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2025年3月27日 (木)

財務省の闇をえぐる

財務省解体デモなど財務省にまつわる論議が拡大している。

ただし、その場を共有する人々の主張は一様ではない。

統一された明確な提案が明示されているわけではない。

一部の政治勢力はこうした市民運動を選挙での集票に活用しようとの思惑で接近しているかも知れない。

議論を整理することが必要だ。

1990年代末から旧大蔵省に対する厳しい攻撃が続いてきた。

日本経済は1980年代後半に〈バブル経済〉の活況期を経験したが、90年代への移行と同時に〈バブル崩壊〉の大衰退を経験した。

このバブルの生成と崩壊を生み出した〈主犯〉が大蔵省である。

この問題も重要だが、ここでは脇に措く。

他方、90年代末に問題とされたのは大蔵省の〈校紀〉。

民間事業者による〈過剰接待〉が発覚。

大蔵省の権威は地に堕ちた。

その後、省庁再編で大蔵省は財務省と金融庁に分割されたが、両者の不祥事は止むことがなかった。

財務事務次官はセクハラ問題で辞任に追い込まれた。

森友事案では巨大な規模での〈虚偽公文書作成〉の事実が明らかにされた。

日本の刑事司法が適正に機能していないから刑事事件として立件されなかったが、刑事司法が正常に機能していれば大きな刑事事件に発展していたはずだ。

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三つの大きな問題がある。

第一は校紀の問題に集約される財務省の体質の問題。

財務省はなぜ不祥事を繰り返すのか。

第二は財務省権力の問題。

行政権力の多くが霞が関官庁に握られている。

そのなかでも突出して巨大な行政権力を保持しているのが財務省・金融庁組織である。

OB人事を含めれば財務省・金融庁コングロマリットの支配エリアは広範に広がっている。

第三は経済政策運営の問題。

財務省は財政政策運営の元締めだが、関与する領域は財政政策に限定されない。

金融政策運営にも極めて深く関与している。

時の政権との距離は至近であり、政権の経済政策全体への影響力は霞が関省庁のなかで抜きん出ている。

財務省解体デモで取り上げられている課題は主として第二と第三の問題であると考えられる。

行政権力の多くが財務省・金融庁コングロマリットに握られている。

この〈権力を分散〉することが必要。

これが第一の論点になるだろう。

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第二の論点は経済政策。

経済政策としての財務省への要請の代表は〈積極財政の提言〉。

財務省が〈緊縮財政〉を実行しているとして、これを〈積極財政〉に転換するべきとの主張が聞かれる。

この主張への賛同者が多いと認識するが、財務省財政政策の論点における最重要点が〈積極財政〉であると私は考えない。

実は財務省が主導する財政政策運営で〈超積極財政〉という場面は何度も観測されているのだ。

〈財務省は緊縮財政一本鎗〉との見立ては、実は正しくない。

財務省が驚くほどの積極財政を主導した事実は直近5年間の過去にも存在する。

財政政策の最大の問題は〈積極財政か緊縮財政か〉の問題ではなく、〈財政資金を何にどのように投下しているか〉の問題である。

日本財政の実態は決して〈緊縮財政〉ではない。

著しい〈積極財政〉が実行された事例が近年でも確認できる。

問題はその際に、貴重な財源が最適な対象に配分されたのかどうかにある。

〈積極財政〉論はときに乱暴な主張を伴う。

穴を掘ったり埋めたりする公共事業。

公共事業がまったく役に立たなくても、穴を掘ったり埋めたりすれば、そこに政府支出が拡大され、公共事業に従事する労働者の収入増を通じて景気拡大要因になるから肯定されるべきとの議論さえ生まれる。

私はこの種の財政資金バラマキに反対だ。

財政政策論議で最重要の問題は〈積極財政か緊縮財政か〉ではなく「財政資金を最適な対象に使っているか」である。

財政政策論議を整理して掲げるべきテーマを明確にする必要がある。

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