派閥力学による自民決選投票
立憲民主党と自由民主党の党首選が9月に実施される。
立民は9月23日(月)に、自民は9月27日(金)に新しい党首を選出する。
自民は政権与党であり、新しい党首がそのまま内閣総理大臣に選出される見通し。
衆議院任期は2025年10月で、残り1年だが、自民党は新しい党首を選出して新政権を発足すれば、直ちに衆院解散・総選挙に突き進む可能性が高い。
早晩実施される見通しの衆院総選挙で現在の野党勢力が衆院議席の過半数を占有すれb政権交代になる。
日本政局は重要な局面を迎えている。
自民党では10人を超える者が党首選出馬の意思を示している。
すでに出馬を表明した者と出馬に意欲を示す者が多数存在する。
自民党党首選の第1回投票は議員票367票と党員票367票の合計734票で争われる。
1回目の投票で単独過半数を獲得する候補者がいないときは、上位2者による決選投票が行われる。
決選投票は議員票367票と47都道府県の都道府県連票47票の合計414票で争われ、多数得票の候補者が新党首に選出される。
立候補には国会議員20名の推薦が必要であり、1回目投票では議員票が分散されるため、党員票で多数得票を得た者が有利になる。
各種調査は党員票の投票で石破茂氏、小泉進次郎氏が優位に立っている現状を伝える。
次いで、河野太郎氏、小林鷹之氏、高市早苗氏などへの支持が多いと伝えられている。
上位2名による決選投票が行われる場合には、自民党内の各派閥(形式上は多くの派閥が解消されたが、依然として結びつきが強いグループが多数存在)の力学が結果を左右すると見られる。
このなかで、各種調査で党員票を多く獲得すると見られているのが石破茂氏と小泉進次郎氏。
仮にこの両者が決選投票に進むことになる場合、現時点での見立てとしては派閥力学上、小泉氏が有利になるのではないかと見られている。
その小泉進次郎氏が9月6日に記者会見を行った。
会見に出席した田中龍作氏の質問に対する回答などがメディアで取り上げられているが焦点は別の部分にある。
小泉氏は政治改革、規制改革、選択肢の拡大を1年以内に「決着」させることを強くアピールした。
提示する公約について、実現までの期限を定めることは良いこと。
いつ実現するか不明の公約では意味が薄い。
問題は何を公約にするかだ。
そして、何をやらないのかである。
小泉氏が会見で明らかにした内容に三つの大きな問題がある。
この点を明確にすることが重要だ。
三つの問題とは
1.解雇規制の緩和を行うとしたこと、2.消費税減税をやらないとしたこと、3.日米地位協定を見直さないとしたこと、である。
やるとしたことのなかに、政策活動費の廃止と旧文通費の使途公開と残金返金を挙げた。
この点は評価できる。
また、選択的夫婦別姓制度導入の法改正を実現することも公約として明示した。
問題は上記の三つだ。
解雇規制の緩和は2001年以来の小泉構造改革の延長線上の施策。
2012年に発足した第2次安倍内閣は「成長戦略」を掲げた。
その中身を私は五つに整理した。
1.農業自由化、2.医療自由化、3.解雇自由化、4.法人税減税、5.特区創設・民営化
3は労働規制の緩和だが、ゆくゆくは解雇規制の緩和に突き進むだろうと予測した。
この「成長戦略」は「大企業利益の」成長戦略。
言い方を変えると「一般労働者不利益の」成長戦略である。
経済の弱肉強食を推進する施策だ。
小泉氏は弱肉強食推進でないと述べたが具体的な説明がなかった。
また、消費税減税を否定し、日米地位協定の見直しを否定した。
基本的に財務省路線、対米隷属路線に乗っていることを意味する。
小泉氏の当選を支援しているのは米国情報機関。
米国植民地日本が維持されるなら小泉氏が党首に選出される可能性が高い。
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