共産含む野党共闘確立の合意
10月22日の衆参補選は与野党共に1勝1敗の結果に終わった。
保守王国での補選であるから与党としては2勝して当然の選挙だったが参院徳島・高知選挙区では大差での敗北になった。
岸田首相の自民党総裁の任期が2024年9月に切れる。
総裁続投のためには衆院総選挙を実施して勝利することが必要だと認識されており、岸田首相は年内総選挙を目論んでいた。
内閣改造、統一協会解散命令請求発出、減税・経済対策三点セットで内閣支持率を上昇させて年内に総選挙を挙行するシナリオを描いていたと見られる。
しかし、内閣支持率は一向に上昇しない。
各社世論調査では内閣支持率が政権発足以来の最低値を記録している。
その解散・総選挙戦略に大きな影響を与えると見られていたのが10月22日の衆参補選。
補選で2勝し、この勢いで衆院解散・総選挙に突き進むシナリオが描かれていた。
しかし、目論見はもろくも崩れ去った。
年内解散・総選挙強行は極めて厳しい情勢に転換している。
そうなると、2024年年明け後の通常国会冒頭での解散・総選挙、通常国会末での解散・総選挙の可能性が浮上する。
しかし、2024年前半に岸田内閣支持率低下傾向が持続するなら、岸田首相が解散・総選挙を断念する可能性もある。
この場合、岸田首相は首相を3年務めて勇退する道を選択することになる。
岸田首相は首相在任3年での勇退を念頭に置き始めているかも知れない。
しかし、「座して死を待つ」よりは、「一か八かの勝負に出る」選択をする可能性を否定できない。
野党の選挙態勢が整っていない。
自民が大勝できなくとも、議席減が限定的であると判断すれば解散総選挙に突き進むことも考えられる。
麻生太郎氏、菅義偉氏は積極的な解散・総選挙の行動を取らずに退陣に追い込まれた。
このことを踏まえて岸田首相が積極策に打って出る可能性を排除しきれない。
そもそも日本国憲法は、内閣不信任案が可決された場合の解散・総選挙を規定しているだけで、首相が自己都合で解散・総選挙に突き進むことは権力の濫用である。
正当性のない行動だが、これまでの現実が政権の自己都合での解散・総選挙を容認してしまっているから、当面は、政権の自己都合での解散が断行されてしまう可能性を念頭に置かざる得ない。
問題は野党の選挙への対応だ。
10月22日衆参補選では参院徳島・高知選挙区に無所属で立候補した野党候補が勝利した一方、衆院長崎4区に立憲民主党から立候補した野党候補が敗北した。
野党共闘は有効だが、立憲民主党籍での出馬は当選に手が届かなかった。
当選者が一人の選挙で野党が勝利を収めるには野党の共闘が必要である。
衆参補選結果を受けて立憲民主党の泉健太代表が野党各党に挨拶回りした。
泉氏の訪問後、共産党の志位委員長が記者会見を開き、泉氏から総選挙での「連携と力合わせ」の要請があったことを明らかにした。
共産党の志位委員長は「党首と党首が会談した党首会談」で「泉代表が連携と力を合わせようといい、それに私が賛成する」両党合意が成立したとした上で、
「今日の合意を大事に、市民と野党の共闘の再構築が前に進める」
と表明した。
泉健太氏は「単なる挨拶回りだった」と述べているが、事実関係の推移は共産党の志位委員長が述べている通り。
この動きのなかで国民民主党の玉木雄一郎代表は泉氏が共産党と連携合意したことを理由に、挨拶回りを拒否した。
両党の支持母体を自任する連合は「非自民反共産」の立場を示しており、立憲民主党と共産党の連携に反対する姿勢を示している。
現状では「共産と共闘する立憲民主党」と「共産党とは共闘しない国民民主党」とに分断された状況が生まれている。
衆参補選の結果は、
「野党共闘が成立すれば与党を追い込むこともあり得ること」、
「野党共闘が不成立なら自公が選挙で勝利すること」
を示唆している。
連合が反共産の旗を掲げ続けるなら、連合は国民民主党の支援だけに回るべきだ。
この勢力を除外して共産党を含む野党共闘を構築することが必要不可欠だ。
野党陣営を「共産党と共闘する勢力」と「共産党とは共闘しない勢力」に分断することは現与党勢力の勝利を側面支援するものにしかならない。
「反共産」を主張する勢力を小勢力にして分離することが次期衆院選に向けての最重要戦術になる。
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