日銀短観が意味する経済深層
12月15日、日銀短観12月調査結果が発表された。
日銀短観は3ヵ月に一度、日銀が企業に業況判断等についてアンケート調査を行い集計してまとめたもの。
企業活動の状況についての総括的な調査統計である。
最も注目されるのが「業況判断DI」。
企業の業況判断を業種別に取りまとめて発表する。
業況が「良い」か「悪い」かを企業に問う。
DIは、回答のすべてが「良い」であればプラス100、回答のすべてが「悪い」であればマイナス100になる。
プラスは業況が「良い」傾向にあること、マイナスは業況が「悪い」傾向にあることを示す。
規模別に大企業、中堅企業、中小企業に分けて調査結果が発表される。
最も重視されるのが大企業業況判断で、とりわけ製造業の業況判断が重視される傾向がある。
業況判断DIの絶対値も重要だが、時系列で調査結果が発表されるため、前回調査結果に対して直近調査結果が「改善」したのか、「悪化」したのかも注目される。
今回の12月調査結果では
大企業製造業の業況判断DIが9月調査の「+14」から「+15」に改善した。
大企業非製造業の業況判断DIは前回の「+34」が今回も変わらなかった。
大企業製造業の業況判断DI「+15」は2021年12月の「+18」以来4年ぶりの高水準。
15日午前の記者会見で木原稔官房官は日銀短観調査結果について、
「概ね良好な結果だとの見方を示した上で、景気が緩やかに回復しているとの政府認識と齟齬(そご)はない」
と述べた。
大企業製造業の業況判断DI「+15」に対して非製造業業況判断DIは「+34」。
非製造業の業況判断が極めて高い。
非製造業12業種の全業種で業況判断DIは二桁のプラス。
非製造業の業況判断は総じて強く、中堅企業、中小企業でも非製造業は全業種で業況判断DIがプラス。
中堅企業も全業種が二桁のプラス、中小企業では2業種(卸売、小売)を除く全業種が二桁のプラスだった。
非製造業の業況判断は全体的に極めて良好である。
製造業でも業況判断は総じて良好だが、「鉄鋼」だけは大企業、中堅企業、中小企業のすべての規模でマイナス。
大企業、中堅企業では「鉄鋼」以外の全業種の業況判断がプラス、中小企業では「鉄鋼」、「繊維」、「紙・パルプ」の3業種の業況判断DIがマイナスだった。
非製造業を中心に企業の業況判断は総じて良好である。
このことをもって木原官房長官は
「景気が緩やかに回復しているとの政府認識と齟齬はない」
と述べた。
しかし、この説明は国民に対して責任を負う政府の説明として不適切だ。
企業の業況判断は良好だが、企業で働く労働者=一般市民の景況感はまったく良好と言えない。
労働者実質賃金は減り続けている。
厚労省毎月勤労統計によると労働者実質賃金(現金給与総額)は本年10月まで10カ月連続で前年比減少。
2022年4月からの43ヵ月間で前年比増加を記録したのは4ヵ月のみで、これ以外の月はすべてが前年比減少を記録した。
労働者の実質賃金は減り続けている。
1994年以降の日本経済の実質成長率は平均値で+0.6%。
2024年度の実質成長率も+0.6%だった。
経済が成長していないなかで企業の業況判断が良好というのは資本の取り分(資本分配)が増えていることを意味する。
経済のパイが拡大していないのに資本の取り分(資本分配)が増えているということは労働の取り分(労働分配)が減っていることを意味する。
国民にとって日本経済は「回復している」からかけ離れている。
「成長戦略」の語が多用されるが、これは「企業利益の成長戦略」のこと。
言い換えれば「労働者不利益の成長戦略」である。
企業の利益が増えれば「景気回復」なのか。
労働者の所得が減り続けているのに高市内閣は「緩やかな景気回復が実現している」と言うのか。
国民目線で経済を捉える視点が完全に欠落している。
続きは本日の
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