御用発言者と御用メディア
日本の行く末が案じられる。
高市首相の台湾有事発言。
中国が強く反発しているが当然のことだ。
メディアは社会の木鐸として問題の背景を中立公正の立場から検証する必要がある。
しかし、そのスタンスを明確に示す報道は皆無に近い。
台湾問題について日本と中国は1972年の国交正常化の時点で明確な取り決めをしている。
日中共同声明に記された文言は次のもの。
二 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
台湾問題については三の記述が焦点になる。
日本国政府は、
「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」
を承認しなかったが、
「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重する」
とし、さらに、
「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」
とした。
テレビ番組は専門家見解として、台湾が中国の領土の不可分の一部という中国の主張を日本政府は承認していないと強調する。
これを見た視聴者は「台湾が中国の一部との中国の主張」を日本政府は承認していないと思い込み、中国の反発が不当であると感じるだろう。
この解説は正しくないしミスリーディングである。
番組制作者が無知でコメントする人物の説明の不正確さを認識していないのか、不正確さを知りながらそのまま垂れ流しているのかは不明。
しかし、事実としてこの説明は極めて不正確である。
日中国交正常化交渉の際に、当初、日本政府は、
「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重する」
を提案した。
しかし、これを中国政府が拒否して、
「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」
を書き加えることで決着した。
この部分が重要だ。
日本が受諾したポツダム宣言(1945年7月26日)第八項(領土条項)が「カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルべク」と規定している。
カイロ宣言は「満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還すること」が対日戦争の目的の一つであると明記している。
日本政府は「一つの中国」を承認したから中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の正統政府と認めた。
カイロ宣言にある「中華民国」を継承したのが「中華人民共和国」であるから、「ポツダム宣言第八項に基づく立場」とは、
「中華人民共和国への台湾の帰属を認めるとする立場」
を意味することになる。
この文言が加わったことで中国が同意した。
この点を正確に伝えずに、「日本政府は台湾の中国帰属を承認していない」と説明するのは極めて恣意的かつ悪質である。
また、日中両国政府は1972年の日中共同声明および78年の日中平和友好条約で
「日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。」
「両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」
などとした。
高市発言は台湾有事で米軍が展開されれば日本の存立危機事態になる可能性が高いとしたもので、具体的には日本が中国に対して宣戦布告するという意味になる。
これまでの日中両国政府が築き上げてきた友好信頼関係を根底から覆す暴言と言って間違いない。
社会の木鐸として冷静な考察を促すべきメディアが歪んだ情報を垂れ流して可燃性の高いナショナリズム感情を扇動する現実は慙愧に堪えない。
(お願い)
情報拡散を推進するために「人気ブログランキング」クリックをぜひお願いします。
UIチャンネル第600回記念放送
「混迷する日本政治と活路」
https://x.gd/DafTc
のご高覧・拡散もお願いします。。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第4260号
「誰が日本をダメにしているのか」
でご高読下さい。
この機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をぜひお願いします。
『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』
(ビジネス社)
https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。
価格:1,980円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,870円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する
価格:994円 通常配送無料
出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する
価格:907円 通常配送無料
出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料
価格:994円 通常配送無料
出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,512円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する
« 高市デタラメノミクス | トップページ | 高市米国傀儡政権の末路 »
「金権腐敗自維連立政権」カテゴリの記事
- 財政政策=企業への利益供与(2026.01.02)
- 2026年衆院総選挙のゆくえ(2026.01.01)
- 2025年の10大出来事7~10位(2025.12.31)
- 出生数激減の責任は政府にある(2025.12.30)
- 補助金バラまいて命綱を切る(2025.12.29)







