消費税減税反対論の正体
消費税について改めて整理して記述する。
消費税が導入されたのは1989年度。
その前の1985年度に「売上税」構想があった。
「売上税」を導入するために大蔵省にプロジェクトが創設された。
TPR
である。
TAXのPRの意でTPRと命名された。
内実は大型間接税導入のための「言論統制プロジェクト」だった。
大蔵省大臣官房調査企画課にあった財政金融研究室が格上げされて1985年に「財政金融研究所」が設立された。
大蔵省の一局の扱いである。
その財政金融研究所研究部がTPR事務局を担った。
私は初代のTPR事務局員の一人。
大蔵事務官、大蔵省研究官として末端の任務を負った。
税制改革を実施した場合に経済にどのような影響が発生するかについての経済効果の試算を命じられた。
具体的には「売上税」導入とこれと同額の「所得税」、「法人税」減税を実施した場合のマクロ経済への影響試算である。
増税額と同額の減税を実施する。
増減税同額=レベニューニュートラルの前提が置かれた。
私が担当した業務が特異であったのは、試算を命じた上司が、税制改革を実施した場合に、
「GDP成長率、個人消費、設備投資、住宅投資にプラスの効果が発生する試算結果を出す」
ことを命じた点だ。
結論が先に決まっている。
この結論を生み出すように試算を「工夫」することを命じられた。
1985年に構想が持ち上がった「売上税」構想を中曽根内閣は最終的に断念した。
大きな影響を与えたのは「政策構想フォーラム」が発表した
「税制改革の影響試算」
だった。
こちらはミクロの分析。
増減税同額の税制改革を実施した場合に家計負担がどう変化するかを所得階級別に試算した。
結果は中間層以下の所得階級で税負担が増えるというものだった。
これを朝日新聞が1面トップで大きく報道した。
これを契機に売上税反対の声が広がり、最終的に中曽根首相は売上税導入を断念した。
TPR活動の中核は「政界・学界・財界3000人」への説得工作だった。
大蔵省職員が3000人に個別に説得に当たる。
了解を得られれば当該人物へのアプローチは終了。
了解を得られなければ一階級上の職員が「説明」に出向く。
事務局は連日連夜、電話帳と呼ばれた3000人リストの更新作業に追われた。
TPRの活動としてメディア幹部に対する説得も行われた。
料亭「吉兆」での宴席が設けられたこともある。
もちろん財源は税金である。
また、毎週、売上税に関して誰がどのような言説を発しているかを記した「TPRウィークリー」も発行された。
政策構想フォーラムの税制改革影響試算をまとめた主査は大阪大学の本間正明教授だった。
「売上税」構想が挫折したとき財政金融研究所トップは
「本間を取り込め」
と号令し、本間氏は財政金融研究所特別研究官に招聘された。
植田和男氏の後任だった。
本間氏はほどなく完全に大蔵省派に「転向」した。
いま世間を賑わせている言説は
「消費税減税はよくない」
というもの。
この裏側に財務省の「情報工作」があることは間違いない。
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