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2025年6月 3日 (火)

憲法審査会という砂上の楼閣

米騒動のどさくさに紛れて怪しい動きが観察されている。

衆議院の憲法審査会に関する動き。

自民党の高市早苗議員が5月8日の衆院憲法審査会で、同党の船田元・与党筆頭幹事に不満を表明したと報じられた。

https://x.gd/T1IwJ

同記事は、高市氏が、船田氏が憲法改正原案を作成する条文起草委員会の早期設置に慎重な姿勢を示したとして「かなり落胆している」と強調したと伝えた。

船田氏は高市氏に先立って、起草委設置に関し

「改憲については各項目の議論がまだ十分に煮詰まっていない。やや慎重に考えざるを得ない」

と説明したが、憲法審査会終了後に記者団に対して、

「15日の憲法審幹事懇談会で起草委設置を提案したい」

と述べたと同記事が伝えた。

5月15日の衆議院憲法審査会に先立って開かれた幹事懇談会では、自民党の船田元・与党筆頭幹事が憲法改正の条文案を作成する起草委員会の設置を提案した。

これに対して立憲民主党の武正公一・野党筆頭幹事は「あり得ない」と反対。

この後、船田氏は記者団に「場合によっては(改憲に前向きな)5会派での起草協議会を憲法審とは別の場所で作ることで対応せざるを得ない」と述べたと報じられた。

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その後、5月29日の幹事懇談会で〈議員の任期延長〉について「条文作成の起草委員会設置」が提案され、改憲推進の自公維国有の5会派が〈議員の任期延長〉改憲の骨子案を6月12の幹事会に提出することを了承したなどと報じられている。

極めて由々しき事態である。

憲法審査会規則第5条は会長の職責について

「憲法審査会の議事を整理し、秩序を保持し、憲法審査会を代表する」

と定めている。

また、第六条は

「会長は、憲法審査会の運営に関し協議するため、幹事会を開くことができる」

と定めている。

幹事会の機能は

「憲法審査会の運営に関し協議する」

ことであって「改憲原案」を検討したり、起草したりすることではない。

憲法改正そのものの論議は「憲法審査会」で行う必要がある。

憲法制定権も憲法改正権も、保持しているのは主権者国民。

憲法論議は主権者である国民の「不断の監視と批判の下」に置くことが必要不可欠。

主権者国民の「監視と批判」が届かない幹事会や幹事懇談会で憲法改正の具体案を論議するのは言語道断だ。

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また、日本国憲法は憲法改正について第96条に定めを置いている。

第96条は次のように定めている

「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。

この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」

手続き上重要なのが「国民投票」

「その過半数の賛成」とある部分については、「硬性憲法」であることを踏まえれば、「全有権者の過半数」とすべきであると考えられ、「有効投票の過半数」では、あまりにもハードルが低すぎるだろう。

この点以外に、「国民投票」の細目を定める作業が置き去りになっている。

2021年9月施行の改正国民投票法附則4条(検討)が

第4条 国は、この法律の施行後三年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 投票人の投票に関する事項

と定めたが、必要な法制上の措置その他の措置が講じられていない。

具体的には、「国民投票の公平及び公正を確保するための事項」で、
「放送・ネットCM」、「資金規制」、「ネット等の適正利用」などだ。

これが行われていない。

つまり、憲法改正論議の土台が砂のような脆弱な状態であるということ。

この上に憲法改正論議を進めても砂上の楼閣にしかならない。

憲法審査会の拙速な論議を直ちに停止させる必要がある。

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