無限大リスクの志賀原発
地震に関する記事が多くなっているが、石川県で発生した地震に関連してなお気になる点がいくつかあるので記述しておきたい。
懸念事項は三つある。
第一は地震活動がまだ収束していないのではないかという懸念。
第二は地震活動のエリアが1月1日の最大震度7の震源地から北東方向と南西方向に大きく拡大していること。
第三は最大震度7を記録した石川県志賀町での大地震発生に対する懸念があること。
1月1日に発生した地震で最大震度7と最大加速度2828ガルを観測したのは、いずれも石川県志賀町である。
地震計が設置されているのは志賀町領家(りょうけ)。
警戒されるのは言うまでもない。
この志賀町に北陸電力志賀原子力発電所が存在するのだ。
1月1日の地震発生により志賀原発で多くのトラブルが発生した。
しかし、発生したトラブルに関する北陸電力による情報公開に重大な問題があった。
事実を正確に迅速に公表していない。
多くのトラブルについて、当初発表の情報が事後的に訂正された。
フクシマ事故を経験し、二度と同様の事故を引き起こしてはならない。
したがって、原発に関する情報公開に誤りがあってはならない。
この基本に反する対応を北陸電力が示している。
2020年12月から2023年12月まで、能登半島先端部分を中心とする地域を中心に群発地震が観測された。
(出典:読売テレビ「ウェークアップ」)
その震源地は能登半島先端の珠洲市近辺の半径10キロ圏内の比較的狭いエリアに集中していた。
京都大学防災研究所の西村卓也教授は地殻変動や地震活動の分析から、能登半島の地下15キロほどに流体が流れ込み、周辺の断層を滑りやすくしたことで地震活動が続いていたと指摘してきた。
西村氏は、この流体による地震活動が今回の大地震の引き金となった可能性があると指摘している。
西村氏は本年1月1日の大地震とこれに前後する活発な地震活動について、
「これまでの地震活動は東西30キロぐらいの範囲に収まっていたが、今回のマグニチュード7.6の地震に伴う活発な余震活動では、はるかに広い領域で地震が起きている。
(出典:読売テレビ「ウェークアップ」)
地下の流体による地震活動がトリガーとなり、もともと周辺にたまっていたエネルギーを解放させたと考えられる。」
と指摘している。
その上で、
今後、さらに広い範囲の地震活動に影響を及ぼさないか注意が必要だとしている。
とりわけ、警戒が求められるのが中越沖と石川県志賀町近辺である。
今回の地震で能登半島の北東側にある4つか5つの活断層で地震が発生した。
しかし、佐渡に近い活断層と志賀町付近の活断層がほとんど動いていない。
(出典:テレビ新潟「新潟一番NEWS」)
活断層の「割れ残り」である疑いがある。
しかし、余震はこの「割れ残り」と考えられる地点でも発生している。
1月9日17時59分頃に佐渡を震源地とするマグニチュード6.0、最大震度5弱の地震が発生した。
また、1月19日4時40分ことにマグニチュード2.9、最大震度3の地震、1月19日7時6分ころにマグニチュード4.3、最大震度4の地震が石川県志賀町を震源に発生した。
震源地分布図を見ると、志賀原子力発電所立地地点の至近地点を震源地とする地震も発生している。
(出典:新潟テレビ「新潟一番NEWS」、赤丸は志賀原発至近の震源)
断層のずれが生じるのが地震である。
志賀原発至近地点を震源地とする地震が発生したことは、志賀原発至近地点に活断層が存在することを意味する。
能登半島北東の中越沖、ならびに志賀町沖の「割れ残り」の活断層でマグニチュード7クラスの地震が発生すれば、北越地方や志賀町で大きな津波被害が発生する恐れがある。
活断層は逆断層であり、海底の逆断層が動けば津波が発生する。
北陸電力は志賀原発敷地地下の断層は活断層でないとしているが、これが活断層である疑いを払拭できない。
東京大学地震研究所の佐竹健治教授はテレビ新潟の取材に対して、佐渡に近い活断層でマグニチュード7クラスの地震が発生するリスクを指摘したが、同様に今回の地震で動いていない活断層が志賀町近海に存在し、この活断層が大きく動く可能性も否定できない。
この断層面でマグニチュード7クラスの地震が発生する場合には、志賀原子力発電所が激しく損傷する可能性があるだろう。
余震活動はなお活発に続いている。
能登半島地震がまだ収束したと言えない点に最大の警戒が求められる。
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