公益通報者保護法違反の斎藤知事
兵庫県議会の百条委員会が報告書を提出。
県議会本会議において賛成多数で了承された。
報告書はパワハラの疑いなどについて
「一定の事実が含まれていた」
としたうえで、告発文書への県の対応が
「全体を通して大きな問題があった」
と断じた。
百条委員会の奥谷謙一委員長は、
「県の対応は、組織の長や幹部の不正を告発すると、懲戒の不利益処分などで通報者が潰される事例として受け止められかねない。全体を通して客観性、公平性を欠いており、大きな問題があったと断ぜざるをえない」
と述べた。
事の発端は西播磨県民局長W氏による内部告発。
県民局長は2024年3月12日ごろに報道機関などに斎藤元彦知事のパワハラ等の問題など7項目の問題を告発する文書を送付した。
告発は匿名だったが、斉藤知事を筆頭とする県幹部は直ちに犯人捜しを実行して情報発信者を特定。
W氏が発信元であることを突き止めて3月25日に県民局長(当時)の公用PCを押収。
その後、PC内に保存されてあった元県民局長の個人データ内容を調べ、これを根拠に元県民局長に対する脅迫的行為が実行されたと見られる。
元県民局長に何らかの服務規程違反が存在した可能性はある。
しかし、その問題と内部告発とはまったく別問題。
ここが重要なポイントの一つ。
県民局長による内部告発は公益通報に該当する可能性のあるもの。
非告発者である県知事を含む県幹部が公益通報に該当する可能性のある内部告発に対して適正な対応を取らなかった疑いが強い。
斎藤知事を筆頭とする県幹部は公益通報に該当する可能性があるにもかかわらず、犯人捜しを実行。
公用PCを〈押収〉して県民局長の個人データを入手し、この個人データを元に脅迫行為を重ねた疑いが強い。
3月27日、県はW氏の3月末での定年退職を保留とし、斎藤知事は記者会見で
「業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は、公務員としては失格」
と述べた。
W氏は4月4日、実名で改めて県庁内の公益通報窓口に内部告発文書を提出。
しかし、県は5月7日、〈内部調査〉を根拠に、告発文書に記載された事案で核心的な部分が事実ではなく知事や職員に対する誹謗中傷であり不正行為であると判断してW氏を停職3ヵ月の懲戒処分とした。
県議会は県の対応に問題があるとして6月中旬に百条委設置を賛成多数で決定。
この過程で県が〈押収〉した公用PC内に保存されていた元県民局長の個人データが外部に漏洩され、維新所属議員を中心に個人データの開示を求める主張が展開された。
W氏は7月中旬に百条委で証言することになったが、その直前の7月7日に死去。
個人データの取り扱い問題がW氏を死に追い込んだ疑いが指摘されている。
兵庫県議会は9月19日に斎藤元彦知事に対する不信任決議案を全会一致で可決。
斎藤知事は辞職せず失職し、出直し知事選が実施されることになり、斎藤氏はこの知事選に出馬。
11月17日の投開票で斎藤氏が知事に再選された。
しかし、この選挙に二つの重大問題が存在した。
一つは、斎藤氏陣営が公選法に違反したとの疑惑。
もう一つは、選挙戦で外部漏洩されてはならない元県民局長の個人データ内容およびこれに付随する虚偽情報が流布・拡散されたこと。
情報の流布・拡散に多大な影響を与えたのは立花孝志氏。
この不正な選挙活動が有権者の投票行動に重大な影響を与えた可能性がある。
百条委報告の骨格は二点。
第一は元県民局長の内部告発文書に真実相当性があり、公益通報に該当する可能性が高いこと。
第二は元県民局長の内部告発は公益通報に該当する可能性が高いもので斎藤知事を筆頭とする県幹部の対応は公益通報者保護法に違反する疑いが強いこと。
橋下徹氏は兵庫県議会の増山誠県議が百条委秘密会での片山安孝元副知事発言を録音したデータを立花孝志氏に提供したことを擁護する発言を示した。
この点は是認できない。
しかし、百条委報告を受けて斎藤氏は知事失格であると断じた点は正しい。
兵庫県議会は改めて斎藤知事に対する不信任決議案を可決するべきである。
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