日枝氏逃亡放置というフジの病
フジテレビが10時間に及ぶやり直し会見を実施したが、フジテレビに対する不信は一段と増幅されたと見られる。
フジテレビは予定していた番組を差し換え、時間無制限で会見を放送した。
しかし、視聴者、スポンサー、国民の理解を得られると見られない。
最大の問題とされているのはフジサンケイグループ代表の日枝久氏の動静。
会見にはフジテレビおよびフジメディアホールディングスの社長・会長等が出席したが日枝久氏は出席しなかった。
大義名分は、問題がフジテレビおよびフジメディアホールディングスが関与するもので、その当該企業の代表権を持つ者が出席しているので十分だというもの。
しかし、会見に出席した遠藤龍之介フジテレビ副会長は1月23日の民放連定例会見後の取材で次のように対応したことが伝えられている。
日枝体制が一新されなければ、フジテレビは変われないのではと言われることについて、
「すべてのことを日枝が決めているわけではないが影響力は大きい。」
「企業風土と言えば日枝もあるかもしれない。」
と答えた。
問題の背景として指摘されているのがフジテレビの企業風土。
その企業風土形成に最大の影響を与えてきたのが日枝久取締役相談役であると指摘されている。
日枝久氏は1983年にフジテレビ取締役に就任。
現在に至るまで42年間取締役に留まっている。
現在はフジサンケイグループの代表を務めている。
フジサンケイグループの公式サイトには次のように記されている。
https://www.fujisankei-g.co.jp/about.html
「フジサンケイグループ(FUJISANKEI COMMUNICATIONS GROUP 略称 FCG 代表:日枝 久)は、78社、4法人、3美術館、約13,000名の従業員からなる日本最大級のメディア・コングロマリットです。」
日枝久氏はフジサンケイグループ全体の現役の代表者。
事案の当事者はフジテレビ、フジメディアホールディングスであるかも知れないが、フジテレビ、フジメディアホールディングス、そして産経新聞を含むグループ全体の代表者が日枝久氏である。
フジテレビ、フジメディアホールディングスが、今回の問題がグループ全体の危機であると判断するなら、フジサンケイグループ全体の代表者が登場して説明を尽くす必要がある。
日枝久氏はフジテレビ、フジメディアホールディングスに対して最大の影響力を発揮し続けてきた人物であるとされる。
87歳の現時点においても取締役の職位に在職していること自体が影響力の大きさを示している。
つまり、日枝氏はフジテレビ、フジメディアホールディングス幹部人事に強い影響力を保持していると見られている。
今回の会見で鮮明になったことはフジテレビ、フジメディアホールディングス両社の最高幹部全員が、日枝久氏に何もものを言えない状況にあるということ。
その印象を鮮烈に与えた会見だった。
フジテレビ、フジメディアホールディングスが出直しを図るには、現在のグループ全体の構造を変えることが必要不可欠。
そのためには、フジサンケイグループ全体の代表である日枝久氏が前面に出て説明をすることが必要不可欠。
日枝氏が説明もせず、今後、企業の新体制を刷新するとしても、新体制の構築に日枝氏の意向が反映されることが想定されるから、実態は何も変わらないと予想されることになる。
この部分について会見に出席したフジ幹部は前向きの回答を一切示さなかった。
日枝氏に説明責任を求めるスタンスが決定的に欠落していた。
他方、会見で明らかにされた新事実が二つある。
一つは文春報道の内容。
事案の当日は中居氏と当事者の2人の会合であったが、その期日に先立って中居氏の自宅でBBQが行われた際、その延長として中居氏、女性、フジテレビプロデューサーの3名が寿司屋に場所を移し、その場で電話番号等の交換をしたとの文春報道が記者の質問で明らかにされた。
事案の当日にフジテレビプロデューサーは同席等の関与をしていないが、事案が生じる経緯として決定的に重要な事実が明らかにされたと言える。
二つ目の事案は記者の質問から「不同意性交」という表現が提示されて、フジテレビ側が事案の内容について「事案の詳細は特定しない」と答えなかったこと。
「不同意性交が事実ならば刑事事件にもなり得る」との記者の指摘について、フジテレビ側は「事案の内容は明らかでない」と説明しなかった。
ネットでは事案の内容について、さまざまな憶測が流布されているが、公式説明では事案の内容は特定されてこなかった。
「人権侵害の恐れのある事案」であることは説明されたが、質疑の中で「不同意性交」という言葉が用いられた際に、フジテレビ側がこれを否定しなかったため、これが既成事実化する可能性が高い。
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