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2024年1月 7日 (日)

原発とリニア断念する神の配剤

石川県で1月1日16時10分に発生したマグニチュード7.6、最大震度7の大地震について、1月2日、地震調査委員会の平田直委員長は

「今回の地震の震源となった断層はあらかじめ知られていた断層ではない」

と説明した。

原発は活断層の上に設置してはならない。

ところが石川県志賀町に所在する北陸電力志賀原子力発電所については、原発敷地地下に活断層が存在することが疑われている。

2016年の有識者会合の評価書は、志賀原発敷地内の一部の断層を活断層と解釈するのが「合理的」であるとした。

ところが、この判断が2023年に覆された。

背景に岸田内閣の原発全面推進政策があると考えられる。

原子力規制委員会が2023年3月15日の定例会合で、志賀原発2号機直下を走る複数の断層が「活断層ではない」とする審査チーム結論を了承したのである。

「活断層があると解釈するのが合理的」とされていたものが、一転して「活断層はない」に変更された。

志賀原子力発電所を稼働させるための「措置」であると判断できる。

政府の地震調査委員会は1月2日の臨時会で、北東から南西に延びる約150キロの活断層がズレ動いたとの見解を示した。

しかし、この活断層は認識されていた活断層でない。

この点について『日刊ゲンダイ』が次の専門家見解を紹介している。

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立命館大環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)の指摘。

『日刊ゲンダイ』から引用させていただく。

「震源の活断層が未知だったと聞いても驚きはありませんでした。

政府は活断層の数を2000以上と公表していますが、それらは地表から容易に見つけられる調査で誰が見ても活断層と言えるものです。

実際には、無名の断層も含めれば、少なく見積もっても3万以上の活断層が日本列島に存在すると推測しています。」

国土地理院は活断層について、

「現在、日本では2千以上もの「活断層」が見つかっていますが、地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」もたくさんあります。」

と説明している。

https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/explanation.html

『日刊ゲンダイ』は高橋学氏のコメント

「政府が“活断層2000以上”と発表することで、リスクが小さく見えてしまっています。

政府が示す活断層上から外れた住居を『安全だ』と勘違いする人までいる。

最悪の事態を想定する必要がある災害リスクマネジメントの観点からはマズい状況です。

今回の政府が知らなかった活断層が引き起こした能登半島地震は、リスクの過小評価を改める好機と捉えるべきです」

を紹介した。

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地震は活断層で発生するが、確認されていない活断層が圧倒的に多い。

地震が発生して初めて活断層の存在を確認する場合が多い。

今回の地震では、石川県志賀町で2828ガルの地震最大加速度が観測された。

東日本大震災で観測された最大加速度(2934ガル)に匹敵する。

北陸電力志賀原子力発電所の耐震性能を示す基準地震動は1000ガルに過ぎない。

また、今回の地震では輪島市近辺で4メートルの隆起も確認されている。

断層面で4メートルのずれが生じたことになる。

原発直下で同規模の断層のずれが生じれば何が起こるのか。

原発とリニアがこのリスクに耐えられないことは明白だ。

今回の地震発生により、放射線量を測るモニタリングポストは、1月5日21時時点で、能登半島の北部を中心に10ヵ所でデータを測れなくなっている。

志賀原発で原発事故が生じた際の「基本的な避難ルート」とされていたのは金沢と能登半島を結ぶ自動車専用道「のと里山海道」だが、この道路は地震による損傷で、一時、全面通行止めになった。

他の道路も寸断されて、能登半島全体の陸路が各所で寸断されている。

志賀原発の避難訓練では道路損傷が1ヵ所にとどまることを前提に、大型バスで加賀方面に避難することとされたが、巨大地震が発生すれば道路が大規模に損傷することは言うまでもない。

現実離れした前提を置いて実施してきた避難訓練が単なるアリバイ作りであったことが鮮明になっている。

志賀原発が稼働中に今回の震災が発生していたら、フクシマ事故が再現されたと考えられる。

この地震を踏まえて原発とリニアを断念すべきことは論をまたない。

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