日中関係の深刻な困難の根源
品格ある国家として日本は、是を是とし、非を非とする真摯な姿勢を示すべきだ。
共同通信が、
中国商務省の何亜東報道官は5月28日の記者会見で、
「(日本が日中関係悪化の)根源を直視し、正常な交流の条件を整えるよう求める」
と述べたと伝えた。
5月22、23日に江蘇省で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に際して赤沢亮正経済産業相が王文濤商務相との正式な会談を求めたが中国側は応じなかった。
会合では赤沢経産相が王商務相に歩み寄って短時間の立ち話をしたが、中国は正式な会談に応じなかった。
中国商務省の何報道官は
「両国関係の深刻な困難の根源は高市早苗首相による誤った言動にある」
と改めて主張したと報じられた。
問題の根源は昨年11月7日の衆議院予算委員会での高市首相答弁。
これまで指摘しているように、誤りを正すべきは高市首相の側である。
中国の肩を持っているのではない。
中立公正の視点から発言内容を検証して指摘している。
この指摘に対する説得力のある反論は示されていない。
日本のメディアも問題の根源を精査して掘り下げる報道をしていない。
これでは国が亡びる。
是は是、非は非である。
対外関係においては、この原則を揺るがしてはならない。
中国に非があるなら堂々と主張すればよい。
しかし、日本に非があるなら率直に非を認めて謝罪する。
これが品格ある国家の対応だ。
高市首相は11月7日の国会答弁で次のように述べた。
「(台湾有事が)戦艦を使ってですね、そして、武力の行使もともなうものであれば、ま、これは、あのー、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」
ここで高市氏は米軍の関与に触れていない。
しかし、「集団的自衛権の行使」にかかる文脈であるから、高市氏が前段で述べた
「例えば海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかの他の武力行使が行われる。
まあ、こういった事態も想定されることでございます」
を踏まえて、台湾有事で米軍が来援したとの前提での発言だったと下駄をはかせておく。
高市首相は、
「台湾有事で米軍が来援した際に、戦艦を使い、武力の行使をともなうなら、どう考えても存立危機事態になり得るケースと考える」
と述べた。
存立危機事態は集団的自衛権行使の要件。
存立危機事態を認定すれば集団的自衛権を行使できることになり、この場合は米軍の後方支援をする、あるいは、米軍とともに中国と戦争する、ということになる。
問題は、日本が中国との間で、台湾問題についてどのような取り決めをしてきたのかである。
最重要の取り決めは1972年の日中共同声明。
中国が核心的利益の核心としてこだわったのが台湾の中国帰属問題。
「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場を、
日本は「十分理解し、尊重する」で声明文をまとめようとしたが、中国が拒絶。
この表現のあとに、
「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」
を書き加えて決着した。
その意味は、日本政府が台湾の中華人民共和国への返還を認めるということ。
これ以降、日本政府は、台湾と中華人民共和国との間の問題を
「中国の国内問題」
としてきた。
高市発言は、この取り決めを否定するものになっており、中国が容認できないのは当然である。
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