地震と原発言及への過剰反応
1月1日16時10分に発生した「令和6年能登半島地震」。
地震のエネルギーを示すマグニチュードは7.6。
1995年に発生した阪神・淡路大震災のマグニチュード7.3を上回る規模の地震だった。
1995年以降の日本で発生した地震でマグニチュード7.6を上回るのは2003年9月の十勝沖地震(8.0)と2011年3月の東日本大震災(9.0)のみ。
震度7を記録したのは95年の阪神・淡路大震災、2004年10月の新潟県中越地震、2011年3月の東日本大震災、2016年4月の熊本地震、2018年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震を含めて今回が6回目。
揺れの強さの目安となる「最大加速度」では、2011年の東日本大震災に匹敵する2828ガルだったと報じられている。
石川県志賀町の観測点で東日本大震災の最大加速度(2933ガル)に近い2828ガルを記録した。
さらに、能登半島各地の計7地点で、「大地震」の尺度の一つとなる1000ガル以上の最大加速度が観測された。
最大加速度は、建物の耐震設計の基準などで用いられる指標の一つ。
読売新聞は、防災科学技術研究所(茨城県)の青井真・地震津波火山ネットワークセンター長の
「最大加速度だけが揺れの強さの指標ではないが、これほど広範囲で1000ガル以上となる地震は非常に珍しい」
との説明を伝えている。
最重要のポイントは最大加速度2828ガルを記録したのが石川県志賀町であること。
北陸電力志賀原子力発電所は石川県志賀町に立地する。
北陸電力によると、1日午後4時10分ごろの地震で1号機の原子炉建屋地下2階で震度5強相当の揺れを観測したとのこと。
北陸電力は、揺れの大きさが1号機で、水平方向で336.4ガル、鉛直方向で329.9ガルだったと公表した。
「原発を止めた裁判長」として知られる樋口英明元福井地方裁判所裁判長は、
「問題は原発の設計基準となる堅い岩盤『解放基盤表面』でどれだけの数値なのか。
だから志賀原発の危険性の程度はにわかに判断出来ない」
としている。
原発が立地する志賀町で2828ガルという最大加速度が観測されている。
しかも、1000ガルを超える激しい揺れ=最大加速度が能登半島全体にまたがる7地点で観測された。
志賀原発の耐震性能=基準地震動はフクシマ原発事故時点では600ガルだったが、事故後に1000ガルに引き上げられた。
しかし、今回の地震で1000ガルを超える激しい揺れが能登半島全域で観測された。
志賀原発敷地内でどれだけの最大加速度が観測されたのかが公表されねばならない。
樋口英明氏は
「そもそも地震の予知予測は出来ません。
日本人の常識です。
にもかかわらず電力会社は〇〇ガル以上の地震は来ないから大丈夫だという。
どこでどんな大きな地震が来るかもわからないのにです」。
と指摘する。
樋口氏は「原発の敷地に限っては強い地震は来ない」という地震予知に依拠した原発推進を批判する。
現に、原発が立地する石川県志賀町で2828ガルの最大加速度が観測されてしまった。
2007年7月に発生した新潟県中越沖地震で、新潟県柏崎市に立地する東京電力柏崎刈羽原子力発電所3号機で2058ガルの最大加速度が観測されたことが明らかにされた。
この事実を受けて、日本の原発のなかで唯一、柏崎刈羽原発1~4号機の基準地震動だけが2300ガルに引き上げられた。
これ以外の原発の基準地震動はフクシマ原発事故後に引き上げられたが、ほとんどが800ガル以下、まれに1000ガルの水準である。
志賀原発の基準地震動は1000ガルに引き上げられたが、今回志賀町で観測された2828ガルよりははるかに低い。
志賀原発で「火災が発生した」とXに記述した鳩山友紀夫元首相に対して、「火災は発生していない」ことを根拠に批判する主張が流布されているが、原因は北陸電力と政府の対応にある。
志賀原発における油漏れと変圧器の一部破損について、原発関係者が火災の発生と認識して国や関係自治体などに報告し、政府が「火災が発生した」と発表したことがそもそもの原因。
北陸電力と政府は、その後に誤発表を撤回した。
政府と北陸電力の誤発表が批判の対象とされるべきで、当初の政府発表通りの記述を示した鳩山元首相を批判するのはお門違いも甚だしい。
さらに、北陸電力は、志賀原発の敷地内に海水を引き込んでいる水槽の水位について、当初、「有意な水位の変動は確認できなかった」としていたが、実際には約3メートル上昇したことを、のちに公表した。
失態があったのは北陸電力と政府の側であることを確認しておく必要がある。
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