FRBとの確執がトランプ2.0死角
トランプ大統領がFRBへの介入を強め始めている。
私が執筆している
『金利・為替・株価特報』
https://uekusa-tri.co.jp/report-guide/
では、FRB問題がトランプ政権の死角になるとの見通しを示してきた。
現在、米国金融政策は金融緩和局面にある。
2022年から23年にかけては強力な金融引き締めが実行された。
この期間がトランプ施政下でなかったことは幸いだった。
トランプの復帰が米国金融緩和期に移行した後であったことは幸いである。
しかし、トランプ大統領はパウエルFRB議長に対して強い不満を有している。
トランプ1.0においてもパウエル議長はトランプ大統領の命令に服従しなかった。
トランプが異議を唱えるなかで利上げを強行した。
パウエルはトランプ人事でFRB議長に就任した。
ところが、2022年2月の第1期任期満了に際してバイデン大統領がパウエルFRB議長の続投を決めた。
このことからトランプ大統領はパウエルFRB議長が忠誠心を示す対象を乗り換えたとの印象を有していると見られる。
現実には、パウエルFRB議長は誠実にFRB議長職を全うしているだけだが、トランプ大統領はFRBをも自らの支配下に置く考えを有している。
この姿勢が基本的な誤りである。
FRBは政治権力から独立して職務を遂行することを求められている。
このスタンスを明確にすることが市場のFRBへの信頼をもたらす。
政治権力によるFRBへの介入は百害あって一利のないもの。
しかし、トランプ大統領にこの論理は通用しない。
FRBを自分の支配下に置こうとする。
トランプは利下げを好む。
しかし、FRBはインフレと完全雇用の両立を目指して行動するものであり、闇雲に金利引き下げを実行するべき存在でない。
そのFRBに大統領が過剰介入することが災厄を招く原因になる。
本年年初の
『金利・為替・株価特報2025年1月14日号』
https://x.gd/tSOfb
に、年明け以降の株価調整の可能性を指摘した。
1月14日号では
1.【概観】米国株価の割安感消失に留意
に、「米国株価上昇に小休止局面が発生してもおかしくはない局面だ。」と明記。
2.【株価】米国株価上昇に一服感生じるか
に、「米国株価に連動して欧州株価も2022年10月から24年12月までの株価急騰を示してきたが、小休止局面が到来してもおかしくはない情勢。」と明記。
9.【投資戦略】キャッシュポジションの引き上げ
に、「高いリターンを獲得する秘訣は「暴落時に買う」こと。「暴落時」にキャッシュが手元にある状況を作り出すことが勝敗を分けるカギを握る。」
と明記した。
2022年10月から昨年末までにNYダウが57%の上昇を示した。
この事実を踏まえて、年明け後に中規模調整が生じてもおかしくない状況にあることを指摘した。
本年1月にトランプ2.0が始動し、これと連動するかたちでグローバルな株価調整が観測されている。
その背景はトラン関税にあるが、もう一つ見落とせない死角がある。
それが、トランプ大統領によるパウエルFRB議長攻撃である。
パウエルFRB議長は極めて有能なFRB守護神だ。
トランプ大統領が賢明なら、パウエル議長の能力を最大限に活用できる。
ところが、パウエル議長の発言が気に食わないからとの理由でパウエル議長を更迭すれば、その災厄はトランプ大統領に降りかかることになる。
すでにトランプ大統領がパウエル解任をちらつかせ始めている。
ここは日本の格言「及ばざるは過ぎたるに勝れり」の言葉を思い起こすべきだ。
トランプ大統領の対FRB過剰対応がトランプ政権崩落の原因になる可能性を低く見ることはできない。
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