財政が主因でない長期金利上昇
日本の長期金利が上昇傾向を強めている。
このことについて日本のメディアは財政政策発動に対する警戒感が主因であると報じている。
これは完全に誤報。
財務省がメディアにこの誤報=フェイクニュースを流布させている。
真実はどこにあるか。
日銀がインフレ亢進に対して毅然とした対応を示さないことが長期金利上昇の主因である。
インフレが進行しているのに日銀がインフレ抑止の政策対応を明確に示さない。
すると何が生じるか。
先行きのインフレ進行の恐れが高まる。
これを「期待インフレ率の上昇」と呼ぶ。
「期待インフレ率」が上昇すると長期金利は上昇する。
これが日本の長期金利上昇の主因である。
財政はどうか。
日本の財政政策は現在「超緊縮」の状況にある。
一般会計の歳出と税収の差=財政赤字の変化を見ると、2025年度は10.4兆円の財政赤字縮小である。
GDPを1.8%程度押し下げるほどの緊縮財政である。
この状況下で若干の財政支出拡大策を講じても長期金利が上昇する可能性は低い。
最大の問題はインフレに対して日銀が甘い対応を示すこと。
分かりやすい事例がある。
2018年2月、米国のFRB議長にジェローム・パウエル氏が就任した。
パウエル氏はイエレン議長の下でFRB副議長を務めていた。
大統領に就任したトランプ氏は民主党員のイエレン議長を退任させて共和党員のパウエル氏を新議長に起用した。
このとき金融市場はある懸念を強めた。
それは利上げを嫌うトランプ大統領に引き上げられたパウエルFRB議長は必要な利上げを行えないのではないか。
この懸念から2018年1-3月期に米国金融市場に異変が生じた。
長期金利が上昇し、米ドルが下落し、NYダウが下落したのである。
パウエルFRBがインフレ抑止に失敗することが懸念された。
インフレ抑止が取られなければ将来のインフレ率上昇が予想されて長期金利が上昇する。
米国長期金利上昇は通常はドル上昇要因だが、金利上昇がインフレ期待上昇によるものである場合は実質金利が低下してドルは下落する。
資本が海外流出して株価も下落する。
いわゆる「資本逃避」=キャピタルフライトが発生した。
この市場懸念に対してパウエルFRB議長がどう対応したか。
パウエル議長は2018年に4回の利上げを断行した。
まさに「論より証拠」。
トランプ大統領の意向に左右されず、利上げを断行することを行動によって示した。
この毅然とした対応により、金融市場はパウエルFRBに対する強い信任を形成した。
日本の長期金利上昇が財政出動を背景とするものであるなら実質金利が上昇して日本円は上昇するはずだ。
しかし、足元での動きは長期金利が上昇して日本円は下落した。
2018年1-3月期の米国と同様の「金融政策に対する不安心理」が日本の長期金利上昇の背景になっていると見るべきだ。
2022年9月に英国のトラス首相が大規模減税を提案して英国でトリプル安が観測された。
これを根拠に日本に当てはめる向きがあるが高市政権が提示する財政出動は規模がはるかに小さい。
「超緊縮財政」を「中立財政」に戻す程度の規模でしかない。
日本は現在、インフレと財政緊縮に直面している。
この状況下では金融政策が利上げに進み、財政政策で「超緊縮」を「中立」に戻すのが適正である。
利上げと財政政策活用のポリシーミクスが正しい政策対応。
「アクセルを踏んでブレーキを踏むのはおかしい」との論評はマクロ経済政策のイロハを知らない者の無知蒙昧を表出するものでしかない。
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