高市発言が問題である二側面
高市台湾有事発言の問題には二つの側面がある。
一つは外交関係上の問題。
いま一つは内政上の問題。
両面に看過できない重大な問題がある。
外交上の問題で見落とせないことは日中間のこれまでの外交文書との整合性。
日本は中国と友好関係を築いてきた。
その過程でいくつもの重要な合意を成立させてきた。
その外交の経緯と高市発言の関係を検証しなければならない。
二つ目の問題は日本の内政上の問題。
高市首相は集団的自衛権行使に関する発言を示した。
集団的自衛権は日本国憲法が長きにわたり容認できないとしてきたもの。
2014年から15年にかけて憲法解釈が変更され、集団的自衛権の行使を一部容認する法制が制定された。
しかし、いまなお、それらの措置が違憲であるとの有力な主張が存在する。
戦争法制=安保法制は厳しい制約条件を課して集団的自衛権の行使を容認したものだが、その制約条件の実効性が問われる。
この点について高市発言は重要な問題を表出させた。
外交上の問題と内政上の問題の二つが存在することを認識しなければならない。
高市首相が台湾問題に関連して
「発生した事態に関して、どのような事態が発生したのかについての情報を総合的に判断する」
とだけ述べていれば問題は生じていない。
あくまでも集団的自衛権行使に関する一般論についての政府見解を表出するだけであるからだ。
ところが、高市首相は台湾有事に関する個別具体的ケースに関する集団的自衛権の取り扱いについて言及した。
「質問した者が悪い」との声があるが失当。
いかなる質問が提示されようとも、適正な答弁を行えばよいだけのことだからだ。
国会質疑において質問内容に関する制限、制約はない。
その質問に対して高市首相が集団的自衛権行使に関する一般論だけを述べていれば問題は生じていない
しかし、高市首相は岡田克也氏との質疑の後段で
「台湾を統一、まあ、中国北京政府の支配下に置くような」場合に、「それが戦艦を使って、武力の行使もともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」
と述べた。
要約すれば「台湾有事で戦艦を使って武力の行使をともなうものであればどう考えても存立危機事態になり得るケース」
と述べた。
日本政府は台湾と中華人民共和国との紛争が生じても基本的には中国の内政問題であるとの認識を示してきた(1973年衆議院予算委員会大平正芳外相答弁)。
その台湾有事が生じる場合に、極めて高い確率で日本の存立危機事態になると高市首相は述べた。
日本は日中共同声明で一つの中国を承認し、台湾の中国帰属を論理的に認めた。
また、日中間のすべての紛争を平和的手段で解決し、武力および武力による威嚇に訴えないことを確認してきた。
これらの事情を踏まえれば
「台湾有事が生じれば極めて高い確率で存立危機事態になる」
との発言は外交上許容されるものでない。
「存立危機事態」は「集団的自衛権行使の要件」であり、集団的自衛権行使とはこの場合、中国と戦争するという意になってくる。
他方、内政問題としても重大だ。
高市首相は「台湾有事で戦艦を使って、武力の行使をともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と述べた。
これほど安易に「存立危機事態」が認定されて良いわけがない。
集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更とそれに伴う法制(安保法制=戦争法制)制定の際に大議論が存在した。
結局、十分な歯止めなく集団的自衛権が行使されることになれば憲法は完全にないがしろにされることになる。
内政問題としての高市発言の問題があまり論じられていないが、軽い問題ではない。
続きは本日の
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