四つの斎藤元彦兵庫県知事問題
斎藤元彦兵庫県知事をめぐる問題が着地しない。
そもそも斎藤知事県政を転覆しようとする策謀があり、斎藤氏は策謀の被害者であるとの見解も散見される。
他方、メディアが齋藤氏に対する追及を強めていたが斎藤氏が知事選に勝利したことを受けての「オールドメディアの敗北」などの論評も聞かれる。
さまざま主張が飛び交うが真実を特定することは難しい。
しかし、事案の解釈以前に、法的責任を求めることが必要な事象が存在するなら、その点を明らかにして適正な対応が取られる必要がある。
日本は法治国家であり、憲法は法の下の平等を定めている。
法的な責任を問うべき事実があるのにその問題をあいまいに処理すべきではない。
四つの問題が存在する。
第一は元県民局長が行った告発=内部通報の内容に関して、斎藤県知事の責任を問うべき事案が存在するのか。
第二は県民局長が行った内部告発に対する斎藤知事を筆頭とする兵庫県が取った取り扱いが適正であったのか。
第三は元県民局長のプライバシー情報が外部に漏洩された問題。
第四は斎藤元彦氏の選挙活動に公職選挙法違反の事実があったのかどうか。
第四の点についてはすでに第三者による刑事告発がなされている。
これまでに公表されている情報に基づけば、株式会社merchu代表取締役折田楓氏が斎藤氏からSNS戦略構築ならびに運用についての業務を受注し、株式会社merchuが業務として選挙運動に携わったと見られる。
株式会社merchuは斎藤氏陣営から金銭の支払いを受けている。
斎藤氏サイドは、金銭支払いはポスター制作等にかかる費用の支払いであり、SNS対応は含まれていないと説明している。
その上で、merchu社の折田楓社長が行ったSNS運営等については「ボランティア」で行われたものだと説明している。
しかし、折田氏はnoteでの記述において、
「特定の団体・個人やものを支援する意図もなく、株式会社merchuの社長として社会に貢献できるよう日々全力で走り続けたい」
と記述しており、ボランティアでSNS運営を行ったことを否定する記述を示している。
merchu社の主力業務はSNS運用にある。
株式会社merchu公式サイト
トップページの”About merchu inc.”には、
「株式会社merchu(メルチュ)は、お客さまの「企画広報室」として、魅力を引き出し発信力を高める役割を担います。
SNSやWebを活用したオンラインでのブランディングやマーケティングを軸に、プロデュースやプロモーションなどを手がけます。」
と記載されている。
折田氏が公表したnote記事には、株式会社merchuが齋藤氏に対して
「兵庫県知事選挙に向けた広報戦略のご提案」
を行い、斎藤氏がその提案を真剣に聞いて
「(merchu社が)広報全般を任せていただくことになりました」
と記述しており、merchu社が業務としてSNS運用の選挙運動を受注したと見られている。
こうした公表事実が斎藤氏陣営の公選法違反の疑いを濃厚にしている。
すでに刑事告発がなされており、捜査当局は迅速に対応するべきだが、現時点で捜査進展の情報が伝えられていない。
23年の東京都江東区長選での公選法違反摘発、24年4月の衆院補選での公選法違反容疑でのつばさの党幹部の逮捕など、公選法違反での摘発が多数行われている。
政治的敵対者は摘発し、政治的敵対者でない人物は犯罪を実行しても無罪放免、では法治国家は成り立たない。
背後関係、経緯に関係なく、公選法違反事実があれば刑事司法当局は適正な対応を示すことが求められる。
斎藤知事は維新との距離が近く、25年には維新が推進した関西万博が開催されることから、この「事情」が影響して犯罪があるのに無罪放免にする対応を取るということなら許されない。
第二の問題については、本年3月に県民局長が告発を行ったのちに、県が県民局長の退職を認めず、懲戒処分を実行したことの妥当性が問われる。
12月11日の斎藤知事会見では記者からの質問によって、4月の内部通報に「公益性がある」こと、ならびに3月の告発内容と4月の内部通報内容が、五百旗頭氏死去に関する告発が4月通報で削除された以外、ほぼ同一のものであることが明らかにされた。
そうなると、兵庫県は3月に県民局長が公益性のある告発を行ったことに対して告発者探しならびに告発者に対する一方的処分を行ったことになり、その対応が適正であったのかどうかが問われることになる。
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