消えたNT9-中日新聞の謎
北陸中日新聞が7月13日付紙面で
「能登半島地震残る謎」
と題する記事を掲載した。
しかし、本当の謎はこの記事そのものである。
本ブログ、メルマガで、能登半島の先端部分の西南から北西にかけての長大改定断層に関する専門家分析を何度も紹介してきた。
1月19日付記事
「無限大リスクの志賀原発」
https://x.gd/gt6ZU
「派閥解消より重要な原発解消」
https://foomii.com/00050
1月23日付記事
「旅行支援より被災者支援が先決」
https://x.gd/fTP8m
「2次避難遅れ主因は行政対応か」
https://foomii.com/00050
東京大学地震研究所は2013年に始まった「日本海地震・津波調査プロジェクト」で、日本海側の震源断層モデルを示していた。
本年1月22日放送のNHK定時ニュースに東京大学地震研究所の佐竹健治教授が出演した。
私は佐竹教授が提示した警告を1月19日付記事に記述していたが、その内容がニュースで報じられた。
佐竹教授らの研究グループが警鐘を鳴らすのはNT2からNT9(NT7を除く)の7つの活断層のうち、NT3とNT9が年初の能登半島地震でほとんど動いていないこと。
いわゆる「割れ残り」で、研究グループは、今後、NT3とNT9の活断層が動き、マグニチュード7クラスの地震を発生させる可能性があることを警告した。
1月23日付記事に記述したのは、佐竹氏がNHKニュースで北陸電力志賀原子力発電所至近距離にあるNT9が動いて大地震を引き起こす可能性に警鐘を鳴らしたにもかかわらず、ネット上で配信される記事で、なぜかNT9が除外されていることだった。
佐竹氏のグループは、本年初の能登半島地震の震源域と重なる七つの海底活断層について、今回の地震で観測された津波波形から断層がどの程度動いたかを解析した。
その結果、「珠洲沖セグメント」、「輪島沖セグメント」などと呼ばれる「NT4」、「NT5」、「NT6」の三つの活断層が大きく動いた一方、半島先端と佐渡島の間に位置する「NT3」と石川県志賀町近海の「NT9」の二つの活断層がほとんど動かなかったことを明らかにした。
佐竹氏は今回の地震で動かなかった活断層が刺激を受けて動き、マグニチュード7クラスの地震を引き起こす可能性についての警戒を呼び掛けている。
ところが、インターネット上の記事では、動かなかった活断層のうちNT2とNT3だけを取り上げ、佐渡近辺の中越沖で強い地震が発生するリスクのみを強調するものが多かった。
しかし、NHKニュース7で佐竹教授は、石川県志賀町近海のNT9が動く可能性を併せて指摘した。
既述の通り、NT9は石川県志賀町に所在する北陸電力志賀原子力発電所に極めて近い。
7月13日付北陸中日新聞の考察記事「能登半島地震残る謎」の最大の謎は、紙面に掲載された活断層の所在を示す地図から「NT9」が消滅していること。
「消えたNT9-北陸中日新聞の謎」
の方がはるかに重大な謎である。
年初の大地震で動かなかった活断層は「NT3」と「NY9」。
1月22日放送の「NHKニュース7」で佐竹教授はNT3とNT9が動いて巨大地震を引き起こすリスクを警告した。
最大の問題はNT9が志賀原発の至近距離にあること。
1月の地震で最大震度を記録したのは石川県志賀町。
震度7の揺れが観測された。
地震の揺れの強さを示す最大加速度の最大値も志賀町で観測された。
志賀町で2828ガルの揺れが観測された。
日本の原発は新潟県柏崎刈羽原発を除き、ほとんどが1000ガル以下の耐震性能しか有していない。
原発が建造された時代、関東大震災の揺れは400ガル程度と考えられていた。
ところが、1995年の阪神淡路大震災を契機に日本各地に地震計が設置され、この前提が大間違いであったことが判明した。
深度7は1500ガル以上の揺れを意味し、東日本大震災では2933ガルの揺れが観測された。
今回の地震において石川県志賀町で観測された揺れは東日本大震災に匹敵するもの。
NT9の活断層が大きく動くことが、いま何よりも警戒されねばならないこと。
ところが、北陸中日新聞の地図から「NT9」が消えた。
東大地震研究所が「NT9」のリスクを解除したと伝えられていない。
北陸電力はいまも志賀原子力発電所廃炉を決定していない。
志賀原発廃炉に直結する話題を消去することに北陸中日新聞が協力しているとするなら、中日新聞の歴史的失態になる。
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