詳細な検証を示している。是非、定期閲覧されることをお勧めしたい。

 また、ここで詳細を記述することは控えるが、非常に多くのブログが支援のメッセージを発して下さっている。当ブログは現状ではリンクを張らず、コメントも受け付けていないが、多数の心ある人々の温かな心と激励には常に感謝している。この場を借りて、改めて敬意と感謝の気持ちを表したい。

 代用監獄を用いての不当な自白強要、否認する被疑者や被告人に対する長期不当勾留、推定無罪原則の形骸化など、日本の司法、警察制度には重大な欠陥が存在する。取り調べに際しての弁護人同席、取り調べの録音、録画などの完全な実現がまずは求められる。被害者を含む関係者の取り調べ調書は、そもそも作成日時が真実であるとの客観的裏付けを欠いている。調書の偽造、捏造は容易に実行可能なのである。こうした初歩的な制度欠陥は直ちに是正されなければならない。

ここからは一般論だが、正義を追求するジャーナリストは、すべての対象に対して真理を追究する姿勢を貫くものである。この要件を欠くジャーナリストは真の正義派ジャーナリストではない。正義を追求しているように装う仮面の下に権力の走狗の本性が隠されていることに多くの一般市民が気付かず、「えせ正義派」ジャーナリストが社会のガス抜きの役割を担うなかで、権力に都合の良い制度が着々と整備されることに、われわれは細心の注意を払わなければならない。

私が巻き込まれた事件、事件に関連する報道や情報媒体の動き、裁判などに関して、私は「大きな力」の存在を感じないわけにいかない。テレビなどに登場する特定の人物達が、平仄を合わせて激しい攻撃を私に向けたことも紛れのない事実である。詳細を再検証し、『知られざる真実』を明らかにしなければならないと考えている。

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