深層「悪夢の民主党政権」
「悪夢の民主党政権」という表現は多様な意味で用いられている。
代表的な三つの意味を提示しよう。
第一は自公権力と癒着するメディアが用いる「悪夢の民主党政権」。
民主党政権が悪夢の時代だったとの意味。
メディアの情報誘導に流されると、民主党政権時代は最悪だったという感覚が埋め込まれる。
もちろん、権力とメディアは、人々に民主党政権への悪いイメージを埋め込むためにこの表現を用いている。
第二は日本政治の刷新を希求する側が用いる「悪夢の民主党政権」。
鳩山内閣は日本政治刷新を目指した。
そのために、革新的な三つの基本方針を定めた。
この基本方針が実現されていれば日本政治は根底から刷新されていた。
日本政治刷新とは日本政治を既得権勢力による支配から解き放つこと。
米国による支配、官僚機構による支配、大資本による支配を廃絶する。
この方向に日本政治が誘導されることは、「日本の既得権勢力にとって」悪夢だった。
日本政治の抜本改革を民主党政権が目指したから、これは米国を筆頭とする日本の既得権勢力にとって「悪夢の民主党政権」だった。
第三は日本政治刷新を目指した真正の改革勢力が用いる「悪夢の民主党政権」。
民主党政権は2009年9月から2012年12月まで3年余り存続した。
しかし、その途上に決定的な断絶がある。
2010年6月以前と6月以降で、政権の本質が180度転換した。
2010年6月までの民主党政権が真正の改革政権。
2010年6月以降の民主党政権は守旧勢力による反動米国傀儡政権である。
真正の改革を進めようとした2010年6月までの政権を牽引した勢力にとって、その後の反動米国傀儡政権は「悪夢の民主党政権」である。
本当の改革政権が存在した期間は2009年9月から2010年6月までの8ヵ月半。
2010年6月以降は反動の米国傀儡政権である。
この点を明確に認識することが最重要だ。
一般有権者は2010年6月から2012年12月までの民主党政権を民主党政権そのものだと受け止めてしまう。
そのために「悪夢の民主党政権」という表現が違和感なく受け入れられてしまっている。
事実、2010年6月から2012年12月までの民主党政権は「悪夢」だった。
この期間に民主党政権は何を実行したか。
1.突然消費税大増税を提案して法律を強行制定した。
2.辺野古基地建設を推進した。
3.原発事故発生後に法律の規定を無視して東電を法的整理せずに存続させた。
民主党政権が目指した基本路線をことごとく破壊した。
鳩山内閣は「天下り根絶なくして消費税増税なし」の基本方針を定めた。
この基本方針を絶叫していたのが2009年の野田佳彦氏。
ところが、2010年6月に政権を強奪した菅直人氏は、6月17日に、突然、消費税率10%への引き上げを参院選公約として明示した。
党内の民主的手続きも踏まず、独断専横で消費税率10%公約を明示した。
この「転向」で菅直人民主党は2010年7月参院選に惨敗。
枝野幸男幹事長は参院選が菅直人内閣への信任投票だと明言していたから、「不信任」を突き付けられた菅直人氏は直ちに首相を辞任する必要があった。
ところが、菅直人氏は首相の座に居座った。
同時に2010年6月に発足した菅直人内閣は辺野古米軍基地建設方針を明示した。
完全に対米隷属に回帰した。
2011年3月11日の地震・津波により東京電力福島第一原子力発電所が最悪の放射能事故を引き起こした。
原子力損害賠償法は事故発生時の事業者の無限責任を定めており、債務超過に陥る東京電力を法的整理することが必須になった。
しかし、菅直人・野田佳彦内閣は東電を法的整理せず公的資金で救済した。
東電の株主責任、貸し手責任は不問に付された。
最大の問題は民主党内に隠れ自公・対米隷属勢力が潜伏していたこと。
これが2010年問題の本質、小沢事件の本質である。
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