米一極支配終焉始動示すG20
インド・ニューデリーで開催されたG20首脳会談はG20の変節点を象徴するものになった。
今回のG20会合には中国とロシアトップが参加しなかった。
中ロの首脳がG20への参加意義無しの見解を表明したものと理解される。
議長国インドはG20共同宣言取りまとめに主導的力量を発揮した。
昨年11月のインドネシア・バリでのG20サミットではロシアによるウクライナへの侵攻を強い言葉で非難するとともに、その状況や制裁について「他の見解や異なる評価もあったと」の文言が付け加えられた。
今回サミットでは、
「ウクライナにおける戦争が、世界の食料とエネルギーの安全保障に及ぼす人的被害と負の付加的影響」
について言及されたがロシアに対する非難の文言は排除された。
同時に、「異なる見解と評価」が再度付記された。
また、戦争についての表記は
「ウクライナに対する戦争」
ではなく
「ウクライナにおける戦争」
とされた。
インドが主導力を発揮してロシア・中国の主張が汲み入れられたものと理解できる。
ウクライナ戦争に対する評価と位置付けは国連においても完全に二分されている。
米国を中心とする西側メディアはロシア非難で世界が一つに結束しているかの報道を展開するが事実ではない。
ウクライナでの戦乱が拡大した2022年3月の国連総会緊急特別会合で「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」が採択された際、賛成した国は193ヵ国中の141ヵ国、賛成に回らなかった国は52ヵ国だったが、これを人口比で見ると賛成国が42%、非賛成国が58%だった。
同年4月のG20財務相・中央銀行総裁会議において対ロシア経済制裁に加わった国は10ヵ国(EUを1ヵ国として)、経済制裁に加わらなかった国が10ヵ国だった。
これも人口比でみると制裁参加国19%に対して制裁非参加国81%(EUを人口最多国スペインの人口で計算)だった。
人口比ではロシア制裁に加わっていない国が8割と圧倒している。
ロシアが悪でウクライナが正義という図式は国際社会ではコンセンサスになっていない。
そもそもウクライナ戦争は米国が米国の利益のためだけに引き起こした人災である。
そもそもの原因は米国がウクライナ政治に内政干渉し、ウクライナ政権を二度にわたって転覆したことにある。
2004年と2014年の政権転覆だ。
2014年の政権転覆は暴力革命によるものだった。
米国はウクライナ・ネオナチ勢力と結託して市民デモを暴力装置に転換させ、ウクライナ・ヤヌコビッチ大統領を暴力で排除した。
樹立された非合法政府を米国が国家承認し、新政府はウクライナ国内のロシア系住民に対する人権侵害と虐殺行為を推進した。
その結果としてウクライナ内戦が勃発。
内戦を収束するために締結されたミンスク合意を一方的に破棄したのはウクライナ政府である。
陰で糸を引いたのは米国バイデン政権。
このために2022年2月にウクライナ戦乱が勃発した。
ウクライナは二つに分割される合理性を有している。
ウクライナ人・ウクライナ語・カソリックの西北部とロシア人・ロシア語・ロシア正教の東南部。
二つの異なる地域が同居を続けるなら両者の譲歩と妥協が必要。
しかし、2014年に樹立された非合法政府は力でロシア系住民地域を虐待した。
その結果として内戦が引き起こされた。
ロシア系住民支配地域で住民投票が実施されているが、民族自決の原則に従えば東南部はウクライナ政府からの独立を決定するだろう。
こうした事実を踏まえた紛争解決が求められている。
G20会合への中ロ首脳欠席、共同宣言採択は米国の一極支配終焉の始まりを象徴するもの。
大国が衰退するとき、当然のことながら激しい抵抗を示す。
しかし、時代は確実に変化していく。
米国のポチを続ける日本は米国の没落とともに国際社会の中での居場所を失うことになる。
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