野党共闘再興なくして政治刷新なし
立憲民主党の岡田克也幹事長が2月11日放送のBS番組で次期衆院選に向けた国民民主党との関係に関して「もう一回大きな固まりを目指したい。連合も一本で応援しやすくなる」と述べた。
立憲民主党幹事長を岡田克也氏が務めていること自体がこの政党の旧態依然を示している。
また、発言の中で示した連合への言及も、この政党の限界を如実に示している。
2017年10月の衆院総選挙を目前にして民進党が二つに分裂した。
安倍内閣を打倒するために連帯を構築するのであれば意味はあった。
「希望の党」が創設され、安倍内閣打倒に向けての大きな連帯を構築しようとするものに見えた。
ところが、ここで希望の党は本性をむき出しにした。
安保法制への賛成を入党条件に設定したのである。
現実に踏み絵を踏まされた現職議員から聞いた話であるから間違いない。
この騒動から立憲民主党が誕生した。
そもそも、旧民主党、旧民進党には重大な問題があった。
守旧勢力と革新勢力の同居体だったのだ。
2009年に樹立された鳩山内閣は「米国にもものを言う」政権として誕生した。
ところが、この内閣のなかに対米隷属勢力が潜伏していた。
鳩山総理が目指す普天間の県外・国外移設方針に対して面従腹背の行動を取った閣僚が存在した。
彼らは鳩山総理の指令ではなく、横田政府の指令に従って行動した。
この勢力が普天間の県外・国外移設を妨害し、鳩山内閣を破壊した。
鳩山内閣を破壊した民主党は完全に転向。
米国・官僚機構・大資本が支配する日本政治構造への回帰を実行した。
この守旧勢力が現在の立憲民主党中枢部に回帰している。
2017年に旧民進党が分離・分割された。
新たに樹立された立憲民主党は革新勢力として純化したものと理解されて主権者に歓迎された。
旧民主党・旧民進党の「水と油の同居」がようやく解消されたと思われた。
革新勢力としての立憲民主党の躍進を支えたのが共産党の選挙協力であった。
共産党を含む野党共闘が確立され、立憲民主党が躍進したのである。
ここで危機感を強めたのが日本支配維持を最重要課題とする米国支配勢力だ。
立憲民主党に対する介入、工作を強めたと考えられる。
1960年以降、米国は日本における革新政権誕生を阻止するために、野党を分断する戦略を展開し続けてきた。
この目的のために創設されたのが民社党であり、民社党の支援母体として御用組合連合である同盟が創設された。
同盟の系譜に属するのが現在の連合6産別。
この6産別が連合を支配して政治への介入を行っている。
旧民進党が立憲民主党と国民民主党に分離・分割され、対米隷属の連合6産別は国民民主党支持になった。
立憲民主党が対米隷属勢力である連合6産別と決別し、真の野党共闘構築に進めば、政権交代は実現したはずである。
このリスクを認識した米国支配勢力は立憲民主党への再介入に突き進んだ。
その結果として立憲民主党創設者である枝野幸男氏が転向した。
2021年総選挙に際して野党共闘を否定し、共闘関係にあるのは国民民主党と連合であると明言したのである。
立憲民主党の右旋回である。
これを契機に立憲民主党が主権者支持を一気に失った。
その後の立憲民主党の惨状は説明するまでもない。
このまま衆院総選挙を迎えるなら立憲民主党は消滅の危機に直面するだろう。
その危機を回避するために浮上しているのが立憲民主党と国民民主党の再合流である。
選挙目当ての数合わせそのものである。
そもそも、立憲民主党執行部の顔ぶれが2010年に鳩山内閣を破壊した主要メンバーで染め抜かれている。
この動きの延長線上に日本政治刷新の姿はまったく浮かび上がらない。
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