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2023年11月14日 (火)

日銀の短期金利引き上げ必須

10月31日の金融政策決定会合で日銀は予想通り政策修正に追い込まれた。

長期金利変動の上限を1.0%としていたものを1%超への上昇を容認することを決定した。

政策決定会合と同時に発表された「経済・物価情勢の展望(=展望レポート)」で日銀は今回もインフレ率見通しを上方修正した。

中央銀行がもっとも重要視する物価統計は食品とエネルギーを除く消費者物価指数。

米国ではコア指数と呼び、日本ではコアコア指数と呼ぶ。

日本のコア指数は「生鮮食品を除く総合」である。

このコア消費者物価指数の2024年度上昇率見通しについて、日銀は7月の「展望レポート」で+1.9%としていたが、今回10月レポートでは+2.8%に上方修正した。

日銀のインフレ目標は2%。

これを大幅に上回る見通しが示された。

これまでで初めてのこと。

これまでは、2024年度、25年度のインフレ率見通しについて、コア指数においても、コアコア指数においても、2%を下回る数値を発表してきた。

そして、その数値を盾にして

「2%インフレ率が持続的かつ安定的に達成される見通しは得られていない」

としてきたのである。

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ところが、今回の10月見通しでは2024年度のコア指数インフレ率見通しを+2.8%とした。

この見通し修正を受けて長期金利上限の1%超え容認の政策修正が決定された。

日銀はなし崩しでの施策修正を実行している。

問題は、日銀のインフレ率見通しが甘いこと。

甘すぎると言ってよい。

2023年度の消費者物価コアコア指数(生鮮食料品及びエネルギーを除く総合)上昇率は本年4回の政策決定会合で次のように改定されてきた。

2023年1月  +1.8%
2023年4月  +2.5%
2023年7月  +3.2%
2023年10月 +3.8%

蜃気楼の逃げ水のようだ。

時間を追うごとに上方修正を繰り返してきた。

日銀の植田和男総裁は11月8日の衆院財務金融委員会で、

「(物価見通しの)上方修正を続けてきた」

「見通しの誤りがあったということは認めざるを得ない」

と述べた。

インフレが加速してしまうとの見通しを示し、政策対応によりインフレ圧力を抑止し、インフレ見通しを下方修正してきたのなら問題はない。

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ところが、日銀の現実は真逆。

甘い見通しを示すなかで、現実のインフレが加速して、それを後追いしてインフレ見通しを上方修正し続けてきた。

これでは物価安定の責務を担う日銀に対する信頼が根底から揺らぐ。

本年9月のコアコア指数(生鮮食料品及びエネルギーを除く総合)前年比上昇率は+4.2%。

同月の米国のコア指数(食品とエネルギーを除く)前年比上昇率は+4.1%。

日本のインフレ率が米国を上回っている。

米国FRBはインフレ抑止に向けて厳しい政策運営を続けているが、日本銀行はインフレ推進の旗をいまなお振っている。

日銀の抜本的な政策修正が強く求められる。

日銀のインフレ推進=金融緩和政策はインフレ亢進以外にも、もうひとつの重大問題を引き起こしている。

日本円暴落だ。

日本円暴落の弊害が広がっている。

日本円暴落の主因は内外実質短期金利差にある。

日本円暴落を抑止するには日本の実質短期金利を引き上げることが必要不可欠だ。

具体的には日銀が短期金利引き上げを決定することが必要。

日銀は次回12月19日の金融政策決定会合で短期政策金利引き上げ決定に追い込まれることになると考えられる。

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