旅行支援より被災者支援が先決
1月22日のNHKニュースで本ブログ、メルマガの1月19日付記事に記述した内容が大きく伝えられた。
「無限大リスクの志賀原発」
https://x.gd/gt6ZU
「派閥解消より重要な原発解消」
https://foomii.com/00050
番組には本ブログ、メルマガで紹介した東京大学地震研究所の佐竹健治教授が出演して解説した。
本年1月1日にマグニチュード7.6、最大震度7の非常に強い地震が発生した。
震源地の能登半島先端地域では2020年12月から2023年12月まで群発地震が観測されてきた。
2023年5月5日にはマグニチュード6.5、最大震度6強の地震が発生した。
この地震について京都大学防災研究所の西村卓也教授は、地殻変動や地震活動の分析から、能登半島の地下15キロほどに流体が流れ込み、周辺の断層を滑りやすくしたことで地震活動が続いていたと指摘してきた。
西村氏は、この流体による地震活動が今回の大地震の引き金となった可能性があると指摘している。
しかし、1月1日の大地震発生を契機に地震の震源地に大きな変化が生じた。
西村氏は
「これまでの地震活動は東西30キロぐらいの範囲に収まっていたが、今回のマグニチュード7.6の地震に伴う活発な余震活動では、はるかに広い領域で地震が起きている。
地下の流体による地震活動がトリガーとなり、もともと周辺にたまっていたエネルギーを解放させたと考えられる。」
と指摘している。
他方、東京大学地震研究所は2013年に始まった「日本海地震・津波調査プロジェクト」で、日本海側の震源断層モデルを示していた。
佐竹氏はこのうち、今回の地震の震源域と重なる七つの海底活断層について、今回の地震で観測された津波波形から断層がどの程度動いたかを解析。
その結果、「珠洲沖セグメント」、「輪島沖セグメント」などと呼ばれる「NT4」、「NT5」、「NT6」の三つの活断層が大きく動いた一方、半島先端と佐渡島の間に位置する「NT3」と石川県志賀町近海の「NT9」の二つの活断層がほとんど動かなかったことが判明した。
佐竹氏は今回の地震で動かなかった活断層が刺激を受けて動き、マグニチュード7クラスの地震を引き起こす可能性についての警戒を呼び掛けている。
インターネット上の記事では、動かなかった活断層のうち、NT2とNT3だけを取り上げて、佐渡近辺の中越沖で強い地震が発生するリスクだけを強調するものが多いが、NHKに出演した佐竹氏は、石川県志賀町近海のNT9が動く可能性を併せて指摘した。
実はNT9は石川県志賀町に所在する北陸電力志賀原子力発電所に極めて近い。
この活断層が動いて強い地震を発生させるときに志賀原発に重大な影響を与えることが強く警戒される。
ネット上のニュース記事では、恣意的に志賀原発至近の活断層が動くリスクについての記述が排除されている疑いが強い。
佐竹氏は1964年のM7.5の新潟地震、83年のM7.7の日本海中部地震、93年のM7.8の北海道南西沖地震で、本震発生の約1ヵ月後に最大規模の余震が発生した事実を示す。
今回、1月1日にマグニチュード7.6の地震が発生しており、1月下旬から2月初旬にかけて、別の場所を震源地とするマグニチュード7クラスの地震が発生することに対する最大の警戒が求められる。
すでに、その兆候は表れており、佐渡近辺と石川県志賀町を震源とする余震が多数発生している。
そのうちのひとつは、志賀原発の至近地点を震源とするものである。
志賀原発の至近地点に活断層が存在すると考えられる。
志賀原発については、今回の地震発生で避難計画が現実適合性をまったく保持していないことが明らかになった。
多数のモニタリングポストでデータ取得も不能になった。
志賀原発の外部電源の一部も喪失された。
政府と北陸電力は速やかに志賀原発廃炉を決定するべきである。
政府は北陸地方への旅行を支援する施策策定に動き始めたが、被災して苦しんでいるのは宿泊施設だけでない。
大規模な余震の発生に警戒しなければならない段階だ。
政治との癒着力の強い有力旅館の支援に前のめりの行政スタンスが示されているが、それより前にやるべきことが山積している。
まずは、避難生活を強いられている市民の生存権の保障である。
本末転倒な行政対応では主権者である国民は救われない。
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