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2025年4月24日 (木)

未整備の憲法改正広告規制等

衆議院の憲法審査会が定例会を重ねている。

憲法審査会の会長は立憲民主党の枝野幸男氏。

野党から初めての起用。

しかし、憲法改正を目的に国会内に常設の憲法審査会を設置していることそのものに対する疑念が存在する。

憲法学者で参議院議員の高良鉄美氏は昨年5月6日の参議院憲法調査会で次のように述べた。

「憲法制定権力は国民にあり、国民から、人権保障のために必要な改正があれば、発議の信託を受けたものであって、憲法改正権力自体が元来国会にあるわけではありません。

しかも、負託されたのはその一部にすぎず、国民の最終判断が憲法改正権発動の効果発生となることとなります。

したがって、憲法審査会が憲法より上位にあるかのように、網羅的に憲法条文の改憲を模索することに従事しているということは憲法構造上いびつと言っていいと思います。」

「憲法九十九条では、総理を含む国務大臣、国会議員などに憲法尊重擁護義務があることを定めています。

仮に憲法に違反する行為等を権力者が行ったり政府が憲法上の疑義のある改憲に走ったりした場合、権力分立、チェック・アンド・バランスの一翼を担う。

これは国民の代表ですから、国の唯一の立法機関である国会は政府の行為が憲法に違反しないかを議論するところであり、そういう見識を持っていると憲法上みなされているのが国会なんです。

どうも現在の憲法審査会の動きはそうなってはいないのではないかと、主権者国民がしっかり見ていると思います。」

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日本国憲法は第99条で総理を含む国務大臣、国会議員などに憲法尊重擁護義務を課している。

憲法尊重擁護義務を課せられている国会議員が憲法違反の疑いのある憲法改正案を含めて常設の審査会で憲法改正を検討すること自体が憲法違反の疑いを有するのだ。

自民党が2012年4月に発表した憲法改正草案は日本国憲法の基本原理を否定するもの。

現行憲法を基準とすれば、違憲である条文を含む憲法改正案を提示している。

そのような違憲条文案を含む憲法改正案を国会が常設機関で検討すること自体に大いなる疑義があると言わざるを得ない。

このような根本的な疑問、矛盾を放置したまま、なし崩しで憲法改正になだれ込むことを決して許してはならない。

自民党憲法改正草案は日本国憲法を大日本帝国憲法に改変すると表現しても過言でないような内容を含む。

もちろん、9条改変を含んでいる。

他方で、野党が提示する憲法改正の条文変更案も存在する。

代表例が二つある。

臨時会の招集に期限を設けること。

憲法第53条に基づき臨時国会召集を野党が要求しても、憲法の条文に期限の規定がないために臨時会招集が行われずに放置されてきた歴史がある。

そこで、憲法の条文に「20日以内に召集しなければならない。との文言を書き加えることが提案される。

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もう一つは衆議院の解散権についての規定。

歴代内閣は憲法7条の天皇の国事行為としての衆院解散の条文を活用して内閣の判断で衆院解散を実施してきた。

内閣が内閣の都合で衆議院を解散することを制限するべきとの主張が存在する。

そのために憲法改正が必要との見解が存在する。

「臨時会招集の期限を明記すること」

「内閣による恣意的な衆院解散を制限すること」

を憲法改正で実現するとの主張が存在する。

主権者である国民も受け入れやすい憲法改正案を提示し憲法改正の実績を生み出す。

この策謀が存在する。

最大の問題は、一つの改憲を突破口にして9条改正などを一気呵成に実現してしまうこと。

その危うさが付きまとうことを否定できない。

何しろ、自民党が公表した憲法改正草案は日本国憲法の基本原理を踏みにじるものである。

まかり間違って憲法の根幹が改変されてしまえば一大事。

取り返しのつかないことになる。

この意味で〈お試し改憲〉なるものに主権者国民は乗ってはいけない。

枝野憲法審査会が極めて危険な方向に傾きつつあることを国民に周知させることが急務である。

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