推定にすぎない123便圧力隔壁説
自民党の佐藤正久参議院議員が2025年4月10日の参院外交防衛委員会で、1985年8月12日に発生した日航ジャンボ123便墜落事件について質問した内容がSNSなどで拡散されて注目を浴びている。
SNSでは佐藤議員が参院外交防衛で発言した次の部分が拡散された。
「本日取り上げていますこの中身はですね、駿河湾で試験中の護衛艦が対空ミサイル発射訓練をやっており、それを海自出身のJALの機長が海上自衛隊と組んで訓練に協力し、自衛隊の標的機がJAL123便を撃墜してしまった。
横田基地への緊急着陸を自衛隊が禁止したばかりではなく、その撃墜と墜落の痕跡を隠すためにわざと墜落地点の特定を遅らせ、その間、自衛隊の火炎放射器で墜落現場を焼いて証拠を隠滅した。
アメリカの大統領から中曽根総理への書簡に、外務省担当官がわざわざ事故ではなく墜落事件という言葉を使っていることからも、中曽根総理も外務省も知っていて隠蔽したという概要です。」
佐藤氏は「自衛隊が撃墜した」という言説が書籍などで拡散されているとして、これを問題視する発言を示した。
SNSで拡散されたのは、書籍などで拡散されている部分について佐藤議員が引用して紹介した部分だけを切り取ったもので、佐藤議員の主張とは正反するもの。
しかし、佐藤議員による国会での質疑内容が流布拡散され、SNSが流布した内容を否定する記事等が付随して公開されていることから、この問題に対する関心が再び拡大している。
当時の運輸省は123便墜落は123便内部の圧力隔壁が損傷して垂直尾翼が失われたことによって生じたものだとする調査報告書を発表しているが、墜落原因を断定したものではない。
事故調査報告書は墜落原因について「推定される」との表現を用いている。
政府の運輸安全委員会委員長は国会答弁で事故原因の調査結果について、国際民間航空機関のガイドラインを踏まえ原因等の推定度合いを4段階に分類して記載していることを明らかにした。
そのなかで、墜落原因が「断定できる場合」には「認められる」との表記が用いられ、「ほぼ間違いない場合」には「推定される」との表現が用いられていると答弁した。
123便の墜落原因については
「推定される」
の表現になっており、
「認められる」
ではない。
つまり「断定できる場合」に分類されていない。
そもそも、政府事故調査委員会の記述には疑問点が多い。
JAL123便は1985年8月12日18時56分、群馬県上野村高天原山尾根付近に墜落した。
乗員乗客524名のうち520名が犠牲になった。
520名のなかに懐妊した女性が1人おり、胎児も含めれば犠牲者は521人。
このうち、4名の乗員乗客が救出された。
救出された1人がJAL客室乗務員(当時)の落合由美さん。
この落合さんが123便墜落直後の状況を事故直後に証言した。
「墜落の直後に、「はあはあ」という荒い息遣いが聞こえました。ひとりではなく、何人もの息遣いです。そこらじゅうから聞こえてきました。まわりの全体からです。
「おかあさーん」と呼ぶ男の子の声もしました。」
落合さんは墜落直後に多数の生存者が存在したことを証言した。
ところが、政府の事故調査報告書はまったく異なる記述を示している。
「救出された4名以外の者は即死もしくはそれに近い状況であった。」
現場で直接体験をした落合さんの証言と事故調の記述がまったく異なる。
事故調報告書を執筆したのは現場にいなかった者であり、現場を体験した落合さんの証言を完全に否定していることがおかしい。
疑惑を決定づけたのは2013年9月に公開された運輸省航空事故調査員会による
「62-2-JA8119(航空事故調査報告書付録)
(JA8119に関する試験研究資料)」
https://bit.ly/3KAt8Kr
この資料の116頁に「異常外力の着力点」が図示され、
101頁に「18時24分35.64秒ごろに前向きに、また、36.16秒ないし36.28秒ごろに下向きに、それぞれ異なる異常な外力が作用したことが確からしく考えられる。」と表記された。
垂直尾翼が失われた原因は内部の圧力隔壁損傷ではなく、「異常外力の着力」であった疑いが決定的になった。
事故調の「推定」を覆す決定的証拠が開示されたと言える。
事故原因を再調査するべきことは当然である。
気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
『沈む日本 4つの大罪
経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!』
(ビジネス社)
https://x.gd/3proI
ぜひご高覧賜りたい。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第4069号
「佐藤正久議員が123便調査求めるべき」
でご購読下さい。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。
価格:1,980円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,870円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する
価格:994円 通常配送無料
出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する
価格:907円 通常配送無料
出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料
価格:994円 通常配送無料
出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,512円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する
« 万博より大切なものがある | トップページ | 憲法改正急ぐ必要は皆無 »
「国家はいつも嘘をつく」カテゴリの記事
- 推定にすぎない123便圧力隔壁説(2025.05.02)
- 123便墜落真相解明は最重要事項(2025.04.22)
- 123便訴訟吉備様と国会議員面談実現(2024.09.13)
- 123便墜落の真相解明不可欠(2024.08.26)
- 成仏できない123便犠牲者(2024.08.12)