竹中持論解雇自由化の公約化
小泉進次郎氏が自民党党首選出馬会見で明らかにした公約のうち、重要なものが四つある。
評価できるものが一つ。
評価できないものが三つ。
評価できるのは政策活動費の廃止。
具体的には政治資金規正法第21条の2の2項削除。
この条項を条文に潜り込ませた狙いは同法の骨抜きだ。
同法は政治家個人への寄附を禁止している(21条の2)。
ところが、21条の3の第2項に次の条文が付加された。
2 前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。
政党による政治家個人への寄附を例外として除外した。
この規定に基づき、自民党では幹事長に年間10億円もの資金が寄附され、その使途が一切明らかにされていない。
これが「政策活動費」と呼ばれるもの。
21条の2の2項を抜け穴として活用してきたのは自民党だけでない。
維新と国民民主も巨額の資金を政策活動費等の名目で議員個人に寄附してきた。
維新の元衆議院議員が「政策活動費アジャース」と表現してきたのがこの問題。
「政策活動費ありがとうございまーす」を「政策活動費アジャース」と表現したものだ。
政策活動費で党幹部が贅沢三昧していることを告発したもの。
自民党の党首選でこれを公約に掲げるなら、先の通常国会での審議中に自民党内で声を挙げるべきだった。
自民党は公明、維新と連携して、完全なザル法改定を強行した。
それを自民党党首選で突然示されても正面からは受け止められない。
進次郎と言われても信じられないというのが主権者の反応だ。
公約に掲げ、1年以内に実現すると公言した以上、仮に首相に就任したら必ず実行しなければならない。
評価できない三つの公約は以下のもの。
1.解雇の自由化
2.日米地位協定改正の否定
3.消費税減税の否定
解雇の自由化は竹中平蔵氏が叫んでいたもの。
最高裁判例で企業は雇用者を簡単に解雇できない。
このことを竹中氏は繰り返し批判してきた。
小泉進次郎氏の背後に竹中氏の影が見え隠れする。
小泉進次郎氏は菅義偉氏の傀儡。
菅義偉氏は維新ともつながっている。
竹中、菅、維新が連携している姿が浮かび上がるが、その裏側で糸を引いているのが米国だ。
これらの勢力がグローバル巨大資本の支配下に組み込まれている。
党首選の公約に「解雇の自由化」を提示するのは、小泉氏が日本の経済問題をまったく理解していないことの表れだと見られる。
強い批判が沸騰したために、小泉氏があわてて発言を撤回しつつあるが、解雇の自由化は小泉氏が党首選公約として意気揚々と提示した第一の政策だ。
その政策を、批判を受けると直ちに撤回する。
自分の頭で十分に検討、吟味した結果として提示した公約ではないことが分かる。
リスキリングなどを強調しているが、企業に解雇の自由を付与すれば、労働者の身分が不安定化することは自明。
小泉氏は労働力のミスマッチを指摘したが、要するに、解雇自由化で生じることは、所得の高い正規労働者が解雇され、賃金の低い労働力不足業種の非正規雇用に転換されることが生じるだけだ。
小泉氏は格差解消を主張するが、高い賃金の労働者を減らし、低い賃金で足並みを揃えさせる格差解消を求める労働者はいない。
過去27年間、日本の労働者実質賃金は減少し続けてきた。
日本経済がまったく成長できなかったことも一因だが、この経済低迷のなかで大企業利益だけは史上空前の水準に拡大している。
株価も史上最高値を更新したが、株価上昇を一般市民が喜ぶわけにはいかない。
経済活動が生み出す果実の「分配」において、労働者の取り分が減り、資本の取り分が拡大したから、企業利益が拡大し、株価が上昇した。
労働者を踏み台にして資本の利益だけが拡大したのである。
解雇の自由化はこの流れを一気に加速させる効果を発揮する。
地位協定改正否定、消費税減税否定もまったく評価できない。
まずは、小泉氏の党首選公約是非を冷静に評価することが必要だ。
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